2009年7月31日金曜日

「けいおん!」第1巻

 昨日は失礼いたしました。本当なら、一気に書ききるつもりだったのですが、力尽きてしまいまして、いやあ、これ、原因は寝不足だと思います。いやね、アニメ『けいおん!』BDが届いた夜にね、今夜はK-ON! Nightだぜー、みたいなことをいって、もちろん本編だけ見たら寝るつもり、残りは翌日に見るつもりでいたんですけど、本編、特典映像、キャストオーディオコメンタリー、スタッフオーディオコメンタリーと立て続けに見てしまいまして、見終わったの午前4時過ぎですよ。馬鹿じゃないのんか。ほぼ徹夜状態、でもその時はいいんですよ、テンション高いから。けど、翌日からがもうつらくって、日中ずっと眠くって、ほーげー、ってなってるんですね。あー、あかん。昨日も文章書いてる途中、なんどもほーげーってなって、もう駄目だー。続く! とやっちゃったわけです。

夜更かしすると、翌日からがきついってことはわかってたのに、なんでそんな無茶をしてしまったのでしょう。って、そりゃコメンタリーが面白かったからに決まってるじゃないですか。最初はね、Blu-ray Discの機能を確認したいなあ、みたいな気楽な感じで、キャストのコメンタリーをオン、字幕もオン。それで、ちゃんと機能することがわかったら、ストップしようと思ってたの! でもね、でもさ、見始めると止められないんです。私の悪い癖なんですが、一度これっていう楽しみに触れちゃうと、ロックオンされてしまって、途中でやめられなくなってしまうんです。というわけで、キャストコメンタリー、楽しかった!

こういうコメンタリーの面白いところは、こちら、見ている側からではわからない話、裏話といってもいいのかな? 制作の現場の様子だとか苦労だとか、そういうのが語られるところが面白い。けど、それ以上に面白いと思うのは、私とはまったく違った視点で見ている人たちのコメントでしょう。気付かなかったこととか、新しい発見とか、もう、どんどん出てくるの。そういうのがすごく嬉しい。あー、そういう意図だったんだ、はじめて気付くこともあれば、あー、私もそう思ってたのよー、同感、共感することもあってね、もう、すごくすごく嬉しくなってしまうんです。

キャストコメンタリーは、「らじおん!」のおかげで、どの声が誰かわかるようになっていて、だから聴きやすかったです。紬役の寿さんと律役の佐藤さんの声が、演じてる時と素の時で結構違うんですよね。寿さんはちょっと声の質が他の三人と違うからいいんですけど、佐藤さんの地声っていったらいいの? やたらかわいくってですね、最初豊崎さんと区別つかなくて、今、誰がしゃべったはるん? みたいになってたのが、今ではちゃんとわかるようになって、人間、やればできるようになるんだなあ、って思った。なんか、すごい低い達成感で涙が出ます。

キャストのコメンタリーは、収録の際の話、例えば唯が和ちゃんにニートといわれたシーン、その次のカットかな? で口をとんがらかせてぴよぴよやってるところで、ぶつぶついってましたみたいな話とかね、へー、そういうのってアドリブなんだ、結構自由といっちゃあなんですが、出演者の裁量ってのが大きいんだなって思って、脚本が骨子だとしたら、そこに膨らみをあたえる、それがキャストなのだなあとあらためて思ったりしたですよ。脚本家が作曲家なら、監督や演出が指揮者、けど細かなニュアンス含めての音、メロディを作っていくのは個々の演奏家、つまりはキャストであるんでしょうね。だから、脚本にないけど、こんな風にやってみましたという話であったり、あるいはここの台詞はこんな感じでやりましたみたいなのとかね、それから自分は演じてないシーンでも、ここでこう思った、そういうなにげない感想のやりとりされるのが、もう本当に聴いていて楽しかった。

でさ、面白いのが、話が進むにしたがって、口数が少なくなって、なんか笑ってるだけみたいになって、最初どうしたのかと思って、それこそしゃべることなくなった? そんなこと思ったりしてたのだけど、いやいや、違うから、見入っちゃってるんですね。それに気付いたのは、スタッフコメンタリーで同じ状態が発生したからで、その時に、見入っちゃってますね、みたいな、もっとしゃべらないと、ほらほら、みたいな、そんな発言があって、ああーっ、あの状態はそれだったんだ! でも、そうして自分の作り出したものに入りこんでしまう、作り手もまた鑑賞者になってしまうという、それがなんだかいいなと思ったんです。

キャストコメンタリーの、OPの自転車のシーンの掛け声、あれは毎回のお決まりになるのかな。なったら面白いな。唐突にいいたいこと突っ込んで、次!

スタッフコメンタリー。これが、最高だ。山田尚子さん、監督の人、堀口悠紀子さん、キャラデザと作監の人、そして伊東優一さん、原画の人、これもまた面白かった。普段その発言を見る、聴く、読む、知ることの少ない人たちでしょう? それがこうしてお話聴けて、すごく面白かった。OPの唯のギター弾くシーンは、伊藤さんが立候補したみたいな話とかね、自分もギターを弾くから、みたいな話ね、それで、律のドラム叩くシーンはドラム経験者が作画してるとか、そういうの、聴くだけで嬉しい。そうかあ、あの唯ののりのりのストローク、あれはギター弾きが描いたものであったのかー。そういう、意気込みみたいのがね、嬉しい。こうした話は他にもいろいろあって、原画に描いてない部分を動画の人が追加したみたいな話でしたっけ? あの、唯が、軽音部に入りました! って和ちゃんに報告するシーン、なにするのって聞かれて、さあって答えるところ。口の中にパンが入ったまましゃべってる、あれは原画にはなかったとかでしたっけ。他にも、ほっといたらどんどん描いちゃうから、とめました、みたいな話が何度も出てきて、うわあ、すごいなあ。今のアニメって、秒間に何枚描くのか知らないけど、繰り返しですまさない、そんな動画をそれこそのりのりで描いてるっていうのですね。うわあ、そりゃいいのできるよなって思った。

唯と和ちゃんの昼食のシーン、軽音部に入りましたのところの飲み物は苺ミルク、五千円くらいで買えるよねー、ではコーヒー牛乳。律っちゃんの、入部希望者を待つのシーン、戦国武将っていうようなところ。他にもいくつかあったんだけど、キャストコメンタリーでもスタッフコメンタリーでも話題になるところがいくつかありまして、ああー、唯がプリント拾おうとして机に頭をぶつけるシーンとか、それからオカルト部の先輩がすーっと現れるところとかもだ。ああいう、思わず気になってしまうようなところ、キャストもスタッフもちゃんと意識してるんだなって。それは、見どころとしてそれらがよく機能しているというべきなのでしょうか。実際、上にあげたシーンもそうだし、他の話題になったところ、紬のポテトをトレイにざーっとあけるシーンとかね、やっぱりみんな気にしてたものなあ。細かいといえば、細かいシーンなんだけれど、そうしたちょっとした見どころが見ているものに伝わっている。それは、やっぱり作り手の意図がよく反映されてる、そのうまさってことなのかなって思いました。

まだまだ、続きます。

原作では、特に意識してなかった紬の可愛さ。アニメでは第1回からもう直撃って感じでめろめろきゅんだったわけですが、これ、作り手が紬大好きだったからなのか、って思ったり。いや、だってさ、紬に対する言及がすごい。私は自慢じゃないが、山田さんと堀口さんの声の聞き分けができないのだけれども(ちょっと低めの声が山田さん?)、紬が好きだみたいな話、本当に多くて、それで、眉の太さは情の深さなんだー、みたいな話や、それで第2話は線3本くらいで表現されていた唯たちの眉、その意図みたいなのね、言語化されて伝えられることで、ほー、そうなのかー、はじめてわかることもある。第2話の絵は好きなんです。あの、眉を逆八の字にしてる唯とか、すごく可愛いじゃん。あの、眉の表現は確かに見ていると意識が自然に向かってしまうのだけれども、そこから感じていることっていうのは簡単には言葉として意識されない。それが、こういう意図でああなっていると言葉にされれば、そうか、じゃあ自分はどう思ってたのだろう、ぐーっと意識の言語的なところに引き寄せられてくるわけです。ああ、コメンタリーには知らないことへの気付きと、思っていたがわかってなかったことの明確化、そうした機会がたんとあって、もう本当に面白い。これはもう何度でも見たい、聴きたいと思ってしまいます。

まだ、終わりません。

山田さん、堀口さんが最高だ! あのしゃべり口。ちょっと低めの声で、ちょっとスローに話される。あの声が好き。あの言葉のイントネーション、まさに京都イントネーション、それが好き。関西の人が標準の言葉を意識して話すとあんな感じになるんです。だから、このBlogの記事もあんな感じのイントネーションで書かれています、ってのはどうでもいいとして、山田さんも堀口さんもほんのりとやわらかな言葉を使われて素敵。で、たまに京都の言葉になるの。しゃべらはる、とかですね。大阪では、しゃべりはる、になるのかな? もう、断然京都。それで、じゃなくて、ほんで。もう、もだえそうなくらいにいい。唯がバス停でね、毎日練習するねー、っていうシーンで、ゆったな、絶対やれよ、みたいなつっこみが入るんだけど、もう、もう、最高だと思った。なんべんも巻き戻して聴いたもん。

そもそも、私がこのアニメがいいと思ったの、楽しみに読んでる『まんがタイムきらら』の『けいおん!』だったっていうのがあります。音楽ものだったっていうこともあります。そして、舞台の背景が京都から借景されているっていうの。うわー、京都だー。それだけで興奮してしまったりして、なんで今さら、こんなに京都ってだけで嬉しくなるんだろう。自分でも疑問なんですが、そんな私にはスタッフの京都イントネーションは素敵すぎて、でもさ、作者萌えとかスタッフ萌えとかって、いきすぎたファン心理だとも思うのよ。なんか、ブレーキかけなくっちゃだわ、みたいな感じになってて、けれどそこに美しい花がある時にそれを美しいと表明することのなにが悪い、空の星の見事さに嘆息する、それのどこがおかしい、みたいにも思うのね、っていったいなにがいいたいかわからなくなってきたので、今日はここらで終わりにしましょう。

けど、最後にもうひとつ。アニメ『けいおん!』の女の子の、足がちょっと短かったり、ちょっと太めだったり、山田さんの好みでしたっけ、そういうのがいいんだ、発展途上なところがいいっていう意見面白くって、それから髪の表現。あの、フードに髪を入れたりするっていう、短い髪の肩にのっかって、それがふんわりと盛り上がるふわふわ感、そういうポイント、ああ、なるほどって思ったの。アニメ『けいおん!』は、全話がそうだとはいわないけれど、髪の表現が魅力的な回っていうのが確かにあって、ほら、あの11話とか、律の寝ているベッドにもたれかかった澪の髪の、しっとりと重くって、芯のあるって感じさせる表現とかね、いや、あの回の髪の表現は素晴しかったよ。私はそうしたところに気付くまでに、それだけかかったわけだけれど、そうした魅力はすでに第1話の時点で盛り込まれていたんですね! って、いや、もう、そうした細かな表現のなされているっていうところ、直接的に意識されることは少なくっても、少なからず見る人の感情には働きかけてたりするんだろうなって思って、いや、もう、ほんと、コメンタリー大好きです!

Blu-ray Disc

DVD

CD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年7月30日木曜日

「けいおん!」第1巻

 買ったよ! アニメ『けいおん!』のBlu-ray Disc。買ったといっても、もう随分前に注文して、後は届くだけ状態だったりしたわけで、そして一ヶ月前にはBlu-ray Discプレイヤーも買っていたわけで、もう待ち侘びましたよ。「けいおん!」第1巻、これがはじめてのBlu-ray Discであります。かくして興味は、BDはテレビ放送よりも高画質なのか、そもそもBDの真価はどうなのか、そのあたりに向かって、おう、そうだ、忘れちゃならねえ、オーディオコメンタリーですよ。以前にもいってましたけど、コメンタリーが好きなんですよ。もうすごい期待したのでありました。

私は、好きなものは最後にとっておくタイプです。なので、本編をまず見て、コメンタリーは最後に見ることにしたのでした。というわけで、本編。Blu-ray Discの再生は、スタートまでに時間がかかると聞いていたのですが、特に問題と感じるほどではなく、けどちょっと冒頭のレーベルロゴがいくつも表示されるの、あれは長いですね。でも、大丈夫。その間にお茶の用意するから。そして、再生がスタートして、おお、確かに映像はきれいになっています。テレビ放送時には、なんか全体に霞がかかったようにぼやけていて、またOPのクレジットの文字とかの縁がつぶれてすごく読みにくかったのが、ものすごく綺麗になってる。すごいな、っていうか、このクオリティって、放送時でも出せるよね? だって — 、いやいや、そんなことはいいや。映像の綺麗さは本編でも際立っていて、あの澪と律が廊下で話しているシーンとかね、窓の外から射し込む光の雰囲気がすごいの。最初は、『けいおん!』は劇場公開のアニメとかじゃないし、そんなに高精細のメリットってないんじゃないかと思ってたの。けど、いや、もう、やっぱりアニメは高画質に限ります。だって、塗りのニュアンスとか全然違うねんもん。ぱりっと色が立ってるし、受ける印象も鮮やか。ああ、もうこれからは、気にいったアニメがあったら、BD買うことになるのかなあ。それは経済的につらい。ちょっと無理。でも、こういう高画質が当然の時代がいずれきて、それはすごく贅沢なことだと思います。

おまけは、当然あると思ってた予告がなし。あれー!? 私、あれ見て、このアニメ見るって決めたんでした。だから、あれ、欲しかったなあ、と思うんだけど、いや、いいや、いずれくるだろう。その際には、CD等のCMコレクションもあってくれるとありがたいのだけれど、無理かな? アールファールファーを聴きたいんだ。

映像特典はオリジナルB面劇場「うらおん!」だけかと思ってたら、豊崎愛生さんのインタビューがあって、ああ、ギブソンのレス・ポール、いいなあ。しかし、ギターが欲しいってねだったら、父が買ってきたのはアコースティック・ギターだったって話。あれは、面白かった。コレジャナイロボならぬコレジャナイギターだなって、くだらないこと思いながら見て、基本的に私、こういうインタビュー、面倒くさがって見ないんですが、最後まで楽しく見ることができました。これ、こうして特典として収録されてよかった。こういう機会がないと、知らないままに終わっただろうなって、だからこうして知る見ることができてよかったです。

そして、「うらおん!」。ほーげー。もうこれだけで笑ってしまいそう。これは面白い。けど、これは本編には組み入れられないな。そんなのり、そんなテンション。びっくりするほど短くて、けどその出し逃げ感もあいまって、余計に面白い。ほーげー、ネタ。これが三回繰り返されて、エンドテロップ。ええ? もう終わりなのか!? しびれましたね。百連発くらいあってもいいくらい。三回で終わるのは残念だなあ。第2巻を期待しましょう。

オーディオコメンタリーについては、最初は一気に見るつもりじゃなかったんです。「うらおん!」を見て、なんとなくオーディオコメンタリーをスタートさせてみたら、最後まで見てしまった。まあ、よくあることです。まずはキャストのコメンタリー。そして、スタッフのコメンタリー。もう、素晴しい。コメンタリー大好き。

ということで、明日に続く!

Blu-ray Disc

DVD

CD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年7月29日水曜日

『まんがタイムきららキャラット』2009年9月号

芳文社はやる気なのかも知れない。そんなことを思った昨日の朝。出勤前に『まんがタイムきららキャラット』を買うべく、駅前のコンビニにいくと、おおう、『キャラット』の入荷数、堂々の十冊です。どーんと積まれた『キャラット』を見て、しかしこれ全部売れるのか? そんな疑問も出たものの、でも多分売れるんだろうなあ。なんせ、今号には『けいおん!』の番外編が載ってるものな。それに『GA』も。実際、このあいだのアニメ『GA』、面白かった。最初は度肝抜かれたハイデンシティ、私がそれに慣れたのか、あるいは手加減してくれるようになったのか、まあ後者でしょうね、見やすい、それに楽しかった。ええ、ぐーっという感じで人気があがってくれればいいなと思います。

GA — 芸術科アートデザインクラス』は、ちょっと教室を離れて、キョージュのプライベートに接近するという話。あの、なにに対しても達観しているように見えてしまうあの人が、実はそうでもない。彼女には彼女の不安や迷いがあるのだ、そんなことを伺わせて、そして如月の彼女を読み解こうとする、そんなところ。個性の違うふたりが、おだやかに近付いて、心の一部を溶かしあうような、そんなところがよかったです。

うらバン!』、びっくりした、もうコンクールなんだ! いや、たしかに、今を逃がせば、もう時期はずれになってしまうネタでしょう。吹奏楽部にとって、一年で一番重要なイベント。それが吹奏楽コンクールですが、しかしそれを一回で一気に描ききって、大きな会場での演奏、そして拍手、なんかね、じんとくるね。彼女らの胸に去来したものはなにか、それを思うと、もう胸がうずくようですよ。しかしこのコンクールで、彼女らに欠けているものがなにであるかが、いよいよはっきりしたわけだけれど……、って、誰もが気付いてることやん、っていっちゃなんだけれど、でも足りないものはあっても、音楽に取り組んでる彼女らは眩しい、そう思います。

ところでさ、「突撃!隣のロングトーン」ですが、ああいう現場は存在します! ぎゃーっ! 私には耐えられない。

CIRCLEさーくる』は、順調に後輩たちに代替りしていってるなっていうのが感じられて、しかしこの世代交代は成功だと思います。基本保守的で変化を好まない私が、違和感をほとんど感じず、自然に読んでいる。後輩たちに混ざって、一緒に遊んでいる、そんな話がなかなかによかったです。

とらぶるクリック!!』、最終回を目前にして、廃部の危機、それに打てる手はないか、奔走する部員たちという流れは、実に王道だけど、けどそれだけにぐっときました。台詞もなく絵で語られる、そうしたシーンに、彼女らひとりひとりの思いが見えるようで、ええ、とてもよい話だったと思います。

ひだまりスケッチ』は吉野屋先生の秘密が! とはいうけれど、わりと普通でありました。なんか劇中ではエキセントリック振りまいて、なんだか酷いいわれようだったりもするのだけれど、でも実は真面目でいい先生だと思う。そんな話でした。

『Aチャンネル』、のっけからネガティブ全開のトオル。なんて可愛いんだろう。と思ったら、一部のマニアといわれてしまいました。実際、四人の立ち絵、トオルだけ手足がものすごく細くって、いやあ、こういう細さは素敵ですよ。って、偏った意見はおいといて、次のページについてもおいといて、かき氷のところは面白かった。そんなにショックだったのか。でも、なんか気持ちわからんでもないです。

『けいおん!』、前髪あげた紬は誰かに似ている。誰だろう。ちょっと思い出せない。もやもや。しかし、今回も面白かった。ゲーセンから駄菓子屋への流れ、コマごとにあらわれる表情が豊かで大変によかった。そして、ファーストフード店での対話も、あの趣味に対する誤解とか、SP怖れるところとか、なんか距離は以前からも近かったんだけれども、質が変わりつつあるとでもいったらいいのか、その少しずつ関係の深まっていくというところ、よいなと思ったのでした。ところで、紬のいう、りっちゃんが男の子だったらという話、前から思ってたんだけど、律ファンは女性の方が多いんじゃないかなあって。実際、こうしたさばさばとして、そして面倒見がよかったりする人って、魅力的だと思うんだ。そして、今度は澪が嫉妬する番。仲良き事は美しき哉。この、性格の違うふたりの仲のよいところ、君は君 我は我也 されど仲良きって感じで、やっぱりいいなと思うのでした。

『せいなるめぐみ』、やっぱり、この展開は面白い。寡黙でおしとやかな美少女が、内心においては実に毒舌! いいですね、これはとてもいい。冒頭では、この内心が漏れ出していたけれど、実際、本編でこの内面があらわになることってあるんでしょうか。なるにせよ、ならないにせよ、いい感じのキャラクターであると思います。ところで、みっちゃんは聖のことが好きなのか? 趣味が悪いとかいったら駄目ですか?

