2005年5月26日木曜日

スネークキューブ

  最近、なんだか懐かしおもちゃみたいなのをまたちょくちょく見かけるようになってきましたが、ブームなんでしょうか。昔よりもゴージャスな超合金が出ているかと思えば、はたまたこちらは昔どおりのルービックキューブなんてのもあって、はやりましたね、ルービックキューブ。あの時分、どこのお家にいってもキューブがありましたもん。大人も子供もみんながちゃがちゃやっていて、どこそこのお兄さんが六面そろえるのに成功したとかいうニュースでどっと沸きましてね、けれど私はルービックキューブには才能がなかったようで、よくて三面、たいていは一二面で挫折するというのが常でした。

まあそんな私でもルービックキューブをきっちり六面そろえることはできるのですが、とそんなうさんくさい話は置いておいて(いつかルービックキューブで書くことがあったら、そんときに話しましょう)、私が愛したのはキューブはキューブでもスネークキューブでありました。

スネークキューブというのは、直角二等辺三角形のブロックが二十四個ずらっとつながったよくわからないオブジェクトでして、この直角二等辺三角形をくねくねかちゃかちゃとどうこうしてやることで、いろんなかたちを作り出すことができるという、そういうおもちゃであったのでした。

基本形は球です。ちょうど画像にあるように、サッカーボールなのかアポロ月着陸船の人間が乗る部分なのか、かくかくした頂点数の少ないポリゴンっぽい球を基本として、例えばコブラであるとか、あるいは亀であるとか、さらには宇宙船(潜水艦だったか?)だとか、いろいろなかたちにキューブを変形させては、やんちゃ坊主同士で遊び回っていました。

私が持ってたスネークキューブは白と黒のツートンで、けれどこれを買ってもらうまでは長い道のりでした。当時がちゃがちゃ(今ではガチャポンといいますな)はまだ二十円でできて、ああいう子供だましのものはすぐに流行を追うから、もちろんスネークキューブもあったのです。当たりが出れば本物がもらえて、けれど普通にはゴムでできた直角二等辺三角形のブロックがひとつ出てくるだけです。雄と雌のほぞがついていて、これを二十四個集めたらスネークキューブが完成する。

残念ながら、私は完成できませんでした。直角二等辺三角形が出るとかどうか以前に、怪獣が出たりスーパーカーが出たりと、とにかく前途多難なのですよ。なので、私のスネークキューブ入手は遅れて、思えばまだ時代は貧しかった。今みたいにものがあふれてなくて、ちょっとしたこんなおもちゃでも、買ってもらうのにえらいこと待たされて、けれどその待たされた分、手にしたときは嬉しかった。もう消費すら快楽じゃない今では得られないような喜びがあったように思います。

さて、私はさっきからスネークキューブ、スネークキューブといっていますが、どうやらこれの正式名称はマジックスネークみたいですね。けど、私が子供の頃は、スネークキューブっていってたんですよ。いったいどこがキューブだかわからんこいつをキューブといって売っていたのは、ひとえにルービックキューブ人気のためでしょう。なんでもキューブといって、ブームに一乗りしちゃう。いや、マジックスネークもルービック教授の考案品だから、あながちブームに便乗したとはいえないかも知れません。

とはいっても、スネークキューブって名前のつけ方はやっぱり便乗だよなあ。

私は、いったいどれくらいスネークキューブで遊んだものやら。もうとにかく遊びに遊びました。一年とか二年とか、そういう年単位で遊んだと思いますよ。誕生会の集まりで壊されて大泣きして、父親に直してもらって、それからまた何年も遊んで、宇宙船にしたり、潜水艦にしたり、鍵にしたり、とにかく子供の遊びの道具としてはすごくよくできていました。だって、なんにでもかたちを変えて、それで遊べるんですから。

こういうおもちゃのことを考えると、今のおもちゃというのは意外に寿命が短いのかも知れないと思います。ひとつ、単体のシンプルなおもちゃだけで、何年も遊んだりとか、今の子供もしてるのかなあ。

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