2008年8月7日木曜日

ごちゃまぜMy Sister

  ごちゃまぜMy Sister』の2巻が発売されました。1巻が出てすぐ出たように感じていたんですが、1巻の発売は昨年の10月、一年とまではいわないものの、結構な時間が経っていたんですね。意外でした。さて、『ごちゃまぜMy Sister』についておさらいをしておきますと、妹純かわいさに、卒業後も高校に潜り込む大学生の兄貴秀が主役。いや、違うか、主役はあくまでも純か。しかし、この漫画において36番こと秀は抜き難い存在感を放っていて、純が表の主役であるなら、秀が裏の主役であるといってもいいのではないかと思えるほどの重みです。秀は、度重なる卒業生の紛れ込みに頭を痛める担任に、学年一位を秀に阻まれ続けているクラス委員長松坂友子に、ヒロイン純をも超える深い関わりようを見せて、実に魅力的。漫画の中心には純、しかし展開の舵を取るのは秀、そういった役割の分担がある、そんな風に思えるほどにしっかりと自分の位置を獲得しているキャラクターであります。

しかし、妹離れできていない兄というのもなあ、そう思う方もいらっしゃるかも知れません。確かに、妹大事で妹のクラスに紛れ込んで、36番目の生徒としての位置を確保するまでになっている、そうした行動は常軌を逸していて、担任ならずとも、この兄をなんとかしなければと思うことはあるでしょう。しかし、兄はそんな逆風ものともせず、実にマイペースに純のクラスに紛れ込み続け、クラスの男子とも女子とも仲よくなって、勉強教えたり、学校生活についてアドバイスしたり、さらには一緒に遊びにいったりするまでに親しんで、もうそこには妹べったりの兄の姿はない。というか、あの兄貴、割と最初の方からクールというか、妹に対し一生懸命な部分もあるけど、どこか距離も置いているところもあって、そういうところが、なんだ割と普通の人じゃん。そういう評価に繋がっている気がします。そうなれば、優秀で、気さくで、人当たりもいい兄のことですから、みんなと仲よくなってしまうのも当たり前。こうして秀を中心とした人間関係も広がっていきます。

第2巻では、秀をライバル視する松坂友子の妹が登場し、秀に急接近、けれど秀は気付かずというパターンが確立されて、そのパターンがまた面白くていいのですね。松阪妹との出会いは、秀の家庭教師アルバイトがきっかけで、当時中学生だった妹は秀を好きになってしまい……、けれどそれがどう見ても姉友子をたきつける要素にしか見えないというのは、私の認識が歪んでいるからでしょうか。秀が好きという気持ちを無邪気に押し出す妹の素直さがよければ、秀を気にしながらも、彼はあくまでもライバルなのだと、素直になれない姉の不器用さもまたよくて、ああもう、お前ら、もうくっついちまえよ、というのは次巻の楽しみに置いておきましょう。

一番上の兄秀が大学生、次兄健が高校二年生、純が高一で、末の弟の優が中学三年生。しかしそんな彼らもめでたく進級して、兄妹全員が同じ高校に通うこととなりました。ん? なんか、おかしいぞ。けれどそのおかしさが変に自然で、変にしっくりきているという不思議。その不思議な関係がたまらなくおかしくて、憎めない、ほほ笑ましくて楽しそう。私がこの漫画を心待ちに読んでしまうのは、そうした雰囲気にひかれるからなんだと、そんな気がしてなりません。

  • 渡辺志保梨『ごちゃまぜMy Sister』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • 渡辺志保梨『ごちゃまぜMy Sister』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 以下続刊

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