『デジらぶ』、ゲストであります。この後、凶悪妖怪たちが出てきて、何ヶ月も肝試しが続くんじゃないかと思ったのは内緒です。部活でゲームを作る、その素材を作るために夜の校舎に入った、それだけかなと思ったら、最後に二段でたたみかける展開。あれはよかった。よくある話と見せ掛けて、それだけではすませないという工夫、すごくよかったと思います。

『ねこみみぴんぐす』は、じいさんがいい味だしていて、なんかすごい悪辣そうな雰囲気だけど、いや、でもやっぱり親切なじいさんじゃないかっていう、面白かった。そして、ばあさんも。メインキャラクターだけでなく、この回のみだろうゲストキャラクターにもいい味を持たせて、こういうの、すごく好きな感じです。

『かんぱけ』、方言の話。この、イントネーションの問題は、本当に難しい。なんぼやっても身につかない、って、なんぼとかいってますよ。もちろん、こういう話すことのプロを目指す人は、標準のアクセント、イントネーションを身につけるわけですが、本当に大変なことだと思う。その大変さに直面した静の焦ったり弱ったりの表情は魅力的で、そう思っていたら、彼女の小さい頃あった色々。ああ。ああ。私は間接にしか関わらなかったことだけれど、多かれ少なかれ、あのできごとは影を落としている。私でさえそうなら、直接に関わった人であればどれほどだろう。もしその経験を笑って話せるようになったのだったら、それはよかったのだと思う。作者は、関西の人なのでしょうか。なんか、思いもしなかったことが描かれて、より一層、この漫画のキャラクターが近しく感じられるようになったと感じます。

空の下屋根の中』、お父さんは単身赴任だったのか。ただ、描かれてないだけかと思っていました。しかし、あのクロスワードで一日を終えるお母さんと、異様に口下手なお父さん。ああ、かなえは確かにこのふたりの娘なのだなっていう気持ちを強くする話でした。しかし、そんな最後に投げ掛けられる問、あれはシビアで、それに答えられる人はいない、そのように思います。すべての人が抱えている問なのだと思います。

『アクアリウム』は、思ったよりも水槽がしっかりと出てくる、そんな話にびっくり。わお、水槽話でちゃんと展開できるだけの素地があるんだったら、そいつをがっつりやって欲しい。そんなことを思ったりして、しかし、よしあき。なんだか妙ななれなれしさとデリカシーのなさを発揮して、ゆうちゃんよ、とりあえず一発殴っとくといいよ。

うらがアルっ!』、最終回。ちょっと寂しいけれど、でもものごとに終わりがあるのはしかたがない。成長しようと背伸びする女の子の話だったけれど、彼女は確かに成長したんだと思う、けれど変わらないところもあって、そうしたとろに安心しつつ、これからの、語られないりあのんの活躍を思うのでした。

アットホーム・ロマンス』は、竜太朗と姉の関係にひとつの区切りがつけられて、それはひとつの別れであるのだけれど、けれどただの別れではなかったと、そのように感じて、これまでは近くにあって、常にその存在を確認しないではおられなかった。しかしこれからは、いや、今はもう、遠くに離れようとも揺らぐことはないのだという、そういう心の強さ、大きな愛を持つにいたったのだなと、そのように感じて、ああ、本当にこれは人の成長を描いた漫画であったのだなと思ったのでした。行ってらっしゃいに、行ってきますと答える。それは、帰ることのできる場所を用意しているよ、そういう思いがいわせた言葉なんだろうか。あなたの場所は、私の中にいつまでもあるのだから、安心して頑張ってきてください。そうしたメッセージが見開き一杯に広がって、あれは、あれは — 、なんだか言葉にならないです。よかった、そういえばいいのかも知れないけれど、それではこの広がった感情が小さく箱詰めされてしまうように感じるから、私はなにもいえない。けれど、それでは伝わらない。あの場面で私の感じたことは、きっとこんなだったのだと思う。独り立ちする人たちの、孤独を怖れない強さ、変化を怖れない強さ、その強さの根本にあるもの、それらを思い、ふたりの凛々しさに震えたのだと思う。うん、確かに震えたのだと思う。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第5巻第9号(2009年9月号)

2009年7月28日火曜日

『まんがタイムオリジナル』2009年9月号

ちょっとショックなことがありました。『まんがタイムオリジナル』2009年9月号、発売は昨日。今、『オリジナル』は私にとってかなり面白い雑誌なので、当然楽しみに買って、楽しみに読むわけです。そうしたら、そうしたら! ああ、こんなことがあるだなんて! もう、ショックで、ショックで、寝込んでしまいそうです。

ラディカル・ホスピタル』は、内科と外科の婦長が前面に出て、そして外科で研修をうけた人、内科で実績を残した人、それぞれがそれぞれに信頼を得ている。その描写はそれぞれに違っていて、そして信頼への応えかたも違っていて、けれどそのどちらもなんか素敵だなあと思える。そうしたところがとてもよかったです。マッキーの旅の途中…ですなんて、あんまりにもできすぎた、そう思える台詞なんだけれど、しかしそうした台詞がしっくりとくる。その描写、そのシーンは、本当に素敵でした。

『明日もひまわり荘!』、ゲスト2回目です。無茶で奔放な大家と、よく働く娘さん。そこにちょっと変わった住人がいると案内されて、けれどそれは次回に持ち越し。面白さはまだ完全には開かれていない、みたいです。

ただいま勉強中』、葉菜子の奔放さは魅力だと思います。天真爛漫といったところか。辻灯子の漫画の登場人物は、皆それぞれに奔放で、けれど少しずつその奔放さの質が違っている。葉菜子は天真爛漫、飛鳥は傍若無人といった印象です。その点、由良は奔放といえるほどには自由ではない。なんだけれど、マイペースで、やっぱり奔放みたいだ。彼女は面白い位置にあると思います。

自然に対する由良、飛鳥の態度と、自然を知らない葉菜子の態度、その違いは面白かったです。あの、雷のくだりとかね。そして、思い出。雨を避けて木陰にはいった、子供時分の由良と飛鳥。その頃からの関係が今に繋がっているのね。なんだかよいなあ。そんな気分です。

『おかまん研』、困った、面白くなってきた。3号連続ゲストの3回目にして、内容はうまく整理されてわかりやすく、そして面白みも素直に伝わるようになってきたと感じられます。ばたばたとした感じは残しながらも、全体に落ち着いた感じを出してきて、そして三人娘の関係。おしゃべりがうまくかみあって、いいね、面白いと思いました。これは続けばもっと面白くなるかも知れない、そんな風に思うから、続いて欲しいな、そう思います。

『ささきまみれ』の、〔テーマ〕裏の顔って、ほんと、よくこんなの思いつく。しかも、これ、カットモデルといいながらカットしてないじゃんって、もう本当におかしくて、この発想、意外な感じが最高です。そして時給が450円。最低賃金下回ってるじゃん! ってのはいいとして、ええ、やっぱりこれはいちばん大事なことだと思います。

『花咲だより』、ここにも傍若無人なお姉さんがいて、そして迷惑を被る担当のお嬢さんがいて、けどあのポジションはおいしい。ほんと、割食わされてばかりって感じで不憫だけど、ただ不憫といって片付けるにはおしい、そんな味のあるキャラクターだと思います。雨宮先生にしてもそうだけど、振り回される人、損な役回り、そうした人こそ輝いている漫画だと思うのですね。でも、お姉ちゃんは、あんまり損はしてない感じだけど、一番輝いてるっぽい。いや、素敵なお姉さんです。輝いてあたりまえでありますね。

『今日から寺バイト』は、気が弱いのかなんなのか、えらく真面目な旦那がちょっと可愛いです。でもやっぱり、その妻が可愛くって、ひどいところもある感じのお嬢さんだけど、けどそうした険のあるところにちょっとのぞく自然な感じが魅力的です。

『アトリエZOOへようこそ!』、ゲストです。漫画家の話で、ネコ、飛脚、鳥の連続とか、ちょっと面白かった。でも一番面白かったのは、一番最後のみちッからの流れかと。なんとか間に合いました、かと思いきや、わお、落ちるんだ。その素気なさ。あまりにスムーズに転げ落ちていくという感じが、すごくよかったのでした。

『恋は地獄車』、弱った、めちゃくちゃ面白い。封印の彼とか、あんまりに狙いすぎだとは思うのだけど、それでも面白いし、しかしそれよりも後藤さん。通常時から戦闘時へのモードチェンジ、しかもそれを素でつっこんじゃうんだ。ええ、私も反省しました。私はきっと後藤さんタイプです。そして、ラスト、ヒモ男からのどうしようもないプレゼント。ああしたどうしようもない、それこそ思い付きみたいなことでも、嬉しくなってしまうことってあるよなあ、なんかあの駄目な姉の気持ちがわかるような気がして、非常にまずい。ええ、なんだか共感性が高くなってきてるみたいです。

『おたママ』、今月、すごく面白かったと思ったんだ。最初の、荷物の重さを楽しい妄想で紛らわすつもりが失敗みたいな話とか、平和に対するお母さんの見解とか、すごくよくわかる気がする。いや、ほんと、今月はいい感じじゃないか、そう思って読んでたんですよ。そうしたら、今回で最終回って! え、ええーっ!? うそー。えうう、なんてこった。世間の風は冷たいよ!

というわけで、これから寝込みます。

というわけにもいかないので、『恋するマロン』、強烈な印象は残さない、ヒロインのお姉さんがそうであるように、のんびりと穏やかな、とにかく優しい印象が強い、そんな漫画ですが、こういう漫画もいいもんだと思うんです。『超訳星の王女さま』は、貧乏な姉妹の話。なんだか借金抱えてのふたり暮らしであるようなのですが、生活を心配しつつも明るい姉と、とにかくしたたかな妹の暮らし。ちょっと健気なふたりの姿、こういうのに私は弱いんですね。だから、ちょっとほだされかかってましてよ。いやほんと、大人びた、そんな紹介をうける妹の、けれど現実を前にしては、ささやかに想像の中で対抗することくらいしかできないっていう、その様子が健気で健気でいたいけで、ああ、なんてことだろう。ということで、かなりほだされかかっています。

  • 『まんがタイムオリジナル』第28巻第9号(2009年9月号)

引用

  • ひらのあゆ「ラディカル・ホスピタル」,『まんがタイムオリジナル』第28巻第9号(2009年9月号),7頁。
  • 小坂俊史「ささきまみれ」,同前,82頁。
  • よしむらなつき「アトリエZOOへようこそ!」,同前,108頁。

2009年7月27日月曜日

空の下屋根の中

 読んでいて、こんなにつらいKRコミックスははじめてかも知れません。なにかとやる気のないヒロイン、かなえが仕事を知るまでの紆余曲折、それが1巻で語られたことのすべてかも知れません。高校を卒業して、進学するでもなく、働くでもなく、ただなんとなく日々を過ごす、一日をごろごろとして無為に過ごす、そんな彼女の姿を見て、なんかすごくいたたまれない気持ちになって、胸が痛い。読んでいて、気持ちが沈むってほどではないけれど、涙がにじんでくる、そんなこともたびたびあって、それはかなえが、というよりも、かなえと同じような境遇にある人たちのことを思うからなんだろうなって思います。この漫画では、かなえを当初ニートであるといっていたのだけれど、そう呼ばれる人たちも、社会にまったくかかわりたくないわけじゃない、それこそ、描き下ろしのあいつみたいに、楽して寄生して生きていきたいわけでもない。自分の置かれた状態、これなんとかならないか、そう思っている人もいる。けれど、どうにもならない、そう思ってしまう心が痛ましくて、それでなんだか泣けてきて、ええ、つらい。なんかすごくつらいのさ。

けど、これ、一昔前、いや、もっとさかのぼらないといけないかな、昔はかなえみたいな人ってわりといたんだと思うのですよ。女子は高卒で充分、せいぜい短大程度でいい。就職は、してもいいし、しなくてもいい。漫画の中でかなえは、女の人のニートは家政婦見習いって言ってもいいんだっていうんだけど、実際むかしは家事手伝いなんていってましたよ。でも、これは女子はお嫁にいって、それでゴール。そんな時代だったからありえたことで、今は女子でも仕事をして、独り立ちするのが普通のようになっているから、だから家事手伝いっていうのは、よほど特別な要件がないと成立しないように思うのだけど、そう考えれば確かに時代は変わったのだなあ。

この漫画では、なにをやるにも意欲がないかなえに対照されるキャラクターがふたりほどあって、ひとりは友達のまゆこ、この人はスーパーに就職して、きっちり真面目に働いてる。そしてもうひとりは、木津君。こちらはなんだか大変そう。プログラマとして就職して、過酷な現場に身を置いてる。私は昔スーパーでバイトしていたことがあるから、まゆこの職場が理想的環境だなんて思わないけど、ともあれこの漫画の中では、比較的まともな働きかたをしている人と、それから異常な働きかたをしている人があって、つまりは極端ながら二種の働きかたのモデルが出てくるんですね。

そしてかなえはというと、仕事をするということがそもそもわからないといっている。外の世界に打って出ようという、そういう意欲がそもそもないんです。自分も仕事をしようという段になって発せられた言葉、社会って もっと人間味のあるものだと思ってたけどなんてのは、すごく象徴的でした。自分は能力がない、自分はなにもできない、要求に応えられない。社会の求めるものを過大に捉えすぎて、自分では努まらない、きっと振り落とされてしまうと思って怖れている。怖れるあまりに、社会に関わることができなくなってしまっている。こうした社会や仕事への誤解ともいえる恐怖が、彼女から気力といったものを奪う原因になっている、そのように思えてしまうのです。

仕事を社会と考えてみれば、社会と折り合いをつけられたまゆこのような人がいれば、社会に関わりを持ったはいいが、今にも押し潰されそうな木津君のような人もあって、そしてそれ以前の問題として、社会に対する不信のために前に進めない人がある。実際、ニートと呼ばれるような人というのは、かなえに同様の考えかたをしている人が少なくないって聞きます。自分なんて駄目だ、社会に通用しないゴミみたいなもんだって思っている。あるいは、社会は自分の価値なんて認めてくれない、でもいい。過剰にネガティブな感情を持っているために、あまりに過大で非情な社会と、あまりに矮小で無力な自分のアンバランスに苦しんでいる。そりゃ、社会に関わりたくとも、関われないよなって思います。社会に出るっていうことを、戦いのように感じていて、しかもそれがあまりに強大すぎるっていうんだもの。挑戦したくっても足がすくむって。気力だって失せるって。そうしてすくんで、立ち上がることさえもつらくなった人、そういう人がニートだっていうのなら、社会は彼彼女らにどう手を差し延べるべきなんだろうなって思います。

この漫画が時につらくとも、深刻なところまで落ちていかないのは、かなえのほんわかしたキャラクターと、そして少しずつでも前に進んでいくところが描かれているからなんだと思います。職安にいって、まあそれはなんの役にもたたなくって、いやにリアルな気がするんだけど、でもバイトながらなんとか職を見付けてね、それで働くっていうことを知っていく。そのプロセスは、もう本当に要領の悪い、そういうしかないものではあるのだけれど、社会のいい加減さを知り、仕事の責任を知り、そしてなんとか求められたことに応えて、それが自信になっていって、進んでいくこと、学んでいくことに意識を向けられるようにもなって — 。成長していく。かなえのそうした様子がとてもいじらしくて、応援したくなってたまらないのですね。そして願わくば、いま社会に対し怖れを抱いている人があれば、かなえがそうであったように、少しずつ関係を回復することのできる場があたえられたらどんなにかよいだろうと、そんな気持ちになるのですね。

ところでだ、KRコミックス好例の描き下ろし。こんなにありがたくない描き下ろしははじめてかも知れません。まあ、それでも面白かったりはしたんだけど、けど本編の途中にこいつが出てくると、うわっ! なんか損した気分になるっていうね。やっぱり、こういうやつもいるでしょうからね、っていうんだけど、こういう人はこういう人で問題ですよ。一定数、こうした人も社会には存在していて、かじれるうちは、親のすねをかじってしのごうと思っているのがいるかと思えば、家庭の外に出て女のすねかじったりしてね。かなえみたいに、怖れすぎているケースも大変だけれど、描き下ろしの小僧のように世の中をなめきってるケースも大変だよなって。ああ、この大変っていうのは、社会の側が大変っていうことです。こうした人たちもあって社会なんです。まねきいれて、うけいれて、そして共存していく。そのためには、社会はどういう手を打てばいいんだろう。

私なんて、社会の周辺で、つまはじきされそうになりながらぶら下がってるような程度のものですけれど、そんなでも、こうした彼女彼らとともに暮らしていける社会ってどんなだろう、どうしたら皆が少しずつでも仕合せの方向に歩みを進められるのだろうって考えます。好き嫌いは当然あって、あの小僧みたいやつはどつきたくなるし、かなえを前にしたらいらいらもするかも知れない。けれど、社会はこうした彼女らをも内包して社会なんだと思うから、そんなに不安や怖れを抱かなくとも暮らせるような状況に、少しの厳しさと包容力を持った状況に向かうことができればよいなと、ついそんなことを思ってしまうんです。

  • 双見酔『空の下屋根の中』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用

  • 双見酔『空の下屋根の中』第1巻 (東京:芳文社,2009年),19頁。
  • 同前,50頁。

2009年7月26日日曜日

『月刊アフタヌーン』2009年9月号

 『月刊アフタヌーン』、もちろん買っております。千ページ超えの分厚い雑誌。これと、他の雑誌の発売日がかぶると、持ち運ぶのが大変なんですよね。今月号を買ったのは、24日のこと、『まんがタイムきららフォワード』と同日だったものだから、もう袋が重くてしかたなくて、大変でした。帰り道、坂を登るのがもう辛くて辛くて、冗談抜きで荷を軽くしないともたないな、そう思うほどでありましたよ。

『久誓院家最大のショウ』、沙村広明の読み切りでありますが、これ、なかなかに面白かったです。勝気な娘、気の弱そうな父、そして一癖ありそうな家政婦、それが実に沙村広明っぽいタッチで描かれて、物語も基本はシリアスなんだけれど、やっぱりどことなく沙村広明っぽい面白みを感じさせるところがあって、そのバランスがすごくいいなと思いました。しかし、娘さんもそうなんですが、佐帆さんは本当に沙村広明的美人で、すごく魅力的。そうした魅力的な人たちが、親父さんの趣味に加担していく。普通ならありえない、そう思えることがありえてしまう。このストーリーの説得力は、娘の性格、娘が父を愛しているということ、その父もまた娘を愛しているということ、そして常軌を逸した、そう思える関係を成立させるだけの状況が用意されたこと、それゆえだったのだろうなと思えて、ほんと、うまいなあ、それが素直な感想です。屈折した愛なのだけれど、愛というものは、誰しもどこかに歪んだなにかを抱えてしまうものなんだろう。そう思わせる漫画。とてもよかったです。

『友達100人できるかな』の、思いもしなかった落ち、仕掛けに、やられたと思って、それこそ反省しながら、真っ直ぐに友人に向き合おうとする主人公がとにかくいいな、そんな感じです。名前が直行。朴訥で柔軟性がなくて、真正面からぶつかることでしか決着させられない。それは、もう最初から決められていたことで、しかしその真正面からがつんといくスタイルが魅力なんですな。考えるんじゃない、とにかくぶつかってみなよ。そういう単純さが、逆に魅力と感じるんです。

百舌谷さん逆上する』は、なんだか昔の読み切り思い出させる、少年期のエロに対する興味みたいなものがビリビリと全面に押し出された展開に、いや、だって、俺らワルなんです、って感じの中学生どもが、えーっ、お前らのいってるブツってそれかよ! しかも拾ってくるんだ! 一気に可愛らしくなった。いや、もう、このばかばかしいノリは実に篠房六郎的。大好きなんだけど、こうしたノリにちらほらとシリアスが差し挟まれてくるところ、竜田のシリアスも、番太郎のシリアスも、すごくいかしていた。もう本当に馬鹿なんだけれど、馬鹿でもいい、ここぞという時に前に出られるやつは、もうそれだけでかっこいいよ、そんなこと思わせる話で、いや、もう、竜田も番太郎もかっこいいよ。もう、大好きです。

『ZONBIE MEN』、以前読み切りだったのが、評判がよかったのでしょうか、戻ってきまして、これ、ストーリーはわりとありがちで、あまり精緻に練られたというような感じではないのですが、けれど表現したいことっていうのが全面に押し出されている、そんな風に感じられるものだから、結構好きでした。そうした感想は今回も同じなんだけれど、けれどその素直な感じ、誤解しようもないメッセージの直線的に伝わってくるかのようなところ、よかった。このノリで何回も何回も続くと飽きてしまうかも知れない、そんな心配はあるのだけれど、数ヶ月に一度、季節ごとに一回くらいのペースなら、きっと新鮮に楽しめるのではないかなと、そんな風に思っています。

『いもうとデイズ』、まりかちゃん、失恋? けど、まりかちゃんと奈子ちゃんのパパがかわいそう……。娘のデートにはらはらとする父親たちは、危険な年頃と夫婦は疑心暗鬼、些細な娘の言葉に揺れているんでしょうなあ。でも、気持ちはわからんでもない。娘大事で、だからこそのどたばたで、けれどもさ、バレンタインデーに娘からチョコレートもらって嬉しそうで、だからこそ不憫でならない……。

