2005年5月25日水曜日

中国茶図鑑

 私は、なにもこれだけにかぎったことではないのですが、食べ物飲み物に関してどうも節操なく、たいていのものは喜んでいただきます。飲み物ならば、コーヒーも飲みますし紅茶も飲む。お茶だけにかぎっても、紅茶、中国茶、日本茶、抹茶、なんでもいただきますよ。とそんな節操のない私は、中国茶を入れる専用の道具もちゃんと持っていて、中国では茶壺と呼ぶのですが、中国茶を入れる用の急須から茶盤問香杯といったものまで持っている。これでもって中国茶を入れますとなんか独特の非日常感が得られましてね、ただのお茶でもなんだかすごいご馳走に思えてくるという、ちょっとした贅沢気分が味わえるのですよ。

  さて、そんな私が中国茶を楽しもうというときに頼りにするのは、文春新書に収録されている『中国茶図鑑』という本でして、ちょっと中国茶に興味を持ってるんだー、というような人、ちょうど私みたいな人、にはうってつけの教材となるでしょう。新書ですからそんなに大きくなくサイズも手ごろ、けれど内容は結構充実していて、私が以前香港に行ったときに買い込んできたお茶の説明も収録されていました。有名どころのお茶なら多分ちゃんとサポートされているので、これから中国茶の世界に分け入ろうという人には、きっと頼もしい道案内役になってくれるかと思います。

この本のありがたいのは、中国茶がただただ紹介されているだけじゃなくて、お茶の入れ方とか楽しみ方、それに買うためのアドバイスなんてのも載っているところかと思います。私が中国茶の入れ方、楽しみ方を最初に習ったのは、NHKの語学の番組『中国語会話』の文化コーナーでの特集でだったのですが、記憶というのはどうにも薄れがちです。なので、実際にお茶を入れて楽しむ用意のできてからは、この本を頼りにしています。お茶を入れて、飲んで、このお茶はどうだこうだとわからないなりに話したりして、それで次はどんなお茶のみたいかなあと、この本に戻っていく。

お茶の楽しみの循環の中に、この本はすっかり入り込んでしまっていたのでした。

けど、最近はどうも余裕がないようで、茶壺を使ってお茶を入れてみたいなことはしなくなってしまって、せっかくの道具がもったいない。たまには余裕をつくって、こうした楽しみを復活させたいなんて思います。けど、自分が飲むためだけのお茶に、これだけの手間をかけるというのも難しいんですね。同好の人でもあれば別なんでしょうけれど。

  • 工藤佳治,兪向紅『中国茶図鑑』丸山洋平写真 (文春新書) 東京:文芸春秋,2000年。

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