2005年1月2日日曜日

めんどり

  酉年にちなんだものを、ということで、本日はジャン=フィリップ・ラモーの「めんどり」でも。

ジャン=フィリップ・ラモーというのは、フランス・バロックを代表する作曲家でして、もうちょっと詳しくいえば、ロココとかギャラント様式というんだそうですね。貴族趣味に彩られた、軽妙な音楽といえばいいんでしょうか。多彩な装飾に彩られて、これぞ盛期バロックというにふさわしい華麗さが素敵です。

この頃の音楽の舞台は、教会、劇場そしてサロンでありまして、ラモーは主に劇場とサロンにて活躍したタイプの作曲家です。劇場ではオペラが主流をなし、サロンでは室内で奏でられるトリオソナタやクラブサン音楽といった器楽が中心でありました。こうした器楽分野では、とりわけクラブサンの曲で知られていまして、クラブサンというのはバロックにおいてオルガンに並ぶ重要な鍵盤楽器、英語ではハープシコード、イタリア語ではチェンバロというので、そちらで聞き覚えている方もいらっしゃるかと思います。

この頃のクラブサン音楽では、なんでか曲にタイトルが付けられているのが多くって、「めんどり」というのもまさにそうした曲なんですね。これは、なんでそういうタイトルが付けられてるか非常にわかりやすい、まさに鶏の形態をよく描写した曲なのですが、もちろん描写といっても曲の様式の中での話ですよ。メシアンの『鳥のカタログ』のようなのを期待すると、ちょっと肩透かしです(って普通は期待しないですね)。

ラモーに限らずなのですが、この頃の標題付き音楽を聴いて、その表題が付けられたわけがわからんのがあるのが面白いんですよ。例えば同じくラモーに「野蛮人」という曲があるのですが、とりあえず聴いてみても、どのへんが野蛮かわかりません。なんといっても、やっぱりソフィスティケートされたものですから、実に華麗で野蛮のヤの字もありません。当時の人ならわかったんでしょうか。

タイトルは音楽の本質ではないので、私は全然そんなのは気にしない、実に軽く見たものなのでどうも具合が悪いのですが、音楽を聴きはじめるのに標題があるとわかりやすいというのは事実でして、そういう点からしても、ラモーの「めんどり」がよく取り上げられる理由というのがわかります。聴きやすい曲でありますし、導入としては実によい。もしそれで気に入ったらば、ラモーの他の曲、あるいは同時代の作曲家もたくさんいい曲を残していますから、そういうのも試して見られるのが面白いと思いますよ。

クラブサン曲集全曲

いいといわれてる盤はたくさんあるんだけど、調べても調べても引っかからない。Amazonはクラシックの検索が馬鹿みたいに弱いから、大変です。

同じ聴くなら、ぜひ全曲盤をお選びなさるようおすすめします。

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