2005年9月17日土曜日

Wizardry #1 : Proving Grounds of the Mad Overlord

 また『Wizardry』かよとは、どうかおっしゃらないでくださいましよ。Wizardryは私にとっては特別なゲームで、中学高校大学、そして今になっても綿々と遊び続けているゲームというのはまさにWizardryだけで、いや、ゲームだけじゃありませんね。今まで生きてきた時間を振り返ってみて、一番長くつきあったものといえば、それはWizardryをおいてほかには考えられない。あらゆるジャンルのあらゆるものを退けて、Wizardryは私の側に、時に現れ、時に影をひそめるようにして、そっと寄り添っている、 — いや私の心の中心にあるといってもいいくらいです。

私の心の中心、英語にすればHeart of my Heartといったところでしょうか。Wizardryというゲームの中に広がる世界観は、私の心の中に、あたかも現実の記憶に同等であるかのように流れ込んでいます。適材適所、善悪の戒律の戒め、そして一度起こったことは取り返しがつかないというシビアさをもって、私は私の精神を鍛えることができたのではないか。私はそういってなんら恥じるものではありません。

一度起こったことは取り返しがつかない。私はリセットを封じているのです。

ファミコン版でのWizardryは、セーブが特定のタイミングで自動でおこなわれました。城での毎行動時、キャンプでの毎行動時、そして戦闘終了時。このタイミングを逃せば、いくらリセットしようと事は記録された後なのです。

キャンプ中に蘇生呪文をしくじると、その時点でセーブされてるんですよね。もちろん寺院でも一緒です。だから確実な蘇生は、戦闘中にHamanないしMahamanで蘇生させた後にMalorで逃げる(いや、呪文使用者のレベル低下をいとわないなら、そのまま終了させてもいいんですが)。けど私はHaman, Mahamanを禁じ手にしているから、寺院で蘇生してましたね。ええ、ロストしたら受け入れましたよ。

よくいわれる話ですが、Wizにおける死は、他の凡百のRPGとは違い極めて重いものです。死からの蘇生にしくじるとキャラクターは灰になり、灰からの蘇生にしくじると失われます。これをロストといい、キャラクターに愛着があればあるほど、ロストさせたときのショックは大きい。ペットロスに匹敵するといったら言い過ぎと思う人もあるかも知れませんが、実際それくらいのショックを味わうのです。

なので、Wizardryの基本はキャラクターを殺さないに尽きます。殺さないためには、慎重さを身に付ける必要があり、状況を見極めて、時には引くことも覚えなければなりません。例えば、宝箱の罠。テレポーターの罠により石の中に送り込まれてしまうと、パーティは全滅します。ファミコン版ではいしのなかにいる!のメッセージ表示中にリセット、ぼうけんをさいかいしてキャンプをとかずにMalorで一階に移動という回避技もありましたし、そんなずるをしなくても、全員死亡状態で城に送り届けてくれるという親切設計でした。ですが、本来的にはやはりこれは全滅で、例えば私の今遊んでいるLlylgamyn Sagaでは、由緒正しき作法に則って、全員その場でロストします。

私は、今Wiz #4をやっていますが、これに疲れるとWiz #1に戻るんですよね。私はWiz #1はどうも遊び過ぎたようで、Murphy's Ghostの居場所も覚えていますし、B1からB10、Werdna様の玄室までの最短路などは指が覚えています。けど、ここまでしっかりと覚えていても、面白さは変わらないんですよね。

今私は、マスターレベルに満たない冒険者を2パーティほど面倒みているのですが、地下十階に行ってはちまちまレベルをあげています。とりあえず、Poison Giantが徒党を組んでるのを見かけたら即逃走決定というくらいのレベルで、だってこんなの相手にしたら敗走必死、下手したら全滅です(こいつらに驚かされるのは、Greater Demonに驚かされるよりもきつい。Mage死亡は覚悟、下手すりゃ全滅もあるしな)。ファミコン版だとMakanito一発で塵と経験値に化けたこいつらは、なんとLlylgamyn Sagaでは生意気にも呪文無効果を決めてきやがるので、尋常じゃない強さになっていやがるのだ♥。だから、逃げる。Greater Demonからも逃げる、Maelificからも逃げる、Dragon Zombieも数が多かったら逃げる。まあ、Wizってのはそんなゲームなのですよ。勝てるか勝てないかを見極めて、戦闘の継続回避を選択する。選択のミスはパーティの壊滅を招き、城まで戻れれば御の字、下手をすれば迷宮に取り残されて、帰り道はもはや存在せず、進めば全滅という状況にまで陥ります。

