2006年12月19日火曜日

よつばとしろとくろのどうぶつ

 よつばと!』6巻と一緒に『よつばとしろとくろのどうぶつ』も出るというから、これはぜひ買わねば! と意気込んで、意気込みすぎて買い忘れ。あれー??? でも、この本、どこの本屋にいっても売ってなかったんですよ。でもきっと梅田の地上三十階の書店だったらあったはずなんだけど、ここでは『観用少女』を探すのに一生懸命で、さらには他にもいろいろ『レモネードBOOKS』とか『殺し屋さん』とか買ってしまったりしたので、絵本についてはすっかり忘れてしまったんですね。ああ、駄目だわ。この自分の物忘れのひどさは駄目だわ。

『よつばとしろとくろのどうぶつ』は、漫画『よつばと!』の主人公よつばがいろんな動物と出会う絵本です。なんで白と黒の動物なんだろうと思ったら、「よつばとあめ」で父ちゃんがいってた、白と黒なのがかわいいがかかってるんですね。うん、白と黒なのはかわいいかも知れないねえ。実際、この絵本、ページをぺらりぺらりとめくりながら、なんだかすごく嬉しいような気分になってきて、知らず知らず口元に笑み浮かべていて、いや本当にいい絵本だと思います。見開きに動物、そばにはよつば。台詞やト書きは一切なし。あるのは絵と動物の名前、和名と英名それから学名。図鑑みたい。けど図鑑じゃない。絵本。図鑑みたいで絵本。面白い。よつばが動物たちに感じてることみたいなのが伝わってくるようなそんな楽しさがあるのだと思います。

あれだよ。子供と一緒に動物園にいったりするとわかるんだけど、面白いんだ。大人だけでいくよりもきっと面白いと思う。これ、多分、子供のもつセンス・オブ・ワンダーが伝染するんですよ。自分一人でいったらば、わあ動物だ、でかいね、くさいね、てな感じにとどまるのが、子供がいると、あんなことをしてる、こんなこともしてると、動物の生命がはっきりと彩られる、そんな思いがします。

『よつばとしろとくろのどうぶつ』の動物はあくまでも線画、白と黒の二色だけで影なんてのも描いてない平面的な表現で、それ自体は実に静止した落ち着いたものであるのですが、そこに子供が加わるだけでダイナミズムが生まれます。このダイナミズムには、よつばというキャラクターの力もあるように思いますが、けどおそらくは『よつばと!』本編を知らずとも伝わるものはあるだろうと思います。

あずまきよひこはなんだかいい作家だなあと改めて思いましたよ。もっと、もっと絵本を出してください。冗談やなんかでなく、本当にこれがシリーズになったら嬉しいです。

  • あずまきよひこ『よつばと!』第1巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2003年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第2巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2004年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第3巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2004年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第4巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2005年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第5巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2006年。
  • あずまきよひこ『よつばと!』第6巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2006年。
  • 以下続刊
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsubato!. Vol. 1. Texas : Adv Films, 2005.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsubato!. Vol. 2. Texas : Adv Films, 2005.
  • Azuma, Kiyohiko. Yotsubato!. Vol. 3. Texas : Adv Films, 2005.

引用

  • あずまきよひこ『よつばと!』第5巻 (東京:メディアワークス,2006年),132頁。

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