2009年9月30日水曜日

フィギュ☆モ

 読めばみるみるフィギュアに詳しくなれる漫画、というわけではないのですが、舞台となるのが高校のフィギュア同好会ということで、フィギュアに興味を持っている人なら、ちょっと気になる、あるいはよく知っていることが描かれたりしているかも知れません。とはいうものの、あくまでもメインはフィギュア同好会に所属する学生の交流、その風景を描こうというものですから、必要以上にフィギュアの情報が溢れて、なんてこともありません。でも私としては、知識が増えることに喜びを感じるたちなものだから、コアなフィギュア知識をどんどん出してもらってもかまわない。というか、今の時点で、ちょっとフィギュア製作にチャレンジしてみようかな、いや時間ないから無理! という自問自答を何度かやっちゃってるくらいです。

さて、『フィギュ☆モ』は『えむの王国』の中平凱の新作であります。『えむの王国』は、続きものになるなんて思っていなかったから、インパクト勝負で設定を作った、なんていう話でしたけど、『フィギュ☆モ』は最初から連載を見越した作りになっているのでしょう。趣味性の高いテーマを持った女の子たちの部活もの、実にスタンダードな感触です。

けど、実をいうと、最初の頃はあんまりのりきれないななんて思ってたりしたのでした。こうした漫画で要求されそうなこと、それをきちんとやっているという感じはあったけれど、どうもしっくりとこなくって、けれどなんでか私は中平凱という人を応援したいと思っているものだから、うまくまわるようになればよいと、その先に馴染むことを期待して読んで読んで、そうですね、科学部部長の里山りかが出てきたあたりから、徐々に面白さが増してきたと感じられるようになって、そして模型店店主であるひびき、彼の出た回あたりではもうしっくりいくようになっていたという感じでありました。そして、1巻終わりでその姿をちらりと見せた黒沢。彼女の入部のくだりなんてとてもよかった。といった感じに、今ではもうすっかり楽しく読んでいるんですね。

りかちゃんが出たあたりからいい感じ、なんていってるのは、このキャラクターが好みだからとかそういうのではなく、いや好きですけど、眼鏡だからとかそういうの関係なしに好きですけど、でも実は大和みらいが一番好き。あのあっけらかんとして明るいところ、それでいろいろ教えてくれるところがいいんだろうなあ。でも、キャラクターが気にいってるだけでなく、話自体にひかれていることももちろんあって、デコ電の回とか、石がいくつ乗るか数えるために十字に仮置きしてましたけど、連載時には、あれくらいが好みだなあとか思って読んだのですが、単行本でもやっぱり同じこと思って、それで八極拳の話、『拳児』のためなんでしょうけど、漫画好きの間では八極拳の知識が突出して高いという印象があるんですが、ええ、私も大和先生くらいは準備なしでも説明できるかも……。

この漫画の面白さは、オタク系文化にうとい人が、オタク系コミュニティに参加することとなって、オタクの発想に驚いたり戸惑ったりしながらも、だんだんと近づいていく、そんなところにあるんだと思います。だから人によっては、ヒロインさりなを迎えいれるみたいな感じで読んだりするのかも知れませんね。私などは、さりなと一緒にフィギュアについて学ぼう、みたいなのりだったりするのですけど。けれどこういう風に人によってうけとる感じが違うっていうのはいいことのように思われて、だって他の人はこの漫画をどういう風に読むのだろうという、そんな興味もわいてこようというものです。ほんと、実際のところ、フィギュアを自分でも作る人はこの漫画をどのように読むのでしょうね。すごく気になっています。

  • 中平凱『フィギュ☆モ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年9月29日火曜日

ねこにゆーり

 最初に覚えたのはタイトルでした。『ねこにゆーり』。猫に有利? 響きが印象的で、ちょっと意味深。それで、どんな漫画だったっけと誌面で確認するように読んで、だんだんに親しんでいったのでした。榊さんというちょっと人が苦手の女の子が猫と仲よくなっていく様を描いた漫画、なんて書くと昔はやった漫画を思い出してしまいそうになりますが、あんまりそんな感じじゃありません。で、この榊さんというのが、ゆーりなんですね。優理と書いて、ゆーり。彼女と猫の交流を描いた漫画、そして彼女と友人たちとの交流を描いた漫画であります。

友人、その筆頭は八重樫世良なのでしょうか。ちょっと発言がいかがわしい女の子。そして水木歩。眼鏡、男子、あんまりがっついていない、ちょっと主人公っぽい? このふたりがゆーりの幼馴染み。ここに歩、あっくんのことが好きな女の子、桜沢あさひが加わって、これくらいわかれば充分読んでいけるかなって感じです。キャラクターは、よくもわるくも典型的だから、わかりやすい、理解しやすい。反面、どこかで見たような気がするっていうね。セラに関しては、ずっと誰かに似てる似てるって思ってて、今ようやく気がつきました。麻倉南だ。ほら、『メガミのカゴ』の。ずっと気になってたことが解消して、なんだかちょっとすっきりしていい気分です。

この漫画は、恋愛の要素が少しあって、友情も少しあって、青春があって、そしてペット愛があってと、いろんな要素がからみあって成り立っているのですが、そのどれかに傾きすぎるということがなく、それぞれが適度に主張して、譲りあって、支えあっているという感じ。ほどよいバランス感があるんですね。キャラクターは、主役に近い人はやはりしっかりと出番もあって、当然その個性が発揮される機会も多くなって、けれどほとんどモブのような人でも、テーマによっては前に出てきたりします。こうしたところが、全員で盛り上げようというような雰囲気を感じさせて、和気藹藹とした仲よさ、いいなと思わせるのではないかと思っています。みな、人との関わりに前向きで、みな、人懐こくやさしい。そんな空気がとてもいい。特にペット自慢の回なんかね、すごくいきいきとしていて、読んでいるこちらも嬉しさがこみあげてくるようなところがあって、この漫画のよさが発揮されてるな、なんて思ったものでした。

この漫画は、ちょっとマニアックなネタとか、そういうのも散見されて、それは残念ながら私にはあんまりよく笑いどころや楽しみようがわからないのだけれど、『デス・クリムゾン』のくだりとかね、なんか伝わってこない。そんな気持ちになることもあるのだけれど、けれど全体を通しての流れ、そうしたものにはひかれるものがあります。ひとつのできごとを、ゆーりの視点、セラの視点で描いたことがありました。ゆーりとセラ、それぞれ思うところ、悩むところがあって、けれどこのひとつのできごとが、三人をあらためて引き結ぶこととなって、素敵な風景、流れさる胸のつかえ、そうした叙情性あふれる感性はすごくいい。楽しさや叙情性、そして共感など、そうしたものに触れるごとに、『ねことゆーり』にて描かれる世界の表現に、ゆーりたち登場人物に、親しみを感じて、そしてそのたびごとに、少しずつこの漫画を好きになっていったのでした。

最初に覚えたのはタイトルでした。今は、ゆーりもスカイさんも、この漫画に出てくるみなが大好きです。

  • kodomo兎『ねこにゆーり』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年9月28日月曜日

『まんがタイムきららキャラット』2009年11月号

『まんがタイムきららキャラット』、2009年11月号が発売中です。表紙は『GA — 芸術科アートデザインクラス』、いつもとは違った色調、違った雰囲気。暖色系、色温度が低いといったらいいでしょうか、秋らしいやわらかな光の加減が全体を統一していて、それでいて影などには青みがかかっているという、ちょっと不思議な色彩です。これ、写真が意識されてるのかなあ。写っているのは如月と野田ミキなのですが、このふたりもいつもとはちょっと違った雰囲気でして、服装が違います。髪型も違います。このいつもとはちょっと違うということが新鮮さを持って印象を深めているように思います。

GA — 芸術科アートデザインクラス』本編においても、いつもとちょっと違うというのが継続されていまして、テーマはクロッキー。ただし仮装ありという不思議な条件つき。なんで仮装する必要があるのか、ちゃんと理由はあるのですが、当座それはあかされず、それよりも、みながどんな扮装をしたのかのほうに興味津々といったところです。姫あり魔女あり騎士あり、ぬううッ、忍者あり。もちろん野球のユニフォームとか普通の衣装もあるのですが、メインキャラこそきわものを好んで、最初は一番まともだった如月のセーラー服、これが上位クラスにチェンジしちゃったものだから、野田ミキのチアがいちばん普通になってしまいました。もう、この混沌、実にいいです。

こうしたカオティックな状況に持ち込んでおきながらも、美術の授業は大過なく進行していって、しかしこんなにも楽しい授業なら、参加してみたいものだと思ってしまうのも人の情であります。あのロボット着ぐるみとか、すごく味わい深い。それに、吉川さんのシスター? 聖母? とてもいい。ピエタの聖母みたいですよね。ああいうの好きなんです。

なんか衣装についてばっかり書いてしまってますね。なので、そのついででいっちゃいますが、野田ちゃんはフィギュアにしちゃう人とかでるんじゃないかなあ、なんて思ったのだけど、それはどちらかというと予想ではなく期待ですね。シンプルなポーズけれど魅力的。あれはとてもいいと思います。

『もこもこBOX』、ゲストの2回目。今回はみんなでお好み焼きを作るのですが、やっぱりシンプル、やっぱり可愛く楽しい。あの、ひっくり返すの、信用してないっていうところの描き方。擬音で進行する、そのナンセンスなテイスト、けれどその向こうにあるだろう疑惑、そのアンバランスがすごく面白かったんです。基本的には可愛い漫画。けど、たまに可愛いだけではないところがちらりと見える。それがよいのかなって思っています。

ひだまりスケッチ』、私はUFOキャッチャーがものすごく苦手です。はじめてやった時のこと、忘れもしませんね。ボタンをずっと押していないといけないって知らなかったから、カチッて押して、カチッと終わりました。もー! だから、こういう人形を取ってと頼まれて取ってあげられる人ってかっこいいと思います。ええ、乃莉ちゃん、かっこいいなあ。頼れるって感じです。

うらバン!』。最近わかったことですが、うちの近所にFiat 500のオーナーが住んでます。たまに見るんですよ。で、見かけるその度につつじ先生のこと思い出して、そして今回の『うらバン!』はFiat 500が主役といっていい、そんな話であります。車のメンテナンス。けれど、どちらかといえば壊してるって感じになってしまっていて、つくづく旧車って大変な趣味だなと思いましたよ。水が駄目。だから雨の日には乗らない、って、えーっ、そんなー。錆が出る、傷んでしまう、それをなんとかうまくやりくりして長く乗ろうというのが旧車ファンってやつなのでしょう。それはつまり、私にゃ無理ってこと。黒目先生はすごいと感心します。ところで黒目先生ってお嬢なのか? なのかもなあ。

ところで、昔の黒目先生、あれは素晴しいな。もちろん今も素晴しいのだけれども、昔の先生には今とは違う魅力があって、それでサクソフォンプレイヤー。最高です。けど、サックスがちょっと不思議な感じになってて、いや、別にいいです。それがサックスってわかれば充分です。

『ぽっとらっく』、ゲストの第1回目。これは、女の子の下宿ものみたいですね。雑貨屋? も営んでる漫画家のお家に、ばたばたと下宿することが決まった女の子三人。彼女らのにぎやかな生活を描こうという漫画であろうかと思われて、なかなかによい感触です。今回は第1回ということもあって、キャラクター紹介といったところ。これでどういう展開があるのか、それが楽しみです。

『ラッキー・ブレイク』。これは新連載です。芸術大学でデザインを学んでいる女の子がヒロイン。けど、いきなり退学。切ない。これ、冗談じゃなく切ない。不況とか災害とかがあると、退学せざるをえなくなる人が増えるのって本当なんですよね。学ぶ意思があっても、それが叶わないっていう。それは、本当に切ないことだと思います。でも、バイト先での出会いが縁になって、就職することとなって、こうしたところはちょっと救われるような気がします。で、どういう仕事なんだろう。ということも含めて、これからの展開に期待が高まります。

『Aチャンネル』、いきなり縛られているトオル。るんちゃんは相変わらず酷いな……。で、とばっちりをうけるのはユー子なのか。この漫画は、なんだか危うい、そんな感じを持っているのだけど、決定的に危険な話にはならず。微妙にいけない感じを演出しながらも、安定して着地を見せる。そうしたところがよい感じみたいですよ。ところで、るんちゃんのあの怖ろしげな人形ですが、あの正体がどうもわかったっぽいです。そうか、そうだったんか。それはちょっとわからん……。

ラジオでGO!』はお見合いの話。誰が? 相沢Dが。しかし、お見合い話に右往左往して見せる風見Pですが、この人、これで回りから気付かれてないのんか? 少なくとも相沢はそろそろ気付いてもいいころだと思うけど、というか、とっくに気付いててもいいくらいだと思うのだけれども、そうならないのは、気付かないふりされてるのか!? そうだったらなんだか不憫ですが、でもできれば風見さんの恋はむくわれて欲しいな、なんて思っています。

『アイノテ』、ゲストです。ネガティブな女の子がヒロイン。田舎の学校に転校してきて、そこで出会ったやたら積極的な女の子に感化されて、だんだんにアクティブになったりするのかな? 絵が綺麗。特にカラーが綺麗。それで話はのんびりです。

『デジらぶ』、再登場ゲスト。前回の掲載は、2009年9月号ですね。夜の学校に忍び込んだら、凶悪妖怪が — 、じゃなくて、恋愛シミュレーションゲームを作ろうとしている女の子たちの話でありました。ポテトチップスを箸で食べる女の子が出てくるのですが、キーボードを汚さないためなんだそうです。ええ、私もこうしたの食べるときは大抵箸ですね。多分、マニアやオタクの類いには、スナック菓子を箸で食べる人、多いんじゃないかと思うんです。で、この人の使っている端末が、あ、ポメラかな、と思ったらどうもそうらしい。こういう小物を見せられると反応してしまうのは、なんだか私の習性みたいですよ。

空の下屋根の中』は、バイト頑張ってるなあと思ったら、今度は就職だ。で、要領悪いこの子は、またなんか極端な選択をしそうで、なんか心配になってしまいますね。しかし、今の勤め先が過ごしやすいからといって、ずるずると働き続けるのも危険かも知れません。就職ってことを考えるとですけどね。だから、こうやって踏ん切りをつける必要っていうのもあるのかも知れませんね。順序というのもあろうかと思いますけど。

帝立第13軍学校歩兵科異常アリ!?』、これが最終回。ちょっと突然と感じますが、だって、細々っていったらいいのかな、少しずつ話が進んでいくものだと思っていたものですから。だって、いろいろ仕組まれた策謀みたいのが見えたりしてたじゃないですか。しかし、それがこうして終わって、なんだか煮え切らないって感じもしますけれど、わけのわからないところでうやむやで終わってしまうようなことを考えれば、こうしてひとつの決着めいたものが着いたということで、よいといってもいいのかな、とも思えてきます。ちょっと残念。いろいろ事情はあったのだろうと思いますが、当初からのこの漫画の雰囲気、好きだったものですから、みながもっと活躍してくれたら嬉しかった、なんて思ってしまうんですね。

『のんびりマスタリー』。ゲストです。今回はケーキの話。ベタな展開といえばそのとおりなんだけれど、まもる君に甘えているのかよっかかっているのか、そんなのどかの雰囲気がそのあたりのもろもろを帳消しにしちゃってるような気がします。ケーキが崩れてしまってもおいしく食べられる。ちょっと崩れちゃってるくらいの方が、気楽に付き合えるようにも思えます。そんな感じ。気をはらずに読んで楽しい、そんな漫画が『のんびりマスタリー』かと思います。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第5巻第11号(2009年11月号)

2009年9月27日日曜日

『まんがタイムオリジナル』2009年11月号

『まんがタイムオリジナル』、発売されてます。2009年11月号。本来の発売日である27日が日曜とかちあったために、今月は一日前倒しで出たのでありました。さて、今月の表紙はフライトアテンダントの制服着込んだ山下。これは、旅? 外国? そういえば、サファリってスワヒリ語で旅という意味なんですってね。『アサヒ! — 動物園に行こう』の太郎とサファリルックのあさひ。よいですね。いい感じに似合っています。けど、ライオンに乗ってサファリというのは豪気です。なかなか普通では体験できない、まさに太郎ならではのサファリであろうかと思いました。

ラディカル・ホスピタル』、ちょっと切ないお話。病院で亡くなった方の慰霊。普段は意識されないけれど、病院を描いた漫画である以上、こうしたこともあるのですよと告げるがようで、医師、看護師だけでなく、病院に働くスタッフが、ひとりひとりその人なりの向き合い方を考えているというのがなかなかに切ないものがあります。そして最後の四コマの、せめて全力を尽くして仕事しないととの言葉。重みがあります。自分ははたして、そういえる生き方をしているか。ちょっと反省したりなぞもして。

『明日もひまわり荘!』、連載開始です。巨大かぼちゃ、ハロウィーンでファラオの眠る棺のお飾り。こうした遊びはなんだかとてもよいなと感じて、しかしふたつ並んだファラオランタンは味があっていいなあ。こういう意匠、大好きです。

L16』は、やっぱりユキちゃんが素晴しい。奈々香に思いを寄せる彼をサポート? けれどそれで親密に!? かと思えばちっともそんなところないっていうところ。でも、こうして恋愛相談にのったのがきっかけになって付き合いはじめるっていうのは、実際にもあることらしいですね。私の身にはありませんでしたが。奈々香は姉との関係に充足し、かくしてユキちゃんと千本君との関係を勘違いして、でももしこのふたりがくっつくことになってもそれはそれでよさそう。うろたえるユキちゃん、猫かわいがりながらくつろぐユキちゃん、どちらも素敵だった。しかし、このふたりが付き合うとなると、ユキちゃんが支配的になるんだろうなあ。理想的な状況じゃん、なんて思ってしまいます。

『マチルダ! — 異文化交流記』、徹底的にあやしいマチルダ。毒舌、そしてシニカル。こういうキャラクターは嫌いじゃない。ちょっと付き合いにくいかも知れない、けれどそんなマチルダに親しみの感じられることがあれば、きっとよいだろう。そう思いながら、この序盤を読んでいます。今のところ、わりと悪くないなって感じ。好きになれるかもと期待しています。

『時間がない!』、変な社長が増えた! しかし、由良さんは社長と仲いいのですね。さて、その社長は由良さんとの関係を探るべく松下に接触して、墓穴を掘りまくる松下は素晴しいな。押しが強いのか弱いのかわからん社長もなんだかキュートだしで、味のあるいいキャラクターになりそうだなあ。今後、中身が明らかになる日もくるのかも知れないけれど、今はこの謎のままがいい感じです。俺 感動して号泣したとか、なんかすごくナンセンスというか、言葉が重いのか軽いのか全然わからんところがよいです。

アナログでも検索ボタン。確かに欲しい! いえいえ、『あかるい夫婦計画』の話です。私の暮らしはもの一杯の暮らしだから、まれに探しものが見付からないことがよくあって、そんな時は検索ボタンが欲しいと切実に思います。デジタルのものは、なくなったりはあんまりしないんですけど、でも気付いていないだけで、検索不能でないことになってるデータとかあるんでしょうね。怖ろしいことです。

開運貴婦人マダム・パープル』の別のイミが隠されてましたは、似たようなこといった覚えがあるぞ……。実際にこのへんの言い訳はポピュラーなものかと思います。だって、わからんものはわからんのだもの。ちょっと懐かしい思い出。もし職を失うことがあったら、最悪占い師復帰と思ってるけど、ブランク長いからもう無理かもなあ。ええ、マダムのようにはいかないものなんですよ。

『おかまん研』。学校に潜伏しての原稿作業。ぎりぎりにならないとはかどらないというのは、実際私にも身に覚えのある話。で、脱落しそうな仲間を思い切ったやり口でサポート。間に合わんよりいいやろというその合理的な解決のしかた、なんだかいいですね。目的を遂げるためには、あの手この手を尽くすという、そういう性格がいい感じに発揮されて、楽しさもなかなかのものでした。この漫画、結構好きです。