今、私は2パーティの面倒を見ているといいましたが、つまりはそういうことなのですよ。もしどちらか一方が遭難すれば、もう一方のパーティが捜索隊として出動する手筈になっているのです。だから、どちらかが主力、どちらかがサブということは決してあり得ず、どちらもが主力。#3までキャラクターが継承されることを考慮して、片一方は善、もう一方は悪のパーティです。

そういえば、今のパーティ、善のパーティには中立がいるけれども、悪のパーティは全員悪だわ。#3での転送時って戒律を選べたはずだけど、もし無理だったら善のパーティ全滅時に助けにいけないな、って、これは余談ですね。

幸い、ここ数年は捜索隊の編成をせずにすんでいますが、それは私がよっぽど慎重に事を運んでいるからであって、いつ緊急事態に陥るかはわかりません。こういうところがWizの面白さの根幹であるというのですね。

緊急事態を怖れる私は宝箱の罠にも気をつけて、盗賊が鑑定する前にCalfo(だって、触っただけで発動することがあるから)。少しでもテレポーターの匂いがすれば、解除は断念して立ち去ります。だってよ、発動したら全員ロストの憂き目に遭うかも知れないんですよ。はっきりいってリスクが高すぎます。だから、私はアイテムがなかなか揃わなくて、両パーティの装備を見ても武器はBlade Cusinart'が一本、あとはLong Sword +2とかLong Sword +1ですもんね。実をいうとMuramasa Bladeが一本あって、けど、侍が一人もいないもんだから、ただの荷物に成り下がっています。Boltacに売っちまってもいいんですが、そうすると買い戻せないかも知れないから手放さない。いずれ頃合いがくれば、侍に転職するつもりでいる。丸わかりですよね。

そういえば、私の独自ルールでは、Boltacでは通常アイテム以外は購入しないというものがあって、なんといってもうちのBoltacにはなんでもあるから、ここでぽいぽいいろいろ買いはじめると、途端に宝箱が色あせてしまうというもんさ。だから買わない。アイテムは宝箱から見つけて、Boltacで鑑定して不要なら即売却。だからなかなか金も貯まらなくて、でもWizでは金はそれほど重要な要素ではないから(あ、死んだら別か)、これでいいのだ。

そういえば、今日地下迷宮をさまよっていたらDragon Slayerを見つけまして、ああ、Wizではこの剣、それほどたいしたことのない剣なんですよ。けどその時点で戦士Piscatoが装備していたのはLong Sword +1だったから、さすがにちょっと迷った。このくらいのレベルの武器となると、正直いってどちらが強いかどうかとか覚えていないんですよね(Wizではドラクエなどと違って武器の強さは表示されないのだ)。なのでMurphyを三体ずつ試しに斬って、どちらが強いかを調べたりして、こういうのもWizの楽しみだと思います。

ちなみに結果は、Dragon Slayerが平均ヒット数1.57回、平均ダメージ9.14ポイント、つまり1ターンで14.35ポイントのダメージが期待できそうだとわかりました。対してLong Sword +1はというと、平均ヒット数1.92回、平均ダメージ8.4ポイント、1ターンでのダメージ期待値は16.13ポイントといったところでしょうか。Dragon Slayerはドラゴンへのダメージ倍付けが魅力ですが、#1ではそれほどドラゴン出てこないし、Fire DragonだったらMadalto重ねがけで対処するから、やっぱりそれほどの剣じゃない。Long Sword +1を継続して使うことになりました。

ちょっと、長くなってしまいましたね。なので、最後に一言。

Wiz #1の迷宮にはエレベータがあるのですが、はじめてこのことを知ったときには軽いカルチャーショックを受けました。あの時に私は、ファンタジーに限界はないと悟ったのです。似非中世ヨーロッパに押し込められる似非ファンタジーの貧しさを思い、本当のファンタジーの豊かな広がりにおののいた瞬間でした。

おののくといえば、Blade Cusinart'ってフードプロセッサなんだそうですね。おお、ファンタジーに限界はない!

