2009年9月20日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2009年11月号

昨日に引き続き、『まんがタイムきららMAX』11月号について書こうと思います。というか、二日にわけるんだったら、最初の方のとばさずに、ちゃんと書けばよかったなんて思ったりする次第。でも、そうしたら二日どころか三日にかけて書くことになったかも……。まあ、なんでもほどほどがいいんだと思います。私が一番苦手なのが、そのほどほどだったりするんですけどね。

そして僕らは家族になる』、最終回です。好きだった漫画。ちょっとしんきくさかったりする感触が、とてもよかった。人と向き合うという際に、知らず知らず距離を置いてしまっていた。そうした幸助のスタンスは、なんだかすごくよくわかるんです。昔、人から、あんたは壁を作ってるって怒られたことがあって、そうなのかなって悩んだ。この漫画は、そうした人と人との間にある距離、それをどのように埋めて近付いていくかということを描いていたと思うから、なんだか気になってしかたがなかったのですね。しんきくさいというのは、人と人との間のことを描こうと思えば、どうしても出てきてしまう感情だと思う。私は普段、そのしんきくささを嫌って、人に対して距離を置いてしまってるのかもなと思って、ええ、こうしたしんきくささをどうやって自分のうちに引き入れるかっていうのが、人と付き合う、向き合っていくってことだと思うんです。この漫画は、そうした機微に対してとても真面目であったと思います。だからこそだと思う、私は好きでした。

こうして終わりを迎えて、その後を多少感じさせながらの変化。生活に変化は訪れたけれど、それでも残ったものがあって、それは昔に戻るってことじゃないんだ。出会って、向き合って、そこには確かさをもって感じられるものが生み出されていたってことなのでしょう。その感触はよかった、そう思います。お疲れさまでした。終わるのはやっぱりちょっと寂しいです。

『つかえて!コハル』、不景気は悲しい。私の学生時分に行き着けた書店は廃業しちゃったなあ、なんて思って、まあある程度生きてると、そうしたわびしさ感じることはあるわけですけど、この子らはこの若いみそらでその侘しさを感じてるわけか。なんか、切ないですね。しかし、そうした前提を語って、本屋さんまで潰れなきゃねという台詞、それを受けての月に5冊で足りるかな? なつきはそんなつもりでいったわけじゃないけど、それに応えようとするコハルの健気さがなんだかすごくよかった。こうした心の動きが感じられるようなところがあると、いいなと思ってしまうものだと思います。

表色89X系』、目玉焼きをどう食べるかでもめた話。って、これって揉める話なのか。あるいは『美味しんぼ』以来のことなのか、って、『美味しんぼ』の時点であれは揉める話題だったのか。というか、『美味しんぼ』って20年以上前の漫画なんだ! ともあれ、目玉焼きで揉めた話。というよりも、目玉焼きとかどうとか関係なしに、日常におこりうるちょっとしたすれ違いを描いて、感覚、好みの違いを擦り合わせることができなかった。けど仲違いしたことを反省して、溝を埋めようとする、そのプロセスがよかったのだと思います。しかし、その途中に明らかになった、つつじと雨音のけんかしない理由。なんだか一方的に酷い状況っぽい、けどなんだかそんな関係もよくない? なんて思えてきて、このふたりの関係、結構気にいってるみたいです。しかし今回は、雨音が可愛い回だったと思います。というか、この人は食べものがあると御機嫌な人なんですね。屈託のない笑顔、魅力的でありました。

ぼくの生徒はヴァンパイア』がなんだかえらく大変なことになって、意識しすぎて言動がおかしくなってしまうカミラが可愛いのはいつものことなので特記することもないのですが、そのカミラが先生にあんなことやこんなことを! なんというドキドキ展開だろう。というか、ヴァンパイアも汗かくんだ。で、それを気にしてしまったりって、なんという可愛さだろう。で、先生はこれでも気付かないってことはないだろう。すっかりその展開に驚いて、それで次号はどうなるのだろう。どうにかなったら、メイベルさんに酷い目にあわされそうだけど、それはお仕置きなのか嫉妬によるものなのか。いずれにしてもありかもなって感じ。続きがすごく期待されます。

超級龍虎娘』、相変らず面白いなあ。必殺技とか、わかるわかる。思い出すと悶え死にしそうになるよね。で、それを成人した今になってまたやっちゃうんだ。いかす。龍楼にはショックみたいだけど、まあ普通ショックだろうけどさ、大人になってもなおそれをやらかしてしまうほどの楽しい状況を生み出してしまう毬虎がすごいんでしょうか。あとで振り返って、ショックを受けたりするのかも知れない。けれど、こうしたできごとで、昔の感覚を思い出すことができたっていうのは、なんかやっぱりいいよねって思って、暮らしのうちにまぎれてわからなくなってしまう、昔の思い。それを取り戻すっていう。こういう体験は、大人になるほどに、年を重ねるほどに大切と感じられるようになるのだと思います。