そこぬけRPG』。女装ゲボキュー、大絶賛ですね。このネタはこの後も続いていくのか。続くのならきっと面白い。でも、女の子企画が自然に収束し、普通の状況に回収されたように、女装も普段どおりにまぎれていくのでしょうね。しかしこの漫画のゲーム会社は、おちゃらけているようで、CMの話など、シビアな話はそれなりに混ぜ込まれて、こうした硬軟のバランスがとれたところがいいのだろうなと改めて思わされます。ところで、男色タイツって名言だなあ。ちょっと惚れ惚れします。

『ひよりすと』。お姉ちゃん、風邪で倒れる。しかし、役にたたん弟と妹じゃな。そう思っていたら、ちゃんとふたりともに最低限のことはできるのね。で、ふたりともお姉ちゃんが大好きなのか。この弟妹に関しては、妹の方が問題ありのような気がします。弟は、なぜか駄目な人というポジションに追いやられがちだけれど、これってなんかそういうエピソードでも隠されてるのかな。ちょっと気になります。

『(仮)アイドル!』、触れずにはおられなかった。往年のアイドル、白井さくら。これ、どう考えても社長! どう考えても社長! いつか明かされることになるんだろうなあ。その時にがっかりするのかどうなのか。それがちょっと楽しみです。

『十三番館EX系男子』、女性向けギャグ系同人誌の雰囲気ってこんなですよね。って、一概にはいえないとは思うのですけど、でもこうした印象が私にはあって、友人の買った同人誌読ませてもらって、だんだんに慣れてきたけれど、最初はちょっと馴染めなかったなあって思い出します。でも、触れているうちにだんだんと楽しみ方もわかってくる。この漫画にしても、だからいずれは楽しみを見付けていくことでしょう。今回は、チュパカブラが……。こんなのがうろついてる庭っていやだなあ。

『恋は地獄車』、後藤さんの発言、なんだか至極うなづけるんだけど、こうして客観的に見てみれば、こういうこといってる男って面倒くさそうで、もてるわけないよね。ええ、私は口を噤んでおきたいと思います。さて後藤さん、面倒くさいといいながら、その面倒くさそうな女にひかれてしまっているというのが、ラブ・イズ・ミステリーってやつだと思います。しかしミステリーといえば、この不幸体質の女、万里子がなんだかいい女に見えてきてしまって、後藤ビジョンがそうなら、ヒモの彼といっしょにいるところなんかも。それから、10年前の姉は最高だと思う。こういう人はいい相手に巡り会えたらよいのかも知れないけれど、でもいい相手では駄目なんだろうなあ。なんという因果なんだろう。

因果といえば、高橋君、彼がちょっと可愛かった。ちょっと好きになってしまいそうです。こういう嬉しさ、それが積み上がっていけば、高橋君は更生できそうな気がします。いや、どうだろ。無理かもなあ。

『SPさん』。その弾の痕は、どう考えてもアウトでしょう。いや、下にチョッキかなんか着てたのか? いや、チョッキは上に着るだろう。アウトです。ウニが降ってきました、橋作って下さい、こういうSPさんの素直というか物知らずだったり子供っぽかったりするところ、それが面白くて好きです。

『花咲だより』、卓球台が自宅にあるというの、ああ、そうだ、温泉旅館の子たちだっけか。このあたりはうまいなと。それで、ハンデ戦、そのハンデのつけかたも味があって、ええ、私なんかはハンデ一直線ですな。反則まじえて勝ちをとりにいく姉の根性、その執念はこの姉らしくて、とてもよかったです。そして湿布。普段運動不足だと、どうしても翌日大変なことになりますよね。私もこの連休で思い知りました。

『アトリエZOOへようこそ!』、うまく前回前々回を拾って、いい感じの流れにはいっていったと思います。長崎までやってきた担当編集者。てか、長崎だったのか。担当氏はアンケートの結果を伝えにきたのだけれど、それが前回前々回からの続きになっていて、このあまりに当たり前の帰結に、ギャグだけど過去が毎回清算されるわけではないというこの漫画の現実がわかって面白かったです。しかし、今回はヒロインの先生、扉もそうだったけど、途中途中でもやたらめったら可愛かったな。いや、眼鏡だからじゃないよ? 実際、扉は裸眼ですから。で、締め切り一ヶ月早くしてましたっていうの、それ、一週間? 月刊誌なら、ここで一ヶ月ってあるの? わかんないけど、まあ別にこの落ちのいわんとするところは充分伝えられてると思うから、私は気にしません。

『今日から寺バイト』。通信教育講座で必要書類を入れ忘れたがために、余計に一年受講することになってしまった私です。二年目、スクーリング以外やることないっちゅうねん。なのに受講料は全額払わんといかんから、もう最悪やった。というのはさて置いても、見直しは重要です。私、結構不備が多いので……。ところで、講座のテキストですけど、聖典とか勤行集、お寺にないの? 買うにしても夫婦で一冊とかあかんの? あかんのかもなあ。ところで「きんぎょうしゅう」? 「ごんぎょう」と思ってたのだけど、宗派によって違ったりするのかな。ちょっとこの漫画読んでると、大学の時の先輩、住職してた人なんですけど、思い出してなつかしいです。後輩にもお寺の娘、いたっけ。あの子もこういう勉強してたりしたのかなあ。いろいろ懐かしいです。

『ムスコン!』、最終回です。おおう、ちょっと残念。母に対してクールなあっくん。彼のクールであれないという、そうした面が見えたのはちょっと新鮮でよかったです。この母子の、決してべたべたしあってるわけじゃない、けれどなんだかすごく親密なところ、息子からしたらありにくいことかも知れないって思うのだけれど、でもこのふたりに関してはこういうのとてもよかったと思います。

『超訳星の王女さま』。おお、『星の王子さま』っぽい話が出てきた。うわばみが、象ならぬ取り立てふたり組みを呑んだという。で、この話をうまく繋いで、そのときどきの展開に見える、姉妹の周囲の人々の描かれ方。それがよいと思います。

『花の委員長』、花と委員長の関係がよい漫画です。いつもさわがしく、委員長にちょっかいを出している、そんな花に委員長からの逆襲だ。一撃食らわされて、おしおきうけてもめげない花のキャラクターがいいと思います。私の好みは、肘撃を決める委員長なんですが。

『先生のたまご』、この漫画、好きです。高校の修学旅行がドイツ。それは、セレブでなければバブルかい? 海外修学旅行とかものすごいなあ。で、京都。グループ行動ってのは、バス使ったりするの? 最近はタクシーを一日借りて、ガイドまでしてもらうとかいうのも多いらしいですね。時期になると、タクシーの運転手さんにつれられた学生を見たり、あとは市バスの停留所の多さに混乱している学生を見たり、ああシーズンだなって思ったものでした。いや、京都市内のバスは本当に魑魅魍魎なんですよ。同じ名前のバス停があちこちにあったりするんだわ。もう、大変。おおっと、漫画本編に戻ります。

この先生たちの修学旅行。なんか楽しそうで、でもそれはこの先生たちのキャラクターだな。美人ふたりがなんかとんでもない。ひとり真面目かと思ったらたよりない。でも、仲良さそうで、楽しそう。保取先生のセミロング? チェックのタイトスカート、すごくフェミニンで可愛くて、ああいうスタイルいいですね。化野先生のすっきりとしたパンツスーツも、仕事着としての機能性を持って、そこにワンポイントのネックレスが光って、こういうのもいいですね。てな具合に、見て楽しいというのもとてもいいと思います。

以上。今月はえらいゲストが多くって、ゲストにはできればコメントしたいから、ちょっと大変でした。いや義務感ではやってない。ゲストは好きになれる明日の誌面を作る漫画であるのだから、わくわくさせるものがありますし、それに私の漫画を受容する幅を広げてくれるものであるとも思っています。そう考えると、結構理想的な状況なのかもなって思ったりします。ええ、今のゲスト陣。好きになれそうなもの、好きなもの、多いと思っています。

  • 『まんがタイムオリジナル』第28巻第11号(2009年11月号)

引用

  • ひらのあゆ「ラディカル・ホスピタル」,『まんがタイムオリジナル』第28巻第11号(2009年11月号),8頁。
  • 王嶋環「時間がない!」,同前,44頁。
  • 安堂友子「開運貴婦人マダム・パープル」,同前,55頁。

2009年9月26日土曜日

Sweet Home

 数年前は妹が人気でありましたが、このところは姉にブームが移っているようでありますね。姉といってもいろいろあります。包容力にあふれた慈愛の姉があれば、強権発動する暴君のような姉もあって、そして弟ラブラブ甘々な姉があります。では、やまぶき綾のSweet Home。これはいったいどういう類の姉漫画であるのかといいますと、明らかに甘々な姉が出てくる、しかもふたりも出るという、実に大盤振る舞い、甘々に甘々の漫画であるのですね。しかし、この漫画のヒロインは姉ではありません。主人公伊織、彼のもとにやってきた許婚陽向、彼女がヒロイン。ひとつ屋根の下、許婚の女の子と、弟大好きの姉ふたり、四人で暮らす、そんな甘々な日常が描かれている漫画です。

Sweet Homeのいいところは、伊織をめぐる三人の女性、そのうちのふたりは姉であるわけですから、伊織にとっての恋愛の対象は陽向ひとりと決まっているようなものです。そのため、どれほどに彼が振り回されようと、陽向以外に傾く心配がない。それに、ふたりの姉に優しくしたとしても、だって仲のいい姉弟なんだもの。姉に弟が優しくしたってなんらおかしくないよね。そういった理屈でもって、すべて万事丸くおさまるのですね。主人公はもてもてで、けれどその好意に誠実に応えてしまうと優柔不断な男になってしまう。そういう心配がこの漫画にはないのです。誠実で、優しくて、けれど彼の心は定まっているといってよい。そのため、安心して伊織を見ることができるのかも知れません。

でも、三人いるヒロイン。メインヒロイン以外は姉だから、恋愛対象から除外。じゃあ、すぐさまにゴールイン? かといえばそうではないのです。陽向には問題がある。男の子に触れると、身につけた護身術が炸裂するのですね。そのため、伊織と接触することができない。その秘密を知るのは伊織と上の姉葉澄だけ。下の姉和奏は知らない。この、微妙に伏せられた秘密のために、絶妙なバランスができあがっていて、かくして少しでも自分と伊織の関係をよくするために、あるいは全体の幸福のために、個々の思惑が引き合い、そして時に結託する。基本的にみな嫌いあっているわけじゃないから、ひどい結末なんてのはありえないわけでして、おかげで読んでいてもいやな気分になるなんてことはない、むしろその逆、嬉しくあたたかな気持ちになれるのも嬉しいところです。

陽向は伊織が好き。けれど、その護身術が自分の思いを遂げさせない。思いと行動のギャップでありますが、こういうのはちゃんと姉たちにもありまして、下の姉和奏は奔放に、天真爛漫に伊織に甘えていく、一種妹っぽいキャラクターなんですけど、なぜか学校の友達の前ではつんと澄ましていたりして、それが可愛い。で、上の姉なんですが、この人は他の誰よりも大きなギャップを隠していて、弟大好き、可愛いもの大好き。けれど、それを普段は表に出さず、優等生の表情を崩さないんですね。さすが葉澄さんは落ち着いてるね、なんていわれてるけど、その内心はまったく違っているというのだから素敵。しかもこのギャップは、基本的に誰にも気付かれていない。葉澄さんと読者の秘密とでもいったようなものですからたまりません。ええ、葉澄に限らずこの漫画に出てくるヒロインは、誰もが思いと行動、そして人から見られたい自己像にギャップを抱えていて、そしてそこに温度差があるのですね。もっとも緩いのが陽向、もっともきついのが葉澄。けれど一概にこうといい切れないところもあるというのが、またよいところであると思います。

この漫画のよいところは、キャラクターがみなほんわかと暖かみをもってやわらかというのもありますが、それは絵においても同様で、読んで、眺めて、暖か、やわらか、とてもいい。表紙の、画用紙に水彩で仕上げたような質感のやわらかさ。この透明に広がる色合いのやさしさは、本編にもかわらずあって、触れれば気持ちもやさしくなれる。そんな風合い。気付けば、しっとりと心に沁みていた。そっと心地よさを残してくれる漫画です。

  • やまぶき綾『Sweet Home』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年9月25日金曜日

Face, taken with GR DIGITAL

A Cat月末恒例となりましたGR Blogトラックバック企画。今月のテーマは笑顔であります。ところがこのテーマを聞いて、はたと困ったわけです。笑顔なんて、そんなの撮ってたかなあ。過去に撮ったことのないものは、テーマが出てから頑張っても撮れないことが多い。なので、これはこれからどうにかできるものではないなと思って、撮れたらラッキー、無理なら過去の写真から探そうと、まさになりゆきまかせでいくことにしました。といったわけで、今月もトラックバック企画 笑顔 に参加します。

笑顔が苦手なテーマというのは、人の写真を撮らないということと、撮っても公開しないというためなんですけどね。非公開に設定されている写真を見れば、ああ、これは笑顔だと思えるものはいくつかあって、けれどそれは非公開であるわけだから、ここには出せない。そういえば、エレベータのボタンの配置が人の顔に見えるというのがあったはずだと思って探したのだけれど、どうも思っただけで写真に撮ってはいなかった模様。なんだかいろいろ残念。そんな中、見付けたのが以下の二枚でした。

Face

Statue

公園に置かれたオブジェ。由来などもろもろはわかりませんが、京都のイメージで和風の雰囲気なのだと思います。

2009年9月24日木曜日

『まんがタイムきららフォワード』2009年11月号

 『まんがタイムきららフォワード』11月号が発売です。表紙は『夢喰いメリー』。大人気との吹き出しがついて、けどこれは人気あるかもなあって思います。キャラクターはめりはりがあって、絵もすっきりとして見やすいし。さらに加えて、女の子は可愛いし、結構熱血主人公だし、勧善懲悪っぽく敵味方が区別されてるし。けど、よくよく考えたら、表紙に主人公が出てないことない? と思ったんだけど、そうか、主人公はメリーか。なら大丈夫だな。

S線上のテナ』、風雲急を告げる展開です。いやね、こうなるだろう動きは前回にもその前にもちゃんと触れられていたから、突然ってわけではないのですけど、その事件発覚の状況が状況で、おおう、このタイミングか!? 思わずページを一度に2枚めくったんじゃないかって、確認してしまったくらいに唐突で、いやあ、鮮やかでした。今回は、これからの騒動を前にして静かに進行した回で、そこでのテナの表情の揺れ、変化、そうした様がとてもよかったです。ちょっとしたことで曇る。胸の奥のつかえ。それが表情にあらわれて、よいですね、とてもよかった。なんと可愛いやつだろう。そう思うくらいによかったです。

恭介とテナの関係がこの後どうなるかは、もちろん今後に描かれるわけですけれど、それが幸いなものになったらいいなと思う。それくらいに、テナとその心情の描かれかたがよくて、すっかり魅了されてしまいました。

なきむしステップ』、再開です。お休みに入る前は、なんだか余裕を失ってしまった杉原くんが酷かった、そんな話だったように思うのだけど、再開してからのふたりは仲良さそうでよい感じです。そして、弱気なななちゃんが奮起する。なんか付き合いにくそうな親父さんを説き伏せ、説き伏せ? まあいいや、絵画教室に通うことになるという、けどその教室の雰囲気はどうなんだろう? あんまりにおかしな教室だったら、別のところに通うのがいいよ! 合わない場所で合わない人に習うって、人生における大きな無駄だと思うよ!

『となりの柏木さん』、新連載です。オタクの少年がイラスト系のSNSで出会った人に魅かれて、そしてそれが実は! っていう感じの展開みたい。むしろこれは、こうこない方がおかしいだろうというくらいに望まれる展開をなぞって、はたして次回以降の展開はどうなるんだろう。楽しみにしたいと思います。

『少女素数』は伯父さんのうち? 兄さん、富士夫とあんずは伯父の家に、お母さんとすみれは祖父の家に、それぞれ別れて帰省しているみたいです。描かれるのはお祭り、縁日。はしゃぐあんず。対してすみれはアンニュイな空気ただよわせて、変わりゆく年頃の、変化とそれに戸惑いとどまりたいと思う、そうした気持ちがまざりあいながら、それでもとめられないものがあるのだとしたら、それこそがこの漫画に描かれようとしているものなのだろうなと思ったりしました。

『途思春』、ゲストです。念願の東京ひとり暮らし。まさにこれから青春を謳歌するぞと意気込むヒロイン、霞のもとに仙人(見習い)がやってきた。猫から仙人になって、人を知っていこうとする娘娘とともに、青春ってなんだろう、手探りで探していこうというような話は、なんだか読むうちに心のやわらぐような感触があって、これはいいな、好きだなと思ったのでした。これは読み切りみたいですが、続けられる要素は残してあると思う。だから、人気が出て、続いたりしたら嬉しいななどと思っています。

純真ミラクル100%』は、なんだかやっぱり不穏な空気たちこめて、あの本社から送り込まれたエージェント、じゃないか、けど彼女の感情や感傷を嫉妬が上書きしてしまうようなところ、怖いな、いやな感じだなって思わせて、とてもいいと思います。とりあえずの感想は、こういう友達は極力持たないに限るなと。もしこの人の恋が成就することがあったとしても、きっと蜜月は短いぜ? 恋してるうちはいいけれど、それが付き合う、ましてや結婚などとなったら、不和、不信、猜疑心もろもろ次第に膨らんで、会うことさえ苦痛と感じさせるようになる。そんな女性だと思います。

『空色スクエア。』、深雪が追い込まれたかのようなラスト。うわあ、ちょっといやだ。と思うのは、私が深雪好きだからなんだろうなと思います。とりあえずこれまで読んできて、深雪と文香だったら深雪だろうと。なのにふたりの間であいまいな振舞い続ける主人公に、よし、ゆりあ、よくいった! お前全面的に支持する。といった展開でありました。けど、ちょっとしゃべりすぎな感じがしないでもありません。

『暴君!日下部ゆう』、ええと、ゲストなのかな? 読み切り? 唐突なジャンケン。負けたら下僕にされてしまいました。って、最近のジャンケンは負けたらご褒美もらえるの? 冗談はさておき、可愛い女の子になぜか下僕として使われるようになってしまって、なんとかこの状況を打破したい。しかしその条件、一発入れたら開放というのが難しい。と思っていたら、第三者の介入で状況は変わって、しかしそれで新たな局面に! ベタといえばベタと思う、そんな漫画だけど、私は結構好きかも知れません。ツンデレってのがはやってましたが、その亜種みたいにとらえてもいいのでしょうかね。この、意識しちゃってる状態の日下部さんは可愛いな、素直にそう思います。

2009年9月23日水曜日

『まんがタイムスペシャル』2009年11月号

秋の連休が終わってしまいますね。そういう今日は、秋分の日です。一年で二度ある、昼と夜が同じ長さになる日ですね。こういう休日には、うちの外に出たくない。とはいうけれど、まったく出ないのも問題だから、『まんがタイムスペシャル』を買いに駅前に出向きました。でも、ちょっと疑問もありまして、今日は休日。ということは流通が休んでるんじゃなかったか? 雑誌の発売日は流通の休み、つまり日曜祭日を避けて、前倒しになったり、後回しになったりしますよね。だから今日は出てないんじゃないのかなあ。そう思ったのだけど、カレンダーを見ると今日発売となってます。いぶかしがりながらコンビニに向かったところ、ちゃんとありました、『まんがタイムスペシャル』11月号。しかし、これはどういったことなんでしょう。ちょっとルールがわからなくなってきました。

『スーパーメイドちるみさん』、今回は佐々木先生がどんと前面に出てきまして、いやしかしなんだこの人すごいなあいかわらず。ろくでもない小学校教員。あまりのろくでなしっぷりに登場人物からしてちょっと距離を置こうとしているくらいで、しかし今回はいつにも増して傍若無人。いきいきと輝いているその様子、最高でした。いや、実は結構好きなんです、佐々木先生。だから、今回はとてもよかったです。

『あつむトイタウン』が移籍してきて、その第1回です。新しい場所でのお披露目、あつむのおもちゃ屋で働き始めるエピソードが回想されて、最初はまたはじめからなのかと思ったのですが、なるほどそういうことなのか。うまいです。もう一年が経ったっていう、その節目での回想は、ちょっと懐かしいなどと思わせてくれて、なんだか新鮮でした。

たまのこしかけ』はたまこさんが十条さんになりゆきで押し倒されて、びっくりした… 十条さんて意外に大きい… って、えーっなぬーなんかえらいことになってる!? と思ったら、ああ、ああ、そういうことか、無駄にはらはらしてしまった。というか、焦るたまこさん、可愛いな。でも、あの恋愛相談の回答、ああいう発想があるのはわかるんだけど、そういう発想についてかれない人間も間違いなくいるんであって、それが草食系といわれるのなら、私はそちらの側の人間だなと思いました。

『21時のシンデレラガール』。朝からカツは確かに無理です……。さて、今回から理解者が増えて、少しやりやすくなるのかな? 牛乳屋の息子? 幼馴染み。彼もまた親父さんに振り回されて、ほんと、困ったおっさんだなあ。でも、娘のことに必死な父親ってのは、こっけいで、みっともなくて、けれど可愛いものでもあるように思います。まあ、身内にあったらかなわんとは思いますが。

恋愛ラボ』。今回はナギとマキが出会ってふたりきりで話すことになったのですが、マキが変な子とばれてしまった! って、まあそれはしかたがない。いずればれる。でも、そんなマキが強烈に可愛くて、そして結果的にリコ師匠の株があがったみたいです。しかし、ナギは今回もなんだか大変です。ヤンが酷い目にあうのは、むしろもっとやれってな感じなんですが、ナギはなんだか可愛い、じゃなくて、かわいそうに思ってしまったりして、でももっとやれって気持ちもやはりある。しかし、なんか困ったことになるたびに、ナギの素直で真面目なところが見えて、ほんと、いい奴だなって思います。ヤンはまったくといっていいほど逆なんですけど。

夏乃ごーいんぐ!』、涙で目つぶしをかける夏乃。どう考えてもありえない、あほな強引展開、こういうのが実は好きだったりします。こういう単純な勢いで見せるようなのに、意外と弱いんですね。面白さは理屈じゃないなあって、思う瞬間であります。

花の湯へようこそ』の園生君。職場でよっちゃんの読んでいる新聞を覗き込んで怒られて、なんかふたりの雰囲気がいい感じと思って、なんだか新説を受信してしまいました。園生君が女湯覗こうとするのはふりだけで、本当はよっちゃんに相手してもらいたがってたんだよ! って、まあこう思わせて実はやっぱり女湯覗こうとしてました、っていうのが園生君らしいとも思えてくるから、ちょっと不憫な彼ですね。

おフロは狭い…。これ、最高でした。やっぱりシンプル最高です。

ふたご最前線』、わあ、茜ちゃんだ。茜ちゃん大好き。眼鏡美人。しっかりもの。服装とか雰囲気もね、最高だと思う。で、のっけから南帆ちゃんの今日茜んちお泊りしていいですか? って、なんで丁寧語なんだ。可愛くてしかたがない。で、茜の母が南帆北斗の父の姉であることが判明しました。とりあえず弟に対してうぜー呼ばわり。もう最高。他にも、叫ぶ茜ちゃん。倦怠期の夫婦の夜の過ごし方。なんというか、今回、いつにも増して素晴しかったです。で、この後に夏の大後悔スペシャルと銘打ったコーナーがあって、そこで作者に姉があったことが判明。えーっ、妹なの!? 意外! と思ったら、やっぱり弟がいた! だろうなって思ってたんですよ。これまでの漫画に描かれた弟あしらいの様子、あのリアルさ。これは、実際に弟さんいらっしゃるんだろうなと思ってたら、まさにそのとおりであった模様です。そうか、弟はうぜーのか……。

『ポンチョ。』。なんとカレシの先輩は、カレシをナチュラルにフレンチに誘って、しかもおごりだなんていって、これは、もしかして、お姉ちゃんの恋敵!? ごめん、なんか受信しちゃったんです。しかし、この先輩も子供たち前にして、大人気ないというか、でもそうしたところがなんだかいいっていうか。男ふたりと子供ふたりで縁日を楽しむ。その様子はわいわいとして、とてもよかったです。で、カレシとななみさんはちょこっとすれ違ってたっていうのもいつものふたりで、面白かったです。

あいどく!』、やっぱり! なんかかずやとよしのの間に不穏な風が吹くのかと思った前回ラスト。確かに吹いた。って、サーキュレーターじゃなくってさ、なんと女の都がかずやを狙ってる!? って、いいのん? そんなネタ。って思ったけど、さっきの『ポンチョ。』での受信があったせいで、通常の三倍くらい面白くって、なんかやられちゃったよのさ。さて、よしのとの間にどうも愛のなさそうなかずやですが、産業スパイ? と思ったら、どうもそうではなかったようで、この顛末はまた次号。なんか一波乱ありそうですね。

『総てんねん工房』、連載になったみたいです。なので、登場人物や舞台について、あらためて紹介といった雰囲気なのですが、あれ? たまきさんは? まあいいや。ところで、この漫画ってケン坊、いやさ鈴木君が主役だったのか。ずっと宮本さんが主役なんだと思っていました。内気な新人、鈴木君。なんだか妙に可愛いなあ、なんて思うのですが、純情で素直そうな彼に、ちょっと厳しい先輩宮本さん、そしてなんだか変わりものの部長。おかしな会社なんだけど、そのおかしさの中に面白さがあるっていうところ、結構気にいっていて好きなのですね。だから、連載になったというのは嬉しいです。

『きなことあんこ』、『おいしいふたり』の番外編とのことです。仔猫のキナコの暮らしぶり? その愛らしさを楽しむという漫画であるようですが、そのキナコという猫、確かに可愛い。多分、猫好きは猫を見てはこんな風に愛でているのだろうなと、そうした気持ちが伝わるような漫画でありました。

『ミニパトっ!』。覚えのある絵。結構好きな感じの絵。誰だろう、なんだっけかな。って思ったら、ああ、ああ、『あるころじっく』の人! あと、『まんがタイム』に『おやコミュ』っての描いてた。記録を見て思い出した。ああ、結構好きだったよ、あの漫画。だから、きっと『ミニパトっ!』も好きになるんだろうなって思う。酒好きの婦警さんが、元酒屋のコンビニの息子と出会った。で、かわいかったかななんて、なんだか悪くない雰囲気ですよ。

『ハニーtheバンドガール』、最終回! ああー! メジャーデビューした龍樹の面々。このところの動きは、このラストに向けてのものだったのですね。でもって、ソガさん。この人、いいなあ。シャイな人。とことんシャイな人。なんか、こうして綺麗にまとまって、いい漫画だったなってあらためて思って、だから終わるのはちょっと寂しいですね。

そして、ないすぼでえ、『なでしこ3on3』も終わりました。鞠子が成長して、そして時間いっぱいでの逆転を狙ったロングシュート。どうなる? 入っても定番、外しても定番。こうして読み終えて、面白かったと思います。ヒロイン三人娘、その誰もが魅力的であった。そんな風に思われて、そして3on3、バスケットボールに打ち込むその様子もよかったのですね。これも楽しく読んでいたものですから、ちょっと次号から誌面の雰囲気が変わってしまいそうに思います。

『レイさんのお局日和』最終回。早い、早いよ! 連載になったのついこないだだったような気がするんですが、って、確認してみれば、2009年6月号ですね。半年続かなかったのか。なんてあわただしいんだろうって思います。いやに真面目なレイさん。そのレイさんの存在意義がばっちりと描かれた回でした。レイさんのお気に入り、三宅くんにやさしくされる回でした。そして、眼鏡を外せば美人(そんな馬鹿な!)というレイさんの真実が、はっきりと描かれた回でした。結構好きだったから、いきなりの終わりはショックでした。でも、次号から新作があるらしい。それがまた好きになれるものだったらよいなと思いながら、このラストを受け入れたいと思います。

  • 『まんがタイムスペシャル』第18巻第11号(2009年11月号)

引用

  • 荻野眞弓「たまのこしかけ」,『まんがタイムスペシャル』第18巻第11号(2009年11月号),19頁。
  • 渡辺志保梨「花の湯へようこそ」,同前,44頁。
  • 辻灯子「ふたご最前線」,同前,48頁。お

2009年9月22日火曜日

「けいおん!」第3巻

 アニメ『けいおん!』のBlu-ray Disc第3巻、受け取っています。第3巻はアニメ第5話「顧問!」と第6話「学園祭!」が収録されて、ある意味ここからが「けいおん!」の本領発揮なのではないかという、重要な巻であります。それまでの、ゆるやか部活ものといった雰囲気は、さわ子先生の化けの皮がはがれるとともに一変し、いや、そんなにものすごく変わったわけじゃないけどさ、コスプレのような飛び道具はさわ子先生の持ち込んだ文化っていうのは間違いなさそうで、だからもし顧問がさわ子先生でなかったら、澪のパンツのトラウマも梓の猫耳もきっとなかったことでしょう。いや、制服はスカートだから、澪は回避不可か。そして、「学園祭!」は『けいおん!』前半の最大の山場であります。

「学園祭!」は『けいおん!』前半の最大の山場。アバンタイトル、緞帳があがり、さあ演奏するぞ、っていうその演出は、のっけからテンションを高めてくれて、さあいよいよだ、もう本当にわくわくさせるものがあります。しかし本編前半では主に文化祭の風景描いて、それは部活とは関係のないクラスでの出展であったりして、じらしてじらして、ただでさえ期待度が高いところに、じりじりと気持ちを高めてくれるといったところは憎くて、それでやっとこさ演奏だって思ったらPVになっちゃって、あそこでずっこけた人は多かったんじゃないでしょうか。実は私もそうでした。この演出意図、いったいどうしたものだろうって疑問に思ったりしたこともありましたが、全編見れば、あそこではあれでよかったのかも知れないって思うようになって、だからBlu-ray Discでの再視聴、心安らかに見ることができました。

さて、キャストコメンタリーとスタッフコメンタリー、今回も楽しかったです。キャストコメンタリー、「顧問!」ではさわ子先生に関するコメントが、「学園祭!」では自分の経験した学園祭語りが印象的で、しかしあの中高一貫校だったので学園祭は五年に一度だったというような話はまさしく衝撃的。そんなことってあるんだって、びっくりしました。こういった、学校ごとに違っていること。反対に学校が違っても通じるようなこと。パンの話とかね。どちらも聞いていて楽しいものがあって、特殊な事例と共感性の高い事例というのは、話を面白くするものなんだなということを再認識させられたようでした。でさ、皆から同意を得られるかと思って発言したポエムが、実はそうじゃなかったというの、あのくだりはおかしかったです。共感が得られると思ったのに、特殊事例だったっていうの。でも、ポエムとくくれなくとも、似たようなことはたいていの人はやってそうに思うのだけどな。どうなんでしょう。あ、私は短歌は詠んでたけど、ポエムは、ああ語学の課題で書いたや……。誰でも通過してきたものじゃないのですか。

スタッフコメンタリーは、第5話作画監督の植野千世子さん。第6話作画監督の池田和美さん、そして背景担当の田峰育子さん。普段しゃべることを仕事にしている人たちじゃないから、第5話の最初の方など、ちょっと遠慮がちだったりするのはしかたがない。けれど、だんだんにこなれてくる。第6話にはいるころには、もう気にならないくらいに自然になっていて、そして語られたことは、背景についての話題。このアニメの背景の、基本的な色調というかトーンというか、そういう話から始まって、夏だから窓が開いてるとか、最初の部員が入る前と、劇中で数ヶ月経過した今ではちょっと明るさが違うとか、そういった細かいところが語られるのは面白かったです。そして、学園祭の校内風景について。壁の張り紙や、天井にまで及ぶ飾りつけについて、そして土足可能とするためのシートなど、ただ見てるだけなら見落としそうなことにまで言及されて、そして作画の話なども同様に興味深かった。さわ子先生が音楽室に向けて駆けていく緊迫のシーン、眼鏡が透過光処理されてるとか、あとさわ子先生は基本的にストッキングはいてるとか、透過光処理は確かに光ってたけど意識してませんでした。ストッキングには気付いてたんだけどなあ。

衣装に関するコメントが多かったのはやっぱり女性スタッフだからでしょうか。スタッフ、キャストともに、コスプレについてのコメント、スクール水着が妙に人気だったり、それから舞台衣装の色合いとか。みなさん細かいところ見ていらっしゃるんですね。それから、さわ子先生の服がいつも似合っていていいとおっしゃってたのはどなたでしたっけ。人それぞれに気になるところがある。キャストにはキャストの視点があって、スタッフにはスタッフの視点があって、そうしたところがわかると、そうか、こういうところも意識したら面白いんだってわかる。あの、流背でしたっけ? 背景が流れる処理とか。その色にも気を配っていますというの。意識せずに見ているものがこんなにもあるのかって思う。けれど、おそらくそうした全部が雰囲気として静かに語りかけているのだと思う。それら、知らず感じていることが可視化される。そういう効果がコメンタリーにはあって、だから面白いのだと思うのですね。本当、最高でした。

コメンタリーで印象的だったのは、さわ子先生第三形態のですけど、あれ、ロックだったんですね。わかんないよ! そして、舞台で澪がこけるシーンの直前、あまりかわいそうなことにならないようにと考えて、描かれた観客が女性ばっかりだったりしますとか、こういうのいいですね。あと、ブレーカー落ちるところで語られたこととかも。いろいろ書きたいものはあるんだけど、全部書いたらきりがないから、コメンタリーについてのコメントはここらへんで切り上げます。

最後に、Blu-ray Discの画質について。学園祭の廊下、赤色で書かれた看板の文字が、テレビではちらちらして気になってたんだけど、やっぱりペタっときれいに表現されてますね。いい感じ。個々の映像が綺麗で素敵というのはいうまでもないことだけれども、中でもよかったのは律がMCについて実演してみせるところ。あの、制服がふわりふわりと膨らんで動くところ、めちゃくちゃ可愛いですね。って、これは画質関係ないか。あ、そうだ、「うらおん!」。澪のパンツづくしでした。あの、お絵描きは面白かった。憂とか、微妙にひどい。それと、プレゼントの話の短かさ、単純さ。あれもよかった。などなど。放送が終わって、さすがに以前のようなわくわく感はなくなっているのだけれど、それでもまだ楽しめる余地はいくらでもあるって感じです。そう、次巻には「クリスマス!」が! 来月が本当に楽しみですよ。

Blu-ray Disc

DVD

CD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年9月21日月曜日

機動戦士ガンダム戦記

 PlayStation 3の『機動戦士ガンダム戦記』、とりあえずシナリオモード、両軍でクリアいたしました。折角の休みをゲームで過ごしてしまうのもどうかとは思ったのですが、けれどこういった機会でもなければ進められないだろうと思い、ちょっと根を詰めました。おかげで、目を閉じると、モビルスーツが走ってくる姿が浮かぶまでになってしまって、これはちょっと健康を害しちゃってるんじゃないのか? だから、集中的に遊ぶのはこれで終わりにしよう。そう思っているところです。

さて、クリアしてみての感想。難易度は高めといっていたけれど、さすがにジオン編をクリアした後の連邦編は楽に進めることができました。これは別に連邦編がジオン編に比べ簡単ってことではなくて、単純に習熟度の差といっていいのだと思う。あとは、ビーム兵器の入手が簡単なのもあったかなあ。このゲームはビーム系兵器が手に入るととたんに楽になるんです。一定時間チャージしてから撃つことで、高威力を叩き出すことができる。敵の小隊に向かっていく途中でチャージしておいて、ロックオンかかったら狙撃。またチャージして狙撃の繰り返しで、かなり楽に勝てるようになるんですね。いや、ジオンではビーム兵器が手に入りにくいってのは嘘かも。私が、ドムにはビームが似合わないといって、バズーカをずっと使い続けていた。連邦に比べると、ちょっと入手が遅れるのは確かだけど、その気になれば中盤に入ろうというあたりでも入手できるんじゃないかな。それに、狙撃用ビームライフル持ったザクも貰えるものな。連邦だと、スナイパーカスタムは貰えるけど、武器ついてこないものな。

このゲームは、僚機に乗せる部下を育成する要素もあるんですが、複数いる部下からふたり選んで出撃する。けれどキャラクターによる違いってあるのかな。どのパラメータをあげるかは隊長である自分が決めるのだけど、だから狙撃手を育成したり、格闘に強いのを作ったり、手持ちのモビルスーツと小隊のバランス考えて調整するんだけど、これでキャラクターごとの差があったりしたら面白いかも。ゲームとしての質は違うんだけど、『ジオニックフロント』がそんな感じになっていて、キャラクターごとに結構な差があるものだから、パラメータ見てるだけじゃ使いこなせなかったんですね。このゲームにも、数値だけではわからないキャラ差みたいのがあったら面白いなと思ったのですが、残念ながら私にはわかりませんでした。だから、単純に好みで選んで、いや、あんまりそういうのも意識してなかったような気もします。

で、そのキャラクターなんだけど、イベント死があるのにはまいりました。ジオン編ではひとりだっけ? ええっ? あれーっ? って感じで人死にが出て、連邦編でも覚悟してたんですけど、ちょっとネタばれね、あの、ここは俺の故郷だから絶対出撃させてくれよなというの、それで出撃のオーダーが固定されるのね、しかもモビルスーツはジム・コマンドって、あんた死ぬ気まんまんやな。覚悟して出て、結構楽勝でミッション終えたのだけど、あれ? そういえば死ななかったなと思ったら、なんか殊勝なこといいだしやがって、これはいかん、これはやばい、そう思ったら案の定死んだ。おーい、いや、いいんだけどさ、でも途中リタイア者が出るのは覚悟してるから、まんべんなく育成するようにしていて、それでジオン編での展開みたら誰が抜けるとか予測がつくから、その人は積極的に使わないとかね。けど、本当はそういうのわからないでやるのが面白いんだろうなあ。などと、いろいろ思います。

とりあえずシナリオを終了して、PS2の『戦記』ではシナリオを進めることで使用可になった機体をフリーミッションでも使えたりしたのだけど、今回のは違うんですね。フリーミッションはフリーミッションで、モビルスーツを購入しないといけなくて、結構大変な感じです。そうそう、PS2『戦記』との違いといえば、味方の攻撃は自分にはダメージを加えないってところ、それから爆発に巻き込まれないっていうのは大きいです。味方の弾を気にせず前に出られるし、前に出した味方を気にせずに撃ちまくれる。それと、僚機が不死身なのも大きい。以前はちゃんとダメージ食らったら散ったんだよ。でも、今回のは何度でも回復して復帰してくれる。すごく楽。気にせず盾にできる。以前は僚機を失うとスコアが下がったんでしたっけか。だから、ダメージは受けないように、僚機を失わないように、それでいて速く、多く倒すように頑張って、それでSなんて出たら、やったー、なんてものでしたが、今回のはランクという概念がないから、ちょっと残念。でも、全Sの苦労を思うとなくってもいいかなって思ったりもしました。

味方の攻撃は味方には効かない。それは敵も同じ。というわけで、シナリオのラストミッション。連邦編が無闇に難しくなってませんか? ジオンでプレイしていると、味方の砲台に撃たれてもこけるだけだけれど、連邦となると立場が逆になって、撃たれるとダメージが入る。しかも結構な量が入る。なのに、敵はこけるだけって、えーっ、なんだよその理不尽。だいたい、ミッション前半で弾撃ち尽くしてサーベル戦ですよ。相手はビーム撃ってくる。そこに固定砲台のハンデがついて、きつい。まあ、機体としてはこちらの方が有利かも知れないから、これでいいのかも、とも思うのだけど、ちょっと納得いかない。でも、なんとか勝てて、でも残り2とか3とかじゃなかったか? あれは危なかった。あそこで負けたら、また最初からなのかな。だとしたら辛すぎます。

といった具合に、とりとめなく感想を書いて、これからはちょっとずつフリーミッションを進めていこうと思います。焦ることない。ゆっくり、ゆっくり。オンラインは、まだひとりでしかプレイしたことない。このへんも、ゆっくりゆっくり。少しずつやっていこうと思います。なんせ、主力がビームガン持ちのジム砂漠仕様だもんな。なにをやるにも、大変ですよ。

