2009年8月31日月曜日

「けいおん!」イメージソング 琴吹紬

 予告どおり、本日は琴吹紬のイメージソングであります。『Dear My Keys ~鍵盤の魔法~』、Humming Bird、そしてお馴染み『レッツゴー』、この三曲です。一曲目は、タイトルにも入っているようにキーボードをフィーチャーした曲。二曲目はキャラクターのイメージに基づいたもの。そして、『レッツゴー』は同じ曲をボーカル持ち回りで歌っているという恒例のものですね。しかし、琴吹紬のイメージソング、これだけなんだかちょっと異色です。もちろんよくできてる。曲調は可愛いし、綺麗だし、可憐だし、魅力にあふれてる。でも、他の四タイトルとちょっと違うように感じるのです。

なにが違うんだろう。それは、歌われている内容、なのではないかと思っています。いやね、他の四人の曲は、劇中からそのキャラクターを特徴づけるようなシチュエーションやキーワードを拾いあげて、歌に反映させていた、そんな感じがあるのですが、なぜか紬に関してはそうじゃない。もちろん、バンドのキーボーディストで76鍵を使ってて、友情に篤く、そして作曲を担当している。そうした要素は盛り込まれています。けれど、なんだか他のイメージソングのように、そうした要素を前面に押し出して、いかにもこのキャラクターです! というような風にはなっておらず、すごくさりげなく、むしろなにかを暗示するかのような、そんな用い方になっているものだから、そう、『けいおん!』というタイトルや琴吹紬というキャラクターから独立させても問題ないんじゃないの? ってくらいにできあがっちゃってるんですね。

だから、すごく異色に感じたんです。

あからさまなキャラクターソングを期待してた人には、ちょっと物足りないかも知れないんじゃないかな、なんて思う気持ちもちょっとあったりします。いやね、すごく綺麗に纏まってるのはいいのだけど、平沢唯なんて、もう強烈にキャラクターのイメージを押し出してきてたでしょう。ああいう感じで、こういうのがムギです! って、恥ずかしいくらいにくるのかなって思ってたら、わお、すごく普通だ! みたいに感じてしまいそうです。それは実際私にもちょっとあって、けど、そうした反面、曲自体は気に入ってたりもするんですね。『鍵盤の魔法』の歌い出しなんてすごくいいと思う。それから、世界を讃えちゃったりするところとか、すごくよくって、でも、なんかこの人、世界を相手にしちゃってるよ! それこそゴロゴロ転がってアルファルファ出してる人とか、鯛焼きでごまかされちゃってる人がいるのに、紬だけなんかすごくスケールがでけえよ! やっぱり異色かもなあって思うんですね。

それでも、じっくりと歌詞を気にしながら聴いていたら、そのスケールの大きさ、歌詞のとらえる範囲の大きさの中に、劇中の紬のらしさなんてのを感じとることはできるんです。その心情といったものが、ちゃんと歌われているのですね。なので、充分にキャラクターソングとしては成立している。その上で、より広い領域に踏み出しているところがある、そんな感じであるのですね。

さて、『レッツゴー』の最後にシャランラがきたのには笑った、じゃなくて、ジャケットアートですよ。これ、素晴しいものがあるね。見返り美人ってやつですか? シュシュにとめられたアクセサリー、これがTRITON Extreme。豊かな髪が肩を通って流れていく、その途中、シュシュ、アクセサリー、ビーズのストラップがアクセントになってる。そして、肩越しに振り返るその視線に釘付けですよ。ああ、もう、なんて美しいんだろう。うっとりします。夢見心地です。

CD

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年8月30日日曜日

「けいおん!」イメージソング 田井中律

 雑誌新刊ラッシュが落ち着いて、やっとこさ書けますね。アニメ『けいおん!』、キャラクターイメージソング、出ましたね。もちろん買ってますよ。田井中律、琴吹紬、中野梓、それぞれ一枚ずつですけど、ちゃんと買ってます。というわけで、リリース順、というかカタログの番号がそうなってるのかな? 律、紬、梓の順に書いていきましょう。田井中律、ドラマー、収録曲は『Girly Storm 疾走 Stick』、『目指せハッピー100%↑↑↑』、『レッツゴー』の三曲です。このシリーズは一曲目が楽器をフィーチャーする、つまりドラムでくるわけですが、しかしそれってどんな曲になるんだろう。興味津々であったのでした。

興味津々というのも、ドラムがフィーチャーされた曲というと、どうしても石原裕次郎の『嵐を呼ぶ男』が思い出されてしまって、そんなだったらすごいなって思ったんです。でも、さすがにそこまで強烈なものはきませんでした。ポップな曲調、でもちゃんと嵐は呼ぶようで、そういやタイトルにもちゃんとStormって入ってるや。やるな。ドラマーといえばやっぱり嵐を呼ぶのが相場である模様です。

このシリーズ、というか『けいおん!』関連の歌全般にいえると思うのですが、イメージに添う、あるいはイメージを喚起するようなフレーズや単語をうまく歌詞に組み込んできていて、そのやりかたがキャッチーでうまいなと思わせるのですが、じゃあ田井中律のイメージってなんなのかというと、ドラムに関係するものはずしてみたら、シャーペン(話題になったあれですね。正直、歌詞に取り上げるほどかと思うのだけれども……)、前髪、部長、デコ、ジャージ、カチューシャ、というのが印象的で、押し出そうといているのは元気さと、その反面、ちょっと寂しがり屋だったりするところ、みたいですね。アニメでいえば11話の「ピンチ!」だとか、それから番外の「冬の日!」だとか、そのあたりで出てきた要素をうまく押さえてみましたっていう感じ。実際曲調にしてもそういう雰囲気をうまく反映させていて、基本ポップ、アップテンポで元気なんだけれど、そこにちょっとウェットな感傷みたいなものをのせてくるところがあって、それはなんだかいいなと思ったりしています。

そして、結構いいと思ったのは、歌っている人、ええと佐藤聡美さんですが、いい感じにキャラクターを演じながら、明るくそして可愛さを出しているってところ。だってだって…部長だもん!! の語尾あがりに歌うところとか、すごくキャッチーだと思う。その直後の全力疾走、ちょっと印象を変えてくるところとか、まあこれはアレンジ含めですけど、悪くないなって思うんですね。別の曲でも、締めるシートベルトとか、なんかすごくキャッチーで、妙に気になって、だいたいこの曲、『レッツゴー』自体が田井中律というキャラクターにあってると思う。だから、三曲通しで聴いて、キャラクターのイメージというものをよく感じられる、そんな仕上りになっていると思います。

あ、そうだ。ジャケットアート。律は黄色。楽器をモチーフにしたアクセサリー、ドラムってどうするんだ? って思ってたらシンバルのイヤリングでした。そうかあ、ドラムだからドラムでくると思ってたけど、シンバルもありだよな。でもって、イラストが思いもしなかった雰囲気たたえていて、なんか印象の強さがすごい。これは、目かな。目だろうなあ。化粧直しの最中か、目に睫毛でも入ったか、それを気にして手鏡覗き込んで — 、そうしたところの中間表情から、こちらに意識が移ったというような瞬間を見せられたよう。まるで盗み見てたのを感付かれたっていうような感覚がどきっとさせてくれます。しかし、力のある、いいイラストだなって思います。背景の黄色にちっとも負けてません。

ところで、『目指せハッピー100%↑↑↑』の冒頭のひゃくぱーって声、最初琴吹さん演じてる寿さんかと思ったんですけど、佐藤さんご本人なのかな。いや、ちょっと気になっただけで、それほどの意味はありません。

CD

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用

  • 大森祥子『Girly Storm 疾走 Stick
  • KANATA『レッツゴー

2009年8月29日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2009年10月号

『まんがタイムきららキャラット』、発売してます。2009年10月号。表紙は『ひだまりスケッチ』。なんか、アニメ第3期が製作決定ということで、勢いがついて、いい感じですね。残念ながら、『ひだまりスケッチ』は私のアニメ休止期間にはじまったために、一話たりとも、それどころか歌さえ聴いたことないという状況であります。この状況から、第3期を見るかどうかですね。どうしよっかなあ。そうそう、今月号には『GA』の掛け替えカバーがついてきまして、ともない定価も少し高くなって、でも私は多分このカバーを使うことはないと思います。だって、きっと綺麗に切り離せないと思うから。このまま保存されることだろうと思われます。

キルミーベイベー』は、なんだかちょっと懐しいパペットが出てきて、しかし可愛いな。パペットもそうなら、扉絵のパペット手にするやすなも可愛くて、あのなんか素直で健やかといった感じ。すごくよいと思います。

今回見ていて思ったんですけど、やすなは決して悪い子じゃないなあ。ちょっと面倒くさいというか、うっとうしいこともありそう。けれど、自分が楽しむだけじゃなく、ソーニャを楽しませたいって思ってるんだろうなあ。そんなことのわかる回で、だからちょっと不憫でした。でも、その不憫かも知れないところも楽しみのひとつで、そして煩わしいと思っているように見えて、実はちょっとは楽しんでるんじゃないか、ソーニャの内心を慮るのもまたひとつの楽しみのように思います。しかし、あのパペット、ちょっと欲しいな。アハハハハハハハ、ってのを私もやってみたいです。

うらバン!』、コンクール終わって、そろそろ先輩は引退の時期なんでしょうか。けれど、そうしたそぶりはまったく見せず、夏休みの宿題と、それからコンクール講評を受けて奮起する学生。実に恒例といった風景であります。ところで、一日休んだら取り戻すのに三日かかるっていう話、実際そういう話は聞くのだけれど、そのせいで高校から大学にかけて、一年365日、盆も暮も正月もなく毎日練習したわけですけど、でもあんまり神経質にやらないほうがうまくいくんじゃないかな、一日二日休んでも、まあいいじゃん、楽しくいこうぜって思ってるくらいの方が、楽器は伸びるような気がします。そうさ、気合いいれて、楽しくいこう。そうした楽しさがよくあらわれてる。ここ最近の『うらバン!』が面白いのはそのためかも知れないと思っています。

ところで、ここの先輩と顧問は、出鱈目に見えてわりと真面目ですね。そして、先生の結構ちゃんとしてるところも描かれて、よいね、いいです。もちろん駄目なところも素敵です。

ひだまりスケッチ』は裸婦クロッキー。私は経験ありませんが、母はサークルで、それから友人は大学で、それぞれやったとかいってました。やっぱり、なんかのっぴきならなくなる男子がいるとか。途中で消えて、しばらくして戻ってくるとか。まあ、若いってことさ。けれど、描いて描いて描いているうちに、裸体が画題にしか見えなくなってくるとかで、こののめり込んで描く、没頭するほどの集中力を発揮する、それがステップアップするための経験になるのかと思います。うん、彼女らはまだ卵で、これからの可能性を持った人ってことなんだろう。そうしたこと思わせてくれました。若いっていいな。

GA — 芸術科アートデザインクラス』、ノダミキ、なんという可愛さ。この人のくるくると変わる髪型。けれどちゃんとノダミキ。素晴しい。そしておねーちゃん登場。ちょっとしたすれ違いと、ちょっとした気持ちの揺れ動き。というか、動きすぎだというのもまたよくある話で、ああ、若いっていいな。

空の下屋根の中』。税金。税金は、払うの嫌なものだけど、けれど税金を払えるということは喜ばしいことなのです。私は毎月の税金天引き、年一回の市府民税、喜びをもって、毒突きながら払っております。税金は、自分がこの社会に参加しているっていう証しだと思うから、今年も無事税金を払うことができましたって、税金を払えることそのことに感謝しながら払っているんですね。そう、税金を払えることは喜びなのですよ、かなえさん。個として生き、また社会的な存在として生きる。その後者、それが税金なんです。喜びとともにお払いなさいな。

アットホーム・ロマンス』。本当に姉ちゃん、教師になってるよ! しかも、社会科なのか。悪いけど、意外でした。最終回。この漫画に出てきた姉たち、弟たちのその後が描かれ、そして主人公、竜太朗のその後が描かれ、紆余曲折あっての決着。やっぱりじんとくるものがあります。

紆余曲折 — 、どう見ても普通じゃない、そう思わせた家族の物語でありましたが、こうして最終話を見てみれば、そうじゃない、この家族もまたどこにでもありふれた、そんな普通の家族であったのかも知れない、なんて思ったのですね。特別なんかじゃない。誰もが迷い、誰もが辿るかも知れない、そんな普遍的な家族のひとつの物語であったと思うのです。だから、この漫画は、すべての人の気持ちに通じる可能性を持っているし、あらゆる人の心を揺り動かすかも知れない、そんな愛を描いて、堂々としている。いい漫画だったなって思うのです。

そして、最終回もなっちゃんは綺麗でした。

『もこもこBOX』、ゲストです。狐のしっぽが気持ちいいという漫画。狐というと、一般にきつい印象がありますけれど、こちらの狐はおっとりとして包容力のあるお姉さんであります。そして、うさぎと狸? カッチって名前だけど、猫? カッチといえばサスカッチしか出てこない私は本当に駄目だと思います。おっとりと元気のふたり組。可愛さがいいと思います。もう、とんとんとか、最高だと思う。

けいおん』は純ちゃんが登場。この人、原作ではすっかり忘れられた人って感じでしたが、というか、2巻巻頭描き下ろしに出たっきりなんだけど、復活。ああ、アニメ化の恩恵を最も受けたのは彼女かも知れません。純ちゃんは、アニメではジャズ研に入ったんでした。でも原作ではどうなんだろう。その純ちゃんが軽音部に興味を持って、これは第2世代への布石なのでしょうか。わかんない。わからないけれど、先輩卒業後に梓がひとりぼっちにならないなら、それはいいなあ。それに、2年生三人の雰囲気もまたよいものがあって、こういうのもいいなあと思ったのでした。純ちゃんのちょっと意地悪っぽく笑う、あの表情が可愛い。それに、梓のいつもとは違った表情、それもよいなと思ったりしたのです。

イチロー!』、キャラット掲載分が終わり。八百屋の旦那の妻、すなわち若葉の母が登場。わお、愛想尽かされたんだと思ってたよ。すまん、旦那。夫を愛する妻、妻を愛する夫、その様子に嫉妬する娘。なんというほのぼの家族なのだろう。馬鹿馬鹿しいのだけど、その馬鹿馬鹿しさが面白い。いい区切りにもなって、またいい話でもあって、よかったと思います。やっぱり、しあわせ家族が一番です。

『Aチャンネル』はナギが眼鏡を外して見せて、おお、可愛い。だが、いつもの25%程度の可愛さだ。そして海、そして素麺。ああ、今年も素麺あんまり食べられなかった。三食素麺でもいいのに……。あの素麺のくっついて取れないですけど、あれは本当によくあって、あの器ごと持ち上がってしまうっていうのも。けれど、そんなよくあることが、このふたりがやるだけでなんだか面白くって、それはなんでなんだろうって思います。ええ、面白かったです。

とらぶるクリック!!』、最終回! そうかあ、ついに進級かあ。変わらないことがあって、そして変わりゆくことがあって、そのうちの、変わらないってことがよかったと思えた漫画でした。けれどこれからはどんどん変わっていきます。その転換となる時の風景、その様子が、なんだかほろりとさせます。爆発も、コーヒーセットも、描かれるものごとの中にこれまでが偲ばれて、ああ、私はこの漫画が好きでした。だからちょっと寂しいけれど、終わることは、悲しいばかりではない。そう思って、この終わりを受け止めたいと思います。

ふら・ふろ』、カロリーハーフは通常のより高いのか。なんか、納得いかないものがあるな。カロリー減って、なのに高くなるんだ。納得いかないものがありますね。というか、アオちゃん、太るの気にしてるんだ。なんか意外な感じでした。

『ツバサとらいある』、友達が家にくる、それで張り切ってしまう、そんなツバサが可愛い。あんまり度を過ごすとなんなんだけど、友達がくるとなるとなんか浮ついてしまう。そうした気持ちは私にだってわかります。日常の、けれどちょっとしたイベント。そこで頑張ってしまう、その気持ちがなんだかよいと思ったのでした。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第5巻第10号(2009年10月号)

2009年8月28日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2009年10月号

『まんがタイムオリジナル』10月号が出ましたよ。発売は昨日のこと、そして今日は2009年8月28日。そう、『まんがタイムきららキャラット』の発売日、でもあるんですけど、Mac OS X 10.6 Snow Leopardがリリースされたんですよ。もちろん、うちにも届いてまして、まあこのへんは一般の四コマ漫画読者にはどうだっていいことだろうとは思うのですが、影山先生的には大騒ぎさ! そんなわけで、Blogの更新終えたら、インストールするんだ……。

ラディカル・ホスピタル』はちょっといい話だったように思います。気持ちの持ち方で人生は違ってくる、そんなことをいっている話であったのですが、病気になれば誰でも気は弱りがち、そこでどう気持ちを持ち上げられるか、そのお手伝いをできるか。ええ、いい話だったと思います。

私なんかは、結構くよくよしがちな性格なので、それではいけないね。無理をすればいいってわけじゃない。けれど、ただ落ち込んでいじけてるなんてのはよくない。ちょっと気分をリフレッシュさせてくれる回でした。

『今日から寺バイト』の旦那、いい感じに本領発揮して、持ち前のスキルでもってシステム作っちゃおうっていう、その意気がいい。でもって、数字が苦手な奥さん、目を回してみたり、それから働く旦那に惚れなおしてみたり、なんというキュートさでありましょう。今回は、なんかいつもと立場逆転って感じ。けど、それがすごくしあわせな感じをつくっていたと思います。

しかし、嘉永五年にまでさかのぼらんとする遡及入力。旦那、死ぬよ? 去年の締め日のデータを基本値にして、今年の頭からやるとかしないと、死ぬよ?

