2005年2月1日火曜日

関白失脚

 昨日が『がんばれがんばれ』だったので、気を良くして今日も「がんばれがんばれ」で書いてみようと思います。といっても、今日のはタイトルではなくて、歌詞に「がんばれがんばれ」が含まれているもの。そう、さだまさしの名曲『関白失脚』です。

その前に、『関白宣言』はご存じでしょうか? これから結婚しようという女性に、俺は亭主関白でいくからなといってきかせるような歌なんですが、まあ歌ってるのがさだまさしなので、タイトルや歌詞(特に冒頭の)内容から感じられるような、男尊女卑の歌ではありません。むしろ、さみしがり屋なところを強がってみせている、惚れた男の弱みみたいな歌だったりするんですね。

ほいで『関白失脚』です。タイトルをみてもらえばわかると思いますが、これは『関白宣言』に関係していまして、結婚する前は俺についてこいなんてえらそばってみせたけど、今ではすっかり尻に敷かれてしまいましたという、そういうお父さんの哀愁が歌われています。さだ一流のセルフパロディですね。シリアスな風に見せて、あとでそれをコミックにしてしまう。そういえば、もともとはコミカルだったのをあとでシリアスに描きなおしてみせた『雨やどり』というのもありました(私はシリアス版『もうひとつの雨やどり』の方が好みです)。

けれど、やっぱりさだまさしなんですよ。コミカルにみせる歌にこそ、実は深い意味合いを込めようとするような人がさだです。『関白失脚』もまさにそんな感じで、だからこれをただ単にコミックソングみたいに思っていてはいけないんです。哀愁や悲しさ、情けなさを描いてみせて、けれどそうした弱気な態度の向こうに、家族への愛情があふれています。家族の仕合せに自分の幸福をみて、奮起してみせるお父さんの姿があります。そして最後のがんばれの大合唱。この言葉はすべての家族を愛するお父さんに向けられて、そしてその言葉を発するものも共にがんばろうと誓うような、そういう暖かさにあふれています。がんばれ、私もがんばるからという、そういう通い合う心が見えるような歌なのです。

大学の四年の夏前に教育実習に行きまして、私には二度目の実習だったから、なんだかむやみに気楽で、けれどやけっぱちな気持ちもあって、その時たまたまさだにはまっていたんでしょう。放課後の実習生控室で、生徒らが帰ったあとに、この歌を歌っていたんです。そうしたら他の実習生も一緒になりましてね、がんばれがんばれの合唱になって、あの時は本当に面白かった。楽しいなと思いました。

毎日、日誌を書いたり授業計画を立てたり準備しながら、がんばれがんばれ。あれは、そう歌いながら、銘々自分を鼓舞していたんだと思います。そんなわけで、妙に思い出深い歌になってしまいましたとさ。

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