2007年2月6日火曜日

CYNTHIA_THE_MISSION

    私のお気に入りの書店では第1巻の第1話だけを読めるようにしてまして、つまり気に入ったら買ってねということなのですが、そこでずいぶん前に『CYNTHIA_THE_MISSION』の第1話を読んだのです。見た目ちびっ子の女高生シンシアが主人公。実は彼女は幼少から暗殺者としての訓練を受けたキラーエリートだったのです、という設定なのですが、まあ結構面白いかなあと思ったもののその時は購入を見送ったのでした。見送るのにたいした理由はなく、そういう気分じゃなかったからというのがもっとも適切な説明なのではないかと思います。で、今年の頭、第4巻が出版されまして、いろいろな書店に既刊揃えて平積みで展開されているのを見ましてね、ああ、あの時の漫画だ、人気あるんだなあ。で、一体あの後話はどう展開したんだろうと興味が出てきまして、既刊一揃えで購入に踏み切ったのでした。これにたいした理由はなく、まあそういう気分だったからといえば充分なんじゃないかと思います。

で、読んでみての感想。後味がとにかく悪いね……。特に3巻から4巻にかけてのあたり。なんていうの、拷問っていうか、そういうのはちょっといただけなかったですよ。そもそも私がしくじったと思ったのは第1巻の時点でして、この漫画タイトルが『CYNTHIA_THE_MISSION』でありますから、当然シンシアがヒロインだと思っていたのですが、物語の流れにおいて、シンシアってあんまり重要じゃないんじゃないかなって気がしてきます。いや、シンシアがいなければ成立しない動きは確かにあるんだけど、しかしそれにしてもシンシアの影が薄い。むしろ高野果苗(弑・四方犠しい・よもぎ)の方がメイン位置に立ってるんじゃないのという存在感で、でこの人と久我阿頼耶くがあらやが双璧って感じ。この二人、どんなキャラクターかといいますと、高野果苗が多重人格の暗殺者、久我阿頼耶はボクサーとやり合えるだけの技術を持った天才的ストリートファイター。

以前、ちょっと年齢上の人と話してたときなんですが、ある程度年を取ってくると、ライトノベルが読めなくなってくるという話をしたんです。これはたまたまライトノベルについて話してたからノベルを例に出しているだけで、ゲームでも一緒、同じくらいの層を対象にした漫画でも、もちろんアニメでも一緒。なんというのか、そのストーリーや演出が持っているテンポであるとか、スピード感であるとか、けれん味であるとか、そういうのに乗り切れなくなる瞬間っていうのがあるという話です。この瞬間を迎えてしまうともう最悪で、それまでちっとも問題と思わなかった粗が目に付いて仕方なくなり、こうなると乗れるとかどうとかいうレベルではなく、その世界を受け入れられなくなってくるのです。積極的に身を遠ざけようとまではいわなくとも、なんかすごくよそ事になってしまったと感じられて、ふーん、勝手にやったら、みたいなそんなくらいの冷淡にまで落ち込むことさえあります。

『CYNTHIA_THE_MISSION』はそこまでじゃありませんでしたが、けれどもう十歳、せめて五歳若ければ、もっと乗れたのかも知れないなあなんていう感じがしまして、自分があわないと思ったのは、最初にいいましたが必要以上に残虐と感じられる場面や展開、そして暗殺稼業を生業とする一族の末裔であるシンシアをしのぐ強さを持つ日本人女学生の存在、あと加えるならば、その彼女らが放つ必殺技(?)や通り名等々。けれん味たっぷりなのはこの手のエンターテイメントならむしろサービスでありますが、でも私はそのサービスを心地よいと感じられるだけの若さを失ってしまったのだなと痛感した次第です。

でも、私、『CYNTHIA_THE_MISSION』は買い続けるよ。意地とかじゃなくてさ、やっぱり展開は気になるじゃんか。4巻ラストでは団体戦が予告されたから、果たしてその戦いがどんな風に運ぶのかとか、見ないわけにはいかんよなって気分です。いうならば乗りかかった船、途中で降りる気にはちょっとなれません。一番最初の第1話の、結構いいかもと思ったあの感じが戻ってくる可能性はいまだ消えていないという感触があるから、私は、よほどのことがないかぎり、最終話までつきあうだろうと思います。

  • 高遠るい『CYNTHIA_THE_MISSION』第1巻 (ZERO-SUM COMICS) 東京:一賽舎,2005。
  • 高遠るい『CYNTHIA_THE_MISSION』第2巻 (ZERO-SUM COMICS) 東京:一迅社,2005。
  • 高遠るい『CYNTHIA_THE_MISSION』第3巻 (REX COMICS) 東京:一迅社,2006。
  • 高遠るい『CYNTHIA_THE_MISSION』第4巻 (REX COMICS) 東京:一迅社,2007。
  • 以下続刊

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