2009年4月30日木曜日

まん研

 まん研』2巻が出ました。これは嬉しい、そう思う私は、うおなてれぴんのファンであるのだろうな。『まん研』はそのタイトルが示すように、漫画研究会を扱った漫画。部長、副部長、そして下級生、三人が所属する第2まん研が舞台でありますね。けれど、2巻表紙は第1漫研の部長くーちゃんがクローズアップされて、これは嬉しいな。赤のゴスコス、咲は縞パンツ。ちょっと困っちゃってるところがいい。巻頭カラー描き下ろしでは、くーちゃんが如何にしてゴスコスをするにいたりし乎が描かれ、そしてカバー下、裏表紙折り返しにいたるまで、この表紙の流れがいきわたっていて、その顛末から各人の思惑、そうしたもろもろが面白くて、それはこの特別な機会を充分に楽しもうといった、そんな趣向であるのだと思われます。

そうした趣向は、連載でのカラーページでもたびたび見られて、それが単行本になると、ほら白黒で収録されてしまいますから、いわば台無しになっていて、それをどうしたかといえば、雑誌にはカラーでの掲載でしたと注釈を入れて対応。これは実に素晴しい。掲載時はカラー、掲載時は二色、そうした注釈は昔の漫画には多かったような気がします。今すぐに思い出せるものといったら、『究極超人あ〜る』くらいしかないのですが、カラーだ二色だといった特別な機会に、その特別であることをネタにして楽しむ。そういうのりはもしかしたら昭和のものであるのかも知れませんね。そして、単行本では味わえないその楽しさ、それを注釈にて対処するというのもまた昭和のり、なのだとすると、この平成生まれの女子高生があれこれやっている漫画、その背骨はというと昭和そのものなのかも知れません。

いやね、そんなネタもちらほら出てくるものですから。実際、この漫画を面白がる人ってのは、平成生まれよりも昭和世代の方が多いんじゃないだろうか、なんて思ったりして、いや、でも、しかし、そもそも『まんがタイムきらら』系列誌からがそうした感じだったりするんだけど、それって私の偏見? でしょうかね。でも、高校生くらいで四コマ誌読んでるって、あんまり想像できません。

そんな具合に、昭和生まれの私には妙にここちいい漫画です。でもって、やってることっていったら、ブルマはスソ出し、スソ入れ、どちらが萌えかなんて話でして、うーん、私は完全にブルマ世代ですが(もちろんはいたことはありません)、スソ出しだなあ。あの、腰のゴムのところ、あれが許せないんですよね。さらにいえば、ジャージの方が好きです。学校じゃないんだけどさ、外ではおしゃれしてるけど、自宅では中学時代の名入りジャージを愛用していて、冬は綿入れ半纏装備とか最高じゃないですか? で、度のきつ目のダサ眼鏡とかだったら、もう完璧だと思います、なんていうような馬鹿な話が楽しい漫画であるんですね。で、部長しいなと副部長レイコの話は、全身タイツや貝殻水着といった際物に向かいがちで、こうした馬鹿というよりもアホといいたい、そんな会話のどうしようもない感じ、それがもうじわじわと効いてくるのです。

第2巻では、第1漫研の面々との交流も深まり、そして顧問の先生も出てきて、しいなと第1の顧問友里先生の窓際での会話なんか、味わい深くて大好きです。第1漫研との交流では、素直じゃない部長くーちゃんのあしらい、後輩がそれとなくフォローしてあげたりするところ、理解されてるなあ、好かれてるなあ、すごくいい感じで、そういうところも好き。なんか、楽しそうで、いいなあって思う。うん、『まん研』という漫画全体に漂う楽しそうなところ、ちょっと悪のりで、それを互いに受けたり流したりする、その絶妙な関係、それが好きなんだなって思っているようなのですね。

  • うおなてれぴん『まん研』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • うおなてれぴん『まん研』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。

2009年4月29日水曜日

『まんがタイムきららキャラット』2009年6月号

私の一ヶ月は、『まんがホーム』にはじまり、『まんがタイムきららキャラット』で終わります。いや、もちろん四コマまんが読むだけでひと月が終わるなんてことはありえませんし、他にやっていること、やらねばならないこともたくさんあるのですが、だから気分的な話ですね。けれど、月のしめくくりに好きな漫画雑誌がくるっていうのも、なかなかに悪くないものでありまして、『まんがタイムオリジナル』を読んで、KRコミックス買って、『きららキャラット』読んで、ああ、今月ももう終わるんだな、そんな気持ちになって、ええ、今月ももう終わろうとしています。

ひだまりスケッチ』は、隣室から聴こえてくる物音を、あの手この手で盗み聴こうとする少女たちの話。って書いたら意味深になるかと思ったけど、別に意味深にも、いやらしい感じにもならなくって、自分の表現力に愕然としました。しかし、今回は沙英さんの好感度を向上させようとしているのかっていうくらいに沙英さんが魅力全開で、だけど私の中での沙英さん評価は上限値に達しているので、好感度に変化なしです。なのでかわりにノリえもんが上がった。あの、怖い目で問い詰められたい。どうでもいいことですが、中学の修学旅行は広島、山口でした。本当にどうでもよかったですね。

とらぶるクリック!!』はケーキバイキング、はいいんだけれど、柚の服が戻ってる。可愛い系から地味系に、黒系統に戻ってる。「グチャメロ」においてなつメロは、結構酷い目にあってると思うんだけど、それがあんなに生き生きとしているというのは、ケーキ1ホール独り占めの夢が叶うから? 私は昔は、見た目以上に食べる飲む、コンパの際にはやつの周囲に食べ物飲み物を置くなといって怖れられたものですが、気づいたら食が細くなってしまってました。だから今バイキングにいったりすると、多分なつメロポジションくらい、いや下手した第二次柚ポジションくらいに甘んじることになるのではないかと思います。なので、私においても量より質、少しでいいからいいものを、というのがテーマになっています。しかし柚は今日も可愛かった。小さくていいから可愛い人 — 、というのはちょっと違いますね。

CIRCLEさーくる』、職場ではコンピュータ関係の部署にいる私にとって、電源差しそこねなど日常茶飯事だぜ。けど、人のコンピュータトラブルの解消、仕事ならともかく、プライベートではやりたくない。とはいうけれど、それがもし小金井からの電話なら、一も二もなく、三はパス、きっと駆け付けないだろうな……。境くんはいいやつだなあ。しみじみと思う回でした。あの友人としての、微妙に踏み出せないでいる関係を保ちつつ、少しずつ変わっていけたら素晴しいな、なんて思えて、ああ、それが青春。思いを胸に抱いて憧れに怖れている、そのひとときが、君らの青春、なんだよ、きっと。

あ、昔占い師やってたとき、こういう踏み出せないカップルを成立させたことがあった。それも何組も。結構優秀だったらしいのよ。だから困った時にはうちにきてくれたら、なんとかします。

『オー&オー』。わりと面白いと思うんだけど、こういうのはどういう風にコメントしたものか、それがむずかしい。基本はお嬢しゃべりなのに、時折つっこみで粗野になる、そのギャップはいいな。けど、これがあるから面白いってわけじゃない。面白さとは、もっと全体から感じられるなにか、です。じぃに関しては、期待される展開を期待どおりに受け止めて、立派でした。

『ねこみみぴんぐす』、葵はそのヘッドホンつけたまま水にはいるんか? この漫画は卓球部の漫画、といいきってなんら看板に偽りがない、そんな卓球部の漫画だなあ。次号にはりあのん、じゃないや、穂咲さん登場? ちょっと楽しみです。『かんぱけ』も地道に声優養成の過程を描いていくんだ。ああいう演技というのは、素に戻ったらどうにもできんものと思うけど、プロは素の自分をどこかにキープして、客観的に観察しながら演技するんだろうな。どんなジャンルのそれであっても、プロとはすごいものです。

うらバン!』は合宿。しかもしっかりと練習する。合宿所までは列車、ディーゼルカー、そしてバス。ローカル線の魅力でありますな。ちょっと旅に出たくなる。大学のころ、合宿で練習とかしたけど、楽しかったなあ。銘々各自練習してね、最終日に発表会をする。ひとりでするのとは違う楽しみがあります。しかしひとりは今日も可愛かった。あの、胸の下あたりでしぼった服、ああいうのなんていうんだろう。ところで黒目先生は500はもうあきらめるべきではないのか。それでも好きなんだろうけど、旧車乗りというのは一途でないと、トラブルさえを楽しむつもりでないと駄目なんだろうなあ。

『せいなるめぐみ』は、恵ちゃん、やっぱり欠陥ありだったのか……。『ツバサとらいある』、嘘くさくとも眼鏡の笑顔はよい笑顔。おっきなお姉ちゃんはいい娘さんだなあ。昔の知り合いを思い出します。『はるみねーしょん』、いぬージョンか… おわり。

けいおん!』、私も頭よくないし大学のこともよくわかんないし…、でもニートにはならなかったから、割となんとかなるもんだよ。高校のこのくらいの時期、ええと3年に入ってすぐくらいですが、進路希望調査って具体的に答えられないとまずいよなあ。うん、自分を振り返ってみても、すごくまずかったと思う。N女子大を目指すというムギちゃんには悪いけれど、残念ながら女子大にはあなたの望む世界はないといわざるを得ない。来春になれば、大学に向かう道々に、他大学のサークル勧誘が群をなしている現実を知ることだろうよ。で、あの大学はちょろいとかそんな風にいわれたりするんだな。ああ、どうも私のいってた大学はそういわれてるふしがあったらしい。近隣大学の狩場だったようだよ? 本当… …何かママみたい。いや、別にママって呼んでてもおかしくないんじゃないの? 百ページほど読み進めると、マムーンマムーンっていってるやつがいるよ?

進路希望にミュージシャンと書くのは駄目なのかも知れないけれど、音大にいくと書いたらさすがに却下はなかったんじゃないか? 私のいってた大学、ああ、ちょろい大学ですけど、短期大学部にはポピュラー音楽のコースがあって、ギタークラスも、ドラムクラスだってある。イチロー覚悟なら、今からでもきっと叩き込めるよ。特別推薦だってだせるよ? しょぼいけど練習室あり、スタジオもあり。スタジオ使いまくれば、授業料のもとは取れる。だから困った時にはうちにきてくれたら、なんとかします。つうか、さわちゃんがなんとかしてあげなよ。

『チェルシー』は、よい結果が出なかった、けれど続くなにかはあったという、それはいいバランスだなあと思った。のっけから合格合格のサクセスストーリーではやっぱり盛り上がらんだろうし。けど今回は、小学生の冷静かつ的確な駄目出しが光ってました。しかしサっちゃんが面白いな。三歩か……。あのスカートが可愛いな。去年の秋だったかに、ああいうの流行ってたのか、見たおぼえあるな。

イチロー!』は夏の終わり、いよいよ受験のシーズン。これを乗り切って、イチローから新入生になるのか? そして、現役からひとりイチローが出るのか? 『ゆかひめ!』は、つい脱いだだけ、うん、人間生きてりゃつい脱いじゃうことだってあると思うんだ。だから悪くない、裸は悪くないよ、って裸じゃなかったけど。後半ちょっと『ぱにぽに』風? そういう作風だったのか。『天然あるみにゅーむ!』は奇声の流れが面白かった。漫画的な表現で、あの世界では普通なんだと思ってたら、そういうわけでもなかったんだ。

ラジオでGO!』は新人がいいキャラクターしていてよいなあ。なんか根性がある。『キルミーベイベー』はめずらしくソーニャちゃんが駄目な回。いや、わりと駄目なこと多い人ではあるんだけど。しかし、今回に関してはやすなはちょっとやられすぎでかわいそう。いや、そうでもないか、放っておいたらよかったのか。いや、でも、つきあいのいい、いいこだと思います。『ふら・ふろ』は、あのペットボトル、なにが入ってるんだ。しかし、大人になるとだんだん子供と本気で遊べなくなりますが、それができるハナはすごいと思います。

まゆかのダーリン』が終わり。りょうお兄ちゃんが結婚できる歳になりました! その一日を描いて、これまで出会った人たちが次々と登場して、なんだかしあわせな終わり。じんわりと優しく楽しかったこれまでが思い出されて、いい漫画だったなあとしみじみ感じ入って、おつかれさまでした。好きな漫画でした。これからも好きです。

『Aチャンネル』、プリーツスカートひるがえして、今日もキラキラ女子高生!! はいいんだけど、それはひるがえりすぎだと思うんだ。シャンプーハットみたいになってる。ソックタッチといえば、駅での光景、女子高生がソックタッチを使ってるのを見て、いや、それソックタッチやない、スティックノリや。そんなことがあったのを思い出しました。ちょっとさびしがりやのトオルが可愛いなあ。しかしあの髪切りは酷い。けど結果的にオッケーです。

『エンドロール』は、青木はコーティーの事情、織り込み済みみじゃなかったのか。原付乗りふたりの、逃避行ものロードムービー、じゃないや、ロード四コマかと思ってたら、逃げてたのはコーティーひとり。この漫画の雰囲気は嫌いじゃありません。こういうのがあってもいいなと思ってます。追うふたり組みは、タイムボカンの悪役みたいなポジションになるのかな。

『空の下屋根の中』、四角い箱じゃない包装のくだりは最高だな。責任を感じながらそれを乗り越えるという、その姿は立派、よう頑張った。甘やかしすぎ? けど、こうした小さな達成感を積み重ねることで、人はより大きなものにチャレンジできるようになるんだと思うのね。そうしたプロセス、見ていて悪いもんじゃない。実際、誰しもまだまだ未熟者で、いついかなる時も、学ぶことは沢山あるけど、いつしか慢心してそれを忘れちゃうのよね。だから、こうしたフレッシュな人の学んで伸びようという姿はよいものです。自戒の意味でもよいものであります。

まじん☆プラナ』は新キャラが出て! でも、別にこの漫画に関しては新キャラはめずらしくない、というかもう把握できないくらいの大所帯。でも意外なことに、新キャラ、自滅キャラ、蕗元ころは有人ではなく伊達先生シナリオのヒロインなのか? というか、伊達先生って春日部先生の舎弟じゃなかったんだ!? 

うらがアルっ!』、りあのんの下級生から慕われている様、その体裁を繕う技術も光って、しかしオカピはないよな。で、話題のオカ…、おかーさんは傍若無人さ発揮しつつ、けれどしっかりとちゃんとお母さんをしているなあ。実にいいお母さんだと思います。

お母さんといえば、『アットホーム・ロマンス』。こちらも実にいいお母さんだと思います。親父さんはどうしようもないけど、しょうがねぇなぁ、けどなんか可愛い親父だなあ。そんな親父さんが、久しぶりの妻との電話、その表情に離れていても通じているなにかを感じさせて、そして頑張っていることをちゃんとわかってもらえていた、それを知って、男泣きに泣くそのさまは素晴しいものがある。娘に正座で説教される、妻からは八つ裂きにすると釘を刺される、情けない、たしかにそうかも知れないけれど、頑張っている。親父さんも、姉も、みんな頑張っている。そして主人公の頑張る番がきたのか。その頑張りを見たい、その頑張る姿を見たい、そのように思わせてくれる、それはこれまでの積み重ねのためなんだろうなと思います。それはそうと、やべえ、ケツがやべえよ!! って、このくだり素晴しいな。そうです、俺は男が好きですの再来かと思いました。いま親父さんは、あの親方のもとで働いてるわけですけど、親父さんのケツはやばくないんでしょうか。って、なんで私はおっさんのケツの心配をしているのだろう。人のじゃなくて、自分のケツの心配をしろって話ですね。

『スリースリープ』、この漫画は昼寝部の漫画、といいきってなんら看板に偽りがない、そんな昼寝部の漫画だなあ。って、昼寝部ってなんだ。人物紹介に笑い、そのナンセンスぶりに笑い、そして部長の不幸に笑う。って、やっぱり昼寝部ってみとめられないのか。学校における部活、その最低要件ってなんなのだろう。

『バラエティもーにん』、それって『マルセリーノの歌』? 『汚れなき悪戯』の主題歌。ちょっと悲しげですごく美しい曲なんですが、でもなんでこれが選ばれたんだろう。いや、違う歌なのかな。神様が休んでいる日は日曜日。それなら神様にはずっとお休みいただいて、などと考える私は根っからのなまけものです。

これで全コメント達成? これやると、三時間くらいかかるな……。無理して全部にコメントしたわけじゃないけど、これは二度とやりません。多分、きっとやりません。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第5巻第6号(2009年6月号)

引用

  • 大沖「はるみねーしょん」,『まんがタイムきららキャラット』第5巻第6号(2009年6月号),88頁。
  • かきふらい「けいおん!」,同前,89頁。
  • 同前,93頁。
  • bb「Aチャンネル」,前掲,159頁。
  • 風華チルヲ「アットホーム・ロマンス」,同前,203頁。
  • 竹本泉「バラエティもーにん」,同前,216頁。

2009年4月28日火曜日

『まんがタイムオリジナル』2009年6月号

『まんがタイムオリジナル』は昨日発売。今日は『まんがタイムきららキャラット』の発売日。けれど、昨日は『まんがタイムKRコミックス』の発売日でもあって、どうしても、一冊だけでも押さえておきたかった。かくして『超級龍虎娘』で書いて、雑誌感想は玉突きするみたいに、一日ずつ後ろにずれ込んで、しかしなんだろうなあ、書きたいものが全部書ききれないというのも、また困ったものであります。私は書くために読むわけでもないけれど、書かないことには読みきれなくて、そしてそうして読めないままにシュリンクかかった本を積み上げて、なんとかしたいなあ。なんとかならないかなあ。こうした状況にもまた悩んでおるのです。

好きな事や楽しいはずの事まで面倒でどうでもよくなってきたら
心がかなり疲れてるから要注意だけど

えッ!?

