2010年12月31日金曜日

『まんがホーム』2011年2月号

『まんがホーム』2011年2月号、昨日の続きです。

『おしのびっつ!』、今回は兄妹共闘、めちゃくちゃ面白かったです。あの、しのぶ変装の女子、おそろしく可愛くて、これは正直くないを超えたね! というのはいいとして、変装を駆使して潜入しまくるふたりが素晴しい。ナースに変装、おお、正直しのぶはくないを超えてるな。ともあれ、この調査で、桂先輩のもてっぷりが改めて判明したわけですけれど、思わずひいてしまうしのぶ、あまりの疑問に叫んでしまうしのぶ、本当に素晴しい。そして、桂先輩の弟思いであること。たいへんいいお姉さん。こういうのも、なにかいいなって思える展開でした。

『東京!』。秋葉原×渋谷は鉄板やな。いや、渋谷×秋葉原なのか? かけ算は可換性があるから、どちらでもいいんだっけ? ともあれ、秋葉原兄妹 in アキバ。オーズのメダルの入手に命をかける秋葉原兄がすごくいいな。妹の冷静なつっこみ、渋谷登場でスイッチのはいる妹の腐エンジン、もうすごくいい。ちゃんとたま文ムサコの三人組も出てきて、けどやっぱりメインは秋葉原で、いや、ほんと、かっこいい。残念なオタクといわれてるけど、あんなに苦労して入手したメダルを譲る。さらに、大会に乱入、軽く勝利してメダルを所望する。この人、最高だと思う。ほんと、最高だと思います。

『あなたなんか大嫌い』、ももとちきり、休日に買い物。なんだか頑張っちゃってるももも可愛いのだけど、ちきり、この人の千変万化っぷりがすごい。わお、男の子っぽく出てきたのね。しかし男のままでも、女の格好でも、ももが見事に翻弄されるのはいつものとおりで、それにしても可愛いな。この、ゲッってなってる表情が好きです。そして、ちきり、幻惑。結局、魅力に負けちゃってるよね、もも。 その弱さも実によい感じです。

『まりかちゃん乙』。ほんと、どんだけ面倒くさい人なんだろう。夢に見るほどのネガティブ。年賀状は3通ぽっち。割り切ってるかと思ったら、気にしたりもしてて、ほんと、よくわからない子だけど、嫌いじゃないなあ。遊びにきた友人には、ありがとう。お雑煮食べないかとすすめる、そのちょっと背のまがった後ろ姿が可愛くてしかたないです。まりかがいいのは、面倒くさい上に、どうもこうも自信がないという、その性格。ほんと、めんどくさ可愛い女の子だと思います。

  • 『まんがホーム』第25巻第2号(2011年2月号)

2010年12月30日木曜日

『まんがホーム』2011年2月号

『まんがホーム』2011年2月号、発売されました。表紙は見事にお正月。振袖着物がいっぱいで、中央にうさぎみたいに飛び跳ねているらいかがあって、周囲には、うさぎの羽子板持ったみえこ、としゆき夫妻、雑煮食べてるうさ耳なにげさん、お酒飲んでる楓、ああ、この人も振袖だ! そして、まさに干支そのもののうさぎ先生。すましてお雑煮、すっとぼけた感じが素敵です。

『天国のススメ!』、晴着を着たいおばあさん。それで十子が着て、小町さん乗り移るという、なかなかに不思議な展開でした。けど、喜ぶ十子、家族みなから責められる太一。さらには小町さんの感じる十子のドキドキやら、そして心配されて嬉しい十子やら、折々に表現される感情の機微、それがとてもよかったのでした。

『ミライカナイ』。未来人たちが、普通に生活するようになってからでしょうか、ものすごく面白くなってきています。今回は正月直前の状況、えらいことやる気のムーとかすごくいい。掃除に関する情報は現地調達、誰よりも伝統志向。真面目さが彼女のよいところ、とはいえ、この度を過ぎたといってもいいかも知れないくらいのひたむきさ、面白いわあ。お嬢さん、必死です。しかしフェイたちの未来には、除夜の鐘の伝統は失われて、ただそういった風習があったと伝えられるばかりになってるんですね。私の予想では、きっとその風習は残る、であるのですが、漫画としては、私たちが普通に経験してることが、将来においては歴史上のこととなっている、そういう方が面白くて、派手な未来の年越しと、その未来から来た人が感じている今の年越し、その感慨を語る様子とか、すごくよいと感じたのでした。しかし、フェイとムーが元気というよりか、ヒロシの盛り上がらなさというか、まだ若いのに! ほんと、まだ若いのに。苦労しすぎで老けたんでしょうか。

『おせわになります』、ゲストです。面白いですね。絵柄は洗練されてる感じ。可愛さよりも現実味、そんな雰囲気であるのに、ちゃんと可愛げが出てるのがいい感じです。四コマというより八コマという構成なのですが、それが面白い。仕事もの、そして結婚に焦る女性もの? ベースがしっかりしてるから、ネタもうまく機能していて、とてもよいと思います。この方、ベテランの方? 調べてみても全然情報出てこないんですが、そう思わせるくらい達者と感じます。今回、中でも面白かったのは、会議室の話。日常のプレッシャー、夢で実感させられたヒロイン、その冷静な感想が面白かったです。

『センセイあのね?』、あいからずいい感じ。先生を好きになってしまったつぐみ。その感情に気付いてからの様子、もうもどかしいというか、いじらしいというか、ほんと、かわいくてしかたないんですね。目が合って意識し、さわられて意識し、水着見られたこと思い出して後悔。それまでまったくといっていいほど屈託がなかった、素直そのものだった、そういう様子が描かれているからこそ、今の気持ちの浮つき、自分自身の感情に戸惑い、落ち着かない、そんなつぐみが見事に映えるんですね。面白さは、つぐみの可愛さに由来している。しかし、その可愛さっての、ただ見た目に可愛いというだけでない。振る舞いで見せる可愛さ、それがとてもうまいです。

  • 『まんがホーム』第25巻第2号(2011年2月号)

2010年12月29日水曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年2月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年2月号、昨日の続きです。

アクアリウム』、さおり思い切った一歩を踏み出して、これ、いいですね。というか、単行本がすでに1冊出てるのに、まだ名前で呼べてないという、このスローテンポ。不器用なふたりが素晴しいと思える展開。ほんと、ゆうの父が賞をとった、それでさおりがゆうにアプローチする。ああ、ようやく気持ちをそのまま伝えられるまでになったのか。これだけのことが、すごく感慨深い。また、さおりがきてくれたことが嬉しくてしかたないといったゆうの様子も素晴しく、ほんと、いい友達になったじゃないかと思うのですね。そしてゆうのお父さん。なんだ、すごいお調子者っぽいぞ。それになんだか若々しいぞ。けど、このお調子者のおかげでまた一歩近づけたふたり、ああ、ほんとよかったですよ。

『商店街ヘルズゲート』、佐谷の健気さがすごくいいな。基本ぐうたら、けどまれに頑張る気になる。3ヶ月なのか。3ヶ月周期なのか。しかし、この佐谷、悪魔だけあってなにか特別な力を持ってるらしい。けど、あえて使おうとしない。その理由にぐっときましたよ。なんのかんのいって世話焼きの直太郎。佐谷の望みは、実はもうかなってるんだけど、直太郎の気持ちに気付くのはいったいいつだろう。そうした、双方向とも思えてちょっと一方通行で、けどいつか双方向になりそうと思わせる、ふたりの距離感、すごく気にいっています。

ひよぴよえにっき。』、だんだんにはるの自我が育ってきているみたいで、いいですね。自分でやりたい、なんでもやるの、こうやって意地張ってるの、発達の段階踏んでるといったら実際その通りなんだけど、育てるとなると困るだろうなって思わされて、いやもう、ちあき頑張ってるなあ、もう、すごくいい子。工夫して、どうしたらいいだろう、いろいろ考えて、自分なりの答を見付けて、ほんと、ぐっときましたよ。ちあきとはる、ふたりはいい姉妹だなあ、そう思うように、ちあきのお母さんについても、ほんといい親子だなあって思える、そんな場面いっぱいで、素晴しかったです。

『ねこのひたいであそぶ』、逃げ出した猫、ジュールを探す話であります。しかし、それだけのことが面白い。サンマで誘き出そうとする。見付けたシャンプーの温度で、まだ遠くへは行ってない、けど実際には違うだろうって見当つけてる苗とか、そういう描写が実にいいんですね。でもって、ドウクツライオン、その名前の由来とか、聞けばなるほどと思わされるようなところあって、ほんと、細かなところに、心くすぐるような魅力がある漫画。本当にちょっとした冒険、彼女らの年頃だからこそ夢見られるような世界といってもいいのかな、そういうのが描かれてるように思えて、なんだか嬉しくなってくるのですね。いい漫画です。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第2号(2011年2月号)

2010年12月28日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年2月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年2月号、発売されました。表紙は『Aチャンネル』。4人がずらりと横並びにこちらを見下ろしている、のですが、それはつまりこちらからしたら見上げているというわけで、照れながらスカートの裾を押さえているユー子がこちらとの位置関係を物語っているようで、面白いです。ちゃんとカメラないし、人ないしが、皆の視線の先にあると感じさせる。ああ、それでか知らないけれど、ナギの見下したような表情が効いて、非常にいいですね。素敵ですね。素晴しいです。背景は、崩れ落ちるような英活字、普通のタイプフェイスなんだけど、不思議とサイバーな感じがします。けど、その色合いからか、ちょっと森のようにも思えたりする。不思議です。

かくして本編。大吉引いたユー子がどえらい可愛いです!

うらバン!』、新入生を迎えるための準備しているっていう、その様子、いよいよ新しい動きがありそうと思わせるものがあって、なにかうずうずさせる、そんな感覚がよいですよ。そして、本編はつつじ先生現役時代の写真発見がきっかけとなって、皆の過去話になるのですが、先生がいろいろ酷い。変身前のつつじ17歳が酷い。でもって、あさみん、この人すごいな。ひとりはいつもなんだか酷いこというけど、なにやらしても平均以上には達するんだ。そして萌葱の姉とひとりの関係など、なかなかに面白いものが出てきて、今後お姉さん出てきたりとかすることあるのかな。ひとりの引退などにも触れられて、なにかこの先を伺わせる、そんな回であったようにも思います。

『リア充撲滅委員会』、ゲストです。リア充を敵視する男女三人組が、美少年、岡部シゲキに襲い掛かる! その目的は、イケメンリア充の撲滅だ! リーダー笹森は男性アレルギー。そんなリーダーを慕うニワコ、そして影の薄い小渕充。見た目に反し、恋人いない、友人も多くない岡部シゲキは、結局この会に所属するのかどうなのか。ちょい、空回りの面々の、その行動のおかしさ、それがおそらくは肝であり、けど時に痛ましくなったりしそうな気もします。

『アヒルの多い雑貨店』、これ、いいな。あひるとバンビとホエホエ。3人、おんなじクラス。けど、部活は自分の興味のあるもの、別々にいこうじゃないかという展開、おおお、意外! けど新鮮というか、こういうのも普通だよなって思わされて、すごくいい。ホエホエは手芸部と料理研究会に興味を持っていて、バンビは文芸部。それであひるも文芸部について入ろうとしたけれど、写真に興味あるんだったら写真部をとすすめられて、おお、これもいい感じ。あひるはトイカメラ持って、面白いと思ったもの撮って、アルバムにまとめてる。おお、いい感じ。カメラや写真についての知識とかまるでないけど、写真が好き、写真を撮るのが好きっていう、そういう姿勢ってすごくいいと思う。私も毎日写真を撮ってるのだけど、機械や知識に一生懸命になるんではなく、この、ただ思うままに撮るということ、それを大切にしたいなと、ほんと、あひるにこそ共感したいと思ったのでした。ほんと、あひる、すごくいいと思う。花丸をあげたい!

結局、あひるは写真部に入らず、彼女を独り立ちさせようといった試みも終わったわけだけれど、それで皆の雑貨店に集まるという前提がなりたったのかな? ただ仲良しだけで閉じてるんじゃないよ、そんな感じもうけた今回、とてもよい導入だったと思います。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第2号(2011年2月号)

2010年12月27日月曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年2月号

『まんがタイムオリジナル』2011年2月号、発売されました。表紙はお正月ですね。醤油餅食べてる晴着山下をメインに、かるたでマッキーにぼろ負けする榊医師、おせち食べてる夏生、餅つきするらいかと竹田、そして白うさぎ黒うさぎに扮したまる、マリアが周囲に花を添えています。

『ぎんぶら』は、川原泉『ブレーメンII』など思い出させるところがあるなって思いました。ともあれ、「宇宙人の幸福感」を調査する旅。やっぱりといいましょうか、微妙にたちが悪い漫画です。大気に気持ち良くなる成分が含まれる惑星、こういうの萩尾望都でもあったっけかなあ、など思い出しながら、しかしほんとたちが悪い。宇宙人に凄まれて同僚を売るとか、不良外星人がいないのがしあわせだとか、いいですね、しかしこの主人公、若竹ですが、この人、普通の真面目な人と思わせながら、意外な食わせ者かも知れません。

『いろはにほへと』、ゲストです。3回連続の1回目。お茶をいれるのが抜群にうまいOL、花村いろはがヒロインです。実家はレストランまんぷく亭。これで、どう展開していくのかなと思ったら、うわ、おやじさん、急死ですか。それで店を継ぐことになった。けれど料理はまったくできない。そんな彼女を、ナイスミドルの精霊が指導して、いっぱしのシェフにする、そういう漫画になりそうです。

『ハコペケ』、本番を3日後に控えた劇団の、全然本気にならない団員に業を煮やすてんこさんがいい感じ。しかし、この人は演じる人ではないのか。かくして誰もが足りない面々と判明。練習においても、だんだんに変な方向に脱線していくという、ありきたりといえばそんな感じなんですけどね、でもそれがよかったのですね。次回は本番を迎えるそうですが、本番のてんこさん、ちょいとどうなるものなのか、気になるのであります。

『文豪ちゃん』、『アトリエZOOへようこそ!』のよしむらなつき、その新作です。とりあえず3回連続掲載とのこと。タイトルに文豪とあるのは、登場人物の名前が文豪に由来しているから、の模様です。主人公は漱石、眼鏡の女の子。他には芥川、紫式部、清少納言、コナンドイル、石川啄木ときて、先生は司馬遷なのか。見た目男の子の女の子龍之介とか、式部納言は男の子とか、性別は逆転させてあるようで、しかしお茶漬け食べに納言のうちに押し掛けてるくさい啄木、この子はなんだかとてもいいな。ともあれ、まだどんな漫画か、はっきりとはしない状態であります。

『お茶の間クエスト』、ライバルの東通院いぶき、彼女が出てからでしょうか、より面白くなってきていると感じます。今回はいぶきのうちで人生ゲーム、であるんですが、ああ、確かにゲームが好調であればあるほど、不調な実人生にはダメージがはいりますよね。ええ、大ダメージです。しかし、いつも強気なお嬢様、実は寂しがり屋。これもよくある話なんだけれど、このお嬢様のキャラクター、実にいいものだから、この展開もとてもよかったです。しかし、駄目すぎる人たちの話。他人事じゃないから面白いのかも知れません。知れません……。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第2号(2011年2月号)

2010年12月26日日曜日

Cats, taken with GR DIGITAL

Stationery for writing lettersGR Blog、毎月恒例のトラックバック企画、今月は12月ということで、今年最後でもありますね。テーマは「LOVE」であります。ラブ。愛でありますが、写真とはすなわち被写体への愛である、みたいなことも思いながら、はたしてどれがそれっぽいかなあ、記憶を過去へと遡りつつ、トラックバック企画「LOVE」に参加します。

LOVEと一口にいうけれど、どうしたものがLOVEというテーマに相応わしいんだろう。いろいろ思いながらの遡り。ああ、これがそうかも知れない。そう思ったのは、猫の写真でした。猫、二匹。一匹がもう一匹の背に手を伸ばしている、ただそれだけだけれど、その寄り添う様子、これはまたひとつの愛なのかも知れない。そう思わせるもの、あったのですね。

Cat

2010年12月25日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年2月号

『まんがタイムきららフォワード』2011年2月号、昨日の続きです。

『Dead or LIVE!』、これは音楽もの、バンドものですね。しかし、舞台が近未来。しかも結構な悲劇的状況。戦争があったらしい、地上に暮らしている人間は見捨てられたのだそう。そして、絶絃症候群、音楽を聴き続けないことには命に関わるという状況で、皆ライフフォンと呼ばれるヘッドホンを常時装着している。主人公昇は、その病からの生還者であるのだそうです。主人公とその友人たちはバンドをやっていて、それは古典音楽と呼ばれてる? 古典楽部として活動していて、そして音楽が生命維持に欠かせない状況において、そうした活動は理解されない、といったまた前提がある模様です。しかし、見ていてちょっと思ったんですが、主人公が生還できたの、まさか幻聴にて音楽を耳にしたから、とかなのか。あるいは自分の中に流れる音楽、それによるものなのか。なかなかに仕掛けのありそうな話です。

『せなかぐらし』、カザマアヤミの新作です。親に無理いって一人暮らしすることになった主人公。しかしその一室は、隣とすりガラス一枚で仕切られて、その向こうに住んでいるのは女の子、しかも男嫌いの女の子! 男とばれたらただでは済まない、一人暮らしする間、夏休みの間は女装で乗り切ろう、そう決意したものの、それも虚しくあっさりとばれてしまった! さてどうする、どうなる、どう乗り切るの? そういったところでまた次回! であるのですが、ほんとどうなるのだろう。展開を待ちたいところです。

『九十九のあまのじゃく』、コバヤシテツヤ新連載です。ある日、当然、角の生えてしまった女の子。母に知られてしまって、さあどうなる!? お婆ちゃんのところにいっておいでといわれたその展開に、なるほど、これは隔世遺伝ってやつか。すなわち鬼の末裔か! と思った私はとんだおっちょこちょいだといわねばならんでしょう。早合点でした。ほう、なるほど、ヒロインはひねくれ者で、それゆえに角が生えたということか。天邪鬼のタタリというのですね。その問題の天邪鬼、彼女とともにお婆さんの家で生活する? そんな話であるようですよ。

『麻宮さんの妹』、これも近未来もの、しかも文明の衰退した後の世界の話みたいですね。お父さんの残したスケッチブック、そのメモを頼りに旅を続けるヒロイン。セーラー服のお嬢さんなんですが、この子の父の残したもの、この情報というのは、この衰退した世界においてかなり貴重なものであるらしく、それを狙おうという京子、荒くれ者けしかけたりするっていう、なかなかにこの腐敗と自由と暴力のまっただなか的状況ですが、ヒロインがべらぼうに強かったりするので、安心して読めるコメディになってますね。そして、京子はヒロイン麻宮あおいについて旅に出る。この旅を経て、よい友人になっていったりするのかな。また、あおいの謎、それもわかるようになっていくのかな。ということは、世界についてもわかっていくってことかも知れない。ちょっと穏やか、レトロな世界観さえ感じさせてくれる未来ものであります。

2010年12月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年2月号

 『まんがタイムきららフォワード』2011年2月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』、クリスマスイブ発売、というだけあって、ばっちりサンタクロースになっております。服がね、いつもとちょっと違ってるんですが、こういうのもなかなかに可愛いと思います。でもって、袋には夢路とジョン・ドゥのアクセサリーがついている。ええっと、夢路がツリーで、ジョン・ドゥがトナカイであります。こういう、ちょっとした遊びも面白くてよいですね。

そして本編では、なんだかめずらしい普段着のメリー。ああ、なかなかに可愛いじゃんかと思わされる格好でした。と、その前に、前回のできごと、夢の中のこととして、すっかり忘れてしまっている皆だけど、勇魚だけはうっすらと覚えていた。夢路とメリー、そしてジョン・ドゥは勇魚に夢魔の話をすると決め、なかなかにシリアスな展開。ああ、勇魚と夢路の関係は、家族のようであり、けれどそれとはまた違うものでもある、そんな雰囲気がして、ほんと、いい話でした。今回は、幻界がらみのことがあると夢路の右手が痛む、その右手、メリーの傷と関係してるっぽい? 夢路の幻界で特別に振舞える根拠など、このあたりにあるのかしら? いろいろ思わされる回だったんですけど、けど最後のおやじさんに全部もっていかれた気がします。いい雰囲気も謎めいた展開も、全部ですよ! こういうインタラプト、ほんとナイスです。

