2008年7月31日木曜日

あねちっくセンセーション

   妹ブームが去って姉ブーム到来か — 、そう思っていた頃に始まったのが『あねちっくセンセーション』でした。姉にして先生だから、あねちっくセンセーション。ちょっと駄洒落。けど、この漫画が面白かった。主人公は弟の春人、おたくにして忍者? 正直よくわからない設定でありますが、それ以上にわからないのが姉のさくらで、姉戦士? もう、まったくわからないのですが、このふたりが毎回常識外れの姉弟げんかを繰り広げる。時に真っ向から対立し、時に共闘し、そしてなんでかほのぼのとすることもあって、いや、意外と姉弟愛感じさせる話の方が多かったようにも思います。闘うときには人間離れしたふたりだけど、それはそれで仲の良い姉弟であったのだと思います。そして、そんなふたりの物語は3巻で決着を見せて、ええ、最後には驚かされました。ええーっ、そんな展開有りなの!? むしろそれ蛇足っぽくない!? と驚きを持って受け止めたのですが、けれどそれでも面白かった、よかったと思えるラストでした。

春人とさくらの姉弟、そのふたりだけで展開された話ではありませんでした。他にもう二組姉弟があって、そしてクラスメイト、学校の仲間があって、時には対立する人もいたし、かき回されたりすることもあったのだけど、皆なんのかんのいって仲よさそうと思えるところが好きでした。少なくとも回を重ね、ラストに近づくにつれて、そう思える話はぐんと増えていって、ただ表に現れる関係だけじゃない深いところが感じ取れる様になっていって、それは本当に読みごたえがありました。

本当に、ラストに向けての流れはよかったのですよ。悪乗りといってもいいくらいのどたばた劇、過剰で大げさな戦いや思わせぶりでそしてちょっと深刻な悩みなどを描きながら、ひとりひとりの心残りを丁寧に解きほぐし、洗い流していく、その毎回のしめにほろりとなることも度々でした。やりきった、認めてもらえた、そうしたシーンを見るごとに、この漫画は学園ものでもあったのだなと再認識させられて、努力と成長、燃焼する青春、いいようはいくらでもあると思いますが、その描きようの確かさに、ほほ笑ましくも思い、そして振り返ってみてもいい話であったよなと思ったのでした。

だからこそ、卒業式の、ここという山に突如持ち込まれた、驚きの展開には面食らって、だって、それまで単発のネタとしか思ってなかったものがまさかの本設定昇格、ええーっ、あれってそういう伏線だったんだ! しかし、せっかくいい話だったのに! ここでこんな展開おっぱじめて、一体全体どうするんだと思っていたら、けれどそれもまた悪くないしめ方をされて、ああ、そうか、卒業式までの数回は先生としての物語の結末であったけれど、このラストは姉としての物語の決着だったのだなと、理解したのでした。

『あねちっくセンセーション』が第3巻で完結して、さみしくないといえば嘘になる、好きで、楽しみにしていた漫画でしたからね、派手で、面白かったし。けれどこうして綺麗に終わりを迎えたことの方が、なんだかずっと嬉しくて、ああ、楽しい時間でした、ありがとうございましたと素直にいえる、そんな気持ちになっています。

そして最後に一言。やっぱり、栗林撫子、彼女はとっても素敵だったと思います。だから、春人さんはがんばられますよう。このふたりの、進むようで進まんようで、進まんようで結局進んだ? そんな関係がほのぼのとしてもどかしくて、好きでした。

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