いや、けれどこれは冗談ごとじゃなくて、本当なら楽しみで買ってるはずの漫画、本であるのに、本当ならなにをさしおいても読みはじめてもおかしくない、そんなものであるはずなのに、なぜこうも私はそれらを重荷と感じているのだろう。疲れている? 疲れていると思います。だから楽しめる工夫をした方がいいんだろうなあ。一旦読み始めれば、楽しいし、面白いし、よいのだけれども、だからなにか滞っているものがあるなら、そいつを溶き解してやるんがいいんでしょうね。

『あかるい夫婦計画』、大好きです。奥さん、花子が大好きです。しかし、あの日記の話はなんかわかります。疲れてる時とか、日記どころじゃなく寝ちゃうんですよね。なので、私の日記はよくて三日ごと、悪いと一週間くらいあいていて、はっきりいってこうしたBlogの方がずっと日記らしいかも知れない。そんなありさまです。今日も多分日記は書かないですね。

タマさん』は落語『頭山』なんぞを思い出して、しかしちょっとしたホラーだな。頭の中に根を張ってるんだ……。けど、妙に似合ってるな、頭がしあわせそうで。というか、あじさいはさすがに気持ち悪い。

らいか・デイズ』は、竹田、本当にいやらしい子だね。これ以上書くと、私がヘンタイ認定されてしまいそうだから、自粛。

『アサヒ! — 動物園に行こう』はだんだんに面白さが増してきて、いいなあ、楽しいなあ、というか、扉ゴマの怪盗はいくらなんでも無茶だろう。限りなく出オチに近い、見ただけで笑ってしまいそう。でもちょっとかっこいいな。私は、この動物園では、パンダが好きです。あのひょうひょうとしたところが気にいっているようです。

『守られ騎士!』は、なんだか今回でゲスト期間終了みたいですけど、どうせなら本格的に道場風景が描かれるまで続いて欲しいものです。おちついて素敵なお姉さんであるところと、道場での勇ましい? そうしたみちよさんの多面的なところが描かれるところを楽しみに、続いて欲しいと願っています。

『ヤング松島喜久治』は、いきなり営業がお嬢さんの勉強見させてくださいときたら、そりゃあ警戒しますわな。千歳は顔は描かれないけれど、確か美人であるっていう設定だったっけ? だったらなおさらのような気がします。私なら、塩まくな、塩。『ささきまみれ』、ゴキブリが微妙に飯田よりなのが気になります。芸が細かいな。『アイスボーイズ!』は、本当にカーリングで引っ張るのだとしたら、よっぽど工夫しないと地味に地味になるんじゃないかと心配したりしなかったり。しかし、廊下にブラシをかけてる姿は、特段不思議とは思われません。

『ハッピーエンドではじめよう』は、今生での悔いを、生まれ変わって来世で、っていうのは、さすがに少々イージーな人生感と思えなくもないけれど、しかしさすがにこの流れで、後悔を抱いたまま、というのも辛いものがあるから、これがきっといいんだろうな、と思いました。そういえば、これは毎回死んで、猫の視点で人生振り返って、そして生まれ変わって、というのが基本の流れです。その、人生の失敗、意固地だったりかたくなだったりで、大切なものを取り零してしまう、そうした生き方は損ですよ、というような話は、これから先もまだ生きるだろう私らが読むからこそ、意味があるんだろうなと。だからこそ、やりなおしのチャンスが描かれて、意義あるものになるんだろうなと、思ったりするのです。

『先生のたまご』、みつあみいいなあ。『すいーとるーむ?』のゆかりさん、『L16』の春香さん、どちらもあからさまなほのめかしを受けて、それを気づかない、ふりどころか本当に気づいていないというところ、これは容易に勝てやしないな。で、ようやく通じたかなと思ったら、上司に引き継ぐというね。むごいというか、けれどこれもやさしさだと思う。

『ムスコン!』は、コンタクト怖いな。そういう私もいっぱしの眼鏡男子ですが、ぜんぜん萌えられている気配さえありません。ギター弾けるともてる、眼鏡装備でもてる、そんなのは都市伝説です。ツチノコの方がよっぽど真実味あるな。けど、ねーママも似合う? とっても似合ってると思います。

『おたママ♥』は今月も素敵なお母さん。けど、あのニヤニヤ笑いはあかんわ。食べてたお昼をあぶなく無駄にするところでした。何度見ても笑える、今号の最大笑いポイントでした。しかしプリシスいやさ遥よ、同じ絵柄のカレンダーとかポスターとか買ってる人に言われたくないどころの話ではなく、きっとあんたのお母さんは、同じ本を何冊も持ってるに違いないぞ。店によってペーパーが、特典がなどといいながら、同じ本を何冊も買ってるに違いないぞ。

『今日から寺バイト』、大学卒業後に資格とるために通信教育受けた大学、そこで僧侶の資格もとれたっけなあ、なんて思い出しました。調べてみたら、記憶とはちょっと違っていて、教師? そういう資格だそうで、得度と僧籍登録が必要であるとのこと。いずれにしても、たやすい道ではないんだろうなあ。大学の先輩に、住職をやっている方がいらっしゃって、よく廊下を袈裟着て歩いてらしたとか、そんなことも思い出します。

開運貴婦人マダム・パープル』、思い込みに縛られてチャンスをフイにする人種ほど悲しいものはないわ! けれど、この安堂友子という人は、そうした思い込みに縛られた私なんかが見落としているものをよくよく掬い上げて、意外性ともなった笑いを作るのがうまい人。本当に、むやみやたらと凝ったりしない、けれどしっかりと作られている、そうした笑いはシンプルであるがために強いと感じられて、本当にいい漫画家だと思います。

『ミラクル書店』は、紺野さんが可愛いなあ。本屋の漫画。ちょっとナンセンス、けれどなんだかいってみたくなる、そんな書店の風景が魅力的で、大好きです。

マルビプリンセス園華サマ』は、弟修二と後輩伊達さんの関係に動きが生じて、これはちょっと意外、もっと引っ張るのかと思ってたから、けれどこれは次回以降が楽しみかも、そんな感じであります。姉ちゃん達ひやかしかよこっそりタッパーにつめとけよ姉さん、素晴しいな。『時間がない!!』は、由良さんがいちいち酷くてそれがいい。松下は虐げられて喜びを感じる人なの? でも、少なくとも、使役される位置でこそ安定するタイプであることは間違いないように思われて、そうしたむくわれなさもまた魅力であると思います。銀ラメのシャツは、着る人が着たらかっこいいよね。けど、ちょっと時代がかってる感じです。

そこぬけRPG』は、いろいろとぎりぎりっぽいネタがちりばめられて、そのあたりには触れないとしても、あのライトユーザーとコアユーザーの間に横たわる深い溝。コアユーザー向けにチューニングすると、初心者お断わりになっちゃって、ジャンルが衰退することもあるから、これはもう本当にむずかしいものだと思います。けど、ライトユーザー向けってのは、あんまり面白くない、ことも多いんですよね。むずかしいものだと思います。

で、あけすけで遠慮がなくてえげつない…、これはまさしくこの人の漫画の魅力であるのでは!? 身も蓋もないってやつだな。可愛い、たしかに可愛いんだけど、それを上回って酷い、明け透けで夢も希望も失わせるような、そうしたところは実に魅力的です。で、『恋は地獄車』は、そのえげつないってやつを体現? 男性向けの漫画ではなさそうで、最初、そのあまりの薄幸に、ええーっ、なんて思ったけど、読んでみると面白いな。けど、夢も希望もなくなってくるな。夜も長持ちですか。あけすけっすね、姉さん。で、松山花子の『あなたが主役になった時』、これもあけすけの類いなんでしょうね。

えきすとら以蔵』は大御所が可愛いなあ。劇団研究生の話は、着々と進んでいくところがいいな。いつか、現場で以蔵と出会いそうな気がします。『でかけモン』、リブートはもう一度ブートすること、リセットはもう一度セットすること、リゾートはもう一度なにをするんだろう。『視界良好』はメガネテーマの漫画で、あまりの直球に、そんなもんに食い付くかっ、と思ったけど、見事に食い付いちゃったときたものだ。私ってつくづくちょろいな。秋奈は可愛いなあ。眼鏡だからじゃないよ、みつあみだからでもないよ。

『花咲だより』、賞味期限が一日やそこら過ぎてても、大自然はそんな細かい事気にしないのよ、ええ、私も気にしません。クマとチカンの組み合わせに、どこぞの家庭教師を思い出したけれど、よく考えたらふたりは仲良し。対戦にはならないですね、残念。『うっちゃれ!! 乙女組』というか、岡田がるの持ちネタで、バブル期引き摺る女性の前髪、とさかの高さというのがありますが、朝、通勤の車内にまさしくそうした女性がいらっしゃって、けれど最近見かけなくなりました。乗る電車、変えられたのだろうか?

『SPさん』はえらく地味に思える、けれどその淡々と運ぶ、そんなテンポがよいのだと思います。強烈なインパクトはない、でも読み進めていくうちに、きっとじわじわと面白さが浸透して、好きになるんだろうな、そうした予感がしています。

  • 『まんがタイムオリジナル』第28巻第6号(2009年6月号)

引用

  • ひらのあゆ「ラディカル・ホスピタル」,『まんがタイムオリジナル』第28巻第6号(2009年6月号),8頁。
  • 浦地コナツ「ムスコン,同前,86頁。
  • 茶崎白湯「おたママ♥」,同前,93頁。
  • 安堂友子「開運貴婦人マダム・パープル」,同前,105頁。
  • 美月李予「マルビプリンセス園華サマ」,同前,116頁。
  • 同前,117頁。
  • 佐藤両々「そこぬけRPG」,前掲,130頁。
  • 高原けんじ「花咲だより,同前,161頁。

2009年4月27日月曜日

超級龍虎娘

 ちょっと、なんだこれ、むちゃくちゃ面白いな。いや、面白いってのはわかってたんです。雑誌で読んでますから。けど、正直こんなに強烈に面白いだなんて思っていなかった。主人公、春希、彼のうちにやってきた龍と虎の女の子ふたり。個性の違う女の子との同居もの、しかもそのうちひとりは、どう見ても主人公に気があって、しかもかいがいしく家事なんかにいそしんでくれちゃったりして、清楚、可憐、家庭的、おとなしそうで、もう大好き、しかしなんという夢の生活!? みたいにいうと、よくある系統の漫画でありますけれど、この女の子たちのキャラクターが秀逸で、龍楼さん、鞠虎さん、そして従妹の朔美、春希のまわりにいる女の子、みんななんだか一癖も二癖もあって、結構酷いぞ。それこそ、ページに一度は春希の叫んでいる、へこんでいるシーンがあるんじゃないか、っていうようなペースで酷い目にあわされてるっていうね。いったいこれなんだろうと思うくらいなんだけど、それがもう面白くて面白くて、笑ってしまわないようにこらえる顔面がたいへんなことになってしまいました(明日は筋肉痛かも。顔面が筋肉痛なんて生まれてはじめてだ)。いや、もう本当。掛け値なしに面白い。決してわあわあ騒いでるだけの漫画じゃないのに、しっかりとテンションの持続している、それはもう途中で休みをいれたくなるくらいで、しかしそれはどっしり重くてしんどいからとかではなくて、重くもなく軽すぎもしない画面、適度なテンポでぽんぽんと投げ込まれるネタ、台詞、そのバランスのよさが、前のネタにどんどん面白さを重ねていって、もうたまらん、ちょっと休ませてください、でないと笑いをこらえられない、そんななんですね。って、こうして書く手がとまらないくらい。それくらいに面白く、前から好きだったけど、単行本でより以上に、もっともっと、三段階アップくらいで好きになった。いや、とりあえず、いくらなんでももう長いから、ここで改行いれます。

龍楼が可愛いんです。この人が小柄というのは、単行本で第1回読み返すまで忘れてたんですが、それ以外をひとくちに表わすとなると、清楚、可憐、家庭的、おとなしそうで、真面目で、ロマンティストで、性質穏かで、嫉妬深くて、独占欲強めで、怒ると口きいてくれなくなりそうで、一途なのはいいけど、相手にもそれを求める、そんなところがありそうで、気が弱そうで、そのぶん日頃うっぷんを溜め込んで、どうしようもなくなってから吐き出して大荒れに荒れそうなタイプ。それでわりと世間体大事? 自分のイメージ大切にするあまりに、自分も相手もちょっと不自由にしてしまいかねない。しかも最初はあなたにおまかせします、なんて風だったのに、気付いたら有無をいわせない押しの強さで、あらゆる方面を自分のコントロール下におこうとするような、そんな女の子。なんて可愛いんだろう。もう最高だと思います。

この漫画に出てくる女性って、多かれ少なかれこんな感じに、表に打ち出される可愛さがあれば、そのぶん裏にもちゃんと人格が穿たれていて、もうみんな一筋縄ではいかないって感じがひしひしとしましてね、その綱の引き合い。ライバル蹴落としてとまではいかないけれど、春希を中央に置いて、そこで繰り広げられる駆け引きのシビアであることったら、もう実に素敵で、こりゃ勝てねえ。そんな風に思わせるところなど並ではないといったところです。もちろん、ほどほどにやわらげてあるから、痛い、つらい、厳しいばかりではなくて、ほのかに甘い夢なんてのも見させてくれたりなんかもしましてね、本当にバランスがとれていて、うまいなあ、そんな風に思うんです。

女の子のシビアな感情、そういってしまえばなんだか酷いばっかりにも思えるけれど、それはリアル — 、確からしいといってもいいものなのかも知れない。龍楼が、春希にホレてるのかと聞かれた時の答なんかは、すごく納得のいくものでした。漫画のキャラクターであるけれど、そこで動く感情は、現実に私たちが経験するような気持ちを反映しているかのようで、きっと作者はこうした感情の動くところ、機微ってやつを、大切に描こうとしているのだろうなって。その大切に描かれる感情の機微ってやつが、時にはシビアな笑いを生んで、そして時にすごく心に沁みる、そんな人の心のいじらしさを表現して、なんだか泣きそうになる。その涙ってのも、ただお涙頂戴の、泣かせるツボを押さえましたってようなのじゃなくって、なんだか嬉しくて泣いちゃうようなさ、しあわせな感じがあったりするんですよ。

ところで、龍楼というとどうしてもよしだたくろうを思い出してしまうんですけど、それだからこそなおさら好きなのかも、ってこんなこと思ってたら、iTunesが『結婚しようよ』かけてくれたよ! なんだ、もう、気がきいてるなあ!

  • 加藤夕清『超級龍虎娘』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

蛇足

でも普通龍楼ったら、山下達郎だよな……。

2009年4月26日日曜日

『月刊アフタヌーン』2009年6月号

 漫画の雑誌、買ったものの感想を書くようになって、今までは主に四コマ誌について書いてきたのですが、これは別に四コマ誌をセレクトしてきたわけでなく、それ以外に買っていないってだけの話なんです。といったわけで、月末になってようやく四コマ誌以外が登場。講談社の『月刊アフタヌーン』なのですが、これは篠房六郎目当てに買っていて、つまりは『百舌谷さん逆上する』、これ読みたさで買っているってわけです。だから、半分も読んでない。いや、読んだらいいんだけど、途中から読んでもよくわからないものも多いし、その点『ラブやん』は優秀です。タイトルだけ知っていて、内容は知らずにいたのですが、これがもう面白いのね。基本ストーリーに頼らず、キャラクターの強さで押してくる漫画だから、フサさんがロリ・オタ・プーのろくでなしであることさえわかれば、もう大丈夫、普通に読んで面白いよ! って、すごい敷居の低さ。しかし、今さら単行本を買うのはきついよ……。なお、天使長は私の好みにかなり合致しております。わ、私もしょせんろくでなしか……。

『百舌谷さん逆上する』は圧巻でした。ツンデレの病に苦しんでいる少女、小音の物語。愛すれば、愛するほどに、その気持ちとは逆の行動をとってしまう。そうした小音がいじらしく、そして第2巻から続いてきた夏休み、その終わるとともに、物語も一旦の着地を見せて、それはもう涙なみだでした。自分の病を呪い、自分自身も呪っている、そんな百舌谷さんが、ついに気持ちを通わせる。義理の母と、そして番太郎への思いをはっきりと意識して、そして自分の気持ちを受け止めて、歩きだそうという、その決意はしたたかに胸を打って、もう、本当に素晴しい。馬鹿馬鹿しい、そんなシーンを交えつつも、それでもなお胸に迫る、そんな思いが溢れんばかりで、ああ、本当にこの人の漫画に出会えてよかった、そのように思える回でありました。

物語は一旦の着地を見せた、そう、一旦の決着をつけて、ですがそれは次の段階に踏み出すまえの踏み切りでもあるのですね。まだ物語は続く。その続いていく先にあるものは、きっともっと豊かに違いない、そう予感させて、まだまだ目をはなせない、そのように思っています。

『ヴィンランド・サガ』、私はこれは途中から読んで、だからいまいちよくわかってないんですが、それでもなんだか面白い。結構楽しみにしています。ちっとも背景がわからんのですけど。『元祖ユルヴァちゃん』は、どうも『ヴィンランド・サガ』に関係してるようだというのはわかってきましたが、それでもいまいちわからなくて、そしてなんともよういわれんものがあります。でも、なんでか読んでしまう。そんな漫画。

『友達100人できるかな』。私はこれは結構好き。なんか癖のある絵、SFっぽいストーリー、そして泥臭い友情ばなし。面白いと思います。今回は本が好きで、どことなく大人っぽい、そんな友人が持っていた想像力、それにはじめて気付かされるそんな話で、ああ、確かに子供だったころは、こうしたふうに遊んでいたと思い出させてくれるものがあって、そうした懐かしさも一味そえて、面白かった。いい話だと思います。ベタというよりも、泥臭い、そうしたニュアンスで、子供の心をだんだん取り戻していこうぜって、そんなところがいい漫画です。

『いもうとデイズ』、フィリピンからやってきた妹に戸惑いながらも、だんだんに気持ちの近づいていく、不器用な兄妹ものとして面白いです。これは、妹ディアナの愛らしさというのもよさのうちなのかも知れない、そしてその健気なところ、それもよさのうちなのだと思います。しかし、この子が小学生だって、ずっと気付いてなかったよ。そうか、当然学校いくんだな、と基本的なところで私には常識が欠けています。

今回は、ずっと気丈にふるまってきた、そんなディアナが決定的に弱音を吐いて、そのつらさを感じとった兄貴が手助けをする、そして友だちもできてっていう、そうしたところがなんかじんとくるようで、よかった。いい話です。

『吉田家のちすじ』、これも敷居の低いたぐいの漫画で、おんな盛りの多香子さんに、義父、祖父、前妻の息子がむらむらときている、そんな風なところのある漫画。とにかく皆、多香子さん大好きで、息子の転勤話に、なんとか多香子さんと離れないですむにはどうしたらいいかと、自分勝手な理屈を押しとおそうとする年寄りたち。ろくでもないんだけど、そのろくでもなさが面白い。

『ラブやん』、娘との生活に憧れる気持ちは、ものすごくよくわかります。私もあんな娘欲しいよ……。私は別にトキメく系の何かはいらないけど、パパ超キモイっていわれたら、そりゃきついものがあるな。私はMじゃないので、劇的な変化を遂げることはなさそうで、ちょっと一安心です。しかし、クロエのあの淡々として、そして理屈っぽいところは素晴しいな。点目最高です!

