2006年2月10日金曜日

ナースエンジェルりりかSOS

 昔、テレビアニメと少女誌掲載漫画の蜜月といえるような時期がありまして、『姫ちゃんのリボン』やら『赤ずきんチャチャ』やら『ママレード・ボーイ』やら、次々とアニメ原作として少女漫画が投入されて、人気を博して、それなりに話題になったものでした。『ナースエンジェルりりかSOS』はそんな時期が終わろうとする頃に登場したアニメで、原作がかの秋元康であるというところが異色。これ、当時の少女漫画原作アニメがメディアミックスでぱあっと花開いたのに気を良くして、じゃあいっちょう大きくメディアミックスをぶち上げてみようという感じで出てきたものみたいです。だから原作は秋元康。でも、本当にどこまで原作に関わっているのかはわかりません。

私は当時、集英社の少女漫画誌『りぼん』を読んでいたのですが、だから『ナースエンジェルりりかSOS』が出てきたときには目を疑いました。池野恋のあまりにも長かった連載『ときめきトゥナイト』が終わって、そして『ナースエンジェルりりかSOS』がはじまる。私、この設定を見て頭抱えたのですよ。いや、いいんですよ。看護師というのは昔から少女の憧れの職業でありますし、変身して悪と戦うヒロインというのも『セーラームーン』以後はもはやスタンダードです。でも、ナースエンジェルだけはもう駄目だと思った。惑星『ジャ……ゲフン、ゲフン。

『セーラームーン』はセーラー服の戦うヒロイン。その後、ウェディングドレスの戦うヒロインがあって、そしてついに今度はナースか……。私はこの時点で食傷気味で、加えて池野恋の連載を読んで、かつての『ときめきトゥナイト』を知るものとして悲しくもあったわけで、そこでなんで秋元康を引っさげてナースなんだ。もう勘弁して欲しいなんて思ったのは実際のところ本心でした。

でも、アニメの第一話を見たとき、私は自分の認識の甘さを思い知ったのでした。弦楽を主体とした音楽のクオリティは高く、BGMにぴたりと重なり合うようにシンクロする動画も出色でした。物語の開始としてはまさに最高の出来。学園前に止まった黒塗りの車を出迎えんとずらりと並んだ少女たちの制服の裾が風に揺れる、その細部にまで精神が通うかのような計算され尽くした演出は見ていてため息が出ました。素晴らしいと思った。これはミラクルであると食い入るように見たことを覚えています。

でも、二話目からは普通のアニメになっちゃうんですけどね。第一話のあのクオリティはどうしたんだと落胆はあまりに酷く、結局安易なメディアミックス戦略なんてこの程度のものかと消沈しました。けれど、いつかあのクオリティが戻るのではないかと、心待ちに待って待って、でも途中からは、今見ているのはあの第一話とは違うアニメなんだと思うことで納得したのです。

そう考え直してからはずいぶん気が楽になって、それはそれなりに楽しめました。けど、サントラの一枚目は持っているのに、どうもサントラ二枚目は持っていないところを見ると、もうこの時期にはアニメにつかれてきていたのか、あるいはあんまりにショックが大きすぎたのか、でもそのあたりのことは思い出せません。

夏あたりの回で、りりかのことを好きな少年宇崎星夜がウクレレを手にセレナード歌うのですが、このセレナードが私は好きで、コピーしたいなあなんて思ったりもするんですが、ビデオを掘り起こすのも骨なので果たされることはないのではないかと思います。でも、もしサントラ二枚目に入っていたら悲しいななんて思ったりもしたのですが、どうやら入っていなかったようでちょっと安心。でも、『ナースエンジェルりりかSOS』の音楽は本当によくできていたので、サントラをちゃんと買わなかったのはちょっと惜しかったなんて思っています。

そうそう、原作では星夜クンがすごくけなげで可愛いんですよね。一押しです。

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