さて、今月は新連載が4連続であります。『Dead or LIVE!』、『せなかぐらし』、『九十九のあまのじゃく』、『麻宮さんの妹』。どーんと続いてきたから、まるで『フォワード』ではない気分。けれどいずれ慣れるでしょう。そして、最終回もぼちぼち出てきて、『空色スクエア。』、『大江山流護身術道場』、ふたつ終わりました。このところ、終わったもの、新しくはじまったもの、たくさんあったものだから、『フォワード』の雰囲気、変わりつつある、そういった感触、強く感じられます。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』、今回は半田付け特集でありました。いえね、これ勉強になる。私はエレキギターなんぞを弾いたりするわけですけれど、あれは楽器の内部に配線がありますからして、どうしても半田付けからは逃がれられない宿命にあるんです。ジャックが断線した! となると、半田付け。もちろん修理に出してもいいんですけど、これくらいなら自分でなおせないとね! ということで、半田付けの基礎を学ぼうと思ったことがあったのです。そうして私が辿りついたのがノセ精機のサイト「ハンダ付け職人のはんだ付け講座」でありました。いや、このサイト、すごいですよ。半田付けの基礎を学べるページがある、職人が自信を持ってお薦めするハンダゴテセットも売っている。さらには、講習DVDなんてのも買える。って、素晴しいな。いつか半田付けしないといけなくなる日のために、しっかり覚えておこうと思ったのでしたっけね。

といったわけで、半田すずの電子工作教室 with メイド、であります。商店街のアピールのため、さいりが監督兼カメラマンとなって半田付けの基本ビデオを作ることになったという話。もちろん、すずとみどりがメインなんですけど、半田付けとなると冗談が通じなくなるすずはナイス、と思いきや、吸煙機を目の敵にするハンダジャンキーであったという、どえらいアホな話でもあります。もちろん、この漫画は半田付けを学ぼうという学習漫画ではないので、半田付けに関してはちょいと基本的なところをひととおり説明しただけって感じなのですが、すずの尋常でない様子、面白く読みました。というか、ちょっと電子工作やってみたい。そんな気になりました。

少女素数』、ちょいと驚く展開でありました。あんずとすみれがテレビの取材を受けている。ええーっ、なんかタレントとか、そういう方向に!? と思ったら、なるほど海外のテレビ局とのこと。ページをめくれば、ええええ、あんずがおそろしいこといってるぞ! と思ったら、漫画読んでるのか。急展開を思わせる、そんな見せ方に驚きながら、けれどふたりはいつもどおり、あんずはすみれにぱっクン意識させようとしてるけど、すみれはお兄ちゃんお兄ちゃんといっている、いつもどおり。と思ったら、もう一度きましたよ。読者モデルとな! 覚えのない話、その犯人探しをする時のあんずの帽子がえらいこと可愛くて、あのパイプのおもちゃ、ボールが宙に浮いてるの、ちょっと笑ってしまいました。

しかし、読者モデル、思いもしない展開でした。なにかまた動きがありそうと思わせる、ちょっとした転換点になるのかなと思わせる、そんな回。特にすみれに、彼女の内面に変化をもたらすんではないか、そうしたできごとだったように思います。

2010年12月23日木曜日

『侵略!イカ娘』 オリジナルサウンドトラック

 私はもとよりサウンドトラックというのが好きでして、昔から気にいったアニメや映画があれば、サントラを買って、繰り返し繰り返し聴いたものでした。それは、昔は全話収録のビデオやらLDやら出るなんてことがまず期待できなくて、また出たとしても容易に買える価格じゃなくって、だからサントラを買って思い出補強するしかないという事情があったからなんですね。でも、そうやってサントラをいろいろ聴いていれば、その楽しみ方というのもできあがっていく。収録の仕方も、アレンジされてるものあり(サントラとしては疑問だけど)、数曲を1トラックにまとめたものがあれば、短かくともバラで収録するものもあり、私の好みは後者ですね。おそらくはこうした好みが一般であるのでしょう、最近ではバラが当然って感じになっていて、私としては嬉しいかぎり、っていうか、そうじゃないとサントラじゃないと思うんですけどね。

さて、『侵略!イカ娘』サントラでありますよ。こちら、堂々の58トラック、ああもう、素敵すぎじゃなイカ! トラックが多いということは、1曲1曲はどうしても短くなりますよね。というわけで確認してみれば、短いものは21秒、オープニング、エンディング曲を除いたものを平均すれば、1曲あたり58秒ってところ。大変コンパクトにまとまっております、といいたいけれど、実はこの中に6分18秒なんてのがある。これ、第5話Cパート「飼わなイカ?」のBGMでありますよ。サイレント、動きで見せる異色回なのですが、絵に合わせて音楽がきちんと作られていて、コメディタッチあり、ミニイカ娘と一緒にめぐる季節を過ごす、その表現などはまるで心が踊り出すかのような盛り上がり、膨らみがあって、そして最後にしんみりとしめられる。絵の力、音楽の力が相乗してる見事な回であったのでした。

こうした曲が丸ごと収録されている。すごく嬉しいなあと思うのでした。また、『能面ライダーのテーマ』など、当然はいっていて欲しいというものがしっかりと収録されていて、これ第6話Aパート「ヒーローショーじゃなイカ?」で使われたものなんですが、ただこの1回のために、歌までちゃんと作ってるという、この頑張りが素晴しい。で、インストゥルメンタルもあるんですけど、こっち、ちょっとだけ長いんですよ。歌をサックスで置き換えただけじゃないんです。こういう違いのいろいろ見えるところ、実に面白い。サックスといえば、このアニメのBGM、サックスがよく使われてるなと思っていたんですけど、サントラで聴けば、そんなにサックスばかりではないんですね。それもまた意外で、実際曲調は多様、で、この曲、耳に覚えあり、っていうのがまた多いんです。ちゃんと印象に残ってるんですね。

この曲好きだなって思っていたもの、「イカ・スカ・リズム」(猛烈に数学の問題を解いてるシーンのBGM)などはトップクラスでありますが、そういう気にいったものを繰り返し聴けるというのも嬉しいことです。他には「イマイチでゲソ」とか「これは何でゲソ?」とか、微妙なタイトルつけられたものが気にいっていて、これ、タイトルは後から適当につけてるんだと思ってるんですけど、この曲いいなと思ったら「早苗でゲソ」、早苗の専用曲!? だったりするのも面白かった。あと、気にいってるといえば、ぶんちゃぶんちゃ、ってやつ、「夏の海日和」ってタイトルなんですけど、これも好き。

こんな風に、これまではあのシーンで使われてる曲がいいなっていうしかなかったところが、具体的にこの曲が好きといえるようになる。サントラのよさっていうのは、こういうところにもあるなって思ったのでした。かくして、現在、サントラと主題歌シングルを一緒にしたCD作って、絶賛ヘビーローテーション中であります。

2010年12月22日水曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年2月号

『まんがタイムスペシャル』2011年2月号、発売です。表紙は『恋愛ラボ』、百人一首をモチーフにしているのですが、取り札がエノ、サヨ、スズになっていて、しかし札に書かれた文言が微妙に残念な本音になってる。でも、その残念さこそが彼女らの持ち味である、そんな風にも思うのですね。読み札読みあげるマキ、札をとるのはリコ。リコがこちらがわに手を伸ばしている、動きのあるイラスト、いい絵です。

さて、今号から『ラブリー』移籍組の連載が始まります、ということで表紙にもその旨記載がありました。『放課後のピアニスト』、『だんつま』、『少女カフェ』がそうですね。新しい雑誌を舞台に連載開始、ということは初見の人も多いだろう。といったことからでしょうか、どれもキャラクターや状況を紹介する工夫がされていて、けれどそれでもこれまでに描いてきたこと、それをちゃんと引き継いで、既存の読者も自然に楽しめるようになってるのがすごいなと思ったのでした。

『少女カフェ』は、みお、つくしとお父さん、三人の家族状況説明しながら、双子のしっかりしているところ、ふたりの性格の違いを見せて、そしてお父さんのちょっとたよりないところもわかるようになってる。そして常連ふたり、葉月さん、宮嶋さん、ふたりもちゃんと紹介されている。宮嶋さんはほんと調子いいなあ。葉月さんは相変わらず、どこかちょっと詰めが甘いし、こういう人となり、それがよく見えて、とても面白かったです。

『シュガービーチ』って、ずっと夏じゃなかったのか。こないだまで、普通に水着で練習してて、今回はとたんに真冬。うわあ、寒い! 叙述トリックではないけれど、冒頭の一本、ボールが落ちた絵、あれが雪の積もった海岸って、次のコマに入るまで気付かなかったわけですよ。あれれ? ザクザクって? あ、マフラーしてるよ! これは軽くショックを受けましたよ。うまいなあ、やられました。って、冬に水着って無茶すぎだ。今回は部活の状況を導入に持ってきて、けれどメインは初詣って感じですね。どえらい金持ちなこちゃん、この人はオチにボケに、大活躍ですね。ちょっと無茶なネタなんかもふりつつ、みなとの地味な駄洒落が出てきたりもして、でもって私、こういうのが好きだったりするんです。最後の、部活バカの部長もいい感じ。楽しい回でありました。

『おすすめ!看板娘あんちょこ』、こちらもお正月風景。父と娘、家族の関係が、というか父の人となりが描かれて、面白いなあ。父の破魔矢のエピソードでうまくひっぱって、最後にちょっとがっかりさせながらも、ふたりのなれそめ語られるというね、いや、子は聞いてないんだけどさ、このあたりも面白かったです。杏の家族だけでなく、千代子の家族の様子も描かれて、いつもとはちょっと違った『あんちょこ』。けど、こういうのも面白かったです。

『放課後のピアニスト』、登場人物紹介、プロをめざすレミ、ソラ、シド、状況説明する中で、シドとレミのポジションが語られる。これが、なかなかにシビアな話、ソラの進路に関する迷いに繋げられるんですね。先生の調子よさ、これもいい感じ。結構真面目で重めの展開にもなりうるところを、うまくコメディとしています。しかし、この漫画において、ピアノ弾くために生まれてきたようなシド、ピアノが好きで好きでしかたのないレミ、他の選択肢なんてまったく考慮していないふたりに対し、進路に迷い、自分にとってピアノってなんなのか、思い続けているソラの存在はすごく大きいと思うんです。好きなことには違いないんだろうけれど、シド、レミを見ていると、自分には足りないものがあるのではないか。そうした迷いが、この漫画に少しの苦味を添えて、ソラともども、魅力を増さしめている、そう思うのです。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第2号(2011年2月号)

2010年12月21日火曜日

笑って!外村さん

 『笑って!外村さん』が登場した時には、面白い、けれどこの勢いがいつまで続くだろうって思ったのでしたっけ。見た目から、あるいはその振る舞いから、不良、怖い人と思われている外村さん。けれど実際はすごくいい人で、ただ笑顔が怖くなってしまったり、あるいは言動が脅してるみたいになってしまうだけなんです。ああ、なんと不憫な娘さんだろう。人付き合いが苦手、緊張してしまったりする、そうした結果があの誤解というのですから、ほんと、春野さんならずとも、なんとかしてあげたい! と思ってしまうのもしかたないでしょう。

しかし外村さん、生徒からだけでなく教師からも怖れられているというのですから、たいしたものです。けど外村さんは外村さんで、なんとか皆と仲良くできないか、いろいろ考えていて、ところがそうした試みがことごとく裏目に出るんですね。その、やっちまったっぷり、実に素晴しい。なんで、なんでそんな言い方になっちゃうの!? 笑い方、表情、服装、身のこなし、どれもが見事に裏目に出るようにできているわけですが、その原因はというと、主に外村さんの勘違いっていう、それがおかしいんですね。きっとこういえばいいだろう、そう思ってるのは外村さんだけ。どう見ても脅してるようにしか見えませんから、外村さん! そうやって思わずつっこみたくなってしまう、そんな漫画なのです。

外村さんにつっこみをいれる、それは読者だけではなく、そう、さっきいった春野さん。この人はほぼ唯一といっていい外村さんの理解者なんですが、外村さんに助けてもらってからというもの、外村さんに笑顔のレッスンしてみたり、いろいろ親身に相談にのったりしているんですね。で、この人が外村さんにつっこみをいれまくる。いや、そのつっこみというの、春野さんの内心でおこなわれるものだから、肝心の外村さんには伝わらないんですけど、けど読者にはしっかり伝わって、いい感じに駄目押しになってくれるんですね。そして、春野さんの存在、それは面白さを補強するだけではないのです。人間関係において、あまり恵まれてるとはいえない外村さん。だけど、外村さんには春野さんがいる。このことが、ああ、外村さんよかったね、そう思わせてくれる大切な要素になっているんですね。気持ちをわかってくれる、世界を広げようといろいろ骨折ってくれる、本当にいい友人ですよ。外村さんは確かに誤解されて大変なんだけれど、友達のいるしあわせは知っている。よかったねと思える、それが笑い、おかしみに一味そえて、外村さんの魅力をいっそう引き出しているのです。

外村さんには、姉を尊敬する弟がいて、姉ごと慕う女の子がいて、なんとか笑わせようと頑張る男子もいて、決してひとりじゃない。まあ、後者ふたりは誤解ぶくみなんですけどさ、でもそれでもかかわろうとしてくれる人があるっていうのはいいですよ。こうしたまわりにいる人たちに、いつか外村さんの真実が伝わるといいな。そう思うんですが、まだまだ外村さんの誤解は解けないだろうな。だって、漫画の勢い、面白さ、衰えるどころか、いよいよ増していくって感じなのですもの。ええ、当初の心配、まったくの杞憂でした。

  • 水森みなも『笑って!外村さん』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊

2010年12月20日月曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年2月号

『まんがタイムきららMAX』2011年2月号、昨日の続きです。

『ラッキーストライク』、ついにレンがマイボールを手にします! というわけで、レンさん、えらいことハイになってるんだけど、そのテンションがちょっとうっとうしい。でも、気持ちわかりますよ。例えばね、新しい楽器を手にするって時とか、こんな風になってしまう気がします。しかも彼女の場合、ずっと欲しかったマイボール、はじめてのマイボール、なおさらでしょう。どんなボールだろう、あんなだったらいいな、けどこんなだったら嫌だな、みたいに思っていたレン、奈落に突き落とされるがような描写はおかしくて、そこからのプラスチックボールをめぐる展開、じわじわと笑いが込み上がってくるようなおかしみがあって、アメリカの大会とかさ、もう最高。あの、手を出しちゃうところなんかも最高でした。

しかし、面白いだけではない、そう思ったんです。それはボウリングの知識が得られるから、っていうのではなくて、ほらレイの言葉ですよ。

「投げたい」のと「投げられる」ってのはちがうので自分の特性にあったものを選ぶのがいいですよ。

これはいわれてみれば当たり前なんだけれど、この当たり前が難しいんですよ。ボウリングに限らない、一種の真理を突いている言葉だと思います。理想とする像がある、ああなりたい、こうしたい、そういう思いはきっと誰しも持っていて、その理想に近付こうと思うのはそれこそ当然なんだけれど、向き不向き得手不得手というのはどうしてもある。そこで道具のサポートを得ようというなら、自分のできること、できないこと、見極めていかないといけないっていうの、本当に大切なことだと思います。あるいは時に届かない理想よりも、持ち前の特性を伸ばす方がいい。そんなことにもなったりするんじゃないかな。いやほんと、いろいろ思わされた言葉でありました。

ところで、ボウリングの玉、14ポンドって6キロ超えるんですね。あらためて考えると、ものすごく重いですよね。驚きです。

『Smile Lesson!』、ゲストです。水彩っぽい塗り、やわらかな色調。悪くない雰囲気です。書店兼雑貨店でアルバイトすることになった女の子ふたり。割と物怖じしない神楽奈々と、逆に人見知りしてしまう田口ロロ。このふたりがヒロインみたいですね。奈々は接客が得意そう、けれどロロはどうだろう、そう思っていたら、ロロにも得意がありましたという、このお互いによいところがちゃんとあって、助けあいながら一緒に頑張っていこうというかのような展開、これはすごくよいと思いました。派手じゃない。けれど、しっとりとして、語るべきものをちゃんと持っている、そんな漫画。魅力的と感じます。

『SUNNY SIDE UP.』、今回は内容が幅広いです。乗馬の話、加奈子は体が弱くて、そんな話だったから、スポーツ全般苦手なのかと思ったら、乗馬は得意なのか。乗り手が違うと、こんなに馬は生き生きと走るのか。加奈子の知らなかったところも見えて、そしてメレンゲの馬、ヨーグルトにまつわる逸話、ああなんだかしみますね。いつもはおちゃらけてることも多いメレニアだけれど、この子のこうした表情、どきりとさせられるものがあって、ああ、メレニアの知らなかったところも描かれて、本当に広がりのある話、とてもよかったです。

『もっかい!』、次号最終回! って、うっそー! 衝撃。最終回目前の今回は、学校の課題で小説を書いたという話です。で、いつものように遊ちゃんが暴走するのかと思ったら、いや確かに暴走はしてたんですけど、今回のメインは違う人。過去の課題を参考にしろといわれたふたりが見付けたのは、ゲームブック『桃太郎』。これ、最初は、延々ぼけたおすだけなのかなと思ったのだけど、いやいや、そうじゃない。あの、おとぎ話、昔話ハイブリッド、めちゃくちゃ面白い。どんどん話がそれていってしまう。それをなんとか本筋に戻そうというのだけど、なかなか戻らないどころか、迷い込んだ別の話に大きく影響うけて、いやもう、予想したどころでなく楽しめました。しかしこの作者が先生だったっていうの、しかも弱味かと思ったら、全然そうじゃなかったというの。そういうところ、よかった。遊ちゃんに全然負けてない先生が素晴しかったです。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第2号(2011年2月号)

引用

  • みそおでん「ラッキーストライク」,『まんがタイムきららMAX』第8巻第2号(2011年2月号),131頁。

2010年12月19日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年2月号

『まんがタイムきららMAX』2011年2月号、発売されています。19日発売のところ、今日は日曜だったので、一日早く土曜に出たというわけですね。さて、表紙は『ホイップノート』、晴着でありますよ。手前、こちらに背を向けているるいせの柄は菊。先輩はといいますと、ええと、なんだろう、桜でいいのかな。華やかなお嬢さんふたり、落ち着いたお姉さんと、ちょっと子供っぽさを残したお嬢さん。ちょっとしたコントラスト、それがさらにイラストを魅力的なものとしていると感じます。

『きんいろモザイク』、今回は記念日の話、とはいうのだけど、その前に大人の階段を登ったカレンさんについて。一人でラーメン屋にいったというのですが、それって女の子にはハードルが高いの? そうした機微がわからない駄目な大人が私です。しかし、ホットでお願いしマス!! これはすごくいいな。冷やし中華でなければ確かにホットだろう。だから実際これで普通のものいいなんですけど、それがこんなにも味わいあるのはどうしてだろう。けど、これはカレンが外国人だからこそ違和感なく通じることばに思います。さて、シノ記念日。アリスは本当に忍のことが好きなんだな。で、プレゼント。無事に渡すまでのアリスの様子、ああもう可愛いなあ。そう思うのだけど、対して忍が意図せず微妙に酷い。って、この子はいつだってこんな風で、気がきかないというかなんというか、でもこういう性格はこの子の真面目さの表裏のようにも思えて、だからより面白いと感じられるのかと思います。しかし、最後のリボン、こういうのも実に忍にはよくある話。ほんと、面白いです。

『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』、連載になって戻ってきました。陸上部の話。ヒロイン椿には菫という妹がいるらしい。そっくりだな。けど、運動はできないのか。でも、椿もいうほどできてない気がするので、やっぱり似ている姉妹かも知れません。さてさて、優子の遅刻の状況とか、昼食、その後のゲームの話とか、いろいろ描かれてはいるけれど、やっぱりメインは部活です。LSDではなく、みなと同じメニューで練習したい。そういった椿だけれど、全然ついていけていない。けれど、それでも必死で食らい付いていく様子、手を抜かない、最後まで走り抜こうとする様子、こういうの見ると、真面目なスポーツもの、部活ものだなあって感じます。で、面白かったの、あの、すぐ同じメニューをこなせるようになる、はげましたかと思えば、すぐさまこなせるとついてこれるは違うと釘を刺す先輩、ああ、こういうのもいいですね。ちょっといたずらっぽい先輩たち、すごく気にいっています。

