2005年1月21日金曜日

フル・モンティ

 そろそろ限界が見えてきたこととねお試しBlog。いくらなんでも書くものがなくなってきましてね、なんだか追いつめられたような気分がします。

さて、追いつめられた気分といえば、不況下のイギリスで失職した男達を描いた『フル・モンティ』が面白くって私好きなんですよ。収入がなくなって息子の養育費を払えなくなった主人公ガズが、親権を取り上げられてたまるかと一獲千金の秘策を編み出すんですが、その逆転を狙うアイディアというのが、みんなでストリップショーをしようというもの。なにしろ自らダンサーになろうっていうんだから、追いつめられっぷりやなかなかのものです。けど、犯罪やなんかに手を染めることを考えると、ストリップの方がずっと健全じゃないですか。人のふんどしで相撲をとろうってんじゃないんです。頼るは自分自身と、友情に結ばれた仲間たち。裸一貫の大チャレンジ精神がきらりと光って、潔さも素敵じゃないですか! 私はその心意気、男気に惚れ込みましたね。ええ、もうめろめろですから。

基本的にはコメディタッチの『フル・モンティ』ですが、ベースにはしっかりとした問題提起があって、考えさせられたりじんとさせられたり、深い映画であると思います。

この映画を見ると、私は男らしさを求められていると信じきっている男の不幸が身につまされるようで、洋の東西を問わず男の甲斐性というのは稼ぎなんだなあと思い、悲しくなりましたよ。けど、この映画のいいたいのはそういうことではないんです。不況下で稼ぎを失って、一緒に自信もなくしてしまった男達ですが、ストリップに取り組むうちに、本当に大事なのは稼ぎではないということに気付いていくんですね。それまでの虚勢を張ってきた、そういう生き方の馬鹿馬鹿しさに彼らは気付いたんだと思います。だから階級階層だとか自分自身へのコンプレックスとか、そういうものは本当につまらないことで、大切なのはどうどうと胸張っていること、自分の大切に思うものや人のためにがんばる — 一緒にがんばることだと気付かされるんですね。

この映画は、もともとはイギリスのものなのですが、人気が出たのでアメリカでミュージカルになって、このミュージカルもまた人気なんですよ。以前、大阪で上演されたとき、チケットの高さにしり込みしながらも、結局見に行きました。いいミュージカルでしたね。映画とはまた違う味付けがされているのですが、やっぱり底には、一生懸命がんばることへの賛歌みたいなものが流れていまして、やっぱり私は好きなのでした。

ええ、一人でがんばるじゃなくて、一緒にがんばるっていうのはいいですね。この一緒にというのは、私の一番欠けてる部分なのですが、だからこそか、あの男達が情けないどん底の気持ちから、自信を取り戻して晴れやかで不敵な笑顔を見せるラストへの盛り上がりには憧れちゃうのです。くじけそうな気持ちを励まし合う、あの性根の暖かさをうらやんでるんです。

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