2004年11月10日水曜日

Nights In White Satin

 遅れてきたロックファンである私は、数年前に発見した『Nights In White Satin』に夢中になって、もう実際驚いたというかあぜんとしたというか、オーケストラと共演するロックの美しさ、深遠さにすっかりまいってしまったのでした。

1967年にリリースされて大ヒットしたアルバム『Days of Future Passed』のラストナンバーを飾ったのがこの曲でした。アルバムの邦題は『サテンの夜』だったそうで、それだけこの曲のイメージが強かったこと、人気のあったことがうかがえます。

しかし、こうしてあらためて確認してみると私の生まれる前のことなんですね。

私は数年前から六十年代七十年代のロックを聴くようになって、ジャンルとしてはプログレッシブロックまで含まれるくらいの時代ですね、その土壌の豊かなことにおののくほど驚いたのでした。ロックに導入されるクラシックや民俗音楽的な要素の数々。あくまでも当時最先端であることを目指したロックは、多様な様式を飲み込んで、しっかりと自分のものとして消化したのですね。思えばこういうことは、いつの時代でもあり得たことで、例えば古典派の作曲家はトルコ軍楽の要素をこぞって取り入れましたし、ドビュッシーもガムランの響きを意識していました。1960年代70年代には、ロックにおいてその動きが目立ったのですね。自身のフィールドを拡大して彼らの音楽は絢爛豪華に花開いたのだと、過ぎた昔と思いながらもその当時の潮流の激しさが目に浮かぶようです。

この時代にロックに取り組んでいた知人に、彼らによって大抵のことは試されてしまっていると話したことがありました。そして『Nights In White Satin』が好きだ、あのオーケストラの広がりが非常に素晴らしいというと、あれはデッカのスタジオで録音されたもので云々、いろいろ教えてもらうことができたのでした。

オーケストラが使われ、そして語りが効果的に使われているせいもあるのでしょうが、この曲からは強い物語性を感じで、あたかも映画みたいに感じられます。そして、アルバム全体を見渡してみれば、その印象は間違っていなかったということがわかるんですね。いわば、アルバムという全体が収録曲という部分にまでしっかりと反映しているという証拠なのでしょう。この時代、特にプログレ系のアルバムは、アルバムとしての完成度を追求していたといわれますが、こうしたことをよくよく理解できるアルバムです。

Moody Blues & London Festival Orchestra

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