『クラブサンド』、ゲストです。太めの線で描かれた可愛い絵柄なのだけれど、ちょっと見づらくも感じられて、これは雰囲気と見やすさがトレードオフの関係になってるのだと思う。見やすく整理したらこの雰囲気はなくなってしまうんだろうって思うと、いろいろ難しいなって思います。料理部に所属する女の子たちがわいわいとやっている漫画です。今回の料理部としての活動はケーキバイキングにいくというもので、そのちょっと裏技、というか微妙に問題があるっぽい活動を通してわかる彼女らの人となり。世間知らずだったり、真面目なわりにロマンチストだったり、そして可愛いもの、楽しいことには貪欲だったりするヒロインたち。その、個性にひかれるものがあれば、きっと面白いと思える漫画だと思います。

『魔法少女☆皇れおん(仮)』は次号最終回! おおう、なんだって!? なんだか深刻そうな雰囲気。でも、なんかひっくり返されそうな気もするんだけど、深刻でいくならいくで、ひっくり返してしまうならそれで、どちらでもきっと私は楽しめると思う。けれど、あんまり深刻すぎたりしないといいなと思ってます。この漫画の、男女逆転的なところ。ササの雰囲気とか好きだったんですよね。だから、よい最終回となればよいなと思っています。

まん研』、最終回です。で、話題は定番の最終回について。ようやく二人きりになれたな! につけられたコメント、誤解を生む会話とか、なんだか笑ってしまいましたよ。それに、女のヒロインなんて飾りよとか、一瞬、? って感じになって、ああ、ああ、そうか、そういうことか!

この漫画の最終回は、誰も死んだり、大変なことになったりしてないけれど、いつもどおりに、みんなで楽しそうにわいわいとやって、顧問も含めて第一第2総出でカラオケとか、そのいつもどおりがとてもよかったように思います。いつもどおりに馬鹿な話して、そしていつもどおりをちょっと特別な感じに描いて終わる。あたしは最終回って気楽なカンジでさり気なく終わる方が好きですねってことなのかな? さり気ない、そうしたなんでもないところに、好きだった、そしてこれからも続いていくだろう日常が描かれる。確かに悪くはないかも知れませんね。だから『まん研』の彼女らの日常も、この後も変わらず楽しく続いていくのでしょう。ただひとつだけ変わっているのは……。

描き文字に凝ってたしいなが、最終回にてもザシャッと描き文字使っているのは、サービスなのかな。ああいう、なんでもないことを盛り上げて騒ぐ、そのテンションが好きでした。でも最後はあんまりテンション高くなく、ちょっとしめやかで、それは終わりということをちょっと意識させて、でもいい終わり方だったと思います。

ワンダフルデイズ』は、たきびさんにスポットライトが当たって、この人、ただ見た目が子供ってだけなのか。中身はどう考えても子供じゃない。食の好み、そして結構くたびれてるところなんかも。こうした、夢を見せてくれないところ、しぶいところ、それが荒井チェリーの味だと思います。そして、たきびさんのファンが増えた。それも微妙に特殊な増え方して、なんだか私もドキドキしてきましたよ!

そして『かなめも』アンソロジー小冊子。載ってるの、どれもうまいこと雰囲気を作っていて、『かなめも』らしく、それでいて作家それぞれのらしさも出ていて、面白かったです。未影のちゅッ ちゅーはしませんからね!!? とか、ねことうふの一緒に入るのじゃ! かな!! とか、本当にそれっぽい。榛名まおのニヨニヨなんてのは、この作者の味が出ていてとてもいい。こういう、対象のらしさがあって、そして作者のらしさがあるっていうところが、アンソロジーのよさだなって思うものですから、『かなめも』アンソロジーはすごく楽しく読めました。でもって、鈴城芹は「ひなめも」、ひなたをメインにあつかって、そういえばこの人、『けいおん!』アンソロの時は和ちゃんとさわ子先生でした。好みが似てるのかな? あるいは描きやすかった? なんか妙に嬉しく思ったりしたのでした。

ところで、白雪しおん、面白かった。「成し遂げた顔」とか、え? と思って、ああー、ああ、ああ。面白かった。シンプルなだけに、はまると威力あります。ええ、なかなかのインパクトでした。一瞬遅れて着弾したから、余計に面白かったのでした。

  • 『まんがタイムきららMAX』第6巻第11号(2009年11月号)

引用

  • ねことうふ「つかえて!コハル」,『まんがタイムきららMAX』第6巻第11号(2009年11月号),156頁。
  • うおなてれぴん「まん研」,同前,201頁。
  • 同前,204頁。
  • 未影「レモンの味といちご味」,『かなめもアンソロジー』(『まんがタイムきららMAX』第6巻第11号付録),7頁。
  • ねことうふ「あなたとコンビニ」,同前,19頁。

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