『ささきまみれ』、ささちゃん、インドにいくがよいよ。インドではふくよかな女性が美人だそうだよ? ところで、バイト探しスキル。これは正直羨ましい。こういう、最低限度の暮らしを確保するためのスキルは、いくらあっても困ることないと思います。正直、弟子入りしたいくらいです。

『十三番館EX系男子』、ゲストです。亡き祖父から譲り受けた屋敷にはエキセントリックな男子が何人も! 正直、この設定だけでは私にはちょっときつい。でも、きらら系では女の子ばかりでちょい百合みたいなのが流行ってましたけど、そんな感じで、男の子ばっかりでちょい薔薇みたいな展開するのだったら大歓迎です。がつんといっちゃってください。

『ひよりすと』、これもゲストです。姉弟もの。長姉が一番子供っぽい外見で、中2の妹はなんだかちょっと大人っぽくて、って、ついこないだ同じようなこと書いた覚えがあるよ? でも、テイストはずいぶん違います。こちらの方がお姉ちゃんの小動物度合いが高くって、そうした傾向の可愛さがなかなかに効いていると思います。ところで、目玉焼きを見てひよりのペチャパイみてーだなーとつぶやく弟、もちろん私はこの時、目玉焼きのイラスト見て、ちゅうちゅうできないじゃないか! を思い出しているわけです。ちゅうちゅうするのか? 草介、お前は姉を思いながら、一体なにをしようというのだ!? とんだ変態だな!!

次いきましょう、次。

『先生のたまご』、大人気ゲストだそうです。大人気なら、連載にしてくださいよ。これ、やりたい放題傍若無人のふたり、化野先生と保取先生と一緒に行動してるたまこ先生が、なんだか点目だったり、もくもくとアイス食べてたり、小ネタなんですけど、こういうのがすごく面白いです。舞台の中央に出て、場を動かしかきまわすのは化野、保取で、けれど主役はきちんとその存在感を残している。こういうのいいなって思います。ぱっとクローズアップされたときに、ちゃんと輝く、そんなところもいいなって思います。

L16』の、昔の記憶を取り戻そうとする奈々香のやけっぱちの表情、ちょっと素敵でした。しかし、お姉ちゃん、どれほど妹が好きなんだろう。でも、こうした記念物を残したくなる気持ちはわかります。

『おかまん研』、やったー、ゲスト期間を乗り切った! と思ったら、またゲストなの? なんてこったい。この漫画、回が進むにつれて、キャラクターは落ち着いて馴染んできたし、絵も話も整理されてわかりやすくなってきたしで、なかなかにいい感じだと思うのです。腐女子といっていいものか、けれどそんな彼女らもその年頃の娘さんで、わあわあと楽しそうにやっている。その雰囲気は、なかなかによかったです。これでコアなネタもまじるようになれば、すごくいいな、そんな感じに思っています。

『アトリエZOOへようこそ!』。先月号、ラストで原稿の落ちたことに驚いてましたが、どうやらこれ毎回落ちるのか。爆発落ちじゃないけれど、原稿落とし落ち? 毎回どたばたを用意して、その結果落ちるという、そのお定まりにいたるまでのバリエーションを楽しむものというのだったら、これはありだと思います。実際、今回、面白かったです。その面白さは、前回の落ちがあって、それで今回の落ちがあってという、その効果によるところも大きかったと思います。

『マチルダ! — 異文化交流記』、『おたママ』の茶崎白湯の新作、ゲストだそうです。海外からやってきたマチルダ、異質な彼女にひっかきまわされる日常、っていう漫画になる感じです。でも、最初の写真見て、ロビーの大ゴマを見て、ああ、彼女がマチルダか、って納得してしまった私は、次ページでのインパクトを味わうことができなくて、ちょっと残念でした。これがどんな風に展開するか、それはまだわからないけれど、期待したいと思います。

そこぬけRPG』、こりゃ駄目だろう。ゲボキュー、かわいすぎだ。どう見ても男という体格、そこにあの衣装。なんと凶悪なイラストかと思いましたよ。しかし、それでコンパニオンに溶け込むとは、なんという順応力。凶悪すぎです。で、後半は社長のおおくりする辛いステージ。すごいキャラクターがそろってるなあ。本当にそう思います。

『超訳星の王女さま』、貧乏に苦労する姉妹の話。素直で前向きな姉、策略に長けた妹、こうしたキャラクターの魅力もあるけれど、脇にいる、サンマを焼く借金取りとか、妹におまけ戦略で負け続ける八百屋の大将とか、そうしたキャラクターもまたいいと思います。こうした周囲の人たちが、なんのかんのと姉妹に気を配っているようにも感じられる。それが、一種救いのない設定に、優しげで和らいだ雰囲気を与えていると思います。

『SPさん』のSPの、ひょうひょうとして、けれどどことなくおかしなところ。それが持ち味かと思いますが、にしても最後の黒子、あれは面白かったです。最後の最後に台無しといった状況に、マチのつっこみが駄目押しになって、すごく面白かったです。

『恋は地獄車』、やっぱり面白い。姉の困った恋人。妹の困った、恋人にしたくない人。なんというのか、こんな男実際にありそうだけど、身近には絶対いてほしくないタイプだなあという、その強烈な印象がたまりません。でも、あの姉はあのカメムシ集める彼が好きなのか。たまらん。この駄目さ加減がすさまじいです。でも、本当になんでカメムシなんだっていう、なんでよりによってカメムシなんだっていう、嫌がらせにしては凶悪というほどではないけれど、でも決して生易しくもないっていう、この絶妙さが最悪で、面白かったです。

『花咲だより』の、お姉ちゃんが体重計を蹴飛ばすところ。いたーっ、なんて思ってたら、ちゃんと次の一コマ目にそうした描写がはいってて、笑ってしまいました。そりゃ痛いよね。しかしこの漫画、後先考えないお姉ちゃん、面白いなと思って、けどこの人、結構弟のこと好きで、しかも頼っちゃってるっていう、そこがいいんだろうなって思います。ダンベルに笑って、そしてバスタオルで抱き留められることに憧れてるっていうのでまた笑って、ちょっとしたところに、意外性や共感のようなものをもよおさせる。それがうまいなって思うのです。

『花の委員長』。これもなかなかにいい感じで、ちょっと気にいっています。そうか、0.3mmのシャープペンシルってかっこいいんだ。この、いかにも常識ありますっていう風を装ってる委員長が、実に装っているだけっぽいところがすごくいいと思ってて、あの素振りの迫力、卵に向かう真剣な表情。ギャップなんだろうとは思うんだけど、これは面白いです。花と委員長、ふたりが友達ってのにも納得いきます。似てないようで似ているふたり。いい感じです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第28巻第10号(2009年10月号)

引用

  • 魔神ぐり子「ひよりすと」,『まんがタイムオリジナル』第28巻第10号(2009年10月号),50頁。

2009年8月27日木曜日

表色89X系 — GIRLS COLOR CHART

 『表色89X系』が出た! アレルーヤ! そして、確認。まずはタイトルです。これ、なんて読むんだろう。ひょうしょくはちきゅうえっくすけいでした。おおう、なんてこった。ずっとおもていろだと思ってたよ。というわけで、これから意識せずともひょうしょくと読めるよう、矯正することにします。さて、『表色89X系』。これがですね、私好みの要素が散見される、そんな漫画でありまして、もう連載時からどうにもこうにも気になって、それが今単行本になったものですから、嬉しくてしかたないんですよ。いや、ヒロインが眼鏡とか関係ないよ? 扉絵がプリンセスとか、巻頭がメイドとか、とらのあなのおまけがネクタイ、ベストにベレー帽とか、もう、全然関係ないよ? 基本的にフェミニンな娘さん、でもちょっと凛々しい表情見せたりもする、そんなことも全然関係ないですよ? いや、本当。全然関係ないですよ。

しかし、この時に凛々しく、時に面倒見のよいヒロイン、松葉葵でありますが、第1話でいきなり留年を確定させるとかね、その理由も本当にどうしようもないもので、この人、大丈夫なのかと心配させる、そんな駄目なヒロインであるのですが、これだけやっても人物紹介では目立たないみたいなこと書かれちゃって、ええーっ!? 目立たないですって? 私、この漫画が始まって以来、ヒロインに釘付けなんですが。ヒロインしか目に入ってこないような有り様なんですが!?

馬鹿なこといってないで、真面目にいきましょう。

私の好きな要素っていってましたね。これ、漫画の本質にはあまり関係しないのですが、なにかといいますと、男性陣のやっているあれ。西洋甲冑着てうんぬんというあれなんですよ。私、以前ちょっと近代兵器登場以前の用兵とかを調べていたことがあるんですが、まさかその果てに中世愛好家のグループと出会うだなんて思っていなくって、驚いたことがあるんですね。甲冑を身につけて、剣戟をするっていうのはまあ想像の範疇でしたけど、それ以上のこと、ソサエティメンバー全員で中世のお祭りや生活風俗を再現してみるとか、うわー、これ面白そう! って思って、記憶に残ったのでした。ブックマークしてなかったから、いいサイトを紹介できないのですけど、日本ではアヴァロンっていうグループがあって、その活動内容にはしびれますね。ええ、ええ、あるんですよ。衣装や甲冑の製作 ダンスや料理なんかもする人たちは実在するのです。けど、よくもこうしたマイナーな趣味をピックアップされたものだ。でも、こうした漫画を読もうという人の中には、少なからずアヴァロンのようなグループを知っている、それどころか関わってるっていう人もあったりするのかも知れない。そうした人は、きっとあの人たち見て、にやりとしたんだろうな。ええ、にやりとしますよ。

この漫画のタイトルの、表色もそうですけど、89X系、これもなんだか謎で、いったいどういう意味なんだろうって思ってたら、どうやら第2話に出てきた芸術の分類がそうっぽい。私は、学生のころ、こういうの勉強してたんだけど、忘れちゃいました。興味ないからなんですけど、この漫画によれば、フランスではバンド・デシネを第9芸術に置くらしい。じゃあ、第10芸術は「萌え」でいいんじゃないっていう、その第10、ローマ数字ならXですか? つまりは、柴田燕ウって人の提示する萌え、そういうことなのかなって思って、けれどそんなこと関係なしに広がっていく個性的な面々の関係、それが楽しくって、心地よくなっていって、やっぱり第何とかいうの、どうでもよくなってしまいました。

楽しい、心地よいって、なにがそうなのかっていうと、誰もが非常識で、けれど同時に常識も内包しているところなのかなあ。ヒロインなんかは典型的で、異常な方向音痴、それが原因で進級できなかったくらい。けれど、家事はしっかりできるし、価値判断もちゃんとしてる。その両極性がいいな。しっかりした人の魅力と、駄目な人の魅力を兼ね備えているって思えて、まあ、松葉葵を取り巻く面々は、それどころじゃなく非常識的な要素が強いんですけどね。多分そのせいで、ヒロインは場を常識に引き戻す役目を担うほかなくなって、ともなって目立たなくなっていったんだろうなって思うんです。だって、女の子大好き美少女と女装美少年の双子とか、幼馴染みの女の子に屈折した愛情を向ける女の子とかね、ほんと、ろくでもないって感じです。でも、そのろくでもないって思える人たちも、どこかに常識的な感覚を持っているような感触があって、だから無軌道に非常識を撒き散らかすのではなくて、いいところを突いてくる。ああ、わかってやってるだろ、それ、っていう感じがあるんですね。その常識非常識を繋ぐバランス感は、登場人物というより作者のものかも知れませんけど、けれど常識に引き戻す役目の人、おおむね葵ですけれど、彼女が機能しなくなったとしても、別の誰かがちゃんと引き継げる。それで、そのキャラクターのらしさが変質するようなことはない。その皆がうまく機能している感がまたよいと思っているのです。

投げたボールを、ちゃんと拾ってくれる相手がいるってわかっているから、思い切った投球をしようって思える。その思い切りのよさが、個々の魅力をいっぱいに発揮させる。そうした、個の強さと、個の強さを受けて支えてひとりにしない皆の繋りの確かさが、バランスよく引き合っていると感じられるから、私はこの漫画が好きだなって思うのかも知れません。だから、葵は目立たないなんて思う必要ないんです。いわば彼女はキャッチャーとして、場を成立させよく機能させる、そんなポジションにあるのですから。葵さん、あなたこそが主人公だと、声を大にしていいます次第です。

引用

2009年8月26日水曜日

『月刊アフタヌーン』2009年10月号

 『月刊アフタンーン』、買っております。千ページ超えの分厚い雑誌、といおうと思ったら、ぎりぎり千ページには逹してなかったみたいで、でも分厚いことにはかわらない。私、これと『まんがタイムきららフォワード』持って、大阪地下街と京都新京極をはしごして、もう疲れ果てました。なんか、ここ数年、書籍の電子化とか話題になってますけど、この分厚い雑誌が電子化されたらどんなにかいいだろうって思うことが、ちょくちょくあります。いや、ほんと。値段そのままでいいから、電子化されないかなって思います。

無限の住人』、読み切りから本編に復帰して、ちょっとずつ逸刀流の撤退劇が色付きはじめている。そんな感じがしてわくわくします。今回は、手段を選ばない吐の打った手によって、本隊との合流を阻まれた天津。逸刀流本隊では、果心居士が追手を罠にかけるべく動き出して、この結果がどうなるか次号が楽しみだ、というのはやっぱりこの漫画における花は乱戦、混戦にあると思うからなんですね。

と、そう思っていたら、凶がなんか蚊帳の外みたいな状況に……。でも、この人のことだから、いいところで参戦してくるんだろうな、きっと。

百舌谷さん逆上する』は、竜田と番太郎が激突。はいいのだけれど、凶器持った中学生数名相手に圧倒的な強さを見せた番太郎だと、どう考えても竜田の手には負えないので、前回唐突に出てきたばあさんの秘術の設定が応用されて、普通の小学生並にパワーダウンさせられて、それで竜田との殴り合い。自分の思いの丈を宣言して殴る、その繰り返しという、実に昔の少年誌らしい展開を見せて、しかしここで竜田の勘違いがちゃんと意味を持って繋がってくるっていうのが面白い。それで結局、ふたりは間違った方向に頑張ってしまうのかな? 所詮小学生ってことなのかな。そんな風に流れて、そしてそれはもしかしたら百舌谷さんもそうなのかも知れない。

そして、次回は運動会。これまで、この運動会になにかありそうだという伏線がたくさん用意されてたわけですが、それがはたしてどういう風に決着するのか。それで、なにか物語としての動きが生まれるのか。すごく楽しみであります。

『友達100人できるかな』は、従姉のお姉さん、可愛いなあ。それは置いても、なんだかちょっと感動的な話だったなって思って、展開としては例のごとくベタではあるのだけれど、そこは直球の魅力というやつです。この真っ直ぐさは、とにかく威力あるなあと思えて、ええ、すごく気に入っています。

『武士道シックスティーン』、やっぱり面白い。とはいっても、まだほとんどなにも語られてないに等しい序盤なんだけれど、あの勝ちに異常にこだわる磯山の鬼気がとてもいい。兄をめぐる因縁があるのはわかるけれど、それが引っ掛かり続けているのは、この磯山ひとり。その引っ掛かりはいつか流されるんだろうけれど、その時に重要な役割を演じるのが西荻なんでしょうけど、まだまだ先は長そうですね。

『いもうとデイズ』、本当に大好き。いくらなんでも、一度そうなった革靴は駄目だろう、とは思うんだけど、本当はどうなのかな。革靴はかないからなあ。

最初は、食べるものにちょっと困っている、妹からの施しを受けてちょっと複雑な気持ち。そんな話だと思ってたのに、馬鹿な面白いだけの話だと思ってたのに、兄さんの昔の切ない思い出と、それをディアナに話すというところにはすごくやられてしまって、こういうちょっとした気持ち、心の交流するというところ、いいなと思うのでした。この漫画、すごくいいです。大好きです。

2009年8月25日火曜日

Sketchbook, taken with GR DIGITAL

Eveningさあ、月末。ということで、GR Blogトラックバック企画です。今月のテーマは夏休みだそうです。ああ、夏休みったって、どこにもいってないよ。昼まで寝て、楽器の練習して、夜更しして、その繰り返しでした。とはいうのだけど、夏休み、夏、そうしたものを感じさせる光景というのはやっぱりそこかしこにあって、まとまった休みをとれなくとも、ちょっとしたことに夏の特別を感じることはあるのですね。といったわけで、今月もトラックバック企画 夏休み に参加します。

とはいっても、あんまり夏休みという感じのものはなかったりしましてね。まず一枚目。これ、夏休み関係なしに、ちっこいのがお絵描きして遊んでた形跡、そいつを撮ってみました。夏といえば工作や絵という発想でいいのかな? 貧困といえば、たしかにそのとおりです。

Sketchbook

そしてひまわり。ひまわりは、やっぱり夏の花っていう感じがして、独特というか特別な感じがします。これは、植木鉢に植わっていたもので、あんまり大きくはないのですが、でもなんだかちょっとらしいなと思って撮ったのでした。

Sunflower

2009年8月24日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2009年10月号

 本日は『まんがタイムきららフォワード』10月号の発売日です。朝、コンビニの雑誌棚、四コマ漫画が置かれているあたりを探したら、わお、真っ赤な表紙で驚きました。表紙は、『純真ミラクル100%』。オクソンとモクソンのふたりが並んだ表紙なのですが、こうして見ると、モクソンは可愛い人だな。そんなこと思ったのは、衣装の威力もあったのかと思います。全体に白くて、ほわほわした雰囲気。それがこのキャラクターの空気なのだと感じました。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』。なんか突然過去話になって驚いたのですが、ヒロインすずの昔の話。オキシドールで脱色してたとか、なかなかに衝撃な事実、とはいうけれど、ビジュアル的には金髪でむしろポイントアップじゃん。というか、緑の髪にこそびっくりだ。

多分、これ、なんだか衝撃的な引きで終わったけれど、この人があの人なんだろうな。違うかな? 楽しみにしつつ、次回待ちです。

純真ミラクル100%』は、前回のちょっと怖いといっていた終わり方。その雰囲気をやっぱりちょっと引っぱって、ええ、恋愛と駆け引きと策謀が渦巻いている。そんな話になっていて、ちょっと重い。けれど、この作者はこういう展開が好きなんでしょうね。ちょっとわくわくさせるといってもいいかと思います。不器用な女性たちの、友情と恋模様の入り交じりが、なんだか心をひっかきます。

『少女素数』、髭のお兄さんが少年の身体に引き付けられてしまって……、という話。ちょっと嘘。でもちょっとは本当。前回、前哨戦的水着回だといってましたが、じゃあ今回は水着回本編とでもいったところでしょうか。皆で海にいって、海の生き物と親しみ、そして、ちょっと心の揺れ動きを見せる、そんな終わり方が気になります。いやね、有美ちゃんがね、なにかに気付いてしまった?