けれどそうした景色に、主人公、お兄さんが自分を見つめる、そんな場面が挿入されて、ちょっとほろりとして、今回は、お兄さんと奈子ちゃんと、それから気後れして失恋したまりかちゃんと、各人が見せる感情のゆれるところ、その表情、それがとてもよかったです。お兄さん好き、奈子ちゃん大好きってところでしょうか。ほのぼのとした、そんな雰囲気にちょっとの切なさ、とてもいいです。

引用

  • さだまさし『親父の一番長い日

2009年7月25日土曜日

Colored pencils, taken with GR DIGITAL

BricksGR Blogトラックバック企画、7月のテーマはカラフルであります。カラフルというと、色とりどりというイメージが浮かびますが、しかしそれを実際に撮ってみようとなると、なかなかに難しいものがあります。そもそも、そんなに色とりどりなものって、身近にあったかな? そう思っていたら、ああ、あった。あったよ。というわけで、今月もこりずに、トラックバック企画 カラフル に参加します。

いや、なに、単純な話さ。このあいだのこと、一日一枚以上の日課が果たせそうにない。なにか、手近に写真に撮って面白そうなもなはないかいな、そう思ってあたり見回したら、色鉛筆のセットがあったんですね。ああ、こいつを撮ろう。夜の室内、光源は蛍光灯、ちょっと暗い、ということもあって、+0.3EVで撮ったら、これが結果的によかったみたいです。黄色とか、ピンクとかがハイキーっぽくなって、そうか、カラフル感はこうやって出したらいいのか。ちょっと勉強になりました。

Colored pencils

トラックバック企画を意識して撮ったものではなかったけれど、こうして見てみれば、まるで狙って撮ったみたいになったので、どうせならと思ってこれを選びました。手前にももっと光があたってるとよかったんだけど、そう思いながら撮りなおさないところが、私の駄目なところかと思います。

2009年7月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2009年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』9月号、発売です。表紙は『S線上のテナ』、今日ドラマCDが出たということで、それはもう本当に喜ばしいかぎりであります。実際、『フォワード』が始まったときには、どうなるんだろうと思ったものだったけれど、こうして支持をうけて、長く続く漫画が出て、ともない雑誌も続いて、正直私の思った以上の状況です。私の不見識については、すなおに詫びるしかないだろうといったところですが、しかしこうして軌道にのったのは、雑誌に関係する、した人たちの頑張りあってのことなのでしょう。『フォワード』も、もうすこしで3周年ですか? いや、もう3周年は過ぎたかも知れませんね。

さて、冒頭は『S線上のテナ』。世間知らずのアルンが多くのことを学んで知って体験して、その様子がとても楽しそう。そして、恭介の成長があって、そしてそれは別れを予感させるもので、なんだかちょっと切なくもあるな、なんて思っていたら、事態は急を告げる。なんか、えらい緊迫した、突然の展開に驚かされました。落ち着いたと思わせて、すこしも落ち着いてなんていない。そうした状況。次回が楽しみでなりません。

かなめも』出張版。『フォワード』掲載ということで、当然ながらストーリーなのですが、違和感なく読めるのはさすがと思いました。どのキャラクターにも見どころが与えられて、といいたいけれど、ひなたは悲しくなるほど地味だな。対して代理はもう本当に見せ場だらけといった感じで、とてもよかったです。ちょっとした人助けで、最後にちょっとどたばたとした落ちがついて、こうしたところは基本どおりという感じの面白さ。きっとくる、きっとそうなると思ったところに、きちんときてくれる、そういうよさというのがあったと思います。

純真ミラクル100%』、終わりかたがなんだか怖いよ? 新しい登場人物があって、そして所長をめぐる恋愛模様に動きが出てくるのかな、なんていう予感をさせるんだけど、なんでかそれが仕合せに向かうようには思われない、きっとなんかすごいかきまわしがあるんだろうな、不吉な予感をさせるところが面白そうだなと思うのですね。きっと、不幸でどろどろで、みたいにはならないと思っているから、ちょっとの不安を楽しみと感じるのかも知れません。それはそうと、工藤くんはあかん人だなあ。モクソンくらい押してみればいいのに、なんて思います。

『空色スクエア。』、なんだか気になる、神経質な漫画です。今回こちらでも新登場人物があって、けれど本格的に関わってくるのは次号以降って感じですね。それよりも、気紛れと感じる女心に翻弄される主人公。戸惑いがあって、そしてささやかな嘘があって、それがなんだか悪い方向に向かいそうで、というかなんで文香ルートなんだ。っていうのはやっかみだけど、この先に深雪の仕合せはあるんだろうか。なんだか、不安、心配が先立つ、すなわちそれは神経質が伝染する、そんな感じなのであります。

据次タカシの憂鬱』は、ショートのネタ多めで、けれどこういうのもテンポがよくて面白かったです。妻の娘の様子に闘志をみなぎらせる父の背、据次のコミケにいかない理由などなど、小ネタながらも面白かったです。

『少女素数』は水着回。けど、海にもプールにもいかない。水着売り場にて前哨戦といったような塩梅なのですが、見どころ、というか面白さはヒロインふたりというよりも、サブのヒロイン有美ちゃんにあったように思います。ちょっと控えめ、真面目なのか度胸に欠けるのかはわからないけれど、そんな有美ちゃんを焚き付けるふたりの勢いと、結局流されてしまった有美ちゃんのどきどきとしている、そんな思いが浮かび上がってくるようなところ、それがすごく微笑ましくって、楽しかった。と、これは表にあらわれる分で、裏というほどでもないのだけれど、前回は思いもしない気弱な面を見せたすみれの、けれど今回はあんずと一緒だから、すごくアグレッシブで、その対比たるや、ね。きっと、単行本で見たりすると鮮やかな対照を感じたりするのかも知れない。そばに安心できる誰かがいるから、やんちゃでいられる。そうしたところ、ちょっと困った気質ではあるけれど、元気そうなのはなによりでした。

しかし、策略めぐらすふたり、さらに上手のお母さん、こうした攻防も楽しくて、この家族の仲良いと感じられるところ、とてもいいと思うのでした。ところで、私も光り物に理解のないタイプです。ごてごてしてるの、ちょっと気持ち悪いの。

『夢喰いメリー』は、なんだかちょっと深刻に振れて、けれどそれでキャラクターの思うところ、さらに一歩踏み込んで知ることができた、そんな回であるように感じました。真っ直ぐすぎる、けれどちょっと不器用かも知れない、そんなエンギと、そしてお人好しかも知れないけれど、そこにはちょっとした気概もあったりしてね、光凪お姉さん、似てないパートナー、けれどふたりでしっくりとくる、そんな関係は魅力的であると思います。けれど、結局、主役4人、みんな真面目なんですね。そうした真っ直ぐさは、すごく少年漫画っぽくって、いいと思います。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』、いやいやエミ太くん、君は可愛いよ。いや、冗談とかじゃなくて、わりと真面目に。さて、本編。秋葉原イコールアニメやゲーム、そしてオタクという図式にむかむかとしているすずはとてもいい感じで、いや、秋葉原にオタクの文化があってもいいんだけれども、そうした一面を無理解とともに切り取った放送目にして、え? あんたら、笑いものにしようとしてるの? 馬鹿にしてるん? などと思ったことのある人ならああした気持ちもわかるんじゃないか。いやほんと、蹴飛ばせるものなら、蹴飛ばしたい、そんな風に思ったことさえあるものなあ。今でもあのタレント、大嫌いよ。でも、これは漫画で、問題提起をことさらに全面に、なんてそぶりはなしに、読んで面白く、そして脱力させてくれる、そんな揺さ振りでもって楽しませてくれて、大変よかったです。変わっていくことに対して思うこと、そこに留まり続けようとしている気持ち、そうしたものがないまぜになって、あのキックに込められたんだな、きっと。ええ、そうしたやんちゃっぷり、大変よかった。うん、実に気持ちのいい娘さんでありました。

天秤は花と遊ぶ』、サブキャラクターといってもいいのかな、愛華とリコの関係を描いて、そこに愁の迷い、戸惑いをのせて、それはまさに私の読みたいもの、であったのかも知れません。愁の選択、もしかしたら最後のあの放送、次回の展開が愁に選択を迫るのかも知れない。けれど、できるならもう少し今に留まって、なんて思う私は、実に欲張りであると思います。

銘高祭!』は、ついに銘高祭開会に漕ぎ着けて、けれど今回は、次号にいよいよ動くという予感をはらんで、静かに、けれどうずうずとした気持ちを隠している、そんな具合でありました。文化祭、どうなるんだろう。どんな光景が描かれるんだろう。出席すれど参加せずをモットーとしていた自分の学生だったころよりも気になっている。そんなところが、我ながらおかしいです。

『乙女王子 — 女子高漫研ホストクラブ』、こいつはいい! 副会長の思いの丈をぶちまけてしまうところからはじまって、しかし朴念仁はどうしようもないなあ、そう思わせたところに駄目押しをする。どうする、どうなる? はらはらしながら待って、そうしたら、もうね、あの事前の仕込みをやぶって、あの口下手な人が、自分の言葉で答えるという、それからの数ページ、とてもよかった。幻想と現実の間で揺れている思い、しあわせ、喜びと、悲しさ、切なさがひとりの胸の中に同時にあるというその描写に、ええいああ、ちょっともらい泣きでした。

そして、『温泉惑星』、最終回。って、えーっ! なんだ、えらいはやいじゃないか。ちょっと驚いてみたり。けれど、この漫画、温泉と美人姉弟ということで、裸がばんばん出てくるんだけど、それが妙に健康的というかで、あんまりいやらしくないんですね。そうしたところはわりと気にいっていて、それで、細腕繁盛記とでもいったらいいものでしょうか、そうした旅館を守り立てようというのり、ちょっと面白いと思ってました。だから意外。ちょっと残念でした。

2009年7月23日木曜日

百舌谷さん逆上する

 百舌谷さん逆上する』の第3巻。読み終えて、すごく安らいだ、そんな気分になって、いや、物語はまだまだこれからでありますが、しかしそれでも大きな山場を越えて、一旦の着地を果たした。そのように感じられて、しかし、それにしてもこの安らいだ気持ちはなんなのだろう。それは、ひとしきりの動乱を抜けて、これまで、物語において語られてきたことだけでなく、物語上の過去においても積み残されてきた事々に決着がついた。そのように感じられたことが大きかったのだと思います。その決着は、特に百舌谷さんと家族における物語は、少々急ぎ足だったように思わないでもないけれど、でも充分に納得のいく、それだけの仕掛けはあったと思う。そして、百舌谷さんの決意がはっきりとしたものになる場面、それは言葉にできない、したくない、ただ胸に思っているだけでもう充分と思えるほど。圧巻でありました。

しかし、いったいこの漫画のなにが私をこうもひきつけるのでしょう。やれツンデレだ、やれドMだと、もう本当にどうしようもないネタが頻出する漫画だっていうのに、でも私はそうしたネタで笑い、そして気付けば泣いてしまっている。臆面もなく、ぼろぼろと涙をこぼしてしまっている。それは、胸の奥、心に触れ、しぼりあげる、強い力を持った感情の動き、うねりのためだと思われて、それは疑いもなく、言葉の力であり、表現の力であり、そして作者の主張すること、その力であって、それら力が私を捉えてはなさない、空っぽの私に響いてやまない、だから私はもう参ってしまうのです。

ナツノクモ』でもそうだったと思います。私の心を捉えてはなさなかった。それは、あの不器用な人たちが、どこかしら欠陥を抱えた、そんな人たちが、自分の大切なものを守ろうと奮闘する様にうたれたから。そして彼らの姿に、やはりどこか欠けた自分自身を見てしまったから、なのだと思っています。『百舌谷さん』においても同様と感じていて、この漫画は、ヒロインが大きな欠陥を抱えている。まわりの人たちは、そんなヒロイン、百舌谷小音にふりまわされて、けれど百舌谷さんを見捨てようとはしない。それは、その人たちが完璧だからとかいうのではないのですね。歪んでいる、そうも思わせることがあるし、彼ら自身が無力を感じて打ちひしがれる、そんなことも多くて、けれど迷ったり苦しんだりしながらでも、自分の大切に思う誰かのために懸命になっている。そうした姿が見えるから、どうしようもなく切なくなったり、彼らがむくわれたと感じたときには、どうしようもなく嬉しくなったりするというのでしょう。

この漫画は、あきらかにわざと偏った人たちの、偏った出来事に焦点を当てていて、けれどそれは無力さを笑いものにしようとか、的外れな言動を笑おうとか、そんなそぶりはまったくなく、むしろ偏った彼らが自分たちの幸福をいかに追求するかを描いている、そのように感じます。自分の非力であることを自覚し、時に嘆き、苦しみながらも、もしかしたらまったくの無意味なことになるのかも知れないという怖れさえ抱きながら、それでも踏み出そうとする彼女、彼らの姿には、感動を禁じえません。弱さを知って、それでも誰かのために動こうとする、それは自己満足なんかではなく、その誰かのためであり、自分のためでもある。そうした物語に私はもう参ってしまっているのです。

2009年7月22日水曜日

『まんがタイムスペシャル』2009年9月号

今日は日食がおこる、ということで晴れたらいいなと思っていたのですが、あいにくの曇り。ああ、残念だなあ。そう思いながら、日食のはじまったぐらいにコンビニに向けて出発。そう、今日は『まんがタイムスペシャル』の発売日でもあるのです。コンビニにいって、帰ってきた時点でちょうど日食のピークかな、というくらいのタイミングで行動いたしまして、そう、日食、かくのごとしであります。

Solar eclipse at Kyoto Japan

『スーパーメイドちるみさん』は、大樹の思わず口走ってしまった言葉、単なる18禁美少女フィギュアだから!!! に感銘を受けてしまいました。18禁っていうのは、どうしても必要だったのか? うちなる要請がその言葉を発させたのか。いずれにせよ、18禁美少女フィギュアでちるみさんはひくということがよくわかりました。

『ほのか! しっかりしなさい』、『幼稚園ぼうえい組』の先生サイドに焦点をあてて、面白かったです。ちょっと設定のしきりなおし? いや、基本のところはかわらないのですけれど、こうして描かれるところが広がる、それで楽しみかたも広がるなら、それはとてもよいことだなと思いました。ところで、タイトルが『ツヨシしっかりしなさい』を彷彿とさせますね。あの、お姉さん(長女)、好きだったんだ。

『ポンチョ。』もちょっと雰囲気を変えて、なんと今回はお姉ちゃん編だ。もう、大好き。ほのぼのとした楽しさのある漫画なんですが、それはお姉ちゃん編でも変わらないんですね。清楚可憐な女子大生。趣味はアルバイト。しかも、かなりアグレッシブに取り組んで、飲食店は厨房フロアと大活躍、しかも工事現場で肉体労働も辞さないという、もう本当に生活力がある。そんなお嬢さん。しかし、そのバイトにあけくれる中に、妹、ペット、そしてカレシを大切に思っているっていうね、しかもカレシの前では強烈に乙女っていうね、そういうのがすごくよいなと思います。ああ、カレシは仕合せものだ、そんな感じのする漫画です。

夏休み特別企画は「お国自慢スペシャル!!」、ということで、だるま出血大サービスの師走冬子の笑顔のさわやかさ! というか、なんかこの人はいつもなんか小トラブルにまきこまれたりしてる、そんな感じがあって、でもめげない人だなあ。いつもなにか感じのいい、そういうところが魅力だと思います。

さてさて群馬に続き、長崎、滋賀、京都、福島、東京、埼玉ときて、しかしいろんな土地のいろんな名物、って、滋賀はそれ名物? ぶっちゃけ窓の外は退屈です! とか、ちょっと面白かったんですけど、ともあれ土地土地のいろんな名物、楽しみかたが現れてきて、それがとても面白かったです。そして、てっぱくからの流れ、あれは素晴しかった。てっぱくについては描かれないのかなと思ったら、いやいや次からもうてっぱくづくしといった様相を見せて、この興味をひいて、次に繋げる、この手は見事でした。

ということで、『たまのこしかけ』、居並ぶ鉄道に魅入られるたまこさんと、そして圧倒される係長が素敵で、いやもうものすごく面白かった。仕事よりも趣味を優先させる人と合流して、いや、仕事だけじゃなく鉄道がすべてに優先してるんだなこの人は。その意気やよし! そして、ミニ列車運転にドキドキする係長は最高。後ろからの指図におこるところなんかも最高。今回は、いきいきのびのびとして、本当に面白かったです。

『ハニーtheバンドガール』は、前回からの問題を意外とさらりと解決させて、けれど多分この人は今後もからんでくるんだろうな。それはちょっと面白そうで、だって、あのキャクターだもんな。期待しないではおられないって感じです。ソガさんの一途というか不器用さも、それからミツのわけわかんなくなってしまってるところも、見どころ多かった、そんな回でした。

『ココロ君色サクラ色』、これもう大好き。弟、妹たちの話があって、そして今回は兄、姉の側の話。この、絵のきれいなところ、そして話の、ちょっとくすぐったくなってしまうような、そんなところ。すごくいいです。

『ゆたんぽのとなり』、やっぱりこれ面白いです。お嬢ふたりの「砂上の白鳥」。シンプルなネタなんだけど、それだけに面白さがダイレクトに届くといった感じです。他の、キャラクターの個性をうまく使ってのネタも面白くて、とりわけ器用貧乏はよかった。なんせ、私も器用貧乏。もう、なんでしょうなあ。

『総てんねん工房』、これも面白い。シンプル、派手でない、けど面白さはじわじわと伝わってくる、そんな感じ。私はたまきさんが好きだけれど、普段から怖い宮本さん、この人もよくて、普通の人、常識で動こうとしてる人、だからつっこみ役。いい、ポジション。いいキャラクターだと思います。

『レイさんのお局日和』、おお、やっぱりレイさん、いい人なんだ。でも、どうせなら髪をおろしたレイさんも見たかったんだ。ギスギスした人、それがレイさんだけれども、やるべきことはきちんとやって、それで実は面倒見も悪くないっていう、ほんと、すごくいい人なんだ。ちょっと単純、結構素直。うん、これは純情レイさんを愛でる、そういう漫画だと思う。実際、かわいい人だと思います。

『もう一歩恋よ!』、驚いた、なんと宮部さんから意識する日がくるなんて。でも、これで話、ふたりの関係は動き出すというのか。いや、多分、そんなにやすやすとは動かないんだろうな、そんな気がします。

『雨のち晴!!』、ゲスト、ええとかわぐちけいってことは、『ふかふか』の人か! 応援しよう。田舎でパン屋を開く父とその娘、そんな漫画ですが、第1回はまだ状況の説明、導入という感じです。森の中で出会った女の子、その子と再開して、次回からどうなるんだろう。そうした期待を持たせてくれる終わりかたに、ちょっとこれは続けて読みたいな、そんな気持ちになっています。

『4コマの星』、なんと最終回。はやいな! ここ数ヶ月、面白くなってきたなあなんて思ってきたところでしたから、本当に意外、驚きました。『カンヅメコーポのチリー』にも動きはあって、変わった人、早乙女さんの正体が判明。思いもしなかった展開に驚いて、早乙女さんが今後出ないなんてことはないだろうけど、いやあ、でも、どうなるんだろう。いいキャラクターだったから、これからもどんどん出て欲しいものだと思うんですね。

『瞬け!シャイン』は今月も面白くて、やべッ 超期待しちゃう!!♥ ♥とか、もう最高だと思う。それからゴノレフ。食事もあくまで神事の一環。単発のネタも、長く続けてきたネタも、どちらもが面白く、レベルのすごく高い、そんな漫画だと思います。

そして、今月のスペシャルプレゼント。これはすごくいいと思います。いや、私は鉄道ファンとかではないんですけど、しかしそれでもなんか欲しい、そう思わせるものがあると思います。しかし、こういう企画や漫画の内容とリンクしたプレゼントというのもいいものですね。

  • 『まんがタイムスペシャル』第18巻第9号(2009年9月号)

引用

  • 師走冬子「スーパーメイドちるみさん」,『まんがタイムスペシャル』第18巻第9号(2009年9月号),4頁。
  • たかの宗美「自慢かコレ(笑)」,同前,72頁。
  • 安堂友子「瞬け!シャイン」,同前,171頁。
  • 同前,172頁。

2009年7月21日火曜日

放課後ティータイム

 買ってきました、『放課後ティータイム』。アニメ『けいおん!』の劇中歌ミニアルバムですね、買ってきましたよ。例によって、発売日は明日なんですが、いや、もう禁止事項とか考えないことにしました。っていうのもさすがにあれなんで、本とか雑誌に関しては守りますんで、勘弁してください。さてさて、CD買ってきまして、聴きまして、なんせこれが『カレーのちライス』の初お目見えです。どんななんだろうって期待して聴いて、いや、もう、こんな曲になったのか。しかし、どの曲にしても、正体不明なタイトル。どう考えても出落ちのようでしかなかったものを、こうしてしっかりしたものにしてしまう。プロってのはすごいなあ、心の底から思います。

