2006年1月4日水曜日

地獄の猟犬がつきまとう / Hell Hound on My Trail

 戌年だから犬特集、……はいいとしても、三が日を終えていきなり地獄の猟犬ときましたよ。犬なんて、それこそいくらでも出てきそうな題材で、なのに正月からHell Hound。もうどうしようもないですね。実際の話、他にも二三候補はあったはずなんですが、なんでか今のこの瞬間に頭に残っていたのがこれだけで、だからしかたがない。まあ、昨日の『アンダルシアの犬』の時点で逸脱していたといえば逸脱していたので、もうどう繕おうと手遅れという気もします。

Hell Hound on My Trailは、近年、伝説的ブルースマンとして妙にもてはやされるようになったロバート・ジョンソンのブルース。ロバート・ジョンソンは今や漫画にもなって、そのタイトルも『俺と悪魔のブルーズ』。Me and the Devil Bluesという歌もあるんですね。もちろんロバート・ジョンソンのブルースです。

Hell Hound on My Trailは二分半そこそこの短い曲で、けどロバート・ジョンソンの時代に録音された曲で何分も延々繰り返されるなんてのもないから、それが普通の長さ。技術的な制約であるといったほうがいいかも知れないですね。その当時のレコードはあんまりたくさん吹き込めなかったんです。

その当時の、モノラルの、音もあんまりよくない録音が、今では普通にCDで買うことができて、私も持ってるんですが、このプリミティブそのものといった感じの歌が多くの人に影響を与えたんだっていいます。こういう話になるといつも引き合いに出されるのがエリック・クラプトンで、この人もHell Hound on My Trailを録音しています。

歌の内容は、ちょっとクリスマスが関わっていたりするのですが、毎日不安でいてもたってもいられないとばかりに切迫した感情が歌われていて、女が必要だなんていうんですが、それはつまり今が孤独なんでしょう。孤独の中で追いつめられた気持ちになっている歌は、妙に淡々として、寂しげで、独特です。多分、ロバート・ジョンソンを知らない人が聴いたら、そのあまりのセンシティブな様に驚くかも知れません。一人で、地獄の猟犬に追われるような不安にさいなまれるという、その神秘性も手伝ってのことかも知れませんが、とにかく独特な雰囲気のある歌であると思います。

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