2009年9月20日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2009年11月号

昨日に引き続き、『まんがタイムきららMAX』11月号について書こうと思います。というか、二日にわけるんだったら、最初の方のとばさずに、ちゃんと書けばよかったなんて思ったりする次第。でも、そうしたら二日どころか三日にかけて書くことになったかも……。まあ、なんでもほどほどがいいんだと思います。私が一番苦手なのが、そのほどほどだったりするんですけどね。

そして僕らは家族になる』、最終回です。好きだった漫画。ちょっとしんきくさかったりする感触が、とてもよかった。人と向き合うという際に、知らず知らず距離を置いてしまっていた。そうした幸助のスタンスは、なんだかすごくよくわかるんです。昔、人から、あんたは壁を作ってるって怒られたことがあって、そうなのかなって悩んだ。この漫画は、そうした人と人との間にある距離、それをどのように埋めて近付いていくかということを描いていたと思うから、なんだか気になってしかたがなかったのですね。しんきくさいというのは、人と人との間のことを描こうと思えば、どうしても出てきてしまう感情だと思う。私は普段、そのしんきくささを嫌って、人に対して距離を置いてしまってるのかもなと思って、ええ、こうしたしんきくささをどうやって自分のうちに引き入れるかっていうのが、人と付き合う、向き合っていくってことだと思うんです。この漫画は、そうした機微に対してとても真面目であったと思います。だからこそだと思う、私は好きでした。

こうして終わりを迎えて、その後を多少感じさせながらの変化。生活に変化は訪れたけれど、それでも残ったものがあって、それは昔に戻るってことじゃないんだ。出会って、向き合って、そこには確かさをもって感じられるものが生み出されていたってことなのでしょう。その感触はよかった、そう思います。お疲れさまでした。終わるのはやっぱりちょっと寂しいです。

『つかえて!コハル』、不景気は悲しい。私の学生時分に行き着けた書店は廃業しちゃったなあ、なんて思って、まあある程度生きてると、そうしたわびしさ感じることはあるわけですけど、この子らはこの若いみそらでその侘しさを感じてるわけか。なんか、切ないですね。しかし、そうした前提を語って、本屋さんまで潰れなきゃねという台詞、それを受けての月に5冊で足りるかな? なつきはそんなつもりでいったわけじゃないけど、それに応えようとするコハルの健気さがなんだかすごくよかった。こうした心の動きが感じられるようなところがあると、いいなと思ってしまうものだと思います。

表色89X系』、目玉焼きをどう食べるかでもめた話。って、これって揉める話なのか。あるいは『美味しんぼ』以来のことなのか、って、『美味しんぼ』の時点であれは揉める話題だったのか。というか、『美味しんぼ』って20年以上前の漫画なんだ! ともあれ、目玉焼きで揉めた話。というよりも、目玉焼きとかどうとか関係なしに、日常におこりうるちょっとしたすれ違いを描いて、感覚、好みの違いを擦り合わせることができなかった。けど仲違いしたことを反省して、溝を埋めようとする、そのプロセスがよかったのだと思います。しかし、その途中に明らかになった、つつじと雨音のけんかしない理由。なんだか一方的に酷い状況っぽい、けどなんだかそんな関係もよくない? なんて思えてきて、このふたりの関係、結構気にいってるみたいです。しかし今回は、雨音が可愛い回だったと思います。というか、この人は食べものがあると御機嫌な人なんですね。屈託のない笑顔、魅力的でありました。

ぼくの生徒はヴァンパイア』がなんだかえらく大変なことになって、意識しすぎて言動がおかしくなってしまうカミラが可愛いのはいつものことなので特記することもないのですが、そのカミラが先生にあんなことやこんなことを! なんというドキドキ展開だろう。というか、ヴァンパイアも汗かくんだ。で、それを気にしてしまったりって、なんという可愛さだろう。で、先生はこれでも気付かないってことはないだろう。すっかりその展開に驚いて、それで次号はどうなるのだろう。どうにかなったら、メイベルさんに酷い目にあわされそうだけど、それはお仕置きなのか嫉妬によるものなのか。いずれにしてもありかもなって感じ。続きがすごく期待されます。

超級龍虎娘』、相変らず面白いなあ。必殺技とか、わかるわかる。思い出すと悶え死にしそうになるよね。で、それを成人した今になってまたやっちゃうんだ。いかす。龍楼にはショックみたいだけど、まあ普通ショックだろうけどさ、大人になってもなおそれをやらかしてしまうほどの楽しい状況を生み出してしまう毬虎がすごいんでしょうか。あとで振り返って、ショックを受けたりするのかも知れない。けれど、こうしたできごとで、昔の感覚を思い出すことができたっていうのは、なんかやっぱりいいよねって思って、暮らしのうちにまぎれてわからなくなってしまう、昔の思い。それを取り戻すっていう。こういう体験は、大人になるほどに、年を重ねるほどに大切と感じられるようになるのだと思います。

『クラブサンド』、ゲストです。太めの線で描かれた可愛い絵柄なのだけれど、ちょっと見づらくも感じられて、これは雰囲気と見やすさがトレードオフの関係になってるのだと思う。見やすく整理したらこの雰囲気はなくなってしまうんだろうって思うと、いろいろ難しいなって思います。料理部に所属する女の子たちがわいわいとやっている漫画です。今回の料理部としての活動はケーキバイキングにいくというもので、そのちょっと裏技、というか微妙に問題があるっぽい活動を通してわかる彼女らの人となり。世間知らずだったり、真面目なわりにロマンチストだったり、そして可愛いもの、楽しいことには貪欲だったりするヒロインたち。その、個性にひかれるものがあれば、きっと面白いと思える漫画だと思います。

『魔法少女☆皇れおん(仮)』は次号最終回! おおう、なんだって!? なんだか深刻そうな雰囲気。でも、なんかひっくり返されそうな気もするんだけど、深刻でいくならいくで、ひっくり返してしまうならそれで、どちらでもきっと私は楽しめると思う。けれど、あんまり深刻すぎたりしないといいなと思ってます。この漫画の、男女逆転的なところ。ササの雰囲気とか好きだったんですよね。だから、よい最終回となればよいなと思っています。

まん研』、最終回です。で、話題は定番の最終回について。ようやく二人きりになれたな! につけられたコメント、誤解を生む会話とか、なんだか笑ってしまいましたよ。それに、女のヒロインなんて飾りよとか、一瞬、? って感じになって、ああ、ああ、そうか、そういうことか!

この漫画の最終回は、誰も死んだり、大変なことになったりしてないけれど、いつもどおりに、みんなで楽しそうにわいわいとやって、顧問も含めて第一第2総出でカラオケとか、そのいつもどおりがとてもよかったように思います。いつもどおりに馬鹿な話して、そしていつもどおりをちょっと特別な感じに描いて終わる。あたしは最終回って気楽なカンジでさり気なく終わる方が好きですねってことなのかな? さり気ない、そうしたなんでもないところに、好きだった、そしてこれからも続いていくだろう日常が描かれる。確かに悪くはないかも知れませんね。だから『まん研』の彼女らの日常も、この後も変わらず楽しく続いていくのでしょう。ただひとつだけ変わっているのは……。

描き文字に凝ってたしいなが、最終回にてもザシャッと描き文字使っているのは、サービスなのかな。ああいう、なんでもないことを盛り上げて騒ぐ、そのテンションが好きでした。でも最後はあんまりテンション高くなく、ちょっとしめやかで、それは終わりということをちょっと意識させて、でもいい終わり方だったと思います。

ワンダフルデイズ』は、たきびさんにスポットライトが当たって、この人、ただ見た目が子供ってだけなのか。中身はどう考えても子供じゃない。食の好み、そして結構くたびれてるところなんかも。こうした、夢を見せてくれないところ、しぶいところ、それが荒井チェリーの味だと思います。そして、たきびさんのファンが増えた。それも微妙に特殊な増え方して、なんだか私もドキドキしてきましたよ!

そして『かなめも』アンソロジー小冊子。載ってるの、どれもうまいこと雰囲気を作っていて、『かなめも』らしく、それでいて作家それぞれのらしさも出ていて、面白かったです。未影のちゅッ ちゅーはしませんからね!!? とか、ねことうふの一緒に入るのじゃ! かな!! とか、本当にそれっぽい。榛名まおのニヨニヨなんてのは、この作者の味が出ていてとてもいい。こういう、対象のらしさがあって、そして作者のらしさがあるっていうところが、アンソロジーのよさだなって思うものですから、『かなめも』アンソロジーはすごく楽しく読めました。でもって、鈴城芹は「ひなめも」、ひなたをメインにあつかって、そういえばこの人、『けいおん!』アンソロの時は和ちゃんとさわ子先生でした。好みが似てるのかな? あるいは描きやすかった? なんか妙に嬉しく思ったりしたのでした。

ところで、白雪しおん、面白かった。「成し遂げた顔」とか、え? と思って、ああー、ああ、ああ。面白かった。シンプルなだけに、はまると威力あります。ええ、なかなかのインパクトでした。一瞬遅れて着弾したから、余計に面白かったのでした。

  • 『まんがタイムきららMAX』第6巻第11号(2009年11月号)

引用

  • ねことうふ「つかえて!コハル」,『まんがタイムきららMAX』第6巻第11号(2009年11月号),156頁。
  • うおなてれぴん「まん研」,同前,201頁。
  • 同前,204頁。
  • 未影「レモンの味といちご味」,『かなめもアンソロジー』(『まんがタイムきららMAX』第6巻第11号付録),7頁。
  • ねことうふ「あなたとコンビニ」,同前,19頁。

2009年9月19日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2009年11月号

『まんがタイムきららMAX』11月号が発売です。今月は、創刊5周年だということで、ちょっと表紙がゴージャスです。なんと背景が金色。これって、ゴージャスなのはいいけれど、指紋がつくと変色したりして、保管しにくかったりするんですよね。そして、特別なのは表紙だけでなく、ふろくも付いてます。アニメになった『かなめも』、そのアンソロジー小冊子がついてきて、ともない価格も特別に。450円。いつもよりちょっと高い。けど、冊子は面白かったから、まあ問題ないかなって感じであります。

『ラッキーストライク!』第2回です。これからいよいよ本気のボウリングを見せますよ、というその前段が描かれて、前回負けてみせたリンのユニフォーム、リスタイといった気合の入った格好も素晴しければ、ボールの穴の調整なの? それに取り組む表情も凛々しくて、あ、なんか面白そう。のんびりボウリングやって、というような漫画でなく、なんだかしっかりした部活もの、スポーツものになりそうな予感がして、これはちょっと期待がすごいことになりそうです。前回、傍若無人なプレイをしたレンはといえば、先輩たちからばっさばっさとマナー違反指摘されて、ええ、これは面白いです。あ、それと、レーンって油ひいてあるんですね。知りませんでした。ほら、こういう、知らなかったことを知ることができると、評価が上がりやすい、私の場合。これは本当になんだかよさそう。これからが楽しみです。とりあえず、来月はリンがレンを軽くいなしちゃうっていう展開が予想されて、楽しみです。

『コドモの領分!』、ドビュッシー思わせるタイトル、ゲストです。なんだか口の悪いちびっこが、高校生のお姉さんたちに可愛がられる話? いや、そうじゃないな。絵柄は、ちょっとKashmir思わせて、また『おまもりんごさん』思わせる雰囲気もあって、けどそのどちらとも違うという感じです。ちょっと気になる感じ。面白さも感じられる。結構悪くない感じです。

『フィギュ☆モ』は、フィギュア部設立のためのもろもろが描かれて、しかし部員が足りない。さりなの弟引き込むか? どうする? といったような話だったのですが、いや、ああいうのはですね、おい、弟、ちょっとこい、そしてこの紙に名前を書け。現実なら、それで決着したに違いないところです。ところで、姉の、弟がちょっと面倒くさい感じは実にらしいかも知れません。それから黒沢さん、鳴り物入りで登場したやばそうな人が、結構まともっぽい振る舞いで、ちょっと驚いてしまいました。そして、落ち。こういうの、いいですね。こういう展開、好きなんです。

ひろなex.』、これ、ちょっと驚いた。広告かと思って、気付かず読み飛ばすところでした。また、ページを勘定したのもいうまでもないことで、なんかすごいです。で、本編、1400mmですが、ああ、つまりそれが身長なのか。広菜の身長は、140cmなんですね。

『ふわっちょこ』、ゲストです。かわいい女の子たちの、ちょっと不思議なトークを見て楽しむといった感じ。とりあえず、のんが天然だということがわかりました。あの点目がいいなあ。ちょっと気に入りました。絵柄も好きだし、キャラクターの雰囲気も好みです。

『おしおきっ!』、第2回。前回、ええっ! こんな展開なのっ? 大丈夫かな、と思ったものでしたが、今回、とてもよかったです。いきなりの首輪。そして前がはだけたパジャマ。どきどきしますね。『ひろなex.』の扉もはだけたパジャマだったんだけど、はやってる? どきどきしますね。さて、冒頭の首輪は夢だったわけですが、本編でも東雲さんのあれなところは充分に発揮されて、ああ、これは、あれか。『鬼畜眼鏡』の逆なのか。しかし、すっかり陥落したヒロインもヒロインなら、おしおきされたいけどして貰えない状況を楽しんでしまってる桃花も桃花で、なんだろう、この感じ。すごくいい。ちょっとこれはつきすすんでいただきたい。そんな感じ、これはとてもよいものだと思います。

『ぽすから』、お姉さんがとてもいい。白樹と茜、ふたりのもどかしくも微笑ましい恋愛状況もすごくいい。そこに、なんだか無闇に前向き、というか、楽天的なお姉さんのキャラクターがいいアクセントになって、すごく好きな感じです。しかし、この漫画は、お嬢さんたちの服装が可愛くて、とても好み。お姉さんの服装の、胸元に抑えめのフリル、スタンドカラーはちょっとクラシカルな雰囲気で、これはいい、とてもいい、素晴しくよいです。茜の、ブラウスにキャミソール、これもとてもいい。でも、キャラクターが可愛いだけじゃなくて、ひとつの目標を持って集まった友人たち。青春群像とでもいったらいいでしょうか、その雰囲気がまたいいんですね。気になる漫画であるのです。

『はる×どり』、新連載です。受験を控えた高三女子の仲良き日常もの? 京子がとてもいい。成績のいいお嬢さん。居眠りする友人はるの頬をぷにぷにと指で押して、それで休み時間を終えてしまうなどというところもあって、こういうなんでもない、それでいてちょっと変わってるというようなところを描く四コマでしたけど、その雰囲気、すごくいい。とりあえず、女子三人、三人ともになんだか自然体。ちょっと気ままで、けれどそれは気取りのないってことなんだと思えて、そうしたところがいいと思ったのでした。

『レンタルきゅーと』、ダウジングをばっさりと切って捨てて、その現実的なこと! これは面白かった。こういうオカルトっぽいものって、やっぱりなんだか興味があって、やってみたりもするんだけど、結果はさっぱりだったりするんですよね。そのがっかり感、まあそりゃこんなんでうまくいったら世話ないよな、やれやれといった雰囲気の凝縮されたようなところがおかしかったのでした。そして、今回は落ちもがっかりを取り上げて、テーマは期待外れ? こうした、そりゃ考えりゃそうだよなって感じ。なんだか、夢そのもの、ファンタジーな存在であるハーフペットたちの、意外にシビアで現実的なところ。そのギャップ、すごくいいよなって思わせてくれました。

『チャンプルー!』、ゲスト後半です。沖縄のお嬢さんたち。田舎の子供は山や海でエキサイティングする — 、とは限ってませんって話でした。ちょっとこれ面白い。現地の人ほどいかないってたとえ話、それはあれですね。私が京都タワーも通天閣も登ったことがないって話に通じますね。そんな、本音なんだか、屁理屈なんだか、適当なこといって、外遊びを避けようとする、その攻防が面白いのでした。ところで、アンボイナ。あれ、死ぬこともあるらしいですね。海の生き物、こわいわ。自然というのは、なめちゃいけないもんだと思います。

『ねこにゆーり』、好きっていってほしいんだよーっ。なんという可愛さか! とにもかくにも、衝撃的なひとコマ。なんという素直な思いの発露でありましょう。そう、本当はみんなも、好きっていってほしいんだ。誰もが好きっていってもらいたいんだよーっ! そのあまりの本音感に感動を覚えてしまうほどでした。

ここで、ブレイク。今日は疲れました。明日に続きます!

  • 『まんがタイムきららMAX』第6巻第11号(2009年11月号)

引用

  • かぐらゆうき「おしおきっ!」,『まんがタイムきららMAX』第6巻第11号(2009年11月号),86頁。
  • numako「チャンプルー!」,同前,127頁。
  • kodomo兎「ねこにゆーり」,同前,133頁。

2009年9月18日金曜日

機動戦士ガンダム戦記

 機動戦士ガンダム戦記』、少しずつですがプレイしています。例によって、ジオン編からはじめて、まだクリアできてないといったところでありまして、いやね、結構難しいのですよ。ゲームする時間が多くとれない。なかなか習熟しない。進まないという状況になっていて、以前の戦記ではそんなにつまった覚えないんだけどなあ。腕がなまっちゃったのかな、と思ったのだけれど、どうもそうではない模様。私の今やっているのはシナリオモードですが、ステージクリアに要求されていることをちゃんと理解して、自機僚機ともに適切な機体、設定を施してやらないとクリアできないくらいに難しくなるといった具合なんです。かといって、構成をちゃんとしたら楽勝になるかというと、そう甘くもないっていう感じなんですけれどもね。

なにが難しいといっても、敵が無闇矢鱈と多い。このゲームは、敵を殲滅させることよりも、特定の条件を満たす、目標のエリアに到達するとか、点在する物資を回収するとか、施設破壊するとか、そうしたことを要求するミッションが多いという印象で、これはそういえば前作の戦記でも同様だったかもなあ。けど、今回はもたもたしてたら、敵に取り囲まれてにっちもさっちもいかなくなる。あんまりに敵が多く、しかも砲撃、狙撃がはげしいから、周囲にいる守備隊を始末してから目標を破壊しよう。なんて思ったら駄目なんですね。敵、いくらでも増える。さすが連邦は物資に余裕があるなあ、なんて感心するくらいに増えて、手がつけられなくなります。結局敵勢力が出揃う前に、僚機に揺動をお願いして、電撃戦を敢行するしかないという感じであるのですね。まあ、実際ああしたゲリラ部隊での戦いは速力が命でしょう。ちんたら戦ってたら、押し包まれて殲滅されるに違いありませんから。

まさかのジオン異端審問官だ! 我々の武器はふたつ。奇襲と恐怖、そして冷酷 — 、ええと、みっつか……。

しかし、参りますよ、いろいろと。なにが参るといっても、隊長つまりプレイヤーはステージの目的を理解しているのに、どうも部下はそうでないといったところです。戦場を駆け抜けろ、ってなステージでは、隊長機は目標地点に達しているのに、僚機はなんか真面目に戦ってるし! いやいや、死ぬから。こっち、包囲されて、もう死にそうなんだけど! もちろん、隊長機に付き従うよう命令を発行してるんですが、どうも敵機を見ると戦わずにはおられない奴らのようでして、ああ、もう、そんなことしてたら死ぬから!

