2004年11月19日金曜日

ONE KNIGHT STANDS

 まさに衝動買いをしたのです。CD店、邦楽のフロアに入ったときに流されていた音楽にびびっと引かれてしまい、しばらく呆然と聴いていたかと思うと、やおらレジに近寄って店員を一人つかまえ訊ねたのでした。

— 今流れているのはなんですか?

— これです。

— じゃあそれをください。

レジそばに置かれていた現在演奏中のアルバムは山崎まさよしの『ONE KNIGHT STANDS』。こうして私は、まったくなんの前知識もなく、聴いた音楽に魅了されるままにアルバムを買って、そこには躊躇とか迷いとかが浮かぶ余地さえありませんでした。

『ONE KNIGHT STANDS』は山崎まさよしのライブアルバムで、ギター一本、一人で弾き語りするという実にアグレッシブなライブ。しかし、ただ一人だというのにこの広がりはなんだー。と思わず問わずにはいられないほどにパワフルでグルーヴィで、実際この人は並の人ではないと度肝を抜かれます。

ギター一本で弾き語りといえば、どことなく侘びしさとか地味とかそういう印象を持つのは私だけですか。けれどもしあなたがそう思っているなら、このアルバムを聞いてご覧なさい。そんな思い込み吹き飛ばされるくらいにすごいですから。

じっと座って聴けるものではありません。ビートが背中を押すんです。リズムがはじけて煌めいています。声を上げてしまいそうです。しかもこの完成度がライブで実現されているんだからすごい。チャンスは一回こっきりのやり直しなしのライブでは、どこかまずいところがあったりするのが普通なのに、そうした揺らぎをまったく感じさせない。この人の音楽性が、きわめて高いところに結実しているとわかります。

どーんとでっかい存在感が目の前にある、アルバムの印象を言葉にするとこんな感じでしょうか。しかもリズミカルでダンサブル、一転してメロウでセンチメンタル。表現の引き出しもたくさんあるから、ディスク3枚の時間をまったく飽きさせません。CDを聴いているだけでこんななのですから、ライブではどんなにかすごかったのでしょうか。いつかこの人のライブには行っておかないと、とそんな思いにとらわれるのです。

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