それはそうと、水着といえばどうしても肌の露出が増えますが、そんな状態で磯の岩場で遊んでいるっていうの、どう考えても危険だよなあって思って。いやね、大怪我コース!? とか思って、必要以上にはらはらしてしまったんですね。

『さんぶんのいち。』が終わってしまった。おおう。こないだ、引っ越してきたところじゃないかー。終わり方は、結構状況継続的なもので、実際、とことんやってくれって思っていた漫画だったから、この終わりにはちょっと残念って思ってしまいます。らしいといえばらしいのかも知れないし、こういう、ちゃんと三人ともに相手の気持ちに気付いて、それでバランスをとっているみたいな、そういう様子もそんなに悪くないのかも知れないとは思うけど、だったらそれでもう少し読みたかったなって思ったりしました。

天秤は花と遊ぶ』、これも終わり。ええーっ! でも、こちらはきちんと気持ちに決着をつけた、そんな風に思うから、それも、もしかしたらそういう選択が迫られることがあるのだろうかって思っていた、その選択をきっちりとしてみせた。だから、これはありだなあ。ありというほかないなあ。いや、もちろん残念だとは思っているんです。もうちょっと読みたかった。愁の気持ちはわかった。だったら、謡子の気持ちもきっちりと知りたかった、というのは欲張りかも知れませんね。あの描かれたことで、語られているだろうとも思うわけですから。

ところで、愁の選択、それは実によくわかるものであったわけですけれど、けれど愁が、あんなに可愛い愁が、あ、ここネタばれね、男になるってのはショックかもなあ! いや、結構というか、かなりショックかもなあ!

銘高祭!』、学園祭がはじまって、どうなるんだろう、そう思っていたけれど、これ面白いです。マニア、オタクのPC研の連中が、軽音部のギターボーカルの女の子、お姫様のナイトになろうかというような話で、段々に、ちょっとだけ心を通わせて、それは下僕と姫の間での話であったけれど、同時に観客とステージにおいても同様だと思わせる、そんな雰囲気にしっかり捕われてしまいました。

ところで、PC研の彼ら。今でこそオタクかも知れないけれど、時代が時代なら、最先端のテクノよ? あと、姫は実際萌えだと思います。

『乙女王子 — 女子高漫研ホストクラブ』、最終回。ぎゃーっ! いや、いいんだ。覚悟はしてました。私、この漫画がなんだか妙に好きだったんです。『天秤は花と遊ぶ』と『乙女王子』。このふたつが同時に連載されていた『フォワード』は素晴しかった。それが、こうしてともに終わって、ああひとつの時代が終わった。大げさですね。

『乙女王子』は、部費獲得のために男装ホストクラブを学内でやってみようよ、なんていう、本当に馬鹿な漫画だったんですが、その馬鹿といえば馬鹿なノリが好きだったんですね。けれど、そうした馬鹿らしさの中に、なんだかシリアスな表情が見え隠れしたりする、そうした様子にしみじみと感じいって、そして最終話、なんか危機を迎えたけれど、やっぱり馬鹿ばかしいノリで突っ切っちゃって、しかもなんかすごい人登場! 面白かったです。

連載はこうして終わってしまったけれど、単行本でまた会えますね。その発売される日を楽しみにします。

2009年8月23日日曜日

ユメ・ミル・ココロ

 先日、『浪漫ちっくストライク。』を買いました、なんていってましたけど、ということはつまり、『ユメ・ミル・ココロ』も買っているのです。アニメ『大正野球娘。』のエンディングテーマ曲であります。で、これ、『浪漫ちっくストライク。』とは違う店で買った。いやね、漫画を買いにいった店、CD棚をふと見れば、ブロマイドがついてくるってあったものですから、おお、なんかよくわからないけれど、ブロマイドとやらをもらってみようかのう。そんな気分になったのでした。

で、貰ってみて驚いた。ブロマイドって、歌ってる人のだったのか。歌ってる人、伊藤かな恵。『ユメ・ミル・ココロ』は『大正野球娘。』ED曲のシングルですが、同時に伊藤かな恵のデビューシングルでもあるっていうわけで、つまりそのデビュー盤の特典だったってわけですね。しかし困ったな。ファンだとかなんだとか以前に、私、この人のこと、よく知らないよ。ほんと、どうしよう。飾っとくか。けど、どこに!?

さて、聴いてみての感想。収録されているのは、表題曲である『ユメ・ミル・ココロ』に『セツナラブレター』、『誘惑マーマレード』の三曲です。で、これが結構いいのですよ。三曲ともにセンチメンタルに夢や恋を歌うのですが、けれどそのそれぞれに風合いが違っていて、やるせなさが伝わるような『セツナラブレター』、迷う気持ちに揺れる様子が可愛らしいと感じられる『誘惑マーマレード』。じゃあ『ユメ・ミル・ココロ』はどうなのかといったら、これは結構前向きというか、いろいろ吹っ切って、さあ歩き出そう、そういった伸びやかな感じがあって、聴いてて気持ちいいんですね。ほんと、いい曲ばかり。聴いてると癖になるようなところがある。三曲とも、それぞれに気持ちをくすぐるところがある。そんなところも含めて、気に入ってしまったのでした。

このシングルですが、シングルではあるのだけれど、ミニアルバムって感じでもありまして、それは曲数のこともあります。シングルにはつきもののカラオケ、最近ではInstrumentalなんていったりすることも多いみたいですが、それは『ユメ・ミル・ココロ』だけが入ってて、あとの二曲にはついてこない。カラオケがないからアルバム、なんてこというつもりはないですけど、送り手からすれば、そうした意図があったんじゃないかな。そんな風にも思わせてくれるのですね。

そうそう、ライナーノートでいいのかな? 冊子にある写真、ジャケット写真もそうですけど、車が日産のパオ。懐しい! この車のちょっとクラシカルな雰囲気。ちょっと特別で、けれど大げさとか感じさせない気安さがあるの。伊藤かな恵という人の雰囲気によくあってるなって思って、いい写真だなって思いました。口笛吹いて 夏の風にKissとか思い出したのは、ちょっと内緒です。

コミックス

  • 伊藤伸平『大正野球娘。』第1巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
  • 伊藤伸平『大正野球娘。』第2巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
  • 以下続刊

CD

Blu-ray Disc

DVD

PSP

Goods

引用

  • 松本一起『テレポーテーション

2009年8月22日土曜日

『まんがタイムスペシャル』2009年10月号

『まんがタイムスペシャル』10月号が発売です。表紙にはたまこさんが描かれて、お弁当が新幹線。しかも0系? ある程度の年代以上の人にとって、新幹線というと0系であり続けているわけですが、たまこさんにしても、私にしてもそうなのかも知れません。みなさんはどうですか? さて、今号から『恋愛ラボ』が連載開始だそうですね。今は亡き『コミックエール』に掲載されていた、いりきみ塾でのリコをめぐる男子どもの恋の物語、だったっけ? ともあれ、そいつの続きが『スペシャル』にやってきた。というわけで、表紙にはほたえるリコとマキがしっかり描かれております。

たまのこしかけ』は、結婚を意識する年齢に差し掛かったお嬢さんがヒロインであるわけですから、当然いつか出てくるだろうと思われたお見合い回であります。しかし、よくありがちな、皆でお見合いを妨害しよう、なんて話にならないのが女には期限があるのよ、その期限とやらを意識している人たちがメインの漫画だからなんでしょうな。けどさ、そうやって期限だなんだといいながら、結局はスローテンポで、状況に対して踏み切らないのはなんだかなっていう風には思わないでもない。でも、そうやって動かないのが、たまこさんって人なんだろうなと思います。というか、そうだったからこそ、今があるんでしょう。

『スーパーメイドちるみさん』のお嬢さまは、徹頭徹尾、まともに役にたったことがないっていうのが徹底されていますね。今回は、お嬢さまメインの話であったわけですが、まったくもってまったく役にたたなくて、けど横着で面倒くさがりで、ちょっと傍若無人で、寂しがりやで、そんな彼女の表情がくるくるかわるところなんていうのがすごく魅力的で、むぅう、とかね、素晴しかったです。しかし、この漫画のメイン登場人物でありながら、今回は影さえも出てこなかった大樹様。彼は、紅林さんに好かれているっていだけでも、人生の勝利者だと思うのです。ただ、麗子さまはナースにはなりそうにないっていうのが、彼としては問題なのかと思われますが……。

『トンネルの華子さん』、松田円の読み切りです。派手な幽霊が、内気で地味なヒロインと交流する。出落ち系のシンプルな話ではあるのですが、面白かったです。なにがいいといっても、幽霊とか関係なしに、華子さんが華子さんとして、広く知られている、親しまれているってところかと思います。こういう、根にある明るさみたいなのがいいなと思うんですね。つうか最後の話は、青春の行き着いた先ってことですか。これって、連載狙ってるわけではないのかな? あるいは、華子さんだけ固定して、まわりを変えていくってことなのかな? そのあたりは、考えないことにします。

ふたご最前線』、いや、あのお母さんは可愛いよ。すべての子供がそうではないけれど、やっぱり子供は汚す、壊す、そうした印象があるから、それをのびのびと育てるってのは大変だろうなあと思ったりしました。でも、あの新聞紙に関しては、お母さんが失敗だと思う。一年坊主のすることなんて信じちゃいかんのよ。

夏乃ごーいんぐ!』、というか作者たかの宗美ですけど、コミックス50冊到達なんだそうですって。うわあ、すごいな。私は『オトコのいる部屋』が好きです。もちろん、夏乃さんも好きです。そうだ、ちっこくてカワイイからだ。

『ほのか! しっかりしなさい』、昔の友人を出して、少しずつほのか周辺の人間関係、登場人物を広げていっているみたいです。基本的にはほのかと園長先生の関係をメインに置くみたいですけど、広がる人間関係の中にも面白みが見出されることがあれば、それはとてもいいなと思ったりしました。

あいどく!』、思いもしなかった展開が待っていて驚き。でもこれって、なにか怪しいと思わせてきたかずやとの関係、その決算ってことなんでしょうか。どうもこれは興味深いといわざるを得ない、って感じです。

そして、特別企画『夏バテ解消レシピスペシャル』。野広美由と吉谷やしよ、そして安堂友子の三人が描いているんですが、安堂友子のって、レシピ関係ないじゃん! 夏野菜の豆知識を軸に、齢800歳の不老不死OLビクニさんのどうしようもなさを大っぴらにしましたって感じで、しかし面白かった、だからいいです。というか、ビクニさんってヒロインだったというのが驚きで、でいつも一緒にいるふたり、背景ズって酷い。でも、そういう適当感がすごくらしくてよかったです。って、レシピに反応してないじゃん。

やっぱり、うなぎとカレーは別に食べたいものだと思いました。

『蝴蝶酒店奇譚』。ちょっと謎めいた美青年、バンリの秘密が明らかに! っていうか、実は、ちょっとネタばれになるけどいいよね、実はバンリの好きなのはライなのではないか!? 最後にそれが明かされるんじゃないか!? なんて思ったけど、読み返したらそれはなかったわ。ちゃんと伏線はあって、そのほのめかしには気付いてたんですけど、バンリのキャラっぽくないし、と思って却下したのでした。というか、あれ? なんでオーナー、テレビに出てるの? って思ったりしたのは内緒です。

ところで、私はこのオーナーの毒婦っぷりが大好きです。それとバンリ、やっぱりなんだかちょっといいなあ。今後、ずっとこのキャラで出てくるのかな?

『卓上雑貨店あるにかや』、ゲストです。ネットショップのオーナーさんがヒロイン。地道に描かれるネットショップ繁盛記って感じで、悪くないと思います。この、地に足ついた感じはとてもいい、と思うけど、生活はどうやってるんだろう。バイト? だったら、やたらリアルだなあ。あんまりリアルすぎると、楽しめない部分も描かれたりするのかも知れないけれど、いっそリアルさを追求してみても、それはそれで面白いかも知れません。

『MISHIMAデパートメンズ館』の社長が結婚。うわあ、驚いた。婚約者は以前にも出てたけれど、突然なんの前触れもなしに、こんな展開。さすがに驚きました。でも、なんか社長がしあわせそうだからいいや。

『ごめんね、委員長!』。先日の『ラブリー』に続いてのゲスト。私はもはや結構なファンであるので、こうして読めて嬉しいです。どの雑誌が一番支持率が高いか、それを見極めようとしてる最中なのかな? 委員長は酷い目にあうポジションなんだろう、っていってたけど、そんなにでもなかったかな? っていうのが印象です。委員長ばかりにウェイトが置かれるわけではなく、そこそこいろんなキャラクターにも目がいくようになっているから、っていっても、新ぱん子と優里くらいか。でも、いずれこうした脇キャラクターも前に出てきたりするんだろうな。そうなる日が楽しみと思える漫画です。で、委員長は可愛い。いい漫画です。

恋愛ラボ』。ヤンが不器用すぎ。いや、あれで普通なのか? けど、倉橋のことが気になるからってイジワルせずに優しくしてやれ! ってそんな展開っぽいんですが、やったじゃん、リコさん。名実ともにモテモテじゃないですか。嘘から出たまこと、ではないけれど、実は結構(女子として)人気のあったリコの話だとしたら、いいなと思って読んでいます。でも、実際、リコみたいな女の子は魅力的だと思うのですよ。

『ハニーtheバンドガール』は、期待どおりヨウさん再登場で、実にいいキャラクター、いい感じです。しかし、このヨウさんとやらのいってることは、実に正しいと思う。とにかく好きで離れられない、それが真実、実際のところなのだろうなと思ったのです。迷ってる暇なんてないんだよって話なんだろうなと思えて、しかしこの漫画でこういう展開があるとは思いもしなかった。すごくいい感じだと思っています。

『さんサンと』。『かっぱのこっぱちゃん』の人ですね。姉弟もの。長姉が一番子供っぽい外見で、17歳の妹はなんだかちょっと大人っぽくて、そして地味な弟と。この三人の暮らし、なんだか悪くなかったと思います。この人の独特のあたたかみ。それがよいんだろうなと思います。

『瞬け!シャイン』、あの煙の殺虫剤の社長は、確かになんだかいいなと思います。偉ぶらない、トップがそんなだと仕事しやすそうな気がするんです。というか、その前のネタがワンマン社長だものな。どっちがいいかといったら、そりゃ廊下の社長ですけど、もしこれが同一人物だったりしたら、すごくいやだななんて思ったりなんかして……。

『ヒゲヒゲしっぽしっぽ』が最終回。あくまで普通に、いつもの感じで終わりました。でも、この普通って感じがいいです。この漫画は、なんかがっかり、ってことを、そのままがっかりって感じで描く、そうした作風が結構好きだったのでした。そして『カンヅメコーポのチリー』も終わって、これは実はあるていどは覚悟してました。きっぱりと決着のつく、なんの決着かわかりませんが、そんなラストかと思ってたら、わりに甘い、これまでと同じ日々が続きますってラストになって、これはちょっと意外でした。変わるべきところは変わりました、けどその違っていく日常の中、チリーと一緒に暮らしていきます、みたいなのでもよかったと思うんだけどな。なんて思ったりしたのでした。しかし、結構好きな漫画だったから、こうして終わっちゃうのは残念です。そういえば、両方ともに猫漫画でした。

  • 『まんがタイムスペシャル』第18巻第10号(2009年10月号)

引用

  • 荻野眞弓「たまのこしかけ」,『まんがタイムスペシャル』第18巻第10号(2009年10月号),5頁。
  • 師走冬子「スーパーメイドちるみさん」,同前,12頁。
  • たかの宗美「夏乃ごーいんぐ!」,同前,48頁。
  • 宮原るり「恋愛ラボ」,同前,134頁。