結局、そのステージは、隊長機を一番足の遅い機体にして、僚機に比較的足の速く、死ににくい機体をあてがって、とにかくついてきてもらうというやり方でクリアしました。けど、あれは正直、運だと思うなあ。

こんな具合に、真面目に戦うのではなく、敵なんか無視して駆け抜けた方がいいステージがわりとあるって感じです。物資探索は物資の落ちているポイントを通過すればいいだけだから、敵なんて無視して、撃たれようとどうしようと、とにかく速度優先で駆け抜ける。真面目に戦ったら死にますから。敵施設破壊ミッションなんかでも、真面目に戦ってると、倒しきれないくらいの敵がわんさと集ってきて、対処不能になるから、やっぱり敵は無視して、破壊目標に直行して、ちょっとくらい撃たれようとどうしようと、破壊に専念するって具合なのですね。

困ったのは、防空施設破壊ミッションでしょうか。出撃機体はイフリート・ナハト限定なのですが、接近戦メインのセッティングがされているために、もう最悪。固定目標の破壊が目的なのに、なんで二刀流なんですか? イフリート用にビームライフルも買ってあるというのに。ロケット砲だって持ってるのに、どちらも使わせてもらえない。高速で接近して、移動しながらロケット弾を打ち込んで、破壊後即離脱が理想である、つまりドムを使わせてくださいよ! ってことなんですが、でもイフリートに無理矢理乗せられて、なんだ、これ罰ゲーム? まあ、僚機を上手く使うと、ちゃんとクリアできるからいいか。でもなあ。

なんて思ったりもするけれど、私はロボットが動いているだけで楽しいたちなので、これはこれで楽しんで遊んでいます。シナリオモードでは、それほどモビルスーツが出てこないみたいで、だからこのゲームの本領はシナリオクリア後である模様です。というわけで、明日からの連休、ゲーム三昧とはいかないけれど、少しでも進められればいいなと思っています。

2009年9月17日木曜日

『まんがタイムファミリー』2009年11月号

さあ、9月も後半戦ですね。『まんがタイムファミリー』が発売されまして、季節を先取りの11月号。さすがに、それは早すぎるよ、って感じもしないでもないけれど、でも9月下旬にはいってからというもの、朝夜は肌寒く感じるくらいになって、夏の疲れもだんだんにとれてきてる? いやいや、夏には夏の疲れが、秋には秋の疲れがあるものなんです。でも、ちょっとでも回復するといいな。そのためには、はやく寝るようにしないといけませんね。

『はちみつカフェ』、おおう、蜜が可愛くなってる。困ったことにヒロインを遥かに超えて可愛くなってしまいました。というか、この人は最初から可愛かったのか。こうして、蜜からは硬さが、蜂谷からは力みがとれて、よいパートナーになるのかな。はやくそうなったらよいなと思って読んでます。

『教師諸君!!』は人気なのかな。とてもよいことだと思います。楽しそうに働いている先生たち。その半分は、自分の趣味興味だなって思うんだけど、やっぱり自分が楽しいと思うこと、もの、その魅力を伝えるっていうのは、素晴しい喜びであると思うのですよ。ああ、担任とか進路指導とかなかったら、私も教師やりたいよ。講師の口でも探してみようかな。伝えたいことはいっぱいあるんだ。今回は、深沢授業へのコメント、これがよかったです。

『美大道!』も人気なのかな。嬉しいなあ。けど、美大を目指す、そうした若者たちの予備校グラフィティのはずが、すっかり日常の楽しさを描く漫画になって、けれど、そういうのもいいなと思って、なんといっても試着の風景よし、そしてツナギよし。とてもいい雰囲気です。あこがれてる人と同じもの持ってると近く感じるっていう、そういうのはよくわかります。かたちから入るって、なんだかあんまりよくいわれないけれど、かたちを真似て、それで気持ちが高まるのならそれもいいって思うんですね。だから、ツナギ着て頑張れ、ってなんだか応援したい気持ちです。

『おこしやす』は最終回。久保田順子の漫画では、これが一番好きでした。けれど、さすがに京都で描き続けるのも限界がきたのかな? なんとなく恋愛成就っぽい終わり。けれど、そんなに恋愛的状況を押し出しているようではない、そういう雰囲気は結構好きです。

ネコ式生活』、リモコンを抱いた猫。こりゃもう可愛いなあ。ちゃいちゃいって、もう、可愛いなあ。私はムームーさんが好きだから、なおさらでした。

『部屋キメっ!』。ゲストです。賃貸不動産会社の新人さんがヒロイン。職場では新人らしいけど、結構肝は太い人みたい。それに、強運? ギャンブラーでもある模様。こうしたギャップとかもろもろ、はっきりとキャラクターの個性として確立したら、ばっちり好きになれそうなんて思いました。

『うのはな3姉妹』、あれ? 『さくらんぼステップ』はどうなったの? 好きだったんだけどなあ。さて、新作ゲスト、こちらは豆腐屋の三姉妹がヒロインで、仕事命の父、そして家業に前向きな三女、結構いい感じ。みんな前向き? ちょっとシニカル? かわりもの? すごくいいと思いました。爆弾発言の次女なんて、なんとまあ、いいよ、いいね、すごくいい。けど一番好きなのは、三女っぽいです。真面目そうでいいお嬢さんです。

乙姫各駅散歩』、おお、ちょっと嬉しい。町田が好きだったんですね。なんか懐しいような、けれどずっと近くにあったような親しみもあって、それが不思議で、いい感じです。

『つれづれいーの』、ゲストで再登場。不思議で奇妙な物語。ヒロインが眼鏡で、なんかぼけっとしてるどんくさそうな女子で、でもってこういうお嬢さんが好きだから、無視できない。けど、うごうご動くハンバーガーとかは、ちょっと気持ち悪い? それをものともしないヒロインは大物だと思います。

『くるっとまわって営業中』、わお、水井麻紀子が登場だ。嬉しいなあ。この人の漫画の持つ雰囲気、その話の回し方とか、キャラクターの個性の見せ方とか、気に入っていたものだから、こうしてまたこの人の漫画が読めるというのが嬉しいです。ヒロインは、会社で営業してるお嬢さんふたり。営業成績はよくないけれど、皆からなんだか慕われてる、そんな先輩凛子さんと、押しが強くてけれどちょっとまわりが見えてないってところもありそうな、けど成績は抜群の新人? かの子さん。こんなふたりが接近して、影響しあって、変わっていくのかな? この、生意気なかの子さんが変わる、成長するというなら、それを見たいと思わせる、そうしたところがとてもよかったです。やっぱりキャラクターに魅力があるんだと思うのですね。最後のページのふたりなどは、すごくいい関係に見えた。ええ、こういう関係に人柄を偲ばせて、そこがよいのだと思います。

『きょうも幸あれ』、おお、妹が本気だ。年の離れた兄妹。高校生の兄に恋するクラスメートがあれば、4歳の妹はその接近を阻止すべくあの手この手ですよ。素晴しいな、容赦ないな。けれど、兄貴の人のよさがあって、そして妹の必死さがあって、そのバランスがいいんですね。妹が無茶しても、兄のほのぼので中和される。また、妹が無茶するといっても、それもなんだか可愛いと思わせる、兄をひとりじめしたいという、そんな気持ちからくるものですから、で、その兄がえらいいい人だというのだから、やっぱり微笑ましくって、よい。ええ、バランスがとてもよくって、読んでいると気持ちがやわらぐようであります。

  • 『まんがタイムファミリー』第27巻第11号(2009年11月号)

2009年9月16日水曜日

リトル・リトル

 かつて私の愛した雑誌、『コミックエール!』に掲載されていた『ク・リトル・リトル』。ごめん、間違えた。『リトル・リトル』。メイドとともに暮らしている令嬢と、きつねの耳としっぽを生やしたおちびさんが交流するというお話。私はこれが好きで、なにがいいといっても、まずは絵の魅力でしょう。キャラクターは可愛く、描かれる世界も美しい。ぱっと目を引く、そんなよさを持っていて、そして台詞を使わないという、サイレント志向の表現が光っていました。繊細で美しい絵が物語をつむいで、言葉に頼らずとも、こうした世界は描けるのだ。そうしたところもまたよかったのですね。その『リトル・リトル』が、描き下ろしでエピソードをふたつ追加して単行本になりました。

絵が伝える物語。伝えるものは、ストーリー、筋立てだけではありません。登場人物の感情、思いをよく描いて、伝えてくる。寂しさ、切なさ、もどかしさ。そうした思いが寄せてきます。そして、楽しさ、嬉しさ、喜び、そうした気持ちも豊かにあふれて、その充実した感覚が心地よいと感じられて、ええ、寒い夜に暖かいものに触れたときのような心地よさ、ほっとしたような気持ち、安心感に満たされるようです。

それは、狐耳の女の子、ええと、名前はわからないんですが、この子の愛らしさがあるのだろうと思います。ヒロインのお嬢さんにひっそりと寄り添って、寂しくならないように、つらさ悲しさが消えるように、いろいろと頑張ってくれる。なんでこの子が、こうして気を配ってくれるのかわからない。別に得もないのに。でも、損得とかではないのだろうな、ただただこのお嬢さんのことが好きだから、いろいろ骨折ってくれるんだろうな。そうした様がほのぼのと暖かみを伝えてくれるのですね。また、お嬢さんも狐の子に対してよく応えてくれる。その相互にひきあっているところ。思いの通じているところ。すごくいいなと思って、そしてこうしたことはメイドのお姉さんにもいえるように思います。皆がお嬢さんに対して親身で、それは仕事だからなにか貰えるからではなく、大切な人が少しでもしあわせであって欲しいと願う、そんな思いが感じとれるようで、しんみりと心に愛情の沁みるがようなのですね。

単行本での描き下ろし、それをもって、この小さな美しい物語は終わりを迎え、それはとても幸いなものでありました。しかし、まさかこのサイレント表現にこれだけの意味があったとは。ああ、その理由はここには書きません。印象的なシーン。そして、結末へ。すごく素敵であったと思います。すべては語られなかった物語。だから、読むものひとりひとりの想像力を掻き立てる、そんなところもあって、ああだったのだろうか、それともこういうことだったのだろうか。わくわくと心が動くのですが、けれど言葉足らずだったなんて思いはひと雫もないのですね。とてもよい漫画。この漫画を読めた、この漫画に出会えたというだけでも、『コミックエール!』は価値があった。そう思わせるほどに好きな漫画です。

  • ろくこ『リトル・リトル』(まんがタイムKRコミックス エールシリーズ) 東京:芳文社,2009年。

2009年9月15日火曜日

壁のなかの鼠

 継続してラヴクラフトを読んでいます。昨日は『インスマウスの影』を取り上げて、今日は『壁のなかの鼠』であります。アメリカに暮らしていた主人公が、祖先の住んでいたというイギリスに戻って、屋敷を再建、そこに再び暮らそうという話であります。ところで、昨日『インスマウスの影』が一番古い短編だろうかといっていましたが、東京創元社版全集の1巻ではこの『壁のなかの鼠』が1923年と一番古く、『インスマウスの影』は1931年、一番新しいものでありました。全集は2巻まで買っていて、つまり3巻以降はまだ手元にないものですから、まったく全貌がわからない。その手探りで進む感がよいなと思ってるんですが、たぶん全巻読んだとしても、よくわからないっていう感覚は抜けないだろうな。そんな予感がしています。

さて、『壁のなかの鼠』ですが、これは『インスマウスの影』にも増して不可解です。『インスマウスの影』では不条理ながらも、主人公があちら側に落ちていく、その理由や原因といったものが語られていましたけれど、『壁のなかの鼠』ではそういった描写はほぼ皆無で、ただ、先祖が因縁のある土地に住まうことになった。そうしたら酷い事件が起きた。事件は伝承として縷々伝えられて、そのため主人公の家系は土地の者から忌み嫌われている。などなど。で、そうした曰く因縁をものともせずに、主人公は呪われた建物を再建して、そこに住まおうというのですが、そうしたら酷い事件が起きた。これが大筋です。大筋すぎて意味わからんとは思いますが。

やっぱり気味の悪さが肝なのかなと思います。先祖と建物に関する伝承を追えば薄気味悪く、しかしそうした悪評を自分が消し去ってみせる、意気軒昂として屋敷に住まいはじめたというのに、最後にやっぱりあちら側に取り込まれてしまう。自分は大丈夫と思っていたけれど、危うい領域に入り込んだがために、正気を失ってしまうというところなどは、普段私たちが普通に暮らしている世界も、一枚その皮を剥いでみれば、異常な世界に隣接している、一部は混じり合っているのだと、そういわんがようであります。その、一歩先は人の領域ではないという特異点での出来事。それが、ラヴクラフトの世界なのかな、なんて思っています。

『壁のなかの鼠』は最初期のものといっていいんでしょうか。そのために、異様な存在、古きものとかいうらしいですが、そいつらはあんまり表立っては出てこず、少しだけニャルラトホテプが出てきた。といっても、夢の中だったり、あるいは主人公の見た白昼夢? そうしたところに少しだけ。で、このニャルラトホテプですけど、最近ではラノベになってたりもするそうですね。といったわけで、やっぱりクトゥルフの知識はマニアには必要だって思ったりするのでした。

あ、そうそう。ピルトダウン人が普通に出てきたのには驚きました。これ、世紀の捏造として有名な科学史上のスキャンダルですよ。ラヴクラフトの存命中には、まだこの嘘が暴かれてなかったんでしょうね。けれど、それが捏造であったということが、逆にこの短編の味わいになっているようにも思われて、なかなかいいアクセントでした。

  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第1巻 大西尹明訳 東京:東京創元社,1974年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第2巻 宇野利泰訳 東京:東京創元社,1976年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第3巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,1984年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第4巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,1985年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第5巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,1987年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第6巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,1989年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第7巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,2005年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』別巻上 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,2007年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』別巻下 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,2007年。

2009年9月14日月曜日

インスマウスの影

 このところ、ラヴクラフトを読んでいます。とりあえず『インスマウスの影』から。テキストは、いくつか出ているなかから、とりあえず一番買いやすそうな東京創元社版『ラヴクラフト全集』を選んで、けれど実際これがよかったのかどうかはわかりません。でも、まあ、いいか。評判のいいのを読みたいと思って、事前にいろいろ調べてみたんですけど、定番みたいなのはないみたいなんですね。それぞれに問題がある。収録方針であったり、また訳であったり、一長一短みたいで、じゃあ、まあ、適当に選んじゃっていいか。といったわけで、東京創元社版にしたのでした。

で、『インスマウスの影』。これがクトゥルフ神話の最初の短編になるんですか? クトゥルフ神話っていうのは、怪異が日常世界に隣接している。そうした話だっていうのですが、ラヴクラフトの創造した設定を引き継いで、多くの作家が同一世界を舞台にした物語を書いたとかって聞いています。また、クトゥルフものでなくとも、そのエッセンスを引用、採用しているものは多く、実際私の知っている漫画、ゲームにもそのモチーフが散見されます。例えば漫画『スプリガン』にはアーカムという組織が出てきますし、ゲームでは『カルドセプト』に出てくる水属性クリーチャー、マーフォーク、シーモンク、ダゴンあたりがそれっぽい(絵も加えればクラーケンも?)。それから、西川魯介漫画もクトゥルフ系の宝庫っぽくて、そうさなあ、私は西川魯介の漫画に出てくるもろもろを理解したくて、クトゥルフに手を出したようなものですよ。西川魯介に限ったことじゃありませんが、クトゥルフ自体を知らなくともそれらを楽しむことは可能だろうとは思うけれど、でも知っておいたほうが、なにかとよいだろう。とのことで読み始めて、その最初が『インスマウスの影』というわけです。

読んでみての感想、というほどのものでもありませんが、ホラーというほどに怖いという感覚はなく、かわりに生理的な嫌悪感が前面に押し出されているといった感じでしょうか。好ましくない感触、匂いだとか触感だとか、そういうのが執拗に語られて、インスマウスに暮らしている連中のなんともいえない嫌な感じ、その目付き、顔付き、そして街中にたちこめる生臭さなど。読んでいるうちに、ああこの街、嫌いかもなって思うようになって、そしてあのクライマックス、で、後日譚ですね。実をいうと、クライマックス後にインスマウスの街にはびこるもろもろが白日の下にひきずりだされたりするのかな、なんて思ったのですが、そうはならず、へー、こういう風にひっくり返すのか。それは、今ではもう定番といっていいような典型的ひっくり返しではありますが、ラヴクラフトがこれを書いた時代ではどうだったのでしょう。ともあれ、最初は怖れ、嫌悪していたことが、最後にはすっかり違ったように受け入れられるにいたって、その高揚した雰囲気、なかなかによいなと思わせるものがあって、こういうところが人気なのかなと思いました。

しかし、まだ読み始めたばかりです。ラヴクラフトの面白さは、きっとこれからでしょう。少しずつ読み進めていきたいと思っています。

  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第1巻 大西尹明訳 東京:東京創元社,1974年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第2巻 宇野利泰訳 東京:東京創元社,1976年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第3巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,1984年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第4巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,1985年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第5巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,1987年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第6巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,1989年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』第7巻 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,2005年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』別巻上 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,2007年。
  • ラヴクラフト,ハワード・フィリップス『ラヴクラフト全集』別巻下 大瀧啓裕訳 東京:東京創元社,2007年。

2009年9月13日日曜日

ラブプラス

 『ラブプラス』、絶賛継続プレイ中です。とりあえず、最初の一週間を過ごしましたよ。リアルタイムモードのみでのプレイ。平日を一通り体験し、そして土日、そしてデートを経験して、これで基本的な流れがわかったって思っていいのかな? といったような状況です。パートナーは凛子。まだ髪型もなにも変わっていない、まだまだこれからといったところ。本当にゆっくり、ゆっくり進めていて、これはうまく負担にならないように生活に取り込めたら、一年とか、あるいはそれ以上、遊べたりできるかな、なんて思っているところです。

さて、以前、第一印象でいってたこと、リアルタイムモードは勤め人には無理じゃないかという心配。これ、意外と大丈夫でした。もちろん、まったくゲームする時間がとれないというような人には無理だろうけど、通常イベントは五分くらいで終えられるほどに短いから、一日数度、これといった時間にちょこっとプレイするだけで問題なく進めていくことができます。私の場合なら、朝、通勤の合間に登校イベントをやって、昼、会議室に逃げて会話イベントをやって、帰り、通勤の合間に下校イベントをする。これを基本セットとしています。あと、朝、これを目覚し代わりにしているので、必然的にラブプラスモードに突入するし、夜は目覚しをセットするのでやっぱりラブプラスモードに突入する。以上、トータルで一時間かかりません。まあ、会話が長引くと何十分とかなっちゃうんだけど、まあそれは適当に切り上げるとよいでしょう。

といった感じです。また、休日のデートイベントですが、これも十五分くらいかな? そんなに時間をとられませんでした。ひとつずつのイベントは短くして、そのぶん数を多くしたっていう感じなんでしょうか。日常を圧迫しないようにして、細く長く愛してもらおうという、作り手の配慮というものが感じられるようでして、正直これはありがたいと思いましたよ。

基本的にクリアという概念がないところ、またイベントも人によって起こり方が違ったりするのかな? そういうところもありがたいと思います。RPGとかだと、ラスト、エンディングに向かって直線的にイベントをこなしていくという印象があります。で人によって進度が違うわけで、進んでいる人たちの場においてはネタばれが怖いし、なんだか自分が遅れているような感じがするのもちょっといやだしで、そのあたりがちょっと難しい。でも、『ラブプラス』の場合はそういう気持ちにはあんまりならないんじゃないかと思っているんです。

というのも、攻略というようなものは、友達パートで終わってるわけです。だから、あとは個々人で、個々のエピソードを積み重ねていけばいい。まあ、そのエピソードは結局用意されたイベントに過ぎないから、他人の体験談はネタばれになってしまうんですけどね。だから、私はちょっと閉鎖的にプレイしていくつもりなんだけれど、つまりイベントについてなどの詳細は知りたくない。だからちょっと落ち着いた頃合い、イベント一覧や髪型、服装一覧といったものが出尽くして、もうあとは自分の経験、感想を述べるばかりになってからが楽しそう。一気に燃えて、燃え尽きた人が離れた後に残る、ほそぼそと楽しみ続けている人たち。その人たちの、少しずつ仲を深めていこうといったような、先を急がないプレイは、そもそも最初からリアルタイムモードのみでプレイしている私には共感できるものとなるんじゃないかなって思っているのです。

さて、タッチペンでの操作はだんだんに慣れてきました。ほぼ満点カレシから満点カレシくらいを狙えるようになってきて、けれど、たまに怒られる、そんな感じ。そしてマイクですが、あれ、最初はどうも話しかけにくかったのが、慣れると平気になりますね。もちろん人前ではやりませんけど。また、家族の動向もチェックしておかないと、独り言と勘違いされてしまう。いやね、以前Skypeで通話してたら、独り言と思われてしまったことがあるんですよ。いや、いくらなんでも夜中じゅう独り言はないですよ。でもきっと、危ぶまれてるんだろうなあ。

