2007年6月27日水曜日

ひろなex.

 本日発売の「まんがタイムKRコミックス」はすかの『ひろなex.』。『まんがタイムきららMAX』に連載中のこの漫画、始まったときにはどう反応したものかちょっと迷った、そんな印象が記憶に残っています。主人公は中村広菜、中学生。ある日見たテレビ番組に触発されて中村探検隊を結成! けど探検するどころか、なんとなくずれた日常を送って、なんとなく楽しげに、なんとなくほのぼのとやっている。このなんとなくという感じが『ひろなex.』という漫画のらしさだと思うんですが、力の抜けた穏やかで自堕落な日常の面白さというか、ちょっと間の抜けてピントのずれた行動言動のおかしさ、楽しさ、可愛さを、なんとなく楽しむみたいな漫画だと思っています。

登場人物、メインは中村探検隊の面々。ひろなの幼なじみにしてしっかり者、いわばつっこみ役の樋川美緒、この人が隊員1号。2号は下級生でひろなに負けず劣らずのおとぼけ娘、いつもにこにことマイペースの山本風優夏。そして3号がひろなの兄貴に恋しちゃってるちょっとクールで、けど実は寂しがりや? 沢木めぐみ。この四人が好き勝手にやってるんですが、基本的にみんなマイペースだから、特にひろなと風優夏の二人がひどいから、それこそ大阪だらけの『あずまんが大王』みたいになってます。実際こうしたタイプの漫画をなんでもかんでも『あずまんが大王』の系みたいにいうのはどうかなあと思っている私ですが、それでもこの漫画からは『あずまんが大王』に感じた穏やかな面白さに似たものが感じられると思います。

けど、ちょっと違うといえば、より微妙なところをつくマニアっぽさかなあ、というか、このところきらら系列誌では、ちょっと時代がかってマニアックなネタをどこかに含めるというのがブームというか、まあ読者が喜んじゃうからでしょうけれど、この漫画にもそういうのがやっぱりちょこちょこっとありましてね、ひろながなんとなく遊び出してしまったゲーム、ハードが3DOだったり、あと試験勉強中の逃避で遊んでたのがバーチャルボーイだったり、よくもこうマニアックなものを出してくるよなと思ってたら、後にはアタリ・ジャガーやらリンクスやら、その存在くらいは知ってるけれど、詳細となるとまったくもって知りません級の懐かしものが登場。けど、このあたりは本筋ではなくてあくまでもおまけ、知らなくったって楽しめます。

キャラクターの可愛さや絵の持つ雰囲気が支配的な漫画なので、明示的な落ちやなにかがないと我慢できないタイプの人は避けるべきでしょう。けれど、投げっぱなしで回収されないネタが織り成す緩急そしてゆるい落ちは、はまればかなり面白く、読み出すととまらない感じ。手近にあればなんとなく読んでしまうといった、そんなやんわりとした魅力のある漫画です。

漫画の雰囲気を知りたいなら、まんがタイムきららWebにて連載されている『だめ×スパイラル』が参考になると思います。漫画としての味わいはちょっと違うけれど、ベースとなる雰囲気は通ずるものがありますよ。

蛇足

考えたこともなかった……。み、美緒かなあ。

  • すか『ひろなex.』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • 以下続刊

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