2006年8月27日日曜日

鉄子の旅

   今日はちょっとショックな話。ええと、『鉄子の旅』、後三回で終わるんだそうですよ。今回含めて後3回だそうだから、2006年12月号が最終回ですね。そっかー、再来月で見納めかあ。その後に単行本が出たとして、それを読んで完結。まだもうちょっといけそうに思ったんだけどなあ。この衝撃の告白に対しての正直な感想を申しますと、この漫画に出会うのが遅すぎたのだ、その一言につきるのだと思います。

もし、第1巻、第2巻が出たころ、2004年の時点でこの漫画を知って読んでいたら、漫画の人気が出るとともに徐々に盛り上がっていくことができたわけで、だったら2006年のこの時期に終わると聞いても、そうか、長かったものなあ、お疲れさま、と普通にその事実を受け入れることができたのだと思うのです。ですが、私がこの漫画を読みはじめたのは今年に入ってからで、単行本をすべて集めたのもついこないだのことで、急激にぐぐーっとあがったテンションは漫画の領域をはずれ、実際の鉄道にまで向かいそうになっていたんです。ところがここにきて、急にはしごを外されたような気分です。

ええ、わかってます。なにもかもが遅すぎたんですよ。本誌連載を追いながら、だんだんと変化していく雰囲気にも気付いていながら、その先にあるものを見ようとしていなかったのは、ひとえに私が盲目的であったということなのでしょう。今こうして終わるということを知ってみれば、少し前からの流れが、最終回へ向けての盛り上がりを作るための助走だったのかも知れないという気にもなってきます。事実、バリテツの横見氏のハイテンションが普通になってきて、そして鉄道マニアでなかったはずの菊池氏が鉄道に歩み寄りを見せて、この流れが加速すればこの漫画の基本形は破綻する。でも、私は新しいパターンに移行しながら、続いていくものだと思っていたんですね。やあ、観測が甘かったなあ。そんな気分です。

でもさ、前回なんてすごく感動的だった。大井川鐵道の旅。今までの『鉄子の旅』にはなかったパターンで、そしてラストのワンカットに私はじんとして涙をこぼしそうになって、そうかあ、あの渾身のラストは終わりを予感させていたのかも知れません。それだけに、この回を単行本で読む日には、本当に泣いてしまうかも知れないなあ。最初はどたばた、途中には変に迷走して見せたりもしていた(京都の回なんて本当にひどかったと思うぜ)『鉄子の旅』は、こうして大きなステップを踏んで、堂々終わってみせるのだと思います。

来月、再来月、どんなサプライズがあるかわかりません。だから、私は本誌を楽しみにしたいと思います。今度ばかりは、目当ての『ナツノクモ』以上に、『鉄子の旅』に注視したいと思います。

  • 菊池直恵,横見浩彦『鉄子の旅』第1巻 (IKKI COMIX) 東京:小学館,2004年。
  • 菊池直恵,横見浩彦『鉄子の旅』第2巻 (IKKI COMIX) 東京:小学館,2004年。
  • 菊池直恵,横見浩彦『鉄子の旅』第3巻 (IKKI COMIX) 東京:小学館,2005年。
  • 菊池直恵,横見浩彦『鉄子の旅』第4巻 (IKKI COMIX) 東京:小学館,2005年。
  • 菊池直恵,横見浩彦『鉄子の旅』第5巻 (IKKI COMIX) 東京:小学館,2006年。
  • 以下続刊

引用

  • IKKI』2006年10月号 小学館,119頁。

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