2007年3月22日木曜日

アスペクト2007年3月号

『アスペクト』というのはなにかというと、出版者アスペクトの出しているPR誌です。PR誌だから値段は無料、一部コンビニ書店等で絶賛配布中で、私、なんという気もなしに貰ってきて読んでみたらば、これが面白いんですよ。真面目に不真面目をやっているというか、どことなく不謹慎というか、なんだかよくわからない味のある、本当にこれPRになってるの? という気もしないでもない、そんな非常に微妙な感じが楽しい本です。その最新版2007年3月号が出ていたから貰ってきて、職場、机の上に置いてたら持って帰るの忘れて、たくさんの紙の間から発掘されたのが今日のこと。帰りの電車で読んで、いやあ、やっぱり面白いなと思ったのでした。

なにが面白かったといえば、特集でしょう。特集「売れない本の作り方」。本屋がこんな特集やっていいのか! といっても、どうせ売れない本の条件がわかれば売れる本の秘密も見えてくるとかそんな感じでしょ、と思ったら大間違いで、なんじゃこりゃ、対談じゃないか。しかもむやみに力の抜けた対談だな。著者(高橋秀実、石原壮一郎)、デザイナー(大岡寛典、葛西恵、宮村泰朗)、書店取次(白川浩介、鎌垣英人)、そして出版者(敏腕A、花形B)がそれぞれの立場で、売れない本を出すにはどうしたらいいか好き勝手話す。

この特集に問題があるとしたら、妙に嬉しそうに話しているというのが伝わってくるところというか、特に著者、デザイナーの話がそんな感じで、著者対談なんてどんなに自分の本が売れてないか自慢してる感じもするし(いや、ほんとすごい自虐ギャグだと思うよ)、最終ゲラを読んでるときに、この本は売れそうだ、売れるぞ、ってその気になって現実にへこたれる件なんてのは笑いそうで笑いそうで、でも電車の中だからなんとか堪えてみたいな感じで、そういう悲しい現実をひょうひょうと語っちゃうところが面白かったですよ。棚と同じ色で木目調の本ってなんだいとか、手に取ったらベタベタしててちっちゃいくせに分厚くてそのうえ開かないって、そりゃ嫌がらせですよってば。そりゃもう売れる売れない以前の問題だっていうような話がばんばか披露されて、むちゃくちゃだと思っていたら、ふと結局は人間関係が重要とか出てきたり、どうにも真実っぽい話にどうも実話らしいとんでも体験が出てきたりという、本好きなら抱腹絶倒 — 、までとはいかないかも知れないけど、電車の中で笑いそうで苦しいという体験くらいはできそうな特集かと思います。

この本、ただで手に入るんだけど、アスペクトにお願いすると、送料自分持ちで送ってくれるみたいです。バックナンバーもお願いできるのかなあ、と思ったら創刊号、第二号はもうないんだそうです。残念。けど、電子ブック版で読めるようにしてくださるようだから、なんだかすごく嬉しいなと思って、だからちょっと応援にアスペクトの本を買おうかな、なんて思ってしまった私は、すっかりアスペクトのPRにやられてしまってるってことかと思います。

ところで、私の好きなのは連載「チョンマゲだもの」(ペリー荻野とチョンマゲ愛好会女子部)です。なんかどことなくまともじゃない感じがして、素敵です。とりわけミチヨさんがいい感じです。

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