無限の住人』、グッバイ尸良さん! いや、まさかあれで生きてるって、もうないよね。私、この人がもうどうしようもなく嫌いだったから、これで退場してくれるなら、もう本当に願ったり叶ったりなんですけど。

『カブのイサキ』、先月まで読んでなかったので、全然背景はわからんのですけど、面白かった。『ヨコハマ買い出し紀行』の人なんか。振り返って、読んでいってみようかな。

『謎の彼女X』は、なんかとんでもない感じにぶっとんでて、けど読んでる、面白い。今号は裸対決が決着して、しかし妙な傾きのある漫画だと思う。単行本買おうか迷うけど、なんか素直に買おうとは思えない、なんか抵抗してしまっていて、それは多分卜部が可愛いからだと思う。今月はいっそうに可愛かった。

『ベントラーベントラー』、いまいちわからないんだけど、読んでる。面白い? うん、多分面白い。

『DoLL』、これも変態的な趣向のある漫画で、面白いかといわれれば、うん、多分面白い。でも、これまで先生? と泉のふたりだけの閉じた世界で展開されてきたのが、なんか外部から少年たちがからんできて、ちょっといやかなって思っている。そんな回でした。泉は可愛い女性だけれども、それは多分眼鏡だから、ではないと信じたい。

『世界に羽ばたけ轟先生!』、この主人公もまたろくでもないおっさんで、好きかと問われれば首を縦に振りたくはないのだけれども、なんでか毎号読んでしまっているからには、多分好きなんでしょう。コメントは、どうしたらいいかわかりません。

『スピリット魂』は四コマ漫画で、けれど私の普段読んでいる漫画とは全然テイストが違っています。バイク好きの娘さんたちの漫画なんですが、絵といい、展開といい、密度が高めで、読んでてしんどい。でも、多分こうした四コマを一般の人は読んでいて、だから『まんがタイムきらら』なんかに掲載されている四コマを見れば、さぞ薄く見えるんだろうなというのはわかる話で、けど私はそっちの世界の濃さがしんどくなったから、四コマ誌に逃げてきたんだよ。だから、『きらら』がゆるいだ、どれ読んでも同じだ、萌えキャラだけで中身がない、なんていう人は、どうぞ海で泳いでいてくれればいい。わざわざ淡水にまでやってきて、塩が足りてないというのはやめて欲しい。淡水には淡水のよさがあるのであって、そしてそれは私みたいな、海水中では泳げないものには必要なのですよ。海の魚は海で、川の魚は川で、それぞれ泳いでいればいい。深海魚だっているわな、沼に住むのだっているよ、それぞれ自分にあった漫画、面白いと思う漫画の世界、ジャンルに棲み分ければいいって話だと思います。

けど『スピリット魂』はわりと好き。一気には読みとおせないこともあるんだけど、面白い漫画だと思います。

引用

  • 田丸浩史「ラブやん」,『月刊アフタヌーン』第23巻第8号(2009年6月号),553頁。
  • 同前,557頁。

2009年4月25日土曜日

He got tired too, taken with GR DIGITAL

Signboard, GoldfishGR Blog4月のトラックバック企画、テーマはほんわかです。ほんわか、GR Blogにはおだやかな春の陽の感じや、ふわふわ・もこもこした手触り、家族やペットとの幸せな時間など、とあって、ひとくちにほんわかといっても、それを受け取る人それぞれにまた違ったイメージがあるのだろうなと思います。だから、自分なりのほんわかをイメージして、それにマッチした写真を見つけられたらよいのかな。なんて思いながら、これまで撮った写真を眺めてみました。というわけで、今月もトラックバック企画 ほんわか に参加します。

そうして見つけた写真。ほかにも候補はあったのだけど、よしこれでいってみようと思ったのは、He got tired tooと名付けられたもの。以前、仕事を手伝ったお礼にといってもらったぬいぐるみ、今では姪の所有なのですが、こいつがなんだか妙に味わい深かったので、写真に撮ったのでした。彼も疲れている — 、ええ、確かに疲れていそうです。

He got tired too

引用

2009年4月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2009年6月号

 『まんがタイムきららフォワード』は、誌名にまんがタイムとはあるけれど、四コマ漫画誌ではありません。ストーリー、つまりコマ割り漫画中心の雑誌。価格は450円と少々高めですが、その分ページ数も多いし、好きなら苦にならないって感じです。また、この価格のおかげでAmazon.co.jpの取り扱い雑誌粛清にも生き残り、こうして表紙を掲載することができました。ありがたいことです。っていうか、できれば『まんがタイム』系、『きらら』系も残して欲しかったなあ。こうして雑誌感想を書くようになって、なおさらそのように思います。

『夢喰いメリー』が表紙、巻頭を飾って、きっと人気あるんだろうなあ。私も結構気になっている、気にいっている漫画であるのですが、なんのはずみかで1巻を買い逃してしまって、今からでも買おうかなと思い続けているところです。夢の世界から現実に夢魔がやってくる、その理由がはっきりとして、メリーの個人的な戦いが世界の存続と繋がりを持って、こういうのはやっぱりちょっと盛り上がります。しかし、メリーの殴りっぷりはよい、実に爽快な殴りっぷりです。

S線上のテナ』は、テナ、アルンの恭介争奪競争の様相を呈して、けれどこうしたコメディ色を全面に出して、後半を湿っぽくまとめて、悪くない感じであったと思います。けど、Gコードのくだりにはちょっとうっと立ち止まった感じになって、いやいいんです、わかってます、これは音楽漫画じゃないから。でも、それでも、いや、いいんです、わかってます。

『少女素数』は長月みそかの新連載。海辺の町の、造形作家が主人公? おじさん主人公がきたのは意外だったけれど、それでも普通に、特になんの疑問もなしに受け入れてしまうのは、描かれる町の情景が、こうした人たちの暮らす場として立ち上がってくるような存在感、現実感を持っているからなんだと思います。私はこの人の描く人の心の揺れ動きも、またそうした人たちの造形も好きなのだけれど、それと同じくらいにこの人の描く世界が好きなのだと思う。物語内の世界の空気は濃密で、港町、潮の匂いさえ感じさせそうに確かで、そこに美人で双子の妹、美少女ふたりがぱっと灯りをともすかのように鮮かに華やかに息衝いて、その周辺だけは現実的の地平を蹴って違う世界に引き上げられたというような感覚をもって描かれて、その世界のつくりあげようはすごいな。そう思います。

当然物語はまだまだ序盤で、これが今後どのように動いていくのか、それはわからないのですけど、ニンフェットもの? あの独白には、気恥かしさを感じる以前に、なにか遠くの過去に置いてきた、そして遥か手の届かない未来に大切に取り置かれている、ノスタルジアやセンチメント、憧れ、なにかそういったもののないまぜになったような感情が溢れるように思います。しかしこの人の漫画は、これまでは美少女といえばそうだけど、あからさまな美少女が出てくることは少なかったように思うのだけど、それが真っ向から美少女、しかも対照的な見た目、性格の双子で打ち出してくるというのは、おじさん主人公以上に驚いたことでした。でもって、露骨に煽情するようなところはないのに、仕草が、ちょっとした表情がすごく訴えるっていうね。これは、まいった。露骨なほうがずっとましだと思いました。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』は劇中劇から始まって、幕末好きの人からクレームがくるような、幕末モチーフの美少女バトルもの。そういえば、パソコン通信全盛のころに出た幕末モチーフの美少女バトルもの? のゲームにはクレームついたんだっけかなあ。新撰組モチーフのアダルトゲームは、クレーム覚悟だったところが、意外と好評だったらしいですけど。漫画に戻って、コスプレするしないをめぐっての攻防から、定番匂わせる展開をほのめかして、そしてラストで落とす。あの流れは、きっとくるぞ、こうくるぞと思わせるものでしたが、その期待を正面から受け止めてみせて、それが面白かった。単純に素直にすとんと落ちて、そのあまりのあっさりとした終わりかたもよかったです。余韻じょうじょうたなびくかのごとく、味わいあるラストでした。

天秤は花と遊ぶ』は、ちょっと私のマニアックな嗜好、上から見下ろす構図を満足させてくれて、たとえばそれは163ページ、追いかける?の構図。あれはいいですね。思えば第1回にも真上からの見下ろし構図があって、あれも素晴しく素敵でした。あのスカートの裾の花のようにふわりと広がる、そのゆったりとして豊かなさまはよいものです。それはそうと、今回はストーリー上のひっかかりが作られていて、謡子への好意からか女子側に引っぱられる愁、しかしそれはまずいことなのか? 微妙に気にさせる要素が匂わされて、どうなるのだろう。

余談です。愁が女になるというのなら、これは女の子と女の子未満のふたりがひきあう、ひかれあう漫画として読めるし、そうではなく愁は男にならねばならないのだとしたら、これは女装美少年ものになるのか? 本当に余談でした。

『温泉惑星』は、ヒロインに恋する女性が登場。本人を前にすると素直になれない不器用さと、お嬢様的天真爛漫が売りなのか。そして話は定番の温泉になだれ込んで、また裸か! いや、裸はわるくないよ! 裸、大好きだよ。男たるもの、火照った体を夜気にさらして、全裸をしみじみと楽しみたくなることだってあるだろうよ。地位や名誉を脱ぎすてて、男一匹、ひとりの人間に戻りたくなっただけかも知れないじゃないか。それをあんなによってたかって叩くこたあないじゃんか。って、そうじゃなくて、『温泉惑星』、温泉を売りにしているだけあって、惜しげもなく裸が出てくる漫画なのですが、あ、もちろん男一匹じゃなくて(もちろん、二匹といいたいわけでもない)、女の子が裸になる、これって『フォワード』らしいっていっていいのか? いいのかも知れないけど、でもこの漫画の裸は妙に素直で、いやらしさというものを感じさせない、そんな感じです。裸だからといって、イコールわいせつじゃないんだよ、むしろファンサービスってなもんじゃないか、俺たちゃ裸がユニフォームなんだよ、ってまた話がそれたところで、次にいきましょう。

『乙女王子 — 女子高漫研ホストクラブ』は、微妙に身悶えさせるような、もにょる? そんなところのある漫画なんですが、けれどそれがいい感じで、女子高漫研が部費を稼ぐために男装ホストクラブをするっていうね、で、対立傾向だった副会長がすごく一途で、それはもう君大丈夫かと問いたくなるほど、激情にかられて思わず叫んでしまうは、頭なでられて涙ぐむは、すごいことになっています。で、次号はきっともっとすごいんだろうな。がんがんエスカレートして欲しい漫画です。

『銘高祭!』は、ちょっと読んでて辛い。生徒側のもろもろが辛い。教師の側も辛い。それが辛いと感じてしまうのは、私の中のなにかが刺激されるからなのか、あるいは劇作上の要請なのか、あるいは感情のぶつかりを描こうとして力あまっているのか。私は冷静さを欠いているので、なんともわかりません。けど、あの眼鏡は殴ってやりたくなるな。私は、女に殴られることはあっても殴らないのがポリシーだから、ちょっと、メリーさん、豪快に一発、やっちゃってくれ。

『おとめり』って二回目? 覚えてない……。でも、これで覚えた。次にきても、きっと大丈夫。

いきなり☆ねこキック』はいい感じに私の予想を外して動いていって、そして新しい人の登場が、これまでの、よくも悪くも安定していた状況を一気に動かす動因となって、この動揺は由羽にとって動かない関係を脱するチャンスになるんだろうか? これまでの流れで、由羽が一気に後景に下げられるということはないだろうし、これはやっぱり波乱の投げ込まれたってことなんでしょう。

引用

2009年4月23日木曜日

Don’t say “lazy”

 このあいだからやけに『けいおん!』づいていますが、まあ、こういうのは一過性の現象、ある程度落ち着くまでのお祭りのようなものですから、ご容赦いただきたく存じます。さて、おとついCagayake!GIRLSのCDを買ったといっていましたが、そうなると当然Don’t say “lazy”も買っているわけです。いや、当然かどうかはわからないんだけど、自分の中では、この二枚は一蓮托生って感じなので、どちらか一方だけっていう選択はなかったんですね。買ったのはこれまた当然限定版で、いや、これもお祭りといいますか、せっかくだから私はこの限定版を選ぶよ、その時その時の状況に乗っかって、今まさに参加しているという雰囲気を味わいたかったんです。この時代に生きてるって実感が欲しかったんですね。

いやに大げさなこといってますが、わりと本気でいってます。限定版CD買うだけで生きている気分になれるだなんて、その時代との一体感が得られるだなんて、なんてイージーで安っぽい人生を生きてるんだっていわれたら、実際まさしくそのとおりでして、けれど踊る阿呆に見る阿呆ですよ。久しぶりに見たいと思ったアニメです、思い切って飛び込んでよかったと思っています。

さて、限定版は着せ替えジャケット仕様。全員がそろったジャケットがあって、そして各キャラクターごとのジャケットがあって、それを組み替えることで、自分の好きなキャラクターのソロジャケットにできるというんですね。絵柄は、全員集合ジャケットからキャラクターを切り出したもの、レイヤーをばらした感じといったらわかりやすいかも知れません。で、こんなこといっちゃあなんだけど、私はちょっとがっかりして、だって独立したイラストだと思っていたもんですから。ものすごく合理的な手法が使われてるのには残念と思わないではいられませんでした。けど、なんのかんのいってもこれはシングルだもんなあ、そんなに手をかけてらんないよなあ、といった具合に納得するのでした。

 そして私の選んだジャケットはなにかといいますと、店頭に並んでいる全員集合ジャケット、そのままです。つまんない男だなあ。自分でもそう思います。けれど、常に無難な選択をしようとするのが私という人間です。そして無難といえば、カンカン踊ってみせてる限定版よりも通常版の方がエンディングの雰囲気をよく反映していて、そっちの方が好きかもなあ。今さらそんなこという? うん、いう。だから、ちょっと欲しかったりしてね、ってもうどうしようもないなあ。悪いことに、JB62を買う甲斐性はないけれど、シングル二枚追加で買うくらいの余裕ならあるんですよね。なんで二枚? って、そうなりゃ当然オープニングも買うからで、でもそれをどうするかは今後を見てから決めたいと思っています。別に急いで買うようなものでもありませんし。

さて、Don’t say “lazy”を歌っているのは、秋山澪役の日笠陽子。Cagayake!GIRLSは平沢唯役の豊崎愛生が歌っていて、私、最初に聞いたときは、歌役と声役でふたりずついると思っていたから、驚きました、最近の声優は歌もうまいんですね。もちろん以前から歌のうまい人はいて、私なんかは林原めぐみがブームの頃の人間だから、彼女に続いていろんな人がCD出したりしたのを見て聞いて知ってはいるんですが、それでも驚いた。オープニングもエンディングも、要求されるものにちゃんと応えてる。Cagayake!GIRLSはすごくポップで元気はつらつだし、Don’t say “lazy”はあのナーバスな歌い方、どちらもすごく様になってる。こいつはいいなあ、そう思って連日聞いて、まだ飽きません。

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年4月22日水曜日

『まんがタイムスペシャル』2009年6月号

毎月22日は『まんがタイムスペシャル』の発売日。こうやって買っている雑誌の感想を書いてみると、思いがけず各雑誌のカラーなんていうのも見えるようになってきて、というか、それまではあまりにも酷すぎたというべきなのでしょうが、なんていったらいいんでしょうね、把握できる限界を超えたのか、一体どの雑誌になにが載っているかとか、わかんなくなってましてね、けれど、アンケートを書くようになってから、そしてこうして感想を書くようになってから、それぞれの雑誌の違いというのが、それまで以上に意識されるようになったと思えます。あと、発売日を手帳に書くようになったというのもあるかも知れません。いつなにが出て、それはどんな表紙で、なにが載っていて、それが意識されるだけでも、ずいぶん頭は整理されるみたいです。

『スペシャル』の表紙は、『スーパーメイドちるみさん』。破壊メイドちるみさんをめぐる騒動を見て楽しむ漫画だったと思うのですが、その周辺の人たちの個性もなみなみならぬものがあって、今回は隣のうちのお嬢様、紅林がメインになって、私はこの人が大好きときたものだから、ちょっとしあわせです。大学は演劇部での紅林の役立たずっぷりが、もう言葉に尽くせないほどに魅力を増大させて、自分のなにもできないことに焦り自信をなくしかけているというのに、尊大さを失わないところ。すばらしいお嬢様であります。しかし、自販機にカードですが、ピタパ(関東ではイコカ?)で買える自販機も出てきてるから、将来的には麗子さまのような方も困らなくなるかも知れません。

けど、ちょっと話はそれるんだけど、本当にやんごとないお嬢様っていうのは、想像を絶するほどにすごいらしいですね。朝丘雪路だったと思うんだけど、買い物のしかた知らなかったり、電車に乗るのに切符を買うという概念を持たなかったり、とにかくすごかったらしい。そう思うと、麗子さまはがんばってらっしゃいますよ。缶に入ってるのがジュースであると、ちゃんとわかっておいでなのですから。と、私はとにかくお嬢様を甘やかすのが好きです。ああ、どこかで下僕の募集はしてないものか。

『幼稚園ぼうえい組』は2本立て。押されてるんだなあ。テンヤは好きな作家なので、ありがたいなあと思ったり。話は、鶏最強生物という定番をベースに、子供たちと先生のかかわり方を描いて、しかし新任ながらがんばっている、その様がよいな、そう思える漫画です。しかし、園長先生ってどれほどに怖いのだろう。鶏をおとなしくさせ、初対面を気絶させる。鶏編の一番最後、大落ちはなかなかによかったです。定番といえばそうかも知れないけれど、私には意外と思われて、そしてキャラクターの味付けにもなって、よかったと思います。

はっぴぃママレード。』はお兄ちゃんがむくわれる話。みんなでスパにいく話なんだけれど、眼鏡組はそのままでサウナに入って大丈夫なのかいな。岩盤浴サウナだから? ミストサウナだから? 私は温泉にいってもサウナは使わないのでよくわかりません。『あいどく!』は社長が登場して、あやしい男。行き当たりばったりの行動派だそうですが、けれど社長という人は、特に創業社長は、そういった傾向を持っているような気がします。逆にいえば、そういう人でなければ、会社なんか起こせないものなのかも知れません。『えんれんCafe』は、やさしいから誤解するんですよ? なんていってるけれど、それは結局は相手次第なんですよね。例えば私のようなのだったら、通報されるコースだなあなんて思ったり。やさしさが親切になるかありがた迷惑になるかは、ほんと、セクハラと一緒、紙一重の差のように思います。

ふたご最前線』はすべり台が怖いなんてところからスタートして、たしかに、大人になるとすべり台は怖いです。ぶらんこが下手になるのは、鎖の長さと背の高さのバランスのせいだと思うんだけど、すべり台が怖くなるのはほんとなんででしょうね。昔、子供のころは普通にできていたことも、知らないあいだにできなくなって、それも怖いやらなにやらでできなくなって、そうしたことはたくさんあります。しょっちゅうです。しかし、お母さんの魅力全開でした。

『ゆたんぽのとなり』は吉谷やしよの漫画で一番面白いと思っています。カツオが、すごくシンプルにしか描かれてないのだけど、確かにカツオとわかる、それがなんかいいなあと思っていたら、その話がちゃんと伏線として後に生きてきて、また驚きでした。派手なアクションとかはない漫画だけど、個別の四コマはテンポいいしよくまとまっているし、そして全体を通して描かれる大きな流れもしっかりしているしで、本当に面白いと思います。

えすぴー都見参!』は雪さん中心に動いて、むくわれないふたつの恋ですね。並木が実にいい感じ。そう思うのは、表情が伝える感情の起伏の大きさと、そしてそれを押し止めてしまうという、そのいじらしさのためであろうかと思います。『たまのこしかけ』は、たしか作者の夫がサーバとか沢山自宅に置いちゃう人なんですよね。十条さんのアパートの惨状は、そうした日常から発想されたんだろうな、なんて思ったり。しかし係長の頼りになって、またうるわしいこと。首と胴の繋りがおかしいことなんて気にならないくらいに魅力的です。『なないろレシピ』はベーグルの作り方。あれって、最初に茹でるんだ。知りませんでした。というか、食べたことさえなかったり。以前、ピザを作っていたころにイーストを買ってたんだけど、あれはまだ生きているんだろうか。生きているなら、ベーグルを焼いてみようかな。なんて思ったり。

『4コマの星』が面白かった。抱きまくらって実際に抱いて寝るもんなんだ。カバーだけを飾るものだと思っていました。私は幸い抱きまくらの趣味もフィギュアの趣味もなかったのですが、けれどこうした話を聞く、見るのは面白くて大好きで、そのためもあるのかも知れません。俺の嫁といった定番のネタをうまくあしらった、そうしたところなど見事でした。ところで、初音コスプレのからす丸は、ふたコマぶち抜きにすべきだったと思うんだ。

『ハニーtheバンドガール』は、最近シリアスな話が続いているような気もするけど、そうしたシリアスさというのが、またなんていうんでしょう、青春のころの悩みといった雰囲気を持っていましてね、見ていてなんかよいんですね。でも、危機感から焦ってみたり、それで思いをぶちまけてみたり、そうしたことはいくつになってもありえることなんじゃないかと思う。でも焦ることはたびたびあっても、思いをぶちまけたりはだんだんしなくなるんですよね。本音をぶちまけて、それでも壊れない結束がある、そうしたところがいいんだろうなあ。

『レイさんのお局日和』は連載になったようで、私は結構好きだったので、嬉しいです。ステレオタイプばりばりのお局(っていうけど、まだまだ若い)レイさんがヒロインですが、徹底的に可愛くなったりしないように描かれるレイさんですが、そのからまわりっぷりが楽しいのだと思います。実際、からまわりしている人っているし、それは満たされない自意識やなんかのため、レイさんはその戯画であるのだと思いますけど、ぎすぎすして、嫌味で、しかしどこかに憎めないところを残しているから、本当の嫌な人にはならないのかと思います。いや、それって私がただレイさんのこと好きだからなんじゃないか? その可能性は非常に高いように思います。