『ノロイメライ』、前回の懸念事項、五十鈴の目が髪ごしに見えるのがちょっと怖いっていってたの、うまいこと改善されてて、おお、これはすごくグッド。顔で見えているパーツといえば、ほぼ口だけといった状況が増えたのですが、けれどこれでもちゃんと表情(?)わかるし、それに可愛い。現実だったらそうはいかないスタイルであることは重々理解しつつ、いや、この人、可愛いです。さて、今回は呪いの話。いや、この漫画の基本テーマがそれなんですが、血液型分類をもって呪いといっちゃう部長。なかなか。まじない、のろい、そうした言葉の向こうにただただオカルトというばかりでない意識があるのは面白いです。でもって、生徒会長、呪い部を目の敵にしてらっしゃる? けれど、心底仲が悪いというわけでもないみたい。昔、呪術やらなんやらで、協力した過去がある、だそうですが、貧乳をこじらせた。そういってる部長も、最初の四コマ2本見るかぎり、あんまり違いはないような気もします。

肝心の呪いについて、なにも触れてないような気がするけど、気にしないことにしよう。

『ふわふわ科学』、気にいっています。科学の四コマ。今回は静電気であるのですが、あれは健康によくないっていうの、細胞に影響があるからなのか!? その理由を聞いたのははじめてのような気がします。静電気防止グッズ、こういうのもあるんですね。鍵など金属を持って触れると痛くないっ聞いてますが、けど流す方は平気でも流される方は痛いのか。静電気の電圧は数千ボルトで、電流が少ないといったような話。またコピー機(レーザープリンタ)の原理など、こうしたのが説明されるの、地味ながら好きなんですよ。けど、ただ説明してるだけじゃいかんでしょう? というわけで、あの風船を風船で反発させて遊ぶの、ああいう実際にできること、それが楽しそうというのがまたよいのです。サイエンスカフェっていうのが最近よくおこなわれていて人気もあるみたいですが、科学の知識を学べて、ちょっとした実験もできて、さらにはそれを応用して遊べるというこの漫画の雰囲気は、科学を身近とさせるようなイベント、そうしたものの系列にあるようで、子供のころ博物館とかでやってる子供対象の科学実験教室みたいのが好きだった私には、ものすごく面白いのです。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第2号(2011年2月号)

引用

  • 原悠衣「きんいろモザイク」,『まんがタイムきららMAX』第8巻第2号(2011年2月号),37頁。

2010年12月18日土曜日

『まんがタイムファミリー』2011年2月号

『まんがタイムファミリー』2011年2月号、昨日の続きです。

『ひよっこシスターの安息』、年があけてお正月の風景ですよ。お年玉とかおせちとか、実に日本的。新年の抱負、目標を決めましょうというのもまた日本的で、こういうゆるい感じがいいなって思います。しかも、彼女らの目標、あんまり高いわけでもないのに、達成できてないっていうのがね、ちょい駄目感あって、またいいなと思うのでした。気にいったのは、南野シスターの凝り性でしょうか。この人、いわゆる完璧主義って感じでしょうか。なんか大らかな雰囲気だから、ちょっと印象が変わって、けれどなんとなく凝り性というの、しっくり自然とも感じられて、こういうらしさというのでしょうか、人となりの近しく感じられるところがよいのですね。

エッセー企画、ボクのワタシのお正月事情。楯山ヒロコ、佐野妙、木村和昭、山田古都子、水井麻紀子が描いているのですが、木村和昭はもう完成されきってるなと思う。どう考えてもエッセーというよりネタ、まさしく漫画であるのですが、見事に完成されていて、ほんと、この人は名人だと思う。もちろん他の人たちの漫画も面白くて、それらは本当にエッセー、身のまわりのこと、出来事を漫画にしたという感じなんですが、楯山ヒロコのただ除夜の鐘を撞きましたというだけでない、その時の情景を追って経験するかのような気持ちになれる描写、表現も見事でした。ところで、吉田古都子さん、ええー、お餅があんまり好きではないのですか。なんか意外。いや、自分が餅が好きだからなんですが、そうかあ、お餅お好きではないですか。そういう人があることに、なんだかすごく意外と感じてしまって、その驚きがまた意外です。

『はなまるドロップス』、『どっきゅん乙女姉妹』、最終回でした。って、驚いた、なんかすごい唐突で、ええー、終わっちゃうの!? 好きだったんだけどな、面白いと思ってたんだどな。いや、ほんと驚きました。けど、『天使くん』の最終回はそれ以上に驚いて。いやあ、それといった理由はないんですが、なんというかこの漫画は終わらないような気がしていて、あって当然というか、そんな風に思っていたのですね。そうかあ、20年以上やってたのかあ。すごい長寿ですね。『天使くん』、きらいじゃありませんでした、ええと、つまりは好きだったってことです。基本的には同じネタの繰り返し、変奏の連続であったとは思いますが、それが逆に安心と感じられた、そんな気がしています。

『君島夫妻』、これはいいですね。新人まんが展ということは、最近の投稿作なのだと思うのですが、これで新人? と思わせるくらいの安定感。素直でないお爺さんが逆に可愛い、いや身近にいたらそうは思わないような気もしますが、けどお婆さんがすっかりお爺さんのことわかっちゃってて、うまいことあしらってるっていうね、そういうところがいいじゃありませんか。しかし、あの猫、なでくり回した跡っていうの、あれはよかったです。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第2号(2011年2月号)

2010年12月17日金曜日

『まんがタイムファミリー』2011年2月号

『まんがタイムファミリー』2011年2月号、発売されました。2月号ですね、まだ年も明けてないのに。というわけで、表紙のテーマはお正月であります。『ぽちゃぽちゃ水泳部』のカツ代は獅子舞を手に、けれど格好はというと来年の干支、うさぎであります。下を見れば、『うのはな3姉妹』のおやじさんがうさぎになっている。というか、この場合メインは晴着の3姉妹でありましょうね。そして、新作の案内、『ひきよせ婦警』、『チーフはかなめ!』、『ギュっとして!よねちゃん』のカットもございます。

『チーフはかなめ!』、表紙には新作登場とありましたが、こちらゲストですね。美容院もの、仕事ものの一形態。あらたに美容師として働きはじめた主人公が、見た目子供のかなめチーフの下で成長していく、みたいになるのかな。日頃あっけらかんとしているけれど、見事な仕事ぶりを見せるチーフのすごさを知り、自分の未熟さを実感する。そうした彼が見守られながらがんばろうと決意する。なかなかに悪くないと思います。こういう仕事もの、いいと思います。

『めがねのキミと博物館』、この作者らしい展開が見えて、こういうのいいですね。香坂さんが、社長の書斎に入って、そこで経験したことです。ちょっとしたファンタジー。この感触、ああ以前の漫画にも見たことがある。ちょっと不思議な世界観。ものが意思を持って人にはたらきかけてくる、そうしたの、ちょっと病み付きにさせるような味があるんですね。かくして、眠っていたチラシは博物館にて活躍して、これはよい展開。チラシによし、博物館によし、そして香坂さんをはじめとするスタッフによくて、社長にもいい。これはいい展開でした。

『教師諸君!!』、おお、コミックス発売とは朗報にございます。というわけで、年が明けて仕事がはじまりました。今回は食がテーマでありましょうか。みなの持ち寄ったおせちを試食して、その地域を当てていく西名先生。他にも公現節のお菓子があったり、あるいは鏡開式があったりと、なるほどそういえばこの漫画は確かに食べ物に関する話、多いように思います。はなびら餅とかね、あれは身近に見ますけど、食べたことがなくて、おいしいものなんでしょうか。四コマの後には、コミックス発売記念だそうですよ、西名先生の衣装について触れた漫画があって、ああ実によい感じです。こうした衣装、被服部の部員に作らせてたのか。でもって、あの展開。これは西名先生が重いの? それともこの服が重いの? いや、ストレッチャーに載ってる絵、眼鏡かけてるから、服が重いんじゃないっぽいな。しかし、どれほどに重いのだろう。重いといえば、本編にてもいわれてましたね。ただでさえ謎の人であるのに、いっそう不思議な人になってしまった西名先生。この設定、本編にても引き継がれるのか、ちょっとわからんけど、わからんながらおかしくてよいです。

『ひきよせ婦警』、ゲストです。なぜか事件に巻きこまれる新米婦警、奥田葵がヒロイン。いなかの駐在所に配属されて、これは静かで平和な田舎町に事件巻き起こって大変! みたいになるのかと思ったら、今回は平和のままに終わりました。この漫画は、町の人たちと交流しながら平和な日常描いてみたり、そして時には事件発生とその解決描いてみたりなど、するんでしょうか。基本大変なことにはならないだろう、そうした安心感をもちながら、ちょっとした事件ものとかが読めたりするのはよさそうだなって思います。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第2号(2011年2月号)

2010年12月16日木曜日

ライアー×ライアー

 まったく知らない作者、もちろんタイトルだって知らなかったのだけど、書店にて一目惚れ。いたずらっぽく、口元に笑みを浮かべたお嬢さんの表紙に、なぜかひかれて足をとめてしまったのでした。『ライアー×ライアー』。帯には弟が私に恋をした。けれど、微妙に「嘘」が含まれているらしい。裏表紙を見れば、なるほど弟は弟だけど、義弟であるというわけか。なるほどね。つまりは、兄嫁さんか! 兄の妻が、ちょいと女子高生に扮してみたら、義弟くんに惚れられちゃったか! これは、これはいかすな! 買ったのでした。ええ、まさしく表紙買いというやつであります。

ええっと、どうも勘違いしてたみたいです。義弟って、夫の弟ではなくて、親の再婚でもって姉弟になった、ええ、連れ子同士だったってわけですね。でもって、この姉ちゃんが可愛いの。高槻湊、はたち、潔癖症。弟とはあんまり仲がよくなくってさ、で、この湊さんが友達ん家で高校時代の制服を借りちゃって、変身しちゃって、いやもうどえらく可愛くて、そしたら渋谷で弟と出会ってしまった。やばい!? と思ったら、なんと弟くん、一目惚れ? これは、なんかいいぞ。すごくいかさないか?

なにがいいか。いえね、この弟くんの好意ですよ。姉に似た女の子だったから好きになったの? いや、それとも姉と知りながらとぼけてアプローチしてるの? いずれにしても、君、お姉ちゃんのこと大好きだよね? わくわくしないではおられない状況出現ですよ。しかも、この男の一途さ、軽くひいてしまうほど。女関係にだらしなく、しかもその上執着もなかった弟くんが、姉ちゃん演じる女子高生野口みなに対しては、もう必死。なんでそこまで!? っていうほどで、やっぱりひいてしまう。今関係してる女と別れて、といわれたら、ぼろぼろになりながら、ひとりひとり別れてくる。合コンいってる、そんなの嫌だからすぐ帰って! ほいほい帰っちゃうの。いや、もうほんと、あまりに真っ直ぐな思いに、きゅんきゅんしちゃったよ。いや、もうほんと。なんで、そんなにお姉ちゃんのこと好きなのさ! ええ、もう、きゅんきゅんきちゃいますね。

これは私が思っているだけのことだけど、きっと弟くんは、はじめてお姉ちゃんと会ったあの時から、ずっと好きだったんだろうね。けれど、お姉ちゃんのこと好きっていえない、お姉ちゃんは自分を弟としてしか見てくれない、そういう絶望があの奔放な、あるいは自暴自棄な女性遍歴にいたらせたんだろうね。そんな彼が、お姉ちゃんに瓜二つの女の子と出会って、ああ、この人こそおれの探していた理想の人だ、好きだ、愛してる! ってなっちゃって、いや、ほんと、君、どんだけお姉ちゃんのこと好きなんだ。で、お姉ちゃんもお姉ちゃんで、一回ついてしまった嘘、いまさら嘘でしたっていえなくなっちゃってて、それで流されるままにおつきあいしちゃったりして、で、それがすごく楽しそうで、後になって、どうしよう、どうやってなかったことにしようって思い悩んで、もうめちゃくちゃ可愛い。弟にしてもさ、この野口みながはじめての本気の恋で、百戦錬磨に見えてすごく純情で、湊は湊で自分はもてないって思っちゃってるから、当然これがはじめてのおつきあいでさ、初々しいんだか、不実なんだか、もう読んでて身悶えしてしまいます。

湊も弟くんのこと、好きなんだろうな。好きになってきちゃってるんだろうな。そう思わせるところがあって、けれど弟とそんな関係にはなりたくないって思いが強い。弟への気持ちを認めまいとするからか、弟以外の気になる男子、心揺らしちゃったりして、しかもこれはつきあっちゃったりなんかする? どう見ても恋愛についてはうとい湊の、あやうい恋愛状況、それが実に面白いのでありますよ。

しかし、この漫画、最後には逆『みゆき』的解決をするのかなあ。そうなるような気がするんだ。でも、そうなのだとしても、もちろん違ったとしても、決着までの紆余曲折、相当に楽しませてくれるだろうこと間違いなさそう。でもさ、もし野口みなに対する弟くんの恋が成就しないラストだったりしたら、ものすごく切ない、それこそ涙なみだの物語になっちゃったりするのかも。ええ、いずれにしても期待のつのる漫画であること、間違いないです。

引用

2010年12月15日水曜日

ももかコミカライズド

 単行本が出ます、これまでとはちょっと毛色が違います、といわれていた漫画、『ももかコミカライズド』が出ましたね。というわけで、遅蒔きながら買ってまいりまして、読みまして、これ、漫画家志望の女の子が主人公の漫画です。漫画を描いてみた、誰かに見てもらいたかった、それで持ち込みしてみたというのですが、そのいった先が間違っていて大変! 少女漫画誌に持ち込んだつもりが、萌え漫画雑誌の編集部に通されてしまった。しかも、なんだか先様乗り気で、掲載されちゃった。萌え漫画雑誌に! 送られてきた雑誌見てびっくりですよ。思わぬことに戸惑うヒロイン。右も左もわからない萌え漫画に取り組むことになった、姫咲ももかの明日はどっちだ!?

しかし、この漫画、内容が盛り沢山です。ヒロインももかの取り組もうという萌えまんが道、漫画家としての試行錯誤や成長がメインであることは当然間違いないのですが、気になる男子がいたりする、さらにその男子にはなにか複雑な過去があるみたいで、で、この過去、絶対にももかの漫画の行き着く先に関わってくるぞ。そんな予感がひしひしとする、というか、その展開の種はもうまかれているんですね。ライバルもあって、雑誌の先輩とでもいいましょうか、天草アリス。わかりにくいたとえでもって、ももかを挑発しながら、実のところ背を押してくれているいい人。などなど。ちょっと詰め込みすぎとも思ってしまう序盤。ええ、第1巻、これはまだ序盤に過ぎないんですね。

この漫画に描かれていること、なかなかに示唆に富んでいるなと思ったのは、ももかの描いた漫画、それに対する評価でありました。初登場ゲストで10位、連載を狙う3回、その第1回は9位につけて、しかしそれがピーク。萌えとはなにか、ももかがリサーチすればするほど、読者の気持ちは離れていってしまうという状況。ああ、これに似たことを実際の漫画雑誌の誌面に見ることあります。登場した当初、お、これはいいなと思って楽しみに読んでいたら、だんだんに当初の感触が薄れていく。なにか迷走しているな、どうしちゃったんだろう、ぱたっと終わる。何度かそうしたケースを見て思うようになったのは、作者が意図せず表現していたよさというもの、そのよさとはなにか、意識しちゃったせいでわからなくなっちゃったんだってことでした。ももかはまさにこうだと思う。自分が漫画に描いたこと、そこに表現されていたもの、よさ、それがなにか、つかめていない。きっと萌えとはこういうことだろうと、すでに自分が表現していたものから目をそらして、外へ外へと向かっていってしまう。ああ、『迷走シスターズ』、おそるべき迷走であります。

漫画に限らず、表現というのはおそろしいものだなと思ったのですね。自分の好きなこと、好きなもの、それをただただ真っ直ぐに表現すればいいってもんじゃない。かといって、こんなのがお好きでしょうと、いかにも好まれそうなもの用意すればよいってわけでもない。表現者と受け取り手、双方の気持ちがかっちりとあう。マッチングするポイントを探りながら、自分のうちにあるものをかたちにしていく。まさに表現とはコミュニケーションであるのかも知れないな。それを強く思わされたのは、Chapter. 6「The Judgement Day」。読者とのコミュニケーションに失敗したももかが、拒絶を突き付けられてしまう。とんとん拍子と思われた序盤、しかしそうではなかったのだと突き付けられた逆境に、私のスイッチはたちまちオンになって、よし、これからどうなる、前のめりになろうにも、これ1巻最後の章であります。おおう、えらい気になるな。どうしたらええねん、『コミックハイ!』買うしかなイカ?

私は、風華チルヲという人の持ち味は、圧迫するかのように畳み掛けてくる情念、そして息せき切って目標に向かう、止めようにも止められない思いであると思っています。けれどそれはまだ第1巻には感じられない。1巻をまだ序盤といった理由はこれです。けれど、「The Judgement Day」、前提は成ったと感じさせられて、いよいよか、いよいよか、まさにかちりと気持ちが噛み合った、そう思わされたのでした。ももかの向かう先、そこにどうした世界が広がるのか。作者も後書きにいうように、悶々と鬱々と懊悩する試行錯誤ストーリー、そこにこそ私の求めるものはあるかも知れない。そして、悩み迷いが深まるほどに、ももかの掴みとる結果、それは輝くに違いない。そんな予感がするのです。

引用

2010年12月14日火曜日

『まんがタイムラブリー』2011年1・2月号

『まんがタイムラブリー』2011年1・2月号、昨日の続きです。

『ラブリー』実質的さよなら号を読めば、それだけ残念との思いはつのって、とばかりいうのもつまらない。というわけで、ここはあえていつもどおり、感想を書いていこうと思います。

うさぎのーと』はサンタクロース話であります。いい年してサンタを信じている、そんな人たち。なかんづくハニーが素晴しい。サンタはいるに決まっているだろう。名言。素敵すぎます。しかもその後の攻防がまたすごい。男子の心ない曝露に対しても、まるですべての罪を赦す慈母のような態度でもって対処して、そして針生家での演出の見事さ。でも、見事なのはこれより先、それこそこの流れ最後の落ちであったなあ。不思議なんてない、そう思わせてきたところに、いや不思議だよ! っていう、ちょっとしたサプライズを用意して、この見せ方、予想をはずしてくれる、そのやりかた、実に鮮やかでした。

ゲストは8本。『女子高生、仲居系』、『スイッチOL野口さん』、『ぐだぐだしている女子高生の放課後 略して ぐだじょ』、『Good Job! 桜さん』、『まじめの一歩』、『ピュアせんぱい』、『勇気ほうれんそう』、『トノサマガアル』。これにニューフェースの3本『デザイン戦争』、『あつあつステップアップ』、『ママうた』と、これらが全滅というわけで、いやあ、書き出してみるとハードだなあ。『勇気ほうれんそう』と『トノサマガアル』は、うまいことエンディングまで描いたなと感心して、けれどほとんどが、特にストーリー性を持たないものは、いつもどおりの展開で、ただ終わった、そんな風になっていて、それがとりわけ切なかったりします。

好きな漫画、多かったんですよね、これらゲスト群においても、続けて読みたいなあと思っていたものいくつもあって、けれどこうしたもの、例えばアンケートに継続要望出したとしたら、系列誌に場を移して継続など、反映されるだろうか。おそらくそれはないだろう、そう思いながらも、アンケートには継続して欲しい、なんとかならないかと書くだろうと思うもの、いくつもあります。求めよ、さらば与えられん、ではないですが、ただ諦めてしまうのではなく、まずは要望するところからはじめたいと思います。

そうそう、『トノサマガアル』、これ2ページ目のLovely Diaryに大落ちのネタバレが書かれていて、うわあ、やられたあ、やめてよー、とか思っていたら、いやいや、それネタバレじゃないよ。むしろオチに向けてのフリじゃねえか。やられました。けどさ、実際あのラスト見せられたら、はやってないよ! と突っ込まないではおられないわけで、ほんと、うまくしてやられました。

  • 『まんがタイムラブリー』第18巻第1号(2011年1・2月号)

引用

  • 師走冬子「うさぎのーと」,『まんがタイムラブリー』第18巻第1号(2011年1・2月号),10頁。

2010年12月13日月曜日

『まんがタイムラブリー』2011年1・2月号

『まんがタイムラブリー』2011年1・2月号、発売されました。1・2月号、異例の合併号、というか実質的な『ラブリー』最終号であります。ああ、私の愛した『ラブリー』よ、さらば。とか、別に芝居がかって大げさにいうほどのことでもないのですが、来月は一回お休みして、再来月3月号から新生『ラブリー』がお目見え。ええ、新生も新生、まったくのリニューアルとのこと。実際、かなりの本気度合い。どんな雑誌になるのでしょうね。

というわけで、連載されていた漫画は、てんでんばらばらあちこちに移籍したり、またあるいは連載終了の憂き目にあったりしまして、いやあ、読み進むごとに、ずーんと気持ちが重くなる。いやいや、駄目ですよ、駄目ですね。こんなことで落ち込んでるのも駄目ですよ。

読んでいると、なんだか切なさがつのるものだから、きっとここに感想など書いたら、楽しいものにはならないかも知れないな。だったら、移籍や終了についてまとめたらどうだろう。そう思ったのですが、そういうことはもうすでにやってらっしゃる方がいるわけで、そう、つまりリンクした方がいいじゃん!