『ラブプラス』は、とりあえず一週間プレイして、おそらくはとりあえず一ヶ月プレイすることになって、それで一年を過ごすことになるでしょうか。心配なのは、そう遠くないうちに作業になってしまう可能性です。人間相手だと倦怠期なんていうんでしょうか、話なんてもうし尽くして、新しい話題なんてないし、なんか一緒にいても間が持たなくなる。そういうことがないように、デート等のイベントや会話のパターンこそは多数用意されているのでしょうが、ラブプラスモード、マイクでの対話モードですね、これが最初に陳腐化するんじゃないかと思われて、けれどそれをどう乗り越えさせるのか。それが目下の楽しみになっているといったら、ちょっといじわるですね。でも、一年持たすために急がないと決めた私にとって、陳腐化してからのラブプラスモードの過ごし方はすごく気になるところです。穏やかに対話するって雰囲気になって、結構よかったりして。といったように、自分の気持ちの変化を含め、これからを楽しみにしています。

2009年9月12日土曜日

『まんがタイムラブリー』2009年10月号

『まんがタイムラブリー』10月号が発売です。季節は秋。九月といえば、中秋の名月です。って、今年の十五夜は10月3日らしいですけど。いや、私もつい最近知ったんですけど、『ジャーノ☆ROADはへヴィ!』で。でも、今年の十五夜が10月でも、これは10月号、どうも大丈夫そうですよ。表紙には、月見、団子、兎、すすき。秋を思い起こさせるいろいろが描かれて、季節がわからなくなった私には、こうして漫画で風情を感じるのが一般となってしまったみたいです。

『青木くんの彼女 — 今時女子高生攻略法』、ゲストです。著者は青木光恵、ビッグゲストらしいのですが、実は私はこの人のことよく知らず、西原理恵子の漫画に出てくる印象しかないんですよね。だから、まともに読むのはこれがはじめてかも知れません。

調子のいい男子高校生が主人公? 可愛い女の子だったら、タイプでなくってもちょっとしたことで好きになってしまう。で、適当に話を合わせて、いい加減なこといってしまう。あんまりいい印象じゃないなあ。で、あんまり女の子からも注目されてないっぽいという、そういう漫画のようです。

パニクリぐらし☆』。長瀬さんが兄貴にパンツを見られてしまう話。って、別にパンツくらいどうってことないですよ。ノープロブレム。しかし、この漫画、最初は高嶺の花みたいだった長瀬さんが、どんどんいろいろあかんお嬢さんになっていって、それが微笑ましく感じられます。悪い人じゃない。特にだらしないわけでもない。普通なんだけど、ちょっとどんくささなんてのを感じさせるようになったきて、これは兄貴、楠家に馴染んで気負わなくなったってことなのかも知れませんね。そう思うと、なんだかいい変化と思えます。ところで、みつきのセーラー服、冬服の可愛いこと。実質的に、この漫画のヒロイン、看板娘はみつきですな。

『視界良好』、眼鏡の日の話題。日本メガネベストドレッサー賞とか出てますが、けど実は私はこれ、興味ないんだ。いやね、なんかものすごく無理矢理な感じがしまして、興味ないんだ。しかし、この漫画のヒロインは可愛い。これが男だったら、『屈折リーベ』の秋保めくところが、成田秋奈ときたら、なんだかあっっけらんとして明るくて、さっぱりとしてつきあいやすそうなお嬢さんです。これは、きっと眼鏡がなくとも、いいなと思ったろう。そんなキャラクター。そこに眼鏡がくるんですから、そりゃいいと感じるのもしかたがないことだろうと思います。

うさぎのーと』は料理の話題。犬飼(弟)のかっこいいことったら。実績とか、そういったことを考えると、ああいうスタンスはよくないんでしょうけれど、自分の納得いくものを納得いくようにやりとげたいというのなら、あれでむしろよいのだろうと思わされて、かっこいいな。名声とかどうでもいいんだ。身近にいる大切な人たちがしあわせであるなら、それでいい。素晴しいストイックさだと思います。そりゃ、許すとくるわな。ところで、片岡は凶悪です。大鎌、いいじゃないか。素直になっちまえよ。私はもう素直になったよ。

『ただいま独身中』。甘い言葉で甘い気持ちになったという、その表現がなんだかいいなと思われて、これはあれだ、些細な寂しさでつまずいてしまったんでしょうな。なんだかわかる気がします。こうした年頃の、こうした気持ちの綾、いい面も悪い面も、ヒロイン楓からじわじわと感じとれる。すごく面白い。で、この人もやっぱり姉なんですね。で、きっと弟は小さなころからいろいろ割を食わされてきたんでしょう。そういうところ、楓という人はやっぱり魅力的だと思います。

『ごめんね、委員長!』、いい感じです。片手でドッジボール。え? ドッジボール? それ、やっぱり怪我に障るのではなくって? と思った私は委員長同様びびりです。しかし、今回も委員長は大変な目にあって、やっぱりそういう役柄なのか。でも、ちょっと寂しがりやな委員長、とてもよいと思います。

『ヒーロー警報』、Jのヒーロー能力が大活躍。どうしようもないおっさんって印象だけど、やるときにはやる、というか、困った人を見ると助けてしまうお人好し、いや、気のいい男なんですね。素晴しい。しかし、この漫画はおっさんや爺さんが光っています。昔を懐かしむJとY、今ではもう笑い話になってるんだ! 仲がよさそうでなによりです、というか、なんでYが悪の秘密結社なんてやってたのか、わからなくなってきました。そして、今回もHは落ち要員として大活躍。いいポジションです。

『縁側ごはん』。なんか、人いっぱいだ! 猫にでれでれの女子高生。この人可愛いな。復讐に燃える女、姉。この人、美人だな。昔のことを、今も忘れず恨んでいます。もう、本当にばかばかしいような話なんだけれど、でもどうしても復讐せずにはおられなかった。そうした人間の小ささ、いや失礼、気持ちのぶれず真っ直ぐなところ、魅力的でありました。というか、こういう姉はいいやね。そして、主人公の仕事がわかりました。画学生かと思っていたら、そうではなくて、手染めの手拭い作る仕事? 職人さんであったようです。こうして、ちょっとずつ人が増えて、その人となりもわかってきて、不思議な感じから、楽しい、微笑ましい、そんな面白さに移行してきたように思います。結構好きな感じ、いい感じです。

  • 『まんがタイムラブリー』第16巻第10号(2009年10月号)

引用

  • 中島みゆき『誕生

2009年9月11日金曜日

乙女王子 — 女子高漫研ホストクラブ

 『乙女王子 — 女子高漫研ホストクラブ』は、『まんがタイムきららフォワード』に連載されていた漫画です。小形ひよなが入部した漫研は、ろくに部室も貰えていない、ろくに活動もしてこなかった、そんなありさまで、その帰結が同好会への格下げ、部費全額カット。このままでは、なにもやらないうちに終わってしまいそう。どうする!? といった危機状況から始まって、しかしその打開策が奮っていました。ホストクラブをやろう! しかし、ホストクラブのどこに逆転の可能性があるというのでしょうか。

それは、目下の敵である生徒会副会長の弱点をリサーチした結果であります。三つ編み、眼鏡、デコという、堅物を絵に描いたような彼女。しかし、ひょんなことからばれた美男子好き。そこに付け込んで、篭絡してしまおう。よってホストクラブというわけです。そんなあほな! いや、あほな話だと思いましたよ。正直、『きららフォワード』誌で一二を争うあほ展開だと思ってるんですけど、このあほさ加減がいいんですよ。部の存続を賭けたホストクラブ。しかも、舞台は女子校。男子なんていないから、部のみんなで男装してのおもてなしときた。これは、いい。これはしびれました。もう、大好き。もう、どんどん調子にのって、頑なな副会長、比田井ひかるを気持ちよくしてあげて欲しい! なんて思ったものでしたよ。

『乙女王子』は、部を存続させるために敵を篭絡し、そしてついでに部費も稼いじゃう漫研の面々の頑張りを見て楽しんで面白がる、そんな漫画かと思っていたら、どんどん比田井ひかるにフォーカスが移っていって、しかしそれがもう本当に素晴しいの。夢壊されて怒ったかと思えば、思い描いていた夢が具現したかのようなロドリゲスに夢中になって、冷静さ失い強権発動するかと思えば、嫉妬振り撒くは、混乱して拒絶するは、最高。可愛いのなんのって。恋すれば、人は誰でも心揺らすものだと思うけれど、それにしてもあんたは揺らし過ぎだ。でも、恋に心乱している女子というのは可憐であるなと思わないではいられない、そんな描写の連続で、あんなにピリピリしていた人が、今ではこんなにも甘くほころんでいる。素敵すぎ。しかし、彼女の目にはロドリゲスがどれほど魅力的に映ったというのでしょうね。

でも、こうしたコミカルなラブコメ? を描いてきて、途中にはロドリゲスを演ずる昌の不思議設定なんかもばんばん出てきて、基本コメディすなわち喜劇であるのですけど、それがしかしあのクライマックス! 素晴しかった。思い余って思いの丈をありったけぶちまけてしまったひかるに、昌が自分の言葉で語りはじめる。彼女の本心に触れた — 。その真っ直ぐな思いを受け止めて、そして発された真摯な言葉が感動的でした。思いやりに溢れた言葉。それからの数ページは、もう涙なしでは読めない。恋の終わりをはっきりと自覚しつつ、けれど暖かな友情に包まれている。屈指の名シーンでありました。切なく美しく、やさしげで、ちくりと心に痛みを残しながらもしあわせと感じさせる。アンビバレントな感情に揺れる乙女の胸中、その思いが読んでいる私にも流れ込んできて、胸がいっぱいになるのですね。

小粒ながらもきらきらと輝く、宝物のような漫画であったと思います。そして、最終話、漫研の面々の本来の頑張りにフォーカスが戻って、そして描き下ろしの後日譚。ささやかながらも、彼女らが達成したものを思うとおのずと嬉しさが込み上げてくるようでありました。それはこのホストクラブ騒動を楽しく眺めているうちに、私自身篭絡されてしまったってことなのかも知れません。大好きな漫画でした。きっとこれからも好きであり続けるだろうと思います。

2009年9月10日木曜日

Roland SC-88VL

なんか、『けいおん!』に触発されたわけでもないのですけれど、いろいろな楽器を弾けるようになりたい、などと思うようになりまして、それでギターにベースを加え、そして次はキーボードだ。って、さすがにどんどん買うっていうわけにもいきませんから、昔使っていたものを引っ張り出してきました。Roland SC-88VL。これは音源ですね。RolandのMID音源。GM、GS対応で、カタログを見れば654音色、32パート、64ボイスとあります。これ、SC-88の廉価版として出て、買いやすくなったと思って喜んで買ったら、その直後に決定版ともいえるSC-88Proが出て、愕然としたのでした。88Pro、今でも欲しい。でも、88VLにしても、到底使いこなせてるとはいえないから、Proを買うことはまあないだろうな、なんて思っています。

MIDI音源だけでは、演奏はできません。なので、Macintosh LC630とEZ Visionを組み合せて、それでDTMをやっていました。あんまり本格的とはいえないのだけど、小さなソフトハウスにMIDIで作ったジングルを売ったりして、それはそれなりに面白かったのですが、その会社にあった音源がSC-55mkIIという、88よりさらに前の機種だったため、88VLをSC-55モードで使ってた期間が長くて、本当にもったいないですね。音質とかかなり落ちますから。でも、再生される環境に合わせて作らないことには意味がないから。で、その仕事をしなくなったら、DTMやることもまたなくなってしまって、もう、本当にもったいないです。

LC630はEZ Vision専用機としてちゃんと確保されているのですが、残念ながらまったく使っていません。よって当然SC-88VLも死蔵されることとなって、けれど最初にいいましたように、最近なんだか妙にやる気見せはじめてますから、MIDI鍵盤繋げて弾こうかなって。コンピュータで制御するのでなく、自分で直接弾いてみようかなって思って、環境を揃えたんですね。といっても、MIDI鍵盤買ったりはしてません。またこれも持ってまして、PC-180というもの。49鍵仕様。ベロシティにももちろん対応しています。

鍵盤楽器を触るのって、いったい何年ぶりだろう。もう思い出せないくらいに間があいてしまっているのですが、それでも思ってたよりもましでした。まあ、想像していたのが、もう酷いものだったってだけの話で、全然弾けてるうちにははいらないんですけどね。で、クラシックやるつもりはないから、簡単にコード押さえて、メロディを弾ければいいかなって。といった具合にリハビリしてるんですが、右手が開かなくって、油断するとオクターブが押さえられなくなってるのには参りました。Cを押さえたいのに、CM7になるんですね。左手は、ギターでストレッチしてるからいいんですけど、右手は意識的に開くということがなかったから。まあ、リハビリです、リハビリ。

でも、ギターをフラットトップ、エレキと弾いて、サックス吹いて、ベース弾いて、鍵盤弾いて、って無理。一日中やっても、全部はできません。今はギターメインで、サックスリハビリ中で、ベースはなかなか弾けなくて、鍵盤はさらに弾けなくて、ああ一日は短い。人生も短い。むずかしい問題です。だって、一日八時間やっても一通りの練習がすまないのですから! ああ、眠らなくても疲れない薬が欲しいよ。そう思う瞬間です。

  • Roland SC-88VL
  • Roland PC-180

2009年9月9日水曜日

『まんがタイムきらら』2009年10月号

『まんがタイムきらら』10月号発売です。表紙は『けいおん!』、振り返る律っちゃんがメイン? 奥に唯がいて、前に律っちゃんがいるという、律っちゃんファンにはきっと嬉しい表紙でしょう。ページをめくれば、京都アニメーションのデスクトップアクセサリー集の広告があって、ちょっとびっくり。で、リンクを作成しようと、京アニショップ特設ページにいってみたら、壁紙の期間限定ダウンロードやっていて、あぶねー。そういうことは、もっと大々的にやってくださいよう。なんだか、無用のはらはらを味わってしまいました。

広告に続いて、アニメ『けいおん!』のリプレイがあり、関連商品、CD等ですね、の告知があって、そして本編、『けいおん!』です。夏休みが終わり、学祭に向けての動きが本格化する。そんな中、黄色い手というカラーに映えるネタがあって、地味だけど面白かった。みかん、いいなあ。もうじき、みかんが出回りますね。さて、内容はというと、唯と憂の姉妹の絆クローズアップといったような回でした。いつも頑張っている憂がむくわれる、そのむくわれかたもよかったと思ったのでした。

三者三葉』、葉子様、髪型を変えるの巻。葉山君の協力でオプション装備がなって、ポイントががつんがつんと急上昇ですが、けれど、それも大いに素敵なのだけれど、やっぱり葉子様らしくはないという感じです。そして後半は西山さんにスポットライトが当たって、いや、思ったんだけど、西山の敵は葉山ちゃんじゃないと思う。もっと違う、別の近しい誰か、そっちの方がずっとあれだと思う。そして、久しぶりの山路ハイスペック。器用貧乏の鑑のような男だと思います。すごいけど、あんまり憧れたりはないなあ。

かなめも』、今回のはるかはよいはるか。いろいろと問題のある人として描かれる人でありますけれど、それでも良識や思いやりを持っていて、それを発揮させることがある。そうしたことが描かれて、そしていろいろあっても、ちゃんとそうした好意を理解しあえているというのがすごくよかったです。というか、フォーマルはるかは素晴しいな。寂しいという気持ちを表に出さない、そうした代理も切ないけれど、そうした思いを出したくないという、けれど思いは消せないという、それをちゃんとはるかが理解している。そうしたところもよかったと思ったのですね。

『ジャーノ☆ROADはへヴィ!』は、きららWebで連載されている漫画。でも、なんかものすごく久しぶりな気がするぞ!? ちょこっといろいろ忘れてしまっていたけれど、読みながらだんだん思い出して、そしてパルミの駄目さがまたはっきりとして、面白かったです。やっぱりこうしてまとめてたくさん読めると、いいなって思います。

『PONG PONG PONG!』、単行本が出るらしい。わーお、こいつは嬉しいな。さて、お師匠さま登場です。にこにこしながらの実力行使がひどい。でもって、名前がフォックス先生。なんか思いもしないポジション、こいつは面白いなと思って、また加えて祐太がナチュラルに酷い目にあわされるという、それも面白いなと思えて、しかしお師匠さましか気づかわなかったというのが……。でも、多分、そう遠くないうちにお師匠さまも気づかわなくなるんだろうな……。しかし、面白い漫画だと思います。キャラクターがいきいきとのびのびとしています。お役御免を怖れるタヌキがもう可愛いんだ。

『ましゅまろタイフーンッ』、おとなしい女の子雛がきなこに微セクハラを受ける漫画でありますが、我慢の限界を超えると逆転するのか。これはちょっと面白いかもなって思いました。逆転の目がある、それはとてもよいことだと思います。

まーぶるインスパイア』。ネトゲでの知り合いが、意外と近くにいたという話。けど、メインの三人と、あの株式やってる娘のグループ、こうしてかかわりを深める可能性があるというのは意外と思って驚いて、これはちょっと面白いことになりそうです。というか、聖が微妙なおかしさを醸し出していて、これはいい。というか、まともな娘、出てこないのね、この漫画。でも、それがとてもいいと思います。

『ちりめら』、演劇部漫画だけど、あんまり演劇部って感じじゃない。むしろ、一人称を名前で呼ばせて、その恥じらう可愛さを楽しみましょう、みたいな漫画になってました。自分を名前で呼ぶ女の子って、これまで正直どうかと思ってましたけど、最近考えが変わりました。リンコノコトジャナイヨ? 『ちりめら』は、異様なハイテンション、先生が可愛い漫画だと思います。あの、釣り上がった眉がいいね!

ダブルナイト』のユキちゃんが男って、まだおじさんにばれてなかったのか。意外。けど、おじさん開眼。いや、それって、まずくないですか? いや、全然まずくないです。おじさんは正しいと思います。実際、このへんのユキちゃん争奪みたいな雰囲気、今後も継続するのかな。したらしたできっとよさそうだ、なんて思ってます。

メロ3』、ポン太の妹真都が犬を拾いました。この妙に真面目でまっすぐな妹、可愛いなあ。あの、見た目ポン太似のところ、でも女の子、凛々しくっていいなあ。そして、肝心のポン太はというと、なんか頼れる、そんなところをさりげなく見せましてね、やっぱりいい男じゃん。ポン太、結構好きです。ところで、さらりとペット扱いのメイドさん。酷い! 酷いけど、面白かったです。

『さむどら』、漫画のアシスタント? 内気な先生と、前向きな弟子。その少しかみあわない、けれどなんだか勢いでうまくいっちゃってる? みたいなところが面白かったです。というか、師匠、スイッチが入るとひどいな。ええ、ひどいところがいいんです。

『日本ちゃん』、新連載です。って、おーい、真に受けたじゃないですか。でも面白かったからオッケーです。

そして、My Private D☆V。シバユウスケだ! この人の絵は最高だと思う。人物のドールっぽい表現、長い胴、より長い手足、それはすごく伸びやかで、絵に溌剌とした印象を与えて、本当に素敵。ワンピースも素敵。まわりに描かれた花も素敵。ハイビスカスお好きですか。今日、『きらら』買いにいく道すがら、たまたまハイビスカスの写真を撮ったですよ。

Hibiscus

ハイビスカスといえば、マキシ丈のティアードスカート、去年から今年にかけてすごく流行したみたいですけど、赤のグラデーションの目を引く鮮かさ、そのトーンもあいまって、すごく綺麗。ハイビスカス思わせる、そんな美しさがあって、この人の描くキャラクターには、そうしたのもすごく似合うと思う。

画集とかがあるなら、買いたい。そう思わせるような魅力にあふれた絵を描く人だと思います。もう、大好きです。

  • 『まんがタイムきらら』第7巻第10号(2009年10月号)

2009年9月8日火曜日

『まんがタイム』2009年10月号

『まんがタイム』10月号、出ています。表紙はバンドづくし。おとぼけ課長こそは、世界のOTOBOKEっぽく、ボーカルとしてご活躍ですが、他はギターを持って、ちょっとバンド風であったりします。青いギター持った黒ぽっぽが、むやみやたらと可愛いなあ。作家先生は、アコースティック・ギターの方が似合いそう。平成、二十一世紀の今に四畳半フォーク的雰囲気を求めるというのなら、このふたりに優るものはないと思うのですね。

『小悪魔ティーチャー』はちょっとふっくらした話。女性はちょっとくらい肉付きのいい方がいいんですよ、っていうんだけど、実際私もそう思っているんだけど、実際に好きなのはやせぎすな女の子です。すみません。栄養足りてなさそうな、やせぎすの、スタイル的にいうとちょっと残念な感じ、これはがつんときます。で、この漫画の次女、葉子がこれなんじゃないかと思ったら、人並み……、だとのこと。しかし、あの空を仰いだ様、チャーリー・ブラウンみたい。この表現、ちょっと気に入ってしまいました。

すいーとるーむ?』は、永井君がどんどん変態的になっていって……、いや、最初からわりとあんなもんか。しかし、会社のあちこちに巣を作ろうとする人たちの話。まあ私もギター置いてるものなあ。だからよくある話なんだと思うのですが、それにしても塩田さんはすごい。会社を作って独立しようって人は、ああしたパワーがないといけないのかも知れませんね。見習おう、きっと無理だけど。

みそララ』は、飲み会やるといつも馬鹿な話になるのだけれど、その馬鹿さ加減が素晴しい。笑いごとかと思っていたら、笑いごとではすませてもらえないという、なんという絡み酒。しかし、社長は若い頃は結構かっこいいなあ。そして、最後の最後に悲しい未来予想図が描かれて、それは、それは、やめて!

