2005年9月23日金曜日

つうかあ

 風邪をひいたときなんかには、加藤さんご夫妻を思いだして、さみしさとうらやましさの混じったような変な気持ちに浮かされていけません。加藤さん夫妻、かーさんが夫で、つーさんが妻。お互いに好き合っていることが伝わってくるラブラブカップルなんだけれども、べたべたと愛を確認しあうような湿っぽさはなくて、独特の距離のうちに、お互いの気持ちの温度を測りあえるような、そういう関係がうらやましいな。特に、大風邪の変に見られるようなのがうらやましくて、気持ちが弱ったときに寄り添っていてくれる人がいるというだけでも、人生は大きく違うのではないかと思います。

でも、私の側に寄り添ってくれる人がいないというのは、ひとえに私が悪いのであって、うらやんでもしかたがない話です。そもそも私はせっかちで、つーさん、かーさんのような関係、あるいは『ぽっかぽか』の田所夫妻のような関係を憧れながら、育てる手間を嫌ってきた。そうなんですよ。理想的な関係というのは、相性や性格の問題もありますが、それよりもやはりそうした関係ができあがるまでの時間が必要なのだと思います。その育てる時間をパスして、良い結果だけは欲しいというのは虫のよすぎる話です。

最初から『つうかあ』だったわけじゃない

話して 動いて 世話して されて

10年かけて『つうかあ』を育ててきたのでした

この言葉の持つ意味こそを、私は噛みしめるべきなんだろうなあと、この年になって思うんですから気付くのが遅かったといわざるを得ません。

自分の行為の報いとはいえ、今日みたいな日には効きますなあ。

  • 入江紀子『つうかあ』(YOUコミックス) 東京:集英社,1997年。

引用

  • 入江紀子『つうかあ』(東京:集英社,1997年),144-145頁。

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