2006年9月18日月曜日

予感の風

昔、『魔法騎士レイアース』というアニメがあって、原作は『カードキャプターさくら』で有名なCLAMP。いわば知るひとぞ知る漫画家であったCLAMPは、漫画、アニメとメディアミックス展開された『レイアース』によって広く知られるようになった……、のだと思います。実際『レイアース』は鳴り物入りで、といってもいいくらいの力のいれようで展開されたのですが、例えば、アニメの宣伝を電車の吊り広告でおこなったといったらそのやる気のほども見えるのではないかと思います。そして、例によって例のごとく、私はアニメを見、漫画を集め、あまつさえCDにまで手を出したのでありました。

『予感の風』は、メディアミックス展開を見せる『レイアース』のキャラクターソング集としてリリースされた『魔法騎士レイアース ORIGINAL SONG BOOK』に収録の一曲、歌っているのは鳳凰寺風を演じる笠原弘子でした。

このアルバム、歌い手の技量もあって全曲をお勧めできるかというと実に微妙なのですが、こと笠原弘子に関してはよいと断言してもいいと思っています。技巧派かといわれれば残念ながらそういうわけでもないのですが、けれど歌というのは技巧だけがものをいうものでもありません。笠原弘子の独特のやわらかな雰囲気は、鳳凰寺風というキャラクターを決定的に確立させ、そして『レイアース』という文脈を抜きにしても、よいと思える曲を作り上げています。ちょっとポップな曲調、しっとりと落ち着いた風合いはこの曲を聴いている私の心を優しく穏やかになだめるかのようで、ああ美しいなあ、いい曲だなあとそんな感じにうっとりします。

実は『レイアース』は、私の最初期のアニメの時代に引導を渡したアニメでした。私は物分かりのいい消費者だったから、ことCD、サントラの類に関しては出る順出る順に買っていって、そしてついにそれら物量は私の把握能力を上回ってしまったのでした。サントラやら関連アルバムやらが次から次へとリリースされた『レイアース』。ちょうどその時代、他のアニメも似たような方向へ走ったのですが、私はそういう風潮になんだか疲れてしまって、アニメもほとんど見なくなってしまったのでした。『レイアース』に関しては、最後だけは見たかな。けど、中抜きだった。行き当たりばったりの展開、各キャラ平等に与えられる見せ場の陳腐さにげんなりして、だから私にとって『レイアース』とは、あえて振り返りたくない過去のものなのです。

でも、それでも『予感の風』は好きです。同アルバム収録の『ずっと』とともに、私の大切な曲として、これから先もずっと記憶されることだろうと思います。

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