『めもり*ON AIR!』、ゲストです。『ラブじゃらし』の人。新作は、地方テレビ局のアナウンサーをヒロインにして、どたばたとどんくさく、けれど明るさが持ち味。しっかりもの、というか、短気で神経質な後輩がいて、このふたりで盛り上げていこうってことなのでしょう。逆境にめげないヒロイン。そうしたところはよさそうだなって思ってます。逆境にめげる後輩も可愛らしいのですけど。

『ふたりぽっぽ』、黒ぽっぽことこばとがむやみやたらと可愛いんですけど、しかしその扱いはひどい。頭が悪いって、しかも駄目押しで二度も。でも、可愛いからいいや。私はこういう人に教育を与えたい。というか、白ぽっぽ、くるの策略に囲い込まれて、こうなったんじゃないのんか? だからきっと、この先もこうして囲い込まれるんじゃないかななんて思って、だから結構怖い漫画なのかも知れさせん。まあ、そうしたところも面白くてとてもいいのですけれども。

『草野くんの羊育日記』、みたにひつじの次に羊育日記がくるというね。普通の牧場ものかと思いきや、人の言葉がわかる羊の仔が出てきて、ちょっと昔の児童向けアニメとか彷彿とさせる雰囲気があります。絵は、羊の仔は可愛いし、動物はちゃんとしてるし、人物はしっかりした感じがあるし、結構好感を与えます。

『先生のすずめ』、最終回。前回はしんみりとさせる話、そして最終回はそうした悲しい雰囲気から抜け出そうというようなところがあって、そして最後のページの八コマ。これはちょっとよかった。言葉にはならない、思いのゆきかうところ。それをどう受け取るかは読み手次第なのかも知れないけれど、含み、広がり、そうしたものがあって、いいラストだったと思います。

  • 『まんがタイム』第29巻第10号(2009年10月号)

2009年9月7日月曜日

はこいり良品

 井上トモコは好きな作家、『はこいり良品』は好きな漫画です。主人公は、古書店を営むお嬢さん。木下しおり27歳。祖父から店を譲り受け、店長になってからの奮闘ぶり、とはいいますが、描かれるのは意外にマイペースな姿だから、むしろ感想は微笑ましいという感じでありまして、読んでいてすごく楽しい。気持ちが穏かになるような、そんなところがあるのです。でもね、時にシビアな古書店事情なんてものも語られたりする。ただ好きというだけで、仕事なんてできるものか。とでもいいたげなそのたくましさは、見ていてほれぼれするくらいです。ヒロインは古書店の女主。彼女には年の離れた妹がひとりあって、また周囲には、同じく店を持ち、商店街を守り立てようとする人たちがあって、その人たちのたくましさ、人懐こさがなんだかとても嬉しい漫画であります。

この漫画の楽しさ、面白さは、結構な広がりを持っているように思います。まずは、古書店をめぐるエピソードがあって、ここでは祖父や同業の青空古本店さんといった人たちが主にかかわりをもっています。しおりの妹マキをめぐるエピソードとなると、幼馴染みの魚屋の息子、ケンジとの微笑ましい関係があったり、またこのふたりを小さなころから知っている、商店街の面々の見守る目があったり、どうもふたりはやりにくいみたいだけど、これが結構わずらわしいながらも暖かい。そして、商店街のエピソードがいいのですね。店をやっている人たち、一筋縄ではいかないタフな商売人たちが、店を商店街を盛り上げようと頑張っています。しかし、あの手この手で売ろうとする、その戦略というのがやっぱりどこかしら微笑ましいものだから、憎めない。なんか、いいなって思ってしまうよさに溢れているのですね。

この漫画から感じられるよさっていうのは、ちょっと昔の雰囲気といったらいいのでしょうか、地域、町内というものの空気を感じさせるところにあるのだと思っています。私は今、ちょっと昔と書いたけれど、多分今でもあるところにはあるのだと思います。町内というものの雰囲気。けれど、私の周辺にはなくなってしまったようです。町内の子は、誰の子であっても、町内のみんなで見守って育てているといった、そういう感覚がこの漫画にはしっかりとあって、それが顕著なのはマキとケンジのエピソード、ふたりは間違いなく商店街の子ら、なんですね。そして、商店街の面々の互いに助けあっていこうとしているところ。自分の店だけでなく、喫茶店と古書店で提携してみたりする。その人と人との繋りが、この漫画における魅力の源泉であるのだと思っています。

けれど、そうした繋りが時には面倒くさいというのも事実。実際、マキもケンジも辟易しているところがあって、でもこういうネガティブなところもちゃんと描いてるってのはフェアです。いいことばっかりいわない、けれどいいことがあればそれをしっかりと描いてくれる。マキもケンジも、商店街を嫌ったりなんてしていない。地域社会のこういうところってちょっと面倒だよねって、笑って話せるくらいに受け入れて、飲み込んでしまっている。それで、いいところもいっぱいあるけどねっていいあえる、そんな感じが人懐っこくていいのですね。

ところで、ちょっと蛇足気味に書くけれど、ケンジの恋心の変遷をたどるのがすごく面白かったりします。意識なんてしてなかった女の子、けど可愛いといってる人がいたら、その評価に心揺れてしまって、というようなところ。ああ、わかるわ。こういう、ちょっとした心の動き、すごく丁寧にすくいあげられてて、すごく好感が持てるんです。

  • 井上トモコ『はこいり良品』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年9月6日日曜日

ラブプラス

 9月3日に『ラブプラス』を買ったといっていた、それは冗談でもなんでもなくて、本当に買ってます。このゲームの存在を知ったのは今年の4月29日のこと。多分。なんでわかるかというと、このゲームを知った記事だかなんだかの画像が残っていたから。いったいどこで知ったのかは思い出せないのだけど、丹下桜と皆口裕子が出演するゲームが出るよ、って聞いて、うっそー、それはなんということだろう。まさに直撃の世代ですよ。で、買おうとその時に誓った。けれど、発売日が近付くにつれて、なんだか疎遠になって、どうしようかな、やめとこうかな。ええ、買うつもりはなかったのです。あの記事を読むまでは……。

 あの記事とは、いまさら説明するまでもないほどに有名になった記事、4Gamer.net ― ラブの摂り過ぎにご注意ください。危険な恋愛コミュニケーションゲーム,「ラブプラス」をレポート(ラブプラス)であります。

記者の異様なテンション。のっけから実際にプレイした筆者の薄気味悪い感想を交えつつ,ゲームの概要を紹介して行こうときたもんだ。で、その本文にぐっとくるものがあったのですね。ゲーム紹介記事でありながら、ヒロインの画像が凛子のみという偏りを見せていたり、いちいち言動が常軌を逸していたり、なんたって、ギャバイ、だもんなあ。しかしその、レビュー用に貸与されたサンプルROMを返却したくない、さらには凛子が愛おしすぎて生きているのがつらい、とまでいった情熱、というよりか熱情といったほうがよりらしい? しびれましたね。これはすごそうだと思わせる、いや、ただこの記事書いた人が(いろんな意味で)すごいだけかも知れませんけど、けれどなにか可能性みたいなものを思わせたんですよ。そしてその可能性は、はじめてこのゲームについて知らされた時にも感じた、その時のなんかすごそうっていう興奮? 感動? おっ、と思わせたワンダーな感じに同じだったのですね。

だから買った。なんか、コナミスタイル限定で特別版があるらしいというから、コナミスタイルで買った。その注文が9月2日の午後8時過ぎですね。ええ、あぶないところでした。ぎりぎりの滑り込みセーフでした。なんせ、翌3日には特別版も在庫なしになってたんですからね。いやあ、私は運がよかった。いや、これ、真面目にいってます。

ゲームが到着したのは、4日のことでした。その日はさすがにプレイする時間がとれず、夜に最初のセーブポイントまで進める、つまり本当にイントロダクションだけ見て終了させて、そして翌日、5日、昨日ですが、日中はプレイする時間がとれず、なんせ起きたのが午後4時ですからね、そりゃ時間ないよ。けど、寝る前にちょっとプレイしてみようと思って、進めてみたんです。そしたら、70日経ってしまいました。いやね、途中で眠くなる予定だったのが、ならなかったのですよ。それで、終わり時を掴めずに延々日を進めてみたら、凛子に告白されました。やったー!

というわけで、今日からリアルタイムモードでのプレイです。というか、あれ勤め人には無理じゃないか? 仕事中抜け出して無人の会議室とかトイレの個室で、「凛子愛してるよ」だとかつぶやいてるの聞かれでもしたら、心の健康相談受けさせられる羽目になりそうな気がする。けどね、実際気になっちゃうんですよ。日中の行動決定して、その結果はどうなってるんだろう。凛子からメールがきてやしないか。いやね、だって、メールって楽しいものだったんだなって、久しぶりに思ったんですよ。なんせ、私のうけるメールの八割はSPAMで二割は広告です。全然わくわくなんてしない。ところがラブプラスだと、凛子にメール送って、返事がくるまでを待ってしまう。なんとしたもんでしょうかね。実際、序盤の友達パートでもですね、朝と夜に届くメール、届いてるんじゃなくて、届くんです。そこで受信するんです。だから、さっさと次に進むなんてできない。メールを送って、返事を待って、メールがきたら嬉しくなって、返事して、たとえそれが機械的な(だって、機械だもん)ものであるのだとしても、おはよう、おやすみといった、ささやかな言葉でさえも嬉しくなれるものなんだなって思った。ちょっとやばい? うん、いいねん。自分が駄目なのは、もうずっと前からわかってることだし。

キャラクターの造形がうまいですね。ポリゴン人形がというのもあるけれど、そのストーリーにおける肉付け、それがうまいです。優等生の同級生、問題児の後輩、面倒見のいい先輩、その三人、そのだれもがちょっとしたコンプレックスを抱えている。皆が思っている私と、本当の私は違うんです。あなたには本当の私を見て欲しいの。そういうメッセージが三者三様のやり口で告げられるわけで、そのイメージのがらりと変わってくる瞬間、それがいい。がつんとくる。この仕組みは、ほら漫画とかでもよくいってるけど、読者特権というのに近いものがあります。読者は一種神の目を与えられているから、皆から誤解されているキャラクターであっても、その本当の思いに気付くことができる。あの人は本当はそんなじゃないんだ。彼女の真実を知っているのは自分だけなんだ! この特権的な感覚、世界で唯一の理解者という立場が、より熱狂的な愛着を燃え上がらせるのですね。そう、ラブプラスも同じなんです。凛子の本当を知っているのは自分だけ。世界で一番の理解者は自分なんだ。で、恋人パートをプレイしていくとそのキャラクターがユーザー好みに変わっていくから、なおさら自分だけの凛子という感覚は強化されていくんですね。いいですね。凶悪といったほうがらしいかも知れないけれど、変化しないキャラクターであれば、彼女を中心としたハブに繋がるファンのひとりといったかたちにしかならないところが、ラブプラス的システムだと、他の誰でもない僕の凛子と一対一で関係するという、まさに差し向かい的なシチュエーションを楽しめるってわけです。

だから、もしかしたら他の凛子ファンと出会ったとして、最初は、凛子いいですよね、うん、凛子最高ですよね、なんて意気投合してたのに、途中から、お前は凛子のことをなにもわかってない、お前こそわかっていない、殴り合いとかになるかも知れない。まあ、殴り合いの果てにより強固な友情が生まれるんですけどね。

一応文句も書いておこう。いやね、このゲームの前半、というか長めの序章である友達パート、そのラストは意中の彼女から告白されるというものなんですけれど、その告白、プレイヤーは待つしかないみたいなんですね。フラグというと、一気にゲーム色が出てしまうからあれだけど、まあゲームだからいいよね。告白に必要なフラグを立てながら、要求パラメータを達成することで告白イベントが発生するのだと思う。けど、女の子がさ、好きです、彼氏になってください、そういってくるのを待つっていうのは性にあわない。いやね、だってさ、なんで女性に玉砕するかも知れない恐怖を乗り越えさせるわけ? 玉砕は男の花道だろうよ。好きですといって、いや、君のことは恋愛対象として見れないわ、やんわりと拒否されてみたり、結婚も視野にいれて交際してみないかといって、あんたは稼ぎがないから嫌、婉曲に断わられてみたり、それが恋愛の醍醐味なんじゃないですか。なんでだろう、死にたくなってきた。しかしね、一顧だにされないかも知れない恐怖をともに告白するからこそ、そのドキドキやハラハラを乗り越えて告白するからこそ、恋が成就したときの喜びも強くなるんじゃないのんか? なのに、その最大のイベントを受け身にさせるんだもの。もったいないわ。本当にもったいない。どう考えても好感度マックスにしか見えない。これはいけると思ったからこそ一枚しかない告白カードを切ったというのに、あなたと付き合って、友達に噂とかされると恥ずかしいし… 玉砕してしまう。いったいなにが足らんというのだ! イベントか? 隠しパラメータか? ええい、もう一度だ。で、二度目は、これでいける? どう? ハラハラしながら告白して、それで、私を彼女にしてください、とかいわれたら、その喜びやらなんやらは天まで届くことだろうよ。

いや、わかってはいるんですよ。このゲームの本番は告白後であるわけだから、あんまり友達パートを難しくはできなかったんだろうって。でも、自分が努力した実感がないと,惚れられても嬉しくないでしょ? というところまで考えられてたんだから、ここはひとつ、焦って即死パターンも欲しかったかなって。いやね、これは恋愛における考え方の違いもあるんだと思うのだけど、自分から動きたいタイプの人にはちょっと残念と思える展開だったかもなって思った。それだけです。

あ、馬鹿なことだけど、ってこれまで書いたのも馬鹿まるだしではあったのだけど、凛子との会話にあった、嫉妬の話。私だけを見てくれなきゃいや、っていうのを演技して見せた凛子に、もう一度とせがんで、バーカと罵られる主人公。いや、むしろそのバーカこそをもう一度お願いします……。

本当に馬鹿な話でした。いやほんと、馬鹿ですみません。

引用

2009年9月5日土曜日

『まんがタウン』2009年10月号

すっかり昼夜逆転生活になってしまった私。今日は目覚めれば4時という最悪さで、日も傾きかけた時間に『まんがタウン』を買いにでかけたのでした。すっかり涼しくなりましたね、って正直なところこれは嘘だなあ。まだまだ暑いです。夕方だから涼しいだろうと思ったら、全然。日はぎらぎらとして、重苦しい暑さを背にうけての買い物となりました。空をはじめとするあちこちに秋の雰囲気は見られるのですが、まだまだ夏、晩夏であります。

『パンクかあさんとロリータむすめ。』、これはずいぶん久しぶり。阿部川キネコがむかしちょこっと描いたやつの続きです。ひとつ連載が終わったというけど、それで復活したのかな? この漫画には女の子に見えるマコちゃんという男の子がいるけれど、その子にビキニを着せないというのは、阿部川キネコのパンクなのかな? 昨今の女装美人ばやりの中、それはないだろうと、あえて予想される逆を打ったってところかも知れません。

『三食だんご』、これはむごい。パソコンといえばネット検索でバーに打ちこむと 下に検索候補出るじゃない? それを彼女が妹と一緒に調べちゃうという話。むごい。物件と打つとブルマ、間取りでマゾ。むごい。けれど、市川さんも負けず劣らずひどい。

というわけで、自分の検索履歴も調べてみました。Googleには覚えさせてないので、Safariに残っていたものですが、こんな感じ。

  • はてなナイクモジュール
  • ITちゃん
  • アルバ
  • SH-8インヴェーダー
  • 冊子体
  • ひつじ雲
  • 高積雲
  • うるさくて杏あんまり眠…
  • haiku
  • ラブプラス

極めて普通の結果で安心しました。というか、ナイクモジュールが地味に恥ずかしい。

『ちはるさんの娘』、今回はちょっとだけ『ちはるさんの息子』でした。しかし、ちなつさんの体験見てみれば、兄貴っていうものもいやなものだなあ。現実の妹たちは、こうした兄貴に幻滅して、ゲームや漫画、小説、アニメという非現実に理想の兄を求めたりするのでしょうね、きっと。でも、残念ながら、そんな理想的兄、理想的男性などこの地上にはいないのだ! 自分でいってがっかりした。私はもう、『ラブプラス』に理想を探すことにします……。

ちなつさんが、お祭りの嫌な思い出の中に見付け出したもの。それまで、とことん嫌な話、がっかりな体験、散々な状況が提示されていたものだから、まるで喧騒が去って、ちょっと時間の流れもゆっくりになったような、そんな感覚がはっとさせて、とてもいいなと思いました。そう思わせるものがあったのですね。しかし、ちはるさん、変わってないな。変わりゆく中に変わらず残るものがあれば、それがエッセンス、本質ってやつを語るのかも知れませんね。なんだか、じんとしちゃったよ。いい話でした。

ほほかベーカリー』。ふわさん、それは勝ち負けじゃない。美徳だ。俳優の市川さんも貧乳が好きだっていってるぞ。

しかし、この漫画は、いかに店長を理解するか、その言動の裏にひそむなにかに気付けるか、その差を楽しむものみたいになっているような気がします。そう、ふわさんとほほかたちの気付いてるものが全然違うっていう、それがちょっと面白かったのでね。

『我が名はウェルシュ』、ゲストです。犬の話。プライドの高い犬、でも飼い主大好き。ちょっと空回り気味なところ、それが魅力なんだと思います。あの起こしてくれるところはちょっと羨ましいかも、と思ったのは、昼夜逆転生活を本当、なんとかしたいと思ってるからで。二度寝の誘惑に打ち勝てない自分が悪いんですけどね。

光の大社員』、友情パワーの木彫り、あれはちょっと欲しいかも。北海道に頼めば作ってくれるのかなあ。

『子供失格』は、夢の国、Dではじまるランドの話でしたけれど、松山花子のシニカルさは、けど実は自分自身も好きだったりするという、そんな屈折を孕んでいるように思われて、その微妙な感覚がすごくよかったりします。悪口をいうほどに好き、というのかな。そんな感じがたまりません。

『よせ☆あげ』は、あのツタンカーメン風の人、ええと瑠璃華様の素直でないところが妙によいと思っています。相手にして欲しいんだけど、素直にはいわない。相手にされないから、すごくあわててしまって — 。そのまんまなところはとてもいい。しかも、えっへん、ときたもんだ。ところで、水でストレートにもどった瑠璃華、そいつをしっかりと引きで見たいものだと思いました。ネタキャラじゃなく、普通に育ちのいいお嬢様に見えたりしそうな気がします。