2009年8月21日金曜日

PlayStation 3

 新型PlayStation 3が発表されましたね。ちょっと薄くなって、ちょっと消費電力が少なくなって、じゃあ買おうか、と簡単にいかないのが難しいところであります。実はね、買おうと思ってたんですよ、PS3。いやね、ちょっと見たいBlu-ray Discがあったものですから、ああ、そうだよ、『けいおん!』だよ、ムギちゃんが好きなんだよ、最近律っちゃんも気になるんだよ。って、語気強めたらいいってもんじゃありません。けど、本当に微妙なタイミングでした。もし、これが8月頭の発売なら、まちがいなくPS3を選んでたろうと思うのですね。ですが、その頃には情報さえも出てこなかったものだから、いずれ出るとは踏んでいた新型、そいつを待てずにPioneerのBDP-320を買ってしまった。ということで、正直、今のところPS3を買う積極的な理由はないのです。

『けいおん!』Blu-ray Discを見るのにPS3を買ったとしたら……、やっぱりゲームもしてみたいよね。どんなソフトが欲しいかなあ。そんなことを考えていたこともあったのでした。けど、このところゲームから遠ざかっていたものですから、その動向うんぬんがわからない。なので、売り場うろうろうろついて、『AFRIKA』がいいかな、『AQUANAUT'S HOLIDAY』がいいかな。そう思って、けれどどうにも決め手に欠けるんだよな、と、その時あらわれたのが『The Last Guy』。ああ、これ面白そうじゃん。値段も安めだし、コンパクトで遊びやすそうだし、よし、PS3買ったらこれを遊ぼう。そう思っていたことも懐かしいです。

で、その後に、あー、ハードがあったらこれは買ってしまいそうー。そう思うゲームが発表されて、それは『機動戦士ガンダム戦記』。どうも、PS2で出ていた『機動戦士ガンダム戦記』と同コンセプトのゲームみたいですね。PS3で展開するにあたり、モビルスーツ増やしました。モデルにも凝ってます。そういうものみたいで、となると、ちょっと興味が出てしまうのは、世代の問題なのか、ただただロボットが好きという嗜好のためか。で、実際、買っちゃおうかなあ、どうしようかなって思っていたんです。

私にとって運のよかったのは、こいつとPS3の同梱版が出るということでしょうか。ソフト単体では8,379円(なにこの半端な値段、なんかの語呂合わせ?)のところが、本体同梱版だと38,359円。PS3の定価は29,980円だから、その差額8,379円。って、なんだ、ちっともお得じゃないじゃん。でも、同梱版を買うとFA-78-3 フルアーマーガンダム7号機とRX-81AS アサルトアーマーがダウンロードできる権利がもらえるらしいです。って、実はこのおまけで嫌になったんです。いや、だってね、初回版にはカードが付いてくるとか、フィギュアが付いてくるとか、バッジが付いてくるとか、そういうゲームそのものに関わらないおまけだったらいいですよ。でもさ、ゲームそのものに関わる要素を特典にしちゃうのってなんか嫌だ。今回私は、うまくすればそれを入手できるかも知れないわけだけれど、もう本体持ってる人は、そうはいかないわけでしょう? これが先行ダウンロードとかならいいんだけど、それだと同梱版を買わせるには弱いわけで、となると、やっぱり同梱版所有者のみの特権? あとで有償ダウンロードとかもなし? というか、有償ダウンロードとかもがっかりですけどさ。でも、同じ土俵というか、同条件で遊べない人がいるゲームっていやだなあって思うわけですよ。特にこのゲームは、オンラインで協力プレイみたいなのができるんでしたっけ。なら、なおさら、こういう差があるのは好きじゃない。ゲーム内での条件を満たさないと得られないとかだったらいいんですよ。けど、そういうんじゃないからなあ。なんか、気持ちが冷めちゃったのよさ。

というわけで、買おうかどうか、迷い中。買ってもいいかなって思えるのは、テレビ買ったりしたポイントが残っているからで、けれどそれでも迷うのは、買ってもきっと遊ぶ時間がないような気がするからなんですね。実際、今の時点でそんな感じです。といったわけで、どうしたものか、ちょいと考えたいと思います。

2009年8月20日木曜日

「けいおん!」第2巻

 先日もちょこっといっていましたが、アニメ『けいおん!』Blu-ray Discの第2巻、しかと受け取っております。第2巻は、アニメ第3話第4話が収録されて、「特訓!」と「合宿!」ですね。前半の最初の山がここにあると思っているのですが、ほら、あの「合宿!」の花火のシーン。あれはちょっと感動的で、一種このアニメの色を確定させたものであろうなあ、そんな風に思っています。あくまでも彼女らは彼女らの日常を送るのだけれども、時に幻想的な一瞬があるよという、そんなことを思わされました。それは誰かと一緒になにかを成し遂げるということの意味なのかも知れない。ステージで、音楽室で、彼女らはそんな特別な一瞬を見付けていくのだろうなあ、そんなことを伺わせる名シーンであったと思っています。

さて、第2巻にも、第1巻同様にオリジナルB面劇場「うらおん!」、そしてキャスト及びスタッフによるオーディオコメンタリーが収録されています。「うらおん!」は、写真撮る律のエピソード。キャストコメンタリーは、メインの4人による解説。スタッフコメンタリーは、京都アニメーションのスタッフによる解説。今回は楽器作監の高橋博行氏、3話作画監督の高橋真梨子氏、そして撮影の友藤慎也氏の3名によるものでありました。

さて、キャストコメンタリーの感想から。これ、いつくらいの時期に収録されたものなのかわかりませんが、第1巻時点よりもさらに打ち解けたといった感じがあって、和気藹藹といった雰囲気はさらに強くなっているように思います。ともない、会話も弾んで、第3話ではテスト勉強の話題だったり、第4話では合宿や海の話題だったり、収録時の舞台裏のような話は少なくなったけれど、反面、出演されている方の人となりに興味のある人にはきっと楽しい、そんな風になっていました。

しかし、笑ったのは、テスト勉強は前日派? みたいな会話で、あんまりいうとネタばれみたいになっちゃうのであれですが、内心、自分はこうだったなあと思っていたものが最後にどんと落ちみたいにして登場して、思わず笑ってしまいました。いや、その生き方は駄目だよ、ってもっと駄目そうな人がいうんですから世話ありません。

第3話は試験勉強における数式、これの話は面白かったです。ずっと触れていなかった数式を読むのが大変っていう人があれば、実際に計算してみたら間違ってたという話もあって、当日になって正しいものに差し替えられたものだから、さらに大変になったという話。計算したのは寿さんだそうですが、真面目な人だ! 驚いて、私は、数学に強い人なら、あれ聞きながらどういう式か計算したり理解できたりするのかなって思いながら、しっかり聞き流したという怠惰な人間でありますから、その真面目に仕事に取り組まれる姿勢に感服しました。立派な人です。

惜しかったのは、和ちゃんがサンドイッチを差し入れにきてくれるシーンでの昔話。澪が律の話をしようとするところ、エピソードはちゃんと収録されてたらしいのですが、カットされたんだそうです。おお、してそのエピソードとはいったい!? と思ったら、それはあかされませんでした。ちょっと残念。けど、こうした視聴者からは見てとれない、制作に関わっている人ならではの話は面白いです。アドリブについてとか、振りに対してつきあってくれてありがとうといったような話。また、演出からの要請や、演技やシーンについて考えたことなど、そうしたことごとがちらほらと語られて、すごく面白かったです。

そして、スタッフコメンタリーでありますが、人が変われば語られることも変わります。最初は、皆なんだか遠慮気味だったのですが、段々に説明は増えてきて、楽器作監の高橋氏による楽器解説、引きと寄りで違えているところ、引きでも違わないところなど、表現上の説明があったかと思えば、具体的な機種名みたいなのも出ましてね、私、こういうのは具体的に出さないものだと思っていましたから、背景のモデルとなった土地とか、小物のモデルとかですね、でも楽器に関してはちゃんと諒解を取ったってことなんでしょうね、しっかりとモデル名まで出まして、これまでJazz BassがFender本家なのかFender Japanなのか、はっきりとしなかったことにもやもやしてた人もあったみたいですが、よかったですね、JB62ですってよ。

楽器の説明については、残念ながらあまりマニアックな方向には進まず、でもそれは仕方がない。圧倒的多数の楽器に触らないファンを置いてきぼりにしてもしかたない。そういえば、作画についての高橋真梨子さんの話。コードを押さえる指を描く時、ギターに触ったことがないものだから、難しくって大変だったというのは、ああー、かもなあって思いました。コードのダイアグラム(押さえ方を示した図。ほら、澪が唯に渡した本の見開き、あの図です)を見ても、え? こんなの無理じゃない? みたいに思ったりしたっていうのが面白くて、ええ、そう思うのは当然だと思います。たまに、本当に厳しいのがあって、そういう時、私は代理で使えるコードを探すか、あるいはオミットできる音を探して押さえやすくするとか、姑息な手段で対応するので、一向に押さえられるようになりません。余談でした。

第2巻のスタッフコメンタリーは、撮影に関する話が多かったように思います。撮影時にCGやエフェクトを加えるという話。『けいおん!』では、あまり強くエフェクトはかけていないという話。だから、作画(動画?)の線が結構そのまま出ていることが多いとのことです。また、合宿地に向かう電車も、アイキャッチのカセットテープも、CG使わず手描きであるとのこと。カセットテープは楽器作監の高橋氏の仕事だそうです。半日くらいで描かされた? ともあれ、『けいおん!』では、CGを使うことが少なく、それは手描きの味わい、柔らかさを求めたというような話でした。対して、携帯電話のメールを見る画面とか、あれはCGだそうで、さすがにああいった元がデジタルなものは、手描きすると野暮ったくなってしまう。適材適所で、CG、手描きを使いわけたというような話です。

驚いたのは、冒頭でもいってました合宿の花火のシーン。あれ、ほとんどCGで描かれたものだと思ってたんですが、作画でやってるんだそうです。あの、きらきらと光る、あの手描きっぽい表現、あれ、可愛くって好きなんですが、あの味がこのアニメのファンタジーなんだなって思わされた、あれが作画だって聴いて、そうなのかー。撮影で加えられたものは、海のきらめきとか水面の波打ちとか、そういうものが多かったようで、そういえば潮溜まりの魚の話。あれは、申し訳ないけれど、気付きませんでしたわ。いわれなかったら、一生気付かなかったのではないかと思います。

このコメンタリー、アニメの仕事の分業っていうのがどうなってるのか、すごくわかりやすく説明されていたと思います。作画があって、動画があって、仕上げがあって、そして撮影があって、その各行程で作業者の個性が出てくるっていうんですね。作画についてはよくわかりますが、後の行程になるほどに、意識されにくくなってきて、実際私も撮影とかはある程度機械的にやっちゃうものかと思っていたのですが、例えば合宿のお風呂のシーン、あそこで湯気を重ねるかどうかの判断は撮影のスタッフによって違ってくる。ともない、できあがる絵も違ってくる。いわれてみれば当然ですね。でも、これまではそんなこと意識せずに見てきた。けど、これからはそうした仕事も意識しながら見るようになるんじゃないかな、そんな風に思ったコメンタリーでありました。

あ、そうだ。スタッフコメンタリーで面白かったのは、肉。あれは面白かった。各セクションの頑張りが、あの肉に結晶しているみたいな話。確かに、あれは見た瞬間に、すげえ、って思ったものなあ。ええ、手のかかった仕事というものは、その説得力もまた並々ならぬものになるんだっていう好例であると思いましたよ。

Blu-ray Disc

DVD

CD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年8月19日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2009年10月号

世間では、お盆も終わって、通常営業に戻ろうという頃かと思われますが、私はというと今日から夏休みです。というわけで、『まんがタイムきららMAX』を購入するべく、コンビニに出掛けたのですが、もう日中の日射しもそんなに厳しくないのですね。ちょっとずつ秋に向かってるのかも知れないなあ、などと、少し思って、だってもう8月も下旬にはいろうって時期ですから、そうか、夏休みの宿題に手をつけないと、そろそろ危険な時期であるんですね。

かなめも』は商店街の福引がテーマ。あの、がらがらと回すやつですね。私、子供のころは、一万円相当の金券を当てたり、米を当てたりしたのですが、今はもう全然駄目になりました。大阪のショッピングモールで、がらがらの抽選器で金券の当たるキャンペーンやっているところがあるのですが、ギター買って回しまくって抽選器空っぽにしてやろうかと思うくらいに当たりません。

さて、私の話はどうでもいいので、漫画本編に戻ります。今回はひなた回なのでしょうか。クジ運の悪い人。賭け事も、実は予想だけで投票券は買ってなかったということが判明して、まあ、ギャンブルは基本損するようにできてますから、エア投票がよいんですよ。高校生の頃から、アグレッシブだったひなた。そのアグレッシブさは今も失われてはおらず、こうした元気なところ、本当に魅力的だと思います。割と常識人。飾らず、素直で真っ直ぐ。そうした性格によるものか、たとえクジが全はずれだったとしても、楽しかったね、そうした気持ちになれる。そして、それがまたよい印象の残る所以であるのだと思います。

『お願い神サマ!』、面白かったです。典型的なパターンを狙うのは、そうしたシチュエーションに憧れてきたから。けれどそうそう思いどおりにはいかないっていうのが、ちょっとしたアクセントになっていてよかったです。ベタ、王道、いいようはいろいろありますが、そうした展開が選ばれるのは、そうあって欲しいという期待希望があるからだ。それも、登場人物の強い望みっていうのがね、すごく面白かったのです。

ひろなex.』は — 、まさしく宿題の話でありました。各人各様の宿題への取り組み方。めぐみはすごいなあ。私はああはなれません。ところで、普通に問題ないように振る舞ってる風優夏ですけど、これってひろなと同レベルに見えるのは私だけ? いや、終わってないけど、やってるのか? と思ってたら、あんまり進んでないのか。でも、このスローさ、風優夏らしいと思えて、ええ、各キャラクターのらしさがよく出ていたと思います。

ぐーぱん!』、扉絵がですね、もうお嬢様が可愛らしくってですね、流石は菜摘お嬢様でございます。いや、でも菜摘は本当にいい子だと思います。ちょっといたずら者だけれど、淋しがり屋で、ちょっと真面目で、可愛いなあ、なんて思ってたら、ユーコさん、いやさ、ユーコお嬢様はより以上でした。いたずら者で、包容力があって、ちょっと真面目で、可愛いなあ。菜摘の事情、ちゃんとわかった上でのやりたい放題。しれっとやっちゃう。それが最高。このふたりの関係、お嬢様とお世話係という枠組みを超えて、なんだかすごくいいなと思ってしまうんです。ところで、菜摘がいたずら者になったのは、ユーコさんのせいだったり、する?

『くすりのマジョラム』、段々に人間関係が育ってきて、今回でメインとなるキャラクター出揃ったってところでしょうか。お姉さんが子供と間違えられるのは、もう基本のパターンになっていて、けれどまだ飽きたりなんてことはない。見せ方の工夫とか、そういうののためかも知れませんね。ともあれ、登場人物が揃ったらどんな展開になるのか、それがすごく楽しみです。

○本の住人』は、夏の風邪の話題。しかしさ、やっぱりみんな、風邪ひくとNHK教育見るのかな。私は子供時分あんまり身体が強くなかったから、しょっちゅうお休みしてたんですけど、そん時にはやっぱり教育テレビ見てて、高校理科とかも面白くてよく見てた。けれど、のりこ、わりと元気そうでよかった。あんまり病気が重いとつらいばかりだけど、軽い風邪のけだるさみたいのは、そんなに悪いばかりでもないものかも知れませんね。

『ラッキーストライク!』はボウリングの漫画。元気が溢れんばかりの(つまりは乱暴者の)女の子と、ちょっと内気そうな女の子、ふたりがヒロイン。ルール無用で、がんがん投げていくレンと、セオリーに忠実っぽいリン。リンは経験者っぽいなと思ったら、案の定でした。次回からは、レンがボウリング部に入って、みたいな展開になるんでしょうか。まだ全体像は見えていない、そんな感じです。

『つかえて!コハル』、ケータイに慣れない人にケータイ触らせて — 、という話だったのですが、その結果がすごく面白かったです。写真、変換、送信、あれらが合わせ技になったわけですか。しかし、届いたのが家族でよかったのかも知れません。怒られたことはショックだろうけれど、それ以上はないからさ。その、悲劇的だけど悲惨ではないという、その塩梅はよかったです。

『チャンプルー!』、ゲスト前半だそうです。沖縄の話みたい。都会からやってきたお嬢さんと、土地の子らと、雰囲気は悪くないけれど、もう一味があるとよさそう、そんな風に思ったけれど、キャラクターは魅力的。悪くないなと、やっぱり思ってしまいます。

『夏色スニーカー』、これもゲストです。元気で騒がしい娘たちの話。面白かったです。ガガンボについてのくだりがよかったです。ところで、ガガンボって漢字で書くと、大蚊なんですね。びっくりだ。

『R18!』は、イベントに出展して、そこで出会った同業他社の人との会話。ああいうせちがらいのは面白いけど、なんだか悲愴感があるなって思えて、ほんまになあ。こういう本音みたいなのは、身近というか親しみ感じさせてくれたりするけれど、こうしたものが漫画の前面に出たら、重くなってしまうからよくないのかな。しかし、小ネタがいろいろ面白いです。

そして僕らは家族になる』は、ちょっとシリアス。それで、ちょっと駆け足? 次回で終わりだからしかたない。結構好きだったので、正直残念。とにかく、次回を待ちたい、ってところであります。

超級龍虎娘』、これ面白いなあ。うかれない夏とか、実際龍楼の意見は私も同じくするところ。しかし、こんなに渋い、いや言葉の選択間違えた、堅実でしっかりした龍楼でも、ちょっとうかれてしまった。そうしたお祭りの雰囲気がすごくよかったと思うのですね。こうした龍楼だからこそ、ちょっとしたことに嬉しくなって、それでその気持ちを返したいと思う、そうした描写が光るのだと思うのです。モノやコト、それが嬉しいんじゃない。気持ちが嬉しいという、その気持ちがしっかりと伝わってくる。そうした確かさがこの漫画の魅力であると思っています。