『もう一歩恋よ!』は宮部香乃さんを巡る三角関係を描いた漫画で、香乃さんの店に出入りする営業の富本さんと小学生の渡辺純也君。ああ、渡辺君は今回初登場です。っていうか、レギュラー化するのかしないのかはわかりません。はっきりとしない富本さんに、まっすぐに迫る渡辺君、その勢いにたじたじっていう、力関係の微妙さは面白かった。子供の素直さは、いろんな漫画に見ることができますが、その漫画漫画で素直さの描かれかたが違う。そういうバリエーションがよい、つまり渡辺君もまたよかった、そう思います。

『ベツ×バラ』は、年下の先輩別所と新人原田の異性間の友情ものみたいに育っていったらいいなあ、そんな風に思っている漫画です。もしかしたら恋愛的状況がふたりの間に勃発するのかも知れないけれど、実際多少のほのめかしのようなものもあったりするんだけど、けれど異性として意識しながらも、先輩後輩であり、そして友だち、そんな関係がいいなと思っています。

『ポンチョ。』は、実にいい漫画。自分の恋人に会いにいっても、いつもバイトやらなんやらで会えず、かわりに妹のポンちゃんと、猫トメ吉と一緒に遊ぶっていうね、そのわいわいとしたところが実によいのです。ポンちゃんの、むやみやたらと元気なところがいい。カレシのなんかすごくいい人っていうところがいい。しかし、カレシはトメ吉にカメラのシャッター切らせようとしてたけど、それって可能なのか? といいながら、トメ吉なら大丈夫なような気もします。

白衣の男子』は、時にちょっと微妙なところもある、そんな看護師ものですが、けれど私は好き。いつもは粗雑そのものの花形がどたばたとがんばっているんですが、今回はスーパーでスペシャルな伊達、彼がメインになって、ちょっとシリアス、そして解決を見ずに次号に続くのでしょうか。ベタ、王道、紋切り型、どういってもいいけれど、自分の位置を迷う、気付いていなかったことに気付かされて、不安を覚える、こうした気持ちはきっと誰にもあることで、だから気にかかるのだと思います。

『おおつぶこつぶ』は、175cmのおおつぶ、大野原つぐみが可愛い漫画。あるいは142cmのこつぶ、小塚ふみおが可愛い漫画といいかえてもいいかも知れない。背丈、性格が対照的なふたりを中心に据えて、その違いっぷり、かきまわすこつぶ、翻弄されつつもどっしりとおおらかなおおつぶ、その性格の際立つところがとてもいい、気にいっている漫画です。しかし、こつぶの…いやに得意気な顔してる奴が居る、その得意気な表情、あれはとてもよかった。子供っぽいと思わせて、結構シブ目の趣味嗜好。こつぶのこうしたキャラクターが、おおつぶのキャラクターと相乗する。ふたりとも実にいいキャラクターであります。

『瞬け!シャイン』、齢800歳の不老不死OLビクニさんの見掛け倒しネタはいつもながら面白く、定番の攻め、これで開き、ゴノレフで閉じる。それはもう黄金であります。というか、ゴノレフはすごいことになってるな。新聞に社名載っちゃってんだけどねェ…の台詞がもうおかしくておかしくて。確かに社員たるもの、社名を新聞に載せちまうのはまずいわなあ。面白いのはこれら定番ネタだけでなく、単発のネタ、そのシンプルにして切れ味たしかなところ、実に素晴しく、面白い。あの、パヤパヤパパッパで始まる社歌とか、もうどうしようもねえなあ。メロディがあったら、歌っちゃいたいくらいですよ。

『カンヅメコーポのチリー』は、思いもしなかった展開でした。そうかあ、こうすれば八方まるくおさまるじゃんかと思って、しかしいじらしい漫画。いつかまとめて読みたい漫画です。『なでしこ3on3』は、こだわりない、そんな風に見せて、実はそうでばかりでもないのだよとまとめる、よいですね。この人の漫画は、ことこういう傾向で見せようという漫画は、あっさりとした、さっぱりとした味を持ちつつ、心情のしっとりとしている、そんな表情をときに見せる、その塩梅が実によいと思います。『千秋ツーフェイス』は、イメチェンした千秋にもなれました。しかし、この人はどんどんすごくなっていきます。湯気の壁を作る技をマスターするとか、どこからこんなの発想するんだろう。座ぶとんの『田』はありえないというよりも、いい得て妙といった感がありました。『そこに愛がある限り』は、目次横、松山花子のらしさの感じられる、おそらくこれがそのままこの人の別の連載に紛れ込んでいても、そのまま読んでしまいそうな、そうした味のある漫画で、当然私は好きです。人間の自意識、自分を知ってもらいたい、理解してもらいたい、そういう心情っていうのは、時に重荷でうっとうしいものであるけれど、けれど基本的にはいじらしいものなんだな、なんて思ったりしたのでした。

  • 『まんがタイムスペシャル』第18巻第6号(2009年6月号)

引用

  • 吉田美紀子「えんれんCafe」,『まんがタイムスペシャル』第18巻第6号(2009年6月号),42頁。
  • ワカマツアツト「おおつぶこつぶ」,同前,153頁。
  • 安堂友子「瞬け!シャイン」,同前,162頁。
  • 同前,158頁。
  • 柳田直和「千秋ツーフェイス,前掲,180頁。

2009年4月21日火曜日

Cagayake!GIRLS

 このBlogにも一応禁止事項のようなものはあって、できるだけ守ろうとはしているのだけど、時に決めた本人からやぶってしまいます。さて、今までやぶらずにきた禁止事項、フラゲがついにやぶられるはめとなって、そのフラゲ品とはアニメ『けいおん!』の主題歌シングルであります。オープニングのCagayake!GIRLSとエンディングのDon’t say “lazy”。最初、買うべきかどうかと本気で悩んだんだけど、結局買ってしまいました。いやね、この十日ほどヘビーローテーションしてたんですけど、ぜんぜん飽きるきざしがなくてですね、これなら買っても問題ないだろう。そう判断したんですね。そして実際、買っても問題なかったな。大変に気にいっております。

しかし、それでなぜフラゲ報告がやぶられるのか。たった一日黙っていることさえできない、それほどに気にいったのか。いや、そうじゃなくてですね、明日22日は『まんがタイムスペシャル』の発売日でしょう。そのスケジュールを動かしたくなかった。こうなった場合、どちらかを後ろにずらす、それが基本だと思うんですが、でも二日も待ちたくなかった。Cagayake!GIRLSを一日遅らせたら、今度はDon’t say “lazy”が『まんがタイムきららフォワード』とバッティングするっていうね。もうなんだかなあ。本当になんだかなあです。

そんなわけで、Cagayake!GIRLS買ってきましたとさ。発売日(厳密には違うけど)にCD買うなんてどれくらいぶりでしょう。私の経験では、CDは発売日前日にたいてい入手できるのですが、それは昔ののどかだった時代の話で、今はそういうのは無理になってるんじゃないか。けど、店でフラゲできますか? って聞くのもなんかみっともない。そんなわけで、CD店日参して、仕事帰りだから別にわざわざっていうほどでもないんですが、しかし楽しみでなかったらこんなことしませんわね。で、発売日前日の今日、無事入手とあいなりました。

とりあえず歌詞カード読んでみました。ええと、私はどうもリスニングの能力に欠けておりまして、歌詞がよくわかってなかった。例えば、こんな感じに間違ってて、本当になさけない。

正:フルスロットルな脳内
誤:フルスロットルなのはない

もういっちょう。

正:男子禁制のプリ帳 恋綴った日記帳
誤:男子禁制いのふり帳 衣ほすちょうたにき帳

もう、意味わかりませんから。

けど、この日本語と英語のフレーズを詰め込みましたっていう感じ、これがいい雰囲気を出しているなって思って、素直で真っ直ぐな伸びやかさ、そしてとにかく元気いっぱい、聴いていて嬉しくなってくるような高揚感があります。そして、原作から読んでいた人間には、午後ティータイムとかふわふわなんていう言葉もちょっと嬉しくて、ひと昔前には、アニメの内容とどう考えてもなんの関係もない曲を持ってきてタイアップしてみましたっていうようなのが多くて辟易したものなんですが、少なくとも『けいおん!』に関してはそんなことはないみたいで、よかったなあ。ちゃんと歌詞も曲も、そのアニメの内容を汲んで作られているってわかる。それがなによりよかったと思っています。

ところで、Cagayake!GIRLSってギターが二本入ってるようにしか聴こえないんだけど、特にわかりやすいのはスカート丈2cmから、左ではコード弾いてるのに、右ではぺけぺけいって動いてる。っていうか、あんなのよく弾けるなあ。わたしゃ絶対無理だよ。よし、練習しよう。弾いてみた、ってのはやるつもりないけど、こういうの真似するところから練習は始まるんだよなあ、って思うんだけど、私はコピーは苦手ときていて、なんせ日本語のリスニングに問題があるくらいだから……。

Cagayake!GIRLSの後半には、各楽器のソロが用意されていて、それぞれ2小節ずつと短かくて欲求不満なんだけど、そういう仕掛けもらしくていいなあって思っています。こういうサービスみたいなのがさらに進むと、各キャラのCD展開になるのかも知れませんね。正直そのへんはちょっとお手柔らかにお願いしたいところですが、きっと出るんでしょう。そして買っちゃうんだろうな。まあ、私みたいなのが一番悪いってことなんだと思います。

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年4月20日月曜日

VOX Pathfinder10

 楽器屋にいってきました。っていっても、ちょくちょく顔出すだけは出してるんですけど。ほら、昨日ちょっといってました、VOXのamPlugを見たいと思いまして。市場調査といったらいいすぎですが、どれくらいの値段なのかとか、ある程度知っておきたかったんですね。で、そうしたらLine6のPOCKET PODに目移りですよ。いっとき、ものすごく流行ったモデリングアンプの小型軽量版。これが一万円台で買えて、もしamPlugを何種類も買うというんだったら、これひとつ買った方がいいんじゃないか、そんな気がしましてね、でも今はamPlugが欲しい。ボタンやらつまみやら、たくさんついてる機械なんて使いこなせない。そんな私には、amPlugくらいのシンプルさがいいんですよ。

さてさて、amPlugはいつか買うとして、今日は私の使っているアンプについて書いてみようかと思います。私のアンプはVOXのPathfinder10という小型のアンプで、出力は10W。小さいし、そんなに邪魔にはならない(ということは、少しは邪魔になる)し、自宅での練習用にはとてもいいアンプだと思っています。

私がこれを買ったのは、2003年のことで、って、そんなに前なのか。びっくりするくらい前だな。というか、あっという間に五年たったよ。少年老い易く楽成り難しであるなあ。あんまり弾いてなかったこともあるけど、全然上達してないよ。まいったなあ。

その全然弾けなかったころの話、だってエレキギターさえ持っていない、そんな時に、楽器店にいって、試奏させてくれっていったんですから、今から思えばずいぶん思い切ったものですよ。楽器は、楽器店に置いてある試奏用のギターを借りて、Pathfinder10とMarshallのMG10CDを出してもらって、弾けるなんてもんじゃない、だって、エレキギター触るのが何度目かなんてレベルで、つまり弾くのなんてはじめてだよ。なんだかなあ。そんな状態で、四苦八苦しながら、冷汗脂汗だらだら流しながら鳴らしてみて、それで選んだのがVOXだったのですね。

なんでVOXにしたのかというと、それは音の素直さがいいなと思ったからなんですね。ぱっと鳴らしてみたときの音、特にオーバードライブはMG10CDが圧倒的に魅力的で、空5度のフレーズ(いわゆるパワーコードだけど、ロックの人が弾くのとは違うやりかただと思う)なんて弾くと、うわあ、いい音するなあ、って感動するくらいであったのですけれど、それがあんまりにいい音だったから、駄目だ、勘違いする、そう思って、素直な音の出のするVOXにしたってわけですよ。ストイックな音っていってもいいのかも知れません。自分の弾いた音、それがまんま音になっているという感じがあって、下手に弾くとそのまま下手な音が出るって感じでしてね、この下駄をはかせてくれないところがよかったんです。そういえば、サックスもそんな感じで選んだんだっけな。好みは、管楽器だろうと電気楽器だろうと、変わらないものみたいです。

Pathfinder10にも、MG10CD同様にオーバードライブスイッチがついていて、それを押すと、ディストーションがかかるんですけど、それがあんまりいい音とは思えなくて、たまに思い出したように押すんだけど、すぐオフにしてしまって、変わりにゲインをフルにして弾く、そんなことをやっています。ゲインをフルにして、ちょっと強めにピッキングすると、軽く歪んで、こういうのをクランチっていうそうですが、私がクリーンからクランチくらいで弾いているって、こういうわけだったのですね。けど、このクランチを維持しながら弾くっていうのが楽しいんですよ。それが正しいギターの楽しみかたかといわれると、ちょっと自信はないんですけど、ピッキングの加減に応じて変わる音、それを聞きながらスケールばかりやっている。何十分でもスケールやっている、それが楽しくて、それはつまりは、その音が気にいっているってことなんですね。

私がamPlugを買うならAC30かななんていっていたのは、こうした性格、好みのためだろうと思います。けど、公式サイトのデモ音源なんて聴きますとね、Classic RockはClassic Rockでいい音してるし、Metalだって、あの吠えるような響き、いいなあ、かっこいいなあ、そんなこと思って、やっぱり欲しくなる。それが自分にあっているか、また弾きこなせるかなんてことはわかんないんだけど、でも多様な音が得られるというのはすなわち可能性が広がることだ、というような気もするものだから、ちんまいヘッドホンアンプが気になってしかたがないんですね。

って、またamPlugの話になってしまった。

最後に、Pathfinder10の写真を置いておきます。この、ぱっと見は小型のトランクみたいなところ、そういうところも気にいっています。

VOX Guitar amp.

2009年4月19日日曜日

けいおん!

 けいおん!』アニメが放送されるたびに、ここにこうして書くのは正直どうかと思っているのだけれど、ちょっとそれでも書きたかったものだから、書いてしまおう。第2話を見ました。唯が楽器を買いにいく話。私は古い人間なので、テレビの放送に楽しみのピークがきて欲しい。だから積極的に情報を集めたりはしないのですけれど、それでもちょこちょこいろいろ聞いていまして、たとえば唯たちのいく楽器店が、京都のJEUGIA三条本店をモデルにしているとか、そういう話を聞いていまして、それですごく楽しみにしていました。っていうのは、京都で楽器をやっている人間にとってJEUGIAというのはすごく親しみのある店でありましてね、私もずっと前から利用している。中学のころからかなあ。そんな楽器店がアニメに出てくる!? いったいどんな風に出るんだろう? それだけでもう楽しみで楽しみでならなかったですね。

で、『けいおん!』第2話、たしかにJEUGIAは出てきて、しかしたまげましたよ。あんなにまんまだとは思いませんでした。びっくりするくらいそのまんま。店名はJEUGIAから10GIAになって、より読みやすく、わかりやすくなりました。だいたいJEUGIAって読めないよね。そして、そのまんまは楽器店にとどまらず、バス停、あれまんま京都市バスで、多分わかる人にはどこのバス停かとかわかるんでしょうね。私はバスは利用しないは、そもそも市内の人間ではないはで、ちっともわかりませんけど。でも、それが京都だというだけでしあわせです。

しかし、アニメなんてもう見ないと思っていたにもかかわらず、予告編で気になって、じゃあ試しに1話だけでも見てみようかと思って、それでもうはまったというか、何度も見ちゃったりして、続きがもう楽しみだったりして、しかも眠らせていたレス・ポールをひっぱり出してきたっていうね。

LPC-80

LPC-80

しかし、なんという単純さなんだろうね。

結構真面目にエレキギターの練習をするようになったっていうのは、正直なところ、本当にありがたい。いい影響をうけているって思うんですが、しかしこのレス・ポール、ああ、私のはそんなに高い楽器ではなくて、エピフォンなんですが、ほら、

LPC-80

けど、このレス・ポールタイプのギターって、角が脇に当たって、ものすごく痛いのね。重さは平気、もう慣れました。けど、痛いのはいやだなあ。そんなわけで、今はストラトキャスターがすごく欲しい。あれ、コンター加工でしたっけ、からだに当たるところがくぼませてあるの、すごくうらやましい。それにやっぱり軽いっていうのはいいよね。でも、何度もいうけど、私は貧乏なので、そんなに楽器ばっかり買ってられません。追加の仕事がばんばんはいって、借金返してお釣りが出るくらいになったら、ストラトでもベースでもなんでも買うんだけど、そういうわけにもいかないので、とりあえずPlayStation3購入は既定路線だから、ここで楽器を買ってしまうわけにはいかない。

ああ、うん。Blu-ray Discとやらを買うことにしましたよ。新作アニメのDVDなんて、何年ぶりだろう。つうか、新作アニメのDVDって買ったことないよ。DVDすっとばしてBlu-rayかあ。まさかこんな日がくるとは思ってませんでした。

エレキギターの練習は、アンプに通して弾かないことにはうまくならないと相場が決まっているのですが、それもある程度鳴らす必要があるんですが、それはつまり人の迷惑になりやすいってことで、実際私の使っているVOX Pathfinder10、10ワットの小さなアンプなんですけど、自宅練習するには充分すぎる、というか大きくてうるさいよ、ってくらい出るんで、いつでも練習というわけにはいかなくて困ります。だから、同じくVOXのamPlugでも買っちゃおうかな、安いし、なんて思ってます。これは、ヘッドホンを通すことを前提にしたミニアンプで、なにしろスピーカーがついてないから、近所迷惑になりません。これだと、深夜はだめだろうけど、夜でもいけそう。私はクリーンからクランチくらいでいつも弾いてるから、AC30でいいかな、なんて思ってるんですが、歪ませて弾きたい人にはClassic Rockが向くそうです。『けいおん!』の唯っぽくいきたいなら、Classic Rockなのかな。Marshall使ってるみたいだし。これ、Bassアンプもあるから、ベース買ったらこれだなって思ってて、というか、安いんだからいろいろ揃えて使いわけてもいいかな、なんて思って、ここにも散財の罠が! 通販でまとめて安く買うか、なじみの楽器店で、少しずつ揃えていくか。ちょっと迷っている最中です。

ああ、忘れてた。これ、アニメ『けいおん!』の記事だったよ。紬のキャラクターが、あの楽器店で値引きを迫るところですね、原作では、安くしなければ貴様をとって食うみたいな雰囲気だったのが、アニメだと随分違って、値引きなんて概念もなかった人が、無邪気に交渉してみましたって、実に罪のない感じになっていて、あれは可愛かった。私が店員だったら、引くな。さすがに5万にはしないだろうけど。私は使用人に厳しいお嬢様ってキャラクターも好きだから、原作には原作の、アニメにはアニメの、それぞれのよさ、面白さ、魅力があって、そのどちらもがいいと思ってます。このアニメ化で、四コマ漫画も楽器も音楽も人気が出て、わっと集まった人たちから、長く支えてくれるような人が残ってくれればいいな、なんて思っています。

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年4月18日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2009年6月号

先月、『まんがタイムきららMAX』の購入に際し、傷んだ本が多かったことを嘆いていましたが、今月はそんなどころではありませんでした。なんと、1冊しかなくてですね、えーっ、なにがあったんだろう。休日で、午後になってから買いにいったから、そのためか? 他の全部売れたのか? 『かなめも』アニメ化効果なのか? わかりませんが、先月6冊入荷して今月1冊しか入らないってこたあないと思うんですけど、どうなんでしょう。せめて3冊くらいは入っていてほしいなあ。 今月はたまたま売れてしまったあとだったてんなら、安心できるんですけど、どうなんでしょうね。

『かなめも』は、みかがたくさんでていて、ちょっとしあわせ。この人の、悪意のない尊大なところがいいなと思っていて、特に語尾のじゃってのがいい。ちょっと方言ちっくと感じないでもない感じです。話の展開においては、ゆめ、ゆうきペアがみかについてなにか知ってそうで、そういえばゆめも上流階級の人間なんだったっけか。きっとなにか仕込まれてるんだろうなあ。

