2009年12月4日金曜日

『まんがタイムジャンボ』2010年1月号

『まんがタイムジャンボ』2010年1月号が発売です。すごいな、もう新年ですよ。表紙は重野なおき新作『じょしもん』がメインで、サブには『おねがい朝倉さん』、『中2限定!?ガールズトーク』、『パドラーズハイ』とあって、『じょしもん』ヒロイン美々と朝倉さん、そして『パドラーズハイ』のふたりが毛筆手にしています。いやね、これ、最初なんだろうって思って、最初に筆を意識したのが『パドラーズハイ』だったものだから、部員勧誘のポスターでも書いてるのかと思いました。いやいやいや、どう考えても書き初めでしょうよ。しかし、いよいよクリスマスが近付いてきたなあと思いはじめたこの頃に、新年。雑誌というのは実に気が早いものでございます。

『じょしもん』。新入部員がひとりはいりました。ミジンコ好きのクールな女子。五所ヶ原和泉。第2話読んでみての印象は、『のの美捜査中!』っぽいって感じでしょうか。そして『中2限定!?ガールズトーク』、こちら連載になりました。主人公、でいいのかな、教師ヒカルはどうも同僚教師百合子先生のことが好きなようで、で、百合子先生はヒカルのこと、別に好きでもなんでもないという、そんな関係です。携帯小説で泣くヒカル、追求する生徒たち。どたばたとした感じが面白いです。

『みちるダイナマイト!』、みちる変装中の扉絵が可愛いです。しかし、この人は背が高かったのですね。なんだか意外な感じでした。でも、背の高い女性も魅力的だと思います。パンクロックバンドでギターボーカルしていることを隠している人のいい大学教員。彼女と、知らず両方のファンである学生のふたりが、だんだんに知り合いながら、自分の価値を確かなものとしていく、そうしたくだりはなかなかによいなと思えるものでありました。

『ちょいのり。』、ちよ姉の兄登場。今回は兄の運転。ちよ姉と兄、そしていのり三人で特売にいく話。仲のいい兄妹。いいたいこといいあって、けれど喧嘩したりはしない。いい距離感、いい関係です。兄はやっぱり兄で妹たちをあたたかく見守ろうという気持ちを忘れてはいないし、妹はなんのかんのいっても兄に甘えるような雰囲気ただよわせて、けどべったりじゃない。そのバランス、読んでてとてもよかったです。

『あまぞねす?』。前回、デザイン会社に就職したふたり。PC使えないと仕事にならないのに、まったくコンピュータ使えない。なので、小学生の女の子楓に教えてもらうのですが、その様子がすごく面白かったです。教室がはじまって拍手。起動して拍手。その度に照れる楓。目が線になって、顔の輪郭がゆるむのね。可愛いなあ。この人の絵は割とかっちりしてるのに、それがゆるむと印象が全然違って、いい感じ。大人ふたりも、いい感じに頼りなくて、その様子が面白い。期待してた以上に面白くて、ちょっと気にいってしまいました。

『太陽くんの受難』、まだゲストです。美人のふたご姉妹に翻弄される太陽くん。結構ひどい双子。けどその酷さがよいです。いい感じにざっくばらんで、また酷さのタイプが姉妹それぞれで違うっていうのもよくて、楽しいです。

『しすコン!』、ゲストです。妹が結婚すると聞いて、結婚に対する意識が急激に上昇した姉美紀の話。これ、結局はケンちゃんに決着するんだろうなって思うんだけど、というか、ケンちゃん、あんたどんだけあかんたれやねんと、それこそ素面の時にそれをいえんでどうするねと、思ったりしたのだけど、ケンちゃんがあかんたれじゃないと成立しない話でもあります。これ、ケンちゃんがいなかったらただ危なっかしいだけの娘の話になっちゃうし、保護してくれる人、それで信頼できる、そんなサポーターが必要なのでしょう。で、それがケンちゃん。必要だけど、ちょっとあわれなポジションです。