『フィギュ☆モ』、番外編でページもちょっと少なくて、理由はなんだろう、わかんないや。今回はフィギュアの作り方をかるくおさらい、っていう感じであったのですが、それが結構面白くて、そしてあの落ち。実によかったです。こういう見せ方が得意なのかな? よかったといっていいのかわるいのかちょっと迷うけれど、よかったです。面白かった。

『表色89X系』、牧場にいきました。私、この漫画結構好きなので、単行本が出るのがすごく楽しみで、キャラクターは結構把握できているつもりだけど、けれどそれが一気に整理されて、そうなればなおさら面白くなるに違いないって思っているんですね。キャラクターは、その個性、それから絵柄も含めて、ちょっと一癖あるって感じなのですが、その癖がすごくよいと思えて、ちょっと病み付き感があります。

『おしおきっ!』、新連載。この作者は、絵が可愛くて、結構好きです。で、ちょっといちゃいちゃ系の女の子コミュニケーションものかと思ったら、思いもしなかった展開が待っていて、ええっ!? どうしよう!? 少々混乱をきたしたのですが、けどこれ本当にどうなるんだろう。おそれながら、次回を楽しみにしたいと思います。

『藤高女子テニス部』、ゲストです。部員が足りなくて廃部になりそうなテニス部。なんとか新入部員を獲得しようというのですが、無理矢理の勧誘と脅迫的手段でふたり確保して、それでどうなる、っていう感じです。結構のりはいいのだけれど、ちょっと苦手と思わないでもない、そうした微妙なところもあって、けれどまあ慣れるかな。そんな雰囲気です。私としては、あの生徒会の彼が翔に関わったりしたらいいな、なんて思ってるのだけれども、そのへんはあんまり期待できないのかな。ともあれ、続けて読んでみたいと思っています。

まん研』、次号最終回、どひゃーっ! いや、まあいいや。前向きにとらえよう。この漫画は基本的に先輩ふたりの無茶な振りを楽しむというものだと思っていて、なにも進行しない、停滞といってもいいような状況がすごく面白かったのですが、そんな中、サブキャラクターにおいて、ちょっとした進行事案が発生しているのが印象的で、なんだかすごく興味ひかれます。好きな人の言葉に一喜一憂はげしくアップダウンしている、そんな彼女が可愛くて、次回にはなんらかの決着があったりするのかな。楽しみにします。

はなまるべんと!』、最終回。お疲れ様でした。私の好きだった和気藹藹とした雰囲気が、これまで以上にあふれていて、調理実習部、は潰れたんでしたっけ、購買部の面々だけでなく、生徒会や風紀委員、友人たち、これまで関わりを持ったみんなが、変わらず楽しそうにやっている。そうした最終回はすごくしみる、とてもよいものでした。好きな漫画でした。だから、終わるのは寂しいし、残念だけれども、けれど最後にしあわせな感じを残してくれた。だから、寂しがってるばかりでなく、これまで楽しかったことを感謝したいと思います。

  • 『まんがタイムきららMAX』第6巻第10号(2009年10月号)

2009年8月18日火曜日

けいおん! 名場面線画集

本日、『けいおん!』Blu-ray Disc 第2巻が届きました。と同時に、『けいおん! 名場面線画集』も到着です。これ、アニメの原画からピックアップして一冊にまとめた本なのですが、表紙がですね、沢庵使って紬のまねする三人と当の紬が描かれたものなんですが、もうお嬢様が可愛らしくってですね、流石は紬お嬢様でございます。ちなみに、唯の持つご飯茶碗に書かれた文字はほかほか。四人が集まって、みんな仲良さそうで、そんなイラスト、一枚絵なんですが、その一枚にしっかりと各人の個性、性格が現れてるのは、やっぱりさすがだなあ。プロの仕事だと感服します。

さて、各ページの構成はといいますと、ページ上部、というか中央かな? そこに原画がありまして、一枚絵として見せようというものは大きくひとつ、動きを見せようというものは、連続して何枚もが載せられています。フッタといっていいのかな? 下部には絵コンテと完成した絵が載っていて、つまり、絵コンテから始まって、原画になって、そして完成。そのプロセスを簡単になぞった気分になれるという寸法です。

しかし、正直なところ、これはファンアイテムみたいなものかと思っていたんですけど、見てみるとすごく面白くて、買ってよかった、そう思っています。原画というのは、一連の動きのキーとなる絵で、その合間合間を動画スタッフが埋めていくんでしたっけ? しかし、その絵がいいの。例えば、律が見学にきた紬の前で小芝居打つシーン。諸手を振り上げる律の見せる迫力! ダイナミズム! すごくかっこいい! 私はこのシーンでは、主に律の表情、あのくるくる変わるキュートなやつね、そっちばかり見ていて、身体全体で表現されている動き、そちらに気がまわっていませんでした。ああ、あかんかったー。次に見るときは、きっとこれまでとは違うところに目がいくだろう。そうした気付きの得られること頻繁で、これは気に入ったアニメなら何度見ても苦にならないタイプの人間には実にうってつけである、そう思ったのでした。

面白いのは、原画、その動きだけでなく、指示とかもですね、もそうなのですが、絵コンテもなかなかに味わい深いものがありまして、幼稚園児唯が、唯ちゃん上手ねー、って褒められるシーンですね、あそこ、絵コンテには、うちうまいねん! とか書いてあって、めちゃくちゃ可愛い。そして、次のカット、高校生唯の表情には、よっしゃーガテンがいったぜ。もちろん、実際に唯はそんなこといわないんですけど、簡素にカットの説明をする絵コンテにおいて、絵で、台詞で、ト書きで、さらにはこうした落書きで、なるたけを、ありったけを伝えようとしている。そんな風に感じられて、またこうした表現が、スタッフ間での雰囲気の共有を促進することにもつながるのでしょうね。

というわけで、次は美術背景集だ、デスクトップアクセサリーだ、という気分なのですが、できたら絵コンテ集も出たら嬉しいな、なんて思ったりして、宮崎駿の劇場アニメとか、文庫で出てたりしましたけど、そんな感じで出たらきっと楽しいだろうなって。まあ難しいだろうとは思いますけど、まあ、希望するだけは自由ってことで。

しかし、こうしたものの面白さに気付きはじめると、いよいよのっぴきならなくなってきたなという感じがしてきます。ほんと、アニメからは足を洗ったつもりだったんですけどね。

2009年8月17日月曜日

『まんがタイムファミリー』2009年10月号

お盆も終わり、さあ通常営業に復帰しようかという初日に買ったものは、『まんがタイムファミリー』10月号でした。『ファミリー』が出れば、8月もいよいよ後半戦ですね。暑くて過ごしにくい、そんな季節ももうすぐ終わる。もう少しの我慢だ。早く過ぎてくれよと思っているのですが、でもまだ暑い日は続くでしょうね。しかし、こうした暑さも夏の風情。直に秋がやってきて、うつろう季節にしんみりとする。雑誌は、そうした気分をちょっと先取りさせてくれます。

『おかいあげ』は、ヒロイン大丸が五百円貯金をやっているという話から、昔の五百円玉は今のと違って白銅貨であったとか、そうした話になったのですが、今の若い人って、白かったころの五百円玉って知らないの? だとしたらちょっとショックかもなあ。ああ、私はもちろん五百円札を知っています。今見るとなんだかおもちゃのお札みたいで、驚きます。しかし、伊丹フロアマネージャー、素敵です。花の命は結構長い、ですよ。

『美大道!』、さらにキャラクターが増えて、なんかうるさいお姉さん。芸術系の学科には、こういう人いるかも、っていうのは偏見ですが、結果を気にして思い詰めているより、こうして開き直った方がきっといいんだろう、そんな風に思うから、この人はこれでありかもって思います。身近にいたら迷惑そうにも思いますけど。ものごとに前向きに取り組めたらば、ちょっとくらいの苦難は乗り越えられそうに思う。それこそ、ふてぶてしいくらいの態度でちょうどいいのだろうなって思うから、気迫に欠けているヒロインに、いい影響を与えてくれたらきっとよい。そんな感想持ちました。

『つれづれいーの』、コマ割り漫画でゲストです。ヒロインは眼鏡。今、芳文社ではタイムグループあげて眼鏡押しなんでしょうか。なんか、新作における眼鏡ヒロイン率が異様に高いのですが、もしかして今、空前の眼鏡女子ブーム? 私、もしかしてターゲットにされてます? とはいうけれど、ヒロインが眼鏡ならなんでもいいなんて話はさすがにありません。とはいうけれど、さすが眼鏡だ、三倍増しというだけはあります。ちょっと駄目そうなヒロインはべらぼうに可愛くて、結局私はキュートなヒロインと、ちょっと不思議なメルヘン風味に押し切られてしまうんだろうなって思います。雰囲気は嫌いじゃないです。ただ、ちょっと掴みどころがわかりにくい。そんなふわふわな感じでもあります。

『教師諸君!!』、やっぱりこれいいですね。変わりもののコスプレ社会科教師の実力が発揮されて、好きこそものの上手なれではないけれど、対象に向ける愛、それがいきいきとした授業を成立させる力なのかも知れません。空振りに終わった深沢先生にしても、その士気の高さはすごくよくて、教えたい、伝えたいと思う、そうした気持ちがうまく噛み合いさえすれば、教師という仕事はすごく面白いものになりそうだぞ。そんなことを思わせるような回でした。しかし、ヒロイン、西名先生、魅力的だと思います。こんな人に教わりたい、あるいは教えることがあるなら、このようにありたい、だなんて思います。

『夫婦とチュー!』、猫漫画、他誌からのゲスト掲載みたいです。猫好き夫婦の、奥さんがわから見た猫と家族の観察記といった感じでありますが、とにかくクールな猫が魅力的です。充分に大人になった猫なのでしょうか。まだ、やんちゃなところはあるみたいだけれども、基本的にクール。クールな猫もいいなと思いました。ところで、間違いさがし、ちょっと難しかったです。ちゃんと自力で見付けられましたけど、最後のひとつで手間取りました。

おこしやす』、さら、っていうのは京都の言葉なんですか。サラピンはさすがに方言かもって思うけれど、さらはよそでは使わないですか。一応、辞書には載っていて、新ないし更とあてるみたいですね。でもって問題、女はそーゆーアイテム無いよなぁ 着ると何割増しみたいなですが、あります、あります、ありますよ。たとえば、めg、じゃなくて、喪服とか八割増しくらいだと思います。和装の喪服もいいけれど、あのヨーロピアンな喪服、ベールなんかしちゃってるのとか、最高じゃないですか。でも、この漫画では、喪服とかあんまり出てほしくないですね。

『かのじょにごはん』は、ちょっと好みからははずれる漫画なんだけれど、でも面白いです。エキセントリックな妻。彼女の行状のおかしさが漫画の肝ですが、ただエキセントリックってだけではなく、なにか魅力と感じさせる、そんなところがあるように思います。

おはよ♪』の冷え切った萌香ちゃんが、点目、線三本の口、最高に可愛くて、民芸品みたい。次のコマでは、ちゃんと生きて動いていたので、安心しました。しかし、萌香ちゃんはすっかり美少女になってしまいました。最初はもっさりした、垢抜けない子だったのになあ。

『よめ×ヨメかなたさん』は、なんだかすごい部下が出てきたかと思えば、上司も開眼しようとしていて、しかし息子の妻の方のかなたさんは、結婚できたことがそんなに嬉しかったのか。いや、結婚できないんじゃないかと思われていたことがくやしいんだろうな。そして、落ちは、ああ、こうきたら、こう落とすよねと思えるようなもので、しかしほんの少しの振りでこれだから、盲点でした。やられたって感じ、すごくよかったです。

『まかないガール』、いい感じの落ち着いた雰囲気、いいと思います。あっけらかんとして、明るいヒロイン。すっとぼけたようであり、しかしいたらないながらも真面目、素直と感じさせる、その人柄が魅力的。ぱっと灯りがついたような、ほのぼのとくつろげるような、そんなゆったりさもすごくいいと思います。ところで、あのじゃが芋の処理。あれはありだと思います。すごくよくできてる。うちの玄関に飾りたいくらい。実にいいセンスだと思うんですけど、駄目ですか? あ、そうだ。卵の殻で酢ってできるんですか? これは知りませんでした。調べて、夏休みの研究テーマにしたいと思います。

『ハモニカ文庫』が最終回。街角の風景、誰が主役というわけでもない、けれど誰もが主役である、そんな漫画でした。ただ、自分の生活を送っている、そんな人たちの暮らしの一コマが、次の誰かの人生の一コマにからんでいる。人のつながりというものを感じさせる、そんな仕掛けが楽しくて、大仰でドラマチックな展開は見られないけれど、だからこそ、自分たちの日常を暮らす人たちの生活にしみじみとあふれる、息吹きのようなものが光ったのだと思うのです。

素敵な漫画でした。大好きでした。

『きょうも幸あれ』、年の離れた妹が可愛くてしかたのない兄さんが主人公。優しいことが取り柄といったような、平凡さがよいのでしょうか。黒髪のおっとり美少女に思われたりしていて、しかし兄貴は気付かない。今回は妹の介入がなかったけれど、妹の妨害うんぬん関係なしに、前途多難な恋心であると思います。

  • 『まんがタイムファミリー』第27巻第10号(2009年10月号)

引用

  • 久保田順子「おこしやす」,『まんがタイムファミリー』第27巻第10号(2009年10月号),109頁。

2009年8月16日日曜日

レス・ポールの伝説

 おとつい注文した『レス・ポールの伝説』が届きました。ギタリスト、レス・ポールを扱ったドキュメンタリー映画。今月13日に亡くなったのを受けての購入ですが、もうこの泥縄感、いやんなりますね。映画の存在は知っていたのだけど、見にいかなかった。DVDが出てることは知らなかった。大量に押し寄せる情報の中、流れていくにまかせて、すくいあげることのなかった。その不見識ったら! といった感じでありますが、いや、しかし実際のところ、思った以上のショックを受けたものですから、これ絶対、ギターの名前のせいだろうなあ。レスポールという名を口するたびに、今もニューヨークで演奏しているというギタリストのことを思い出していた。それが、結果的に想像以上に身近と感じさせることとなったのだろうと思います。

映画は、キース・リチャーズとのセッションから始まって、わお、なんだこの贅沢なステージは。いやがうえにも期待感の高まる、そんなでだしでありますが、その後もすごい出演者の数々。なんだ、えらいギターうまいな、このおっちゃん、と思ったらトミー・エマニュエルだったり、レス・ポールのサウンドを熱っぽく語ってるのがリチャード・カーペンター(カーペンターズの兄さんの方)だったり、わお、すごいな。他にもポール・マッカートニーやジェフ・ベック、B. B. キングなんかも出るものな。けれど、こうしたレス・ポールの功績を語る、その面々が凄いから凄いわけじゃないというのは、映画を見ていけばわかることでありまして、特にミュージシャンとしての彼の足跡は私には知らないことばかりで、ほんと、スリリングでありました。いや、ジャンゴ・ラインハルトと親交があったとか、レス・ポールのギターはジャンゴの影響を受けているとか、そういう話は知らなかったもの。で、レス・ポールの語るジャンゴのギターについての感想とか、最高だった。みんな、こうして、影響を受け、与えながら、今までやってきたのだなあ。そういうことがわかって、本当に面白かったのでした。

レス・ポールの功績は、ソリッドギターを作ったひとりであるということもありますが、多重録音の創始者であるということ、それも無視できないほどに大きいじゃないか。そう思わせる映画でもありました。これまでにない音、表現を求めていた人だった。映画におけるテーマは、実にその先駆者、開拓者としてのレス・ポールであったのですね。映画の原題はLes Paul Chasing Sound! あくまでもサウンドを追い求める、なんですね。結果、それが多重録音や新しいギターに結晶した。誰も聴いたことのない、アメージングなレコードを作り出し、ヒットさせた。トミー・エマニュエルの説明が最高でした。ギターを手にパラパラとフレーズを再現したかと思うと、どんどんポジションをあげていってみせて、指板を超えたところにまでいって、犬しか聴こえない領域だなんていって笑う。衝撃的だったのだと思うんです。今では普通に聴こえるサウンドだが、当時はそうではなかった。どうやって録音しているのか、誰もわからなかった。それはそれは刺激的で、それこそ皆、目を丸くしたのでしょう。そうしたエピソードの数々は、この映画を見るものの気持ちも高揚させて、本当にすごい人だったのだな。そう思わないではおられなくなるのですね。

しかし、この人のよいところは、新しいなにかを探す、その姿勢もそうだと思うのですが、ポジティブなところ、そこでもあるのだと思うのですね。自分の場を求めて、どんどんチャレンジしていく。ひっこんでいない。車の事故に関してもそう。これで実際死にかけたというのですが、内臓破裂とかでしたっけ、それから腕を切り落とそうかという直前までいって、ぎりぎりで助けられたとか。こうした酷い経験であるのに、彼は、この事故を特権と思うようになっただなんていってるんですね。やり直しのチャンスだった、事故がなかったらできなかった。運がいいだろう? って。実際のところ、当時はどうだったのかわからないけれど、あとから振り返るからこその話かも知れないわけで、けれどこの後に多重録音の試みがスタートしてるんですよね。状況に打ちひしがれるのではなく、どんなときでも目の前にチャンスがきたら掴む、その才覚にあふれた人だったのだなっていうのが、本当によくわかりました。