しかし、『カレーのちライス』、これが面白くて、速いシャッフル・ビート、ヴァースが折り返したと思ったらランニング? 音が薄くなってただでさえ活きのいいベースがぐっと前に出てくるっていうね、それをキーボードが拾ってぐいぐい盛り上げにかかるっていうね、そういったアレンジの面白さがあるし、そして歌、まあこれもアレンジなんですが、あのOh... No No No No No Noに続くシャウト、カレーCHOPPILiライスTAPPULiがもう最高じゃんか。これ、LiveMixじゃどうなってんの!? 超前のめりで聴いたら、オー・ノー! シャウトはStudioMixだけなんだ! ちょっとがっかり、けど唯のNo Noがしっかり聴こえてきたから、それはそれでハッピーだったよ。

こうして、とりあえずの全曲聴きまして、一番好きとか、そういうのいえないのだけれども、『わたしの恋はホッチキス』とかね、LiveMixは#8「新歓!」Mixなんだそうですが、これ聴くと、ほら、アニメ第8話の舞台シーン思い出して、なんか胸にこみあげるものがあったりして、これは間違いなく映像や記憶の効果もあると思うんだ。あのね、講堂の薄暗がりから見上げるステージの光の中の4人ね、背伸びする梓ね、そして学校の風景、中庭、図書室、そうしたもろもろがなんかね、訴えるんですね。これ、なんていうの、人生のもう振り返ることしかできない時期の、もう遠巻きに眺めるほかない光景の、そういった特別な頃を思って泣きたくなってくる。そうした気持ちに、『ホッチキス』のギターのメロディがいやにマッチして、なおさら泣きたくなって、これは感傷だなあ。実際そうした場にあったら、逃げ出したくてしかたなくなる癖に。『けいおん!』アニメはこの上もなく楽しかったけれど、その楽しさに憧れながら、なにかないものねだりしているようで、ちょっと取り残された気持ちになってる。その寂しさに、『ホッチキス』はベストマッチですよ。もう、大好き。ひねくれてるなあ。自分でもそう思います。

最後にちょっとだけ『ふわふわ時間』、#12『軽音!』Mixの方。これ、あの最終回のライブでの、沈黙をやぶる紬のキーボード、あれがくるのかと思ってたら、ごめんね、ちょっとネタばれです、なかった! うわあ、がっかりだ! LiveMixはもちろんフルバージョンで収録されているんだけど、そこに重ねてあの演出があったら、もう涙腺崩壊ってな感じだったかも知れないじゃん。あの時のね、終わった、全部が終わった、そういった一瞬の気持ちの空白、やり遂げたかな、そうした思いに落ち着こうとするところに、私はまだ終わらせたくない、この時間がもっと続いて欲しいんです! 真っ直ぐ主張が飛び込んでくる。それがあのキーボードだったと思うんですよ。ムードメーカーではあったけれど、皆をひっぱっていくというよりむしろ他の誰かにのっかって動いてきた。そういう感じの強かった紬が、あそこまで強く主張せずにはいられなかった、その思いのほとばしりがぐっときたんです。だから、LiveMixにはあって欲しかったなあ、それこそ『ふわふわ時間』だけ10分オーバーとかでもよかった。というのもまたひとつのないものねだりというやつなのだと思います。

ところで、全般にワウが効いてて、ギターがすごいことになってます。なんか、大暴れって感じで、先生! なんだか楽しくなってきました! というわけで、来週はBlu-ray Discですね。あの、なんの予備知識もなく見た、あの感覚を取り戻せたらうれしいなあ。今はちょっと気張りすぎだと思う。そうした見方じゃなくて、もっとゆったりと、楽しんで見られたら嬉しいな。そんな風に思います。

CD

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用

  • 稲葉エミ『カレーのちライス

2009年7月20日月曜日

ROLAND CUBE Street

 昨日、知人からメールがありまして、なんだろうと思ったら、ライブイベントをするからギターアンプ貸して欲しいというような内容でした。けどなあ、私の持ってるアンプはVOXのPathfinder 10ってやつで、割と気にいって使ってはいるんですが、なんせ出力は10W。いくらなんでも、ライブには非力なんじゃないかなあ。そのように返事したら、30席くらいのカフェでのライブだっていうから、うーん、じゃあ、まあいけるかな? それはそうと、これはエレキギター向けのアンプだから、アコースティック・ギターには向きませんよ。そうしたら、返答がふるっていました。ヴォーカルのマイクに使いたいっていう話です。うーん、それはなおさら無理じゃないかなあ。なんてったってギターアンプだもんなあ。やったことないからわからないけど、素直な出音は望めないと思うんだ。

なんて話をしていて、マイクにもアコースティック・ギターにも、もちろんエレキギターにも対応するアンプがあると、きっと便利だな。なんて思ったのでした。ほら、以前にもいってましたけど、ROLANDのCUBE Streetとか便利そうで、これ、入力が2系統あって、マイク/ライン入力と、ギター/インストルメント入力があって、それぞれにディレイ/リバーブ、ボリュームが独立してついているのは便利かなと。それから、ギター入力ですけど、こっちにはモデリング・アンプがついてるっていうね。電池駆動可能だから、弾き語りするにはもってこい、なんていうアンプなんです。

5W/5Wと、やっぱり非力なアンプなんですけど、でも30席くらいなら大丈夫なんじゃないかな。実際に鳴らしたわけじゃないからなんともいえないけれど、もしこれがあったら、はいどうぞ、そういって解決したなあ。当面使う予定がないから、買って解決というわけにもいかず、だからカラオケのセットかなんか持ってる人を探す方がいいんじゃないかと返答したのでした。

そういえば、以前音楽やってる仲間うちでの集まりがあって、そこでベース持ち込んだ人が、これを使ってました。ベースアンプじゃないけど、結構使えるんですよ、なんていって、けどちょっと心配だなあ、なんて思ったことを覚えています。あの時、そこそこ広い部屋、けどホールやライブ会場というほどの広さはない、それくらいの部屋にならベース音を充分いきわたらせることができる、というのがわかって、だからやっぱりこれ欲しいなあと思ったことを覚えています。

件の人はどう解決つけたかはわからないけれど、MOBILE CUBEとか、あるいはDA5とかでもあったらよかったかもなあ。自分が買うなら、CUBE Streetがいいと思う。けど、簡易な多用途アンプとして使うなら、他にもいっぱいあるみたいだから、目的にあったのを探すのも面白そうです。実際、音楽系のイベントをやるような人なら、そういうのをひとつくらい持っておいても損はないように思います。

2009年7月19日日曜日

ライフ・イズ・ビューティフル

 久しぶりに『ライフ・イズ・ビューティフル』を見たのでした。1997年の映画、もう十年以上前ですね。けっこう古い映画です。なんで、今これを見たのかといいますと、このあいだ買ったBlu-ray Discプレーヤー、BDP-320の層の切り替えがどんな感じか、確認したかったんですね。ネットの情報で、層の切り替えでフリーズするみたいなのがあって、ほんとかよ、あんたのとこだけじゃないの、そう思って確認してみたんですね。ええ、このディスク、層の切り替えの箇所がわかりやすいんですよ。

層の切り替えのタイミングは、人間を載せた貨車が収容所に到着するところ。はじめて見たときに、え? と思ったくらいに待ちがはいって、それで多分ここで層を切り替えてるんだとわかった。層の切り替えってもっとさりげないものだと思っていた。だから、すごく印象に残っていて、それでBDP-320で層の云々と聞いた時、『ライフ・イズ・ビューティフル』の出番だなと思ったのですね。

見て、やっぱり面白い映画だなと思いました。映画を見るつもりでなかったのに、すっかり見入ってしまいました。画面が大きくなれば印象も変わります。ヒロイン、意外と老けてるなとか、いや、そりゃ最後の収容所の時点の年齢でキャスティングされてるでしょうから、しかたないとは思うんですが、これDVDのアップスキャンでなくって、つまりBlu-ray Discだったりしたら、もっと克明に表現されてしまうんだろうな。残酷。なんて思ったけれど、そういったもろもろも忘れさせてしまうほどに映画は面白く、そして面白さの連続に差し挟まれる不安な出来事。第二次大戦に突入しようというイタリアが舞台。結婚し、子供も生まれ、仕合せであったはずの主人公グイドは家族ごと収容所に送られてしまう。そう、時はすでに戦時下、ナチスの掲げる政策にもとづき、ユダヤ人であるグイドは、殲滅させられる対象とされたというのですね。

収容所での生活は過酷で、けれどグイドは息子を守るべく、これはゲームなんだといいます。基本的にコメディタッチの映画です。だから、現実の過酷をそのままに描いたりはしない。グイドは、息子を、妻を励ますために、無茶の連続だし、いくらなんでもそりゃ無理だろ、なんてことも多い。でも、そう思うたびに、現実に起こったことの苛烈さを一層に感じることになるのですね。男も女も、子供も老人も、たくさん死んだ。助かった人もあったけれど、それは運がよかったんだ。現実に彼、 — グイドのように過酷さに立ち向かおうとした人はあったとしても、圧倒的な現実の力の前に屈服させられただろう。いや、ついには現実感を喪失して、これが夢なのかどうなのか、わからなくなった人も多かったといいます。映画には、そうした過酷さは直接に描かれなかったのだけれど、しかしそれを思わせる瞬間というのは確かにあって、むしろドキュメンタリーのようにしなかったことが、逆説的に現実の無情さを際立たせたと思います。

さて、問題のシーン、層の切り替えですが、やっぱりそこそこ時間かかりまして、まあそんなもんなんだろうなって思いました。今度、PS3買うようなことあったら、そん時にもう一度試してみよう。

けど、この映画見るの辛いのよ。もう、いたましくて見てられない。人の仕合せってなんだろうと思う。今、私は、それはそれなりに問題も抱えているけれど、それでも仕合せなんだと思う。でもさ、それがいつ覆るかわからないじゃん。これは、そういう映画でもあるんだと思うんですよ。そして、仕合せだったけど覆ってしまったような人、あるいは覆ってしまった後に生まれて育ってきた人、つまり仕合せらしい仕合せを得られずにいる人ですね、もうなんてことだろうと思う。人生は無情だ。そう感じずにはおられない。だからこそ、私はこの映画の結末のささやかな仕合せ、それに一抹の安息を得て、けれどそれはグイドの戦いの全面的な勝利ではなかったわけで、そうした苦さには、現実から拭うことのできない過酷さ、そういうものを思ってしまうんですね。

2009年7月18日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2009年9月号

『まんがタイムきららMAX』は、『かなめも』がテレビアニメ絶賛放送中! だのだそうでして、実際見てみると面白いものであります。今は2話まで放送されたのかな。ページをめくるとキャストへのインタビューがあって、あんまりに小さな文字がいっぱいで、うっ、となって飛ばそうと思ってしまったくらいなんですが、流し読む感じで読みました。しかし、十年そこらかアニメ見ないでいたら、声優さん、まったくわからなくなってしまっていて、でも豊崎さんはわかるようになりました。しかし、いつも思うんだけど、なんで私は声優さんといって敬称つけるんだろう。漫画家さんなんていったことないよ。なんか、遠慮してる、そんな感じです。理由はわかりません。

かなめも』は、いよいよ夏休み。しかし、かなの成績の悪さ、これはやっぱり環境の問題があるんだろう、そんな風に思われて、いや、専売所が悪いっていってるんじゃなくて、例えばはるかとかが悪いっていってるんでもなくって、ほら、中学生が仕事しながら学校にいっているわけで、実際家庭環境が安定していない子はよい成績が出せないっていう報告もあるらしいからさ、そんな風に考えるとなんだか切ない、なんて思うんです。だから、どうかかなのあひるの行列は実力であって欲しい。そういえば、小学生にして所長代理をしている代理は、成績いいんだったな。うん、かなの実力であって欲しいと思うんだ。

ところで、キモ…って。あんまりに端的すぎて、びっくりしました。でも、うん、確かに気持ち悪い。

『落下流水』、合唱の話で出てくる、『大地讃頌』は、私も中学の頃に歌いました。『怪獣のバラード』は、知ってるけど歌ったことないです。そして、チコ……、ってのは『チコタン — ぼくのおよめさん』ですね。これは、聴いたことあります。強烈な印象を残す歌です。こういうの、プロレタリア文学的というか、そういう社会背景があってできたのかなあ。で、もうひとつのは知らなかったのだけど、調べたら、多分『日曜日 — ひとりぼっちの祈り』ですね。けれど、こういう歌が生まれる素地っていうのが、社会にあったんだろうなって思う。チコタンが1969年、日曜日は1970年とのこと。このころは、交通戦争っていって、交通事故の件数がすごいことになってたそうですが、それを受けて作られたのかな、って思ったら、どうも本当にそうらしい。今という時代に、こうして歌だけを切り取って持ってきたら、違和感を感じてしまうけれど、作られた当時には、これを受け入れることのできる実感のようなものがあったんだろうな、そんな風に思ったんですね。Amazonで調べたら、楽譜(ピース)は絶版? かわりにCDがみつかりました。レビューを見たら、ああ、この歌を愛している人はたくさんいらっしゃるのだなとわかって、なんだか嬉しかった。こういう感想を見ると、合唱指導っていうのも有意義なのかも知れないななんて思います。学校での合唱の取り組み、大嫌いだったんですけどね。けど、いろいろ思い出してみれば、嫌なことばっかりでもなかったかも知れない。そんな気もします。今でも好きな歌とかあるものな。けど、やっぱり学校あげての合唱指導とか、嫌いかなあ。

『フィギュ☆モ』、このところ、すごく面白くなってきています。しかし、危なそうな娘が出てきて、どうなる、どうなるって思ってたら、普通にアレな娘として受け入れられて、そしてかきまわすところまでいかなかった。むしろ、太刀打ちできてないって感じで、でもすごくいい感じ。科学部部長のキャラクターが一層立ったって風に感じたのですが、しかし、この漫画、頭から読み返したら、きっとめちゃくちゃ面白いだろうなと思います。ところで、コンプレッサーというと、エアブラシのだと思うのですけど、知らないうちに、違うコンプレッサーを思い浮べるようになってしまっていました。昔、エアブラシには憧れましたね。でも、コストが高いから手が出ませんでした。そういったことも懐かしいです。

ぐーぱん!』の、家族に信用のない未理。実は私もそんな感じです。もう、なんでなんだ。しかし、未理は普通に可愛い女の子になってしまってますな。その反対に、菜摘の思いがけないもの持ってきたりするような、そういうところが目立ってきた? いや、実は菜摘のそういうところ、大好きです。主役じゃないからこそ光る、そんなキャラクターだと思います。

兄妹はじめました!』、最終回。決着つくのか、あるいはいきなり数年後? とか思ったけれど、そんなことはちっともなくて、けれどゆるやかに変化はしている、そんな風を感じさせて、よかったと思います。これまでの雰囲気を、がらりと変えてしまうわけではなく、そのよさ、やわらかにあたたかい、そんな感じを残して、そして変化の可能性もうかがわせる、そんなラストは含みがあってよかったと思います。

天然女子高物語』は、碁石拾いがいい味を出していて、いい餌、そしてシビアな決着、うん、実にいい感じだ。ラッコは、私には面白かったけど、今もラッコの貝割り動作って知られてるのかな。昔、大ブームになったんですよね。ほんと、懐かしいなあ。というか、この先生、私と同年代ってことか、もしかしたら。

『お願い神サマ!』、ゲスト? 女の子同士の恋愛もの? 水彩っぽい独特の色調、いや、色紙に乗ってるからむしろパステル? すごくいい雰囲気で、これだけでもう好きになっちゃってもいいかなって思える感じでした。読んでみての感想も、鮮烈な印象を与えるって風ではなかったけれど、けれど悪くないと思う。細やかなネタに面白みがある、独特のテンポに味がある、悪くないと思います。

『くすりのマジョラム』、おお、魔法使いの御召物、Claraの服だ。しかし、虫が嫌いとか、だんだんに駄目なところが駄目押しされてきて、いいなあ。魔法の薬に、それっぽいメカニズムが用意されていて、こういうのは私にはすごく面白い。それで、ゲイ爆弾なんですが、これは実際研究されていたとかいう話は聴いたことあって、世の中って本当すごいなって思います。しかし、最後のページの2本。因果応報をうまく表現して、これは面白い。ところで、掲載誌的には女の子同士なんですね。

『PHz』がやけくそのような展開で、いや、ちょっと面白かった。やりたかったこと、今後の予定を全部ぶちこんだのか、それはわからないけど、こういう盛り沢山な感じは実際悪くないって思います。結構気にいってたみたいですよ。

はなまるべんと!』は、一段落。ちょっとシリアスで、陰鬱だった雰囲気が一気に晴れた、そんな感じがします。次回で終わっちゃうんですけど、それはどんな話になるんだろう。今、こうして取り戻された、ちょっとさわがしくて、けれどどことなく和やかな、そんな感じに満ちたものだったらきっと嬉しいなあ。『はなまるべんと!』は、実際そうした騒々しくも和気あいあいとしたところ、そこがいいんですね。そうかあ、ついに終わるかあ。ちかは可愛いなあ。あやめも可愛いなあ。だから、さみしいねえ。

『ヒメとトノ』、ゲストです。しかし、驚いたことに、中学時代回想の2本目読むまで、ヒロインが眼鏡かけてることに気付かなくって、おーまい、眼鏡が当然になってきてるのか? いや、冗談じゃなくて、このところ眼鏡眼鏡と書くことが増えてるような気がするんです。ゲストや新作のヒロイン、眼鏡かけてる人がやたら多いような気がするんです。けど、それはちょっとまずい。こういうものはマイノリティだからこそいいのに。っていうのは私の話。『ヒメとトノ』は、男女の恋愛ものみたいでして、絵は整っていて、綺麗だと思います。ちょっとエロゲっぽい? いや、それはあえてそう表現してるんだと思います。話の展開も丁寧に描かれているから、置いていかれるみたいな感じもない。こういう男女のラブコメ、ちょっとした駆け引きみたいなのが好きな人なら、きっといいと思うんじゃないかな、そんな感じです。

超級龍虎娘』、やっぱりこれ面白い。それにしても、この人、ABボタンって表現好きだな。そして新キャラ、春希の姉、実に奔放で、それがいい。弟はどうしてもこういう扱いか。けど、それがいい。で、姪を連れて歩くと、不審者扱いされると。うん、私も気をつけます。なんか、証明書がいるな。ところで、最後の続くっての、多分続かないだろうなって思いますけど、続いたらそれはそれで面白そうだな。

『つばき絶対数値』、ちょっとしたすれ違いと、関係の修復。嫌いじゃなかったんだ。わりと好きだったんです。だから、次号からの新連載というのが嬉しいです。次はどんなでくるのかな。また好きになれるものだったらいいなと思います。

『R18!』、まじめに将来を思うとこの業界やめたくなるから考えないのが一番よ、って、重いな。実際、廃業するところも多くなってきてる、なりつつある? って聞きますし、けど、実は私はこの業界の雰囲気が好きだから、ほら、あのエイプリルフール。いろんな業界あるけれど、この業界ほどに盛り上がるところも少ないと思うんです。もうみんなあの手この手。嘘ニュースとか嘘企画ならまだしも、トップページから変えてくるところもあって、農業法人ってなんだそれ、思わず求人探しちゃったじゃんか、みたいなね、そんなところが大好きで、ああ、この人たちは、本当にエンターテイメントが好きなんだ、楽しみ、楽しませることが好きなんだって感じて、だから、私はこの業界が衰退するのを望みません。∩(・∀・)∩いあ!こころちゃん!こころちゃん!

