2009年11月9日月曜日

『まんがタイムきらら』2009年12月号

本来はここに書くことではないのですが、感動が薄れないうちに書いておきたい。ええと、『ふわふわ時間』のハスキー唯バージョンが当たりました。正直なところを申しますと、アニメ『けいおん!』Blu-ray Disc第1巻が初動で3万3千だかを売り上げたと聴いた時に、ああ、これは駄目だ。はずれたなって覚悟した。実際、抽選の様子、会議机にうわっと積み重なっている端書を見て、ああ、こりゃ駄目だと思った人は多いのではないかと思いますが、私もそのひとりでありまして、これは期待しない方がいいと思っていたら、当たった。今日、届いてた。なんということでしょう、神さまに感謝します。といったわけで、『まんがタイムきらら』12月号、本日発売。『けいおん!』、唯と澪のふたりが映える表紙であります。

そして『けいおん!』本編は学園祭に突入して、このあたりの着々と進行するところ、流石ですね。いやね、実はためを作るんじゃないかなって、今回は学園祭の演奏直前で止めて、それで次号ステージの幕が上がる! みたいなのをやるんじゃないかと思ったら、いやいや、普通に進行して、クラスでやる演劇の舞台も描いて、先輩がこないことを心配する梓の心境も描いて、そして恒例の前日泊まり込みからステージ、そして終演までを一回でやってしまった。おおう、すごいな。これ一回でやるなんてもったいないとか思ってしまうのは、私が貧乏性だから? 実際、今回は3年生にとってはこれまでの集大成であり、漫画にとっても堂々のクライマックスであったと思います。

みんな、すごく表情が豊かでね、本当によかったのですよ。いい回だったなあ、と思うのだけど、気を抜くと最終回? みたいに勘違いしてしまいそうです。ほんとう、いい回でした。

ゆゆ式』。タオルを顔にあてて感じる人ん家のにおい。ああ、人の家のにおいってありますね。友達の家にあがるたび、その家のにおいを感じるんだけど、それが気にならなくなったら、親しさも深まった証拠。そんな風に思ったり。いやね、昔の話。そして話は、昔の唯、縁の回想になって、友達をうちに呼ぶ、恥ずかしい、その気持ちわかります。それも、いいとこのお嬢さんだと思っていたならなおのこと。でも、いいとこのお嬢さんは人ん家でタオルケットかぶったりはしないような気が……。こういう子供時代のエピソードみたいなの、なんだかいいですね。実はこういうの大好きです。

ふおんコネクト!』、こいつは驚きました。これ、正規の設定ってことでいいのん? なんだか謎めいた雰囲気もってる夕姉さんでしたけど、こんな設定だったのか。正直驚いて、謎めいたどころの騒ぎじゃない。ほんとにこれなのか。ちょっと錯乱しそうなくらい驚いて、へー、ほー、うーん、話としては面白いけれど、『ふおんコネクト!』は現実と非現実の端境くらいを突く漫画なんだと思ってたら、思いっきり非現実に踏み込んでいく、すこし不思議どころではない、もうまったくもってしっかりと不思議。そんな世界であったのかと、いや、もう、驚きました。でも、その思い切った設定。いや、思い切ったとか、私が思ってるだけなんですけど、これはこれで悪くはないなって感じ。話自体もよくできてたと思います。ただ、驚いた。驚いただけです。

『PONG PONG PONG!』。えらいこと面白かったです。またも暴走するたぬき。後始末する祐太。けど、なかなかに悪くない展開じゃん。いい感じじゃんかとわくわくしました。なんだかこの人の描くお嬢さん、可愛いんですが、荷物運んでた子さん、水ぶちまけられた子さん、コピー機つまらせた子さんに、ポスターボロボロにされた子さんふたり、そして蛍光灯替える子さん。わお、みんな可愛いな。そんな子たちと祐太は自然に知り合っていって、ああこれは下心なんてなしに、無我夢中で、困ってる人、まあ発端は祐太といってもいいんでしょうが、大変なことになってる人を助けようとした、その姿勢がきっとよかったんでしょうな。でもって、好青年度をプラスした祐太、しかしなぜか人をいらつかせるらしい。なんでなんだ。身についてないからなのか? 不憫よな、祐太。しかし、あの状況でモテてるわけじゃないっていう、そのくだりが一番不憫だったと思います。

そうか、ああいうのは便利に使われてるだけなのか。そうか、今、我が身を振り返った気がするよ……。

表紙、図案きてますね。これに色がつくんでしょうか。こうして見ると、たぬき、思ったよりも大きくて、けど可愛いなあ。こんな美少女に手をつないでもらってるだけで、もう充分人生いききったといっていいんじゃないか、祐太よ。それ以上は贅沢ってもんだと思うぜ?

