2009年11月30日月曜日

PONG PONG PONG!

 『PONG PONG PONG!』の単行本が出ましたよ。『まんがタイムきらら』にて連載されている漫画であるのですが、これが面白いんです。主人公は浅子祐太、男子高校生。彼がたまたま見付けたお社に祈ったら、神さまがあらわれましてね、それがなんと狸の神さま。お稲荷さんなんだけど、狐じゃないんですね。しかも、ただの狸ではなくて人の姿してる。ものすごくキュートな女の子。巫女っぽい装束身につけて、胸元には勾玉、頭には狸耳、そして尻尾だ。ものすごくキュート。さて、そんな狸に祐太が頼んだ願い事というのがモテたいというもの。かくして狸の神さまリコが、祐太の願いを叶えるべく奮闘するという感動の物語がはじまります。

いや、奮闘はしていないか。少なくとも第1巻では巻末にいたるまで頑張ってない。願いを叶えるといって祐太にとり憑いたというのに、邪魔にされて家から追い出されたかと思えば、新聞部部室に住むようになってからも堕落して、もうほんとどうしようもない。けど、それでもご利益はあるのか、綾瀬川真由というクラスメートと親しくなったり、それから高坂先輩っていう美人のお姉さまと知り合いになったり、これまでとはまるで違った環境に身を置くこととなって、やったじゃん祐太、といいたいところだけど、モテてるかといったら決してそんな感じでもないっていうのが味噌です。特に高坂先輩、彼女は人物紹介にてヘンタイさんと書かれるような人ですから、もうたいがいです。

この漫画、キャラクターの味わいがいいんだと思います。可愛いかといわれたら、リコも真由もすごく可愛い。けれど、ただ可愛いからいいってわけじゃないんですね。リコの、見習いとはいえ神さまであるというプライドがそうさせるのか、ものすごく尊大に振る舞おうとするのだけど、全然身についてないところとか。それどころかかなりあかんたれであるところとか。見ていてすごく微笑ましい。主人公の祐太にしてもそうで、お前さん、もうちょっと考えて行動したまえよといいたくなるようなところ、よくいえば素直、悪くいえば雑。けど、けっこう感動屋だったり照れ屋だったり、男子高校生相手にこんなこといいたかないけど、可愛いやつだと思うですよ。こうした傾向は真由にもある。すごく素直ないい子。自分の欲求に素直で天真爛漫で、笑顔が最高で、明るくて、やさしくて、世話好きで、人好きのする性格で、過去の自分の行動振り返って反省したりする殊勝さなんかもすごくいい。

こんな具合に、素直であっけらかんとしたいい子たちが、真っ直ぐに向かいあって、わいわいとやっている。折々に協力してことにあたる、その時の楽しそうなところがすごくいい。時折見られる、厳しいつっこみ、駄目出しなども、効果的にアクセントをそえて、小気味よい。もう本当に楽しい。仲いいなあって思いながら読んでいます。あとヘンタイとの誉れも高い高坂先輩。彼女のリコを猫可愛がり、狸可愛がり? するところ、直情がすぎるところ、祐太を粗末に扱うところなどは、この漫画における酷さを一身に引き受けようとするかのようです。しかし、彼女が酷いといってもなんだか心地よい酷さとでもいったらいいのでしょうか、ナチュラルに祐太を袖にしたりするところなどそんな感じで、けどこの人も根は悪くないんですよね。ただリコに対する執着が強すぎるだけ、そのせいで他が目に入らないだけで。

こうした、個性的ないい子たちと、強烈に個性的なひとりの織り成す日常の風景がきらきらと輝くように楽しくて、私は毎号を楽しみに楽しみにして読んでいます。また、最近加わったリコのお師匠様。彼女もまた一癖二癖ありそうで、リコに、祐太に、漫画の展開に、いい刺激を与えてくれています。日々の出来事が描かれたかと思えば、祐太の願い叶えようと無茶するリコの嬉しくない頑張りなど、見せ場はほんとにいろいろあって、それがすごく面白くて、きっと私の今一番に気にいってる漫画って『PONG PONG PONG!』なんじゃないかなってくらいに好きになっています。

  • リサリサ『PONG PONG PONG!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

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