この作者も、業界の方なのかな? 今が苦境なら、なんとか暴風がおさまるまで持ち堪えていただきたいものだと思います。それで、風が凪ぐようにするにはどうしたらいいのか、それは私も含めて、関係するもの皆が考えないといかんことなんだろうなと思います。

あ、お金があったら、私も働きません。けど、これってダメ発言なのかなあ。しごくまともな意見だと思うんだけど、私自身駄目だから、その駄目さに気付いてないのかも知れません。まじめに将来を考えると死にたくなってくるから、もうなにも考えないもんな。うん、やっぱり駄目なんだと思います。

『ストロマロジック』、「打ち出せ! 科学部」、って、あー、あったあった。最終回にして思い出される科学部。この漫画は、ナンセンスなのも面白いんだけど、廃部でいいよもう、こういう唐突にネガティブに落ちるようなところ、それも面白くて、こういうセンスが私にはあってたんだろうなあ。『あぶさーどライフ!』も最終回。なんか思った以上に普通の話、いい感じにまとまって、この漫画も結構好きだった。だから、最後のこの雰囲気はよかったかも知れません。タイトルがここで出てくるとは思わなかった。うん、悪くない漫画でした。

なんかしんみりしてしまったので、最後、『ワンダフルデイズ』、うみさんのワンピース、その下のシャツ、あれが好きなんだ、水着とか袖ぐりとか私にはどうでもいいんだ、とかいったら、いよいよもって駄目になる気がしてきたので、ここは静かにしんみりと終えたいと思います。

  • 『まんがタイムきららMAX』第6巻第9号(2009年9月号)

引用

  • 石見翔子「かなめも」,『まんがタイムきららMAX』第6巻第9号(2009年9月号),7頁。
  • ぷらぱ「R18!」,同前,143頁。
  • こころからのお願い.txt
  • ストロマ「ストロマロジック」,前掲書,187頁。

2009年7月17日金曜日

『まんがタイムファミリー』2009年9月号

『まんがタイムファミリー』が発売されました。ついに9月号。わお、雑誌は一足も二足もはやく9月に突入して、気分は秋目前! ってったってなあ、まだ7月、夏の盛りはこれからですぜ。いや、夏の暑さをパスできるのなら、もう9月になってくれてもいいなあ、なんて思うのですが、それはあまりに頭が煮えてます。夏には夏のよさがあると信じて、頑張って乗りきりましょう。

『はちみつカフェ』は、話題の妹蜜が登場。思った以上に困った人っぽい。兄大好きで、協調性に欠ける? けど、ヒロインとかかわっていくことで、変わっていくとかあるんでしょうね。とりあえず、次回で採用通知でしょうか。話が動きだすには、まだもう少しかかるみたいです。

『おかいあげ!』は連載になったようで、よかったです。ストールと水着と、ふたつのテーマを、ちょっとからめながら繰り返して、面白かったです。しかし、この漫画は最後にフロアマネージャー伊丹凛と遭遇するというのがパターンであるみたいですね。今後どんな場所でのどんな遭遇が描かれるのか、それがちょっと楽しみになっています。

『美大道!』、面白くなってきました。って、いや別に頭脳明晰容姿端麗の吉野さんが出てきたから、そういうんじゃなくって。できるライバルが登場して、それでヒロインのいたらなさが強調されたかと思えば、けれどそれでもいいところもあるんだよっていう、そんなところも描かれて、いい感じかと思います。自分はまだまだだって意識して、吉野さんに負けないとついていって、そしてふたりの絵がよくなっていって、仲もよくなっていったりするんでしょう。そうしたプロセス、どんな道筋を辿るのか、それが楽しみです。

『さくらんぼステップ』、かわりもの十子さんの魅力が今月も満載で、いいなあ、実にそう思う。ふりまわされる士郎も最高だ。思わぬ期待をさせてしまったり、思わぬ期待を空振りさせたり、いいやつだなあと思わせてくれます。しかし十子さんのワンピース、素敵です。うん、実は水着とか袖ぐりとか、私には必要ないんだ。

『かのじょにごはん』、うわ扉が可愛くない! しかし、パスタ、あれは面白いな。茹でたてなら、さぞ美味しかろう。ちょっといいなと思ってしまった私は、この奥さんにさほど違いはないようです。ただ、背中の張り紙、あれは逆効果だ。盗ってくださいっていってるようなもんですぜ。

『一緒にかえろう』は詩緒の周辺がまた少しずつあきらかになって、父があって、そして姉があって、そのあたりはちょっと難しそうだな。父と娘の仲が悪いわけではなさそうだ。けれど、なにかがあったんだろう。そうしたことは今後描かれるんでしょう。たとえそれが深くつらい話であっても、最後に仕合せと思える、そんな状況になったらいいな。そんなことを思います。

おかあさんがいっしょ』、うつぼはやばい、うつぼはやばすぎます。けど、うつぼもたこも、妙に本物らしくて、けれど愛嬌あって、つうかお義母さんもみい子さんも、ものすごく楽しそうで、その表情が獲物のあせりぶりと好対照で、それがいいんだろうと思います。本編も面白い。そういえば、「スーパー」を読んでいる時、車内の冷房がものすごくって、奥さんがきてくれないものか、本当に願いましたよ。「アイスクリーム」でへこむみい子さんは、なんか気持ちわかる。その失敗してしまった、ここぞというところでしくじったっていうことがショックなんだよ、きっと。

『教師諸君?!』、けっこうよかった。いや、サリバン先生風衣装が素敵だったからとかじゃなくて。けど、あの扉絵はなんかいい。やっぱりロングスカートはよいなあ、っていうのはおいておいて、自由すぎる、そんな大人のわいわいとした話、それは楽しくて面白くて、いいなと思ったんです。ヒロイン西名先生の遺跡に対する熱意を見ると、教育実習を一緒に乗り越えた同窓生、彼の発掘にかける青春を思い出して、うん、大学で学ぶ、学校で教える人のなかには、自分の興味に熱意をそそいでいる人がありますでしょう。ロマンを追う、熱中する、そうした大人が好きなんだと思います。ああ、こういうの見たら、補助教員でもいいから、こういう場に身を投じてみたくなるな、って思ったけど、「アウェーの洗礼」を見て気持ちがかわりました。ところで、最後の四コマ、西名先生は最高だ! 理由はいまさらだからいいません。

『まかないガール』、面白いと思います。油断すると、ヒロインが男の子に見える。のはいいとして、この人の破天荒なところ。その個性が、よくもわるくも職場で受け入れられているってところ。怒られながらも、気には入られてるのかなって感じがつたわるように思います。なじめば、きっと、もっと面白い。そんな予感がします。

『プチタマ』。私はルービックキューブが苦手なんです。一度でも崩すと、もとには戻せなかったから、ばらばらにして組みなおしてましたね。そんなこと思い出しました。多分、今でもキューブは3面揃えるのがやっとだと思います。『おはよ♪』の扉絵、まるで母娘のようです。いや、説明があんなところにあるから、なおさらそう思ったんですけど。しかし萌香ちゃんは萌えだ。暑苦しく愛を叫ぶ父をうとましく思いながらも、本心ではそんなに嫌がってはいないのかも知れない。そうしたとこれが語られるごとに、なお萌えるのであります。

『ハモニカ文庫』は選挙の話。はじめての選挙、はじめての投票に迷うお嬢さん。けど、自分もそんなだったように思います。基本的に棄権なんてしない私だけど、わかって投票してたかといわれると、はたしてどうであったか。何度か投票して、その結果を見て、それからの状況を見て、その繰り返しで、ああ、選挙とはこういうものかっていうのがわかるようになったんだと思います。このお嬢さんも、これからそうして、だんだんにわかっていくんだろうなって思います。まあ、私自身どこまで政治とかわかってるか、疑問ではあるんですけれど。けど、それでもわかろうと、ちゃんとした投票をしようと、試行錯誤することは重要だと思うんです。

『ことりコーラス』、よいよ、よいよ。合唱部の活動が描かれる。そして、歌手を目指すカナの気持ちが描かれる。そのふたつのバランスを取りながら、部活ものとしての面白さと、少女の夢実現ものとしてのよさと、それから友情ですか。うまく、表現されているように思います。ゲスト掲載3回目。これがゲスト枠としての最終回なのかも知れませんが、この3回で、カナの動機も、るりの気持ちの揺れや成長も、そして部活の仲間のありようも、よく描かれて、まとまって、そして未来に開かれた、そんな終わりかたがいいなと思えて、続いて欲しいなあ。本心、そう思います。それで、NHKあたりがドラマにしたらいいんだ。

『きょうも幸あれ』。高校生の男女、ガール・ミーツ・ボーイ? そんな風に思うんですが、第1回では、保育園児の妹と兄貴の関係が強烈にフォーカスされて、にぃに大好きなさっちゃん、さっちゃん大好きな兄貴、そこに割ってはいれない女子高生。面白いなあ。はからずもお地蔵さんを熱心に拝んだりっていう、その表現というか、つっこみが面白くて、こういう細部、よい感じに効いていました。で、さっちゃんがこのふたりを橋渡ししたりするのかなと思ったら、いやいや、なんのなんの。さっちゃん手強いな!

そして『はるなちゃん参上!』が最終回。なにかストーリーが展開するわけでもなく、毎度毎度どたばたどたばたとしている、トムとジェリーっぽいっていってもいいでしょうか、そんなスラップスティックが楽しい漫画でした。好きでした。だから、終わるのはさみしいけれど、最後までいつものようにどたばたとして、だからちょっと晴れ晴れとして、そしてちょっと残念で、そんな最終回でした。お疲れさまでした。

  • 『まんがタイムファミリー』第27巻第9号(2009年9月号)

引用

  • さと「美大道!」、『まんがタイムファミリー』第27巻第9号(2009年9月号),22頁。

2009年7月16日木曜日

大不況には本を読む

 『大不況には本を読む』、ようやく読み終えました。新書なのでもっとさっさと読めてもいいんですけど、合間に雑誌やら漫画やらいろいろはさみながらなので、こんなにも時間をかけてしまって、ええと、買ったのが6月25日。三週もかけてしまいました。さて、『大不況には本を読む』。なんかえらいぶったタイトルだなあと思って、それこそ出版業界最後の悲鳴だろうか、なんてうがったこと考えたりして、当初は黙殺するつもりでいたのです。ところが、著者名見て軽々と反転。おおっと、橋本治じゃないか。買おう。買いました。ええ、私は橋本治が好きなんです。

しかし、実に橋本治らしい本であります。大不況には本を読めとばかりのタイトルなのに、この度の大不況を文学者橋本としてどう見るか、それにほとんど紙数がついやされています。この大不況、アメリカでのサブプライム問題に端を発する不況、そいつを準備したのはどういう状況だったのかが振り返られ、先進国と後進国という枠組みや、工業製品を作って売るという、本来なら後進国に機能が移譲されるようなことを、先進国の仲間入りをしたあとも愚直に続ける日本という国の特異性などが語られたりして、その評価が妥当かどうかは私にはわかりません。けれど、この江戸時代の町民の生活様式から現在にまでいたるまでの日本の状況が、橋本治の視点からざっと概観される、そのまとめに関しては納得のいくものであった、そのように感じて、それはきっと私自身が似たような考え持ってるからだとも思います。身にあわないものは持たない、程々の暮らしを教育された世代の私は、実際のところ、そういう生活は送っていないのだけれど、けれどどこかでブレーキをかけないといけないんだ。そう思っている。だから、橋本治のいうことはわかるんです。ただ、そのブレーキを、私ひとりではなく、皆でかける、その方法がわからないんですね。

わからない。それはしかたがない。けれど、わからないままにしちゃあいかんよなと思う。ただ、知りたいことの答は用意されてないよ。すべての問に答は用意されている、そんな風に思われていた時代はとっくに過ぎ去っちゃったよ。それが橋本治のいわんとすることなのですね。今、この大不況を経験し、なんとかしないといけない、そう思っている私は、そのしないといけないなにかを知るために、自ら考えないといけない。今はそんな時代に入ったというんですね。考えるための材料は、大不況に至るまでの百五十年。ついに壁にぶつかってクラッシュしてしまった、近代という時代そのものだ、橋本治はそういいます。近代を振り返ろう、そのためには本を読むんだ。ただ、本に書かれていることを読むんじゃない。読むべきことは、本に書かれていないこと、行間だ。それは、本を通し自ら考えることだと橋本治はいいます。ええ、考えることを放棄してきた時代があった。その結果が世界的な経済のクラッシュであるのだったら、今のどうにも足踏みしている状況を、立ち止まり振り返るための機会と捉えて、もういっぺん、自分で考えるをやってみたらいいんじゃないか。社会の、世界のなにかについてまでは手がまわらないかも知れないけれど、少くとも、自分自身の身の処しかたくらいは考えてもいい、いや、考えないといけないな、そんなように私も思ってきて、ただそれをやってこなかった、ずるずると先延ばしにしてきた。それじゃいかんなと、あらためて思ったのでした。

わからないことをわかるには、自分で考える。考えるに際し、本を通して来し方を振り返るのもいいでしょう。じゃあ、なんの本を読んだらいいの? なんでもいいんだっていいますね。だから、私は、こういう時に決まって読む本を出してこようと思います。

浮上せよと活字は言う』、橋本治の本、これが私が橋本治を知るきっかけでした。

自分の立っている位置がわからなくなったとき、これからどこへ向かうべきか迷ってしまったとき、[中略]私は本に答えを求めます。そしてその時そばにあってくれればよいと思うのは、橋本治のこの本『浮上せよと活字は言う』。私にとってこの本は、航海士にとっての羅針盤であり渡り鳥にとっての地磁気のごとしです。たとえどんなにあやふやな立ち位置からであっても、自分の本来たどろうとしていた道に帰ることができる、これは本当に貴重な一冊です。

ええ、迷ってしまっている今、またこの本を頼りに、見失ってしまった自分を見付けてみようと思います。それは、つまりは、再び自分のきた道を振り返る、考えるということなのかと思います。

引用

2009年7月15日水曜日

SEIKO 鉄道時計 SVBR001

 今日はなにで書こうかな。そう思って、Amazonにいってみたら、いつのまにか時計を扱い出したみたいですね。なんか、趣きのある懐中時計が広告されていたから、興味をひかれて見にいったんです。けど、時計もなかなか好みにがっちりあうというのがないんですよね。私の好みは、とにかくシンプルであること。文字盤はローマ数字好きだけど、アラビア数字でもかまいません。見やすくて、おおむね正しく時分秒がわかればオッケー。機械式であればなおよし。そして、最後に譲れない点がひとつあって、それは懐中時計であること。いやね、腕時計が嫌いなんですよ。あの、手にベルトが巻かれているっていうのがいやで、高校の時分は、腕時計を胸ポケットに入れてましたね。あれはセイコーの時計だったかなあ。高いものではなかった。金色のクラシカルな風貌の時計だったと記憶しています。

そうだ、最初に買ってもらった時計は、デジタルの時計でした。あの頃は、とにかくデジタルがはやってたんでしたっけね。多機能で、ストップウォッチのモードがある、ゲームもできる(面白いかどうかは別問題)、そんな感じだったように思いますが、これは数年で動かなくなって、それでさっきいった腕時計を買ったのでした。ベルトは皮っぽく見せてるけど、縫い目やら全部型押しのゴム製で、ほとんど腕につける機会がなかったから、真っ直ぐなままでしたね。これも数年で動かなくなって、次は、買わずにすましたのでした。

父の時計を貰ったのです。セイコーの時計。

Pocket watch

ズボンのベルトに下げてました。これ、ぜんまい巻かないといけなくて、毎朝巻いて、それから時間を合わせて、一日一分ほど進んじゃうんですよね。でも気にはしない。時計なんてものはおおむねの時間がわかればいい。毎日進むんなら、毎日合わせてやればいいだけの話です。だいたい、毎日ぜんまい巻くんだから、そんときにでも時刻を、基準になる時計に合わせる、それでいいんです、時計なんて。だいたい、無線のないころの船乗りじゃないんですから、そんなに精度は必要ないんです。

そういう考えは、この父の時計が教えてくれたように思います。

その後、風防が割れて交換。ベルトにつける紐も一度交換。純正とかではなく、手芸店で買った紐です。一時期、ファンシーショップで買った、スケルトンの小さな手巻きの懐中時計を使ってたけど、時計の周囲の木製の輪っかが割れてしまったので、こいつは引退。再び父の時計に戻って、これはつい数年前、ん? 去年かな? まで使われていました。もうぜんまいが駄目になったのか、動きがおぼつかなくなって、修理も考えたけど、費用やもろもろ考えて、泣く泣く引退させて、そして、やっぱり父の時計を貰ったのでした。

My pocket watch

やっぱりセイコーの時計。やっぱり懐中時計。ただし今度のは電池式、クオーツ時計です。時計の裏を見たら、56-032とあったから、いくらなんでも1956年はない。昭和でしょうね。1981年のものかと思われます。会社からの支給品で、変更前の社章もはいってて、私は現社章いまだに嫌いだから、一昨年だっけ? 創立100周年記念時計とか欲しいとも思わなかった。もし買うなら、通常品、SVBR001を買いますよ。

できれば気にいったものを使いたい。機械式の懐中時計。セイコーが、機械式の鉄道時計を復活させてくれたらいいんですけど、それはさすがに期待できません。だから、いろいろ気にしつつ、よさそうなものがあったらそれを手にしたい。でも、これと気にいるものは、これまでも出なかったんですから、これから出る可能性は低いと思っておいたほうがいい。だから、多分これからもセイコーの鉄道時計を使い続けるんじゃないかと思うんですね。父の時計が動かなくなる日がくるとしても、修理して、それが無理なら現行品を購入して、これを使い続けるのだろう、そのように思います。

しかし、こういうのは、時の記念日に書いたらよかったような気がします。

2009年7月14日火曜日

Pioneer ブルーレイディスクプレーヤー BDP-320

 先日注文したBlu-ray Discプレーヤーが届きました。Pioneer BDP-320。いやね、もう買うことは決めていたし、だから後はいつ注文するかだけという状況であったのですが、このままいつ注文しようとタイミングを見ていたら、きっとぎりぎりまで待ってしまって、そうしたら市場から払底してしまって、みたいな最悪の事態もあるかも知れない。なので、ちょっと早めに、目標の二週間前に到着するくらいのタイミングで買うことにしたのでした。二週間前なら、もし初期不良が出たとしても、どうにか対応できるだろう。そうしたことも考えての決定でした。

さて、到着して、パッキングリスト確認して、それでテレビと接続するのですが、一本しかないHDMIケーブルはケーブルテレビのセットトップボックスが押さえてしまっているので、セットトップボックスを外して入れ替え。セットトップボックスは来週返却するので、これは予定どおりです。BDP-320に繋がるケーブルは、電源ケーブル、HDMIケーブル、それからLANケーブル。LANケーブルは最初のアップデートに使うだけだから、ケーブルは最終的に2本まで減ります。これは本当に便利でいいなと思います。映像ケーブル、音声ケーブルと3本繋いで、電源ケーブル繋いで、まあそんなにはかわらないとも思えますが、テレビ側からすれば劇的に少なくなるわけで、このHDMI一本で片付くというのを知ったときには、時代は進歩したんだなと思いましたよ。

最初の電源投入時にはセットアップ画面が表示されて、これはほとんどおまかせで完了。ネットワーク設定も、うちはDHCP使えるし、プロキシ設定も必要ないから、ケーブル繋ぐだけ。ファームウェアアップデートは20分ちょっとかかるよみたいにいわれたけど、そんなにはかからず、いや、どうだろ。ダウンロードよりもファイルの展開に時間がかかってるように感じました。しかし、カーネル書き込み中みたいな表示が出たりしてたけど、中身はLinuxだったりするのかな。現時点での最新バージョンは3.25。私はなにも考えずネットワーク経由でアップデートしたけど、ファームウェアをPCでダウンロードしてCD-Rにコピー、それを読ませるという手段も使えるみたいです。よくできてるなあ。ただ、提供されているファイルが自動解凍書庫で、Macintoshユーザーにはやさしくない。StuffIt Expanderにドロップしたら展開できるんだけど、けどこういうの知らない人もいるだろうしなあ。なんで素直にZIPで公開しないんだろう。

使用してみた感想を少々、とはいうけれど、まだBlu-ray Discは持ってないので、DVDとCD-Rを試してみただけなんですが。まず起動に関して。結構時間がかかるという印象です。BDP-120はクイック起動に対応しているので0.8秒で起動するんだそうですが、BDP-320は12秒くらいかかってますね。で、DVDのロードにもちょっとかかる。でも、HDMI連動がかかるから、うちのテレビだと再生にあわせて自動でテレビの電源も入る。ディスクは基本的にトレイを閉じてロードがすめば自動で再生されるから、電源ON、ディスクをケースから取り出しつつ待つ、ディスクをセット、ロード中に視聴位置に移動、こんな具合にしたらよいのかなあ。でも、多分、Blu-ray Discだともっと時間かかるんだろうな。そのときは、お茶でも用意するか。

DVDのアップスケールは、問題ないかな。テストに使ったのは山崎まさよしの『ONE KNIGHT STANDS on films』、やしきたかじんの『Yashiki Takajin — 50 Years Old Anniversary Special Concert』、『ウォーキング with ダイナソー — 恐竜時代 太古の海へ』。音楽ものは、もともとそんなに気にならんですね。でも、以前PS2で見たときのような、ああ、やっぱり画質が悪いなと思ったような感じはなくて、でもちょっとかすんだような、ぼやけたような感じはあるんですけど、まあ、それは気にしない方向で。

CD-Rを試したというのは、母が海外旅行で撮ってきた写真をCDに保存しているのですが、そういうのを再生できるんですね。ただ、展開がすごく遅い。これはもうしかたないんだろうとは思いますが、たくさんある写真を一覧したい、そういった用途にはPCが断然いい。だから、家族でゆったり写真をながめたいという場合にはBDプレーヤーをという使いわけがよさそうです。発色も、ぎらぎらしたような感じはなく、自然な感じ。悪くないねというのが、母と私の感想です。

