2009年7月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2009年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』9月号、発売です。表紙は『S線上のテナ』、今日ドラマCDが出たということで、それはもう本当に喜ばしいかぎりであります。実際、『フォワード』が始まったときには、どうなるんだろうと思ったものだったけれど、こうして支持をうけて、長く続く漫画が出て、ともない雑誌も続いて、正直私の思った以上の状況です。私の不見識については、すなおに詫びるしかないだろうといったところですが、しかしこうして軌道にのったのは、雑誌に関係する、した人たちの頑張りあってのことなのでしょう。『フォワード』も、もうすこしで3周年ですか? いや、もう3周年は過ぎたかも知れませんね。

さて、冒頭は『S線上のテナ』。世間知らずのアルンが多くのことを学んで知って体験して、その様子がとても楽しそう。そして、恭介の成長があって、そしてそれは別れを予感させるもので、なんだかちょっと切なくもあるな、なんて思っていたら、事態は急を告げる。なんか、えらい緊迫した、突然の展開に驚かされました。落ち着いたと思わせて、すこしも落ち着いてなんていない。そうした状況。次回が楽しみでなりません。

かなめも』出張版。『フォワード』掲載ということで、当然ながらストーリーなのですが、違和感なく読めるのはさすがと思いました。どのキャラクターにも見どころが与えられて、といいたいけれど、ひなたは悲しくなるほど地味だな。対して代理はもう本当に見せ場だらけといった感じで、とてもよかったです。ちょっとした人助けで、最後にちょっとどたばたとした落ちがついて、こうしたところは基本どおりという感じの面白さ。きっとくる、きっとそうなると思ったところに、きちんときてくれる、そういうよさというのがあったと思います。

純真ミラクル100%』、終わりかたがなんだか怖いよ? 新しい登場人物があって、そして所長をめぐる恋愛模様に動きが出てくるのかな、なんていう予感をさせるんだけど、なんでかそれが仕合せに向かうようには思われない、きっとなんかすごいかきまわしがあるんだろうな、不吉な予感をさせるところが面白そうだなと思うのですね。きっと、不幸でどろどろで、みたいにはならないと思っているから、ちょっとの不安を楽しみと感じるのかも知れません。それはそうと、工藤くんはあかん人だなあ。モクソンくらい押してみればいいのに、なんて思います。

『空色スクエア。』、なんだか気になる、神経質な漫画です。今回こちらでも新登場人物があって、けれど本格的に関わってくるのは次号以降って感じですね。それよりも、気紛れと感じる女心に翻弄される主人公。戸惑いがあって、そしてささやかな嘘があって、それがなんだか悪い方向に向かいそうで、というかなんで文香ルートなんだ。っていうのはやっかみだけど、この先に深雪の仕合せはあるんだろうか。なんだか、不安、心配が先立つ、すなわちそれは神経質が伝染する、そんな感じなのであります。

据次タカシの憂鬱』は、ショートのネタ多めで、けれどこういうのもテンポがよくて面白かったです。妻の娘の様子に闘志をみなぎらせる父の背、据次のコミケにいかない理由などなど、小ネタながらも面白かったです。

『少女素数』は水着回。けど、海にもプールにもいかない。水着売り場にて前哨戦といったような塩梅なのですが、見どころ、というか面白さはヒロインふたりというよりも、サブのヒロイン有美ちゃんにあったように思います。ちょっと控えめ、真面目なのか度胸に欠けるのかはわからないけれど、そんな有美ちゃんを焚き付けるふたりの勢いと、結局流されてしまった有美ちゃんのどきどきとしている、そんな思いが浮かび上がってくるようなところ、それがすごく微笑ましくって、楽しかった。と、これは表にあらわれる分で、裏というほどでもないのだけれど、前回は思いもしない気弱な面を見せたすみれの、けれど今回はあんずと一緒だから、すごくアグレッシブで、その対比たるや、ね。きっと、単行本で見たりすると鮮やかな対照を感じたりするのかも知れない。そばに安心できる誰かがいるから、やんちゃでいられる。そうしたところ、ちょっと困った気質ではあるけれど、元気そうなのはなによりでした。

