2006年9月21日木曜日

Penguin Eggs

 以前、友人がいっていたのです。Amazonのこの商品を買った人はこんな商品も買っていますにはしてやられてばっかりだ。ほら、Amazonは自分の顧客の動向をデータベース化することで、他の顧客へのお勧め品を自動作成するという機能を持っています。これ、結構大ざっぱではあるんですが、確かに友人のいうように効くんですよね。おお、こんなの出てたのか、知らなかった、買おう。へえ、こんなのあるんだ、知らなかった、買おう。友人にとっても危険なら私にとっても危険であること間違いなく、そうなんです、私もやっぱりしてやられているのです。いや、してやられていると一方的にいっちゃあいけないな。だって少なくともこの機能のおかげで、もしかしたら知ることのなかったものを知ることができているのですから。そうしたひとつの成果がニック・ジョーンズのPenguin Eggs。トラッド色の強いアルバムです。

収録曲9曲のうち、6曲がトラディショナルナンバーです。でも、残念ながら私はどれも知らなくて、まったくの新曲のような気持ちで聴いています。そう、まったくの新曲のように聴けるのです。確かに民謡が歌われているのに、それにこのアルバム自体も1980年にリリースされたものなんですが、全然古さを感じさせません。ちょっとスローテンポ気味に演奏されるギターに素朴に歌われるメロディというスタイルは、もしかしたら地味かもは知れませんが、けどそうしたシックな味わいというのは決して時代の中で古びないのかも知れないということを実感させてくれるアルバムです。本当にこのアルバムに出会えてよかったと思える一枚でした。

私はこのアルバムでニック・ジョーンズを知って、いろいろ調べてみたら、事故が原因で演奏活動から退かれたらしいとのこと。うう、世の中とはままならないものと思います。他のアルバムはというと、どうも今ではPenguin Eggsだけしか流通していないらしく、ですがAmazonのカスタマーレビューによれば彼のサイトから直接買えるものもあるそうです。

しかし、本当にギターと歌が調和していてかっこいい。ギターは決してでしゃばらないのに押さえるところはしっかり押さえて効果的に響き、歌に寄り添うようにしてともに世界を作り上げます。ああ、こういう風に弾けるようになりたいなあ。心の底から思って、どう弾いているんだろうと耳を傾けているうちに、なんだか歌の魅力に心が持っていかれてしまうから、未だによくわからんのです。私は本当に耳コピがだめだと、こういうときに思うのですが、それはひとえに分析的に聴くことを放棄してしまう瞬間があるからなのだと思うのです。なにはなくともその音楽の世界に没頭してしまいたいと、そう思う瞬間が間違いなくあるのです。

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