この映画は、音楽のエンジニアリング、ギターの歴史、そうしたものに興味のある人にとっては最高に面白いものであると思います。しかし、ただ音楽が好きという人にもきっと面白い。音楽に打ち込んで、チャレンジを繰り返した彼の前向きな姿勢は、音楽をことさら好きというわけでもない人、普通の人にとっても刺激的であるでしょう。バックに流される音楽は気持ちを浮き立たせて、熱っぽく語る人たちの言葉、表情、そうした全てが興味を掻き立てて、すごくハッピーな気分になれるのですから。

映画の作られたのは、レス・ポールの最晩年。90歳の誕生祝賀会から撮影ははじめられたそうです。ほんの4年前のこと。アメリカでの公開は一昨年、日本は去年。懐かしむには新しすぎる。そんな気にさえさせられます。もう、この地上に彼がいないだなんて、嘘みたいです。

2009年8月15日土曜日

となりのなにげさん

 橘紫夕の『となりのなにげさん』は、帯にいわく、ゲスト掲載時から問い合わせが殺到したとのことなのですが、それは多分に本当なんでしょうね。問い合わせの内容というのがどんなだったか、それはわかりませんけれど、でも確かに鮮烈な印象を残して、なんだ、えらく面白いなあと思ったことを覚えています。シンプルなお助けキャラクター、なにげさんが、困った人のもとにあらわれては手助けして帰っていく。基本この繰り返しであるのですが、妖怪じみているというか、超人、超常現象的な彼女にしても決して完璧ではないということが、結構ひんぱんに描かれまして、しかしその失敗してしまったりするところが、親しみやすさを一層強めるのですね。いい感じに力が抜けていて、テンポよく読めて、楽しい。その上、登場人物がみな可愛い。それが、『となりのなにげさん』という漫画です。

『なにげさん』の面白いのは、誰もが困ったと思う、そんなシチュエーションが描かれて、そこになにげさん登場、さっと助けの手を差し延べてくれるのですが、これがただ助けるだけじゃないってところなのだと思っています。プラスαがある。ただ助けるだけじゃなくて、そこにちょっとしたひねりがあるから、そうかこうきたかと意外性を楽しむことができる。あるいは、その意外性が裏目に出てしまうこともあって、なんでもうまくいくってわけじゃないんだな、またそれが面白い。この、意外性というくすぐりがうまく効いているから、下手をすれば同一のパターンに陥ってしまいかねない、そんな構造を持った漫画を新鮮味あふれるものにしていのですね。

意外性、ひねりを効かせる際に、作者の持ち味といってもいいのかも知れません、ちょっとシニカル、あるいはリアリスト、そんな感覚が入ってくるのがとてもよい。そんな風に思っています。人助けをするなにげさん。彼女の資金源ってどうなってるのとか、ちょっと突っ込んで考えれば、確かに疑問なんだけれど、普通そこまで考えない。だって、なにげに瞬間移動してるようななにげさんですよ。けれど、こうしてネタとして展開されれば、あー、そうだよねー、虚を突かれて、しかもそこにあった解が気の効いたもので、上手いよね、素直にそう思って、いや本当に面白いと思います。

徹頭徹尾、謎の存在であり続けているなにげさんですが、本当に彼女はなにものなのか。1巻の時点では、完全に謎のままで、まあ連載を追ってても謎ではあるんですが、その正体不明性がよい感じです。持っている体操服からすれば、かなり昔からいる人みたい。彼女はひとり、生徒たちの成長を見守り、見送り、そして新入生を迎えます。そうしたサイクルの中に、今という時間があって、生徒たちとの関係を深めていく。その描写はちょっとほろりとさせるものがあって、またこうした描写も意外であると思ったものでした。永遠の現在を描いているように見えて、実はそうではなかったものですから。でも、去る人があり、来る人があり。今メインといってもいい登場人物もいつか卒業する日がくるのだとしたら、それはそれは感慨深いものになるかも知れませんね。特に、私の気にいっている生徒会長。なにげさんの手を借りないどころか、逆に彼女を助けてしまっている、そんな彼女の卒業は、ちょっとしたドラマティックなものになるんじゃないかな、なんて思っています。

  • 橘紫夕『となりのなにげさん』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用

2009年8月14日金曜日

レス・ポール読本

 昨日は仕合わせだといっていた私ですが、今日はちょっと悲しいです。レス・ポール氏が亡くなられたとのこと。まあ、お年もお年だったものなあ。94歳、肺炎で、ニューヨークの病院で、家族や親しい人たちに見守られながらなくなったという話です。私がこの人のことを知ったのは、ギターをはじめてからのことで、あのクラシックな風貌のエレキギターがレスポールというのはかろうじて知っていたものの、それがギターを作ったギタリストの名前そのままであるというのは正直驚きました。へー、人名だったんだ。で、まだ存命で、しかも現役でライブやっているっていう話で、また驚くことになるのですが、それが多分2003年のこと。その年の冬に私ははじめてのエレキギターを買うのですが、それがレスポール・カスタムで、そうか、あれからずいぶんたってしまったんだなあ。なんだか、ぽっかりと空虚な気持ちに落ち着きなく、そぞろいろいろ思い出してしまいます。

私がレスポール・カスタムを選んだのは、当時、それを推す人が多かったということもあったのですが、あまりにメジャー路線と感じられたフェンダーのストラトキャスターを避けたという、裏道歩きの本能でしょうかね、で、スタンダードでなくカスタムというのも、裏道歩きゆえでしょうかね。実をいうと、その作られた由来からすればジャズにも使える、その後の使われかたを見ればロックにも使える、そうしたポジティブな理由もあったりしたんです。けれど、アームがついてないからチューニングが狂わない、面倒くさくないというネガティブな理由もあったりして、ともあれ私はレスポールを買ったのでした。ただし、ギブソンじゃなくてエピフォン。さすがにギブソンは高すぎました。でも、頑張ってエピフォン・ジャパンを探して買ったんですね。

その当時、駅前の書店に枻文庫が充実していて、ふらりと寄っては買おうかな、どうしようかなと迷っていたのが『レス・ポール読本』でした。レスポール使ってるミュージシャンの所有する楽器の紹介や、インタビューを集めた本なのですが、まあこれが目に毒な本でして、豪華絢爛ヴィンテージ・レスポールがぞろぞろと写真付きで出てきては幻惑するんですね。結局、この時、この本を買うことはなかったのだけれど、書店で買おうかどうか迷ってたことを覚えています。で、タキシードが似合うようにデザインされたというカスタム、黒一色でね、これ、かっこいいなあって思って、そんなこともあって黒のカスタムを探すことになったんですね。

 私にとってのレス・ポール氏との接点は、エピフォンのレスポールと、時々、本やネットから伝えられる情報と、それから過去の逸話、ソリッドボディのエレキギターを世界で最初に作ったとかね、商品化はレオ・フェンダーが先だけど、そうした伝説であったのですが、 — それくらいだったのに、訃報を聞いてこんなにショックを受けるとは、自分自身、思いもしないことでした。ライブの映像など見たら、なんか人のよさそうなじいさんで、CDとか欲しいと思いながらも、なにから買ったらいいかわからなくて買ってなかったり、そんな感じに後回し後回しにしてきたのは、まだ存命だからという、そんな気持ちがあったのかも知れません。

今日、亡くなったというニュースを知って、とりあえず『レス・ポール読本』を買ってきました。レス・ポール氏については、冒頭に少し載っているくらいですが、一応それでもトリビュートみたいなつもりで。それから、去年公開の映画、『レス・ポールの伝説』のDVDも注文して、ええ、こうしたもろもろ、遅ればせながら。そして、いつか余裕ができたら、レスポールを一本買おうと思います。

2009年8月13日木曜日

FENDER-JAPAN MG69

 先日の買い物、いずれおいおい書くといっていたものですが、それはなにかといいますと、ギターです。ギター。私にとって、はじめてのシングルコイル・ピックアップの載ったギター。私にとって、はじめてのトレモロ・ユニットの載ったギター。私にとって、はじめてのコンター加工ありのギター。私にとって、はじめてのボルト・オン・ネック、は違うか。ZO-7がボルト・オンでした。ともあれ、買いました、FENDER-JAPAN MG69。ムスタングといった方がとおりがいいでしょうね。竹中尚人Charが使っていたことから、かつて爆発的に日本だけで売れて、Fender本国が驚いたというエピソードのあるギターであります。

 で、そのムスタングがまた売れてるんだそうでして、あらためて説明するのもなんだか恥ずかしいですが、そうだよ、『けいおん!』だよ、中野梓が使ってるのがフェンダー・ムスタングなんだよ、それで売れてるんだよ。って、語気強めたら免責されるってはずもなくて、ええ、私が買ったのもそれです。赤ボディのマッチングヘッド。カタログ外モデルであるのですが、『けいおん!』がらみでリリースされたムスタングは2種類ありまして、ひとつはCAR、キャンディ・アップル・レッド、もうひとつが私の買ったRED、赤ですね。しかもこれら、結構売れているみたいです。

実をいうと、最初はCARが欲しいと思っていたのですが、ムスタングに関しては通販では買わない。ちゃんと試奏して、納得した上で買おうと思っていて、それで身近に入荷するのを待っていたんです。そうしたら、とりあえずREDが入った。で、試しに弾いてみまして、なんだ、非力だ、弾きにくいだ、いろいろいわれてるけど、そんなにいわれなきゃならないほど、ひどくないじゃん。それに色だけど、別のモデルのCARを見れば、かなり派手で、こりゃREDで充分だなあ。むしろ、ちょっとシックな感じでいいじゃないか、なんて思って、で、楽器なんてものは、音が出りゃ楽しいんだから、まあ、欲しくなりまして、買った。即金で。いや、手持ちがなかったから、ATMに急いだんですけど、衝動買いといえばそうかも知れない。けど、ある程度の覚悟もあったから、衝動買いではないつもりです。

一応は、同カテゴリの楽器もあわせて試奏してて、MG73/CO/OLBだったのですが、もし比較にならないほどこちらがよければ、MG69/MH/REDは諦めるつもりでした。あるいは、MG73を買っていたかも知れないってことなのですが、でも幸いといったらいいのか、MG69の方が音の出がいいと感じられて、こいつは二重の意味でラッキーかも。そう思ったから、とにかく押さえちゃえ、買っちゃえ、ってなったんですね。でも、よく考えたら、できたばかりの楽器と、店頭に在庫していたものを、そのまま比較しちゃ駄目だよなって。だって、弦の新鮮さが違います。どれだけ店頭にあったのかわからないけれど、新しく弦を張ったところの楽器には、余程の差でもないかぎり、そりゃかなわないでしょう。でも、こういうのも縁ってやつなんだと思います。とりあえず、後悔はしてません。大切に手元に置いて、長く弾いていきたいと思います。

ところで、Web上のカタログ見てたら、MG73/CO/OTMがいい色してるなって思えてきて、オーシャン・ターコイス・メタリックですね。私の中でムスタングというと、ちょっとくすんだ青系というイメージが強かったんですが、その印象をさらに推し進めた感じで、なんかいいなあって。でも、もう買わない。ムスタングばっかり買ってもしかたないし。といいながら、MG69/MH/CARを買ったりしてたら、そん時には思いっきり馬鹿にしてやってください。ムスタングはそんなに高くないから、ひょいと買えちゃいそうで、危ないんですよ。

MG69のマッチングヘッド仕様は、REDもCARも限定扱いみたいですが、REDはともかく、CARはカタログモデルにしちゃえばいいのにと思います。別に、色以外に特別なギミックがあるわけでもないし、レギュラーラインにしたら、欲しい人にちゃんといきわたって、それに『けいおん!』関係なしに気にいって買う人もあるだろうし。なんて思うんですが、そう思うのは素人の浅はかさかも知れませんね。いやね、やっぱり楽器は適正に欲しい人のところにいって、それでちゃんと弾いてもらえるっていうのが仕合わせなんだと思うんですよ。人にも店にも、楽器にとっても、仕合わせだと思うんです。

というわけで、私は仕合わせです。ムスタング、かわいいよ。

引用

2009年8月12日水曜日

『まんがタイムラブリー』2009年9月号

『まんがタイムラブリー』が出ましたね。13日発売と思いきや、今月は12日発売とのことで、いったいどうしてだろう? いや、盆のからみでしょう。今、世間では盆、ということで、帰省する人あり、今週金曜から始まるお祭りに向けて出発する人もあり、けれど私にはなんら変わらぬ日常が待っています。仕事にいく。盆休みってないんだ……。けど、特に用事があるわけでもないから、仕事に出ます。でもさ、空いた電車で楽々通勤というのもよいものです。

『白衣とリボン』、主人公が大改造を受けて、ちょっといけてる青年になるという話。ええ、落ちは予想どおりでした。白衣がないとはじまらない、そんな彼女ですから。しかし、あの冷たい顔はちょっと魅力的です。

パニクリぐらし☆』の蝉が、なんだか蝉っぽくなくて、冗談抜きでなんか怖いと思わせる生物になっていたのですが、蝉の資料を前にじっくり見るとかできない、現実においても虫が苦手というような話があったのではないかと推察されて、ちょっと面白かったり。しかし、風呂場を見られるのってそんなに嫌なものなのかな。ワンルームマンションとかだと、トイレ借りると自動的にバスルームも拝見、なんて仕組みになってるわけですが、とくに問題にされたりはなかったんだけど、まあ人それぞれなんでしょうね。

『できる女には秘密がある』が短期集中連載だそうです。オンとオフの落差が激しい姉さん。でも、こういう女性は現実にありそうですよ。とりあえず、この姉さんの場合、床が見えているのは弟のおかげのように思いますが、でも、常に気を抜かないみたいな人よりもいいじゃん、なんて思ったりもするんですね。そして、よくできた弟はモテたりもして、しかしこの姉のために女性に対する幻想みたいなのはもう消えさってたりして、だからちょっと距離おいてたりして、でもそれくらいのほうがいいのよ。特に女性からしたら、この弟はすごくいいと思います。しかし、仲のいい姉弟ですね。

『ペンとチョコレート』、原稿捜索の話であったのだけど、途中、警察で差し挟まれたヒント、ああ、この子がかかわってくるなと思ったらばっちり。しかし、もう見付からないものと覚悟を決めたヒロインはちょっとよかったな。心の中で罵ってましたとかいったりして、けど本当に残酷な言葉は吐かない。モチベーションあげて、厳しい状況を超えようとしている姿はよかったと思います。で、原稿は見付かって、めでたしめでたしだけど、ただめでたしではすまされない。そういう匂いを残して次回に続いて、ええ、結構好きです、この漫画。楽しんで読んでるって思います。

『ただいま独身中』、辻灯子の新作です。OLもの。年齢30歳。したたかなお嬢さん。魅力的じゃんか、と思うのはいつもどおりだけれど、ちょっと抜けてるというか、弱さがないわけでもないけれど、もう弱いばかりでもないのよっていう、そういうバランス、とても素敵です。で、乙女心とかね、こりゃ可愛いじゃん。

結婚は、うまくいけば仕合わせだけど、しくじればこれほどに不幸なものもないと思う私にとっては、ひとりで過ごす不幸を無理にでも飲み下して、時に寂しさや虚しさにつぶれそうになりながらでも、誰からも求められない悲しさに打ち拉がれながらでも、強気に生きていく、そういう人生もありだと思うのさ。そういう人生でなければ見付けられないものもあるのだと思いたい。だから、楓さん、生きたいように生きるのがいいよ。あなたの人生を見付けるのがきっといいよ。

『ミニっきえにっき』、マイク、やるじゃん! 私は結局、いくつになっても夏休みの宿題は締め切り前にあがらなかったよ。過去に、相互扶助と利害の一致とやらを学んだマイクにとって、今年の夏の学びは、人を信じてはいけないってところでしょうか。自分のことは自分で片を付ける。そして、他者にはやさしく。ハードボイルドだぜ、マイク。最高にかっこいいよ!