『つかえて!コハル』、MAXからゲストだそうです。そうか、ゲストだったのか。普通に読んでしまってました。しかし、今回面白い。雨の日。忘れられる傘。ずぶぬれ。粗忽もののせいでずぶぬれが伝染して、しかし笑いごとじゃないっすね。この状況が悪化するところ、笑いごとじゃないといいながら、すごく面白かったです。うん、こはるは粗忽もんなんですね。そういう表現がすごくしっくりくる娘だと思います。

三者三葉』は、体育が苦手な葉山先生の話から。いやね、ほんと、運動が苦手なものにとって、体育とかいうのは鬼門も鬼門。実技系ですからね、やりすごせない。無理矢理に参加させられる。もう、嫌いだった。けど、葉山先生ほどではありませんでした。もしあそこまでいったら、とりあえず授業参加拒否するだろうなあ。そして話は葉山と西山の対決、猫写真の可愛さで競おうという、そんな方向に動いて、しかし葉山ちゃんの…しねぇ…、えらい物騒だなって、最初読んだ時、えらいこと驚きました。しかし、ふたり、こんなにも趣味があうのなら、いっそ友達になっちゃえばいいのに。

こどもすまいる!』、きっと、おつかれさまです、で見送ろうと思った最終話。将来の夢はなにという話、こどもたちに聞いて、絵にしてもらっての、そうした流れはまさに王道であるといってもいい、そうしたものであったのだけれど、それゆえに決まるとがつんときますね。登場人物の紹介、毎回のお題、今回はおつかれさま、それ一色で、だんだんに最後に向けて話を持ち上げていって、そこであの絵が開く。ああ、いい話でした。これまで読んできて、楽しいなと思ってきた。それを最後をこう閉じて、ああ、この先生はむくわれているのだな。そう思えて、やっぱりおつかれさまでした、そういいたい。そんな話。ちょっとほろりときちゃいました。

『まいにちアップデート』。これ、好きです。志信が漫画にはまって、それで今回は絵を描いてみせて、そうしたらそれが結構うまかった。ノエリアさんが気にいって、そのいきおいでWebに公開しようということになって、なんだかほうけた娘、そんな印象だった志信の世界がだんだんに変わっていく。ああ、これはよいよ。素晴しいね。そう思いました。そして、志信がこうした世界に踏み込むきっかけとなった兄、彼がちょっと関わってきて、ああ、この展開、ベタといえばベタだろうけど、いいよね。そう思える。なんか、楽しいぞって、そんな感じにわくわくしています。

ところで、どうでもいいけど、サイトやBlogというのは反応を求めてやるものじゃない。これは、真っ暗な井戸の底に向かって叫んでいるのと同じなんだ。ただ井戸なら反響が返ってくるだろうけど、インターネットは底が見えないから、なにも返ってこないのね。それが私のインターネット観。だからこそ反響するなにかに出会えると、嬉しくなっちまうんでしょうね。志信の喜び、すごくよくわかるんですよ。

『境界線上のリンボ』、とてもよかった。アポジーさん、月の人だったのか。しかも、本当に月にいく。その月の描写、静かで、暗くて、ファンタジーと科学的のいりまじる感覚、ちょっとしびれちゃいましたよ。そして帰還。いや、今回、すごく素晴しかったです。これはちょっと、ほんと、いいなあ。この漫画における世界の広がり、それがものすごくて、雄弁でした。

『涼宿チェックイン!』、登場人物が増えて、人見知りの女の子、チカゲ、旅館で働くことになった。その娘さんとうちとけていく、その感触は実際いいなと。こうしてキャラクターの個性が細かく描写されることで、より近付いていくと感じられる。そのだんだんに親密になっていく感覚、チカゲの感じているものを、読者である私も近しく得ている、そんな感じもして、読んでいて悪くなかったです。

『天狗ちゃんとあととり娘』。神社の娘、蛍が神社に祀られている天狗さま、ちっちゃい美少女、ひよを連れて外に遊びに出ていく。それだけのことといえばそれだけのこと。けれど、ただ公園で遊ぶ、そうしたところに面白さ、ひよが感じているだろう楽しさ、わくわく感ですかね、それがあらわれていて、よかったです。そして、真面目な娘、若葉とひよの距離がちょっと近付いて、なんかこの距離感に戸惑いながら近しくありたいと思う、そうした心情の描写、よいなあって思えて、面白かったです。

『ハッピーホームベーカリー』、この漫画もキャラクターが動いてきて、悪くない感じです。パン屋の娘なのに、パン焼くのは苦手、けどカレーなんかは得意っていうアキラ。けっこう皮肉屋だったりする彼女ですが、それをまったく受け付けず、素直に素直に反応するユエ。いい感じじゃんかと思うわけですよ。そして、猫を拾う。ただ拾うだけじゃなくて、ちょっとすっとぼけた落ちもつけて、こういうところもよいなあと思います。ちょっとゲスト、いい感じと思うのが多くて楽しいです。

そしてMy Private D☆V。『おまもりんごさん』のmsの描く、セーラー、カーデ、タイツの女の子。このちょっともったりとした、垢抜けないんだけど、そのほわっとした質感、すごくいいなと思います。実際、スカートは短いよりも膝下くらいのが魅力的。それは本当です。いや、このイラスト、すごくよいですよ。

  • 『まんがタイムきらら』第7巻第12号(2009年12月号)

引用

  • 荒井チェリー「三者三葉」,『まんがタイムきらら』第7巻第12号(2009年12月号),99頁。

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