ところで、画面表示を切り替えると、映像と音声のビットレートが表示されたりして、ちょっと面白いです。映像(MPEG-2)のピークは7Mbpsくらい。音声(リニアPCM)は1.53Mbpsで動かない。こんなの意識したことがなかったので、なんだか意外な感じです。最大レートはどれくらいなんだろう。明るくてよく動く画像だと、きっと7Mbpsではすまないように思うんですけど、まあいいや、ちゃんとうまいことやってくれるでしょう。

このプレーヤーの真価は、あくまでもBlu-ray Discを見てみないとわからないわけですが、それには7月29日を待たないといけないわけで、なので今はこれくらいの感想にとどめておきたいと思います。

2009年7月13日月曜日

『まんがタイムラブリー』2009年8月号

今日は13日。『まんがタイムラブリー』の発売日です。季節は夏、花火がテーマなのか、あるいは浴衣がテーマ? なんか一人だけ迷彩装備の人がいますが、それはまあ気にしない方向で、ええと、浴衣です。手にしている小物は、うちわ、わたあめ、金魚すくいの袋、そして89式小銃ですか? いや、銃器とか詳しくないんですけど、自衛隊で制式採用されてるっていったら89式かなと思ったんですけど、けど、どうも調べたらこれは64式小銃みたいですね。って、どうでもいい話でした。ともあれ、私としては短期集中☆ゲストである『視界良好』が表紙に出てきているというところに驚いて、人気あるのかな。もしそうなら嬉しいことであります。

『天使な小悪魔』、驚きました。なんと、カイトの迷走はまだ続くんではないか、そう思っていたんですが、なんとひとまずの決着がなりました。身近な誰かをモデルにして、一気に過去に決別。けれど、人ってのはこうして経験から答えを導いていくものなんだろうなあ。いずれにしても、カイトは立派になって、うん、ちゃんとしたいい話であったと思います。この後は、母親との決別ないし決着が待ってるんかも知れませんね。

うさぎのーと』はフリーダム教師陣があいかわらず楽しくて、ビート板に立つは転ぶは、やりたい放題。そのやりたい放題っぷりがよいなあと思うのですね。最後の落ちは期待の片岡でしたが、やっぱりこの人、人気があるんだろうなあ。可愛けりゃ、男も女も関係ない時代に入ったのかも知れません。いいことですね。

『だんつま』は、海、子供会のバス旅行。しかし、参加せずとも、タオルの汚れで妻の食事動向を把握する旦那はすばらしい。でも、きっと、世のお母さんがたは、子供の食事動向をこういった汚れから推測したりしてるんでしょうね、って、この人はどこまでいっても大人にして子供なのか。大人といえば、サブタイトルの「大人ですよ」はちょっと嬉しかったり。

サクラ町さいず』は好例のお盆の帰省。いや、これは帰省っていうのかな。デコられたミニ仏壇、あのデコるっていうんですか、あれ正直なところいいまして気持ち悪いんですけど、はやく流行りが過ぎてくれないかなあってずっと思ってます。しかし、この漫画の幽霊たちは、皆ゆったりと自分の死後を満喫して、死がこのように穏やかでやさしいものならどんなにかいいだろうと思うんですね。授業参観のコマなんて、なんと幸いであろうかと、そんな風に思うのですね。

『ペンとチョコレート』は、ちょっとヒロインに恋愛の目が出てきたと思ったら、まさかの展開でひき。ここはやっぱり、明るくもう一回同じの描いてくださいっ!! 一度描いたものですから、楽勝ですよね! といって欲しいものだと思います。この人の仕事振りに関しては、大ポカをすることもまれにある私は決して責めようとは思いません。けど、なんかいやな展開を思わせる、いや普通に発見されるんだと思いますけど、でもなんかちょっといやな展開になりそうで、どうなんでしょう。異動かな。

先生はお兄ちゃん。』、これまでたびたび見掛けてきたピョコたんの着ぐるみと、その中身が判明して、それでまゆの気持ちが先輩に傾いていくって、思いがけない展開と思えます。実際これまで匂わされていたムーンチャイルドの関係者の話、そのへんも含めて、まとめてしまうのかな、なんて風に思えて、でも動きがあることは悪くないのかも知れない。などと、前向きにとらえておこうと思います。

『縁側ごはん』のキー坊、この人のバックグラウンドがちょっとずつ見えてきているのか。つまりは画学生ってことなのかな? 自由な気風の姉弟と、厳格な過程に育った娘さん、その三人で話を進めていくのか、ふたたび姉弟メイン、というかキー坊メインか、に戻るのか。なんとも掴みどころのない人たちの、掴みどころにかけるストーリー。その掴みあぐねてしまう、その感触がいいのだと思います。

『カフェらった!』は、なんか不幸っぽい設定がなくなったと思ったら、ずいぶんと普通の感じになって、けど、普通でいいんだと思います。わがままっぽく振る舞うお母さんは可愛いな。

『きまぐれオフィス』、なんとみんなで創業したっていうのか。けど、そんな会社だっていうのに、女子社員に制服があるっていうのが古めかしくて、趣味? まあOLの記号的表現なんでしょうけど、それにしても意外な設定出たって感じで、ちょっと驚きました。

『視界良好』、眼鏡。眼鏡に対するフェティシズム溢れるお姉さんの漫画なんですが、あれ? お姉さん、OLになっちゃったの? 驚きました。以前に別の雑誌でゲスト掲載された時は学生だったのに、でも、OLになってもあんまり問題ないって感じで、普通に読んでいけますね。学生の方も連載になるといいのに、などと思います。

『アイムホームあかり』は、大家さんヒロインのアパートもの。ちょっとどじで、けれど明るくてっていうキャラクターはベタだけど、それだけにあんまり揺さ振られることなく、安定して読めるように思います。こういうタイプの漫画は四コマらしいと思えて、結構好きです。マザコン疑惑とか、結構いい感じでした。

『できる女には秘密がある』、眼鏡。できる人を装っているけど、実は……、って漫画。けれど、その正体を怪しむ人が出て、しかしそれでもロッカーを勝手に開けちゃいかんだろう。とはいうものの、その逆境になりかねないところを機転でひっくり返す、それはやっぱりできる人ならではなのかも知れません。というか、女性のロッカーをさぐってたのがばれるようじゃ駄目だろう。そんなのは、もっとうまくやらないと。こんなじゃきっと、いい感じにヒロインの下僕的ポジションに安定しそうな感じがします。

『ヒーロー警報』、もうY、大好き。絵本を読んであげているシーン、困惑した表情なんて、もう最高じゃないか。いいじいさんだなあ。しかし、いつもいい子で手のかからないかおりが、毎落ちで大泣きするっていう、それは実にいい感じでした。ぎゃーんって! なんかいい話風にまとめるけど、そこにはあんまりいいことばっかりでもない裏がちゃんと描かれていて、きっとじいさんが金で解決したんだろうなあ。それと、あのワンリンガルは台詞の選択が駄目すぎると思う。大人には受けそうですけど。

『ミニっきえにっき』、子供の気紛れ。実際、子供が喜ぶのを見るのが嬉しくてならないんだろうなって思いますけど、けど子供は実際に気紛れだもんなあ。こういう、本当の子供を思わせるもっともらしさ、よく観察してらっしゃるなあと感心するばかりです。バナーナ!

『たまのやすみの』、眼鏡。というか、市井先生じゃないか! この人、大好き。女性にとっての嫌な現実がコミカルに描かれる、って感じなのですが、けど二十代ならまだまだ問題ないのでは? と思うのが間違い? でもこのお母さん、ゆうか(市井先生)にはあれこれグチグチいうのに、妹みちかもそれを許容してるように見えるのに、いざ自分に話を向けられたらやめてよなんて、勝手なもんだ。でも、この姉妹、オタク受けがよさそうなのは姉の方だと思います。というか、オタク受けのよさそうな適齢を超えようとするお嬢さん、婚活とか関係なしに、四コマのジャンルではブームなんでしょうか。実際、市井先生みたいな人は魅力的だと思います。いや、魅力的だと思うからこそ、安心して読んでられるのかも知れません。

  • 『まんがタイムラブリー』第16巻第8号(2009年8月号)

引用

  • 島本和彦『吼えろペン』第9巻 (東京:小学館,2003年),122-123頁。

2009年7月12日日曜日

GA 芸術科アートデザインクラス, かなめも

  アニメの話題です。先日第1話が放送された『GA』と『かなめも』、ちゃんと両方見ましたよ。『GA』は、なんか放送時間が当日になってみないとわからないみたいな話だったので、予備でセットトップボックスにアニメ放送枠を全部録画することにして、それがもう大正解。雑誌にあった放送時間から15分ほど遅れて始まったみたいで、こんなことならテレビの側を枠録画にしたらよかった。後の祭りであります。しかし、タイトル単位で番組の情報出してくれないの、不便だなあって思います。

さて、アニメ『GA』、アニメ『かなめも』の感想であります。

まずは『GA』。あまりのテンポのはやさに驚いたりたまげたりしながら、第1回目視聴を終了。ものすごい詰め込み、それこそ1.3倍速再生をしているんじゃないかというような密度で、これ、もうちょっと間があったらいいのにな。時間に対して台詞もネタも多いから、どんどん早口で消化しないと追い付かないような状況になってしまっていて、見ていてちょっとしんどい。これ、同内容で1時間とかだったら、きっとすごくよかったと思います。

というのが、初見での感想だったのですが、2度目の視聴。セットトップボックスが0.8倍速再生できるってわかりまして、よし、これだ! 0.8倍速で『GA』を見てみたら、おお、違和感がない。如月なんて、まさしくこのテンポでこそ如月! そんな感じでありまして、しかしこの速さでは、ノダミキのあのキラキラとした感じが失われてしまう! なので通常再生に戻して、けど2回目ともなると、特に問題ないなあ。確かにテンポははやいと思うけど、この畳み掛けるようなネタの流れ、結構悪くない。ぽんぽんと矢継ぎ早に出てくるネタの数々、ピクトグラムとか、落ち着いて確認してというような余裕はないけれど、考えるのではなく感じることで対応できる。仮に見落しても、大きな流れには影響がないから、これはこういうテンポのものとして、勢いもろとも楽しむが正解っぽい。実際、2度目は問題なく見ることができました。そうなれば、もともとが面白いと思っている『GA』ですから、楽しい、面白い、いいじゃんか、となるのも自然なことかと思います。

しかし、ピクトグラムならピクトグラムで一話構成するくらいのゆったり加減でもよかったと思うのに、それをあんなに一度に一気にいっぱいやってしまうっていうところ、考えてみれば贅沢だなって思います。

『かなめも』は、オーソドックスな感じだなと思いました。けど、ゆめゆうきの描写がちょっと苦手かなと。具体的にいうとゆうきなんだけれど、この人のちょっと病んでいるんじゃないかと思うくらい過度に示されるゆめへの偏愛。あの甘いカレーを食べる描写とか、なんかうっと思ってしまって、でもそれがこのキャラクターの持ち味だっていうのなら、私はゆうきは避けるようにしよう。反面、心配だったはるかが、大丈夫とはいわないけれど、問題なく受け入れられる、そんな感じになっていて、でもまあ、あのパンチラ対策のアイコンとか見ると、ちょいやり過ぎな気もしないでもない。DVDだったら外れるんでしょうね。けど、多分DVDまでは買わないなあ。

個別のキャラクターのうんぬんよりも、かなをめぐる皆の態度であるとか、そういうのがよかったと思っています。かながもう身寄りのないことを告白する、その時にゆうきがかなのカバンについているリボンに目を落す。代理が受話器を置く。そうした流れや、かながほぼ着の身着のまま出てきたことをいうと、次々と援助の物資が出てくる、そうした描写にはなにかぐっとくるものがあって、そして寝ようというかなの布団に涙がぽたりぽたりと落ちるところなんかね。『かなめも』は、表に出てくる色、はるかのあれっぷりとか、ゆめとゆうきの関係とか、そういうのの裏にこういう人間味のようなものがある。そればっかりだと辛気臭くなってしまうかも知れない、そうしたものがそっとにぎわいのそばにたたずんでいる、そうした感じがよいなと思うんですね。

さてさて、動いて声がついて、誰がよかったか? 『GA』ではノダミキ、『かなめも』では代理であります。というか、『かなめも』は代理とひなた以外に常識人がいないっていう感じだから……。原作ではひなたが好きだったんだけど、とにかく花がないというか、目立たないからな、この人。『GA』は、原作ではこれという贔屓はなかったのですが、けれどアニメではノダミキの印象が一層に強くなって、あの声が可愛いなあ。って、こないだは如月の声が可愛いっていってたじゃないか。とまあ、考えの落ち着かない私のアニメ視聴、最初の印象でございました。

  • 石見翔子『かなめも』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社.2008年。
  • 石見翔子『かなめも』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社.2009年。
  • 以下続刊

2009年7月11日土曜日

美女、ときどき野獣

 最近、男の娘ってのがはやりなんだそうですね。でもって、ネタばれになっちゃ悪いから具体的になにかはいわないけれど、人気のゲームに出てくるキャラクターが男の娘だと判明したそうで、その筋の人の間では大盛り上がりなんだとかいうことを聞きおよびました。そうかあ、男の娘かあ。以前、そういうキャラクターがいると聞いて、買ってプレイしたゲームがありましたっけ。といったわけで、実はちょっと件のゲームにも興味が……。いや、買いませんけどね。で、かわりといってはなんだけど、漫画をひとつ。これ、書店で表紙を見て、おおっ、と思って買ったんです。『美女、ときどき野獣』。男の娘か? っていわれたら、いや、そりゃさすがに違うんだけどもさ。

女性アレルギーの主人公が、学祭で出会った美女。しかし、彼女は実は男でした、っていう話なんですが、いやいや、どう見てもでかすぎますから。がたいよすぎますから。しかしですね、凛々しすぎる、どうみても男、こういうやつが女装していますっていうシチュエーションもなかなかいいなって、それで学祭終了後、普通の格好で出てきても、またそれがいい感じ。さばさばして、人懐っこくて、ちょっと押しの強い、そんなやつなんだけど、なんか可愛げが感じられて、お、いいじゃんって感じであるのですね。で、彼が主人公に迫るんだけど、ナイーブな主人公、男なんてありえるかっ、みたいなことを思いながらも、だんだんひかれていく。その描写はわりと薄めだけど、自分の身が危ないっていう状況でさりげなくサポートしてくれる、助けとなってくれる、そんな男に心が揺れるのは仕方ないと思う。そして、女が大丈夫になっても、考えるのはあいつのことばかり。うん、実にいいと思う。

特によかったのは、主人公雪路がとにかくナイーブすぎるところ。こういうのをヘタレって呼ぶの? ケツに入れるのが怖くて嫌なんだ…!!は名言だと思う。いや、知らないことっていうのはやっぱり怖いことだと思うんだ。で、その知らないことを怖がりすぎて、それでぎくしゃくしてって、いやもう、いくらなんでも避けすぎだろ、雪路。でも、クラスでホモ扱いされるのを怖れて、いや、怖れるだろうけどさ、それでなんか酷いこといっちゃったりしてさ、それでハルを傷つけたんじゃないかって悩んじゃったりしてさ、けどそれでもハルを馬鹿にするやつに思っていることをぶちまけた、そのシーンはちょっとかっこよかったよ。でも、次の次のシーンではやっぱりなんだか弱々しくって、目に涙なんてためちゃって、それがなんかすごくいい。ああ、もう、可愛いやつよ。

あまり突っ込んだ描写はないのだけれども、ささやかな気持ちの揺れのようなものはよく表現されていて、なんだか微笑ましい、それでちょっと気恥かしい、そんな感触がよかったです。もう一本の収録作、「迷える子羊に大吉を」も、先輩がなんかすごく優しくてですね、で、主人公もなんか繊細でね、そのなかなか接近しないところ、相手の思っていることがわからなくて、不安になっていく、そんな描写がなんかよかった。あくまでもライトなBLなんだけれど、ライトな分、その気持ちの揺れ動きの描写が多くなって、切ないなあ、なんて思えるところも多かったな、なんて思うんですね。

面白かったです。これが初単行本なんだそうですが、ちょっと作者覚えておこう、そんな風に思える漫画でした。

引用

2009年7月10日金曜日

『まんがタイムきらら』2009年8月号

『まんがタイムきらら』8月号の続きであります。先月、一度力尽きてから、こうやって中断するのもありかなって思うようになってしまった。それははたしていいことなのかどうなのか。それは正直、どうだっていいことだと思っています。さて、昨日は『境界線上のリンボ』まで書きました。ということは、再開は『ネズ巫女ちゅー』から、ということになりますね。

『ネズ巫女ちゅー』は、あの狛ネズミのふたりに名前ありましたっけ? 眼鏡かけてない方の狛ネズミのですね、わーっと強気につっかかっていって、抵抗、反撃されそうになるととたんに弱気になるっていう様子がいいなあと。かまってほしい子供ってこんな感じじゃありませんか。無茶するくせに、結構あかんたれ。その落差が可愛いんだろうなと思うんです。

『PONG PONG PONG!』は、前回リコと祐太が師匠に会いにいった、その頃、真由と高坂先輩はなにをしていたのか? ってな感じに話が進んでいくのですが、真由、いい娘だなあ。ちゃんと反省して、謝ろうって決意して、けど祐太、いろいろと残念なやつですよ。けれど、その残念なところ、もうどうしようもねえなあこいつっていうところ。それがこの男のよさなんだと思います。懲りない男と、素直な娘と、食えない女。そこに頼りない神さま見習いが加わって、このでこぼこな関係が面白いと感じます。

うぃずりず』の、ひとつの典型的な構図がここにあって、爺さんと孫ってやつですが、このふたりの関係っていうのは、見ていてなんだかいいなあといつも思ってました。今回も、爺さんの誕生日を祝おうとするリズと、そして感極まりながら思うところある爺さん。あんまり悲しかったり、つらかったりするような展開にならないといいな、そんなこと思わせるふたりです。

『あしぇるで、りんっ!』。あしぇるは魔王少女らしい。人の心を操ったりするらしい。人の願いを叶えるといいながら、世界を滅ぼすなどともいっている、しかもそのどちらについてもよくわかっていないようだ。話の通じてるか通じてないのか、それがよくわからないっていうところが面白さの軸になるのかな。あしぇるの可愛さ、無邪気というかイノセントというか、そういうところに物騒な発言がついてまわる、そこが売りなんだろうというように感じてます。

『SweetHome』、完璧と思わせてそうではないという、実際、弟大好きで、けれどそうした内心を隠してクールに振る舞っている姉さんが素敵です。伊織の言葉を過大解釈して、スクール水着だって、なんかそれっぽい理由つけて肯定するっていう、なんだかすごい力技みせてくれる。そういうところなど、実にいいキャラクターだと思うんですね。冷静にみせているが、ちっともそんなことなっていうところ。その無理してる感じがよいんだと思います。

ダブルナイト』の冒頭の、『ぼくパイ』って略称。これ、先月、『ぼくバイ』じゃないのんかっていってましたが、『ぼくパイ』で正しいですね。『ぼくの生徒はヴァンパイア』、ぼくの生徒はヴァンパイア、だから、ぼくパイ。これ考えた人はすごいと思う。『ダブルナイト』は、ユキを意識しすぎて参ってしまった稲穂、かつてないほどにメロメロのフラフラになって、なんだかこういう表現がよいです。一段落ついたら、初期の凛々しい稲穂に戻るのか? 今後の紆余曲折も楽しみです。

『びすとろふぃーゆ!』、いい感じ。悪くないよ。引っ込み思案ヒロインと明るく元気すぎヒロインが、互いに足りない部分をうめあって、それでひとつの結果を出すってな展開。ベタといってくださるな。私、こういうの好きなんです。いい感じでした。なにがいいといっても、偶然から生まれた奇跡の配合! みたいに盛り上げながら、前からあるんだけど…、静かに訂正が入っている、そういうのがなんか、いいバランスと思えます。気に入りました。ちょっと好きな感じです。

『メロ3』、素敵すぎ。だいたいが私、かっちりした白ブラウスとか好きでして、地味な黒エプロンとか好きでして、もう、最高じゃんか、とか思ってたら、なんと可愛い制服を用意するみたいな話になって、ああ、それはやめて、地味がいいんです、だからそういうのやめて、と思ってページめくったら、うわー、もう、こりゃ、なんといったらいいの? 私が間違っておりました。あー、もー、可愛いなあ。胸なんて大きくなくていい、足なんて長くなくていい、そのままの君でいてっ! って感じですよ。

