2005年11月2日水曜日

ひだまり家族

 ほへと丸の『ひだまり家族』が単行本になって、やれ嬉しや、私はこういったほんわかとした漫画が好きで、そもそも私が四コマにシフトしていったのも、最近の漫画と漫画を取り巻く状況がどんどん高度複雑化していったせいだったもんですから、だからこのご時世に『ひだまり家族』が単行本化したというのは本当にありがたいことだと思います。

ありがたい? ありがたいというのはなんでかというと、世の例に漏れず四コマというジャンルにおいても高度複雑化は進行しつつあり、細かな設定や緻密な描写、一度見逃すとわからなくなるストーリー展開。販促面でも高度複雑化ははじまっているようで、いずれ初版限定とかが出るんじゃないかと戦々恐々。そんなのに疲れたから四コマのゆったり加減がよかったのに……。

私がほへと丸の漫画を見てほっとするのは、私が四コマに移ってきた頃の雰囲気をほんのりと感じさせるからだろうと思います。

シンプルな描線、可愛いキャラクター。ネタの運びもうがったようなところはなく、こんこんとしてわかりよい。折々に季節のことを描いて、こういうところには昔ながらの四コマの空気があるんです。

けど、昔ながらといってもさすがに今という時代に連載されている漫画でありますから、丸々昔なんてことはありません。両親共働きで、母親が上役かつ北海道に単身赴任。こういったところに、やっぱり現在があるのですね。あるいは携帯電話である、ネイルであるといった、そういったところにも今を感じさせて、けれど、商店街など、どこかしら懐かしさも漂わせている。

私がこの人の漫画を好きというのは、古い様式のよさと今という時代性を兼ね備えているところが気に入っているからなのだろうと思います。四コマごとに独立したオールドスタイルもあれば、今号のホーム(まんがホーム12月号)でやってるみたいな、全四コマをワンテーマで束ねるような新様式でも展開してみせて、このどちらのスタイルであってもほへと丸らしさがよく出ていて、やっぱり私はこの人の漫画はよいなあと思うのでした。

てなわけで、この記事をお読みの皆様におきましては、どうぞ『ひだまり家族』をお買い求めいただきたい。というのもですね、こういうちょっと懐かしい雰囲気の四コマが売れないと、今後こういった感じのものが出版されなくなってしまうかも知れないからです。

売れ行きが悪ければ第2巻もないかも知れない。同傾向の漫画が単行本化されることもなくなる、あるいは連載も減るかも知れない。私が好きだった四コマの四コマらしさはどんどんなくなっていって、そうなればいよいよ私は四コマからも撤退することでしょう。

ほへと丸の漫画は、読めばきっと面白いはずで、だからぜひ一度手に取ってくださると嬉しく思います。

  • ほへと丸『ひだまり家族』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2005年。
  • 以下続刊

余談

Amazonでの表記は「ほへと 丸」みたいな感じで、ほへとと丸の間にスペースが入っていて、名字ほへとで名前が丸みたいですね。

以前は岩澤ほへと丸と名乗ってらっしゃいました。ほへと丸で名前です。

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