『アイムホームあかり』、こちらも短期集中連載だそうです。若い大家さんもの。そんな彼女のことがちょっと気になっている、そんな店子の温水さんが勝手に振り回されてというか、空回りして、そちらが話のメインみたいになっています。でも、素直で素朴な大家さん、あかり、魅力的だなと思えて、この雰囲気は実際とてもいいと思って読んでいます。

『視界良好』、眼鏡もの。短期集中連載だそうです。OLのお嬢さん。すごく可愛いお嬢さん。眼鏡だからじゃ、あるかも。実際、絵は整っていて、きれい。で、キャラクターは可愛い。そして眼鏡。まあ、世の中には白衣じゃないとはじまらない人もいるといいますから、眼鏡でないとはじまらない、そういう人があってもおかしくはないと思うんです。眼鏡にからむネタの数々。そこまではコアではない。眼鏡使っている人なら共感できるようなのもある。そして、そこに偏愛が加わって、普通ばかりでもない、偏ってばかりでもない、いい感じのバランスを実現しています。

『ヒーロー警報』は栄一大活躍。って、栄一って誰? あれ、そんな名前だったっけ? ヒロシとかそんな名前じゃなかったっけ? と一瞬思って、落ちで笑って、けど、状況的には失恋かも知れないけれど、気持ちとしては永遠って感じだから、フラれ王のHにはきっといい話だったんですよ。ある種予想できる落ちではあったのだけど、途中のあの人のせいでこの方向はないと思ってしまったから、王道を意外性もって楽しむことができました。いい話だったと思います。

『ごめんね、委員長!』、ゲストです。面白かった。キャラクターがみな可愛い。それだけでなく、暴走系ヒロインに巻き込まれて、なんとなくほだされちゃう委員長、幸坂瑞が可愛くって、これはもうすっかり思惑どおりってやつですか? あおりによると、ヒロインは委員長ではないらしいので、つまりは彼女が毎回暴走に巻き込まれる役割を担う、ってことなんでしょうね。今回みたいな感じなら、今後も読みたいな。そう思える漫画でした。

『蝴蝶酒店奇譚』、ライの里帰り。なんか、怪談ばなし思わせるような雰囲気、だけどちょっと切なく感じさせるものがあって、こうした悲恋? 成就されることのない恋心みたいなの、すごくいいなと思います。作者の得意なのでしょうか。なんだかしみる、すごくいい話でありました。

『OLのハナミチ!!』、ゲストです。31歳ヒロイン。辻灯子のもそうだけど、昨今はやりのアラウンドサーティってやつ、婚活ものってことみたいです。しかし、ワタナベさん、いいじゃないか。いや、眼鏡だからじゃないよ。同僚エザキ君をお前と呼ぶ。エザキ君 ハナミチの殺気を感じないのか? 飾り気のないフランクな口調。とうがたっちゃっただけかも知れないけど、ぶったところのないところがいい。女子力とかいうんですか? 私、姉のおかげで軽く女性不信ですから、ああいうの受け付けないんだ。それこそ、で。何がロマンスなんだろ、そういっちゃえるような女性の方がずっと魅力的と感じてしまう口なので、アラサーヒロインものは私にはとても楽しいようですよ。

そして、『だんつま』。相変わらず、子供みたいな奥さん。皮肉の通じない奥さん。しかし、ちょっとした台詞に面白さがあると感じます。普段運転するのは私 眠くなるのも私とか、そうしたところの軽妙さ。それが持ち味なんでしょうね。そして、音楽の犯人の判明。こうした話を聴くと、私には団地住まいは難しそうです。それをこなせてるんですから、ひなよも実際ちゃんとした人なんだと思うです。

  • 『まんがタイムラブリー』第16巻第9号(2009年9月号)

引用

  • 霧乃摩周湖「OLのハナミチ!!」,『まんがタイムラブリー』第16巻第9号(2009年9月号),183頁。
  • 浅谷歩「できる女には秘密がある」,同前,74頁。
  • 霧乃摩周湖,前掲,186頁。
  • 渡辺志保梨「だんつま」,同前,197頁。

2009年8月11日火曜日

Maddy Candy

 ああ、もう駄目かも知れないね。買いましたよ、買っちまいましたよ。といっても、『Maddy Candy』のことじゃないです。いや、『Maddy Candy』も当然買ってるんですが、もっとこう、なんか違うものをね、買った。と、そちらはいずれおいおい書くとして、今日は『Maddy Candy』で書こうと思います。というか、かなり歩いたので、もう疲れちゃいまして、今以上に読んだり考えたりするの無理っぽくって、だからってわけでもないけど『Maddy Candy』であります。

『Maddy Candy』は、アニメ『けいおん!』でちょっとだけ使われた歌であります。ほら、一年目の合宿で、澪が皆に聴かせたテープ音源。あれが『Maddy Candy』。さわ子先生の隠蔽された過去でありますが、それがこうしてCDとしてリリースされたので購入して、聴いてみて、ちょっと新鮮。これ、多分、私のはじめての日本のメタル(系)のCDになるんじゃないかな。なんでか知らないけど、ジャーマンメタルみたいなのは持ってるんだけど、あのしゃがれた低音で歌われる、あの表現はカルチャーショックでたまげたものですが、これはさすがにそこまでメタルそのものという感じはなく、聴きやすい、そう感じるCDです。

そういえば、ちょっと昔話になりますけど、私が学生のころ、ひとつ上の先輩が、実にお嬢様ってな感じであったのに、趣味はというとHR/HMとかいっていて、え、それなんですか? って聴いたら、ハードロック/ヘビーメタル。へー、そうなんですかー、とかいって、意外だなあと思ってそれっきりにしてしまったけど、どうせならいろいろ教えてもらってたらよかったなあなんて今になって思います。どうも私の学生時分はHR/HMのはやっていた時期であったようで、友人にギター弾いてたのがいて、スティーブ・ヴァイやイングヴェイ・マルムスティーンが好きだといってまして、当時私はギターに特段の興味を持っていなかったのですが、いろいろ教えてくれまして、だからハンマリング・オンとかプリング・オフとか、ギターはじめる前から知識としては知っていた。ええ、この私の学生だったという頃、HR/HMのはやっていた頃、これがさわ子先生がまだ高校生だった、そんな頃であるのかも知れませんね。

多分、その頃の雰囲気を知っている人には、このシングルはきっと開封前から楽しいのではないか、というのは、帯が昔の洋楽思い起こさせるようなデザインになっていまして、そしてライナーノートに解説まであって、それを書いてるのは奥野高久って人なんですが、残念ながら私はこの人のこと知らないのですが、けどBURRN!は知ってます、名前と表紙の雰囲気だけだけど。メタル専門誌のライターに解説書いてもらってるわけですね。しかも読んでみれば、さすがにそれっぽくて、洋楽のライナーに入ってる解説って確かにこんな感じって思う。そこには私も耳にしたことがある名前がいくつも出てきて、なんかすごい大げさなことになってしまっていて、ふざけてるっていえばふざけてるけど、こうした悪乗り、すごく面白い。そう思うからこそ、先輩にHR/HMについて教えてもらっていたらよかった、当時の雰囲気ごとHR/HMを知っていたら、このおふざけも、より以上に楽しめたろうのになって思ったんです。

さてさて、『Maddy Candy』の間奏、ギターのフレーズ、唯が耳コピしてみせて、皆を驚かせたあのフレーズですが、いや、これいきなりで耳コピは無理。難しいって。ともあれ、ギターは全般にかっこよくって、こういうジャンルにはまってしまう人もわかります。曲の構成も独特ですよね。テンポを動かしてみたり、メロディー、フレーズの組み立ても独特で、リフは低音でガツンガツンやって、ソロに入るとピッキングハーモニクスやらいろいろまじえながら、広い音域を上がり下がりしたりして、そして全体に音型が細かいんですよね。メタルはスポーツだ、みたいにいう人もあるけれど、確かにフィジカル面で要求されるものがあるジャンルだと思います。でも、それをやりきれるとかっこいい、そういう感覚は私にもわかります。だから、ちょっと練習してみよう。いつか、いずれ、ね。

しかし、普段は聴かないジャンルに触れる。こういうきっかけが得られるというのは、本当に楽しいことです。もう、本当に最近、楽しくてしかたありません。

CD

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年8月10日月曜日

浪漫ちっくストライク。

 ああ、もう駄目かも知れないね。買いましたよ、買っちまいましたよ。アニメ『大正野球娘。』の主題歌、『浪漫ちっくストライク。』。毎週放送を待って、見て、ああいいなと思う。この習慣づけのためでしょうか、あるいはより積極的に、放送を楽しみに待つ気持ちが後押しするんでしょうか、なんだか主題歌、好きになっちゃいましてね、それで買ったんです。いやあ、やっぱり好きかも。アップテンポで明るい、伸びやかな印象も嬉しい歌であります。タイトルにもあるけれど、浪漫ちっくストライク、印象深いフレーズが印象的にあらわれて、そしてリフレイン。やっぱり好きかも。ええ、好きなのです。

この歌、最初の印象は、さっきもいいました浪漫ちっくストライク。このフレーズにあわせられたアニメの、小梅がボールを投げるふりをして、晶子さんが受けようとする、その様子もなかなかに素敵で、なんかいいなと思った。そしてリフレインがいい感じ、これもさっきいったとおりですね。で、こうなると作った人が気になるわけです。作曲者、誰なんだろう。そうしたら、服部隆之ではないですか。そうか、そうなのか、『野球娘。』の音楽は、服部さんの三代目なのか。そうかあ、なんでかちょっとわくわくして、いや、別にファンでもなんでもないんですけど。今、写真拝見しましたら、お父上に似てきましたね。

『浪漫ちっくストライク。』のアレンジが、ちょっと気になったんです。歌の合間にサックスが間の手を入れる。あ、なんかいい感じ。ダンスバンドなんかでありそうな、そんな感じ。聴けばブラス系の楽器が結構活躍していまして、こういうのりは、ちょっと昔の雰囲気を意識したのかな、なんて思いまして、さすが服部隆之、と思ったんだけど、アレンジャーは大久保薫、違う人じゃん! けど、魅力的なアレンジだと思いましたよ。ブラス系の音色があって、弦のピッチカートも小気味よく、こうした要素がごちゃごちゃにならず、うまく推進する感覚を持って、曲を押し支えていくのですね。また、2番になれば、ちょっとアレンジが変わって、トランペットがぐいぐい出てくるの。いいなあ、この感じ。結構、好きなアレンジです。

そして、歌っている人。ええと、四人ですね。鈴川小梅、小笠原晶子、川島乃枝、宗谷雪。これは役名ですが、声優は伊藤かな恵、中原麻衣、植田佳奈、能登麻美子。おお、能登かわいいよ能登の人だ。でも、私はこのアニメが初遭遇。でも、確かにすごく魅力的な声だと思う。で、他の三人は、ええと植田佳奈はわかるよ。『Lの季節2 -invisible memories-』に出てた人。純耶さんだ、って、違うから。そうだ、楢山遥だ。ちょっと背が低くて、理屈っぽくて、三つ編みなのね。でも、眼鏡はかけてない。川島乃枝は眼鏡キャラであるわけですが、しかしこの人はメインキャラだったんだ。ちょっと意外といったら失礼だけど、そうかあ、眼鏡の地位もあがったものだなあ。

主題歌を聴くかぎり、キャラクターが歌っているという感じはあまりなく、というか、ファンの人には申し訳ないのだけれど、どの声がどなたかわからんのです。一番最後のリフレインの歌い出しで、ひとりずつフレーズを分けて歌うところがあるのですけど、多分私たちがを歌ってるのが能登麻美子さんだと思う。で、残りがわからんのです。クレジット順だとしたら、最後、始まるよが能登さん、じゃあ私たちがは植田さんということになろうかと思われますが、ちょっとわかんない。と、こんな風に極めていいかげんな聴き方をしている私ですが、けれどこの四人が一緒に歌っている、その歌の溌剌として色も鮮やかと感じられるところはすごく気に入っていて、ええ、やっぱりいい歌、やっぱり好きかも、って思っています。

コミックス

  • 伊藤伸平『大正野球娘。』第1巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
  • 伊藤伸平『大正野球娘。』第2巻 神楽坂淳原作 (リュウコミックス) 東京:徳間書店,2009年。
  • 以下続刊

CD

Blu-ray Disc

DVD

PSP

Goods

引用

  • rino『浪漫ちっくストライク。

2009年8月9日日曜日

『まんがタイムきらら』2009年9月号

『まんがタイムきらら』9月号は、特別付録『けいおん!』アンソロジーコミック「みんなでうん☆たん!」なる小冊子がつくということで、価格も特別420円です。ええと、通常はいくらでしたっけ? 350円か。ピッとやって買うようになってから、個別の価格を気にしなくなって、こりゃ悪い傾向だなあ。表紙は『けいおん!』。アニメが終わったら、人気がさーっと引いたりするのかななんて思っていたのですが、そういうことはなかったようで、なんとBlu-ray Discは初動で3万枚を超える売上があったとか。うわあ、それはすごくいいことだけれど、こんなに売れるとはなあ、正直予想外。こりゃあキャンペーンのCDは当たらないな。ワゴンセールで半額くらいになったBDを、スペアとして買うとか無理っぽいな、なんて思っています。

さて、表紙が『けいおん』、お面は『はるみねーしょん』、浴衣で夏祭りでしょうか。金魚掬いに興じる唯、紬のふたりがやたら可愛い表紙です。巻頭はアニメのリプレイをするページの片隅にバンドスコアの告知があって、これ、CD扱いなのかな。CDが2枚、スコアは164ページ。えらい充実ぶりに驚きます。

そして、本編。3年目の合宿は野外フェス。私はこういうのに参加したことないんですけど、実際こういうの見てみれば面白そうだななんていう気持ちになるものだから、私も単純です。けど、こういう複数ステージが同時進行していますというのがですね、どうせなら全部聴きたいと思う私には難しくって、けど目当てのバンドをはしごするべくスケジュール組むのも楽しみのひとつなんでしょうね。

左利きのギターがいるというだけで嬉しくなってみたり、Tシャツ見付けて買ってはしゃいでみたり、しっかり者に見えるけれど実は結構稚気のある澪は可愛くて、それで律がちゃんとTシャツお揃いで買ってるというのもなんかよくって、そして皆が自分のバンドを好きで、楽しんでいる、そういうことがわかる最後の流れ、すごくよいなと思いましたよ。無謀な唯の発言にいったんは驚いたものの、それに追従していく梓、そういうのもなんだかよいねと思ったんですね。

ところで、キャンプなんてできるの? とか思ったら、本当に可能なんですね。すごい。それで、虫除けバンドですけど、ああいうのって本当に効果あるんでしょうか。あるなら欲しいな、なんて思ったり。

ゆゆ式』、旅の地での縁のお嬢様っぷりが際立って、なんじゃもう、可愛いねえ。夏休みも、三人そろって、なんか馬鹿なこといいあって、けれど三人がふたりになって、距離感変わるととたんにいえなくなっちゃうなんてところ、気の向くままに思ったことをいってるんじゃなくて、ある程度考えてやってるんですよっていうのがわかって面白い。三人揃うとおかしな言動、ひとりだと普通。それは気の置けない友人同士だから、ということなのかも知れませんね。ところで、相川さんは、わからんときは、意味わからんと、素直にいった方がいいと思うんだ。

『≒ — ニア・イコール』、ゲストです。オカルトの雑誌なんですかね、そいつに載ってた鏡からパラレルワールドに抜けるうんぬんを試して、本当に抜けてしまった女の子の話です。向こうでは、性別の逆転した自分があって、それで — 、というのだけれど、あおりによるとラブコメディみたいだけど、それってすごい自己愛だなあ。正直、一回目ではようわかりません。展開はちょっと急すぎて、こういうことをやりますよ、こういうことがありますよ、というジャンルの了解事項みたいなものを理解していたら別なのかも知れないけれど、そうしたことの埒外にある私には、ちょっと距離が遠すぎました。とりあえずは、こうした展開においてやるべきこと、そいつを一通りやりました、そういう感触があって、だから、ここから先に描かれること、バリエーションであるとか独自性といったらいいのかな、それがどうなるかでどういう漫画か判別されるのだろうなと思います。

『天然あるみにゅーむ!』の祭の風景。蛇神さまの気ぐるみが云々というくだり、子供で小さかったから怖かったのかと思ったら、なんだよ、普通に怖いじゃないか。くわえるギミック付きとか、凝りすぎ。でも、こうして畏れ敬われてこその神という説明、なるほどそうなのかあと納得しました。しかし、それにしてもやり過ぎ、おそろしすぎでしょう。細かいネタでは、射的のコルク銃での銃撃戦、これは面白い。おやじも金になるからいいのか? コルク玉、回収できないぞ? でも、なんか楽しそうで、ああいう平和な銃撃戦なら私も参加したいくらいです。

三者三葉』はのっけから水着で、しかし葉山ちゃんが普通にスタイルよくて、もっと残念な感じだと思っていたから、がっかりです。一人暮らしで怖いもの。幽霊もそうなのかも知れないけど、雨漏りとかもいやですね。こういう、家のだんだんに傷んでいるということもまた怖い。なんか大きな災害とかあったりしたら、そう思うととても怖い。ところで、薗部さんがいい感じにメアリー・ポピンズめいてますね。でも、やけに似合っているという。ひとり超越的なキャラクターになってしまっていて、それを受け入れさせてしまう雰囲気もあって、面白いポジションだと思います。

『ちりめら』、ゲストです。演劇部もの。滑舌の練習で早口言葉をいうという話で、その雰囲気は結構いい感じ。キャラクターのイメージがわりとできあがってるから、いいかもって思ったのだと思いますが、ひとりひとりの個性というかがもっとはっきりしてきたら、もっと面白くなるのかな、そんな感じです。今はまだ、ゲストの第1回目だから、なんともいいきれないものがあります。でも、とおもろこしは面白かった。

『PONG PONG PONG!』、実にいい感じ。師匠にあって奮起したのか、たぬきが祐太のモテ作戦に本気で取り組むようになって、しかしなんだあの怪文書。嫌がらせに近い、というかそのものだけど、肝心のたぬきはその効果がわかっておらず、あくまでも善意。善意のたぬきと困りまくる祐太のギャップ、これは実にいかします。で、お師匠さま登場。でも、祐太のためになりそうな予感がしません。すごく期待させてくれる展開です。

『ましゅまろタイフーンッ』、ゲストです。女の子同士のいちゃいちゃものなのかな? 活発な女の子が、おとなしい女の子にセクハラ? っぽい言動を繰り返す、そんなところがあって、彼女は読者の代行者なのかな? そんな印象。で、おとなしい女の子が照れたりして、それが可愛いという、微セクハラ表現を楽しむ漫画であると思いました。

こどもすまいる!』の宝探し、ルールは砂浜ほる、で、出てくるのは角の取れたガラスとか、さくら貝、はまぐり、かに、実に穏当。というか、なんで子供のころは、角の取れたガラスみたいなものでもあんなに嬉しかったんだろう。で、骨。えーっ、骨ーっ! というネタ、けどオロオロしてるのは面白い。そうか、やっぱりうろたえるんだ。