イチロー!』は、裸で正座させられた父が、裸の娘に叱られる、実にシュールな話。いや、ごめん、嘘。でも、そうとしか見えませんでした。『ぐーぱん!』は久々に未理の破壊力。しかし、この前世がどうのこうのっていうの、私が高校生だったくらいのころに、社会問題になるくらい(一部で)流行ったんでしたっけ。前世の自分に合おうとして、勢いあまって死んでしまったりしてね、もうなんともいいがたい、そんな事件がいくつもあったものでした。今はあのいけすかないおっさんのせいで、また流行ってるのか? もう流行りはすぎたのか? いずれにしても、大変ですよ、いや本当に…。しかし、この漫画における一番の常識派、それが一番非常識に見える菜摘というのは面白いなあって。そうしたところがよくわかる回であったようにも思います。

ひろなex.』の藤口浩って、川口浩だけじゃなくて、別のだれかも混ぜてあるんだ! ああ、藤岡弘、か! って、なんで名前のあとに読点やら句点やらつけるのはやってんだ。こうして文章にするときにややっこしいんだよ、勘弁してほしい、ってのはどうでもいいとして、『ねこにゆーり』読むまで気付いてなかったですよ。フジ○カですよっていわれて、フジタカ? もう、すっかり忘れていましたよ。しかし、『ひろなex.』は忘れたころに探検隊ネタが出てきて、しかしこの罪のなさというか、中学生の遊びに見えないというか、なんともいえないものがあります。それに今号は、ジュリーが可愛いかった。犬もいいなあ。

ぼくの生徒はヴァンパイア』は、前回の話を引っ張って、しかしメイベルさん、どれだけ可愛いっていうんだろう。薬のせいでいつにも増して移り気なブラム、その気持ちのカミラに移ったことに表情を曇らせるっていうね、もう、なんということでしょう。しかし、ブラムの両手に花的解決は、女性からしたらありえないんだろうけど、男からしたら、理想だよなあ、なんて思う私は、以前から、いくつも愛を持っているってことを公言しています。だから駄目なんだよ。反省しました。次いきましょう、次。

兄妹はじめました!』は、妹のほうからも意味深な。けど、ここではぐらかしてしまう兄貴、ほのめかして、気付かせて、妹からいわせる戦略なんだとしたら、それは駄目だよ兄貴。もっと駄目な人から駄目出しされる兄貴であります。しかし、これは兄貴が腹くくれば、それで動きそうな気がします。だから動くんだ兄貴。でも動いたら終わっちまうんだろうな。難しいところです。

○本の住人』は、恋愛シミュレーションについて。なんだけど、やっぱりナンセンスに傾いていって、そういえばこの手のゲームはもうずいぶんやってません。悲しくなったり、虚しくなったり、死にたくなったりするんですよね。ひさちゃんの誤解を遠隔でとこうとした兄貴の叫び、この人は完全に向こう側にいっちゃってるのかと思ったら、わりとそうでもないみたいですね。しかしひさちゃんは可愛い。それはそうとして、あの下敷はちょっと面白い。本当にあるんだったら欲しいかも知れません。しかしあの妹は可愛いなあ。

天然女子高物語』はあだ名について。同人作家のペンネームに不思議な語感の名前が多いのは、もしかしたらこういうことなのかもって思いました。振り返れば、私にはあだ名がなかった。って、そうでもないか。あったな、あった。よかった。

『超級龍虎娘』は、毬虎さんがえらいことになってますね。発情といいますか、こうした上気した表情にどきっとするのは、人間も結局は動物ってことなんだろうなって思わせて、いつも以上に可愛いと思えるのもそうしたことなんだろうなって思わせて、人間ってちょろいな。話も面白かったです。私もちょろいな。『フィギュ☆モ』は、りか(科学部の眼鏡)のポリシーがつくづく私といっしょで、映画にいけばパンフレット買いますし、エンドロール中に席を立つなんてありえませんし。しかし、最近映画館にいってないんですけど、携帯を切るんだっていうのは本当にあるんでしょうか。あるのなら、ユーモアがあって面白いなあ。『ストロマロジック』って、炭酸飲料一気飲み部っていうサブタイトル、以前からついてましたっけ? ついてたのかなあ、気付いていなかっただけで。炭酸飲料一気飲みっていうの、見るたびに、体に悪そうだなって思って、もうずいぶん前の話ではあるんですけど、炭酸飲料を一気飲みしたあと、げっぷをどれだけ我慢できるか競争をした少年が死んじゃうっていう事件がありましてね、それが忘れられない。炭酸飲料見るたびに思い出してしまうんですよね。けど、これは漫画には関係ない話。漫画本編は、女の子に興味ない人が、女の子とデートして首輪で繋がれる話。けど、まあたまには首輪もいいよね。いつもはやだけど。

『PHz』の鼻水のうんぬんいうの読んでたら、昔、高校生のころ、鼻水ずるずるいわしてる副部長を見て、いいなあ、可愛いなあって思ってたこと思い出しました。なんというか、あれは萌えだと思う。けど、萌えならティッシュでかむんじゃなくて吸うほうが、と、どんどん変態度があがっていくので、ここでやめときます。

『魔法のじゅもん』が終わり。ずっと気になっていた漫画でした。なんか、シビアというか、酷さというか、そうしたものがやけに現実性を帯びている、そんな漫画でした。最初は苦手だったけど、途中からずっと好きでした。次回作がある、みたいな風にありますけど、あるのなら楽しみです。

まん研』はカラーになるとやりたい放題だな。でもそのやりたい放題も『R18!』にくらべると、ずっとマイルドと感じられます。今回はいつにも増して、同人誌事情、その制作におけるもろもろが描かれていて、これは面白かった。同人誌は、収益よりも愛が原動力になっている、そういうところがあるから、原価割れはよくある話って聞いてますけど、まさにそうした話で、読んでいて楽しかった、とてもよかった。なんか、私も同人誌作りたくなってくる、そんなよさがありました。

『表色89X系』は、たまに目の表現が怖いです。あの、縦線の目がこの世のものではないようで、けど、好きです。眼鏡があるからじゃないよ? 一番好きなの葵ですけど。なんか癖になる絵だと思います。

そして僕らは家族になる』は、佳苗さんが登場。しかし、彩子を男の子と思っていた人が、こんな若いコ二人も囲ってて……なんていっている。これは、つまり、自分の夫にそういう趣味があると! そういうことをいっているのか!? なんだか、がぜん燃えてきましたよ。しかし、可愛ければ男とか女とか関係ないよな、なんたって時代は男女機会均等だもんな。なんて冗談抜きで思うようになっている私は、本当にちょっとやばいのかも知れません。漫画に戻って、幸助と彩子さんの関係、過去の一ページがちょっと明らかになって、しかし幸助は本当の本当に不義理だな。こうした思い出されたことが、今後にどう影響していくのか、それが楽しみです。

『茶夜探偵団。』は、いや 頭が寒くてね?が素直に面白くて、そして見ないでくれ。強いインパクトはないけど、結構好きな感じです。おばけの云々も、そのからくりも、そしてその解決も。『魔法少女☆皇れおん(仮)』は、くしゃみで変身という異常な設定が普通に受け入れられるようになって、しかしれおんが男の子というのは普通に忘れがちで、だから「目の前で」ではどきっとしました。

はなまるべんと!』は思っていた以上に意味深で、深刻さまとわせて、けれどこうした過去を抜けて今がある、その今というのも特に不仕合せであるようには思われなかった、そこに、この過去の因縁がどういうかかわりかたをするんだろう。すごく気になります。なんか真面目ぶったあとにこんなこというのなんだけど、なんか人見知りのあやめ、可愛いなあ。

  • 『まんがタイムきららMAX』第6巻第6号(2009年6月号)

引用

  • kodomo兎「ねこにゆーり」,『まんがタイムきららMAX』第6巻第6号(2009年6月号),142頁。
  • 中平凱「フィギュ☆モ」,同前,84頁。
  • 荒木風羽「そして僕らは家族になる」,同前,132頁。
  • だいふく「茶夜探偵団。」,同前,148頁。
  • 同前,149頁。

2009年4月17日金曜日

『まんがタイムファミリー』2009年6月号

雑誌の感想をこうして書くようになって、はじめて気がつくということもあります。なんと、一番最初に月があらたまるのが毎月17日発売日の『まんがタイムファミリー』ということがわかって、まだ4月もなかばだってのに6月号ですよ。えーっ、て感じ。どうも15日か16日か、これくらいのタイミングで月をあらためるみたいですね。14日発売の『花音』は5月号、17日の『ファミリー』以降から6月号。これが芳文社におけるとりきめなのか、雑誌全般における慣習なのかはわかりませんが、芳文社では『ファミリー』から月が明けていきます。新しい発見でありました。

『こんぺいと!』が最終回目前で、最近話が動いてるなって思っていたら、やっぱり終わりに向かってたんですね。私は仕事場には心を置いていないので、ああした感傷は理解しないのですが、けれど最後のページ、なんだかじんわりと心に沁みるものがあって、それは成帆の神妙でちょっとさみしそうな表情のためかな。先月末、私の職場でも異動やら退職やら、こうした別れはたくさんあったのかも知れません。そうした日常の一コマ。ありふれて、けれどそれぞれの人にとってはかけがえのない一コマ。理解しないなんて、不人情なこといっちゃあいけません。

はっぴぃママレード。』は、正直なところを申しますと、新キャラの下級生には興味がありません。私の興味は、茉莉花の兄、生徒会長に注がれて、待てど暮らせどこない弁当を待ち続ける彼の明日はどっちだ!? 冗談抜きで、むくわれない兄貴、大好きです。『ラディカル・ホスピタル』は記憶ないしは脳を扱って、“或いは” “もしも”だなんてあなたは嫌ったけど、もう一度、まっさらな頭でなにかを覚えられるとしたら、私はなににチャレンジしたいだろう。やはり私は音楽を選びたいと思う。やりたいこと、覚えたいこと、できるようになりたいことはたくさんあるけれど、それでも私は音楽ほどになにものも愛してはいない。だから音楽。榊医師は私とはちょっと違うんだろうけど、やりなおせるとしても医者を選びそうな気がします。ところで、私、今はあのメガネのお姉さんが忘れられません。

おかあさんがいっしょ』が素晴しい。飛ばしてます。ニラ! 単純、シンプルなんだけど意表を突かれて、そして「飛び出し注意」。どんどんおかあさんが凄い人になっていって、偉大なりしは母ということか。朝からステーキだ♥

おこしやす』、関東の番組は1・2週間遅れて放送される、ええ、たしかに今、私の楽しみにして見ているアニメも1週遅れです。でも、放送されるだけましだと思うんだ。大徳寺なっとうは、実はちょっと苦手です。からすぎます。ああ、ネギ焼き食べたい。

『よめヨメかなたさん』は、同姓同名嫁と姑、ベタといえばベタだけど、シンプル、オーソドックスな話のまわしかたは素直に飲み込めて、すごく楽しかったです。私はあろひろしの描く美人はちょっと苦手ですが、でも若奥さんの素の表情はかわいいと思う。この漫画においては、若奥さんの方が姑よりも年上です。たまに線が荒れているのが気になるのですが、それは作者が目をお悪くされているという話を思い出すからで、漫画が読めるのは嬉しいけれど、おからだ心配する気持ちをとめることができません。

Smileすいーつ』は扉ゴマが、扉ゴマが! お姉さんの方がやっぱり魅力的だと思います。『キラキラ☆アキラ』は、なんだかいい親父さんだなあ。そして、なんだか手紙を書きたくなるっていうね。よし、明日あさっては手紙を書くぞ。『+1サプライズ』は、めずらしく万鈴と距離を置いて、離れながらも気にしている、その距離感がさっぱりと表現される、そこはよかったです。でも、できたらお父さんのことも思いだしてあげてください。『一緒にかえろう』、これもまたいい親父さんだなあ。詩緒は、同年代は苦手でも親父さんは別に平気なのか。意外。けどちょっとわかる。私も同年代は苦手でした。

派遣です!』が最終回。サブタイトルの頭をとるとメッセージになるという、けれどそれはあえて丸で囲んで強調するのではなく、気付いた人だけの楽しみでよかったように思います。そうだと、きっと私は気付かなかったろうと思うんですけど……。幸いな漫画は幸いな終わりかたをして、最後までよかったなあ、そんなこと思っています。

『プチタマ』は、お母さんが出てくると嬉しいなあ。しあわせです。ところで、フラフープですけど、本当にはやってるんですね。以前、ヨドバシカメラで、子供がくるくる回しているのを見て、びっくりしました。私はほとんど知らないおもちゃです。

ネコ式生活』はのっけからすごい。今号の最大笑いポイントでした。どれほどマイペースなんだろう、とにかくもう面白くて、あれは絵だけで笑える。ネタでさらに笑う。ガーン‥って! 頭っから最後まで面白かった。緩急つけながら、ラストに用意された最大の山まで徐々にのぼっていく。最高でした。

『ひとみとコットン』は、テンション高い着ぐるみの魅力よ! 『乙女の星』は、キャラクターが可愛いだけでなく、うまく流れができていて面白く、こういう雰囲気で続いたら嬉しいなと思えるような回でした。アンケート次第? 『ダブルパティシエール』は『ジャンボ』5月号の続き。ロールケーキを作るところなど、また洋平がさらにレベルアップしているところ、こうしたところは面白く、けれどおそらくメインの流れなのだろう、かほのもろもろについては、ちょっと乗りきれないものがあって、もやもや。いやさ、あんたこの仕事に関わってからどんだけやねん、なんぼほど甘い考えしとんねん、っていう気持ちがとめられんで、まあ紆余曲折をへた後で決意を新たにしてもどってくるんだろうなあ、というのはわかるんですが、けどあんまりに根性なさすぎる。というか展開が急ぎすぎと思えて、もやもや。かほの気持ちの動きに私の気持ちがついていかなくて、もやもや。うん、もやもや。もやもや。

『おでかけ三昧』は合コンだそうですが、実はこういうコンパとかでかいがいしく給仕する女の子って嫌いです。ミスがっかりは、目が据わってからがいい。自分から話を振っといて、のってきたら興味などないとばっさり。むごい。けど、私はどうもこういう酷い女性が好きなようです。自分でも趣味が悪いと思っています。

『天然MAMA日記』は、異様なハイテンションが面白い漫画。慣れるまではなんともいえなかったけど、慣れたら病みつきにさせるような勢いがあって、さて今回、ヒマなんだろは至言だと思いました。飽きたんだよ、この景色に。そうだったんか。その表現のドライなさまが、なおさら面白かったです。

『ぐ〜すかうめ実さん』の最後の話は、人によってはひどいと思うかも知れないけれど、私にはこれもまた夫婦の愛というか情というか、そういう風に思われて、人間はいくつになっても気持ちときめかす、そんな感覚を忘れないものだけど、そういうものとは別に、静かに穏やかに思う、そういう気持ちもあるんだって、そしてそうした気持ちのほうが、一瞬に燃えあがる気持ちよりも、ずっと尊いものなんだと、そんな風に思った。あの、ラストのコマの、丸くちんまりと描かれたうめ実さんは、それはまたひとつのしあわせのかたちであるのだと思う。なんか気持ちの安らぐのを感じる話でした。

  • 『まんがタイムファミリー』第27巻第6号(2009年6月号)

引用

  • ひらのあゆ「ラディカル・ホスピタル」,『まんがタイムファミリー』第27巻第6号(2009年6月号),19頁。
  • 木村和昭「おかあさんがいっしょ」,前掲,32頁。
  • 久保田順子「おこしやす」,前掲,35頁。
  • 高橋三千世「天然MAMA日記」,前掲,149頁。

2009年4月16日木曜日

なのはなフラワーズ

 『なのはなフラワーズ』がはじまったとき、なんといったものか、正直よくわからんものがあったんでしたっけ。まず、印象は悪かったですね。高中さんのせいです。いや、眼鏡に好かれてるからじゃない。この人の、青ちゃん、あ、眼鏡の彼女です、と会うたびに変わる言動が耐えられないと思ったんでした。私は、過剰に一貫性を求める、そんな性質があるのですが、きっとそのためでしょうね。それと、口では二人でだなんていいながら、対話を成立させない、そんな一方的なしゃべり方、それにもいらいらしていました。でも、読んでいくうちに、そうした嫌な印象は消えていって、どこかノスタルジックななのはな荘、住民たちの交流するその様子に心ひかれて、楽しみにするようになっていたのですね。

第三話の時点で、その傾向はすでに見えていました。第四話では、もうほとんど陥落寸前でした。そして第五話で完全に落ちて、それからはもうひたひたに漬かるようにして、読んで、読んで、たゆたって、いい漫画だなあと思って。そう思うようになったのは、青ちゃんをはじめとするなのはな荘の面々の、個性的で、どこかに孤独やさみしさを抱えながらも、そうした感情に潰されたりしなさそうなところがいいなって思ったからなんだと思うんです。最初は、微妙に人と距離をとっていた青ちゃんも、だんだんになのはな荘のみなに溶け込んでいって、そして助けられたり、助けたり、それも別に大げさな話ではなくて、ちょっとたくさん荷物を持っている人がいたら、大丈夫、ひとつ持つよって、そんな気安さで気持ちを軽くしてあげようっていうね、そうした感じがいいじゃありませんか。

この漫画に感じられる、ノスタルジックな感覚というのは、もしかしたらこんなだったかもなって思う、昭和の空気なのかも知れないと思っています。人と人の距離が、今よりずっと近かった昔。わずらわしいこともあった、嫌なこともあったけれど、心が弱って痩せ細った時には、ずいぶんと助けられたこともあったろう。そんな、昔の人間関係の、理想化されたあたたかみがあるように感じられて、それはなんとはなしにさみしい、そんな今だからこそ求めてしまうものであるのかも知れないなんて思っています。けれどそれは、もうなくなってしまったものをただ懐しがっているのではなくて、かつて大切にしていたもの、それは失ってしまったけれど、そのかわりに新しく得るものもあったでしょう。そうしたメッセージも込められているようで、ええ、だからこそ好きになったのだと思います。懐しい雰囲気に、今という時代が溶け込んでいる、そうしたところがよかったのだと思います。

そして、第1巻は、とてもきりのいいところで終わって、漫画家青ちゃんと編集高中さんの二人でから始まった物語に、二人で一旦の決着を付けて、しかしその情景の切なさったらなかった。高中さんに振り回されてきた青ちゃんの胸中が一気にかたちとなった、あの夜の情景は美しくて、切なくて、胸しめつけるようでした。ふいに訪れたシリアスは冗談めかしたものいいにごまかされて、けれどそうだったからこそいっそう胸が一杯になった。冗談に紛れさせなければならなかったほどに、重い告白だったんだ。それは酒の力を借りたもので、けれどその思いの本当であったこともきちんとかたちにして描かれて、ああもう煮え切らないやつらめ。でも、その青臭くて、場慣れしていないやりとりの稚拙であるところに、飾り気のないそのままの心情があふれかえるようで、たまらんかった。言い切りたい。けれど、言い切れない。そのはざまに心が揺れ動いて、ふるえているんだ。怖れながら、けれど手探りするようにして、その思いをはきださないではいられない、そうした心のたかぶる様子には、もらい泣きさせるような、心を揺さぶる力がありました。

  • 青木俊直『なのはなフラワーズ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年4月15日水曜日

えきすとら以蔵

 『えきすとら以蔵』は役者の漫画。撮影の現場、役者としての以蔵が描かれ、そして妻小冬との生活、家庭人としての以蔵が描かれて、それが面白くてですね、実にいいんです。売れない役者です。だからチョイ役、斬られ役とか死人の役とか、台詞なんてまったくといっていいほどないし、カットされてるのもたびたびだし、だからタイトルも『えきすとら以蔵』。でも、そうした、決して望ましいとは思えない生活、稼ぎも薄いし、生活を支えるためにバイトで食い繋いだりしましてね、そんな生活を送っているというのに、なんだか楽しそうに思えてしまうのは、以蔵が自分の夢をぶれることなく追っているからなのでしょう。けれどそれだけじゃない。それ以上に大きいと感じられるもの、それは、以蔵を理解し側にいてくれる人がいる、小冬ですね、そして以蔵をあたたかく見守っている大家さんはじめ町の人があって、そして役者のみながあって、彼は愛されているなあということが伝わってくる、その温度がとてもよいのだと思っています。

