2007年6月29日金曜日

家族ゲーム

日がな半日ゲーム部暮らし』が出てたってんなら、そりゃもちろん『家族ゲーム』も出てまして、ということは、当然買っちゃってるわけです。父一人、母一人、娘二人の遊佐家のほのぼの生活を描いたホームコメディ漫画。ただちょっと違っているのは、家族全員がゲーム大好きだったのです。それも尋常でない好きさで、私らの世代からしたら、こんな家あり得ないって感じなのですが、けれど今の小学生中学生だったら、両親ともにコアなゲーマーというのはあるのかも。でもそれにしても常軌逸してるのは実際で、その突き抜けっぷりが楽しい漫画であったのでした。

でした? うん、過去形でいっちゃっていいと思う。いや、2巻でつまんなくなっちゃったってことではないですよ。相変わらず面白い、けど、面白さの軸が変わったかなって感じで、第1巻時点では前面に出ていたゲームネタが、2巻では後景に退きまして、特筆するまでもない当然の前提となってしまったっていってもいいかなあ、それで今の漫画の中心はといいますと、ずばり人間関係。小学生、中学生に大学生を加えて、ほのかなものからちょっと踏み込んだものまで、恋の花がちらほらと咲かんとしています。こそばゆくなるような芽生えっぽいのがあったかと思うと、届かない思いのちょっと切ないようなのもあって、かと思えば禁断系も出てきて……、ええと、私、禁断系がちょっといいなと思ってます。

禁断っちゃあ、この漫画にて発生している恋愛のベクトル、そのほとんどがアブノーマルよりといったらいえるかもって感じなんですが、ええと表紙めくったら人物相関図があるのでそれを参照しますと、片思いが四つ生じているんですが、そのどれもがちょっとやばい。いや、ひとつを除きさえすれば、それほどクリティカルなものではないんですが、それこそ私の尺度においてはオールオッケーなんですが、けど一般的尺度においてはまずい。 — まずいんですが、そのまずいはずのものがいいってのはどうしたもんでしょう。それも、禁断の度合いが強まれば強まるほどに私は入れ込むようで、そうだ、もっともっとやれ! 特にクリティカルなやつ、追う側の切なさ儚さいじらしさもぐっとくれば、追われる側の葛藤も実にご馳走。ああ、私はもう駄目だ。いや冗談抜きで、こんなにも駄目になっちまったんですよ、おっかさん。まあ、もういいんだけどさ。

なんかこんな書き方すると、恋愛系の漫画みたいですが、ちゃんとそれ以外のネタも展開してますのであしからず。最初にいってたように、ゲーム絡みのネタなどはあまり押し出されなくなったのですが、けれどそれでも一本一本の四コマにかかるネタの流れは丁寧で、見出しまで読みどころ笑いどころになっているのはさすがだなあと思わせるうまさです。「ブリキにタヌキに洗濯機」と下の句読んで、上の句「驚き桃の木山椒の木」を思い起こさせるハイテクニックがあったかと思えば、「40円の価値もない」の醸し出す切なさ、苦さ。面白い見出し、うまい見出しはたくさんあるけれど、私の一番のお気に入りは「12人もいる!!」かなあ。響きで『11人いる!』を彷彿させ、そしてもちろんそれだけじゃないといううまさ。思わずにやりとさせられる、そういう小ネタ含めた展開の妙が鈴城芹の味だと思います。

蛇足

ええと、真言っていってたけど、なんだか由寿が赤丸急上昇中。

  • 鈴城芹『家族ゲーム』(電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2006年。
  • 鈴城芹『家族ゲーム』第2巻 (電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2007年。
  • 以下続刊

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