2008年1月5日土曜日

Pelikan Pelikano Junior

  三本目の万年筆を紹介しようかと思います。ええと、自分で購入したものでは三本目、使ってきたものとしては五本目にあたりますね。そして、五本目にしてようやくパーカー以外の万年筆にチャレンジするという、どれほど私は保守的であるというんでしょうね。これと決まったら、それ以外に目を向けないという、よくいえば一途、悪くいえば意固地、視野が狭い。しかし、人としてそういう態度はよくありません。いろいろを知り、経験してはじめて見えてくるものもあるはずなのですから。というわけで、ドイツの名門筆記具メーカーであるペリカンにチャレンジしてみました。といっても、決して高級なペンではありません。Parker Espritに対し1/4、同Sonnetに対し1/10の価格を誇る、ペリカーノジュニアであります。

ペリカーノ、小ペリカンって感じでしょうかね、それのさらにジュニアときました。カラフルなプラスチックボディもキュートな太軸の万年筆でありますが、特筆すべきはその価格。日本円にして1500円。千五百円です。そしてこれ、いったいどういう位置づけにあるペンかといいますと、ドイツの小学生が書き方の授業で使うものなんだそうでしてね、だから子供用。しかし、子供用と侮っていてはいけない書き味、さすがドイツというべきか、それともペリカンがすごいのか、大人が日常で使って違和感を感じさせないレベルの品質、書き味を提供してくれるものだから、ペリカーノファンもたくさんいるのだとそのように聞いています。

子供用だから安い、子供用だから丈夫、しかし品質は良、実に万年筆らしい万年筆というキャラクターが、大人の日用ペンとしての需要によくマッチしているということなのでしょう。この上位にペリカーノというのがあるんですが、そちらは少しスマートな感じ。これもschool fountain penだそうで、つまりメインとなるターゲットは児童、学生の模様。でも大人だって愛用している。それはリーズナブルであること、品質が劣っていないこと、そしてトランスルーセントなカラフルボディの持つデザイン的魅力が受けてということなんだと思っています。

 そんなわけで、私も買ってみました。色は赤を選択。ああ、軸の色ですよ。インクはペリカン純正のロイヤルブルーです。なぜ赤軸にしたかというと、過去にドラマの影響で売れまくったという黄色は黄系の肌色を持つ私には合わないし、青はちょっとクールすぎるし、じゃあ緑か赤。交互に手に取って、ぱっと目に鮮やかな赤がよさそうだなと、そういう決め方でした。

書いてみた感じは良好です。すらすらとインクが出るから、のびのびと線を引ける。ソネットと比べると確かに違うんだけど、そりゃカテゴリが違うんだから比べるほうが間違い。しかし、これをキャラクターの違いと捉えるのなら、充分にありなペンであることは確かです。

持ち手は、大人の手にはさすがにゴムのグリップは前過ぎてバランスが悪いから、軸の中ほどを持っています。人差し指、中指がわずかにゴムにかかるくらい。グリップには、子供が正しいペンの持ち方に慣れるよう、ガイドがつけられているのですが、その恩恵を得るには年をとりすぎました。子供の小さな手、薄い手ならグリップを持ってマッチするのかな? けれど、小学校低学年くらいの知り合いなんかいないしなあ。通学路に張り込んで、このペンで字を書いてご覧、なんてやったらまあ間違いなく通報される自信があるね。ああ世の中とはままならないものですよ。

私がこのペンを使おうと思っているシチュエーションは、まさしく職場、事務用です。それもきっちりとした書類を作成する時ではなく、電話を受けた時など、メモを取るため。今は鉛筆(最初はHBだったけど、今はなぜか2B)を使っているけど、その前はゲルインキペンの太字でした。この変遷を見ても、いかに筆圧をかけずに書こうとしているかがわかろうかというものです。そして、再びペンに戻ろうという段になって、ペリカーノジュニアを選んだのですね。ラフに、大ざっぱにメモを取っていく。気取りなく、力みなく、しっかりと書くのによさそうだと思ったのです。

さて、ペリカーノジュニアですが、ペンに同梱されているのはブルーインクのカートリッジです。ですが、カートリッジはコストパフォーマンスの点で劣るから、コンバータを購入しまして、店員さんいうには、メーカー非推奨ですとのことですが、まあ気にしない。けれどインクはペリカン純正のボトルを買ってるんだから、このへん私の気の弱いところです。

さて、コンバータですが、次の写真見ていただくとわかるように、容量がカートリッジの半分くらいしかないんですね。

Converter and Cartridge

しかも、これ私の腕が悪いんでしょうけど、タンクいっぱいにまでインクを吸えなくて、店員さんに普通はどれくらい吸い込めるものですかと聞いたら、まあ七八割はいきますよとのこと。腕が悪いんでしょうかね、苦笑されていました。そりゃ、お客様が下手なんでございますよとはいえんよな。ともあれ、インクの出が豊かであるペリカーノジュニアです、コンバータだとびっくりするような勢いでインクがなくなっていきそうだな。でもまあいいや。こまめに吸っていくことにしよう。数こなせば慣れるだろうし、この吸い上げ作業もまた万年筆の味のひとつ。面倒が嫌いならカートリッジ一択だろうとは思いますけどね。

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