2006年8月2日水曜日

Jelly Tones

 この八月でiTunes Music Storeは一周年。というような訳で、一周年御礼のフリーダウンロード曲が五曲用意されております。そのうちの一曲がケン・イシイの『Sunriser』。ケン・イシイ、懐かしいなあ。実は私は、一枚だけケン・イシイのアルバムを持っているのです。それは『Jelly Tones』、当時購読していた雑誌『MACLIFE』で紹介されているのを見て、こいつはちょっと買ってみようと思って、お初天神近くのフコクパレットをあがったところにあったDISCPIERで買い求めたのでした。思い出しますね。邦楽フロアにいってイシイ・ケンのこれこれというアルバムはありますかと聞いたら、洋楽フロアにありますよと案内されていってみたら、あっという間に売り切れたんですよ、という話でした。でも、メーカーが増プレスするとアナウンスしていますというので、注文してそして買って、これが私の初テクノとなりました。

さて、『MACLIFE』というのはMacintoshの専門誌でした。なんでそんな畑違いの雑誌にケン・イシイが特集されたのかといいますと、このアルバムのジャケットに関係しています。アニメ『AKIRA』を彷彿とさせるこのジャケットアート、実はこの印象はあながち外していなくて、作画監督補として制作に名を連ねた森本晃司が関係しているのです。

このアルバムには初回限定版が存在しています。初回限定版はCDとCD-ROMの二枚組で、CD-ROMには『Extra』のビデオクリップが収録されていたのです。このCD-ROMがついてくるという点で、またそれがデジタルアニメーションであったとかなんでしょうか、そういう経緯から『MACLIFE』で特集されるにいたり、そして私のような人間がレコード店に足を運んだ。この、本来のケン・イシイの需要層ではなかったはずの人間がこのアルバムを買い求めたことで、初回限定版はあっという間に売りきれ。なのでメーカーは異例の初回限定版二次プレスに踏み切ったという、そういう話みたいなのです。

それまでケン・イシイのことなんてまったく知らなかったくせに『Jelly Tones』を買い求めたのは、おそらく私のようなコンピュータがらみの人間、そしてアニメファンであったのではないでしょうか。でも、おそらくそうした層の中からも、新しいケン・イシイファンは生まれたのではないかと思います。確かに最初はマルチメディアタイトル、アニメーションが目当てであったけれど、テクノミュージックの面白さをこのアルバムによって知ったという人間はきっと少なくないと思います。少なくとも、私はそうでした。

この文章に出てきた『MACLIFE』はもうなくなってしまって、お初天神近くのDISCPIERもすでにありません。だって『Jelly Tones』発売からすでに十年が経過しているのですから、変われば変わるというものです。ですが、ケン・イシイはまだ第一線で活躍していて、なんだか私は嬉しくなりました。久しぶりに聞いたケン・イシイの音楽はなんだかずいぶんとおしゃれで明るい感じになっていて、こういうのもよいなあと思いました。iTMS一周年記念の曲は、思わず私に昔を懐かしませて、なんだか本当によいギフトになったと思います。

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