実にありがたいです。

連載終了した漫画の中には好きだったもの、もっと長く読みたいと思っていたものいくつもあって、だからすごく残念で、けど他誌に移籍していく漫画についていうと、その移籍先で連載終了が発生してたりもするわけだから、そちらはそちらで残念だったりもするわけで、ひとつの雑誌が消える、今回のケースでは方向転換なわけですけど、誌名は同じで中身は別ものなわけだから消えるっていっちゃってもまあいいかと思うんですけど、ひとつの雑誌が消えるというのは、本当に悲喜こもごもだなって改めて実感させられました。

思えば、『コミックエール!』が終了した時、さらに遡れば『まんがタイムポップ』と『まんがタイムナチュラル』が終了したときも、どれが終わるのか、どれが移籍して続くのか、不安をともにチェックしたものだったなあ。あの時のことを思えば、今の私は随分と冷静で、それは四コマ漫画というものに対する熱量が落ちているということもあるのかも知れないし、あるいは少し前にもあった誌面リニューアル、ああしたものがある程度の予測だか覚悟だかをさせてたから、かも知れません。

とりあえず、終了とされたものでも、もっと読みたいと思ったものにはその旨、そしてゲストについても同様に、アンケートに書いて出したいと思います。

  • 『まんがタイムラブリー』第18巻第1号(2011年1・2月号)

2010年12月12日日曜日

パドラーズハイ

 芳文社における『けいおん!』ブームの総括は、部活もの、であったのかも知れません。『きらら』系列、『タイム』系列を問わず目立ってきたのは、部活に所属し、なにかひとつのことに打ち込もうという漫画でありました。それが芳文社の戦略であったのか、それとも部活ものに対する受容体が目覚めてしまったなど、私自身に理由があったのか、それはわかりません。しかし、部活ものが面白い、それは事実。『きらら』の系列でいえば、ボウリングに打ち込む『ラッキーストライク』が面白い。そして『タイム』の側では『パドラーズハイ』が気にいっています。

『パドラーズハイ』、ラフティングに打ち込む女の子たちの漫画であります。ラフティング? 大きなゴムボート、ラフトで川を下るスポーツですね。といっても私はこの競技については全然知らなくて、それこそこの漫画で得たものが知識のすべてだったりします。観光ないし川下りを楽しむレクリエーションとしてのラフティングがあって、そして規定のチェックポイントを通過しながらゴールまでのタイムを競うスポーツとしてのラフティングがある。この漫画に描かれるのは、主に後者のものですね。けれど発端は、ヒロインゆーゆの回想、家族で体験したラフティングの思い出でありました。楽しかった、またやりたい、そう思っていた矢先にあの時のラフティングガイドと再会して、念願のラフティングができるかも知れない! ええ、まさにゼロから部をおこしていこうという、そうした若々しさにあふれる展開が魅力です。

新設されたラフティング部は、みー先生とゆーゆ、このふたりから始まって、その後次々部員を獲得していきます。その過程は割とスムーズで、たまたま川で出会ったあいちゃん、そして放課後の教室、川に関するエッセイを読んでいたというだけの理由で引っ張りこまれたしおっち。しおっちのくだりが実によかったのですよ。まさか、こんなにハードなものだなんて思っていなかった。そんなだったのに、一度ラフティングを経験すれば、その魅力にまいってしまった。面白いではなく、気持ちいい。その感想が、この漫画のポイントでありましょう。なにせ、パドラーズハイという言葉が、気持ちいいという状況、そのものをさしています。パドルを手に川を下っていく、その時にゆーゆが見せる表情。きっと脳内にいろいろ麻薬物質が分泌されているのであろうなあ。そうした様子は見ていて気持ちいいものですよ。ああ、好きなものに精一杯打ち込んでいる。楽しい面白いを超えた先にあるもの、それを感じさせてくれる、そんな漫画なんですね。

まったくの初心者だった3人が、練習を通し、よりいっそうラフティングの面白さに目覚めていくという様子がよく描かれていると思うのです。最初は、ラフトを操るどころではなく、振り回されるようにして下っていたのが、工夫、確認、練習で克服していく。とはいえ、特訓だとか根性だとか、そうした要素はまずもって見受けられず、まずは楽しんでみる。アイデア出してチャレンジしてという、それがもう彼女らにとってのラフティングの楽しみに直結していると感じられて、ああ、今の時代、スポーツというものは、苦しいばかりのものではなく、楽しむこと、それであるのでしょうね。これはスポーツに限らないと思う。楽して上達とかではなく、練習が厳しかったり大変だったりするのは当然のこととして、けれどそうした練習こそを楽しんじゃおうよ、そういった雰囲気が悪くないなと思われたのですね。

ゆーゆたちのラフティング部、チーム名いちごケーキは大健闘。ええー、いくらなんでもそんなにちょろくないだろう、そう思わせないような前提はちゃんと用意されていて、けどやっぱりちょっと大盤振る舞いって感じます? けど、私はあの展開、やったじゃんと素直に喜んで、ええ、そう思えるだけのもの、感じたんですね。すごくよかった。ええ、私はこの漫画にすっかりみせられているのです。

  • 水屋杏里『パドラーズハイ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊

2010年12月11日土曜日

『まんがタイムきらら』2011年1月号

『まんがタイムきらら』2011年1月号、昨日の続きです。

『モテブ!』、これ面白いな。どうしようもない男どもふたりがいろいろ頑張ってるんですが、これって女の子にもてようとしてるんじゃなくて、もてるシチュエーションを妄想してるだけだよな。しかも、身近に女の子がひとりいるというのに、男同士でシチュエーション再現とかしてる馬鹿ふたり、その馬鹿さ加減がたまりません。つっこみを入れるのは主に幼なじみの女の子マホの役割ですが、時に行き過ぎた状況に自分たちでつっこみいれることもある、あるいはほったらかしもある。そんな馬鹿どもの馬鹿披露、実に面白いです。

『モコモコニンニン』もいい感じです。忍者のモコ、彼女が学校に通うというの、これで確定なのでしょうか。しかしこの漫画のいいのは、やりたいこと実現するために手段選ばないモコとか、それを逆手にとって学校休んでしまうまやとか、そういうのもいいのですけど、やっぱり一番は甘やかしすぎのツバメ、そして機転のきかないモコ、これだと思うんですよ。あからさまにフォローしてるのに、全然まったく気付かないモコ。しかしツバメさん、この先も先生として出続けるんだろうか。この神出鬼没なフォロー役。この先、どんなシチュエーションであらわれてくるのか。そういうのも楽しみにさせるキャラクターであると思います。

『脳内彼女のいる生活』、これ、もう連載になったらいいのに。そう思うくらいに定番のゲスト。代原ってやつなんでしょうね。しかし、この漫画、妄想により生み出された脳内彼女霞子に続き、今度は脳内妹か。このとんでもなさ、また展開のシブいというかしょっぱいところ、それも好きなんですが、ほんと、連載にするか、このまま不定期ゲストのまま単行本にするなどしてほしいと思っています。この漫画は、ほんと仲間うちで脳内といえば彼女と続くくらい、しっかり浸透してしまっていて、それはつまりはこの漫画の実力ゆえと思うんです。

My Private D☆V、『inote! — アイノテ!』の夕仁であります。いやあ、実にわかりやすいものがきましたよ、そう思ったら、いやいや、これはあえてわかりやすいものを出してきたというわけか。誌面に載せられないようなものがあるらしい。それも108もあるらしい。ということで、かぜとぱんつ、なんだそうです。かくしてイラストもかぜとぱんつ。けど、変にいやらしさを強調したようなところはなく、素直な絵、いい絵だと思います。いや、これも誌面に配慮したのかな? この人の描く絵は、素直さ、ちょっと素朴なところもある、それが魅力だなあ。そう思わせるイラストでした。

ところで、このイラストで気付いたんだけど、って私の性癖を書いてもしかたないか。といったわけで、また来月!

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第1号(2011年1月号)

2010年12月10日金曜日

『まんがタイムきらら』2011年1月号

『まんがタイムきらら』2011年1月号、昨日の続きです。

『チェリーブロッサム』、部活ものの定番展開がきましたよ。合宿をするよっ! おお、合宿! でも、なんで園芸部で? という根本的疑問を残しながらの本編。単純に遊びたいだけの先輩たち、しかも顧問まで、この素直さ、実に素敵でありますよ。しかし今回の見どころは網島先輩かも知れません。脳筋といわれてきたこの人、実はかなりの箱入りらしく、さらには携帯電話を持っていない。どう見ても興味津々、けれどその気持ちをあらわにしない。その様子、ものすごくよかったです。

さて、今回は主人公日吉の妹、沙咲野が登場。なんだか危険な匂いのする妹で、しかしこの漫画に出てくる女性、みな、そろいもそろってなんかやばいよな。で、妹、合宿に参加。いかす! なんか兄さん、酷い目にあいそうね!

『少女公団アパートメント』、今回はお泊り、よってパジャマパーティー。いやあ、扉のちさが可愛くて、もう、勘弁してください。生きるのがつらくなりますから。しかし娘4人のパジャマパーティー、にぎやかで楽しそう、といったら確かにそのとおりなのですが、みな驚くほどに自由で、芦花はいつもどおりに元気、さくら姉はというと、いつもどおりにあぶない感じです。もう、あのまくらとかさ、もう、実にあぶなくて最高です。しかし、みな仲がよくっていいなって思います。で、なんだかどきどきしちゃったりとかね。実によいと思います。

『うちのざしきわらしが』、サンタの皮かぶった人さらいって、トントン・マクート? ともあれ、この漫画においては、ざしきわらしを狙う夏子でありますね。あの手この手でさらっていこうとする。加減のきかない娘、しかしこの子、光にえらいこと怒られるわけですが、この光の怒りのスイッチ。オンになった時のきびしさっていうのが実に面白くて、なんといっても教育内容が理不尽。それまではむしろ夏子が理不尽だったのに、一気に立場が逆転するっていうのが面白かったのですね。しかし、ざしきわらしが、ざしきわらしとしての能力うんぬんで活躍しない漫画。ああ、『きらら』系列誌におけるざしきわらしとはそうしたものなのかも知れません。

三者三葉』、なんかすごく印象的な回でした。なにかの転換点とでもいったらいいのでしょうか。葉子様は山路に感謝の気持ちをあきらかにするわ、かといえば葉山ちゃんが猫で必死という描写、なんだろう、いつも以上に可愛げがありゃしないか!? いや、ほんと。猫の恩返しにもんもんとしてる葉山ちゃんとか、ものすごく可愛いし、それに山路に対してお願いする時なども、えらい殊勝だしで、え? やっぱりこれ、なにかの転換点? 娘三人ともに、えらいこと可愛らしくなっちゃってたりしやしないかと、驚いている次第です。

しかし、なにかテンション高めというか、テンポもとてもよくて、実によい回でありました。面白かったです。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第1号(2011年1月号)

引用

  • 茶菓山しん太「チェリーブロッサム」,『まんがタイムきらら』第9巻第1号(2011年1月号),49頁。

2010年12月9日木曜日

『まんがタイムきらら』2011年1月号

『まんがタイムきらら』2011年1月号、発売されました。表紙はクリスマスであります。『天然あるみにゅーむ!』の面々がサンタクロースのコスチューム、といいたいが、なんだ、ひとりだけどてらじゃないか。というか、見ればひとりひとり衣装が違っていて、それがただデザインが違うっていうんじゃなくて、その色合いなんかから違う。ああ、なんだろうこの持ち寄り感。いや、持ち寄り感を強めてるのはどてら娘だと思うのだけど、これが不思議と身内感感じさせて、アットホーム! であります。

『Rainbow Starbow』、新連載であります。音楽もの、しかも同人音楽を扱った漫画でありまして、ちょっとなんだか不思議な感じもしないでもない。でも、これもひとつの音楽活動のあり方ということで、ちょっと興味深いなと思わされます。クラスの友達に誘われていったライブでのこと、ステージの上のあの人となにか繋がった気がした。その興奮がヒロイン美咲を駆動する、その感覚がよかったです。しかし、これはまずはファンとしての活動があって、そしていつか自分たちも歌い手、作り手になろうというような展開するのかな。いや、今はあえてなにも思わず、予想せず、ただ描かれるものを見ていきたいと思います。

『スマイル・スタイル』、ゲストです。とりあえず作者の名前がいかします。筋肉☆太郎。ええーっ! なんか『辣韮の皮』などちらりと思い出しながら、カラーページ、漫画を見てまたええーっ! ですよ。可愛い絵です。ちょっとシンプルな感じ。けどそのシンプルさ悪くないなって思って、読み進めれば面白い。半端な時期に入寮してくる女の子。この時期に転校って珍しい。なにか訳有りだろうか、との妄想が暴走してえらいことになってという冒頭、いやいや面白かった。実はちょっとスロースタート気味かなと思ったんですが、そんなことはありませんでした。ジャンルとしては百合ものでいいのかな。女の子が好きな女性が出てくる。けど、決定的に百合的展開でいくというわけでもないようで、ヒロインはそうと誤解されているだけ、という模様です。でもって、最後の最後の落ち、ずっとここまで引っ張ってきたヒロインの名前、ああ、なるほどね! これはいい落ち、一発で名前を覚えてしまう。実に効果的と思いましたよ。

『さつきコンプレックス』、これ素晴しい。いや、違った。ゲストです。セーラー服、美人のお姉さん、ほーら早く起きないとチューしちゃうぞ、まあなんてこと! と思ったら、あら、兄貴なのですか。うん、とてもいい。微妙に挑発的、でもって弟にべったり。そのお兄さん、皐月は男ながらその可愛さで大人気という、けれどその様子にちょっと面白くない弟とか、その面白くないっていうの、ああ、すごくよく伝わってくる。お兄ちゃんが他のやつらに笑顔振り撒いたりするのが嫌だっていいましょうかね、もうえらいこと強烈に作用するものだから、いやもうこれはいいですよ。面白いです。続き、ものすごく楽しみです。

『狸と狐の化け合戦』、ゲストです。かいつまんで説明しにくいな。校内で出会った狸は知り合いの八島だった。同じく校内に潜んでいる狐と化け合戦をしているという狸に付き合って校内をさまよう日向だけれど、完全に飽きている、完全に疑っている。昔から狸は少々ぬけたところがあるみたいにいわれてきているけれど、実際これもそんな感じで、じゃあだったら狐はどうかというと、こちらもそれなりにぬけてるっぽいですね。でもって、合戦っていうの、仲が悪いわけでも争ってるわけでもなくて、なんだかいちゃいちゃの延長みたいで、そりゃあこんなのにつきあわされてたと知ったら日向も怒るわ。全体にローテンションというか、決して大人しいわけではないのだけど、全体にあえて抑えてるような感じがあって、そのテンション、とりわけヒロインのテンションがよかったと思います。

以上、今号の初登場作でした。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第1号(2011年1月号)

引用

  • シュガー「さつきコンプレックス」,『まんがタイムきらら』第9巻第1号(2011年1月号),109頁。

2010年12月8日水曜日

セラフィム — 2億6661万3336の翼

 今敏氏が亡くなって、あちこちから惜しむ声が聞こえてきて、テレビでは『パプリカ』が放映されて、しかし私は氏の生前に、氏の作ったものにはほとんど、まるでといっていいほどに触れていませんでした。いや、まったく知らないと思っていたのです。それくらい身近と感じてなくて、けれどアニメでいうと『パーフェクトブルー』、これ、劇場で見てました。そして、『セラフィム — 2億6661万3336の翼』。これ、『アニメージュ』で読んでました。ああ、そうか。知らずとも、触れていたのか。そうした思いに氏の存在の確かであったこと、思ったのでした。

氏が亡くなったことをうけて、未完の漫画が出版されることとなった。そうした報を聞いた時、私はまさかその漫画を知っている、ましてや読んでいたとは思っていなくて、どういった漫画なんだろう、そうした興味を持ったのでした。しかし、伝え聞く内容になにか引っ掛るものがあって、天使病というキーワード、もしやと思わせるものがあって、いろいろ確認してみれば、ああ『アニメージュ』で読んでいたあの漫画だ。

『セラフィム』は、天使病と呼ばれる謎の奇病が蔓延し、人類は滅びに瀕している、そんな時代を舞台にして描かれた、近未来もの。カテゴリとしてはSFであり、しかしファンタジー寄りという印象です。天使病の鍵を握る少女セラを伴いユーラシア大陸奥地へと向かうWHO審問官たち。その男たちにも過去があり、すなわちドラマがあり、また道中が安全快適であるはずもなく、妨害にあいながらも危機を切り抜け目的地に向けて歩を進める。

残念なのは、この漫画が未完であるということです。私は、この漫画の結末を知らないのは『アニメージュ』の購読をやめて、連載を追うことがなくなったからだと思っていました。けれど、単行本を読んでみてわかった。私は、連載が中断するまで『アニメージュ』を購読していました。単行本に収録された最後の話、その内容、断片的ながらも覚えていたのですね。1994年から翌1995年まで掲載されていた漫画、今から15年も前の漫画であるというのに、断片断片が記憶に残っている。単行本で読み返す以前に思い出せたことは、天使病、その病により変形した体、そしてシューマン共鳴という言葉(いや、私はそれをシューマン曲線と誤って覚えていたのだが)でした。暗く陰鬱な漫画、内容は重々しく、けれどすごく訴える力を持っていた。ゆえにその印象は私のなかに跡を残して、だから中断したことを知っていたはずなのに、その先を望んでしまっていたというのでしょう。

単行本には、もしかしたら中断した時点以降のプロットなど載りはしないだろうかという期待もあったのですが、それは残念ながらかないませんでした。できるなら、この先の物語を知りたい、読みたいと思うのだけれど、それは到底叶わぬことでしょう。原作、後に原案となった押井守は存命だけれど、そのクレジット変更が示しているのは、『セラフィム』の物語は押井守の手を離れ今敏の物語となってしまっていた、ということであるのでしょう。だから、もしこれから先『セラフィム』の続きを知ることができたとしても、それはこの漫画の種であった押井守の『セラフィム』であり、今敏の『セラフィム』ではないのですね。

もし今敏が存命であったとしても、この漫画の続きが読めることはなかったと思います。だから、ないものねだりをしているに過ぎない。それはよくよくわかった上であえていいたい。セラたちの旅、それはいったいどういうものであったのか、どうした未来に向かっていたのか、それが知りたかった。無理とわかっていながらそう思わずにはおられない、それだけの魅力を放っている漫画であるのでした。

2010年12月7日火曜日

『まんがタイム』2011年1月号

『まんがタイム』2011年1月号、発売されました。表紙は『おとぼけ課長』、これは紅白歌合戦を意識してるんでしょうね。派手な衣装、マイク片手に歌っている。あのまぶた、ちょっと眠そうというか、あの表現は美川憲一を意識してのことでしょうか。しかし、今年は氏は紅白に出ないんですよね。小林幸子だったらごめんなさい。紅白的カットは『わさんぼん』のヒロイン3人も。こちらはPerfumeなのかな? いや、自信はありません。

『ソフテン!』、新連載です。ええと、四コマじゃなくてコマ割り漫画。ソフトボール部の話で、それはいいのだけれど、部員が皆個性的というか、正直異常。スカートはいて打席に立つ。バットでなくて木刀持って打席に立つ。おちょくってるとしか思えない。まともに試合できたためしがない、というような部なんですが、それでもこのメンバー好きだけどとかヒロインがいってる。ええー、あんたみんなでまた地区大会行きたいとかいってるけど、それちょいと矛盾しとらんか。まともに試合が終わったことない、不成立がほとんどなのに地区大会もなにもないもんだ。それこそソフトボールやりたいっていってる人間が、あんなに不真面目なメンバーになんとも思わんのかいな。自分やったら怒り狂って暴れとるぞ。などなど、思うところはいろいろあって、つまりちょっとネガティブスタートです。こういう状況からプラス方向にいくと、その落差でもってよりよいように感じたりするから、つまりはこれからどうなるかで評価、感想、がらりと変わる。そういう余地があると思っています。

『華園の微男子』、ゲストです。ついこないだまで女子校だった華園学院に入学することになった山吹ケント。しかし、男子は裏門から登校する決まりなど、とことん男子の扱いが酷い。待遇改善の交渉するも、前任者が病んで失脚。よってケントがその交渉にあたることとなって……。なんといいますか、『まんがタイム』も変化していくのだなあと、あらためて実感する思いでした。こういった設定、多分『きらら』系列誌で読んだらなんとも思わなかったと思う。けれど『タイム』で読むとこんなに印象違って感じられるのかと自分自身驚いていて、なんといいましょうか、『タイム』読む時の軸足はかなり現実寄りであるのだと自覚しました。とりあえず第1回は冒頭も冒頭、導入に過ぎず、だから残る2回分、そこで自分自身の感情も含めて経過を見ていきたいと思います。たぶん、きっとすぐ慣れます。

『サビちゃんをヨロシク!』、30年の記念企画であります。30年後はどうなってるんだろうっていうの、ああ、30年たつとサビちゃんも32歳かあ。あたりまえだけどさ。子供がいる。結婚してるのだろう。しかし誰と? りちぎくんかと思ったら、違ってて、しかしりちぎくんはいいなあ。なんで所長と一緒に暮らしてるのだろう、サビちゃんは誰と結婚したんだろう、謎はあるけれど、それを残すところ、よかったですよ。

『極小刑事ミニさん』、ゲストです。刑事課極秘重要人物のもとで働くこととなったヒロイン楠瀬巡査。その人物とは、ポケットサイズのミニさんだった。突飛な設定もこれくらいになると平気だな。というか、不条理に権利が侵害されてる感がないから平気なのだろうなと思います。面白かったです。あの縄で吊されてるのとかね、シリアス展開に思わせてそうじゃないというの。思わせてはずす、そうした見せ方、悪くなかったですよ。でもって意外に強いヒロイン、なかなか頼もしくていいじゃないか。ええ、好感持って読みました。

  • 『まんがタイム』第31巻第1号(2011年1月号)

引用

  • 板羽皆「ソフテン!」,『まんがタイム』第31巻第1号(2011年1月号),38頁。

2010年12月6日月曜日

『まんがタウン』2011年1月号

『まんがタウン』2011年1月号、発売されました。表紙は『鎌倉ものがたり』、連載300回を祝う表紙であるのですね。鎌倉の海岸に妻亜紀子と並んで立つ一色先生。これは散歩なのでしょうかね。夕方でしょう、赤く染まった空。手前に伸びる影。お祝いの、記念の表紙としてはずいぶん大人しい、そんな絵であるのですが、むしろそうした落ち着きこそがこの漫画には相応しい、そんな気もするんですね。右下のすみには、今月からはじまった連載『SHIN-MEN』のカットもあって、やっぱり『クレヨンしんちゃん』の存在感、この雑誌には欠かせないのだろうと実感させられます。

そんな2人のMyホーム』、ああ大きな山でした。この漫画は、特にここしばらくの展開は、輝が深い喪失感から抜け出すまでの、ふたたび歩き出そうというまでの様子を描いていて、しかし今回は圧巻でした。学生時代の輝の彫刻、あのとげとげしいオブジェ、あれが描かれたのは、輝の変化を明確に見せるための布石なのでしょうね。母校で出会った学生たち。彼らの言葉が思い出させたこと。ああ、涙が出る。この石に向けられた思いの行く末はなにであるのか、もう目が離せないですね。

『無敵なおかん』、おお実にいいじゃないですか。大阪からやってきたおかんと同居することになった。これまでは、同居、嫌だわ、みたいな色がありましたけれど、今回はおかんから学べるものは学んじゃおうっていうそういう態度が見えて、よしこさん、いいじゃないか。もちろんギャップはいろいろあって、地域のギャップ、でいいのか? 炭水化物だらけの食事とか、そしてセンスのギャップとか、そういうのはあるのだけど、仲が悪いわけじゃないんです。そういうところがよかった。しかし、祖父母の孫に対する甘さ、これは問題だなあ。ほんと、この漫画がというよりも、身近な例を見ていてそう思います。

光の大社員』、北海道の型抜き、これいいなあ。北海道のかたちは、実際ブランドとして確立してるレベルだなと実感させられる話でしたよ。しかしこの漫画は、キャラ固有の定番枠を作って、それをマンネリにせずに展開していて面白いです。忍法全書だとか、よくこんなくだらないこと思い付くな。で、それが面白いんですね。今回はすずなさんの迷い、ちはるさんの怒り、なんともいえず素晴しかったのですが、気にいったのはあの彫刻だったりします。あれ、実際に作ってしまったら、しっかり芸術として成立させられそうな気がするんです。誰か作っちゃくれないものかって思いましたよ。

『みねちゃんぷるー』、雅が退院です。もうちょっと入院してるのかな、って思ったのですが、やっぱり盲腸だから退院はすぐですね。でもって、策略練っていた峰。これには驚いた。単刀直入、いつもまっすぐなあの子が、こんなにもいろいろ考えて立ち回るだなんて! そうかあ、成長なさったなあ。感慨にふけってもしかたないんですが、峰の策略があり、そしてわかばが雅の側について事態は混迷を深めていく……。これは面白いな。しかし、雅、もてもてだな。いや、そりゃそうだろうな、可愛いもんな。

  • 『まんがタウン』第12巻第1号(2011年1月号)

2010年12月5日日曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年1月号

『まんがタイムジャンボ』2011年1月号、昨日の続きです。

『輝け☆星の川高校自由形』、3回ゲストの3回目です。水泳部の話。プールサイドに集まって、全然泳いでない部員たち。そうした状況に対し怒る翼ですけれど、そういう態度にやんわりと注意する姉双葉。ああ、いいお姉さんですね。当の部員たちは全然そんなこと思っちゃいなかったっていうのですが、姉の言葉には説得力があって、責めるでもなく、けれどしっかりと翼に届いて、これまでの態度をあらためさせた。いい流れだったと思います。って、その後がまたおかしいのですけどね。乙女の鼻血、いやあの献身的な言葉にはぐっときました。いい子じゃないか。でも、腰洗い槽で3回、って、あれでどうやったら溺れられるんだ! 実にナンセンスであるのです。けれど、そうした中に見せどころが作られている。おのずと話にめりはりができて、面白かったのですね。

クリスマス特別企画「男女逆転!?とりかえばや4コマ」だそうですよ。『レーカン』、『中2限定!?ガールズトーク』、『でり研』、『はなな大増刷!!』、『太陽くんの受難』、『おねがい朝倉さん』、『秘書メロ♪』、『あおいちゃんとヤマトくん』。それぞれの登場人物の男女が逆転しましたという、セルフパロディですね。しかし面白い。『レーカン』はヒロイン天海の性別を転換させた上で、ちゃんと井上で落ちをつけている。意外や、いつもどおりであるのですね。この他の漫画にしても、性別のひっくりかえされたメインキャラたちが、性別変わってなおいつもどおりであったり、あるいは変わったからこそのネタであったり、工夫されてて面白かったです。しかし、どれについても思ったのですが、キャラクターの個性というものがしっかりとできているからでしょうか、仮に男女逆で話を作っていったとしても、どれもきっちり成立しそうと感じさせるんですね。しかし、男の子が女子化することで、えらく可愛くなるものだな、そういったところが気になって、『はなな』オタ子ちゃんとか、『太陽くん』前田陽子とか、かなりいかしていると思います。ああ、道理で男の娘というのがはやるわけだ、なんてとっちらかった感想なども持ったのでした。

『ボクん家の隣の芝生が甘い理由』、ゲストです。勝手な姉、楓、雅、聖にふりまわされる弟浩四朗。強い女性に囲まれて頭のあがらない彼にとって、幼なじみ、隣に住んでいるかのこが癒しであるらしい。なるほど隣の芝生が甘いとはこういうことなのですね。美人の姉3人にかわいい幼なじみ、友人たちからは羨ましがられる。けれど当人としては、ちっともいいもんじゃないよって。いえね、幼なじみにしても、なんでか弁当のおかずがお菓子のような味付けで、なるほど甘いとはこういう意味でもあるのか。女性たちに手を焼いて、困りながらも、それでも嫌ったりなんてありえない。そういったところ、よく飼い馴らされた弟であります。

『9時5時モンスター』、ゲストです。魔物の働く会社に間違って入社してしまった佐倉尚。同僚は雪女と狼人間。社長は鬼、そしてもうひとり謎の社員がいる模様。魔物の会社ということは秘密らしいのだけれど、その秘密を守ってくれるなら新人が人間でも気にしないという、わりとフランクな会社です。魔物やら妖怪やら、そうした人間以外のコミュニティに人間が入り込んでいくというのは、わりと見かけるものでありますね。こういうのは、人間でない登場人物の描写、それがどれだけしっくりくるか、不自然に、ぎこちなくならないか、というのが肝と思うのですが、若干まだうまくまわってない、そんな気がして、けれど4人目の社員が謎であるところから見ても、まだもう少し続くということでしょう。そこでどういう風に展開して、まとめられていくか、それを見守りたいと思います。

『ハニーバニー』、ゲストです。主人公の彼女、桐生コトミは超がつく程の無口。そして無口なだけでなく、結構辛辣。手をつなごうとしてもぴしゃりとはねつけられる。手にしている本のタイトルで、また表情の変化でもって、彼氏を厳しくコントロールしてる。とまあ、こんなにも手強い彼女なのだけれど、好きは好きであるのだな、そうした大事なことは言葉でもってちゃんと伝えて、けどやっぱり態度は厳しくて、このアンバランスさが売りなのでしょう。ツンデレの一種といっていいものか、そういったものに思えます。

『あまぞねす?』、のっけから面白いです。姉の会社で、お手伝いという域を超えてバリバリ仕事している楓。彼女の普段の様子が描かれるのですが、その冒頭にて今まで心のどこかで疑ってる自分がいたんだよねあんな小学生いないだろ。これまで、これは漫画ということで納得させられてきたスーパー小学生の存在が、非常に一般的な常識でもって覆ろうとする、そのひっくり返し、混ぜっ返しが面白かったんですね。本編の、楓追跡から小学生の日常に迫るところ、楓とその友達のスケジュールとかですね、似てるところがあればちょっと違うところがあるとかね、あれはよかったですよ。そして、会社の皆が楓の小学生としての生活について心配しているっていうのがね、よかったのでした。仕事においては部下であり、あるいは先輩である楓だけど、皆、姉として、姉のように、気持ちを注いでいるというのがわかるという、それがすごくよかったのですね

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第1号(2011年1月号)

引用

  • 早野りんた「あまぞねす?」,『まんがタイムジャンボ』第17巻第1号(2011年1月号),173頁。

2010年12月4日土曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年1月号

『まんがタイムジャンボ』2011年1月号、発売されました。表紙は、パーティをテーマに、ケーキつくる『じょしもん』美々、鶏を焼いている『でり研』海原、オードブルを運ぶ朝倉さんにつまみ食い? 神田。そして、プレゼントをバスケットにいれて運んでる? 『レーカン!』天海であります。

『はなな大増刷』は、前回の話の続きですよ。郁子の学生時代の部誌、こいつを千花に見せようというのですね。ファンタジー、ギャグ、少女漫画の3ジャンル構成。漫画それぞれのできにも感心して、また感動させられて、その作者のひとり、蔓薔薇乃姫巫女、ああ、誰かわかった気がする。なんか先がものすごく楽しみになってきた気がする。いやもう、これはどう考えても、今後身ばれしますよというフリでしょう。それでもって、はななたちも部誌を作ろうと動きが出てきて、そして全員参加となって、これはすごくいい。あの、小説でもいい、できることをやればいいっていうの、これがとりわけいいですね。もう楽しみです。部誌も、それから身ばれも、どちらも楽しみです。

『でり研』、おおお、田尾ちゃんじゃないか、田尾ちゃんじゃないですか。これは驚きました。以前、連載化する前に描かれてた『OHでりしゃす!!』、それがこういうかたちで繋がってくるだなんて、思いもしませんでしたよ。そうかあ、田尾さんがでり研を創立したのか。なるほどなるほど、これはなんだかいろいろ期待させるものがありますね。そして今回は浦飯屋の自宅へいくんですが、寺の本堂で宴会、これってそんなに罰当たりなのかな。どうなんだろう。普通に本堂で食事して、レクリエーションして、みたいなこと昔やってたから、意外とピンときません。そして話は海原の過去、そして田尾の過去に向かって、ああこういうことがあったのかと思わされました。でり研っていうのは、みんなでご飯を食べるとおいしいねっていっていた、それはただ食べる楽しみを求めるだけでなく、寂しい人があったら、その救いになろう、そうした気持ちがあったのですね。ああ、なんだかいい感じ。実にいいなって思いました。

ここでちょっと短かめに。

『天文むすめ』、クリスマスの天文部。ああ、制服のすばるが可愛い。すごく可愛い。凛々しい女の子、それもジャージ装備とか! 大好きです。クリスマス、グリーンクリスマスっていうのははじめて聴きました。しかし、常識人のすばる、いいですね。そして度を過ごした織姫。ああ、いいですね。ちょろくって。うきうきとして、そういう様子もいいですね。そしてホワイトクリスマス。ああ、この展開、面白いな。レティクルの強烈なポジション。実に生きていると思います。

『パドラーズハイ』、なんかすごくプッシュされてるみたいですね。単行本は出る、まんがタイムWeb他でトレーラーが配信されてるなど、実に心強いです。さて今回はのんびりツアーラフティングです。練習じゃない、ハードじゃない。しおっちへのサービスだそうだけれど、こうして穏やかにラフトを出して、景色やら川での遊びやら楽しむというの、こういうのもよさそう。見ていて、すごく楽しそう。ラフティングはスポーツで、それはそれは激しいハードなものだけれど、それだけがラフティングの魅力じゃないよっていってるみたいで、そういったところもよかったです。

ああ、全然短くならなかった。

『コミカプ』、最終回でした。漫画家の幸せってなんなのだろう。そうした話、以前に話されていましたが、それに対するこたえ。チーちゃんのこたえがあり、そしてういちゃんのこたえがあり、ひとりひとりが自分にとっての幸せってなんだろう、思い悩み迷いながら前へ前へと歩を進めているのだな。ただ売れることが幸せではない。うまければそれでいいわけでもない。与えられた場で、目の前に現れたチャンスを掴むべく、ベストを尽して、その結果がどうなるか。試して挑んで、そして掴みとれたという実感。これまで紆余曲折の描かれてきたふたりだから、なおさらその実感、チーちゃんの幸せというものが伝わってきた。そう思うのですね。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第1号(2011年1月号)

2010年12月3日金曜日

『まんがホーム』2011年1月号

『まんがホーム』2011年1月号、昨日の続きです。

『そよ風そよさん』、ゲストです。そよ風の擬人化? 小柄な割烹着お嬢さん、そよさんが風に吹かれてそよそよと空をゆく漫画です。ほのぼのとして可愛くて、また出会う人たちとの交流の風景も悪くない。皆から可愛がられる、人気もののそよさん。そよさんもまた真面目というか、人助けしてみたり、お礼されてみたり。おかしさ面白さというよりも、優しさ穏やかさが売りでしょう。読めば、気持ちもやわらぐようで、なかなかによいなって思いました。

『横浜物語』、お隣さんがすごく可愛いな。ちょっと挑発的な目、ひっつめ髪で眼鏡をかけてた派遣時代とはまったく違った雰囲気。明るくて、笑顔もえらいこと魅力的。華やいだ娘さん。この人の攻めの姿勢とでもいいましょうか、前へと進んで、押してくる、そうしたところは少しおそろしくて、けれどすごくひきつけられるものがある。いいですね、この気持ちひっぱられる感じがよいですね。

『ゆとりの手もかりたい』、なんかすごくいい話で驚いた。いや、驚く必要なんてまったくないんですけど。お嬢様8歳のころのクリスマス。同い年で働いてるゆとりには驚きですが、メイドでありながら友人ともいえるゆとり。いいですね。サンタクロースがこないことに憤慨するゆとり。あいつは執事でいいのかな、お嬢様のためにゆとりにサンタになれという。この、お嬢様を喜ばせたいという皆の気持ちがよければ、またゆとりの用意したプレゼント。そのささやかさ、けれど気持ちはたっぷりというのがよかったと思います。そして、その気持ちを受け取って大切にしているっていう、そのお嬢様の気持ちもまたよかったです。

さて、このあたりから最終回が続きます。『おきらくママ』、『あんよ♥』『カフェDEびじん』が終了。ああ! このあたりの漫画、結構好きだったから残念です。ふるきよき、といったら問題あるかも知れないけれど、懐かしい四コマ漫画の雰囲気をよく残してくれていて、ああ四コマ誌を読んでるなという気分になれる、それがよかったんですね。『おきらくママ』はまさにファミリー系四コマ漫画って感じで、長く続いてきたのだけど、ずっと好きだったなって、最終回を迎えた今、これまでを振り返って思います。そうかあ、四コマ誌も変わっていきますね。当然ですが、変わっていきますね。

  • 『まんがホーム』第25巻第1号(2011年1月号)

2010年12月2日木曜日

『まんがホーム』2011年1月号

『まんがホーム』2011年1月号、発売されました。表紙はクリスマス、『らいか・デイズ』、らいかをメインに、『笑って!外村さん』、『ミライカナイ』、『夫婦な生活』、それぞれがサンタクロースの格好をしていて、そして新連載『孔明のヨメ。』とゲスト『そよ風そよさん』のカットもございます。

さて、今月号は特集ページ、僕が「竹田くん」だった頃。男性作家5人に、子供のころを振り返ってもらうというエッセイ企画であるのですが、これが面白い。木村和昭氏のヒコーキ少年だったというイラストに見えるUコン。なんと、これってそういう名前だったのか。その存在は知ってたのですが、エンジンで飛ばしていたんですね。遠心力で振り回す、グライダー的なものだと思っていました。さて、皆それぞれにやんちゃだったり運動苦手だったり、あるいは漫画に夢中になっていたり、そんな少年時代。なんだか、妙に共感するところあったりして、それがよいんですね。運動神経に劣った私は、常に動いてるフリしてましたし、漫画のヒロインのそういった場面に心動かされた少年は多かったことでしょう、私もそうでした。しかし豊田アキヒロ氏、どんなやんちゃ少年だったのでしょう。いや、ほんと、他人事とは思えないのが不思議です。

『孔明のヨメ。』、新連載です。諸葛亮の妻になる黄月英がヒロイン。この人、なんかいろいろ発明したりしてたっていう伝説みたいなのが残ってるそうですけど、ちょっと変わりもので、あんまり美人でなかったっていう伝承を、うまいことアレンジして、そりゃ当時の人からしたら美人でないかも知れないが、今じゃ結構いけてるよね、そんな風になってるのがナイスですよ。いえね、この人、あんまり美人じゃなかったはずだよね、そう思いながら読み進めていたら、ちゃんとそのへんすくいあげられていて、やられました。月英はキュートで、三国志ものであるけれど、三国志の知識がなくとも楽しめるだろう。そうしたところ、とてもよいと思いました。

『紫乃先生〆切前!』、タイトルが変わりました。以前の『美録(美は○つき)』は、こうしてBlogに書こうという時にうまく表現できなくて、丸美と書くかどうか迷って丸なしにしてた。そうしたことを思い悩む必要がなくなったのは少々ありがたいです。さて、今回はパーティでの状況です。見た目だけの作家だと陰口たたかれる紫乃先生。しかし、この人も負けてない。あの、エステをがんばるっていうような発言、こういうの見ても、ああ紫乃先生はずれてるなあ、みたいな感想はまるで出てこない。むしろしたたかさを感じさせて、そうした食えない人たちの話になっているところが面白いです。それは鶏野唐揚子さんも一緒、そして今回のパーティの主役、赤染先生も一緒。この、ろくでもないことばかりいってやがる、そんな人たちの食えなさ、どんどんこうした連中が出てくるんだろうか、そうだときっと面白いなって思っています。

『まりかちゃん乙』、めんどくさい子だな。もう、ほんと、つくづくめんどくさい。しかし、このめんどくささがあるからこそまりかはまりかなんだっていうのは、これまでにも描かれてきたことであって、しかしそれにしても今回のまりかのめんどくささは堂に入っていましたよ。話してめんどくさい、行動してなお面倒くさい。もうー、この子はー、そう思う気持ちも無視できないほどで、けれどやれやれ困った子だ、しかたない子だねと思いながらもそこにおかしみが生じてくるのはまりかの人徳なのかも知れません。そしてまりかの反省、この子は自分で自分のことちゃんと見てるんだな。わかっていながらとめられない、そんな子なんだなって思えて、そして友人への感謝の気持ちを素直に表現する。よくもわるくも、この率直さ、素直さがこの子の個性で魅力なのだなって思わせる回でありました。

  • 『まんがホーム』第25巻第1号(2011年1月号)

2010年12月1日水曜日

お願い神サマ!

 この漫画が単行本になる日を楽しみにしていました。『お願い神サマ!』。『マリア様がみてる』的タイトルを持った漫画、『アリマさんが見つめてる』に憧れる女の子ふたり、綴原柚梨子と夏目実優の友情の物語。いや、友情じゃないかも知れない。もっと深い思いをめぐる物語じゃないか。いや、もっとおかしななにかだろう。その現れ、感じようはいろいろで、この多面であるところ、それもこの漫画のよさなのだろうな。単行本で一気に読み返してみて、そうした印象を強めたのでした。

この漫画をはじめて読んだ時の印象、いまだに覚えています。カラーページ、すごく美しい絵。淡い色合い、暖かみ感じさせるその誌面にみせられて、一気に好きになったのでした。漫画は、強烈に面白さを叩き込むようなことはなかったけれど、じわじわと面白い。互いに憧れているふたり。けれど、思いをなかなか伝えられない。憧れのシチュエーション、自分でもやってみようと思うのに、なかなかそれが叶わない。その時々の照れて、恥ずかしさでいっぱいになって、うまくいかなくて落ち込んで、その様子は可愛らしくて、いじらしくて、そしてなにより面白い。もう、おかしくって、なんだか笑ってしまって。そうした面白さは読むほどに強化されていくものですから、連載を追って1年たった今では、はじめて読んだ頃よりもずっとずっと面白さを強く感じるようになっていて、もう頭っから終わりまで、おかしさにあふれて大変でした。

しかし、だんだんに面白くなっていくっていうの、それは柚梨子、実優ふたりともの暴走といいますか、それがものすごいことになっていくからっていうのもあるんですね。あの、夢の回、いや実際には夢じゃないのですけど、思い描くD☆Vを今こそ! この時はもう強烈でした。ああ、この人たちから照れというリミッターを取っ払うとこんなことになるのか。シャルーン! 好きなだけ呼びじゃくリーンヌ。もう転げまわりそう。どうしても笑ってしまうものだから人前で読んじゃいけないものってありますけれど、『お願い神サマ!』もまちがいなくそうしたもののひとつであります。もう本当、最初は折々に笑いが漏れるといったところが、後半になると大崩壊。ああ、これはひとりで読みたい。思いっきり笑って、そして、彼女らの友情、気持ちの触れ合う様に心動かされたい — 。

ええ、面白いだけじゃないのです。時に心動く。泣き笑いにさえなる。そうした不思議と深みのある漫画。多面的で、それが魅力となっている。そんな漫画です。

余談

ふたりが文具店にいく回、一番最後に収録されている回、これは『まんがタイムきらら』2010年11月号にゲスト掲載された回で、そう、『きらら』に掲載されたことから、その前月に最終回を迎えた『けいおん!』のパロディがあるんですね。このパロディは、今のこの時期にこそ読まれて欲しい、そう思っていたものだから、こうして第1巻に収録されたこと、すごく嬉しく思っています。

  • 守姫武士『お願い神サマ!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊

引用

2010年11月30日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年1月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年1月号、昨日の続きです。

『平成生まれ』は、扉のインパクトが素晴しいな。大きな文字、下の方、ちんまりと、なんか頑張ってるっぽい佐藤。これはいいな、すごくいい。どうもこういうの、好みであるようですよ。でもって内容は、これはもうどうにも盛り上がらない、そんな漫画なんだけれど、読んでるとじわじわと面白くなってくる、気がします。私には、中川原田組が面白くて、どうにもこうにもちょろい中川、彼女がまるめこまれている。それがなんだか面白いんですね。

『ちはやとまお』、最終回です。寒い日にアイスクリーム食べて震えてるまお。ちはやにいわれてコタツを出して、あたたかくして、アイスを食べたり、うたたねしたり。ああ、もう、仲のいい姉妹です。で、これが見納めかと思うとちょっと寂しくて、けど漫画にはそういった寂しさ、湿っぽさはなかった。それがありがたいと思ったのでした。あくまでもいつもどおり、ちはやの誕生日だからといって、なにか大きなイベントごとにしたりはしなくて、けれどちゃんとまおはちはやの喜ぶことわかってるんですね。この漫画は、ゆるくてふにゃふにゃな絵柄、それも魅力でありましたが、ところどころにある気合いの感じられる絵、ああふたりとも美人さんだなあ、そんなところも魅力でした。好きな漫画でした。ちはやが、まおが好きでした。ふたりの仲に、ずっと憧れのような思いをもって読んでいました。

『料理のまみむめも』、今回はおまんじゅう。しかし、よいですね。キャラクターにはめりはりあって、絵からも、個性づけからも、大変わかりやすくできています。でもって、わかりやすいからといって、既存のパターンどおりに作りました、みたいな感じはないんですね。独特の味があります。作者の個性といっていいんだろうと思います。絵にも見せかたにも、それぞれちょっとずつ引っ掛かってくるものがあって、その引っ掛かりが心地いい。手応えというか読み応えというか、読んだ時にしっかり残る感触があるんですね。それでいて、漫画はすごくすっきりと仕上がっていて、絵、見せかた、展開のどれも、きれいにまとまって、けど小さくなってはいない。すごくいいですよ。今回は、料理に打ち込んで集中してる友人をそっと見守ってる、あそこ。一生懸命な様子もよければ、邪魔しないように見守る様子もいい。その見守ろうという気持ちを汲む、そうしたところもとてもよかったです。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第1号(2011年1月号)

2010年11月29日月曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年1月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年1月号、昨日の続きです。

『商店街ヘルズゲート』、しっかり話が動いてきています。悪魔の佐谷、商店街の会長をしているというのですが、その仕事ぶりが描かれまして、いや、ほんとちゃんとした会長さん。人間の世界の常識にはちょっと欠けてる、そんなところも描かれてるけど、仕事してる分にはどう見ても常識的で、むしろ有能。もちろんなんでもかんでもできるっていうわけでなく、直太郎のアシストが有効だったりすることもある。非常識な佐谷の巻き起こしたトラブルを直太郎が後始末するとかじゃないんです。仕事のできる佐谷、けれど完璧じゃない、欠けている部分があれば直太郎が埋める、そういう二人三脚的な関係、いいパートナーだなって思える、そういう対等な関係なのがいいなって思うんですね。そして、悪魔の佐谷以上におかしな虎姫と西園寺リカ。騒動を巻き起こすとしたら、断然こっちっぽいなあ。しかし佐谷は、いいお姉さん。偉ぶらないし、謙虚だし、ほんと、いいお姉さんです。

『ねこのひたいであそぶ』、面白いな。あの扉絵、すごく生き生きしてて、見てるだけでなんだかわくわくしてくる感じです。今回は河原でダンボール使って草すべりですよ。ああ、子供のころやった。楽しかった。で、この子たちの遊んでる様子っていうのがすごい。ものすごく楽しそうなんですね。元気がありあまっている感じで、ちょっと危険なことにも挑戦しちゃったりするんだけど、ああ私もこういう子だったかも知れない。そう思うから、なおさら面白く、楽しく感じるのかも知れませんね。

『inote! — アイノテ!』、いいですね。前回からの続き、上級生とけんかしてるんだけど、それをなんとかとめようとするさくら、大パニックで、いやもう面白い。実際けんかの様子とかは、そんなに過激ではなくて、むしろなんか楽しそうであったりもするくらいなのですが、そのなんだかぬるいけんかと、とめようとしてどんどんおかしくなるさくら、変な絵になっていて、えらいこと面白いんですね。そしてお姉ちゃん。鉄拳制裁。すごいな。圧倒的やな。でもってサチコ陥落。ああ、思いもしない展開にやられました。これは見事な不意打ち。素晴しい落ちでした。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第1号(2011年1月号)

2010年11月28日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年1月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年1月号、発売されています。今月は、例月の発売日が日曜にあたったものだから、一日前倒しされて、27日に出たのですね。さて、いつも雑誌を買っているコンビニにいきましたら、同日発売の『タイムオリジナル』はすぐに見付けられたのに、あれれ『きららキャラット』が見当たらない。入荷しなかった!? ちょっと慌てたら、ふー、表紙が黒っぽかったから見付けにくかっただけか、『オリジナル』のすぐ前にありました。

さて、表紙は『Aチャンネル』であります。トオルひとりだけの表紙。背景のキラキラした感じを見るに、まるで踊っているかのようであります。ぱっと見れば黒っぽい表紙、けれどステージの上、ライトに照らされてるような、そんな印象与える表紙でありますね。

さて、今回もゲスト多めでありますよ。

『アヒルの多い雑貨店』、シバユウスケの新作ゲストであります。天然のんびりのあひると、しっかりものの友達、鹿乃子ふたりがヒロインなのかな? 高校の入学式、学校へと向かう道すがら、アヒルを見つけて追いかけていってしまうあひる。そのゆきついた先っていうのが、まるで西洋の街並み思わせる広場で、そしてアヒルのカネトンのおうちといっていいのか、雑貨屋さんにて鯨井るいと出会う。この三人がヒロインですね。水川あひる、あひると、大貫鹿乃子、鹿の子でバンビ、そして鯨井るい、くじらでホエホエなのかな。マイペースなあひる、ホエホエと、そのふたりに対するつっこみ役であるのでしょう、鹿乃子。娘三人の学生生活やら日常やら描く漫画になるのでしょう。私はシバユウスケ氏、かなり気にいってるので、この新作にも期待してしまいます。

『ウォーターガールズ』、こちらはなぐも。の新作ゲストであります。タイトルからもわかりそう、水泳部ものですね。泳げないふたり、長野はるなと村上泉が、泳げるようになりたいと水泳部に入部する。見た目ちびっこの部長と、異様なマイペース、プールサイドで水着に着替える女、入部を迷わせるような先輩たちですが、部長のアドバイスに、これまで浮くことさえもままならなかった長野がぷかりと浮く。ああ、この導入はいいですよ。まったくできなかったことができるようになった。念願が叶った、その喜び、興奮が静かに沸き起こってること、しっかり感じさせてくれる第1回、これはいいな、そう思わせるに充分でした。面白くなりそう、そう実感させてくれるだけのものがありました。

ちょいと頭の方に戻りまして、『うらバン!』、部員勧誘を本気でやろうという吹奏楽部面々、いい感じですよ。かつて、これほどまでにこの部員たちが一致団結したことあったろうかというくらいに皆本気で、というか、ひとりがかなりやる気見せてます。っていうか、ひとりって今2年生だったのか。なんでか、3年生だと思い込んでた。そのせいで、最初いまいちよく状況をつかめませんでした。しかし、今回はいろいろこの部の状況がわかる回でしたよ。なるほど、顧問交代で駄目になったのか。いや、実際こういうのはよくある話で、熱心で腕のいい先生が異動すると、それまで金賞あたり前だったような学校が、あっという間に銀賞とれるかどうかみたいな状況まで落っこちたりするもんな。というわけで、技術はあっても指導力のないつつじ先生が悪かったって話でありました。

こうした皆がやる気になってる様子、すごくよいと思います。しかし、つつじ先生はともかく、やる気を出すたびにくじかれるあさみがちょいと可哀そうで、けどちゃんとフォローされてて、これはいい感じ。ドラムセットは無理でも、マーチングとかドラムコーみたいな感じで、携行できるセットで参加したらかっこよさそうだなって思いましたよ。まあ、どこの学校にもあるってもんじゃないですし、なんかこの子だと自作してきそうな気もするんですよね。どういう演奏になるのか、楽しみですよ。

アクアリウム』は、さおりを中心に描いてみせて、ああ、この子はもう本当に大変だなって思っちゃって、こちらも気持ちが大変です。クラスにおける人間関係、ほぼ完成しちゃってて、ただでさえ人付き合いに消極的で苦手そのものといったこの子が太刀打ちできそうな状況じゃないっていうんですね。どうなるんだろう。本当に心配してしまう、そんな風なのですね。

しかし、この子、やる気を出せば、状況観察して調査結果まとめてと、有能なのは間違いないって感じなんですね。ただ、裏目に出るというだけで。そしてちゃんと努力がむくわれた、その展開は素直によかったと思えるものでした。そしてさおりとゆう、ふたりの関係もすごくよいですね。あの最後のやりとり、心にしみましたよ。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第1号(2011年1月号)

2010年11月27日土曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年1月号

『まんがタイムオリジナル』2011年1月号、発売されました。今月表紙はクリスマス、『ラディカル・ホスピタル』からは、山下メインの総勢6人、サンタクロースの衣装でお目見えして、そしてクリスマスリースを手にする『らいか・デイズ』らいか、ケーキにのっている『ひよりすと』ひより、そしてクリスマスリースに囲まれてるトナカイ衣装の『タマさん』と杏であります。

『ハコぺけ』、ゲストです。劇団の漫画、やる気に溢れてるのは典子ひとりだけ? いや、野辺さんもそうなのか。残りは遅刻、睦、さぼりを画策した舞、登場人物はこの四人だけなのか? 今回は導入、団員のキャラクター紹介して、ちょっとだけ練習して、時間切れで追い出されて、そういった体たらくでしたが、全3回ゲストとのこと、次回次々回でどういう展開がされるのか、劇団なんてすごく楽しそう。楽しみにしたく思います。

『おやすみ魔法使い』、今回は漫画家氏をメインにして、その担当編集者が紹介されるという展開。この、店は店としてただ存在し施術して、話を動かす側がちょくちょく変わるっていう、このパターンは割と嫌いじゃないなあ。ほぐし屋天花粉においては、先生と助手の攻防、ただただ実直によい仕事ができればいいという先生と、店の雰囲気やイメージもちゃんとしたいという助手と、その対立。私は先生的なところがあって、だからその気持ちはよくわかるんだけど、助手のいってることわかるようになってきました。いや、ほんと、助手のいってること、それも大事よ。今回の面白いのは、漫画家の描く似顔、それでこの人とわかる、そういうところとか、あと宿題の出る店。私はそういう宿題ができなくて怒られるタイプだなあ。ともあれ、悪くないなって思ったのですよ。こういう腕のいいほぐし屋があったら、私もいきたいです。

『ぎんぶら』、安堂友子の新作です。銀河ぶらりと調査隊、宇宙時代到来で、宇宙にいくことも難しくなくなった。そんな状況で宇宙にいくことになった若竹光一、彼のフライトの理由のがっかりさにしびれます。こういう、いかにも駄目な理由、地方とのギャップもろもろ、未来の話が未来の話と思えません。また、SFらしいネタにしても、ただの空想でもなければ、ましてや荒唐無稽でもなく、現在に生きる我々の常識があってこそ光る、そうした味、面白さがあるんですね。つくづく力のある人だと思って、その力は常識というものを知っていること、そして常識を疑うことを知っていること、それかも知れないなと思わされます。ところで極秘ミッション、これもきっとすごく微妙な、それこそこのおっさんの超個人的なことだったりするんだろうな。そんな気がしてなりません。

『明日もひまわり荘!』、登場人物の個性が見えて、面白さがしっかりしている、そんなところが実にいいです。守銭奴と思われているみずき、肉に飢えているみずき。あの、エリンギとか、めちゃくちゃ面白い。で、笹井さんですよ。素晴しい。あの、吉田みずきを見る目! 照れながら、ごまかしながら、うさぎのぬいぐるみを作って欲しいってお願いする、そして罪悪感。いや、ほんと、すばらしいよ。しかし、ほんと、そんなに罪悪感持つなら、素直にいっちゃえばいいのに。いや、ほんと、すごくよかったです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第1号(2011年1月号)

2010年11月26日金曜日

『月刊アフタヌーン』2011年1月号

 『月刊アフタヌーン』2011年1月号、発売されました。表紙は『BUTTER!!!』です。社交ダンス漫画。主人公ペアっていっちゃっていいのかなあ、荻野目夏と端場敬弘のふたり。なんだか、ちょっと目が泳いじゃってるというか、うろたえ気味の表情です。この漫画、最初のころは、端場ひとりがあかん奴なのかな、そう思っていたんですけど、一年生諸君、みなそれぞれにウィークポイントがあって、それが見えてくる、またその弱点を克服しようと頑張る。そうした様子がすごくいいのですね。

そういうことで、『BUTTER!!!』、柘百合子の話でありますよ。中学生の頃、散々にからかわれたことが心に傷を残したんですね。いや、そのからかった奴、秦ですか? こいつはまたやり方しくじったよね。なんで子供のうちって、好きなら好きっていう気持ちを素直に表せないんだろう。それで、嫌われるどころか、傷つけてしまうだなんてね、ほんと、馬鹿な年頃であるのかも知れません。そして、柘さん、彼女はまわりの皆からはげまされて、こうして好かれてるのはいいなあって思いますよ。そして、端場。こいつが頑張ってる。いいね、いいよ。あかんたれだけど、あんなにも引っ込んでた彼が、こんだけ主張できるようになってる。その姿、すごくいい。そして、こうした姿が勇気を与えたんだなって思うと、いや、ほんと、いいじゃないかって思うんですね。

『ネクログ』、今回はちょっと色っぽい話。というか、あの未亡人、周さんがとにかくいいなあ。知的で穏やかな美人。あまり色気のあるような描かれかたはしてないんだけど、いやいやこれがこれが。連続強姦殺人の犯人? である蛇にとりつかれて宋が乱暴に及ぶのですが、その際の周さんの表情の変化が魅力的で、不審、驚き、怯え、絶望からきっと睨みつけるプライドの高さ、実に魅力的でした。それで、ちゃんと酷いことにならないのがよかった。もし宋がことを成していたりしたら、呪わんといけなくなるところだった。ええ、ちょっとどきりとさせて、けれど酷いことにならないところでとどめてくれる。この安心感、ちょっとありがたかったりします。いや、しかし、周さん、魅力的です。