註釈

Haman
魔術師の呪文。Lv. 6。特殊な効果を期待できるが、代償として1レベル低下する。ちなみに死者を生き返らせる効果はMahamanにしかないので、蘇生にHamanとかいってるのは大きな間違いだ。
Mahaman
魔術師の呪文。Lv. 7。死者を生き返らせるならこちらを使う必要がある。もちろんレベルの低下を引き起こす。シナリオによってはKadortoが戦闘中に使えるから、こちらを使うのもあり。失敗したらリセットは、ずるだけど有効。
Malor
魔術師の呪文。Lv. 7。パーティをテレポートさせる。異動先の座標設定をしくじるとパーティが全滅してしまう素敵な呪文だ。
いしのなかにいる!
テレポーターの罠やMalorによって石のブロックに移動してしまうと、こういう悲惨な結果になる。Malorでの全滅にはいろいろなパターンがあるので試してみるのも一興だけど、私はやらない。
Murphy's Ghost
モンスター。地下一階にこいつが必ず現れるポイントがあって、低レベル冒険者が経験値かせぎに利用する。友好的であることが多いので、誤って性格を反転させてしまったときにも利用される。ちなみに私は先日、悪のパーティでこれをやってしまった。三十分は戦っていたかなあ。
Werdna
#1における最後の敵。でも、Greater Demonの方がずっと怖い。#4では主人公だ!
マスターレベル
Lv. 13をマスターレベルという。Mage、Priestがすべての呪文を使えるようになるレベル、といっても冒険者としてはまだまだ。Wizはマスターレベルからが本番だ。
Poison Giant
モンスター。地下十階に現れる強敵で、毒のブレスを吐く。WizにおけるルールではブレスのダメージはHPの半分と決まっており(運が良ければさらに半分)、Poison GiantのHPは81である。洒落にならん。
驚かされる
敵の先制攻撃を受けること。敵の先制攻撃時に表示されるメッセージがThe Monsters Surprised You!であることから。
Greater Demon
モンスター。徒党を組んで出現し、その上仲間を呼ぶ。強力な攻撃呪文と高い防御力、呪文無効果率95%を誇る大悪魔であり、毒麻痺を伴う攻撃で冒険者を圧倒する。Wizのルールでは先制攻撃時には呪文が使えないので、先制攻撃を受けた場合に関してはPoison Giantよりまし。
Mage
魔術師。魔術師の呪文を使え、HPは少ない。
Makanito
魔術師の呪文。Lv. 5。敵を一瞬で死亡させる呪文で、有効範囲は敵全体。Lv. 8以上の敵およびアンデッドには効かない。
Maelific
モンスター。悪魔の親玉で、Wiz #1における最強攻撃呪文Tiltowaitを使ってくる。なぜかアンデッドなのでZilwanで吹き飛ばせるが、先にTiltowaitを使われるとパーティは全滅しかねない。それにPoison Giantまで連れてるから……。
Dragon Zombie
モンスター。ドラゴンのゾンビ。エナジードレインのブレスを吐くは、呪文を唱えるは、その上呪文を無効果するはと手がつけられない。でもPoison GiantやGreater Demonと比べたら、比較にならないくらい楽。
Calfo
僧侶の呪文。Lv. 2。宝箱の罠を95%の確率で見抜くことのできる、非常に重要な呪文。盗賊の鑑定とCalfoの結果が一致すればまず間違いなくその罠で決まりだが、両者ともが同じ間違いをしていることもまれにあるから洒落にならない。
Blade Cusinart'
#1においては、戦士系の職業が装備できる最強の武器。
Long Sword +2
戦士系の職業が装備できる武器。これよりも劣るLong Sword +1よりも売価が安いのはちょっとした謎だ。私の中では、Sword of Slashingと翻訳される。
Long Sword +1
戦士系の職業が装備できる武器。中程度の強さ。私の中では、Sword of Slicingと翻訳される。
Muramasa Blade
#1における最強の武器。その威力は驚異的で、これさえあればGreater Demonにも太刀打ちできるかも、という気持ちにさせてくれる。侍しか装備できない。
Boltac
正式名は、Boltac's Trading Post。道具屋で、買い取りだけでなく呪いの解除やアイテムの鑑定までしてくれる。買い取り価格は売価の半額で、呪いの解除や鑑定も売価の半額とられるから、ここを利用しているかぎり金の貯まりは遅い。
Dragon Slayer
戦士系の職業が装備できる武器。中程度の強さ。ドラゴンには有利。
Piscato
私のパーティにいる戦士の名前。何語かはわからない。
Fire Dragon
モンスター。炎のブレスを吐き呪文を唱えるが、呪文無効果能力はないので助かる。ただしこいつに脅かされると洒落にならない。
Madalto
魔術師の呪文。Lv. 5。効果範囲は敵1グループ。Tiltowaitに次ぐ強力な攻撃呪文で、これが使えないなら迷宮十層は歩かないほうがいい。冷気の呪文なのでFire Dragonには特に相性がいい。ちなみにGreater DemonはMadaltoを使いまくってくる。
Tiltowait
魔術師の呪文。Lv. 7。効果範囲は敵全体で、まさに最強。これが使えるようになると、なんでもきやがれという大きな気分になれるが、Greater Demonが相手だと心もとない。核爆発という常識外れの設定は有名。
Zilwan
魔術師の呪文。Lv. 6。攻撃範囲は敵一体と狭く、さらにアンデッド以外にはなんの効果もないが、決まれば一撃で敵を葬ってくれる素敵な呪文。敵が使ってくれると、得した気分になれる。

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