2005年8月18日木曜日

僕らの冒険(アドベンチャー)

 アニメには隠れた名曲が多いというのは以前にもいった話でありましたが、今回の『僕らの冒険』もそうした一曲です。勇者シリーズの末期に位置する『黄金勇者ゴルドラン』の主題歌で、汽笛を模したモチーフではじまるアップテンポでポップな歌は、アニメ『ゴルドラン』の持つ陽気で楽しい側面を照らす明かりのようであります。

しかし、この歌の魅力は陽気さ楽しさだけではありません。なによりも素敵と感じられたのは、さあ冒険に出かけようというその時のわくわくする感じが充ち満ちているところ、そして冒険を彩る象徴的なことごとがはつらつと聴くものの心を盛り上げていくところです。 — 私は掛け値なしにこの曲を名曲と思います。アニメの開始を告げる歌としても最高であると思います。

『ゴルドラン』が放送されていた頃には、アニメの主題歌に特段そのアニメのために作られたわけでないタイアップ曲をあてるようなことが普通におこなわれていましたが、勇者シリーズに関しては良心的というのか、明らかにそのアニメのために作られた曲が使われるのが常でした。その証拠はというと、例えば歌の歌詞に主人公ロボットの名前が折り込まれているであるとかなのですが、『僕らの冒険』に関しては、例外的に、歌詞にゴルドランという言葉は見当たらないのです。

ところが、それでもこの曲は『ゴルドラン』のために書かれたのは間違いなく、例えば先にあげた汽笛のモチーフは、汽車で旅をするというこのアニメのプロットをそのままに受け継いでいますし、そして退屈を抜け出してずっと夢見続けていた冒険に向けて飛び出していくという、『ゴルドラン』の面白さの根本が間違いなく歌われているのです。

アニメの主題歌として、アニメの内容に則して歌が作られるというのは、ある種の制約の下での創作にほかならないのですが、そうした制約を越えて素晴らしい歌が生まれてくるというのもまた面白いことであろうと思います。そうした音楽、歌は数多にありますが、『僕らの冒険』も間違いなくそうした歌のひとつであり、私はこの歌を聴くたび、わくわくする胸の高鳴りを感じないでおられません。

0 件のコメント: