2007年6月17日日曜日

DoReMiFa

 朝、駅へと向かう車、聴こえてくるラジオ(FM COCOLOだったっけ)。その時流れていたのは、どことなく懐かしい感じの曲。メロウな歌声で、ずいぶん昔に流行ったような曲調。歌詞にしてもマドロスと、最近耳にしないような言葉が使われていて、けれどこれは懐メロなんかじゃないっていうのは、曲全体の雰囲気がしっかりと主張している。懐かしいのに新しい。なんだか不思議な歌だなあと思って、できればまた今度ちゃんと聴きたいと思ったものだから、歌詞の特に特徴的なところを覚えようとしたんですが、曲が終わってからちゃんと曲名が紹介されました。『マドロス横丁』、歌っているのは中山うりです。ああ、中山うりだったのか!

中山うりといったら、iTunes Store恒例のフリーダウンロードで紹介された人ですよ。2006年の9月13日の週。その時の曲は『月とラクダの夢を見た』で、ゆったりたゆたうような曲調に、やっぱりメロウな歌声。雰囲気はちょっとアンニュイ。名前が独特だったということもあるんですけど、しっかり覚えていました。ってのは、やっぱり曲がよかったってことだと思うんです。iTunesで、iPodで、全曲シャッフルして聴いている時、あ、結構好きな感じの曲だと思ったら確認してしまいますよね。そうして、ゆっくり私の記憶に残っていくものは確かにあって、中山うりという人にしてもちょうどそんな具合であったのでした。

さて『マドロス横丁』。これ、なんだかフランスの小唄思い出させるような感じでして、でもこれってきっとアコーディオンのせいだと思うな。私は知らずに聴いていたのですが、中山うりという人はアコーディオン弾く人なんですね。そういや、iTSからダウンロードした『月とラクダの夢を見た』のジャケットでもアコーディオン抱えてましたわ。ちっとも気にしてなかった、って実にいい加減な話。まあ、私なんてそんなもんです。

閑話休題、『マドロス横丁』ってちょっとマヌーシュ・ジャズっぽい響きを持っていて、こういうところに私がちょっと昔風の雰囲気を感じ取った理由があるんだと思います。いや、マヌーシュ・ジャズが古いジャンルといいたいのではなくて、どうしてもこのジャンルを聴くと、ジャンゴ・ラインハルト思い出してしまうものですから。ジャンルがある種の時代を内包している、そんな感じなのです。

だから私はこの歌聴いて、はっとマヌーシュ・ジャズの空気を感じ取ったかと思ったら、写真やら映像やらに見る時代掛かったフランスのカフェの雰囲気を脳裏に思い浮かべてしまったんですね。けれど流れてくる曲、歌われる歌は明らかに新鮮さを持っていて、そしておそらくはこの不思議な感覚の同居感に引かれる人が多いのだと思うのです。フレッシュですごく身近と感じられる感覚があるのだけれども、それでいて異国風で、ちょっと懐かしくて、おしゃれで — 。

このところ、テレビやら街角で耳にするような、売れ線とは雰囲気を異にする曲であると思います。けれどおそらくはそういうところに魅力があるんだと思います。飼いならされてない感じといったらいいか。よくはわかりませんが、けれど聴いているとなんだか嬉しくなってくる、ほっとする。そんな感じなのです。

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