しかし、長く続いている連載です。私はいったいいつごろから読んでいたんだろう。初出一覧を見れば、始まったのは2001年の6月。私が『えきすとら以蔵』の連載されている雑誌、『まんがタイムオリジナル』の購読を始めたのはそれよりちょっと前だと思うので、だから多分最初から読んでるのだと思います。けれど、最初のころの話はほとんど覚えておらず、それが途中からじわじわと、あ、この話覚えている、などと思うようになってくるのは、そのぐらいの時期から、この漫画がたくさんあるなかのひとつではなく、まぎれもない『えきすとら以蔵』として認知されるようになった、ということだと思うのですね。

地味な漫画だと思います。もとより地味好みの私でありますが、その私が見てもなお地味だと思う。登場人物は多いのだけど、レギュラーといえる人間は以蔵、小冬、途中から蝶子、最近では研修生。あとは監督とか御大とか社長とか、申し訳ないけれど、ぱっとしないといえばぱっとしない人たち。主役はおっさん、ヒロインは妊婦。けど、この一見地味な漫画が、読んでいるうちに特別なものになっていくんですね。それは、顔も名前も売れていない役者、以蔵が、そのまわりの人からは認められている、愛されている、そんな感覚に近いんだと思います。よく知れば、そのよさ、魅力がわかる。伝わるものがある、豊かに表現されているものがある。そうした漫画であるのです。

私がこの漫画を好きなのは、漫画としてよくできている、ということもあるのだと思うんですが、それ以上に、以蔵になにか共感するところがあるからなのだと思います。私は音楽をやっていますが、全然仕事がないので、違う仕事で生活を繋いでいます。こんなことしてるからか、同じような境遇にある友人知人も多いんです。音楽やっている人間はたくさんいる。役者もいます、最近連絡とってないけど、舞台中心の人とか、あとは芸能事務所に所属して、エキストラをやってる人とか。本業で食っていけている人、とうてい食っていけない人、いろいろいて、けれどみんな自分のやりたいことがあって、そのやりたいことをあきらめなかった人なんですね。私は一度あきらめたから、みんなより何歩も遅れているのだけれども、好きなことにあきらめがつかない人、そうした人のがんばって食い下がっているところ、なんかね、いろいろ思っちゃうところがあるのよさ。

そうした気持ちが、以蔵を見ていても同じように浮んできて、もう、じんとする。ああ、頑張ってと、そうした気持ちになって、そして自分も頑張ろうって思えてくる。それはひとえに、この以蔵というキャラクターの確かさのためなんだろうなって思って、人好きのする性格、そしてむくわれないってところ。なんだか、放っておけない感じで、しかしそれは哀れみやなんかではなくって、目指す先は違うけれど、一緒に頑張る仲間であるというような、そんな近しさ。本当に、いいキャラクターであると思い、そして気付けば、漫画の中の以蔵を支える人たち、見守っている人たちに連なっているかのような思いがするのですね。

  • こだま学『えきすとら以蔵』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年4月14日火曜日

いきなり☆ねこキック

 これはなんと可愛い眼鏡なのだろう。いやしかし、第1話を読んだときにはまったくそうした感想ではなく、実は途方に暮れた、冗談抜きで暮れた。また幼女か、しかもそのうえ裸か。くらくらと眩暈がするように感じて、もう本当に勘弁していただきたい、そんなことを思ったことも懐かしく思い出されます。第一印象は最悪といってもいい、そんな具合でしたから、当初の数回は好意的になど読んではおらず、まさしくそれはアウェイゲームといった様相を見せて、だからこうして単行本でもう一度、今度は違った目で、印象で、読み直すことができたことはよかった、そのように思っています。そして、そうした心境の変化をもたらしたのは、この漫画の内容の、私の思いもしていなかった方向に進んで、その与える印象がよかったということに尽きます。そうなんですね。当初、短絡して見限ろうかと思った、それが本当に見込み違いであったということなのですね。

私の印象を変えたのは、第4話でしたっけね。主人公、優の姉由羽が、優に迫る女の子、神坂さんに嫉妬したあまりに対抗して料理を作る。そんな回です。殺人的な料理を作ってしまう、そんなベタな展開にはじまった話は、段々にシリアスの色を強めていって — 。この回くらいからでした。わけありの姉弟、その背景があきらかにされていったのは。そして由羽の優に向ける屈折した思いというものも掘り下げられていく。その情景にいたっては、もう切なさがこみあげてくるようで、たまらない。思っている。しかしその思いを明らかにしてはいけない。そう思い込んでいる由羽の眼差しがたまらない。この漫画は優が、ネコミミの少女ちゃろを拾ってきてしまった、そうした突飛な設定をもって始まったけれど、その中心となる軸は、由羽の心の、思いの、ふるえている、そう思ってしまうほどに繊細に揺れ動いている、そうした模様にこそあるというのです。

読み始めたころは、一歩しりぞいて、遠巻きにするように眺めていた。けれど、今、もう一度、今度はそんな意地悪な気持ちなんて抜きにして、近しい気持ちで読んでみれば、由羽の位置、そして優との距離、そうしたものもよくわかる、ちゃんとわかるように描かれているのですね。また、ちゃろとはなにものなのか、そうしたものもおぼろげにほのめかされていて、物語の仕掛けというものもそれとなくわかるように作られていて、実に丁寧な仕事であります。そして、その物語のすべては、由羽と優の関係を、本来ならこうであったろうという関係に向かわせるのではなかろうか、そのように感じさせて、それはつまりは今の状況を望ましいとは思っていない誰かの意思があるということなのだろう。ふたりの関係がこのようになってしまっていること、それをすまなく思っている誰かがあるということなのではないだろうか。そのように思い、はたして先はどのようになるのか、覚悟しつつ、期待しつつ、読んでいるのであります。

上に書いたことは、あくまでも私の予想、そして私の予想ははずれると相場が決まっています。物語が私の予想を軽々と越えて展開される。それがなによりの楽しみであるから、そのはずれる時を思うとわくわくするものがある、ええ、わくわくとする気持ちを押さえながら読んでいるのです。

  • むつきつとむ『いきなり☆ねこキック』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2009年4月13日月曜日

『まんがタイムラブリー』2009年5月号

私が四コマ誌を読むときは、朝の通勤電車の行きで半分、職場は昼食時に数本、帰りに残りを読む、そんな段取りであるのですが、今日発売の『まんがタイムラブリー』は様子が違いました。なんと、行きの車内、まだ乗り換え駅につかないという段階で、ほとんど読み終わろうとしていた。なんと、ものすごいいきおいで読めているぞ、いったいなにがどうしたんだと我ながら驚いていたら、なんてことはない、電車が遅れていただけでした。それも、五分十分なんてレベルではない。淡路到着時点で25分の遅れというアナウンス。ええーっ!? 遅刻確定じゃんか! というか、電車に一時間乗ってたわけで、そりゃ『ラブリー』も読み終わるってもんです。しかし、朝からまいりました。

『まんがタイムラブリー』は、私の四コマ誌の入り口となった雑誌で、もしこれを知らなかったら、今の私の四コマライフはなかったであろう、そういってもいいような雑誌。ちょっと特別なのです。ですが、その雑誌は今まさに誌面を刷新しようとしている最中で、はたしてどうなるのだろう。そんな不安におののいておるところです。ですが、こうしたことは以前にもあって、それは『サクラ町さいず』の記事にて書いたこと、かつてはあんなに好きだったはずの雑誌が今ではそれほどでもないと思う、そんな状況を思い起こさせます。けど、あの時も乗り越えられたんだ、きっと今回もいけるはず。だから、徐々に親しんでいければよいかなと思いながら読んでいます。

『天使な小悪魔』、私も反省からスタートです。実際、ちょっと金銭感覚がマヒしているところがある。っていっても、マリリンほどではないですけど、でも段々に酷くなっていっていて、反省しないといけない。まあ、外食しない、缶やペットボトルも買わない、だから贅沢しているわけではないんですけど、そのぶん本買ってるからなあ。もともとの稼ぎが薄いところに、本という道楽。しかも今日はBlu-ray Discとやらを予約してきてしまった……。ズボラーにはズボラーな金しか残らんのやで。はい、反省しました。

しかし、こうしたホステス稼業している人は、稼げる期間の限られていることを考慮にいれて、がっちり堅実に貯金している人があれば、逆に日頃のお勤めでどかどか溜るストレスを発散させるべく、無茶な買い物してみたりする人もあるなど、いろいろタイプがあるとか聞き及びます。でもって、マリリンは後者なんでしょうなあ。そういえば、先日もストレスの溜りそうな同伴のあとで、高いお寿司を食べていらっしゃいました。しかし、この倹約生活の破綻は、次回に持ち越されて、いったいどういう風に決着するのか。きっと、いい方向に向かうんだろうな、そんな風に思うのですが、だからこそその筋道がどう描かれるか、楽しみです。

『だんつま』は、ひなよさんの夫婦ゲンカから馴初めにまで話が膨らんで、しかし、あれは普通は成り立たんよな。まさしく割れ鍋に綴じ蓋的カップルであるということが描かれて、変は変でも変だからこその縁がある、そんな話が面白かったです。しかし、学生時分より主婦になってからのほうがひなよさんは可愛いな。

千里唱子の『Making OF 結婚式』が終わり。まさか、女性スタッフの誰も結婚に漕ぎ着かなかった、実に衝撃で、しかし実にらしいと思えるラストに、なんだか安心したというか。ほんと、最後までいつものテイストで、ほっとしつつも本当は実は寂しい。千里唱子や九月乃梨子の漫画が読めたころの『ラブリー』、あの頃の雰囲気はどんどん薄れていって、それはしかたがないのかとも思いながら、好きだった時代の終わっていく、それが本当に寂しくてたまりません。

リカってば!』が掲載されて、実に久しぶり、けどこれは嬉しいなあ。好きな漫画です。今は亡き増刊誌『まんがタイムポップ』に連載された漫画で、人気があったんですよね、こうして今も残って、しかし本当にリカと塚田の間は埋まらないな。好きな人とのデートにどきどきして、あれこれ思い悩んだり、当日失敗してみたり、そうした不器用さ、慣れない感じ、それが見ていてもどかしく、そしてそのもどかしいところがよいんだなあと思ったり。しかし、慣れず、落ち着かない安曇に対して、それとなくリラックスできるような雰囲気を作ってあげる、本当に塚田はいい男だなあ。なんか駄目なところも散々描かれてる男だけど、トータルで見るといい男だと思う。それはやっぱり姉と妹によってしつけられた結果なんでしょうか。

『ただいま勉強中』は学校図書室の様子を描いて、しかしとんでもない生徒にとんでもない教師。しかしそれを見てほほ笑ましい、あるいは可愛いと思わせるのは辻灯子の持ち味ゆえであろうと思います。個性的、一筋縄ではいかない、そして人間臭い。それが魅力的で大好きです。あ、今号で『ラブリー』での連載は終了。『オリジナル』に移るんだそうです。『オリジナル』が実に素敵な状況になっていく、そんな状況にくらくらします。

『ネコキャバ!』は、まだはじまったところであるけれど、そんなに嫌いではない感じであります。キャバクラからネコ喫茶ならぬネコキャバクラに鞍替えした、そんな話なんですが、基本は気ままな猫に翻弄されるオーナーの様子を楽しもうという漫画のようです。しかし、あの寿司ネタを食べた猫ですが、山葵は平気なんだろうか。

先生はお兄ちゃん。』は、身体測定を巡るあれこれ。背の高さにコンプレックスがあったりする人にとっては、なんともいわれん嫌なイベントなんでしょうな。しかし、夜は早く寝る、そんな妹があえて昼寝ても、きっとそんなに違いは出ないはずで、それでも試さずにはおられない、その必死な頑張りが健気でよいんですね。

パニクリぐらし☆』は携帯電話事情が描かれて、あの電話を探す描写、わかります。今、本当に公衆電話は少なくなってしまって、もう携帯があるのが当然な時代になってんだなあと痛感させられることも多くなってきました。けれどそれでも私が携帯電話を持たないのは、いつでも呼び出される、その縛られる不快のためでして、だからみつきの選択はしてやったりでした。

『たたかえ!WACちゃん』は、以前レディーズコミック『You』に掲載された漫画を思い出したりして、それは自衛隊を除隊後、予備自衛官として訓練に参加する女性を描いた漫画で、結構面白かったんです。知らない世界のことを知るというのは面白いことだと思います。だから、この漫画が私のよく知らない世界を知らせてくれるのだとしたら、それはすごく楽しみかも知れない。などと思っています。でも、あのヒロインには共感しにくいなあ。

『ミニっきえにっき』は、今回も実に飛ばしていて、ミニ様かっこいいなあ。ああいう凛々しく健気に振る舞う少年、大好きです。しかし、そうしたミニ様をふりまわすエリス嬢のパワフルというか、自分を中心に据えた世界形成力、実にすばらしい。実際女の子の方が早熟だっていいますが、こういうませた女の子は実際にいくらでもいそうで、それで男の子は太刀打ちできないのもよくある話で、こうしたリアルをファンタジー込みで描く漫画の面白いことったらもうないですね。さっぱり噛み合わん! ミニ様の心の叫びには笑わずにはおられない。もう素晴しすぎ。大好きです。

『縁側ごはん』は、どうにもマイペースな青年のごはんに関する興味? 関心? を描いた漫画で、エッセイっぽいのかも知れない、ちょっと懐古趣味的であるのかも知れない、そうした趣味は嫌いではない。強烈には働きかけてはこないけれど、じわじわとくる、そんな味わい、素朴な風味は結構気にいっています。

『ココロノミカタ』はちょっと気になる漫画で、それはヒロインの造形がためなのか。そうかも知れません。華奢な人形的体型、リボン、金髪、眼鏡、疑懐古趣味。嫌いではないけれど、腹にたまるようななにかのある漫画ではなく、それはスフレが舌の上にふわりと融けて消えるような、そんな雰囲気に似ています。甘さを残してほろりと崩れて消える。がつんとはこない。それが物足りないかも知れない。けれど、それがよいのかも知れない。ストーリーさえも添えもので、中心には雰囲気を演出する仕掛けがある、その仕掛けが嫌いでなければ、悪くない。そんな漫画だと思います。

『MISHIMAデパートメンズ館』は、この漫画のおかげで、阪急百貨店のメンズ館を見て笑うようになってしまった……。

Information about men's palace

デパートの若社長の傍若無人、行き当りばったり、自分の趣味を満足させることしか考えていない馬鹿さ加減が持ち味の漫画ですが、松山花子らしいシニカルさがたっぷりとあって、それがもう面白くて、気にいっている漫画です。今回はフランスを扱って、しかもそれがいい加減な扱いで、それで迷子のフランス人もいいように扱われて、そのいい加減さ、ひねた感じ、やっぱり面白い。私にはどうも松山花子は合うようです。この漫画も雑誌を移ります。『スペシャル』にいくそうです。

スタミナ天使』はもう佳境。実際、次号が最終回で、だから今回は次回に向けての繋ぎという印象が強かったです。とはいえ、天河の酷さ、ろくでもなさは健在で、彼は本当にいいキャラクターだったなと思います。そして、緑。彼女の真実が垣間見えて、そしてそれは次号、どのように広がっていくのだろう。馬鹿な話に、馬鹿にできない話が浮き上がってくる。そんなところがあなどれません。

『カフェらった!』は、オーナーとの復縁を迫る元夫の話。実はこのふたりの関係、好きなんです。片や変態、片やそんな変態を毛嫌いして、寄せ付けず、酷いあしらいかたして、けど実のところはそんなに嫌いでもなさそうな感じもある。そうしたふたりの微妙な距離感の感じられるところが面白いです。

『エナポゥ』のコラム、私はこれが好きで、今回はなんか無茶な酒の飲み方して……、ひどい話でしたが、まあ若いということは無茶をするってことなんだなあって思いました。この人の苦労時代であるとかの話、それからレコーディングやステージの裏話、ちょっといい話なんかもあって、毎号楽しみにしています。

そして、山田まりおの目次漫画。毎回タイトルが変わる漫画ですが、というかタイトルがなくて、サブタイトルがついてるのか、これが面白くて、個性的な友人知人家族、身の周辺におこる珍奇なこと、もう面白くて、大好きです。しかし今回の英会話、これはやな例文だけど、覚えておくと役立つこともある? というか、これが役立ちそうなシチュエーションに身を置いた時点で、すでに旅は失敗のような気がします。

『サクラ町さいず』、この漫画が雑誌の最後を守っていてくれる。それが嬉しい。実際、今の『ラブリー』もそんなに嫌いではないけれど、状況が安定して私自身も馴染むまでは、こうして馴染みの漫画があってくれるということが、とても安心させてくれます。

  • 『まんがタイムラブリー』第16巻第5号(2009年5月号)

引用

  • こととねお試しBlog: サクラ町さいず
  • 芳原のぞみ「天使な小悪魔」,『まんがタイムラブリー』第16巻第5号(2009年5月号),11頁。
  • ナントカ「ミニっきえにっき」,『まんがタイムラブリー』第16巻第5号(2009年5月号),116頁。

2009年4月12日日曜日

天秤は花と遊ぶ

 『天秤は花と遊ぶ』は『まんがタイムきららフォワード』に連載されている漫画。気を抜くと、『コミックエール』掲載作と思ってしまう、そんな雰囲気もある漫画です。名門ロータス女学院を舞台に、春日野謡子と琴乃緒愁の不思議な関係が描かれる。華やかで、女の子たちの心のさざめきに目を細めたくなるようなことさえある、そうした漫画で、だからなおさら『エール』掲載と思ってしまうのでしょう。ですが、これは紛れもない『フォワード』掲載作で、そして人気もあるのでしょうか。単行本化されるにあたり、2009年5月号の表紙を飾ったのは『天秤は花と遊ぶ』でありました。その表紙がですね、よかったんですよ。ヒロイン謡子の元気さが飛び出してきそうに思うほど。場をぱっと明るくさせるような、そんな笑顔が素敵でして、また制服の赤、それも鮮かで、いい絵じゃないですか。単行本表紙の落ち着いた絵もいいと思ったけれど、私には『フォワード』表紙がすごくいいと思われたのでした。

 というわけで、『フォワード』の表紙も引っぱってみました。ほら、とってもいい表紙。

さて、『天秤は花と遊ぶ』、先日の『きらら』感想においては吸血ものと表現していましたが、琴乃緒愁が吸血症と呼ばれる体質で、定期的に血を必要とする、そうした設定を持っています。さらに加えて、現在の愁は男でも女でもない、というのは、吸血症の人間は、18歳までに摂取した血の量、その男女の比率で性を決定する、すなわち18歳に満たない愁は、まだ性別を持っていないというわけです。ゆえに、表題の天秤は彼女、いや彼なのか? にかかるのでしょう。ということは、謡子が花なのか。いや、不満なんてありません、可愛い娘だと思いますから。

愁はもうひとつ秘密を持っているみたいなのですが、そしてそれはおそらく今後の展開において、重要なピースとなるのだろう、そのように思うのですが、それがなにかは今はまだわかりません。血を摂取する必要があり、摂取した血液の男女の比率により性が決定される。愁はこれまでは血液パックと愁の秘密を知る養護教諭蓮宮の血を摂取して、これら秘密に繋がれた閉じた関係を守ってきたわけですが、そこに謡子という人間が新たに加わることで、少しずつ愁の周辺も変化していって、また愁の心も揺れ動きはじめて — 。そうした心の機微、そして学園におけるアイドルである愁を取り巻く人間関係の変化、そこに生じる人の思いのもろもろも、なかなかに魅力的でありまして、結構好きなんです。というか、かなり好きです。

