2006年12月1日金曜日

ダーティペアの大冒険

小説にも手を出すんじゃないかな、どうしよっかなといっていた『ダーティペア』でありますが、しっかり手を出してしまいました。けど、まだ一冊だけ。『ダーティペア』シリーズの1、『ダーティペアの大冒険』を買ってきて、これ面白いですね。アニメに慣れきっているから、原作には馴染めないんじゃないかという心配をしていたわけですが、まったくの杞憂でありました。いや、まったくというのは言い過ぎか。なにしろ昭和五十年代の小説ですから、全体に古くささというのが感じられて、それは台詞なんかに顕著でありまして、「かわゆいわぁ」みたいな台詞を今目の前に突きつけられると、投げてしまおうかって気持ちにもなったりするほどぞっときたりするのですが、でもこのへんは当初の心配とは別のものですね。けど、そうした時代くささを越えて面白く読めるだけの魅力があったのはなによりでした。

この本の魅力というのは、それはもうサービス精神に尽きるんじゃないかなと思うのですが、活劇の面白さってやつでしょうか、うまく見せ場を配置しているとそんな感じがします。物語の導入があったかと思えば、畳みかけるように最初の見せ場がきて、おいおい待ったなしかよ、なんていっている間に話は一歩進んで、事件のあらましと謎が提示されたと見るや、また活劇。まさにこんな感じなのです。

以前、『ノーランディアの謎』でいっていた念視、クレアボワイヤンスですが、『ノーランディア』では冒頭での導入に過ぎなかったこの要素が、原作ではものすごく重要なのには驚かされました。事件の核心に踏み込ませ解決にまで導くキーなんですね。これがあるおかげで、必要以上に謎にかかずらわされることなく、それこそ一足飛びに本丸に飛び込むことが可能になっています。これをテンポがいいと見るか、ちょっと物足りないと見るか、それは個人個人の好みでしょうね。活劇系SFにするにはこの要素はありかなって思うけど、私の好みからしたら反則すれすれというジャッジ、都合のいい種明かしだなこりゃみたいに感じたというのが本心です。

でも、それでも面白かったです。今、最近のライトノベルよりもちょっと重厚で、けど娯楽小説ですからそれなりにライト。話によってはなんか一抹の悲しさ寂しさを得たりもして、けど必要以上に感傷的ではないから、私としては嬉しいな。ほら、なんか無理矢理お涙頂戴みたいの多いでしょう、特に最近。私はそういうのは一応すべて受けるんですが、けどあんまりなのは好きじゃないんです。このちょっと突き放したみたいなところは、今となっては逆に新鮮でいいですよ。

そういえば驚いたこと、他にもありました。これ、あくまでもケイ視点なんですね。ユリの影が薄い薄い。アニメで感じたような印象はなくて、ユリファンとしてはちょっと物足りない。ほんと、びっくりしましたよ。あと、びっくりしたといえば「ふみぃ」ってユリがいうの、原作由来なんですね。原作では「ふみっ」なんですが、私『ダーティペア』のBOX買ってなにが嬉しかったとっても、またユリの「ふみぃ」が聴けたってことだったりしたのですが、これあんまりに馬鹿馬鹿しすぎるので、書かなかったんですよ。こんなことなら書いとけばよかった。いや、でも本当に原作から「ふみっ」があったというのは驚きでした。

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