2008年1月10日木曜日

プレヒストリック・パーク

 先日ご紹介しました『プレヒストリック・パーク』、到着しています。冒険家ナイジェル・マーヴェンが先史時代の生物を集めたサファリパーク、その名もプレヒストリック・パークを作ろうという一大スペクタクルであります。タイムポータル(NHKの訳ではタイムゲート)を使って過去、先史時代へと赴き、絶滅した生物を保護するという美名のもとに、古代生物と大格闘。いや、おっさん、ただ自分の好きな生物とじゃれあいたかっただけなんだろ。とはいえなにしろ保護ですからね、捕まえるにしても武器は使わない。使っても網撃ちだす銃とか洗剤つけた水鉄砲だとか、なんにしても原始的で、そして最後には生身がものをいう。自分がおとりになるしかない! って、いや他に方法あるでしょうよというつっこみも素知らぬ顔で、ナイジェルは走る、走る、とにかく走る! いかすぜ、ナイジェル。といったようなわけで、私の尊敬する人はナイジェル・マーヴェンです。

私はこの番組をNHKの地球ドラマチック!で知りまして、地球ドラマチック!っていったいどういう枠かといいますと、ええとNHKの公式ページではこんな風に紹介されています。

NHKが世界中からえりすぐった海外のドキュメンタリー番組をお届けする『地球ドラマチック』。

野生動物の王国に出かけたり、恐竜に追いかけられたり、古代文明をたずねたり、果てしない宇宙を目指したり、行ったこともない外国の人々の生活に触れたり・・・。

「へー、こんなノンフィクション番組が外国にはあるんだ!」ときっと感じてくれるはず。

な、なんか違和感ある文章だぞ。けど、これはましなほう。『プレヒストリック・パーク』アンコールについてた地球ドラマチック!紹介はもっと直球で、こんなでした。

世界中からえりすぐったノン・フィクション番組をお届けする「地球ドラマチック」。

いろんな場所に冒険に出かけたり、奇抜なアイデアにチャレンジしたり、見たこともない世界の番組を放送します。「へー、こんな番組が外国にはあるんだ!」ときっと感じてくれるはず。

これいいのか? いいのんか? そういい切っちゃってるんだから、信じちゃうぞ。恐竜に追いかけられたりしている『プレヒストリック・パーク』だけど、これノン・フィクションなんだな。本当にノン・フィクション番組でいいんだな。信じたぞ。

『プレヒストリック・パーク』のよくできているところは、その番組の作り自体なんです。前回、私もちょっと悪乗りして、あたかもプレヒストリック・パークが実在するかのように書いていましたけど、もちろんプレヒストリック・パークはこの世にある施設ではありません、まことに残念ながら。すべてはフィクションであり、もちろんナイジェルの活躍もそうなら、パークで飼育係長のボブがその生態食性もつまびらかでない動物たちの世話に苦労したり、動物の体調管理から治療、繁殖まで一手に引き受ける獣医師スザンヌの奮闘する様なんかもみんなそう。この『プレヒストリック・パーク』という名前のドラマにおいて描かれるばかりのものであるのですね。

しかし、それを作り物に思わせない演出が冴えています。ドキュメンタリータッチ。ナイジェルは実際に野生動物に果敢な(無謀な?)チャレンジをするような人で、そうした番組もあるそうで、その際のスタイルはまさしく『プレヒストリック・パーク』でのナイジェルに同じだとかいいますけれど、つまりそうした動物ドキュメンタリーのスタイルで先史時代の絶滅生物捕獲劇を描くというのが番組の趣旨なのでしょう。だから、勘違いしてしまうんですよ。いくらなんでも恐竜です、マンモスです。現代においては生存していないことなど百も承知です。けど、それがまるで実際に生息していて、彼らの手によって飼育されているのだと、そんな気になってくるんです。うちの母親なんて、スザンヌ、そしてボブに毛刈りされるマンモスを見て、これ、本物? なんて聞いてくる始末ですよ。いや、母だって知ってるんです、マンモスはもういないって。あんな毛むくじゃらの象は現存してないって。でも、そう聞かずにはおられない説得力があった。ええ、気持ちはすごくよくわかる。だから私は答えました、今はイギリスの動物園にいるらしいよって。

地上波アナログで見た『プレヒストリック・パーク』は画質の甘さゆえにCG臭さもほとんど気にならず、けれどDVDとなればさすがに違いますね。生物がそして背景の植物も、このへんはCGだって見えてしまいます。だから、もしハイビジョン時代が到来したら、こうしたCGものの説得力というのは一時的に後退してしまうかも知れません。けど、きっともっとものすごい世界を見せてくれるようになるんだろうな。そんなことを思わせます。だって、CG映像がこうした映画、ドラマに登場するようになってまだ十年そこそこじゃないですか? 二十年前なんて、どうみてもCG、というか単なるエフェクトレベル? でしかなかったのが、ここまできたのですよ。だから、ハイビジョン時代には、それこそどこからどう見ても現実に生きてそこにいる生物にしか見えないと、そんな驚異の世界を見ることになりそうな予感がしています。

そうだ、DVD版について一言。画面がテレビサイズでなくビスタサイズになったので、ちょっと嬉しい。そして声優についてですが、NHK版の方がコミカルな感じ、DVD版だと結構シリアスでドキュメンタリー調を強調してくれます。そしてナレーションですが、NHKは渡辺徹、DVDだと古谷徹、徹対決なわけですが、渡辺徹の温かみある穏やかな調子と異なり、古谷徹はクール、すごく淡々として、実に好対照です。いや、どちらもいい。優劣は競えません。でも、やっぱり人は最初に触れたものをいいと思うようにできているんでしょうね、渡辺徹ナレーションをもう一度聞いてみたいなあ。けど、もしNHKが古谷徹だったら、もう一度古谷ナレーション聞きたいなあっていってたんですよ、私はそういう奴です。

引用

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