血液を必要とする愁、その設定が状況に大きな影響を及ぼして、まあそれはこの漫画の最大のギミックなんですから当然としても、話の展開がこの吸血がらみばかりで動くということもまたありません。そこには、普通の学園もの、というか、女子校ものとでもいったらいいのでしょうか、そうした展開があって、愁に謡子に憧れる女学生が出てきたり、またライバルという女生徒も出てきたり。それはコメディタッチであったり、またシリアスというほど深刻ではなくとも、しっとりと心に跡を残すようなそうした筆致で描かれたりして、バラエティ豊か、読んでいて楽しい。深刻すぎることがない、それがいいのかも知れないですね。ええ、本当に楽しいです。

けれど、多分、話が進んでいくうちに、深刻の度合いも増していくのだろうな、そんな予感もして、まあ、それも一緒に楽しんでみせるさ、そんな気でいます。そう思わせてくれるのは、謡子のあっけらかんとした明るさ、常に元気であって、困った状況があったとしても、くじけることなんてきっとなさそうな、立ち止まりそうな人があっても、その手をとってぐいぐいと引っ張っていってくれそうな、そんな力強さ、まあ迷惑っちゃあ迷惑かも知らんけど、が表現されているからだろうと思うんですね。私が『フォワード』表紙が好きといったのも、そうした謡子の気風が表現されていて嬉しくなるから、そんな理由であったのです。

さて、愁が吸血症により、血が必要なこと、摂取した血によって性が決定されることは、何度も書きました。その上で、好きな相手の血をおいしく感じるようになる、そうした設定もありまして、いまや愁は謡子の血をおいしいと感じるようになっています。ということは、これからの数年で謡子の血を多く摂取するようになる? そうなれば、愁は女性になる? こうしたことから、もしかしたら蓮宮は愁を自分の妻として迎え入れるために、女性の血液を必要とした、そのために謡子が選ばれた? なんて思ったりもしたんだけれど、これはどうも無理筋っぽいです。蓮宮先生はどうも結婚してるらしい。でもって、愁と兄妹らしい。

ここでこうも考えた。愁と兄妹っつうことは、蓮宮も吸血症だった可能性が出てくる。結婚して姓が変わったといっている。ここから導き出されるのは、かつて男でも女でもなかった蓮宮(旧姓はやはり琴乃緒でいいのかな?)は、近しくあった男性の血を摂取してきた、しかもおいしいと感じられるそんな男性の血を多く摂取してきた。その結果、男性になった。愛した相手と同じ性になるという運命のいたずらに悩むふたり。なぜふたりかって? そりゃ自分の血をあたえるんだもの、好意でもなきゃやってられんでしょう? ふたりは悩み苦しみ、そしてついにはその苦境を乗り越えたのか? 戸籍は女性にして結婚。故に琴乃緒から蓮宮姓になった。性だけでなく、姓も一緒になってめでたしめでたしだったのか!?

馬鹿なこといってますが、愁が謡子に好意を持って、そして同性になるんだとしたら、吸血症とはなんとも因果なものでございますな。こうした因果も含めて、今後の展開がなされるのか。愁の好意は、友情であるのか愛であるのか。それを謡子はどう受け止めるのか。そうしたところに発するであろう劇的な展開、あるんだとしたら実に楽しみなのであります。

あ、そうだ。ロータス女学院では、敬いと親愛をこめて呼び合うときは名前に「さま」をつける習慣があります。なのになぜ愁はみそらに限ってはみそらさんと呼ぶのだろう。

さらなる謎を残して、皆様、ごきげんよう。

  • 卯花つかさ『天秤は花と遊ぶ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用

2009年4月11日土曜日

けいおん!

 『けいおん!』はTVアニメ絶賛放映CHU!!。けど、放送日を勘違いするという痛恨のミステイク。でも、HDレコーダーが録画しておいてくれました。探して予約が働くかどうかが鍵でした。一度NHKの方で番組の検索を経験したとはいえ、民放のアニメは難しかったでしょう。いや、もう、本当にありがたいことで、『けいおん!』第1話、本日見ましたよ。そうしたら、16:9で録画されてて、しかしアニメは4:3なのね。うちのテレビは4:3だから、画面の中央に小さくアニメが写し出されて、うううう、なんという欲求不満的状況でしょう。しかし、いいんだ。ちゃんと見られたから。ストーリーも追えたし、それに動いている絵も見られたからいいんだ。

しかし、こうしてアニメを通しで見るのは本当に久しぶりです。『カードキャプターさくら』以来? とにかく、本当に久しぶりで、もう右も左もわからん感じで、しかしアニメもいいものね。しかも、これ、京都アニメーション? あきらかに京都市内と思しい場所が散見されて、うわあ、なんだかそれだけで興奮してしまったり。ほら、例えばさ、OPで飛び石渡ってる場面があるでしょう。あれ、鴨川ですよ。ああした飛び石は数ヶ所あるから、具体的にどこかまではわからないんだけど、百万遍のところ? ほら、この写真。

Play in the River

これ、私の撮ったのじゃなくて、友人が撮った写真なんだけど、京阪出町柳をおりたところ。近くに京都大学がある。そこにこうした飛び石があって、ほら、手前にみっつ、ふたつと外れてる飛び石なんか、実にそんな感じじゃないですか? 他にわかったのは煉瓦造りのアーチ、あれはインクライン。あとは、なんか見たおぼえがあるけどわかんない。わかりそうで、すごくもやもやしてる。それくらい、見たような気がするんですよね。意識にのぼらないくらいの記憶が、かたちになりそうでならずにうずうずしている感じなんです。

こんなことで興奮してしまうところ。口ではなんだかんだといいながら、私にも郷土愛があるってことがわかって、ちょっと苦笑します。

そして、ちょっと先取り。ええと、関東ではもう放送されてるんよね。第2話で唯が楽器を買いにいく楽器屋が三条の十字屋だって話ですけど、あー、うー、

Sanjo Street

河原町通りから三条に入ってちょっと歩くと、左手にBig Bossがあって、

Guitar shop

もうちょっと歩くと、JEUGIA三条本店があります。ここの地下一階がギター売り場で、エスカレーターおりたところはこんな感じ。

Musical instrument store

アニメでこのギターヘッドのオブジェが出てたらおもしろいけど、さすがにないよね。でもって、ここの五階で私はソプラノサックスを買った。そして、三条通りに戻ってさらに先に進むと、かつて師走冬子さんも前を通ったかに道楽が!

crab signboard

私がアニメ『けいおん!』を見ようと思ったのは、たまたまですね、その予告編を見ましてね、ええと、動画サイトでね、掲示板で紹介されていたものですから、そのふらっとね。ところで、ダウンロード違法化ってもう施行されてましたっけ?

A. まだです。2009年4月11日現在、衆議院で審議中。(法案

ふう、助かった。厳密にいうと、キャッシュの生成は問題にならないんだそうで、だからYouTubeとかニコニコ動画は大丈夫なんだそうですが、まあ、あんまりえらそうに胸はっていえる話じゃない。モラル、信義の問題です。

さて、問題のトレーラー。これを見まして、俄然、アニメも見たくなった。しかし一体なにが決め手となったのか。さわ子先生の正確には廃部寸前ね、この一言の自然で、またやわらかく響いた、その声音。わお、いわゆるアニメ声とかそんなんじゃない! 安心したところに重ねて飛び込んできた、あのー、見学したいんですけど、紬の一言。素朴、可憐、そして可愛いこと。これは見ないといけない。決め付けて、HDRに予約をいれて、そういうわけで、あれは実に優れたトレーラーであったっていうんですね。少なくともひとりは牽引しましたよ。

そして本編、よかったよ、結構面白いね。というか、紬が可愛いな。あんなに可愛いだなんて、原作では気付かなかった。ファストフード店に入って、ご一緒にポテトもいかがですかのフレーズに喜ぶ紬。トレイにポテトをあけた律を見て、自分のポテトを加えて山を作る紬。もう可愛すぎではないかね。エンディングでのグリッサンド、大きく結い上げた髪、紹介の止め絵に、右手をゆるやかに差し上げた立ち姿も美しければ、クローズアップに目をつむっている表情も麗しい。もうどうすりゃいい?(どうもしないでください)

対してオープニングでは、唯が可愛くて、足を肩幅より心持ち大きめに立って、ギターかき鳴らす、その姿、全身でノリを表現するというね。そしてそこに差し挟まれる紬のカット、ああ、もう、可愛いなあ。

すみません。私は音楽も楽器も好きだけど、可愛い女の子はもっと好きなんです。

Blu-ray Discとやらが出るみたいですね。はー、もう時代はBlu-rayなのか。調べてみれば、DVDも出るそうだけど、Blu-rayにはオーディオコメンタリーが入ってる。正直、ポスターやらきせかえやらステッカーやらピックやらには興味ないけど(いや、Vol. 1が唯だからそういうんじゃなくってね)、コメンタリーが好きなんですよ。とりわけスタッフのコメンタリーが面白そう。これは、Blu-ray買っちまうか? Blu-ray版、価格は7,600円。安くもないけど、高いかといわれれば、まあ買えない値段ではない。危険だなあ。これでまた脱したはずのアニメの世界に逆戻りか? はらはらさせるものがありますが、とりあえず主題歌シングルだけでも押さえておこう。しかし、この限定限定の商法は嫌いなんですよ。もう、なんというか消耗戦に放り込まれたような、絶望的な気分になります。

ところで、どうでもいいことだけど、唯の声、というかしゃべり方、ちびまる子ちゃんに似てませんか? ああ、もう、あほの子も可愛いなあ。

アニメは、原作をベースにまた違った世界を描いている、例えばそれは『母をたずねて三千里』が『クオレ』に収録された小エピソードを膨らませたものであったように、というのはいい過ぎか。関係としては、『魔女の宅急便』とジブリアニメの関係に近いかも知れません。『耳をすませば』ほどに隔たってはいない、けど原作どおりとも違う。そんな感じ。で、私は原作もいいけど、アニメもいいなと思いはじめています。

だから、Blu-ray版、予約しとく? 気付いたら市場から消えてなくなってました。そうなってから後悔はしたくないしなあ。と、こんな風になるから、もうアニメには関わりたくなかったんです。ところで、Blu-ray Discって普通のDVDプレーヤーでも再生できるの? いや、わかってます。答えは求めていません。PLAYSTATION 3の買い時かなあ。つうか、アニメにBlu-rayって、圧倒的にオーバースペックじゃないですか?

Blu-ray Disc

DVD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

引用

  • まんがタイムきらら』第7巻第5号(2009年5月号),表紙。
  • 他の引用は、アニメ『けいおん!』第1話「廃部!」から。

2009年4月10日金曜日

新校本 宮澤賢治全集

  新聞に気になる記事が載っていまして、タイトルは「宮沢賢治、地図の裏に未発表詩 三十数年ぶりの新作」。ちょいと引用しますとこんな感じ:

 今もファンの多い詩人・作家宮沢賢治(1896〜1933)が書いた未発表詩の草稿が見つかった。賢治の作品はこれまでの研究・調査でほぼ出尽くしたとされており、新たな詩が発見されたのは三十数年ぶりという。

 昨年、岩手県花巻市にある賢治の生家の蔵を解体しようとした際に、はりの上に置かれていた書類の中から見つかった。5万分の1地図の裏面に鉛筆で書かれていた。筑摩書房から刊行中の賢治の全集の編纂(へんさん)委員が確認したところ、未発表の草稿と判明した。

これは実に興味深い、そう思わせるニュースであり、しかしまた私にとってはちょっと困ったような気分にもなる、そんなニュースでした。なぜか? それは単純な話。自分の持っている全集が、ついに過去のものになったのだと思ったからでありました。

そう、無駄に全集を持っています。『宮澤賢治全集』。いったいなにがきっかけだったんだろう。もう思い出せないくらい昔のこととなってしまいました。第一回配本、第8巻の出たのは1995年5月22日。私がちょうど大学に3年次編入をはたした年ですね。はあ、もう14年にもなるのか。年いくはずだよ。

この全集が刊行されたのは、1996年という記念年、宮澤賢治生誕100年が多少とも関係していたのではないかと思われて、当時、宮澤賢治に関係する本や企画、たくさんたくさん出てきて、それで私もその気になってしまったんでしょうね。決して安くない本を、毎月毎月買おうと思ったわけです。けれど経済的な事情から途中で買えなくなってしまいまして、なんだかずっと心残りにしていたのですが、数年の後、大学を出て、図書館で働くことになって、そしたらなんと本が一割引で買えるという。今この時を逃したらもう揃わない、そう思ったものだから、外商さんにお願いして、毎月一冊二冊というペースで買って、そしてようやく揃えたんですね。

しかし、謎があったんです。索引巻が出とらんのです。第16巻下、補遺・資料には、確かに次に別巻索引を出すという案内があったのに、それが出た形跡がまったくといっていいくらいありません。なにぶん、毎回の配本をリアルタイムで追っていたわけじゃありませんからね、もう全然状況が掴めないわけです。もしかしたら、また筑摩書房が潰れたのかなあ。そこまで思った。けど、ちゃんと会社はあるみたいだからなあ。本当に謎で、企画が潰れたのか? しかしここまで出しておいて、しかもろくに売れそうになさそうな雑纂やらまで出して、最後の索引を出さないなんて話はないだろう。というか、研究者なら総索引こそを欲しているはず。しかしそれが出ていないのはなんでなのだろう。ずっと謎でした。

私にとって謎であった『新校本 宮澤賢治全集』別巻 補遺・索引、これがついに出ました。冒頭にて紹介した新聞記事、新発見の詩はこの補遺に収録されています。補遺は詩にかぎらず、書簡や雑纂、断片的な資料にも及んで、賢治全集はただ停滞していたのではなく、これら十年の研究成果を収録すべく、時を待っていたのかも知れない。実に感慨深いものがあります。全集の完結したのは2009年3月2日。私がこのことを知ったのは2009年4月9日。そして買ったのは今日、2009年4月10日。ついに完結しました。感無量です。だから、あとは読むだけ。それが一番大変で、けれど一番豊かな作業です。

  • 宮澤賢治『新校本 宮澤賢治全集』全16巻+別巻1(全19冊) 宮沢清六,天沢退二郎編集 東京:筑摩書房,2009年。

引用

2009年4月9日木曜日

『まんがタイムきらら』2009年5月号

毎月9日は『まんがタイムきらら』の発売日。突然思い立って、雑誌感想を書き始めたあの日から、もうひと月が過ぎてしまいました。思い返せば、ブログに書くことが思いつかないの、じゃなくて、『ゆゆ式』表紙が思いがけず魅力的だったのがきっかけだったんでしたっけね。今月の表紙は『けいおん!』。TVアニメ絶賛放映CHU!! の煽りも誇らしく、しかし、関西では今夜からだ。って、あれ? 4月9日(木)深夜1時55分よりって、もしかしたら今朝? というか、昨日? ぎゃーっ! 何年かぶりに見ようかなって思ったアニメだったのにーっ! いや、大丈夫。録画予約してたはずだ。だから、大丈夫。後で確かめます。

しかし、『けいおん!』、なにごともなく、みな無事に進級して、唯たちも3年生になりました。正直なところをいいますと、びっくりしました。当然のように進級なんてしないと思っていたものですから、って、落第とか原級留置とかじゃなくって、物語上の時間が留め置きされると思っていたんですね。ですが、あっさりと、普通に時間を進ませて、そうかあ、進んでいっちゃうのんか。光陰矢のごとしだなあ。なんだか寂しいです。

物語上の時間が進むのはいいとして、そうなると夏くらいで3年生は引退するのかな。そうなったときに、ひとり残される梓はちょっとかわいそうかも。そんなこと思ったりして、まあそれはこれから先の楽しみとして、きっとなにか一悶着用意されることだろうと思って期待しておきたいと思います。

あ、これどうでもいいことだけど、なんでヒロインのギターがレス・ポールなのに、ロゴのバックはストラトなんだろう。いや、あれ、ムスタング? まあ、いいか。次にいきましょう、次。

『ゆゆ式』、コ、コメントしづらいな……。先生の大きなおっぱいが羨ましい三人です。けれど、そうしたもろもろよりも、先生に抱きつこうとしたり、ムネを触ろうとしたり、甘えようとしたりするのに、いざ本人を前にすると恥ずかしくなってしまってできない。そういう気持ちのもやもや、どきどきが面映ゆくって、なんか妙な面白さがありました。これがどこぞの家庭教師なら、躊躇なくやっちゃってるな。それと、ゆずこ、縁を苦手にする同級生が登場。これがまたいい感じに微妙な距離保っていて、積極的に嫌うわけではないんだけど、どう対応したらいいかわかんないって風で、いやもう面白いなあ。キャラクターのたてかたが、すごくよいとことさらに思った回でした。

あっちこっち』は、相変らずの高高度空中戦を見せる展開で、舞台は調理室。いつもの面々に、ゲストなの? を加えて、彼らは普通の領域に暮らす、普通の人たち。対比がものすごいな……。しかし、目潰しは惨い。それから京谷の扱いは少々かわいそう。だけど、いいポジションだなあ。

棺担ぎのクロ』は、ちょっと『赤毛のアン』などを思わせる出だし。やってきた子供は、望まれなかった子供。しかし、時間がだんだんと関係を変えていって、そして仕合わせのかすかに射し込みはじめたと思われたその時に、物語は一気に暗転して — 、本当にこの人は格別の人だと思った。この人のあり場所というものは、この世界のどこにもなくて、ただこの人のあるそこのみが、この人のあり場所なのかも知れない。以前、児童文学作家の角野栄子がいっていた、塀の上の人を思い出します。境界線上にあって、広く遠くに世界を見渡す、そんな視界を持った人。そして、どこにも安住しない人。十二世紀のスコラ哲学者サン・ヴィクトールのフーゴーがいう完全な人全世界が流謫の地であると思う人は完全な人である — 、私はこの人に、そうしたイメージを重ねて見たいと思っているようです。迷惑ですね。ごめんなさい。

『ネズ巫女ちゅー』は、なんともいえんゆるいテンションで進行する漫画。ゲスト掲載されていたときに、その不思議で微妙な魅力にやられてから、気になり続けています。だから、こうして連載が決まったのは嬉しいことで、神社の狛ネズミのふたりの傍若無人に振る舞う、そのわがままっぷり、小狡さ、それをこれからもまた見られるのかと思うと、ありがたいなあ、そう思います。そして、似たテンションで突入する『おまもりごさん』は、最初漫画が切り替わっているのに気付かなかったくらいで、けれどこちらの方がずっと意味不明感が強くて、その意味不明っていうのは、非言語的な領域に笑いを求めているっていったらいいのかな。言葉で書かれた部分はある、説明的な部分もあるけれど、そこに面白さが発しているわけじゃない。考えたらとりこぼしてしまう、そんな漫画だと思います。

ふおんコネクト!』は、上記ふたつとは実に対照的で、こちらはギミック多め、高密度で濃厚で、構成もしっかりと組み立てられて、本当に圧倒されます。メモ帳ペン立てがエヴァ初号機の頭で、ペンがエントリープラグ? 細部に凝るという点においては、他の追随を許さない、そんなところがあって、けれどそれでメインになるストーリーは別にちゃんと組んである。サービス過剰で、人情派で、この人もまた異質な立ち位置、独自の場を築いている人だと思います。