百舌谷さん逆上する』は、前回の異様なノリからちょっと回復して、若干シリアスであります。百舌谷さんと竜田の関係。竜田は頑張ってるんだけど、百舌谷さんの態度もあってか、結構見透かされちゃってるんですね。千鶴にしてもそう、そして番太郎にしてもそう。けどふたりには的確にダメージを与えていて、しかしこうした一連のことが、当の百舌谷さんにとってどういう結果をもたらすのだろう。いや、百舌谷さんは大事な人を守ろうとして、こうしたことやってるのでしょうけれど、けれど漫画としてはいつか百舌谷さんにとっても救いの得られるだろう方向へ舵をきる瞬間がくるはずで、しかし今のこの状況からどうやって? 今回は、百舌谷さんをめぐるもうひとつの勢力とでもいいますか、葛原さんが動き出して、しかしこの人もいろいろ問題ある人だな。ただでさえ困った竜田兄を、さらに調子にのらせるのか。一体、これからどうなるんだろう。きっと酷いことになるに違いない、そう思うからこそ、この先の展開、気になってしまうんでしょうね。

2010年11月25日木曜日

Tile wall, taken with GR DIGITAL

CellistGR Blog、11月のトラックバック企画のテーマは「アート」であります。芸術の秋、ということで芸術的な写真といった趣向なのでありましょうが、正直なところ、芸術などというものは苦手中の苦手であるなあ。と、泣き言はいつものとおり。なんだかんだいってても参加するのもいつものとおりであります。トラックバック企画「アート」に参加します。

冒頭のチェリストは、友人の演奏会で撮った一枚です。って、どう考えてもありえない位置からの写真ですが、いえいえ、これ、リハーサルです。しかし、チェロってすごくかっこいい。

そして、今回の本命は次の写真。

Tile wall

なんの変哲もないタイルの壁です。ピエト・モンドリアンの『ブロードウェイ・ブギウギ』みたい、と思って撮ったのですが、このばかばかしいくらい単純な写真、レンズの歪みが少なく素直に撮れるGR DIGITALだからこそ可能だった写真であると思っています。

2010年11月24日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年1月号

 『まんがタイムきららフォワード』2011年1月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』。テレビアニメになるということで、しっかり表紙でありますよ。もみじでもって飾られたメリー。なんだか露出が多いぞ! と思ったら、コートを着てないだけで普段どおりなのか。いや、コートのかわりにもみじ、っていうデザインなんですね。しかしもみじで飾りながらも、真っ赤にならない、ちょっと淡い色合いで赤から緑までのグラデーションがきれいで、そして手には花もあって、ぱっと目立って美しい表紙になっていると思います。

『7時間目の音符』、2010年3月号にゲスト掲載された漫画、連載になったのですね。吹奏楽部を舞台にした、彼氏彼女のお話です。クラリネットパートですね、先輩、部長でもあるあずみと、ひとつ下の葉平、ふたりが主人公。吹奏楽部ならでは、というなにかがあるわけでもないんですが、高校生の青春事情といった風がなんだか初々しくて悪くないですね。吹奏楽ネタでは、『オーメンズ・オブ・ラヴ』でしょうか。これ、実はエレキベースがかっこいい。というのはおいといて、ちゃんとチューブラーベルが描かれているのがいいなと思いまして、この曲、ベルがキンコンカンコンと鳴り響くのがかっこよくってですね、私、大好きなのです。作者さんも同じような印象をお持ちだったりするのかな、なんて思ったりしたのでした。

『はじおつ。』の、おつきあいがはじまりそうで、なかなかはじまらないっていう、その様子が実によい感じです。メールアドレスを渡したのにメールがこない! 待ってる方の様子も面白いのだけど、断然出すに出せない方が面白かったです。なにを書いたらいいのだろう。どえらく長い文面作ってしまったり、またメールが返ってくるのが嬉しくて、授業中も休み時間も携帯電話に夢中になってしまったり。あの、ノートに下書きをしてしまう描写とか、送信時にそれが誤変換されてたりする描写とか、細かいところなんだけど、嬉しさや、また不慣れな様子が見てとれて、とてもよかったです。なんだかすごく新鮮で、なんだかとても健全で、実によいな、そう思える漫画であります。

少女素数』は、男の人っで鈍感! っていう話でありましょうか。いや、素直になれない年頃といった方がよりらしいように思います。素直になれないのは、すみれもそうなのかも知れない。違うと思おうと自身つとめている、そんな風を感じさせて、そして有美ちゃんとぱっクン、このふたりも、照れ臭いんでしょうね、誉められて嬉しいくせに、嬉しくないなんていっちゃう。そしてぱっクン、鈍感といえば確かにそうなのかも知れないけれど、相手の気持ちがどうなのか、得られた情報から推測するにしても、自分に都合のいい想像はできない、したくないのかもなって思ったりするんですね。思っていることを素直に伝えられたら、どんなにかものごとは簡単に運ぶだろう。けれど、その素直っていうのが簡単でない。そんな照れ臭い年頃、それが彼、彼女らのいる今なんだろうなって思うのですね。

そして、ここから最終回が続きます。『執事少女とお嬢様』、最終回。正直ちょっと意外。『グッドゲーム』最終回。次の大きな大会まではやると思ってたから、やっぱり意外。これは描き下ろしでやるのかな。そして、『わたしたちは皆おっぱい』も最終回。おお、これも意外。ジュリー編が終わって、いよいよジュリーの貴子に対する気持ちが変化していくのだろう、その過程がどうなるのかと思っていたら、いきなりすごく懐いていて、驚いた。ああこういうクールな子がこんなにも懐いちゃうっていうのはいいなって思った。実際、すごく可愛い人だと思う。そして、その懐いて、仲良くなって、その様子。貴子のまわりにいる友人たち、その気のおけない間柄っていうのがよくわかる。その、自分の気持ちを大切にして、同じくらい相手のことも大切にしてる。すごく自然に、ありのままにという、その態度が見ていて気持ちのよい漫画であったな、などと思った最終回でした。

ところで、あのゲームは親の知識範囲が反映されるという仕組みでありましたね。ということは、貴子の子は変態にしかならないと思うんだ。って、ああ、変態という進路はないのでした。けど、貴子という人を見てきて思うのですが、この人はまじめな人だった。誠実な人だったなって、だからあの4種のどれかに分岐するなら、きっとまじめになる、そんな気がしています。

2010年11月23日火曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年1月号

『まんがタイムスペシャル』2011年1月号、昨日の続きです。

『21時のシンデレラガール』、母ちゃん、面白いなあ。以前から、あの厳格な父をコントロールしてるって様子描かれてましたけど、今回はその極めつけといえる展開です。怒っている母ちゃん。あの父が見事に小さくなっている。その上、敬語。これは面白かった。門限だ、早く帰れ! っていうんじゃなくて、援軍求む、怒ってる母ちゃんとふたり、たえられません、といった風がよいんですね。それで結局は父のからだを案じていましたって決着を見せるんだけど、それでも静かに母ちゃんは怒っているようで、こういうところもよかった。一度も見たことがないっていうのは、それと気付いてなかっただけなんじゃないか。そういう風にも思えるオチ、面白かったです。

『セーラー服でもあいしてね』、クリスマスを前にしての焼き鳥屋。鳥一筋の厳さん、きりりと一言いえば佐々実も惚れ直すときたもので、いや、この人は厳さんならなんでもいいのかも知れません。しかし、この子、すっかり焼き鳥屋の一員みたいになっていて、普通に試作品試食してるっていうのね、なんのかんのいっても浸透作戦成功してるといえますね。そしてクッキー、受け入れられて喜んで、評価されて喜んで、それも泣くほどなのか。ああ、羨ましいな厳さん、というと問題ありそうなんだけど、いやほんと、こんな娘さんに慕われるとは果報者ですよ。しかし、この漫画がうまく成立してるのは、その状況に厳さんがでれでれしないという前提があるからで、一途な女子高生、心揺らさないおじさん。だから、羨んでるような人には出番がない! ってことなんでしょう。しかし、佐々実の健気さが実によいです。

花の湯へようこそ』、最終回です。定休日でもないのに花の湯が閉まってる。なんだって! そういう最終回なのか! というのはさすがになくって、けどよっちゃんと園生くん、お互いの気持ちがはっきりしたし、受験生と片思いの彼女のゆくえもはっきりしたし、ええ、これまでの繰り返しのネタの数々、次々と決着していくんですね。こうした常連さんのいたことが、この漫画の面白さを支えていた、そう思っています。いついっても会える人たち、そうした安心感があったといえばいいでしょうか、繰り返しのネタに面白さと安心を感じていたんですね。そして最後、ああ、やっぱり婿入りしたのか。二代目よっちゃんも可愛くっていいねと思える。この子が成長すれば、また番台に座って、また誰かと出会って、その頃にはその頃の常連さんがいて。花の湯は変わらずにあり続けるんだろうなって思える最終回でありました。

『キミ待ち!』、こちらも最終回。ずっと陽菜のことを支援してくれていたタイガーさん。この人を探しにやってきて、蕎麦屋にお世話になって、だんだん受け入れられていってといった物語。きっとまだ描ききれてはいないだろう、そう思わせる最終回、最後にはタイガーさんはすぐそばにいるんだってこと、ちょっと描いてみて、ああ、これが当初予定どおりに展開したらどういった話になったのでしょうね。私は、この人の漫画が好きだから、多少スローながらも、語られようとしていたもの、読みたかった、そう思ってしまいます。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第1号(2011年1月号)

2010年11月22日月曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年1月号

『まんがタイムスペシャル』2011年1月号、発売されました。表紙は見事にクリスマス。サンタクロースではなくて、トナカイメインというのがいかしますね。マキ、リコともにトナカイの衣装着ましてね、その表情がすごく魅力的。うしろにはソリに乗るサンタ三人。エノ、サヨ、スズであります。右手には新作『洋食ヨツバ』のヒロインと、そして連載再開『たまのこしかけ』たまこさんのカットもあって、ああ、連載再開、嬉しいです。

『洋食ヨツバ』、ゲストです。第1話は非常に悪い状況描いて、店主でありシェフでもあった父が亡くなって一時閉じていた洋食ヨツバ。いよいよ再開というのですが、ちゃんとしたメニューがないときた。いや、ちょっと待てよ。作れるようになってからオープンしようよ。というか、まともに作れるものないんだったら、外から料理人を呼ぶとかしようよ、などなど突っ込みどころはたくさんあるのだけれど、このへんの突っ込みどころが全部整理されたら漫画的危機状況が成立しないわけで、でもこの第1回には乗れないって人もあるんじゃないかなとは思います。なんせ世の中厳しさ増してるだけに、読み手にも余裕がなくなってるわけで。第1回、まさしく序盤。店の危機的状況描かれて、そして最後に意外な申し出、ボク…が作りましょうか? この漫画の本当のはじまりは次回と見て、よし、第2回を楽しみに待ちますよ。

『シュガービーチ』、いよいよ試合ですよ。まだまだ初心者の1年生連中、彼女らにもやる気が出てきたか。部長もそのやる気に応えるべく、市民大会への参加をすすめて、いえね、なかなかに穏当で、けれど高望みしないその目標に破れるっていうのね。本当にまだまだなんだ。落ち込む部長、いや、ほんと、この人のキャラクター、面白いです。試合にいたるまでの状況、ペアの決定とかね、そこでの部長の扱いにも面白みあふれていて、クールに見えてそうでもない。ほんと、いいキャラクターだと思います。最後、1年生がやる気になっている。そうした流れもとてもよく、そして落ち。ああ、やっぱり部長はいいキャラクターだと思います。

『おーがちゃん』、ゲストです。鬼の女の子、おーがちゃんがやってきた。鬼の娘、こわさとかはまったくなく、むしろ可愛いといった感じ。たまたま出会った鬼殺山みゆきのうちに住むことになったのか? おーがちゃんのエキセントリックさ。恐がらそうとしてもこわくなく、むしろみゆきに可愛がられる。そんなふたりの様子を見て、間接的に愛でるとでもいったらいいのかな、楽しむのがよさそうな漫画です。

『早乙女寮別館ものがたり』、たいそう面白いです。文化祭目前の風景。部活をやってないために大忙しになってしまった松子の、忙しくて、けれどその頼りにされるということ、人の役にたてるということ、あるいは充実しているそのことが、なによりの喜びになっているようで、私もなんだか喜ばしい気分になって、いえね、ちょっとかげのある女の子です。その子がこんなにも嬉しそうっていうのがいいのです。そして、ピンチ。ああ、これは面白い。自らその危機を引き受ける松子。ミシンを借りて、けど使えない! ちかに泣き付いて、その共同作業のおかしさ。足踏みミシンは、手と足が同調せんことにはあかんでしょう。そして手縫い。ちかは頼りになるなあ。最後の最後、落ちまで面白かったです。

ところで、来月はお休みだそうで、けれどもしかしたら文化祭当日になにかあるかも、っていう振りがあったんですが、文化祭当日のことは描かれる? 描かれない? 描かれたらいいなあって思ったのですが、もしかしたらないかも知れませんね。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第1号(2011年1月号)

引用

  • なかはら★ももた「洋食ヨツバ」,『まんがタイムスペシャル』第20巻第1号(2011年1月号),42頁。

2010年11月21日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年1月号

『まんがタイムきららMAX』2011年1月号、昨日の続きです。

『ことのは研究会』、ゲストです。タイトルにことのはとあるのを見て、言葉に関するものなのか? そう思ったら、実にそのとおり。中国語やるよ!! の第一声からスタートして、いやもう、想像以上に言葉メインでありました。中国語入門段階の基礎知識をとにかく説明したという感じで、『きららMAX』に載っている漫画というよりも、漫画で読む中国語入門みたいな具合に説明寄り。私はなにかを説明する漫画、最近ではボウリング漫画『ラッキーストライク』とかですが、気に入る傾向が強いのですが、それにしても説明が多すぎて、漫画として読ませる部分がずいぶん圧迫されてしまっている、そんな印象であります。絵はきれい、七海なんかはかなり好み、だから漫画としてこなれたらよくなるかも、そう思ったりもするのですが、これ2回ゲストとのこと。次号でどうなるか、ですね。ちょっと2回ははやいなあって思います。

『ノロイメライ』、柴田燕ウの新作、ゲストです。部活ものであります。呪術部。呪いでことをなそうとする、そんな人たちの話。独特の癖のある絵柄、今回は前作『表色89X系』以上にその個性を押し出して、目が前髪で完全に隠れてしまっている女の子、五十鈴、コスプレっぽい衣装着せられて、おおう、なんだかちょっと怖いぞ。ごめん! 目が描かれてないときは可愛いと思うんだけど、目が描かれると、目がぐりっと浮いてしまって、ちょっとおそろしげに感じられてしまうんです。しかしこの人がこの漫画において常識を担うというのですから、あいかわらず面白そう。この人の癖、個性が嫌いじゃないっていう人には、訴えるところありそうだな、そんな印象持ってます。

『ハッピーステッチ』、最終回です。被服部で服を作った。その様子、ちょっと冒頭の盛り上げには頑張りすぎと感じたけれど、後半の写真撮影。ただただひとりひとりが、その作った服と一緒に紹介される、服について講評あり、あるいは個性発揮させることで人となりを表現したり、楽しい、最後の紹介、挨拶であったと思います。私はこの漫画、気に入っていました。とりわけ、その穏やかなところが気に入っていました。穏やかすぎたのかもな、そう思うところもあります。けれど、この漫画が派手でもっと目立つものだったとしたら、その穏やかなよさは失われてたと思うんですね。だから最後までその穏やかさ、よさを保ってくれたこと、嬉しく思っています。

『はる×どり』、こちらも最終回です。試験当日の様子から、合格発表までを描いて、いやあ、花子の自由闊達さが最高ですよ。学食で突然入学思い立つ。合格発表の日、合格者装って胴上げされる。この人の、楽しいことに躊躇しないところ、明るく元気、にぎやかで、はなやかなところ、好きでしたね。そして、当の受験生ふたり。はると京子、よかったですよ。落ち着きを取り戻すための秘策。試験の後だけでなく、合格した後もずっと気にして、申し訳なく思ってるっていうのがなによりよくて、謝られたり感謝されたりの花子が理由全然わからなくて戸惑ってるのがすごくいいと思ったんですね。そして、最後のページ。素敵でした。なんだかすごく新鮮、すっきりとしてとてもきれいで、ほのぼのとして、感謝に似た気持ちがわきおこるよう。ああ、これも穏やかな漫画だった。そのよさ、最後までしっかりと感じられて、ええ、いい漫画でした。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第1号(2011年1月号)

引用

  • 閏月戈「ことのは研究会」,『まんがタイムきららMAX』第8巻第1号(2011年1月号),173頁。

2010年11月20日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年1月号

『まんがタイムきららMAX』2011年1月号、昨日の続きです。

『スイムガールコンプレックス』、ゲストです。タイトルにもあるように、水泳もの。胸の小さなヒロインが、水泳をやると胸が大きくなるよ! と騙されて入部。胸の大きな先輩に、ふりまわされたり飛び付いてみたり、という漫画であるようですよ。ヒロインこもり、泳げないというのだけれど、どうも先輩がスパルタで教えますよ、そういうようで、さてこれから以降、おっぱい漫画になるのか、ハードな水泳漫画になるのか。うーん、後者を希望しますが、なんだか前者のような予感がします。いや、でも面白ければどっちでもいいんです。

『ふわふわ科学』、おお、これはたいそう好みかも知れません。ヒロインが可愛い。扉絵の時点でいちころ。本編はというと、最初の1本目になんだか繋がりの悪さを感じたものの、読み進めていけばそういうこともなく、いや、これは面白いよ。強引な先生に授業に引っ張りこまれて科学工作することになるっていうのね。ロケット作るっていう、それがポピュラーなペットボトルロケットではなくて、アルコールを使った燃焼系ときたものです。ロケットの説明もあるけれど、最小限にとどめて、メインはやっぱり工作と彼女らの関係そして引き起こされる騒動。幼なじみとのやりとりも面白く、そしてロケット打ち上げとその結果。当たり前なんだけれどもさ、その当たり前の帰結がいいですよ。予想される結果は実験で確認されるわけです。

しかし、結構ちゃんとしてる科学をテーマにした漫画。ヒロインはじめキャラクターは可愛く、しかし可愛さを過剰に押し出してこない。全体に落ち着いて、読ませてくれる。キャラクターに由来する面白さあれば、科学ものというテーマもきちんと表現されている。これはとてもいいと思う。是非是非伸びていって欲しい。そう思わせてくれる一本でした。

『つかえて!コハル』、最終回です。ここから最終回とゲストラッシュといった様相。いや、これまでもゲスト、かなりありましたけど。さて、『つかえて!コハル』は前回からの流れをうけて、劇の主役突然の欠席に代役を申し出るなつき、将軍という役柄に妙な喜び見出すなつきがあれば、求めていた理想の主君とついに出会えたか、コハルもトリップ気味。劇も大過なく終了して、ふたりの仲も回復して、というめでたしめでたしエンドでした。けれど、そのめでたい感じ、やっぱり仲のいいふたりっていうのがいいなって思ったのでした。この漫画は、主君という関係を求めるコハルを主人公にしながら、本質的には仲のよいふたり、であったわけです。その仲のよさ、もう、しかたないなって受け入れてるなつき、それがこんなにも楽しげに描かれたラスト、実によかったです。

ぐーぱん!』も最終回。最後の最後に、未理の凶悪な人設定が復活。いや、その前にいかにもなフリを持ってきて、ああ、そういう展開なのですか! と思わせたところで肩透かしくらわすところが素敵。基本的には、大きな事件を起こさない漫画。最終回においてもそのテンポを違えなかった。そして初頭にあった、乱暴な女の子という誤解を復帰させて、ああ、なんだか最終回は楽しみが盛り沢山。娘たち三人の仲のよさを再確認させるという終わり方は、標準的なものといってもよいのだと思います。

『お願い神サマ!』は、劇場版『アリマさんがみつめてる』をめぐる夏目さんと柚梨子さんであります。って、これは実写映画か!? しかし、ふたりの一生懸命さ、これにはちょっと笑ってしまう。みそあんぱんはひとつ100円以下だったのか? その収支がちょっと疑問。そして柚梨子さん、それは圧倒的におかしいです。ハガキ買うお金で普通にチケット買ったらいかんかったのか。あ、そうか、誘うという口実のためにペア観賞券が、割引券が必要だったのか。ああ! 私はまだまだです。

