2005年3月29日火曜日

高機動幻想ガンパレード・マーチ

 私は、発売日から半年遅れで『ガンパレード・マーチ』に参加したレイトカマーであったのですが、それでもはまりましたね。あの、説明書に触れられている世界の謎アルファシステムの公式サイトには世界の謎掲示板というのがありまして、アルファシステム製ゲームが共有する世界を解明しようという、一種のゲームが行われています。私が参加してた当時はカンパレード・マーチ公式サイトの中にあって、ゲーム『ガンパレード・マーチ』で提示される断片情報を元に、ゲームで語られたものとはまた違う結末を求めて、七千人委員会がしのぎを削りあったのですね。この、掲示板上で行われた思考ゲームをGPM23と呼びます。

参加していた当時は熱い場所であったのですが、あの熱狂は結局私には悪く作用してしまいまして、一時期はアルファシステムも『ガンパレード・マーチ』も大嫌いになってしまいました。その後遺症は今も消えず、『ガンパレード・マーチ』を振り返ろうとすれば、多少の感慨と多少の嫌悪感が交じり合ったおかしな気分がします。

けど、こんな愛憎半ばするような『ガンパレード・マーチ』ではありますが、理想的ゲームであったといいきってかまわないくらいに、私は買っています。もちろん理想のゲームではなく理想的であって、完璧な理想に一致するわけではないのですが、ですがそんな、理想に完全に重なるようなものというのはこの世にあるでしょうか。だから、私は『ガンパレード・マーチ』が色々欠点や癇にさわる部分を持っていることを認めながらも、なおかつよいゲーム、万人(妄想にふけることにいとわない人には特に!)に勧めたいゲームであるというのです。

自由度が高いのですよね。私は主に戦場に楽しみを見いだすパイロット(もしくはスカウト)至上主義のプレイヤーでしたが、あの先読みしてコマンドを入力するシミュレーションに馴染めないという人も、整備にまわってみるとか、あるいは小隊隊長になって転戦を重ね小隊を指揮する、みたいにいろいろな楽しみがあるんですね。自分に合ったプレイ指針を決める余地があるというのは、すべての欠点をカバーしてなおあまりあるこのゲームのよさであると思います。

ところで、私は芝村スキーで萌スキーで森スキーで、ちょっと壬生屋スキーでもあって、おまけに狩谷スキーでもある。こんな風に、キャラ萌え派にも楽しめるところがあるのも懐の深さでしょう。特定のキャラクターと恋人関係になることも可能で、二股かけて争奪戦を発生させるのもまた人生。いや、けど、勝手にそっちから好きになってきて、それで争奪戦連戦連戦というのはやめてくれ。教室の雰囲気が悪くてかなわん。仕方がないから次の戦闘でがんばって、無理矢理ガンパレード状態に持ち込んで対症療法的改善をやってみる。云々。

なんだよ、けっこういろいろやってんじゃんっていう声もあるかも知れませんね。ええ、そりゃそうですよ。世界の謎掲示板に、誘われてもないのに自ら身を投じたような人間ですから、もともとこのゲームは大好きなのです。面白かった。楽しかった。少年学徒兵たちの明日をも知れない身の上に同情しつつも、そのクラスでの交流をうらやましく思った。泣いたり笑ったりして、けれどちょっとあの会議室の情報量は多すぎて、私はしんどくなっちゃったんでしょうね。これは私にとって、ちょっと不幸なことであったと思います。正直、世界の謎があるだなんて知らなければよかったのにと思っています(まあ、説明書に書いてあるから知らずにすますというのはちょっと無理なんだけどさ)。

しかし、それにしても楽しかったなあ。ゲームももちろんだけど、GPM23も面白かったんだよ。一日中ネットにかじりついて、まああの頃は今よりももっと暇だったこともあって、ほんと、毎日が『ガンパレード・マーチ』一色でした。ええ、やっぱりあれが楽しかったのです。

ああ、そうだ。去年の年賀状だったかな、『ガンパレード・マーチ』を勧めていた友人からきた年賀状に「森さんが死んじゃって大変」みたいなことが書かれてて、えーっ、いつの間に森喜朗死んでたの!? しかもなんで暗殺!? と泡食ったことあります。いや、森氏、今もお元気ですから。色々気炎吐いてらっしゃいますから。

蛇足:

発売当初の『ガンパレード・マーチ』を取り巻く状況を知っている身としては、その後の漫画化、ノベライズ、アニメ化、次々と出るCDという爛熟状況は、まるで夢のように感じます。だって、最初はもう本当に一部で熱狂的な人気があるというだけの、一般にはほとんど知られてないようなマイナーゲームだったんですから。

ネット口コミと電撃PS誌の特集が人気の底上げに一躍買ったのですが、しかし、ファンブックが通販でしか出ないような、ゲームのサントラ及びドラマCDも大々的には出なかったような(つまり採算が取れるとは思われなかった)タイトルが、ひとつのジャンルを形成するほどのコアな人気を勝ち取ったんですから、ある種特別なゲームであるのは実際確かであるかと思います。

鬼作ですね、鬼作。

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