2008年3月6日木曜日

ももパン

 私の嶺本八美との出会いは『まーくり・まにっしゅ』にまで遡るのですが、成年指定されていなかったのに実はアダルト向けというこの漫画、出会いの場は昨日紹介の『パソコンのパはぱんつのぱ』を見付けた書店であります。昔の店舗でのことですね。階段上がったところの平積みになんだか明るく元気な表紙を見付けて、どうしようかなと迷って、翌日購入。そうしたら思い掛けないエロ漫画で驚きました、といったような話なのであります。けどそれで嶺本八美という名前を決定的に覚えてしまったのだから、それはつまり気に入ったということなのでしょう。そんなわけで、積極的にではないけれど出くわせば買う、そんな買い方をしている中から、『ももパン』を取り上げようと思います。

一応、ここ数日続いている、ぱんつ絡みでの更新の一環です。けど、そんなにぱんつ比率が高いわけではないかも知れません。いや、どうなんだろう。

この漫画には表題作といえるものはなく、収録作から少しずつ言葉をいただいて書名にしています。つまり、ももとパンにわけられるのですが、これがあまりぱんつ比率の高い漫画であると思われないのは、前者のもも、「ももくらべ」というシリーズは重度の尻フェチが主人公で、だから副次的にぱんつは出てくるけれど、中心にくるものではちょっとない。じゃあ後者のパンはどうかというと、どうなんでしょうね。一応「シーキング・ザ・ぱんつ」という短編も収録されていて、それはタイトルにもあるようにぱんつ漫画なんだろうけど、あんまりそういう感じはない。むしろ馬鹿漫画? 新兵器の設計図を暗号化しパンツの柄に隠した、という微妙におかしな前提からはじまる漫画で、仮面ライダー系というか、昔ヒーローもののパロディという形態であるから、絶対シリアスにはならない。間違いなくエロ漫画であり、そういうシーンもかなり書き込まれているのだけれども、ネタ度が高いから、エロ漫画としての機能はかなり後退してしまっている、そういう趣のある漫画です。

この漫画は読みきりを数編はさんで、前半に「ももくらべ」、後半に「ブルマー校長」のシリーズを配して、けど後半にいくほどネタ度は上がっていって、エロ漫画なんだけれど、エロ漫画という風は薄い。むしろ馬鹿漫画、馬鹿なギャグの光るエロ含みコメディって感じで、エロを期待して買うとがっかり度は高いかも知れません。なにしろ、「ブルマー校長対ももくらべ」だものな。っていうような感じで、嶺本八美のエロ漫画以外の持ち味も見られて、私としてはちょっと嬉しかった。というか、四コマが面白くてよかったなと、そんな風に思っています。「えーっと、まだできてないです…」と「たたかえ! 格闘少女北野海」ですね。前者はエロ漫画を描く女性漫画家が主役、後者は相撲強者である女の子が主人公で、それぞれに程々にエロまじりで、けれどネタとしても面白い。続いてくれたらきっと追って読みたいと思ったろう、そういう確かな感触がありました。

以上、エロ漫画だけど巻末に向かうにしたがってネタがエロを押さえてしまうという、不思議な漫画についてでありました。なおエロの傾向としましては、私には下着やブルマに対する傾きがなく、尻に対する執着もないため、非常に嗜好からはずれた漫画であったというほかありません。それでも折りに読んでしまうのは、これを描いたのが嶺本八美だからだろうなあ、実際そうだろうと思います。

  • 嶺本八美『ももパン』(マンサンコミックス) 東京:実業之日本社,2005年。

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