2009年11月24日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年1月号

 『まんがタイムきららフォワード』2010年1月号が発売です。表紙は『トランジスタティーセット — 電気街路図』。いや、この表紙、実にいい感じだと思います。いや、別に見上げ構図がいいっていっているわけじゃなくて、メイドさんみどりのちょっと驚いたという表情もよければ、あの、袖やリボンの質感も印象的で、ぱっと目もひけば、動きも感じられる、いいイラストだなあと思える表紙であるのですね。メイドの衣装、布が沢山というのもよいのかも知れません。もともと布のひらめく感じが好きといっている私です。この表紙がよいと思うのも当然なのかも知れません。

『空色スクエア。』、文香の田舎に戻ってきた理由というのがはっきりと明かされました。作りもので取り替え可能な存在としての自分。どんどん本当の自分とかけはなれていく、そうした状況に耐えられなくなって戻ってきたと告げられて、そうか、これでようやくもうひとりのヒロイン深雪との対比がなりました。ふたりともに、本当の自分を失っているっていうのですね。片やふくれあがる虚像がために見失って、片や記憶もろともに失ってしまったという、その自分自身を見付けて欲しいと願う、そうしたところがテーマであるのでしょうか。虚勢やごまかしをとりはらった文香、そのニュートラルな表情、こちらを見つめる素朴な視線はいじらしいと思えて、ああこうしたふたりに修一は挟まれるというのか。

状況がはっきりとしてきて、読み手としても、それでどうなる? とのめり込むような感覚になって、これはいい緊張をはらんだ状況であると思います。でも、正直、私は、あんまり修一くんのこと期待してないよ?

さて、表紙で触れた『トランジスタティーセット — 電気街路図』でありますが、本編、エミ太くんが素晴しいな、というのは置いておいて、アフレコレポートのとりしらべ室って本当なんでしょうか。お疲れさまです……。

『キスメグルセカイ』、新連載です。勇気を出して先輩に告白した女の子、めぐるが平行世界を渡っていくという話のようです。行き着く世界は、めぐるのもともといた世界に近似しつつも確かに違う。けれど、その世界世界にいるめぐるの思い人環先輩が彼女を助けてくれるだろう。ちょっとロマンティック、すこしふしぎ、な話です。

『少女素数』。パパが帰ってくる! で、今回はサイレント展開? と思ったら、途中からトーキーになりました。ちょっと着せ替え風味もあって、パパをお迎えするためにおめかし、そんな様子がなかなかによかったのでした。でも、私の一番気にいったのは、文句いいながらじゃが芋の皮剥きするあんずでした。素朴で、所帯じみてて、とても魅力的だと思います。あの、エプロンの大きな木のボタンがかわいいですよね。でもって、鉈。

据次タカシの憂鬱』がなんだかシリアス展開? いや、いい感じだと思う。いつもは意図しない誤解に振り回されて、結構な酷い目にあってしまうタカシを暖かく見守ろうというこの漫画が、今回はなんか、誤解ではあるものの、結構いい感じに進んで、よかったじゃん、タカシ。むくわれたじゃん。と、思わず拍手喝采です。いや、タカシは憎めないいい奴です。たまにはいい事あってもいいじゃないかって思うんですね。

『わたしたちは皆おっぱい』、ゲストです。っていうか、すごいタイトルだな。ちょっと怖い雰囲気がチャームポイントのヒロイン、鎌上さんの秘密は、おっぱい大好きということだ、そうです。クラスの女子のおっぱいを触りたい、そうした思いはつのるばかり、あまりに思い詰めるものだから、視線は自然するどく研ぎ澄まされて、その雰囲気が周囲に人を寄せ付けないときた。しかし、そんな彼女に転機が訪れます。転校してきた女の子、野原紗彩と親しくなった。しかも、おっぱいの大きな女子ときた。もりあがる鎌上さん。しかし秘密を知られたら、変態と思われるかも知れない。葛藤する彼女。なんかすごいよね。

基本的には、自分の本心が明らかになることで友人が離れるかも知れない、そうしたテーマのバリエーションであるのですが、あまりにおっぱいおっぱいいうもんだから、なんだかなあって思っちゃいまして、けど面白かったです。思い詰める鎌上さん、至福の鎌上さん、そしてハッピーエンドの鎌上さん。それぞれの表情、とてもよかったと思っています。馬鹿馬鹿しいなかに、不安に揺れる気持ちとかうかがえて、そのギャップ込みで面白かったです。

銘高祭!』、終わりました。のっけから桐原の引導わたされるシーンがきて、正直ちょっと驚きました。前回で彼の落胆は語られた、そう思ったのに、駄目押し!? と、その後にみちえとたけるふたりだけの後夜祭とでもいったらよいのでしょうか、祭の終わった後のさみしさと、けれどそれでも確実に残るだろうことの語られるシーン、ああ、やっぱりこれは思い出の物語でもあったのだ。とてもよかった。ノスタルジー感じさせる、味わいのある漫画でした。

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