ところで、かっちりした服装が好きな私は、やっぱりポン太も気になって、こいつちょっといい男よね。妄想癖あったりするけれど、泣き言みたいなこという癖に、やけに真面目だし、やるべきことはきちんとやろうとするし、で、あんな爽やかな笑顔見せるし。ちきしょー、悔しいなあ。でも、ポン太はむくわれないようになっているから、なんか哀れで、けれど今回は木ノ子だけが得だったんですね。むくわれなかったのは残りの女子ふたりもそう、ってちょっとなんか珍しいな。いや、メインにならなかったヒロインはいつもこんな感じですね。だから、結構シビアなバランスなのかも知れません。

そしてMy Private D☆V。これはいいイラストレーション。描いた人は、『ふら・ふろ』のカネコマサル。うがったところのない、素直な可愛さが感じられる。本当、いい絵だと思います。

  • 『まんがタイムきらら』第7巻第8号(2009年8月号)

引用

  • 天城七輝「びすとろふぃーゆ!」,『まんがタイムきらら』第7巻第8号(2009年8月号),173頁。

2009年7月9日木曜日

『まんがタイムきらら』2009年8月号

『まんがタイムきらら』は本日発売です。8月号、表紙は『けいおん!』、水着の唯と澪が並んだ構図で、ええと、作者はちょっとふっくらした女性が好みなのでしょうか。全体に肉付きのいいという印象があって、それは本編においても同様。おおっと、本編については、後で書きます。まだ、ネタばれ緩衝地帯を通り過ぎてないので、本編には触れません。というわけで、ちょっと小耳に挟んだんですけど、アニメ『けいおん!』で山中さわ子を演じた真田アサミさんって、でじこやってた人だったんですってね。わお、全然気付きませんでした、って、そんなに『デ・ジ・キャラット』に詳しいわけでもないので、それも仕方ないといえば仕方ないんですけど。

しかし、どこででじこのうんぬんいう話を聞いてきたというんでしょう。それは、巻頭のTVアニメけいおん! 最新情報ページであります。いやね、三上小又氏によるアフレコリポートにそれっぽいことが書かれていて、それで調べてみたらそうだったというね。へー、知らんかった。リポートで描かれていたのは、梓初登場というところから推測するに、第8話「新歓!」っぽいですね。ああ、あの話はよかった。あの、『わたしの恋はホッチキス』が — 、って書きはじめるときりがないので、次いきましょう、次。ガヤ録りの様子、なんか楽しそうだなあ。

けいおん!』。ああ、夏はきついですね。なんか、太陽が極大期から極小期に入ったんじゃないかって、だからこれから寒冷期がくるんじゃないかって、そんな話が出てますけど、夏が過ごしやすくなるんだったら嬉しいかも。いや、不作とか疫病とか、問題もいろいろあるから、喜んじゃいられないんだけども。マウンダー極小期! 漫画に戻りましょう。部室の暑さをめぐる騒動ですが、8ページで主要キャラそれぞれに見せ場用意して、大きな流れも、お約束的パターンもきちんと意識して、しかも音楽についてのネタもあって、これはいい、これはいいです。いい感じにまわっている、そんな回が続いていると思います。でもって、クーラーつらいですよね。私、クーラー大の苦手なんです。気持ち、わかるわ……。

ふおんコネクト!』は、渦中の問題をダイレクトにうけてみましたっていう感じがして、ちょっとぎくっとさせられました。『ふおん』は、ホワイトカラーエグゼンプションがそうだったように、時事の話題をのせてくることもあるんだけど、そうしたものや小ネタへの傾倒があまりに強くなりすぎると、それはそれで読んでいてしんどい。正直いうと、今回はちょっとしんどかったです。でも、それでもまじめにこのことについて声をあげたかったんだろうなと思った。これを受け付けないっていう人もあるだろうってわかりながらやったんだろうなって、そんな風にも思った。だから、私もまじめにうけてみようと思う。しんどいと思いながらも、この態度には敬意を表します。

ややこしい話を飛ばす

ヒステリックな言説に流されて、ちゃんとした議論も話し合いもなされないまま、なしくずしに絶版された絵本とか過去にありました。あの時は、人種差別というものが題目でしたっけね。しかし、そこに本当に差別的な表現があったのか、それが差別を拡大するものであったのか。そうしたことを疑問に思う人も多かったというけれど、異論を唱える声はかき消されるようにして排除され、そして本は絶版されました。そしてそれは、市場から消えただけでなく、公共図書館からも消えた。すべての図書館がそうであったかはわからないけれど、少なくとも私の調べた図書館はそうであった。その本が本当に差別的であったのか、そうしたことを検証する機会さえ失わせてしまうほどに、あの時の状況は急進的でヒステリックでした。

あの時も盾にとられたのは人権でした。けれど、いったい誰の人権が侵害されていたのか。ただ不快と思った誰かがいて、その誰かが自分の思いを遂げるために、筋違いな「人権」を全面に押し立てただけなのではないか。あの騒動で失われたものはあまりに大きかったと思っている私には、やはり今回のヒステリックと思える、また筋違いとも思える騒動は、好ましいものではありません。

私は司書の資格をとって、いっとき図書館で仕事をしていました。図書館について学ぶ、その過程で図書館の自由に関する宣言というのを知りました。私の好きな文章です。ここに少し引用します。

第4 図書館はすべての検閲に反対する

  1.  検閲は、権力が国民の思想・言論の自由を抑圧する手段として常用してきたものであって、国民の知る自由を基盤とする民主主義とは相容れない。

     検閲が、図書館における資料収集を事前に制約し、さらに、収集した資料の書架からの撤去、廃棄に及ぶことは、内外の苦渋にみちた歴史と経験により明らかである。

     したがって、図書館はすべての検閲に反対する。

  2.  検閲と同様の結果をもたらすものとして、個人・組織・団体からの圧力や干渉がある。図書館は、これらの思想・言論の抑圧に対しても反対する。

  3.  それらの抑圧は、図書館における自己規制を生みやすい。しかし図書館は、そうした自己規制におちいることなく、国民の知る自由を守る。

そして、こうまとめられます。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

今日、たまたま読んだ漫画にこういう台詞がありました。

逆境に負けず這いあがった者こそ
文化の担い手にふさわしい……!!

今が逆境であるのなら、今をこそ踏み止まって、打てる手、策を講じるべきなのだと思います。そう思っている私には、ある種直球で勝負をかけたように見えた今月の『ふおん』は、評価しないではいられない。それは、漫画自体への評価とは違う軸なのかも知れないけれど、しかしこの表明を見過ごしにはしたくない、そう思うから、応援する! ここにその表明をしておきたく思います。

かなめも』、これもアニメ化されて、第1回見ましたよ。思ってたよりも悪くない。そんな印象で、代理が素晴しかった。漫画に戻りまして、今回は結構シビアな仕事の話。でもきっと、実際にこうしたことはあるんだろうな。ライバル他紙への攻撃とかもそうだけど、とられちゃったりとかね。でも、この漫画では誰も悪い人はいなかった。いや、帽子にしたりおいしく頂いてる人はあったかも知れないけど、今回の件に関しては、ちょっと微笑ましい、そんなところに落ち着いて、いや、頼みますよ、飼い主さん、って気持ちはあるけど、でも誰も悪い人はいなかったんだ、そうしたところはちょっと和やかでさえあって、悪くなかったと思います。いや、まあ、振り回された面々にとっては、微笑ましいも和やかもあったもんじゃないって話だとは思いますけどね。ただね、代理はあの悪い顔してる時が最高だと思うんだ。

ゆゆ式』は思いがけない懐かしのネタ。あれ、大はやりしましたよね。こういう突然のネタふりに対応してもらえると、なんだか嬉しいものがあります。おお、わかってもらえてる! みたいな嬉しさだと思います。今回の部活は鯨の話で、私は鯨、結構好きなので、鯨本なんかも持ってたりして、海洋生物ってなんかロマンがあります。よくわからない、本当にわかってないことも多いんだけど、けれどそれがいいんだろうと思うんですね。でもって、最後に前回の流れが決着して、そうかあ、友達になったんだ。よかったよかった。素直にそう思います。

『天然あるみにゅーむ!』、学校のプールが川、っていうのはなんかすごい。本当にこういうところあるのかな? それとも想像の産物? いずれにしてもいいなあ。こういう自然を利用していますって感じの描写、なんだかいい味を添えていて、とてもいいと思います。『三者三葉』は、双葉と辻兄が大接近!? な、なんてこった……。でも、どう見ても鴨られてるようにしか見えない。なんか、不憫な兄だなあと思います。

『ましゅまろ×タイフーンッ』、テンポよくって面白かったです。ちょいエロ? 無防備で大胆な友達に振り回される気弱なヒロインといった感じで、このヒロインの困り顔がたまらんという人には、もうたまらん漫画だろうと思います。

こどもすまいる!』、扉に向かう流れ、素晴しい。いつになくシリアスな表情のみく先生は、ちょっと大人っぽくて、ちょっといい感じ。でも、あの黒のタートルしばりっていうの、夏には暑そうにも思うけど、でもスタイルとしては悪くないなって思います。うん、そのままのほうがいいね! どたばたとネタ盛り込みながら、最後に仕事優先っていう内心を吐露する、この展開が好きです。

『空の下屋根の中』がゲスト掲載されて、単行本の宣伝できたんだと思いますけど、ええと、カラーの表紙、色合いが暗い! 死体みたいとはいわないよ? けど、そのくすんだ色合いは、投げやりな感じを一層強調して、うわあ、なんだろう、たまらん。本編は、ちょっと昔の話。まあ、ついこないだって感じでもありますけど、現実に打ち拉がれている、そんな彼女がいたましい。いや、でもなんかわかるような気がするんですよね。私もがんばらないといけないんだけど、明日明日と先延ばしにしてきて、そして明日明日と先送りしていくのかなって思うと、ああもう、駄目だね! ということで、私もちょっと求人に応募してみました。いやね、ちょっと面白そうな仕事があったから、やさを変えようかと思って。けど、落とされるんだろうな。こんな具合に、自分は駄目だ、それどころか社会は自分と離れたところで動いている、そんな風に感じてしまうところ、もしかしたらかなえもそうなんだろうなって思えて、ひとごとのように思えないんですよね。というわけで、7月27日発売の第1巻、頭っから読んで、だんだん社会にかかわるようになっていく、そんな彼女の姿を見て、応援しつつ、自分も元気出していこうと思います。

『境界線上のリンボ』、きっとこうなんだろうな、こうなるんだろうなって思ったように展開して、けれどそれはありきたりというよりも、望ましい展開であった、そのように感じるものでした。自分のあまりに強すぎる力を怖れるあまり、娘に触れることができない。それは、あくまでもお話であるけれど、しかしそうした不器用な話はどこにでも転がっているんじゃないだろうか。傷つけることを怖れて、人と深くかかわることができない。傷つけない、そう思っての行動が、逆に傷つけてしまっている — 、切ない寓意であったと思います。

この漫画は、ファンタジーの顔をして、けれどその実、現実的な問題意識も持っている、そんな感じを持っています。それが本当かどうかはわからない。けれど、ここではないどこかの世界を描いて、そこに私たちに通ずる心情を浮かびあがらせる。それはとてもいい触感である、そのように思うから、私はこの漫画が、読むほどに好きになっていって、ええ、好きな漫画です。

と、ここで今日は中断。続きはまた明日!

  • 『まんがタイムきらら』第7巻第8号(2009年8月号)

引用

2009年7月8日水曜日

『まんがタイム』2009年8月号

昨日は七夕、『まんがタイム』8月号の発売日でした。毎月の7日発売。『おとぼけ課長』の表紙の雑誌。今月の表紙は、氷菓子で統一されていたようで、そういえばかき氷なんていつ以来食べてないだろう。まあ、夏に出歩かないから、かき氷を食べようという機会がないんですけどね。夏の暑さに負けて喫茶店に入っても、冷房はいってるから熱い飲み物を頼んでしまったりすることも。ほんと、かき氷なんていつ食べたのが最後だったろうって感じです。

『おとぼけ課長』は「俳優」において、現実と非現実をごっちゃにすることのナンセンスを描いて、そうたしかにそうだよな、現実は現実、そこに非現実との区別をなくしてしまうというのはちょっと危険でこっけいです。そういう話はよくわかる。ええ、よくわかりますとも。

『アサヒ! — 動物園に行こう』がゲスト掲載です。人気あるんだ。私も好きな漫画なので、ゲスト掲載はちょっと嬉しいかも。しかし、この動物たちが人の言葉をしゃべってるのって、あさひが教えたからだったのか。今まで普通に、気にもせずに読んでました。たしかに思いかえしてみれば、あさひ以外にも言葉通じてましたっけ。私はパンダが好きだといってますが、きりん、四郎もいい感じで、すごく紳士的なきりん。動物のキャラクターに、なんかちょっと独特の味がある、そうしたところがいいんじゃないかって思っています。

『はこいり良品』の、商店街復興を狙う三人のお姉さんがいい感じ。商店街復興というか、規模拡大の野望を密かに持っているっていうところでしょうか。共同経営してうんぬんという話は、なんか夢があっていいなあと思います。ところで、「今後の予定」、人生ってたしかに短いです。今ある自分の蔵書をすべて読み切ることはない。そんな気がします。新しい本は次々出るからなあ。贅沢な意見そのものですね。ああ、罪だわ。

『小悪魔ティーチャー』、面白くなってきました。これはいいかも。いや、扉が眼鏡だからそういってるんじゃない。無茶なくらいエネルギー感じさせるキャラクター、ちょっと迷惑、けれどそれも許しちゃおうかっていうような愛嬌があるんだと思います。私の好みはもちろん次女です。けど、スーツに眼鏡の長女は次女を上回ると思うんだ。いや、どうでもいい話ですけれども。

みそララ』は、ケーキが無事でよかった。きっと、なにかあるって思ったんだ。で、期待はうらぎらない。カメラマンの腰を傷める話、そういえばNHKのさだまさしの番組のカメラマン、腰を駄目にしてました。スチルとビデオは違うけど、重い機材、無理な姿勢、大変だなって思います。しかし、このカメラマン氏、好きです。なんか、ひょうひょうとして、ちょっと駄目な感じで、けどいつもにこにこして、いいなって思ってます。

『天然☆無農薬一家』、面白くなってきました。連載とのこと。とにかくこの漫画は、親父がいい味出してるなって思って、もっと親父がフィーチャーされますように。というか、息子の影うすいな……。

タマさん』の回想編が終わって、現在に戻りました。あれって、杏の回想だったのか。枕の仕掛けと杏の策略。しかし、実物よりもお姉さんに、美人に描いてもらえてて、それはそれでよかったのではないか。いや、ちょっとよく描くのは似顔絵の基本らしいからな……。朴念仁の先生に、意識させるきっかけになったんだから、杏にとっては結果オーライだったような気がします。しかし、似顔の杏は美人でいいな。美人さん、大好きです。

すいーとるーむ?』、美人さん、大好き。着替えが退社プレッシャーになるっていう話、真面目に残業を減らそうとしてるんだ。いい会社じゃんか。経費を減らしたいだけかも知れませんけど。そして、夏の女性美は! [中略]袖ぐりに有り!! あらためて思い知った気分です。バブルの頃の記憶。ここは建築資材とか扱ってる会社でしたっけ。さぞ羽振りがよかったんでしょうね。けど、部長の若いこと。もう二十年くらい経つのか。実におそろしい話だと思います。二十年たって、景気が戻るどころか、どんどん悪くなってるっていうのが一番おそろしいっていうね。

『乙女プレス』。新人営業の成長話になっていくのだろうという雰囲気で、ヒロインに自信がついて、アクティブに動く、そんな面が自然にどんどんでてくるようになったら、よさそうだなあって、そんな感じでした。中盤から最後にかけての感じがいいなと思ったんですね。ところで、にこにことして人使いがうまい、水野さんは素晴しいと思います。私もかくありたい。そして、こんな人に使われたい。

『放課後のアインシュタイン』。プールがないからこの学校選んだのにー。私の通っていた学校は、中学高校ともにプールがありませんでした。その高校、卒業後にプールができまして、それを聞いた姉がいった言葉、よかった、卒業してからで。うん、本当によかった。好きでもないのに入らないといけないプールなんて嫌いです。漫画では、ショックをうけている校長がいい感じ。しかし、プールにはいりたくない一心でいわれた、プール否定の言説の壮大さ。この漫画に出てくる、スケールの大きな表現。そういうの大好きです。確かに地学とかやってたら、数万年なんて最近ですし、火星なんて目と鼻の先です。そういった、大きなスケールでものごとをはかってしまうっていう感覚が自然に出ているところ。いいなって思っているんですね。

『ラブじゃらし』には驚きました。え、そんな前提ありましたっけっか。しかし、どうするったって、今はもう家族の一員ですっていっちゃえば済むような気が。いや、そんなこといったら先に繋らないのでいいんですけど。

『スーパーヘルパー美空』、ゲストです。世相を微妙に反映して、なんだかきびしい状況からのスタートです。けど、ヘルパーっていうけどちっともそうした描写は出てこないな。そう思ったら、ちょっとした番外だからですか。じゃあ、本編見てみよう、そう思ってまんがタイムWebにいってみたのはいいけれど、思わず『腐道』読んじまったい。最近は、台詞も覚えなくなったなあ。アニメとか、漫画とか、好きになると、なんべんもリピートして見るから、覚えちゃうんですよね。タイミングまで覚えちゃうの。じゃないよ。『スーパーヘルパー美空』ってどこに掲載されてるの!? あった、フレッシュ!4コマギャラリーか。もとから家事全般どんとこいっていう人が、ヘルパーを目指すっていう、それはたしかに適職かも知れません。けど、大変らしいですね。私も以前知人から、いざとなったら(つまり職がなくなったら)おいでよっていわれてまして、けど話を聞いてしりごみした。でも、いくなら自分が使いものになるうちじゃないとな。って、関係ないことばっかり書いてますね。漫画、面白かったです。

PEACH!!』、武田の地所。すごいな、武田。そして、今号のラスト「燗冷まし」は、まさにあの懐かしの展開で、そう、これが好きだったんです。いや、もう、感無量。しかし、2コマ目の武田の可愛いこと! 夏休みあけの初日にやらかしたのは、夏休みはさんで、油断しちゃったんかも知れませんね。しかし、本当にいい展開。大好きです。

  • 『まんがタイム』第29巻第8号(2009年8月号)

引用

  • ナントカ「子うさぎ月暦」,『まんがタイムジャンボ』第15巻第8号(2009年8月号),122頁。
  • 仁川志帆「放課後のアインシュタイン」,『まんがタイム』第29巻第8号(2009年8月号),157頁。

2009年7月7日火曜日

毎週火曜はチューズデイ!

 今日は七夕、いやその前にチューズデイ。そう、『毎週火曜はチューズデイ!』でありますよ。『まんがタイムオリジナル』に掲載されていた漫画。登場するのはネズミ、通称チューズ。このちっこくて、なにに対しても興味津々なやつらが、チーズ目当てに奔走してみたり、あるいはアグレッシブな遊びを開発する。そのやつらの暮らしぶりがいかにも楽しそうで、面白そうで、実際には猫に仲間をやられたりもする危険な暮らしみたいなんですが、それゆえでしょうか、妙にハイテンション。その勢いも手伝って、やたらめったら面白い漫画でありました。

忘れられないのは、2008年1月1日です。2008年子年の初日、1日は火曜日で、もうこれはチューズデイしかない。そう思って、わくわくしながら待っていたら、やっぱり漫画でもちゃんと意識していて、門松からあらわれて新年の挨拶。さらには、アメリカの大統領選挙で話題になったスーパー・チューズデイ。私はニュースでこれを見るたび、聞くたびに笑いそうになってしかたがなかったのですが、これもちゃんととりあげられて、いや、そうしたことも懐かしい。チューズデイはじまりの子年、それもスーパー・チューズデイのある年に掲載されていた『毎週火曜はチューズデイ!』。それはいかなるめぐりであろう。ちょっとしたミラクルを感じさせる、そんな漫画であるのです。

あ、そうだ。挨拶わすれてました。チューッす! こうした毎回の繰り返しがあり、そして思いもしなかった、というかあんまりチューズに関係しないようなネタもあり、それがぽんぽんとテンポよく展開される、それがよかったんだと思うんですね。ÖYSTERという人の、ちょっとひねった発想も、それからわりと直球の駄洒落みたいなものも、あの独特の四コマのテンポでやられれば、笑わずにはおられないって感じになって、そして気付けば扉絵のチーズとチューズを見るだけで楽しくなってしまうという塩梅であったのでした。

しかし、あの扉を見ていると、チーズが食べたくなって困ります。それが理由でもないのですが、今晩のご飯のともはチーズでした。サン・レミという名前? カマンベールとかブリーのような、白カビ系のチーズ。よく熟成して、ご飯にあって、おいしかったです。

あ、そうだ。後描きっていっていいんでしょうか。あの、絵本を思わせるようなイラストレーション、あれは素敵です。チューズたちの背後に広がる風景に、彼らの生きる土地の歴史も社会も風土さえも感じられるようなふくらみがあって、本当に素晴しいです。

2009年7月6日月曜日

Surrealistic Pillow

 このあいだ、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの『雨を見たかい』を聴いて、CD買おうと思ったなんていってました。狙いはボックスセット。そうしたら、輸入盤CD2点買うと25%オフやってるじゃありませんか。おお、じゃあ、なんかついでに一枚買おう。なににしようかなあ。ジャズにしようかなあ。など、いろいろ考えて、せっかくアメリカのロックを買ったんだから、もう一枚もアメリカンロックにしよう。ということで、ジェファーソン・エアプレインのSurrealistic Pillowを選びました。ジェファーソン・エアプレイン好きなんですよ。以前よく聴いていたクラシカルロックの専門チャンネル、そこで耳に覚えたのですね。

Webラジオで聴いて覚えた曲、それはWhite Rabbitでした。ええと、ほら、映画『プラトーン』で流れてくる曲なんですが、オーディオコメンタリーによりますと、軍事アドバイザーのデイル・ダイがいってたんですけど、マリファナ派が好んで聴いたのがこの曲だったんだっていうんですね。もうひとつの派閥、アルコール派はカントリーを聴いてたんだそうですが、みんなで煙を吸ってラリってる、そんなシーンで流れる曲はジェファーソン・エアプレイン。あ、White Rabbitだ、いい曲だなあ、なんて思った私は、どうやらマリファナ派らしいってことがわかって、我ながら意外でしたよ。

ジェファーソン・エアプレインで知っていた曲は、White Rabbitと、それからSomebody to Love、このどちらもSurrealistic Pillowに収録されている曲です。前向きにどんどん進んでいくような、なんだか勇ましさ感じさせるようなSomebody to Love、対してWhite Rabbitはどことなく陰鬱で重苦しい雰囲気が支配している、そんな曲。どちらも、やけに力強い女性ボーカルが印象的で、ぐーっと気持ちを盛り上げてくれる前者、じわじわと盛り上げが精神を下支えしてくれるような後者、もうなんかすごいな、いい曲だなあ、と思って、ちょっと変わったバンド名も、それからやっぱり変わってるアルバム名も、しっかり覚えてしまったのでした。

しかし、こうしてアルバムで聴くのははじめてのことで、そうしたら意外とブルース色が強かったりして、あるいは妙にさわやかで健康的なのもあったりして、むしろWhite RabbitSomebody to Loveは異色作なのかも知れないなんて印象がありまして、けれどそれでも当時の音楽としては、全編がシュールレアリスティックと感じられる曲だったのかも知れません。なんせ、四十年前のアルバムです。当時標準的に聴かれていた音楽ってどんなのかっていわれたら、さすがにピンときません。煙とともに酩酊をもたらすような、そんな印象を与える、陶酔的な音楽、それが当時のジェファーソン・エアプレインなのかも知れません。それとも、多彩な表現、音楽性がひとつのアルバムに詰め込まれている。明るい曲あれば、なんだかすごく陰鬱な曲もある、その感情のアップダウンが、シュールレアリスティックやサイケデリックといった印象に一役買ったのかも知れません。

今聴いても、力のあるアルバムであると思います。たしかにちょっと古めの音楽、でも今にも通じてくるものがあるなと思う。しみじみとしみる曲あり、そして高揚させる、そんな曲あり。私はマリファナなんて吸いたいとも思わないけれど、このアルバムは何度でも聴きたいな、そんな風に思います。

12 inch Analog

2009年7月5日日曜日

『まんがタウン』2009年8月号

『まんがタウン』、昨日発売です。5日発売のところ、今月は日曜日ということで、前日に前倒しされたのであります。しかし、ついこのあいだ7月号で書いたと思ったところなのに、もう8月号。時間は驚くほどの速さで過ぎていきます。

うちの大家族』は大吾がひどい落ち要因として定着しちゃっていて、いや、気持ちはわからんでもない、わからんでもないけど、みゆ美、もう本当に惨いな……。それはそうと、娘から父への素朴な評価、それであんなに喜んでしまうあの人は、日頃どんだけそうした感謝に飢えているんだろうと思って、けどこの人がそうであるように、大吾にとってもそんな日がいつかくればいいなと、そんなことを思ったりする話でした。

そんな2人のMyホーム』は、異常に濃密で異常に閉じられた、そんな感触さえあった都築の父娘関係の基礎を築いたエピソードの、娘のがわからの心情が描かれて、そしてついにこの娘はその昔のしばりから抜けようというのですね。正直な話、この漫画のはじまった当初の雰囲気からは、こんなシリアスな話に展開するなんて思ってなかった。しかし、このシリアスを抜けたとき、そこにはどんな展望がひらかれるんでしょうか。それが楽しみであります。

『ちっちゃいナース』、私にとってのヒロインはやっぱり洋子であるのか。この作者の描く絵の、あのスラリと伸びた手足の魅力とでもいいましょうか、それはこの洋子というキャラクターに顕著であるように思われます。まあ、今回はどう見ても手足とかスラリとか関係ありませんが。しかし、眼鏡はいいものだけど、やっぱりかけると煩わしい。目が疲れるし、光量落ちるし、重いし。あれは自分がするものではなくて、人のしているところを眺める、そうしたものだと思います。

『天下無双!恋メガネ』、ひどいインタビューの話。実際、いってる言葉をそのまま使っても、編集ひとつで違う印象を作れたりするっていう、そうした話と、自分のやっていることを認めてくれている人がいる、それだけで頑張れる、そうした話が裏表になってる回でした。いずれも、きちんと見てくれている人がいる、それはなんと嬉しくありがたいことなのだろう、そういうことがテーマになっているのかと感じました。そういえば、この漫画はつねにそういう、その人のらしさをきちんと見よう、そうした意識がどこか底のほうに置かれているように思います。だから、私はこの漫画が好き、よいと思うのかも知れません。

三色だんご』は、ミーハーなでしこの真骨頂だと思う。トイレが見つかった!! とかまずい! フロが見つかった! とか。馬鹿馬鹿しくてしかたがないけど、好みっていうのはあるものなあ。なでしこ好み、でもこれは市川さんの好みでもあったんじゃないのか? 似た者同志でいいじゃんか。お別れパーティーのにぎやかさと、パーティーが一段落ついて、なでしこと妹よもぎ、なでしこと市川さんが語らうシーン、感じられる互いの距離感みたいなものがいいなと。ちょっとライバルでもある姉妹、そして悶着ありながらもどこかつながっているふたり。いいなと思いました。

『70's 愛ライフ』、シャービックは覚えてる! っていうか、まだ売ってるのか。偉大だなあ。カルピスの濃度については、もう定番の話ですね。フルーツカルピスは、なんだか特別な感じで、私は好きでした。その存在が特別でよかったんでしょうね。ところで、フルーチェって牛乳使わないと固まらないことないですか? たまごアイスはほとんど記憶にないです。かき氷器はうちにもありました。うちのは電動だったなあ。さすがにもう残ってないと思います。

『ほほかベーカリー』に新人がはいって、意外。今回はまだ顔見せ、こんなキャラクターですっていう紹介みたいなものだから、動くのは次回かな、どうなるんだろう、ちょっと楽しみです。『りさいくるくる繁盛記』の、2コマ目で壊してしまう姉の思考は、ちょっと参考になる。そうか、機械ないし道具の稼動範囲というものを理解しないか過大に評価して、考えなしに動かすから壊れるんだな。いやね、その人がいるだけで故障品が増えるっていう現象が職場であるんです。そうか、このお姉さんみたいな思考で道具に対してるんだな。参考になります。

光の大社員』、ゲリラでゴリラを思い付いてゴリラ豪雨はよくある発想だけど、それがこういう絵になるとよりいっそう面白くなるんだから不思議です。この人のネタは、そんなに突飛ではないけれど、絵での見せ方がうまいんだと思う。ああいうのだ!! ああいうので掃除するんだ!! とか、なんで面白いのかわからないけど面白いですから。不思議な作風だと思います。

『だめよめにっき』、シェフ!? シェフ!!

『龍天寺夫妻の生活』、自作のポエムを贈るのは、まさに時代というものでしょうか。意中の人からだと、気持ちわるくはないのかも知れない。けど、一郎さんは、結果的にはよかったのかも知れません。愛されているなあ。けど、この優子さんがどう老いるか、それもまた未知数だから、なんてことをいっている人は基本的にもてません。

『ママのお気に入り!』、ゲストなのかな? 旦那に対する仕打ちが酷くて、なんだか読んでて辛いです。でも、現実にこんな家庭もままありそうだから、 — そう考えるとなおさらつらいな……。

『よせ☆あげ』のラバーカップの話、現実にそれをする、もしくは同様の発想で作られた豊胸器は存在するそうですが、はたしてそんなんで本当に効くのか……。人間の身体ってそんなに単純なものとは思えないんだけど、どうなんでしょう。なんどもいうけど、胸なんて別にそんなに必要なものとは思えないだけど、やっぱり重要なんでしょうか。以前、ジェーン・バーキンが自分の胸が小さいことをコンプレックスに思っているっていっていて、へー、ヨーロッパでもそうなんだって思ったんですね。いや、でもほんと、大きさなんてどうでもいいのよ。

『子供失格』は、不幸な子供が増えた! きっと、よりシビアな女性視点からのシニカルさを展開するつもりなんだろうな。ちょっと楽しそう。那良江の妹計画がなんともいえないひねくれかたで、けど、これはこれでありなのか? 友人は、現実の妹に絶望して、シスプリに理想の妹を探すはめに陥ってました。私は弟だけど長男だから、次男の気持ちはわからない。古い家庭だと、親の目が長男である弟に向かっているさみしさとか、あるいは男ふたりの場合なら、常にスペアであり続ける弟のさみしさとか、そういうのもあるのかも知れませんね。子供は、親の興味が兄弟の誰に注がれるか、敏感に反応するから、こういうものは意識的無意識的問わず、むごいことになりかねない、そんなことを思います。

『みねちゃんぷるー』、富士野家の夫婦のありかた、複雑でけれどラブラブ。愛のかたちはいろいろだ。素直でないおかあさん、なんか可愛い。両親が仲良いというのは、なによりだと思います。こうした、素直な仕合せさが感じられるところ、とてもいいなと思っています。

  • 『まんがタウン』第10巻第8号(2009年8月号)

引用

  • 山田まりお「三色だんご」,『まんがタウン』第10巻第8号(2009年8月号),67頁。
  • ÖYSTER「光の大社員」,同前,110頁。

2009年7月4日土曜日

『まんがタイムジャンボ』2009年8月号

本日、『まんがタイムジャンボ』発売です。2009年8月号。いよいよ夏といった感じの表紙であります。まあ、ありていにいいますと水着ですが、しかしこういうの本当に縁がない。水着なんて、メディア以外で見たのいつが最後だろう。夏といっても、プールやら海やらにいかない私には、水着という文化がそもそもないんですね。というか、中学の時にいったプールが最後か? かくも季節感というものから外れている私にとって、水着というのは、夏という季節をアピールするための記号でしかなくなっている模様です。というか、そもそも水着とか好きじゃないからなあ。うん、ドレス派なんだ。

『天使な小悪魔』、なんかつらい話だぞ、おい。なんというのか、共感性がすごいというか、心の水が涸れてしまった状態、生きるってのはなんでこんなに嫌なことなんだろう、わずらわしいんだろうって思ったりする瞬間はあるもんなあ。そんな時には、めぐの正論がつらい。自分だけの癒しの時間かあ。自分もなにか趣味をみつけよう。

『ダブルパティシエール』はニー本が製菓学校の体験入学に参加して、しかし、これは最初からの予定だったんだろうか。この人がパティシエールになるからこそダブルパティシエールなんだろうと思うんだけど、だからこういう展開があっても不思議ではないんだけど、でもここにいたるまでにえらい時間がかかったなあって感じがしています。宮本先生が出てきたのはちょっと嬉しいけど、こうした昔のなじみが主みたいに思うようになったら、さすがにニー本がかわいそう。

ボクの社長サマ』、ビル建て直したんじゃなかったのか。ところで、昨日テレビでエヴァンゲリオンの映画やってたけど、あの地中から伸びてくるビル群見て、あ、羽衣商事だ! と思ってしまって、いや、もう、なんだろうなあ。そういえば、はじめてあれを見たときは、『エリアル』思い出したもんだったっけ。話を戻して、こういう変なギミックを軸に、どたばた大騒ぎする展開、実にあろひろしらしいと思って、とてもいい感じです。焼き肉、夕立を伏線に、鰻重から水没に決着させる、ああいう動かしかたはすごく面白かったです。

ただいま勉強中』、オカルト研の会長は、どうもオカルトを信じちゃいないようだって感じでありましたけれど、実際多分、百物語のうんぬんも信じてないだろうなあ。イスのからくり、あれはよかった。ポジティブな意味合いも、それからネガティブというか現状も、どちらもこの人らしくていいと思いました。なんか、本気だかどうなんだかわからない、つかみどころのなさそうなところ、それがいいみたいです。

『笑って!外村さん』、見覚えがあると思ったら、第3回まんがタイム新人4コマまんが大賞の人ですね。中学のころの話、そんなことないのに外見で損してるタイプの女の子がいました。背が高くて、ちょっと派手な顔付きで、それで髪が赤くて、けどそれは天然で赤いのね。話してみると、ぜんぜんすれてない、それどころか誰よりも素直で素朴な、可愛い感じの女の子だったんだけど、私がそのことに気付いたのは卒業間近のころで、外村さん見て、その人のこと思い出しました。

なのはなフラワーズ』、しんみりとさせる話でした。恋愛色の強い漫画だけど、それだけではない、豊かに感情を描いて心地よいと感じさせる、そんな漫画だと思います。あえて言葉にしないで、あえて明確な決着もさせないで、それなのによいと思える、いや、だからこそか。いい話でした。語りすぎないところもよかったと思います。

ごちゃまぜMy Sister』は、もてもて兄妹の話、ってな感じになっていて、妹べったりであれだけれど人気のある36番は、小まめに気付いて動ける、しかもわりとちゃんとした人というキャラクターがしっかり把握されてるからなんでしょうか。体育はともかく、勉強なんかで頼りになるっていうのもポイント高いのか。しかし、優の可愛いこと。こうした多方面への気遣いと、それがどうやらむくわれないっていうところ、それがあの兄貴の魅力のように思います。

『あいにゆこう』、郡上にばれてしまったアル。けど、まあなんとか収束して、そして中居さん先生サイドでは、アルの前身というか出自というかが語られはじめていて、雰囲気とかは好きだから、この感じをたもったまま、わりとお気楽な感じで進んでいっていただけるとありがたいなあ、なんて思っています。というか、アルがかわいいなあ。

『手のり魔王』、なんだか最近、というか結構前からだけど、面白いんだ。魔王は見掛け倒しというのが基本になってきてるし、っていうか最初からか。ともあれ、この人(?)のこうした口ばっかりなところが、いい感じにまわって、面白くなってきてると。それから、普通に酷い目にあわされていますっていうところ、けどそれでもなんでか知らんけど耐えてるところ、なんかよいなって。当然、そうした面白さに加えて、美由と仲のよいところ、それが見えるところ、それがいいんだろうなって思います。

『子うさぎ月暦』、夏の女性美は! サマードレスの袖ぐりに有り!! そう、水着とかじゃないんだ。ドレスがいいんだ! ところで、あのカメハメハ大王って、パズズじゃないか。ファンタスティックだわ。「万能の科学」における、ふたりの結論。やっぱり本物がいいんだろうな。どんなに素晴しい仮想が得られたとしても、本当に素晴しいものには敵わないんだろうな。まあ、素晴しくない現実に比べたら、よりましな仮想の方が百倍いいよななんて思ってしまう私のようなのは論外としてもさ。ナントカの漫画は、シニカルな笑いの向こうに、未知や不思議、自然や科学に対するロマンがあふれている。そのロマンが時に、ぐっと前に押し出されてくる。それがすごくいいと思うんです。

あおいちゃんとヤマトくん』は、あいかわらず酷い妹かえでが魅力的。いや、兄貴に対しては酷くない。教授に対してが酷い。そのギャップがたまらんなあと思う。心のメモリーまで焼却って、いかすね! ところで、一番可愛いのは香澄さんだと思う。『先生はお兄ちゃん。』は兄貴と神奈先生の恋愛方面が強く押し出されるようになって、この流れ、きっと人気あるんだろうなあ。自分は初期の、ぴょこたん前にしてパニック状態になっている妹が好きでした、なんていったら駄目なのかな? いや、兄貴は神奈先生とつきあえばいいと思うよ、とはいうけれど、そうはならないかもと思わせるくらいの距離感がよいと思うから、なかなかにコメントしにくく思います。結局なんでもいいんじゃないかって思ったりね。

『ますたぁDOG』は、おまわりさん、いなくなるのか。唐突の誘いに勘違いする勇は、充分に女の子だったと思います。でも、女の子は女の子女の子した人よりも、こういうさっぱりとボーイッシュなほうがいいと思うんだ。まあ、あとでこの感想ひっくり返しますけど。『ちょー!えど幕末伝』、池田屋事件がきましたよ。なんだか適当で、すごく平和な感じの池田屋事件。結構凄惨な現場を、こうしてほのぼのと描く、そうした持ち味がいいなと思って、屯所に帰って落ち込む副長とかですね、すごくいいです。

乙姫各駅散歩』、完結! 地上では四ヶ月たってた! そして乙姫も戻ってきて、以前のとおり、ではあるけれど、以前のままではないっていう、そうしたちょっとした変化がいいと、そんな風に思います。大きな物語ではなかったけれど、それが江太という男の子にはよくあっていた。ふたりの物語、そんな感じがする、その身のそばにあると思えるような近しさがとてもよいと思いました。

気分は上々』、第2巻とな! 今回は、仕事をする人たちからちょっと離れて、精一杯遊ぶ人たちの話でありました。仕事をすれば優秀と感じさせ、けれど遊びも忘れちゃいないぜっていう、仕事も遊びもどちらにも頑張る、そんな兄さんたちの姿がよい、そう思える回でした。2巻では、こうした部分、それから妹たち含めた家族の話、そういうのがたくさんでたらいいなと思います。

ひかるファンファーレ』、炎天下で海辺って楽器には最悪。でも、部活ならしかたない。私も砂塵吹き荒れる炎天下のグラウンドで吹いたりしたもの。今じゃ絶対嫌です。あの、アンコールの仕組み、たしかに新一年生など、舞台にのらないメンバーは、客席でサクラだったなあ。そういったことも懐しい。面白さに懐しさ、いろんなよさがいりまじった楽しさです。

『ぼくらは魔法が使えない』、大切なのは尻らしい。『俺の部屋にはウサギが居る』、今熱いのは美尻らしい。胸の時代は終わったのか。『ダマされて巫女』は、ミスター……。そういえば、前回だったかにもミスターって出てましたっけ。思ったよりも本格派だったじいさんと孫の式神戦とか、兄貴の由美ちゃん攻略だとか、見どころはいっぱいだけれども、やっぱり最高なのは清ちゃんのワーイ初体験♥だと思います。

『ふかふか』は、扉絵の、全然色気なんてないんだけど、というああいう感じが逆によいなと思います。大人っぽさに憧れてるんだけど、まだ大人にはなりきれてない、ってとこまで書いて、このふたり、高校生か。おおう、中学生かと思ってたよ。カレシだなんだいってるけれど、この罪のない感じってのがいいんです。

『なまけもの課長嶋さん』、安田弘之だ、意外! この人の漫画は結構好きなんだけど、これ、どうなるんだろう。今はなんともいえない。なんともいえないけど、まあ目次漫画だから、そんなに強烈なの押し出してはこないだろうなって思います。

そして、『ハッピーカムカム』。おとまり話。しかし、みずきの母の条件、なんかいいなあ。ちょっと、お母さん、好きになりそうです。いくつになっても、心は乙女なんだよ! お姉さま達に翻弄される弟がいい感じなんだけど、すぐに逃げてしまって、うう、残念。私はちえりが一番好きです! けど、みずきもとてもいいと思います。しかし、宿題をするはずが、そうは簡単に運ばない。お菓子食べて、花火見て、花火して、そうした普通のことがいいなと思える漫画です。それにさ、なにしてても女の子はやっぱりはなやかでいいね! って、ほら前言ひるがえした。はなやかでのびやかで、その時々にきらきらとした表情が見え隠れする、そうしたところがいいなって思って、うん、描かれるのは普通の風景でいいんだ。その普通で、けれど特別である瞬間っていうのが素敵なんだと思います。

  • 『まんがタイムジャンボ』第15巻第8号(2009年8月号)

引用

  • ナントカ「子うさぎ月暦」,『まんがタイムジャンボ』第15巻第8号(2009年8月号),122頁。
  • 真田ぽーりん「ダマされて巫女」,同前,182頁。