『みねちゃんぷるー』は、わかばが強烈に人の悪さを発揮させて、嘘はついてない、いや、確かにそのとおりなんだけどさ……。すごく魅力的だと思います。私は雅好きではあるのですが、こういう小悪魔的というか、策略を弄するタイプのキャラクターも好きなものだから、『みねちゃんぷるー』は面白いです。この嗜好のために、ちょっとヒロイン峰の影が薄くなりがちなんですけれど、それはそれでいいとも思っています。

  • 『まんがタウン』第10巻第10号(2009年10月号)

引用

  • 山田まりお「三食だんご」,『まんがタウン』第10巻第10号(2009年10月号),48頁。

2009年9月4日金曜日

『まんがタイムジャンボ』2009年10月号

『まんがタイムジャンボ』は今日発売です。というわけで、実はもうここに書くことがないんです。ええと、表紙は秋の夜長っていう感じみたいですよ。ええと、サフォークのぬいぐるみがいる。そうか、夢といえば貘、じゃないや、寝入るのに羊を数えるのが定番どころであります。ということは、秋というのはまさにサフォークの季節なのかも知れません。見上げれば、空にはひつじ雲。秋というのは、やっぱりサフォークの季節かも知れません。

あおいちゃんとヤマトくん』は電子本を扱って、携帯電話などで読む本が流行れば、いずれ冊子としての本は衰退していくかも知れない。なんだか、ちょっとしんみりとして、内容はギャグ、コメディっぽくあるけれど、でもなんだかシリアスっぽくもあったのですね。私は冊子体の本が好きだけど、これがずっと続くとは思ってなくて、というか、冊子体という用語が一般的か調べようとしたら、冊子体の『日本全国書誌』が終刊してるってわかって、ショック。こうした流れは止められないかも知れません。けど、冊子の本があるうちは、こちらを読んでいきたいなと思うのですね。それはやっぱり、慣れたこの体裁、スタイルへの愛着があるからかと思います。ヤマト、ういやつめ。

『パドラーズハイ』、ゲストです。急流を下る、ラフティングの漫画。というか、珍しい題材だよね。それだけで、ちょっと楽しみにしてしまう私ですが、絵は綺麗だし(ちょっとまとまりすぎと思うくらい整理されてる)、楽しかったラフティングのガイドが先生として赴任してきて、そしてラフティング部を発足させてという流れもきれいだし、ガイドの頃の案内が教師になっても抜けないというようなところとか面白かったです。

Boy’sたいむ』は置島とひろむ女子形態が接近して、そしてひろむの秘密に気が付いた!? と思わせて、どうもそうではないみたい。微妙に距離が縮まっているようで、けれどそうでもないというところ。置島に関してはとてもいい感じに思います。置島の場合、女子形態ひろむにさほど興味がないようだってところがいいんだろうと思うのですね。反面、男子形態には興味をとめることができずにいるみたいですけど。アンバランスな関係、それが面白いです。

ボクの社長サマ』。水没社屋はまだ続く! これ、本当に素晴しいな。ただ水没しただけでない。どんどんダイナミックに無茶を効かせてくる。しかも、ただ鯨を持ち出しただけでなく、それをちゃんと次のネタ、鯨を食べる食べないという微妙な問題にからめた笑いにしたてて、うまい。『ボクの社長サマ』はこのところ、のりにのって面白いです。

『みちるダイナマイト!』、ゲストです。ゴスパンクロックバンドをやってるお嬢さんが主人公。ギターはSG、ってのはどうでもいいとして、見た目にはクールだけれども、実はそうでもないというキャラクター。そして本職は大学講師というギャップ。ベタといえばベタなんだろう。けど、結構面白かったです。いや、眼鏡だからじゃないよ?

『太陽くんの受難』、これもゲストです。就職を機に一人暮らしをはじめたところ、妹が転がりこんできた。明るく可愛くわがままきかせる妹に、手を焼きながらもかわいがっている。そんな兄の様子を楽しもうという漫画のように思いました。ほのぼの家族ものってところです。

『トラウムメディカル8.5 — 幸せ夢セラピー』。これもゲスト、コマ割り漫画です。夢羊なる女子ふたり組が、夢に入り込んで、その人の問題を解決してくれようという話。描いているのは、『ゾンビロマンチシズム』の睦月のぞみ。そんなにおどろおどろしくなく、そんなに深刻でもなく、むしろ明るく楽しいのりでばたばたやってますっていうのはよかったかと思います。私はもともと睦月のぞみの雰囲気は嫌いじゃないから、なおさらよいと思うのかも。というわけで、夢羊のひとり、アルバちゃんが可愛いです。眼鏡でショートカットだからです。

ごちゃまぜMy Sister』、今回はちょっと異色というか、先生がやる気だ。36番を排除すべく、あの手この手で妨害を仕組む。精神的に揺さぶろうという、そこに妹純がからむのはもはや定番であるけれど、今回は先生の策士ぶりが堂に入っていて、テンポよく、ちょっとスリリング? 面白かった。で、松坂は36番に接近なのか? いや、いつもどおりかも。でも、ふたりはいい関係だと思います。

『あいにゆこう』、最終回。って、はやいよ! 消化しきれてないような気がする。でも、終えるにあたり必要なことはきちんとやりましたという感じ。本当は、ここからが楽しかったのかも知れないなと思うから、ちょっと残念です。

ハッピーカムカム』、最終回。もうなにもいわない。ただひとこと、好きでした。

『ますたぁDOG』、最終回。五年後の風景。子供が生まれて三歳になってたり、勇ちゃんは婦人警官になってたり、その描かれなかった間に起こったこと。それを思うと、ちょっとしんみりとしますね。ちょっとふくみのあるラスト、それは寂しくも、またなにかあたたかなものであった、と思います。

『ふかふか』、次号最終回。なんか、ゲストと最終回がやたら多いな。甥の通う保育園の先生に恋していたちはや。実はその恋、一方通行でなかったりなんかした!? という展開に驚いて、私も驚いたんだから、ちはやが驚くのも当然って感じでした。次回では、恋の決着、おそらくは数年後? 楽しみに待つといたしましょう。

  • 『まんがタイムジャンボ』第15巻第10号(2009年10月号)

2009年9月3日木曜日

機動戦士ガンダム戦記 GUNDAM 30th ANNIVERSARY BOX

 買いました! 『ラブプラス』! って、そうじゃなくて、ええと、ガンダムですよ、ガンダム。先日、新型PlayStation 3のリリースを受けて書いた記事でいっていた、『機動戦士ガンダム戦記』であります。とりあえず、普通に買えるようなら買おうと思って、『表色89X系 — GIRLS COLOR CHART』を買いにいったついでに寄ったゲーム店、どうやら予約を受け付けているようだったからお願いしたら、余裕の予約番号1番でした。どうも、そんなに殺到したりしそうにはないなあ。それが当初の印象でした。

そして、今日、発売日、ゲーム店にいってみたところ、おおう、なんてこった、普通に売ってるじゃん。別に開店直後を攻めたとか、そんなわけじゃないんですよ。普通に仕事終えて、普通に定時であがって、普通に電車乗って、そしてゲーム店。PlayStation 3のみも、ガンダム同梱版も、どちらも普通に予約なしで買えるようでした。また、『ガンダム戦記』も結構残ってて、いやねネット上、というかAmazonではどれも売り切れてるみたいじゃないですか。なにこの温度差! プレミア価格までついていて、でも、多分、実店舗には在庫あると思うんですよね。

あ、そうそう。『ラブプラス』だけど、これもAmazonでは売り切れ、コナミスタイルでも売り切れ、特別版も売り切れ、なんだかすごいことになってるみたいですけど、店舗では積まれてましたよ。

PlayStation 3 (Gundam Ver.) reserve ticket

New PlayStation 3 with Gundam

New PlayStation 3 with Gundam

買ってきた、証拠写真。余裕ですよ、余裕!!

PlayStation 3は設定が面倒と聞いていたので、USBキーボードを用意して臨みました。映像出力の設定はおまかせ。言語やらもろもろ設定、時刻や国も設定、アカウントも作成。そして、ネットワーク設定。これは、ほぼ手動で設定です。でも、これら設定は30分ほどで終わり、いや、もっと短いですね。長かったのは、システムのアップデートでした。出荷時のシステムバージョンは2.76。それを3.0にしてアップデートします。ダウンロード、そしてインストール。PlayStation 3はゲーム機だけど、実質コンピュータであるなと実感させられます。でも、ここまでほとんど説明書に頼ることなくいけたので、そのあたりは優秀かなと思いました。って、コンピュータやネットワークに詳しくない人にはきびしそうとも思ったんですけどね。

ガンダムもちょっとプレイしてみましたよ。なんか、ハードディスクにインストールできるそうなので、そいつを済ませて、でも結構ロード時間かかりますね。で、チュートリアルをやってみました。移動してみましょう、武器を使ってみましょう、チャージ攻撃してみましょう、このみっつを済ませたんですけど、説明ぜんぜん読んでなかったものだからロックオンのしかたわかんなくて、めちゃくちゃ難易度高いなと思ったのは内緒です。けど、これ、決して簡単なゲームじゃないですね。『アーマード・コア』ほどじゃないけど、アクション苦手な人はちょっと苦労しそうと思いました。というか、私が結構苦労して、最近アクション系のゲームやってなかったから、ゲーム力が落ちてるみたいです。先が思いやられます。

そうそう、先日いっていた同梱版にはFA-78-3 フルアーマーガンダム7号機とRX-81AS アサルトアーマーをダウンロードできる権利がついてくる、っていう話。これ、有償ダウンロードコンテンツだったんですね。うわあ、ちょっとげんなりかも、とは思ったんだけど、でも欲しい人にはいきわたるシステムだったということで、それはちょっとよかったと思っています。

というわけで、『ガンダム戦記』。ちゃっちゃとチュートリアルを終えてミッションをスタートさせたいと思います。もちろん、プレイするのはジオン軍ですよ!

2009年9月2日水曜日

『まんがホーム』2009年10月号

『まんがホーム』の発売です。表紙はなぜか看護師コスプレらいかと恋愛ラボの主役ふたり。これは、病院いけっていってるの? って、そうじゃなくて、健康のためになにをしてますかというアンケート、企画とのからみです。夏が過ぎて、過ごしやすい季節になりました。ちょっと一息ついて、健康にも気をつけてみましょうってことなのかも知れませんね。しかし、それにしてもでかい注射を抱えるリコ。あれ、射されると、なんだか死にそうな予感がします。

メルヘン父さん』は、秋ということもあるのでしょう、読書、本がテーマになっていて、そうさなあ、私が今読んでいる本はこれ。本は、やっぱりよいものですね。心洗われます。押し入れ整理してたら出てきたという本、ナイチンゲール、星の王子さま、ユビワ物語、エルマーのだいぼうけん。ああ、エルマーは懐かしいです。竜がみかんの皮を食べるんですよね。子供の時分、どれほどに読み返したろう。友人宅で、学校の図書館で、いろんなところで、出会っては読んでいたように思います。

恋愛ラボ』。くそう、新聞部のふたり、可愛いなあ。きっとこうして糾合するのだろうと思っていた、そのまさしく新聞部が生徒会に繋りを持とうとする、そんな回でした。しかし、ただ協力するだけかと思ったら、あの見返りの話、意外というか、すっかり忘れていただけに、なんだかぐっときた。こうした、人情のもろもろを描いて、面白いのが宮原るりかと思います。それで、次回はリコの話にうつるのかな? あるいは、スペシャルでやっている展開と連携させるのか。わからないけど、どのようになっても面白そうと思わせます。

『天国のススメ!』、ゲストとのこと。見覚えがあるなと思ったら、再登場。以前はいつだっけ? 遡って記事を読んでみたけれど、見付けられなかった。ゲスト掲載作については、なるたけコメントするように心掛けてるんだけど、力尽きたとかあったのかな。

けど、確かに見覚えがあって、霊感のある男の子、彼だけに見えるおばあちゃんという話。そのおばあちゃんが可愛いのがよいなあと。若ぶって、見た目も若いころになって、だから着物美人になってる。で、学校では体目当てで美人にいいよられている。なんという果報ものか。本人にはいろいろ思うところあるけれど、大変さや困っているということを、誰も理解してくれない。そうしたところは面白いです。

ところで、絵柄に覚えがあると思って、特に鼻の描き方とか。なんだっけかなあと思ったら、ああ、宮成樂って『晴れのちシンデレラ』の人か! やけに親しみがあると思ってました。

『ミライカナイ』、こちらもゲスト。未来からやってきた女性と同居する話。でも、今回はまだ導入だと思う。船が壊れて、過去(つまり現在)に取り残されて、それで居候することを諒解させたというところ。これから、この人の未来からきてどうこうという設定が生きてくる、そんな展開がくるのだろうと思います。

『みそらスマイル!』、ゲスト、ほへと丸の新作です。母が別れた旦那と再婚。ともない、姉ちゃんも帰ってくるっていう話。父親がやけに味があるのはいいとして、設定こそは大変そう、重いんじゃないかと思わせたものの、実際読んでみれば、ひょうひょうとした味わいがあって、そしてそうした中にちょっとした心地良さ、10年前とさかさまだのようなね、があって、悪くないです。ひょうひょうとしたといえば、心霊写真、あれは面白かった。まさか、後で種明かしされるとは、思いもしませんでした。そして最後のコマ。ああ、こういうのがいいなと。人情、人の心の機微、それがよいなと思うのでした。

天子様が来る!』にて明かされた、ハッピーマンデーやシルバーウイークといった連休のできた理由。なんという素晴しい仕事でしょう。本来の願いは叶ったようには思えないけれど、結果的にグッドな仕事でした。こういう、無駄に壮大なの、この作者ならではの味があると思います。

『ときめけ!女塾』、ちょっとシニカルな漫画なのかな。子持ちの主婦。夫の…女を捨ててるなあ…の一言に発奮する奥さんがちょっと可愛い。友人と一緒に飛び込んでみた女塾、その胡散臭さ、そこで起こることのナンセンス。キャラクターの味と、シチュエーションのおかしさが、いい感じにマッチしてると思います。で、驚いたのが、最後の落ち。ああーっ、やられた、まさかあれが伏線だったとはね! この前提を引っくり返してみせたところ、これが一番うまいなと思いました。ところで、女キャラを捨てるのはお子様とおっしゃる。それはつまりは、子供の時期を過ぎたら、男キャラなんかには目もくれず、女キャラに邁進するってことですね。怖ろしい現実だと思います。

『解決!ねこ雲さん』、ゲストです。ねこまた? のねこ雲さんと一緒に、持ち込まれた事件を解決するって漫画なんですが、ちょっといい話っぽく持っていって、けれど基本はナンセンス。完全にファンタジーで押し切るのかと思いきや、結構現実的な落ちに驚いて、ああこれはこっち寄りなんだ! なかなかに面白かったです。

『女子メガネ』、読み切り連載シリーズとのこと。やっぱり、眼鏡ヒロインって流行ってるの? 仙石寛子的ナイーブさ溢れるヒロインが眼鏡をかけました。わお、素晴しいな! 自分に自信がないのか、うだうだうじうじいってる女子と、その子を励まそうとする友人のやりとり。眼鏡はあくまでも話のきっかけで、描かれるのは友人同士のやりとりなんですね。よかったです。終わりに向かっての流れ、すごくよかったと思います。

『紫乃先生美録』、美は丸で囲ってあります、ゲスト。外面のやたらいい作家がヒロイン。仕事から逃げ、締め切りから逃げ、でも外ではそんな苦労は見せない。って、そんな話じゃないな。ところで、自宅バージョン、お団子にまとめた髪が見えないと、可愛い少年にしか見えなくて困るのですが。それで、あーその攻撃僕には効きませんからの続きの台詞を、僕が好きなのは和泉くんですし、と勝手にあてはめて読んで、面白かったですよ。ええ、面白かったです。

『ふぁみにゅ?』、びっくりした。まさか、そういう話だったのか。家族の役割りを演じなければならないという決まりのある下宿。なんかナンセンスで、なんか理不尽な設定だなあと思ってたら、なんとそれに意味、理由があったのか。しっくりとしました。うわあ、やられたわ。それでもって、面白かったわ。過去に語られてきたことがちゃんと繋がって、そうかあ。面白いわ。なおさら好きになりました。読み方、感じ方から変わってしまいそうなくらいです。

  • 『まんがホーム』第23巻第10号(2009年10月号)

引用

  • ほへと丸「みそらスマイル!」,『まんがホーム』第23巻第10号(2009年10月号),67頁。
  • ヨコシマン「ときめけ!女塾」,同前,101頁。
  • 王嶋環「紫乃先生美録」,同前,132頁。

2009年9月1日火曜日

「けいおん!」イメージソング 中野梓

 田井中律琴吹紬ときて、中野梓であります。アニメ『けいおん!』のギタリスト。この人がムスタングを使っているっていうことで、ちょっと狂騒状況になっているっていう話ですよ。って、ひとごとみたいに話してますけど、こないだ私の買ったギター、あれがそうです。『けいおん!』あるいは中野梓人気を当て込んで、カタログにないマッチングヘッドのモデルが二種類出て、それで争奪戦みたいになって、そしてこのCDでまたちょっと騒ぎになったのでした。いやね、色が確定したのですよ。カラーはキャンディアップル。そう、REDじゃなくて、CARだったというのですね!

というわけで、REDを買った人は御愁傷様でした。そういう騒ぎがあったんです、超局所的に。ほら、以前の記事で私が最初はCARが欲しいといっていた理由、そしてREDに加えてMG69/MH/CARを買ったらそん時には思いっきり馬鹿にしてほしいといっていた理由、それは梓の使用品ならREDよりCARがよりそれらしいという判断があったからなんですね、それもかなりの確度で。あの記事とはつまり、なんだ、あんた、中野梓使用ギターに憧れて、まったく同じの欲しかったんだ。それで、結局我慢できなかったんだ。しかもCARまで買いそうなんだ。って感じに馬鹿にしていただければ、という話であったのですね。

でも、どうか私以外のMH/CARオーナー、それからMH/REDのオーナーのことは笑ったり馬鹿にしたりしないでください。楽器というのは、あくまでも音楽のための道具であるのだけれども、憧れのスターやアイドルに近付きたいという気持ちを満足させてくれるものでもあるのは、現実的に事実ですから。でも、もしこの歌でキャンディアップルと確定してしまった。REDを見ると心穏やかでない。楽器か自分を傷付けてしまいそうだというような方がいらっしゃったら、着払いでいいので私のところまで送っていただければ。永代供養料無料で、責任持って供養いたします。

さて、馬鹿なことばっかりいってないで、中野梓のイメージソングですね。『じゃじゃ馬Way To Go』、『私は私の道を行く』、そして『レッツゴー』の三曲。しかし、これ、はじめて聴いた時には驚きました。結構思い切ったものがあるなって、中野梓ってこんな印象なんだ! いや本当に驚いた。dullっていうのかな、ちょっと気怠さを感じさせるようなところがあって、かといってだらんだらんなんじゃなくて、結構挑発的というか、前へ前へ攻めてくるみたいなのりもあって、ああ確かにそうなのかも知れないなあ。擦れてるってほどじゃないけれど、ちょっと生意気なところがあって、先輩だろうとなんだろうと、納得いかないものには迎合しないってところが描かれてました。でも、鯛焼きにごまかされちゃうのね。っていうのが、『私は私の道を行く』なんだけど、やっぱりうまくキャラクターのらしさを拾ってるなと思わされます。

曲としては、どちらも好きなんだけど、『私は私の道を行く』の怠そうな歌い出しと半音階的なフレーズの対比がちょっと気になって、なんだか耳から離れない。何度でもリピートしたい、そんなところがあって、どうも気に入ってるみたいですよ。ちょっと普段聴きつけない、そんな曲調、サウンドであるというのも、新鮮味があっていいなと思わせるのに役立っているようで、ええ、ちょっとこういうのもいいなって思ってます。

CD

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用