こどもすまいる!』、そもさんせっぱ、私はうどん派です。素うどん、最高。具も薬味もないほうが、うどんそのものを楽しめます。信号の黄色について、注意ではなく止まると答える、それは道交法的にも正解だなあ。素晴しい。『三者三葉』は西山さん人気強化月間? しかし彼女は友人に恵まれてないような気がします。しかし、そういうところもまた魅力であると思います。『まーぶるインスパイア』はちょっとカルチャーショック。表計算ソフトなんて、普通の生活してたらいらんだろ、と思ってたら、ネトゲ内市場調査に使うのか。というか、ネトゲする人って、そこまでやるものなのか。カルチャーショックでした。ゲームにはまって廃人っていったらイメージ悪いけれど、市場の動向を把握する、その訓練をしてるんだとしたら、それも中学生でしてるんだとしたら、下手な学校の授業よりもずっと有用な勉強になるんじゃないのか? そんなこと思ったんですが、真に受けすぎですか? パソ魂力に関しては、私も実はよくわかりません。パソコンに詳しい人って、本当、すごいと思います。

『境界線上のリンボ』は、まさかのアポジーさん再登場。ロボットの園丁さん。ラジオを通して話すというのがなんか面白いなと思って、ちょっと気にいってたから、再登場が嬉しいです。今後も積極的に登場してくるのかどうなのか。半レギュラーになるといいなと思っています。『二丁目路地裏探偵奇譚』は、多分この人、ショコラの身内ですよね。『天秤は花と遊ぶ』は、いつもとはずいぶん違った風合いで、こういうのも軽くて面白いけど、番外編といった趣。『フォワード』掲載のはもっと面白い、そんな風に思います。こういう四コマが、単行本巻末とかに入ってくると、目先がかわって、きっといいと思います。そういえば、吸血ものが続きました。

きつねさんに化かされたい!』はラスト一回前。これまでのメインキャストが集まって、花見、酒も入っていつも以上に異常なテンションが見られて、それはそれは面白かったです。こうした、長く続いてきた漫画が終わるとなると、万感胸にせまるものがありますね。私はこの人の漫画の、シニカルな味がとりわけ好きで、それから自己主張のやたらと強い個性的な人たち。そして、そうした影にかくれて、田中の立ち直りなんてストーリーもあったんでしたっけね。振り返れば本当に充実した時間であったのだな。そんな風に思えて、だからやっぱり寂しいです。

『メロ3!』は、木ノ子の本音がちょっと切ない。でも、なんかわかる気もするんですね。人付き合いがちょっと苦手、そういう人にはおそらく共有される感情もあるのではないか、なんて思えて、ええ、私もたしかにそんなだったと思います。今は、コミュニケーションとれなくっても平気になったけど……。退化だな、うん、私は退化してる。漫画に戻って、たとえ名前を覚えられてなくても、そうして頑張りが認められていたっていうのは、やっぱり嬉しいことなのではなくって? と思うものだから、福田がなんかかっこよかった。そういえば、扉が眼鏡女子の二連続、なんだかハッピーです。

そら』が完結。なんだか手紙を書きたくなる、そんなラストは、単行本にて、ひとつらなりの一番最後に読んで、その余韻を味わいたいと思う、そんな風情でありました。手紙として綴られる、エンドロールですね。RPGで、ラスボス倒した後で、町という町をまわりながら、これまでに出会った人たちの消息を訊ねて歩く。そうしたことが楽しかった私には、感じるところのある終わりでありました。

My Private D☆Vは『ラジオでGO!』のなぐも。さんでした。メガネ、マフラー、身長差! 素晴しいな。でもって、とあるメガネゲームってなんなんでしょう。私、『鬼畜眼鏡』しか思い浮かばなかったんですが、これ、絶対違いますよね……。そのゲームがなにか、おわかりの方いらっしゃったら、そっと教えてくださると嬉しいです。

アクティブ!

  • 『まんがタイムきらら』第7巻第5号(2009年5月号)

引用

  • 野々原ちき「メロ3」,『まんがタイムきらら』第7巻第4号(2009年4月号),177頁。
  • まんがタイムきらら』第7巻第5号(2009年5月号),表紙。
  • サン=ヴィクトルのフーゴー「ディダスカリコン(学習論)」,上智大学中世思想研究所編訳『中世思想原典集成』第9巻 (東京:平凡社,1996年)所収【,104頁】。

2009年4月8日水曜日

『まんがタイム』2009年5月号

『まんがタイム』の発売日は、毎月7日です。ですが7日はまんがタイムコミックスの発売日でもあって、といったわけで一日遅れ。明日9日は『まんがタイムきらら』の発売日と、こうして雑誌の感想を書いているかぎり、毎月この数日はばたばたと立て込むのでしょうね。でもまあ、書くことがない、書きたいものがない、なにか書けそうなものはないかいなと、無駄に時間を過ごすことを思えば、こうして追い回されている方がずっといいように思います。やることが沢山ある、そんな状況で優先順を決め、次々こなしていく。予定を組み立て片付けていくというのは、また人の楽しみのひとつであると思うのです。といったわけで、今日は『まんがタイム』2009年5月号の感想を書きたいと思います。というか、私の場合、感想じゃなくて、関係ないこと書いている分量の方がはるかに多くて、読み返して苦笑するのですが、まあこのようにしか書けないもので、お読みくださってる方には本当に申し訳ない。最初に謝っておきます。

『おとぼけ課長』のモシモシ もれてますよというネタは、なんだかすごくわびしくて、そしてなんだか切なくて、心にひっかかりを残して、それは人の老いるということが描かれていたからなのかなあと。どうしても老いは避けられない、老いによって迷惑かけることもあろう。その迷惑かけてしまっているかもしれないということを、ことさらすまなく思う女性の心境が伝わるようで、切なかったです。そうしたものを伝えたいと思われたわけではないのだろうとは思うのですけど。

ラディカル・ホスピタル』は爆発卵を扱って、電子レンジに卵を入れると爆発するという話ですが、あれが真に危険なのは、内圧は爆発寸前にまで高まっているのに、ぎりぎり爆発しないという状況ではないかと。『探偵ナイトスクープ』の視聴者ならご存じでしょう、爆発卵は本当にすごかった。一口かじると、熱々の卵が口中で爆発する。口から顔から、部屋中に卵がまきちらかされて、あまりの熱さにのたうちまわる男たち、あれは実に凶悪でありました。だから、卵が麻生さんの口中で爆発しなかったのは幸いなことであったのです。もし口中爆発を起こしてたら、全然違う漫画になってしまったろう。医療の病院のどうたらこうたらなんてふっとばして、阿鼻叫喚の地獄絵図が描かれたに違いあるまいと。さてさて、金属から火花が散るというのは、うちの職場の電子レンジでは起こりませんでした。石鹸がふくらむというのは知りませんでした。けど、自分で実験してみる勇気はありません。

ニッポンのワカ奥さま』、和歌さんは今日も美しかった。『すいーとるーむ?』、ゆかりさんは今日も美しかった。さて、『ワカ奥さま』ではこの漫画最大の不思議、なぜ一郎さんが選ばれたのか? そうした疑念が提出されて、そうかやっぱりみんな不思議に思ってるんだ。和歌さんの主婦友だち、一緒にお茶したり、カラオケいったり、そうした生活における楽しみの断片がちらほら伺える、それもまた楽しいことでありました。しかし和歌さんはみんなからどう思われてるんだろう。そうした誤解も描きながら、けれどそれでもなんとなく理解されてるってのがわかるところがよかったです。マラカスの奥さんはちょっと好みです。

ゆかりさんは、常には見られない、驚いた顔、そして涙ぐんだりして、しかしそれでも強がって笑っちゃったりして、そんな表情がみられて、ちょっと得した気分になれる回でした。特異な状況が日常になっている、そんなゆかりさんの生活に、ちょっとした変化が加わって、緊急避難的生活、いつもどおりにすごせない中で、いかに時間を過ごすかという、そんなチャレンジの数々がゆかりさんのらしさを強調して面白かったです。しかし、誰も来ない部屋だから安心してたのにってことは、普段はあれでもちょっとは不安に思ってるのか。最後の足場、あれはまさしく職場の特徴最大限に発揮させて、しかし手際いいな、そうした設定が生きていると感じられるところ、素晴しかった。

天子様が来る!』、共学でした。驚愕でした。珍念さんロボは、我々の求めるロボの理想形かも知れないなんて思って、しかしこんなの用意できるんだったら、いつぞやのメイドロボ(読者投稿)にもこれ出してあげたらよかったのに! なんでもできそうなくせして、微妙に狙いをはずして応える、その微妙なはずしっぷりが面白さの要です。

『ハコニワ』、コメントするのが難しい。新しいママは死神。それはいい。美人だし可愛いし、だからそうした特異な設定も受け入れようという気持ちになれる。だって、昔は、奥様が魔女だったりするドラマが平日昼間に流れてたんだ。けどその特異さを少し持てあましているようにも思えてしまって、死神っていうのが話に関係してくるわけでないってのはまあいいとしても、調理が基本丸ごとで生ってのもいいとしても、なんかしっくりしない。こうした飛び道具をとっぱらってしまった時に、いったいなにが残るんだろうって思ってしまうんです。この人の漫画は嫌いじゃないし、『ハコニワ』もうまく馴染んでくれたらいいと思うし、私も馴染もうとしているけれど、今はまだちょっと私自身持てあましているって感じです。

『アシスタント!!』は、これまでうまくいってた体制があるんだったら、それをあえて崩さなくってもなんて思いながら読んでたんだけど、けれどやっぱり崩してよかったのか。その時々の状況で、もっともいいやり方を各人が模索して、いい結果を得られるのだったら、プロセスが違うことがあってもかまわんのだろうなと思いました。とことん合わなかったら、それまでのような気もしますけどね。『夫婦な生活』、別に平均年齢65歳のメイド喫茶があってもいいじゃないか。女性には、十代には十代の、二十代には二十代の、飛んで、六十代には六十代の花があるんですよ。美しく年をへた女性には、それまで咲かせた花の積み重なって層をなし、そしてそれらは人に深みを、さらなる魅力を与えるものなんですよ。それを理解しないだんなはまだまだだな。『ウルトラ金ちゃん』、あれはあえてあーゆーヘンテコな生き物と思わせるように描かれているんだろうけど、それにしてもニワトリとは思われなかったです。目が3の奇妙な生物かと思いました。「観察」の、コマを部屋と見立てた5コマ、すごく新鮮な感じに思えて、しかも動き展開が面白くって、銀ちゃんならずとも見入ってしまう、そんなよさがありました。

あさぎちゃんクライシス!』は、いつもどおりというか、河野先生が変態的。制服女子をためらいなしにベロってしまえるのはさすがです。あさぎちゃんでは、先生の変さに耐性ができてしまって、ちょっとくらいめくられても動じなくなっているので、それでターゲットが変わったのか? しかし、彼はめくる、さわるのが目的ではなくて、その後ボコられるのが楽しみなのではないのか。そういう特殊な性癖ではないのか? といっているやつがすでに変態的という気もします。ああ、私もたまにはあんな娘らにボコられてみたいものだ。

みそララ』、梨絵さんは今日も美しかった。もーこのまま印刷しちゃってよ、感動するクライアントを前に、照れながらも呆然と、目を点にして口半開きにして、その様が最高に美しかった。しかしこの漫画は、仕事のプロセスを漫画のメインテーマにして、それを飽きさせることなく、楽しいもの、面白いものとして読ませてしまう。本当にうまい、いい漫画だと思います。仕事が楽しい、けれどそれは、ただただ楽しいだけでなく、苦しいこと、辛いこと、大変さや難しさもあるということが当然の前提としてあって、そしてこうしたいろいろを乗り越えていくから素晴しいんだといわんばかりで、もう感動するね。といっても、今号はまだプロセスの途中。はっきりしないクライアントに叩き台を提示して、そこでようやく始まったって感じ。乗り越えなければならないものはまだたくさんあって、それをどうするのか。プロとしての方法を考えよう。いかにして彼女らは、今の与えられた状況を乗り越えるんだろう、彼女らにとってのベストの地点を見出すのだろう。もう、今から来月が楽しみというほかなくて、しかしそんなクールな梨絵さんも美しいと思ったんだ。

第3回まんがタイム新人4コマまんが大賞結果発表!! ここからの数ページは、選ばれた漫画を読むのもいいけど、植田まさしによる選評が貴重であると思います。この人はこれらの漫画をこういう風に読んでいるのか。そしてその読みかたのあたたかいこと。とても真面目に、そして好意的に読もうとするその姿勢が感動的でした。きっと、いい人なんだろうなあ。そして、辛いコメントをつけるときも、ただ辛口にするのではなく、足りないところをどう補えばよくなるか、それを考えて、よりよくなるよう、よりよいアドバイスを贈ろうとされている。そうしたところが伝わるようでよかったです。漫画については、『KY!』は最初の一本はどうだろうと思ったけど、続く二本が面白くて、これはいけるかもって感じに思いました。人情派? ツンデレの極北? 『オトメ男子』については、語るほどに変態的になりそうなので自重。『笑って!外村さん』は、怖いと誤解されている女子もの。ある程度続くと理解者が出てきて、怖さがどんどんマイルドになっていって、なんだか可愛い人になってしまって — 、そういうパターンを辿るのか辿らないのか。いずれにしても、こうした前提を持つ漫画は、ヒロインのよさを知っているのは自分だけ、そうした気持ちを読者に起こさせやすく、そしてそうした特権を得ることでなおさら好きになるタイプの読者を獲得できれば、最初の足掛りをかためられるような気がします。『できる女には秘密がある』のヒロインは、たしかに美人だ。あの扉ゴマは素晴しい。弟を振り回すお姉さんものっぽいので、ある種の性癖を持った人には効きそうな気がします。ところで、私は引っ詰めピンどめのお嬢さんは結構嫌いじゃないんだ。だからどうしたって感じですが、連載されると結構地味に好きになる、そんな漫画なんではないかと思ってます。『まかないガール』は、ああしたタイプの冷蔵室は、必ず中から開けられるようになっているもので、なんていっちゃうのは無粋ですね。苦境においても、しれっとそれを受け流す、そんな面の皮の厚さ、動じなさが魅力になればよさそうだぞと思いますが、とりあえずタイトルを見るまで彼女がヒロイン、女の子とは気付きませんでした。たしかにマイって呼ばれているものなあ。工夫されたまかない料理が魅力的に表現されたら、それも持ち味、毎回の楽しみになりそうな気もしますが、まあそれは多分ないんだろうなあ。漫画本編よりも、どんな料理が描かれるのか、そちらの方が楽しみになっている、そんな漫画は実在します。

『プチタマ』は、先月はお母さんがたくさん出ていて嬉しかった。今月はちょっとだけ。この漫画は、たまりと仲良しのゆうたが、友だちの前では照れてしまう、そんなところも可愛くて、たまりの連なる高校女子の友人層と小学生男子、それぞれのよさがあって、気にいっています。今回は、「誰?」が面白かった。よくある話で、けれどそれを独特にしてしまう。たいそうよかったです。

『天然☆無農薬一家』、いくらなんでも自分家の鶏を食べるわけがなかろうって、じゃああれはペットなのか。きっと食用だと思ったんだけどな。『わさんぼん』はおじさんのきびしさがよろしいなあ。学校で教えられることなんて、はなっから期待していない。現場で通用するものは、現場で覚えさせる、そんなところがらしくていい。けど3年って数字は、大概昔はどこでもそんなだったらしいけど、草太が菓子作りに参加する日はくるんだろうか。洗いものから脱したとしても、次はひたすら下準備とか鍋のかきまぜとか、そんなんだったりするんだろうな。『木綿のえぷろん☆』、木綿さん… 好きです! 私はそうしたこと、わりと平気でいえちゃうタイプなので、信用されません。はきはきとして、お客さんとの距離も近いと感じられる、そんなヒロイン、木綿のキャラクターは見て読んでいて気持ちよく、そうした感じは漫画全体からも感じられて、すごく爽快な読後感が心地良いです。

『放課後のアインシュタイン』、もう大好き。理系女子だからじゃない。眼鏡だからでもない。ちょっとかわりものの先生と、先生に懐いている生徒と、その関係もなんだかよければ、皆のとりくむ理科の授業、クラブ活動のテーマ、もろもろ、とてもいい。雰囲気があるのだと思います。やわらかで優しげな雰囲気のなか、個性的な先生、生徒の立ち回る、そのやっていることがおかしい。飄々として、マイペースで、本当に理科が好きなんだなこの先生は、そんな感じが読んでて嬉しくさせてくれるのです。そうした気持ちの中には、昔親しんだ理科化学生物の知識、経験、楽しさもろもろが、懐しさとともに蘇えってくる、そんなノスタルジーめいたものもあるのかも知れません。小学中学高校と、授業、実験、観察、図鑑、学研の科学、ひみつシリーズ、などなど、好きだったものが思い出されて、そうした記憶の取り戻されるごとに、この漫画を好きになる気持ちも強くなっていく。そのように思われてなりません。

『あさかぜ君』の風船の、してやったりという表情と、納得できてるようには思われないター坊の表情と、こうしたネタはよいですね。不景気における春闘のわびしさは、社会においてもあるだろう、夢くらいは見たいものだという、そんな気分を反映させたか、そして勝手なおまけにその分給料をまけちゃう商店主、こういう話も嫌いじゃない。面白かったです。安堂友子の『生きてます日記』、すべてがそうとはいわないけれど、目次横の漫画には面白いものも多くて、ささやかな話、けどそのささやかな日常にもおかしみは溢れている、そうしたことを思い起こさせてくれるよさがあります。すごい ここまで違うとは。人でも鳥でも、一度生活のレベルが上がってしまったら、なかなか下げられないものだと思います。しかし、仕合せそうな鳥、その姿を見ているだけで心が豊かになりそうです。

そして『PEACH!!』。巻末に、必ず面白いと思える漫画のあることは、読み手にとって重要なことです。今月も面白かった。岩井のことが大好きすぎる広能の気持ちの浮き沈みは、もう常ならぬものがあって、可愛い娘っ子よのお。気分で開いたり閉じたりするというそれは、部活でやっている旅館ならではのナンセンスかも知れません。そういえば、ついさっきですが、工夫されたまかない料理が魅力的に表現されたら、それも持ち味、毎回の楽しみになりそうな気もしますなんていっていましたが、この漫画も料理の表現が魅力のひとつでありますね。けどただ料理が美味そうに描かれているだけではなくて、美味そうな料理がある、そこに理由や工夫がある、そしてそれをどうお客、というか岩井だな、に提供するか、広能のこだわってみせるところ、時にこだわりが空振りするところ、そうしたところが面白い。この人の漫画の必ず面白いというのは、絵の魅力があって、女の子の可愛いという魅力があって、登場人物の個性的なところ、キャラクターに魅力があって、そして見せ方に魅力があって、なんだよヲイ… オレ とんでもねえこと言っちゃったか…、狼狽する岩井も面白いけど、気を使う広能、武田、相原のかもす雰囲気がことさらに面白さを増さしめていて、こうしたところ、多様な魅力が相乗するところ、最高だと思います。ところで、この人の漫画って、女の人の一人称がオレであったりすることが多いのですが、その自然さがすごくよくって、大好きです。方言のよさなのか、自然体の勝利なのか。とにかく魅力的。身についている、そんな感じがすごくいいんですね。

  • 『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号)

引用

  • 植田まさし「おとぼけ課長」,『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号),6頁。
  • 東屋めめ「すいーとるーむ?」,『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号),30頁。
  • 安堂友子「天子様が来る!」,『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号),32頁。
  • 宮原るり「みそララ」,『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号),79頁。
  • 同前,82頁。
  • 筒井旭「天然☆無農薬一家」,『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号),119頁。
  • 三国桃子「木綿のえぷろん☆」,『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号),119頁。
  • 安堂友子「生きてます日記」,『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号),194頁。
  • 川島よしお「PEACH!!」,『まんがタイム』第29巻第5号(2009年5月号),198頁。