なのはなフラワーズ』。この展開を思いもしなかったなどといってしまうのは、それはつまり読者である私も、彼女たち同様にいつかきっと訪れることをうす目で遠くに見ようとしていたということなのでしょう。しかし人は悲しい未来、切ない未来が刻々と近付いてくることをしっかりと理解しながら、それに目を向けることをいさぎよしとしないもの。いや、理解しているからこそ、直視することに耐えないのかも知れません。大泣きのモーリー。切ない告白。これは涙を絞りました。これは、切なさに胸をしめつけられる思いでありました。

Boy’sたいむ』は、いつもどおりのひろむのドタバタかと思ったら、なんと置島が核心に近付いた!? 驚いた。これは!? と思って、そうか、置島はついにひろむが最近はやりの女装少年と気付いたか。女装した自分に恋してしまっているひろむを思って胸さわがせたりなぞするのか。なんて感じにわくわくしてたのに、ちょっと状況は巻き戻されて、いやあ、なかなかにいいじらしっぷりであります。

『江戸川スイートエージェンシー』。私は恋人がCGですが、心配なんざこれっぽっちもありませんことよ? ところでカマ男、なぜか違うカマ男かと思ってしまい、別の意味で郁巳クンを心配したりして。けど、まあ、あれがあれば一撃ですわな。

『パドラーズハイ』、やっぱり面白い。やってることは、川に出て、ラフティングやって、水サイコー! ハイになっての繰り返しなんだけれど、けれどまったく同じことやってるわけじゃないっていうところがよいのですね。今回はというと、スタート地点とゴール地点の設定、速やかな撤退可能態勢を事前に構築しておくなど、そうか、なかなかに深いものがあるなと感心してみたりですね、そして水に落ちた時の対処など。いろいろ知れるのは楽しいこと。そして、そのいろいろを教えてくれる様子、それがそのつど面白いという、そこが最高です。いろいろとステップアップはかろうという動きも見えて、とても楽しみ。そういえば今号から連載ですね。すごく嬉しいです。あ、眼鏡の彼女の眼鏡はバンドかなんかで固定されてるのかしら。飛んじゃうんじゃないかって、心配してしまうのであります。

『子うさぎ月暦』、いよいよ子うさぎが関係なくなってきていますが、サフォーク実家での出来事。しかし、いつにもましてインパクトあるな。クロ子さん、最初どうなってるのかわからなかった。面長でいらっしゃるのね……。しかし、面長、目はぱっちり、結構な美人さんじゃなくって? まあ生態系の力学的にいろいろ問題があるような気もしますが、でもまあ愛があれば、ある? あれば大丈夫ですよね。しかし味わい深い。サフォークは徹頭徹尾紳士であるし。そしてクロ子さんは淑女であるし。なんともいえない味わいです。

『ぼくらは魔法が使えない』。ゲストのまま時間は過ぎて、なんかすごく惜しいよ。この漫画、すごく面白いのに。最後に語られた魔法の時間という意味。それは、タイトルのぼくらは魔法が使えないということにつきるのでしょう。素晴しい時間、素敵な時間、けれどそれを留めることは誰にもできない。切ない。けれど切なさを前面に出さず、シビアでシュールな笑い面白さを追求して、けれどその若い日々はいつまでも続かないんだっていう、そうした現実が切ないね。でも、続かないからこそ貴重、続かないからこそ素晴しいのだとも思うのね。だからこそ、この漫画に描かれる情景は素敵だと思うのですね。

『でり研』、ゲストです。でりしゃす研究会。『OHでりしゃす!!』に関係ある? と思ったらそうではないみたい。とりあえずは序盤も序盤。状況はまだほとんどわかっていないのですが、とりあえず海原先輩がろくでもないってことがわかりました。しかし、大仏っていうの、おさらぎさんなのかなって思ったら、ほくろから連想して勝手につけた名前かよ! この展開にはちょっと驚きました。なんか期待できるかも。そんな出だしでありました。

  • 『まんがタイムジャンボ』第16巻第1号(2010年1月号)

引用

  • 青木俊直「なのはなフラワーズ」,『まんがタイムジャンボ』第16巻第1号(2010年1月号),101頁。

0 件のコメント: