2005年3月27日日曜日

ギター演奏法の原理

ああ、しくじりました。いつでも買えると思って購入を伸ばし伸ばしにしていたら、絶版したのか、それとも単に増刷をためらっているだけなのか、買えなくなってしまったようです。残念です。買い逃した本は貴重であります。

この本はですね、ギター奏者のカルレバーロが自分の考える奏法、メソッドを解説した本でして、その合理性を追求した考え方は非常にクリア。読んでいて納得いくものばかりでした。私がギターを弾きはじめたのは2002年の十月で、なにしろ私は教師についていませんでしたから、こうした教本を頼りに知識や基本を覚えるほかなかったんです。ところが、なかなかしっかりした本がないというのも事実で、やっぱり音楽の学習は教師について、徒弟のように習わざるを得ないかと落胆しかけたときに、図書館の書庫で『ギター演奏法の原理』を見付けたのでした。

この本のわかりやすいというところは、理屈でもって奏法を説明しようとしているところでしょう。例えば弦を弾くにしても、指と弦の角度はどのようにあるべきか。またアポヤンド、アルアイレと大きく二分される右手の使い方も、弾弦時の指関節のあり方を詳細に分析し、実際には何段階もの区分があることをはっきりさせています。

こうしたことって、おそらく体得すべきものとして、長らく言語化されてこなかった部分であると思います。だから学習者は、教師や先達の演奏を間近に見ながら、非言語的に奏法を習得していくほかなかったのです。ですが、カルレバーロの奏法は明確に言語化されて、まったくギターについて知らなかったような私にも、たやすくいわんとするところがわかる。私のような独習者にとっては、もう宝の山のような本であったのです。

じゃあ、買っとけよってな話ですよね。ええ、今さらながら本当にそう思います。ですがクラシックをやってるわけでもない私で、それに図書館にいけばいつでも利用できるという夢のような環境が当時あって、ついつい伸ばし伸ばしにしてたら市場から消えた。今買おうとしたら、店頭在庫を探すか古書を求めるかのどちらかですよね。ええ、本当に惜しいことをしたと思います。

カルレバーロの本だけを頼りに、これを絶対視してしまうと、やっぱり危険なことは確かで、頭でっかちの技術が知識に追いつかないギタリストの出来上がりとなりかねません。ですが、演奏時の姿勢、楽器と体の関係(構え方じゃね)といった、本当の基礎的なところから図解入りで詳細解説して、基本に迷いのある初学者にしても、これらを当たり前のこととしてしまっているような上級者にしても、有用な本であることは疑いもありません。

ええ、私は迷いっぱなしの学習途上者でありますから、こうした本はそばにあったほうがよかった。というわけで、やっぱり買い逃した本は貴重であったというわけです。

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