夾竹桃の話ははじめて知りました。死人が出るのは怖いなあ。気をつけます。まあ、そんな機会、ないでしょうけどさ。

『メロ3』、福田君はオタクですがBL系は大の苦手ですって、損してるなあ。でも今回はそのBL展開で、というか、微BL展開で、悪いやつの癖に妙に神妙だったり、でもって相棒が寂しさに負けそうになってたり、細かいところで面白い。でも、友情のつもりでいたのに、皆からはそう思ってもらえてなかった彼、いったい周囲はどれだけ微BL展開を許容可能だというのでしょう。しかし、不良の片割れ、寂しくなってる彼、なんか可愛いな。今回、一番可愛かったのは実は彼なんじゃないかと思います。

『おとなりさん』、ゲストです。都会から田舎に越してきた女の子が、田舎の奔放な女の子に翻弄されるという話であります。それで加えて、都会の女の子がマニアというね。隠し部屋を持っているというね。こうしたギミックもあるけれど、基本的には女の子の交流もの。素直な言葉にほだされる、そうして距離が縮まっていく様子を楽しむのがいいのかなって思います。

まーぶるインスパイア』。ストレッチラノベは、私も生活に導入したい。まあ、ラノベは読まないから、テレビ見るときとか漫画読むときとかに。そうしないと、もう身体のあちこちががたがたで、すっかり歪んでしまっていますからなあ。というのは置いておいて、ネットゲーム、MMOにはまる人の心理みたいなのがちょろっと出てくるところがあったけれど、あれ、面白いなあと。暇潰しのゲームの中で暇潰しとか、効率を考えはじめるとヤバいとか、それから一気に上げられないのはやりすぎ対策とか、それ嘘だろう、というか、わざとそんな書き方してるだろうって感じて、面白い。ええ、私、ネトゲはやらんでおこうと思います。

PKにやられたあとの、偶然が成立させた勘違いにうまくのっかって、虚像を膨らませるっていうくだりも面白かった。実際に会うと、全然違いますよね、イメージ、とかいわれちゃったりするんだろうなって思うと、もう楽しくってしかたがない。こういう、無理に背伸びしちゃってるようなところ、それがすごくいいですね。自分を振り返ると茫然としますけれど。

さて、巻末My Private D☆Vは都桜和が登場で、みみだそうです、みみ。そうかあ、私のそんなにわからないジャンルでありますが、けれどこの人の絵は可愛い、そう思います。なんか、ストーリーなしでキャラクターだけでグッズ展開できそうな、そんな感じ。ファンシーショップで売ってそうな、そんな感じがあふれたイラストでした。

あ、小冊子のこと忘れてた。

小冊子は『けいおん!』キャラの誰が好きって表明があったり、なかっても、ああこの人はこのあたりが好きなのかなってわかったりすることもあって、そういうのがすごく楽しくて面白くてよかったです。大沖の素朴なあずにゃん、かわいいです。漫画も、いつもながらという感じではあるんだけど、単純にして面白い。といった具合に全部にコメントすると、完了するまえに力尽きそうなので、特に気にいったのをいくつかいいますと、勇人の絵は可愛いなあ。ムギちゃん! で、憂メインの四コマも! 多くを語らないけれど、ちゃんと伝わる。すごくいい。すごくいいです。なかま亜咲も相変らず。けど、この相変らず感がとてもいいです。というか、名案だなって普通に受け入れている澪がフール、あ、シュールって打つつもりだったんだけど、なんか面白いからそのままにしとこう。「のどさわ!」は、のどがさわやかなのかと思って、ハーブキャンディーなど思い出したのですけれど、和ちゃんとさわ子先生ですね。う、眼鏡か! 素晴しいな。漫画の内容見てみれば、いつも以上にしっかりとした和ちゃんが素敵で、厳しい厳しすぎる。すがりつくさわ子先生、とりつく島もない和ちゃん。これは作者の味だと思います。オリジナルではきっと出ない、でもありそうと思わせる、そんな塩梅もいい感じ。アンソロジーの醍醐味です。

Ixyって人はアニメ『けいおん!』の絡みで知った人で、この人の律好きには当てられたものでした。「取り乱しまし田井中律」なんて最高だと思ってる。そして、えれっと、この人の漫画の落ち見て、これはすなわち、フォークギター!?

すいません、失礼しました。今日はもう終わりますんで、ほんと、勘弁してください。

  • 『まんがタイムきらら』第7巻第9号(2009年9月号)

引用

  • 野々原ちき「メロ3」,『まんがタイムきらら』第7巻第9号(2009年9月号),167頁。
  • なかま亜咲「なかまのけいおん!」,『「けいおん!」コミックアンソロジー みんなでうん☆たん!』(『まんがタイムきらら』第7巻第9号付録),11頁。

2009年8月8日土曜日

『まんがタイム』2009年9月号

昨日は『まんがタイム』とまんがタイムコミックスの発売日、今日は『まんがタイムきらら』が前倒しで発売されて、この充実の四コマ漫画体制。四コマの海に溺れてしまいそう、なんていったら大げさですが、実際数年前の状況を考えれば、四コマを取り巻く状況は変わったなあ、なんかすごく大きくなったなあ、そんな感じであります。ともあれ、四コマ専門誌の草分けなんでしたっけ? 『まんがタイム』の発売、それからD☆V系の草分け? 『きらら』の発売、まずは『まんがタイム』から書いていこうと思います。

タマさん』はあの佐倉さんが登場して、そう、あの下ネタのお姉さん。エレガント、しかし下ネタ。ベリーキュート、だけど下ネタ。けれど、今回は若干のほのめかしにとどまって、ああ残念。しかし、この人は素敵です。

すいーとるーむ?』は夏休み、空になった社屋で自由を満喫するゆかりさん。けれど、いや、それはないだろう、とは思ったけれど、もしかしたらこういうのはあるのかも知れないな。社屋は空だけれど、わりとやることもあるというところ。本格的に暇になってきて、そうしたら仲間が顔を出してくれるというところ。バランスいいなと思って、そして最後の締め出し。ああっ、とてもバランスがいい。しかし、今回の見どころは、部長の花火でしょう。免許があるからといって、どこでも普通に溶接してもいいのかな。しかし芸達者な部長。もう、最高だと思います。

『わさんぼん』、粘土で練習する草太の、勢いで作ってしまったトリケラトプス。あれ、いいなあ。リアルというよりキュートな造形だけど、ガブーとか、これはいい。これ、今度、紙粘土で作って下さい。

『ふたりぽっぽ』、山口舞子の新連載、とはいうのだけれど、私、この人知らない。と思ったら知ってた。『カギっこ』の人かあ、とはいうけれど、読んだことはないんですよね。だから、これが初読となりますね。

可愛いキャラクター。ほのぼのしてる子かと思ったら、想像以上に策略家、食えないくるりと、くるりのロックオンから逃がれたいと思っているけれど、どうにも逃れられないこばと、このふたりがヒロインですね。しかし、手段を選ばないくるり、迷惑であったり、利己的であったり、気ままであったりという、一般的には困った子なんだと思うんだけど、それを笑って無茶な子だなあといってすまさせるというようなところがあって、これはとてもいい感じであります。そしてもちろん私には黒ぽっぽ、こばとがとても可愛いです。

『はこいり良品』は、商店街のキャンペーン、100円商店街とその裏側にある商売人の本音。こういうのはとても好き。むしろ私なんかは、利益のあるということに安心してしまう口ですね。商魂たくましく、お客さんは楽しく、どちらにも益があるなら、それはとてもいいことです。喫茶店のオーナーの戦略などなかなか。こういう活気の感じられる描写、ネタの数々、すごくいい感じです。

みそララ』における、才能の話。こういうのは、実際そうだと思う。私もよく思うのだけれど、どんなことでもうまくなるには才能というのが要求されるのだろうけれど、中でも重要なのは続ける才能、努力する才能なんだと思うんです。結果が出なくても、時にしんどくなっても、腐らず、続ける。つまらない基礎でも、きちんとやる。いい加減にすませてしまいがちなことも、ちゃんとやる。そうした、努力を厭わない、その才能がある人はいつか花開かせることもあるだろうって思っているんですね。こともあるだから、当然開かないで終わることもあるだろうけどさ。

けれど、『みそララ』においては、そうした苦労がちゃんと報われる。無条件に大成功! なんてことはないけどさ、努力に対し結果がついてくる。こうしたところを見て、そんなに簡単じゃないよっていいたくなってしまうような人もあるかも知れない。でも、現実においては努力が必ず報われるとは限らないから、だからこうして頑張っている美苑やら、他のメンバーやら、応援したくなってしまうんだと思うのですね。ああもう、あんたら頑張れ。そんな気持ちになって、そして仕事でもなんでも、頑張ってる人たち皆が報われたらいいな、なんて思うのですね。

天子様が来る!』、あのお医者のお願いは、より上を目指したいという向上心のあらわれだと思えば大丈夫ですよ。けど、どうせなら、お願いのあとに手術受けたかったろうなあ。うん、成功したからいいんですよ。

『小悪魔ティーチャー』、やっぱりなんか好き。いや、長女が眼鏡だからじゃない。いや、次女が眼鏡だからでもない。アクティブなお姉さん、その元気さ、はつらつとした印象がいいんでしょうね。姉妹仲がよくって、そういうところもいいんでしょうね。ところで、最後の大オチ、きっと目覚めたりしてるんだろうなって思ってましたけど、そうやってサービスする側にいってる、さらに加えて因果応報的な展開にもなっている、これはうまいと思いました。

『アシスタント!!』、お母さんだ これ!! お母さんだ これ!! なんという畳み掛けでしょう。でも、ちゃんと書体が違えてある。書体の違いにイントネーションの違いを思って、細かいところで凝ってますね。そして、潰れそうになってるおぐら先生。いや、本当、大変そうだなあ。実際、こういうことあるんだろうなあ。

『トイザんス』、みたにひつじ、ゲストです。みたにひつじ、覚えのある名前、けれどどんな漫画描いてた人でしたっけ、……、『ナイスミドル城島部長』か! 『トイザんス』は、ちょっと『トイ・ストーリー』風? まあ、見たことないので、わかんないんですけど、ともあれ、レタス畑人形なんてのが出てきて、懐しい、キャベツ畑人形ってのが昔あって、可愛くない人形なんですけど、個体ごとに少しずつ違いを持たされた人形で、それで一体一体に出生証明でしたっけ? そんなのがついてたんですよね。って、この漫画、もしかしたらヤングには通じなかったりしない? しかし、キャベツ畑人形の真実って、リコちゃんのいうとおりだったのかな。もしかしたらそうなのかも知れませんね。

『乙女プレス』は、素直なヒロイン、漫画自体も素直な感じで、こういうの結構好きです。漫画は、素直なばかりでもよくないと思うけれど、こういう素直さが前面に押し出されたようなのもいいなと思うのです。ヒロインの素直さ、それもいいけれど、感激屋さん、普段はクールで、けれど実際はそうばかりでもないっていうの、そういうのもいいのかなって思います。

『ラブじゃらし』が終わりです。おー、先月の引きはそういうことだったんか。それを受けての展開はいわば予想の範囲、というか、こうならないでどうするっていう、そういう王道展開でありましたが、それだけによかったかなと。これまでの、ただただ子猫二匹を猫かわいがりするような、そういうところが好きだった。だから、このラストもよかったと思うのでしょうね。

『放課後のアインシュタイン』、好評ゲストらしい。それが本当だとしたら嬉しいことです。サイエンス部の合宿風景。なんか、先生は漆原教授みたいなことしそうになってましたけれど、この自由さ、一歩まちがえたら傍若無人なのか? すごく魅力的。興味の対象には真っ直ぐで、その他には抜けている。お化けなんてなんともないぜ。きっと興味はくぬぎの木だから、他がどうだろうと関係なかったんだろうな。そんな先生が実に素敵です。

で、連載になるのかな。なったら嬉しいなあ。

『先生のすずめ』、次回最終回。今回の展開、これもまた王道だったと思うのだけれど、けれどさすがにこれはくるなあ。なんかね、人の思惑の通用しないところでの話。その状況を前にして、望むことしかできないという、そういうやるせなさが胸に突き刺さるようで、そしてこれを受けて次回最終回。どういう風に持っていくのだろう。それは気になるけれど、それよりも今はこの読後感、しんみりとして、なんか心に底のほうにそっと沈んでいく感情、それを大切にしたいな、そんな思いであります。

PEACH!!』、ついに武田が先生に勝利! というか、あれは勝ち負け競ってたのか? チキンレースの一種だったのか? いずれにしても、好きなシリーズの思いもしなかった展開に、にやりとしてしまいました。そうかあ、先月のあれはふりだったのかも知れませんね。それはそうと、美人湯、効いたもなにも、あんた最初から美人だったじゃないですか。

  • 『まんがタイム』第29巻第9号(2009年9月号)

引用

  • かがみふみを「アシスタント!!」,『まんがタイム』第29巻第9号(2009年9月号),139頁。
  • 同前,140頁。

2009年8月7日金曜日

ハッピーカムカム

 本日、『ハッピーカムカム』の発売日。やったあ。いや、ついこのあいだショックなことがあったばかりだけれども、しかしそれでもやっぱり嬉しいことですよ。『ハッピーカムカム』は好きな漫画であることはもちろん、私の好きなジャンルであるところの女の子コミュニティものでもあります。ところで、以前こんなこといってました。私はこういう女の子コミュニティものが好きなんだけれど、そういうのがばたばたと討ち死にしていった時期があって、だからこそ『ハッピーカムカム』だけは死守したいのさ。けど、よくよく考えたら、女の子のコミュニティを扱った漫画って、たくさんあって、それこそ常にあり続けていたんですね。でも、なぜか私にとって『くるくるコンチェルト』や『ハッピーカムカム』は特別だった。それはなぜなのだろう。それは、と、ここでちょっと段落を改めます。

それは、もしかしたら、作者の後書きに書かれていたこと、編集さんの意見なんですが、かたぎりさんのは 萌え4コマじゃなくて やっぱりどーしても ファミリー系ですよねー、これなのかなって。私は萌えは計量できない、それは確かに確認はされるが、理論として体系づけることはできない、なんてこといってましたが、今でもその考えは変わっておらず、だから具体的に、今の萌え系といわれているものと、ファミリー系に分類されてしまうものとの違いがわからんのです。私が『ハッピーカムカム』に感じていたのは、穏やかさでした。ゆる系とかふわ系とかが流行のキーワードみたいですけど、そうしたものとは違うテイストがあると感じています。確かに可愛い女の子がいっぱいで、彼女らの日常が描かれる、そうした漫画である『ハッピーカムカム』ですけど、なにか違う。じゃあ、あんたはこの漫画にいったいなにを感じているのかといわれたら、やっぱり穏やかさって言葉になってしまうんです。

穏やかっていうのは、その表現のエッジとでもいいますか、強く踏み込んで、ほらこのキャラクター、可愛いでしょう、どう? どう? とでもいうような押し込んでくる感触が少ないという、そんな感触とでもいったらいいんでしょうか。男性の強く希求するキャラクターに対する答え、というよりも、もっと自然に、可愛いと感じるものをかたちにしましたというような、そういう感覚があって、例えば初期のホコちゃんがぽこぽこ歩いたりするのって、確かに可愛いんだけれども、おそらくは男性の求める可愛さではなく、また萌えというのとも違うんではないかなと思って、むしろ少女漫画に出てくるようなキャラクターの可愛さである、そんな風に感じるんです。こうした感触が、編集さんのいうところの、萌えというよりファミリー系ということなのではないか。ターゲットしぼって、チューニングをカリカリにほどこした、そんな漫画ではないってことなんではないかなって思ったりしたのです。

そして、私はそんな穏やかさが好きなんです。押し出しの強い漫画を読む時は、それがたとえ日常ものだとしても気を張っているんだと思う。でも、穏やかな漫画を読むときは、より一層にリラックスして読める、そんな感じでありまして、ええ、『ハッピーカムカム』はすごく気持ちを楽にして読める漫画です。気持ちが張ってないから、女の子たちの表情の変化についつい釣り込まれたり、またひょこっと出てくるネタにくすぐられて笑ったりする。それもすごく自然に。また、時に漫画を読んでいると、作中に読者である私を代理するような視線、ポジションがあったりすることがありますが、この漫画においてはそういった感覚はなく、あくまでも私は外部のものとして彼女らの交流を眺めているにすぎなくて、けれどそれは疎外されているっていいたいのではなく、むしろ気持ちはすごく近しいと感じている。この心地良い距離感が、なおさら当たりを穏やかなものとしているのかも知れません。私とは違う人たちの、楽しそうにやっているところを見て、ああ、いいなあって思っています。仲良くて、ちょっとシビアで、あけすけだったりもして、そしてきらきらとしている。ふいに投げかけられる笑顔にどきどきしたりして、絵もやっぱり魅力的なんだなって何度も確認させられて、そして再びキャラクターの、彼女たちみんなの魅力にやわらぐのですね。

ああ、これはあれかも知れない。すごく可愛いのに、自分の可愛さに気付いていない女の子が見せる表情。気取ってなんかない、すごく自然体で、気持ちのすっきりするようなね、そういう魅力なんだと思う。すごく女の子なんだけれど、女の子女の子していない、ぶっていない。そういう素直な気持ちのよさが『ハッピーカムカム』にはあって、それが私をとらえているのだと思います。

  • かたぎりあつこ『ハッピーカムカム』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用