しかし、策略めぐらすふたり、さらに上手のお母さん、こうした攻防も楽しくて、この家族の仲良いと感じられるところ、とてもいいと思うのでした。ところで、私も光り物に理解のないタイプです。ごてごてしてるの、ちょっと気持ち悪いの。

『夢喰いメリー』は、なんだかちょっと深刻に振れて、けれどそれでキャラクターの思うところ、さらに一歩踏み込んで知ることができた、そんな回であるように感じました。真っ直ぐすぎる、けれどちょっと不器用かも知れない、そんなエンギと、そしてお人好しかも知れないけれど、そこにはちょっとした気概もあったりしてね、光凪お姉さん、似てないパートナー、けれどふたりでしっくりとくる、そんな関係は魅力的であると思います。けれど、結局、主役4人、みんな真面目なんですね。そうした真っ直ぐさは、すごく少年漫画っぽくって、いいと思います。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』、いやいやエミ太くん、君は可愛いよ。いや、冗談とかじゃなくて、わりと真面目に。さて、本編。秋葉原イコールアニメやゲーム、そしてオタクという図式にむかむかとしているすずはとてもいい感じで、いや、秋葉原にオタクの文化があってもいいんだけれども、そうした一面を無理解とともに切り取った放送目にして、え? あんたら、笑いものにしようとしてるの? 馬鹿にしてるん? などと思ったことのある人ならああした気持ちもわかるんじゃないか。いやほんと、蹴飛ばせるものなら、蹴飛ばしたい、そんな風に思ったことさえあるものなあ。今でもあのタレント、大嫌いよ。でも、これは漫画で、問題提起をことさらに全面に、なんてそぶりはなしに、読んで面白く、そして脱力させてくれる、そんな揺さ振りでもって楽しませてくれて、大変よかったです。変わっていくことに対して思うこと、そこに留まり続けようとしている気持ち、そうしたものがないまぜになって、あのキックに込められたんだな、きっと。ええ、そうしたやんちゃっぷり、大変よかった。うん、実に気持ちのいい娘さんでありました。

天秤は花と遊ぶ』、サブキャラクターといってもいいのかな、愛華とリコの関係を描いて、そこに愁の迷い、戸惑いをのせて、それはまさに私の読みたいもの、であったのかも知れません。愁の選択、もしかしたら最後のあの放送、次回の展開が愁に選択を迫るのかも知れない。けれど、できるならもう少し今に留まって、なんて思う私は、実に欲張りであると思います。

銘高祭!』は、ついに銘高祭開会に漕ぎ着けて、けれど今回は、次号にいよいよ動くという予感をはらんで、静かに、けれどうずうずとした気持ちを隠している、そんな具合でありました。文化祭、どうなるんだろう。どんな光景が描かれるんだろう。出席すれど参加せずをモットーとしていた自分の学生だったころよりも気になっている。そんなところが、我ながらおかしいです。

『乙女王子 — 女子高漫研ホストクラブ』、こいつはいい! 副会長の思いの丈をぶちまけてしまうところからはじまって、しかし朴念仁はどうしようもないなあ、そう思わせたところに駄目押しをする。どうする、どうなる? はらはらしながら待って、そうしたら、もうね、あの事前の仕込みをやぶって、あの口下手な人が、自分の言葉で答えるという、それからの数ページ、とてもよかった。幻想と現実の間で揺れている思い、しあわせ、喜びと、悲しさ、切なさがひとりの胸の中に同時にあるというその描写に、ええいああ、ちょっともらい泣きでした。

そして、『温泉惑星』、最終回。って、えーっ! なんだ、えらいはやいじゃないか。ちょっと驚いてみたり。けれど、この漫画、温泉と美人姉弟ということで、裸がばんばん出てくるんだけど、それが妙に健康的というかで、あんまりいやらしくないんですね。そうしたところはわりと気にいっていて、それで、細腕繁盛記とでもいったらいいものでしょうか、そうした旅館を守り立てようというのり、ちょっと面白いと思ってました。だから意外。ちょっと残念でした。

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