劇場での柚梨子さん、すっかり目的を見失って、いや、これがむしろ目的なのか? そうした転倒してしまっている感覚、やっぱり面白いなあって思えて、そして、! 恋のお邪魔虫! この人の妙に大げさなところ。そしてここからの展開。あの指! 疑問に思っている夏目さんの様子が面白く、そして茹で上がった柚梨子さん! 展開のはしばしにおかしさ描きつつ、最後にはお互いに気持ちを大切にしたかったと、その思いを確認しあう。こういうところ、この漫画の真骨頂と思うのですね。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第1号(2011年1月号)

引用

  • 守姫武士「お願い神サマ!」,『まんがタイムきららMAX』第8巻第1号(2011年1月号),136頁。

2010年11月19日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年1月号

『まんがタイムきららMAX』2011年1月号、発売されました。表紙は『ホイップノート』、サンタ衣装のレコとトナカイのるいせであります。しかし、レコちゃんの視線、すごく魅力的。元気なるいせとは対照的に、ちょっと引っ込み思案、おずおずとこちらを見やる、そうした表情にはぐっとくるものがありますね。しかし、この人のイラストの、きらきらとした感じは、素晴しいものがあるな。実にそう思わされます。

『きんいろモザイク』はお姉さん、勇が登場。ちょっとクールなお姉さん、扉絵に見える姉と妹の対照、これも実に魅力的。お姉さんは落ち着いて、妹はというと、ちょっとお茶目、お姉さんと一緒でうきうきしちゃってる? いや、ほんと可愛いなって思いますよ。さて、本編、ぼんやりとした妹を心配してきた姉の新たに感じる心配、あの本当にあきれてるって感じ、いや、あきれられて当然だろうって思えるフリがあるから、実に効果的にはたらいて、のっけから面白いです。しかし、今回はしのぶのテンションがただごとではなくて、もう最高。はあはあ、バーンッ、そして照れてるっていうのね。それ、皮肉だから! 誉めてないから! いや、可愛いですけどさ! 他の面々も、いさみの前でのカレンの態度の変化やら、かなり面白く、そして普段クールな綾が、綾が! いやもう本当に面白くておかしくて、大好きです。そして、最後の姉のいつくしむ表情。あれ、いいですね。ほんと、いいですね。

『カーにゃビ』、ゲストです。湖西晶。ネコミミ美少女の霊が憑いている車、そいつがもう大人気で、なんと1000万円という値がついている! いわくつきの事故車を安く買い叩く目論見が見事にはずれました! という話であるのですが、湖西晶らしいといってもいいものか、微妙にブラックで、そしてちょっと人情もので、読み切りのゲストというにはちょっと重めで、けれどたった8ページでこんなにも描けてしまうのかということには驚かされて、ほんと、この人は実力者だと思う。好きや嫌いは当然あるだろうけど、そういうのを越えて、これはよくできてるなと思わせる、そうした力のある漫画になってる、そう思いました。そして実際、読ませます。面白かったです。

『放課後せんせーしょん!』が連載になりました。2010年9月号にゲスト掲載されていたのですね。元気一杯の高校1年生、須藤葵があちこちをひっかきまわす、そうした様子端的に描かれて、あの部活をいろいろまわるところね、あれ実にシンプルなんだけれど、それだけにおかしかった。野球部はともかく、軽音部、卓球部、どこかで見たことのある人が! と思ったら、それで終わりじゃないんだ! やってくれます。弓道部、ボウリング部、ええと銀河交信部はなににかけてあるのかな。単純も単純、とにかく繰り返しで見せるネタでありますが、そうした小ネタ、嫌いじゃないですよ。ところで、ギターが逆になってるのは、ジミヘンなのか? あそこまでいくと、これ絶対わざとでしょう。でもって、一番楽しいところを探すために生徒会に乗り込んできた。これからどうなるのか、その導入はなかなかに元気で悪くなかったと思います。

『忍パラサイト』、新連載です。お風呂にはいっていたら、お湯の中から忍者があらわれた。って、のっけからえらいようわからん展開やぞ。一人前の忍者になるため、「良いニオイを持つ乙女をつれて来る」。それで愛香をつれにやってきた。ということで、この人は良いニオイの乙女であるわけか。のっけから風呂スタートというだけあって、そちら方面に注力されていて、ふたり目の登場人物、忍者瑠璃を追ってやってきた小梅、この人は裸で登場。女の子(?)が女の子に迫る、そうした要素も盛り込みながら、忍者コメディになるのかな? いや、そうじゃないと思うなー。まさにちょいエロコメディののり。これからどういう展開を見せるか。それこそ、同じやるなら、立ち止まることなく、突っ走って欲しいところであります。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第1号(2011年1月号)

2010年11月18日木曜日

『まんがタイムファミリー』2011年1月号

『まんがタイムファミリー』2011年1月号、昨日の続きです。

『一緒にかえろう』、クリスマスを目前に、お父さんにプレゼントを用意したいという詩緒の、不器用編み物ものがたり。いや、面白いですね。ぎゅうぎゅうに詰め込んで編んでしまうものだから、ものすごく重くなってるっていうのね、春のつっこみ、何の修行だっていうのが面白かった。しかし、その見た目からはいかにも編み物とか得意そうな詩緒、でも無理っていうの、いかにもこの人らしい。対して、春。おお、こんな特技が! とこちらは意外。どんどん量産されるおそろいのマフラー面白く、そしてちょっとシリアスな展開にもなって、ああこの漫画のらしさだと思ったのでした。

『よめヨメかなたさん』、愛妻弁当の話。平成のかなたが乙人の弁当を作ってみれば、昭和のかなたさんが嫉妬する、秀人もまた嫉妬する、この状況で失言してしまう乙人がちょっと気の毒であります。まあ、あれはいっちゃいかんよね。そして学校での乙人かなたの状況でありますが、このふたりがというよりも、周囲の状況がおかしくて。謎の校長、そしてつごうよく盛り上がる担任。けれど今回はかなたの好みに見える女親っぽさ、そして主婦である自分に気付いた時の表情など、こうしたところがとてもよかったです。最後の落ちもよくできてて、面白かった。

『やどかり君』、お父さんが見てる、お父さんがまた見てた、こういうの面白いです。この漫画は、最初は変わった一家の話なのかななんて思ってましたが、そうした側面は残しつつ、片思いしてる春子、鈍感な日暮君、気持ちのすれ違いさえも許されない、そんな様子なども見えるようになってきて、より面白くなったなって思っています。そして、最後の家族で胴上げ。やっぱり変な一家だなあって思いながらも、幸せというその感情、喜びが表現されてるんだもんな。すごくいいです、すごく好きです。

ネコ式生活』、最終回です。うわあ、ちょっとショック。今回は最終回ということからか、ネコのいる生活、それを振り返ろうとするようで、寂しがり屋のニャソさん、こねこのムームーさんにべったりだったり、乱暴なガッツに頭突きされたりと散々ですけれど、こうしたちょっと気ままっぽい猫たちの様子が面白かったんですよね。今回描かれたことは、これまでにも紹介されてきたこと。だから、最後におさらいって感じ。ええ、おさらい。猫三匹をあらためて紹介して、ああこれでさよならというのはさみしいね。ええ、さみしいけれど、さよならです。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第1号(2011年1月号)

2010年11月17日水曜日

『まんがタイムファミリー』2011年1月号

『まんがタイムファミリー』2011年1月号、発売です。しびれますね、2011年ですよ。けれど表紙はまだ年内、クリスマスであります。サンタクロースの格好している『ぽちゃぽちゃ水泳部』のカツ代をメインに、おかしのブーツを貰って嬉しいのかな? 『らいかデイズ』らいかと、どうも浮かれてるっぽい? 『椿さん』椿さんであります。しかし、いよいよ年の瀬ですね。

『ギュっとして!よねちゃん』、ゲストであります。おにぎり屋さんの看板娘稲田米子が主人公。可愛い系の絵柄、萌え系といってしまっていいものか、サブカル的なネタをからめながら、家業のおにぎり屋への愛、営業努力するお嬢さんの一生懸命を描いています。ちょっと空回り、全能力をおにぎりに注いでいるものだから、おにぎり以外はまるで駄目というこのお嬢さんの先生とのちょっとした交流みたいなのは悪くなかった。ちょっとずつ彼女の世界の広がりが感じられるようになると面白くなりそうだな、そのような感想持っています。

『働け!おねえさん』、クリスマスシーズンにクリスマスどころではない来島さんの状況。あの、イエローカードルールは面白かった。けど、彼は掃除で回復なのに、来島さんは違うんだ。でもって、来島さんの移動の危機を前にして、あわてる周囲、それぞれの理由が面白かった。しかし、来島さんは皆から愛されてるなっていうのがわかる、アットホームとでもいいますか、そうした状況がいいですね。ところで、今回は最後におまけページがありまして、これ、応援してくれたらいいことっていうのは、応援で増ページ? それとも単行本? いずれにしても、そいつは嬉しいことだと思います。

『教師諸君!!』、この扉! しっかりと土着、伝統的クリスマスの雰囲気描いて、なんと死神の仮装とかする地域があるのですか。これは面白い。でもって冬至説の紹介もあって、いやほんと、これを知った時には、そうだったのかと反省しました。いえね、知人のクリスマスは冬至であると思うという意見を、ほんとですか、うたがわしーなー、と退けたことがあったものでして……。

さて、クリスマスといえばデートという城先生たちの中にあって、お芝居を見にいくという西名先生。過剰反応してる城先生がおかしいのだけど、お芝居の日にきっちりした格好でやってきた西名先生の真実、ああ、素敵な雰囲気だ、じゃなくて、デートでなくってお婆ちゃんとの観劇だったのですね。なんというのでしょう、こうして家族を大切にしてるって雰囲気、とてもいいじゃありませんか。でもって、西名一家、みんな同類なのか。どこの国のケーキとかいってるし。それに世界のドーム建築とか、国宝アクションフィギュアで城? 城なのにフィギュアなのか! どこが可動するんだ! しかし今回は、おばあさまの心配を黙殺する西名先生、よいですよ。意外と気にしてらっしゃるのかしら?

『美大道!』がいよいよ受験目前を予感させる展開となって、おおお、願書か。しかし、どんな緊張したら、そんな捺印になるんだろう。もう、こういうノリが大好きです。そして本編は、美大生コーくんが久しぶりに登場して、グループ展とのこと。仲間でギャラリー借りてってやつですね。そこに彩も展示させてもらえることになって、おお、結構気さくに受け入れてくれるんだ。掲示の場所を決めるにあたって、どんどん弱気になっていく彩が面白い。で、この展示がきっかけになって、彩が自分の絵を客観的に見るんですね。ああ、こういうの気付くのはつらいよね。けれど、大切なことだよね、そう思う。こうして、自分というものを知って成長していく彩の姿。最初の美大受験を決めたころの彩と今の彩、何歩も進んでいるよなって思う。そしてこれからも進んでいくんだろうなって思う。その彩の歩みが見てとれる。すごくそれがよいなって思うんですよ。

『めがねのキミと博物館』。香坂、君は友達だ!

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第1号(2011年1月号)

2010年11月16日火曜日

侵略ノススメ☆

 『侵略ノススメ☆』、買ってしまったでゲソ。違うCDを買いにいったのでゲソが、すぐ隣りにこのCDが並べてあって、吸い寄せられるように買ってしまったのでゲソ。というわけで、ご存じアニメ『侵略!イカ娘』の主題歌CDであります。『侵略ノススメ☆』。アップテンポで、妙に心にひっかかってくる。癖になっちゃうっていいましょうか、気にいっちゃってたみたいなんですね。いやもう最近は机に向かう時にアニメでも流してないと心が挫けてしまいそうで、そんな時に『侵略!イカ娘』は最適なんです。で、気付いたらすっかり侵略されていたというわけで、こうしてCDも買ってしまった。もしかしたら、BDも買ってしまうんじゃなイカ? そのおそれ充分にあり、なのであります。

 さて、私の買ったのは初回限定版であります。ULTRA-PRISM版とでもいいましょうか、ジャケットがULTRA-PRISM。DVDがついてきて、『侵略ノススメ☆』のMUSIC CLIPが収録されています。あの、CMでも使われてる映像のフルバージョンなのですが、あの衣装かえながら歌ってるお嬢さんと、後ろで気怠そうにギター弾いてる兄さんですね、なんだか不思議な雰囲気があって、これもまた癖になる感じ。DVDはMUSIC CLIP、1曲分しか入ってないから、見るとしたら入れ替えが面倒くさい。せっかくならヘビーローテーションだ、ってなりそうな雰囲気。結局はこちらも中毒性というところに帰着する、そんな印象でありますね。

『侵略ノススメ☆』は、アニメOPのクレジットをいいかげんに見ていたせいで、金元寿子さんが歌ってるんだと思っていたりしましてね、えらい勘違いですね、道理で演技と歌ではずいぶん違うわけです、だって人が違うんだもの。歌っているのは月宮うさぎさん、金元寿子さんは途中の台詞で出演ってことなのかな。突然せりふがきたものだから、おおっと少し驚いてしまいました。10年くらい前だと、どう考えてもアニメに関係のない歌を主題歌としてタイアップさせたりして、少々げんなりしたりもしたものでしたけど、これだけ思いっきりこのアニメのために作りました! っていうのがわかると、なんだか嬉しくなってくる。アニメの曲って、歌もサントラも一種の機会音楽なんですよね。そのアニメのために作られて、そして時にアニメに付随する立場から独り立ちしていく。その際には、アニメの印象、雰囲気もともなっていく。アニソンってここ数年、とりわけ盛り上がっているように思うのですが、そこには歌のよさがあり、そしてアニメの思い出があり。その印象、感想の複合するところ、それが私は好きなのかも知れません。

『侵略ノススメ☆』をはじめ、最近のアニメの主題歌は、まさにそのアニメのために作られてる。ええ、去年からアニメを再び見ることになって、そのことが嬉しくてなりません。いや、もう、『侵略ノススメ☆』も大好き。うーさんはいっ! アニメ仕様の通常版も買ってしまいそうです。

2010年11月15日月曜日

Demon's Souls

 Demon's Souls』、ようやくクリアしました。11月の9日にクリアですね。購入が9月の17日だから、2ヶ月弱でクリアってところですね。けれど、ここからが本当のデモンズソウルだ、っていうのは、まだまだ遊べる、2周目からが面白い、などなど、本当に遊びがいのあるゲームでして、初回クリアした時点でタイプの違うキャラクターが他に2体作られていたということからも、いろいろ試してみたいと思わせるような要素があるってことが伺えるんじゃないかな、などと思います。

クリアしてみての感想は、意外にボリュームは抑えられている、というものでした。開始してしばらくは、異様に長い道のりと感じていたものですが、いえね、ボスに辿りつくまでが異様に長く険しく、ボスがまた強くて倒せないときた。もう、これ、いつかクリアできるのか? なんて思ったものでしたが、人間というのは成長するもんなんですね。ちょっとは苦労することあっても、なんとか進めるようになった。レベルを上げてゴリ押しに近かった状態から、わざわざレベルあげなんてしなくとも進めるようにまでなってくる。こうなると、配置されている敵はそれほどの脅威ではなくなり、まあ一部は今でも怖いんだけどさ、またマップにも慣れてくるわけで、こうなってくると楽しみは対人に向かっていくんですね。

このゲームはオンラインに対応していて、協力プレイや対戦プレイも可能なんですね。生身といわれる状況でプレイしている場合は、協力者として他のプレイヤーの助けをかりることができる。最大ふたりの協力を要請できて、こうなると攻略も、それからボス戦もかなり楽になります。けれど生身にはリスクもあって、それは他プレイヤーの介入をうける可能性もあるのです。敵として他プレイヤーが侵入してくる。負けたら生身を失う、勝ったらソウルを得られる。まあ、ソウルはどうでもいいとして、コンピュータの操作する敵とは一味も二味も違う対人の楽しみというのが出てくるわけですね。負けると悔しいから、よりよい武器や魔法を入手し、またそれらの扱いを工夫しようという気にもなる。勝てると当然嬉しい。こうした要素が、このゲームになにか特別な楽しみを与えています。

協力プレイヤーは青いファントムと呼ばれ、敵対プレイヤーは黒いファントムと呼ばれます。もちろん自分も青ファントム、黒ファントムとして他のプレイヤーに協力、敵対することが可能で、青ファントムとして攻略の手助けをしながら、侵入してくる黒ファントムを待つというのもいい。黒ファントムとして、青ファントム率いる他プレイヤーに挑戦するのもスリリング。こうした対人プレイの面白さへの目覚め、これが本当のデモンズソウルの開始だ、なんて思うんですね。

というわけで、よりよく戦い、またよりよく助けられるよう、プレイヤースキルを磨きつつ、装備や魔法などを整えようと思うと、1周程度では足りないなって感じなんですね。だから何周もする。そうなると、抑えめのボリュームがすごくありがたい。また、クリアしたのは魔法使い型キャラクター。他に戦士型なども作っているのですが、すべての武器が使えるわけではない。どうせならいろいろ試してみたいと、もう少ししたら4人目のキャラクターを作るだろうことが予想されて、やっぱり抑えめのボリュームがありがたいのでした。一度遊んで満腹させるタイプのゲームではなく、何度でも繰り返し遊べる、遊びたくなる、そうしたゲームであるのです。

書籍

2010年11月14日日曜日

『まんがタイムラブリー』2010年12月号

『まんがタイムラブリー』2010年12月号、昨日の続きです。

『ハルの見えない望遠鏡』、次号最終回を前にしての山場、これはぐっときました。これまでは、割と冷静に読んできた、そう思っていたのですが、ナツのことがあって、そして今回にその話が繋がってきて、びっくりした、こんなに心が動かされるとは、自分のことながら驚いた。ハルに真実を告げるアキの、前へ前へと進んでいくその姿に押し込まれました。そして、ハルの思いがけない繋り。ああ、これはやられました。予想していなかっただけに、やられました。

『少女カフェ』、クリスマスを前にして張り切るお嬢さんふたり。妙にしっかりしてるふたりの、クリスマスプレゼントに関する条件が、売上前年比120%。これ、条件だけ見たら、サンタクロースとは誰なのか、わかってるとしか思えない。けど続いて明らかにされるふたりのサンタクロースについての認識。面白いですね。妻との約束。というか、妻、過激すぎ。みおとつくし、ふたりの信じてるのか信じてないのか、それもなんだかはっきりしなくて、お父さんのみならず読者もわからない、このあいまいに置かれる感触はなかなかによいものがあります。

そして、マチコさんのこと。お父さんの中には妻としての、葉月さんの中には友人としての、そしてみお、つくしには母としてのマチコさんがそれぞれ存在している。今も。そうしたことが楽しげな日常の暮らしの合間に顔を出す。欠けた存在の大きさ、皆がそれぞれに抱えている空白というものが感じられて、思わずうっと胸がつまるのですが、けれどそれが必要以上に重くならず、湿っぽくもならず、むしろ愛おしさがあとに残る。そうしたみなの気持ちにじんとしますね。思うこと、思われること、その価値、意味、いろいろ思って、ぐっときますね。

『まじめの一歩』、いつもなんだかゆるい主任がちゃんとして、ああ、もしかしてこれでできる人になったり! とか思ったら、いやそうではなかったようだ。いつもどおりでない雰囲気に戸惑ったり、けれど中身はいつもどおり、安心してみたり、そうした石田の様子に人見知りを感じたり、また髪型を変えてみたところなど、ちょっと自信がないっていうのがわかったり、この人の普段弱気を強気で隠しているっていうのが実にいいなと思うのですね。

『結城ほうれんそう』、こちらもイメチェン、びっくりした! それにしても変わりすぎだろう。私なら、違う人と思ってしまうレベル。いつもは掲示板で交流している後輩と会う。後輩はこちらのことを気付いていない。いや、よいですよ。後輩ゆうきは妹を先行させて、そして結果的に追い払ってしまう。この出会えなかったってこと、ちょっと昔のドラマなんぞを思い出してしまって、ああ、すれ違い! ゆうきは、掲示板での山口と、そして職場の山口と、どちらにも気持ち揺らしていて、それがばっちり重なる、その時が楽しみで、ああ、このあたりは少女漫画みたいですね。その時を心待ちにしています。

『あつあつステップアップ』、ゲストです。関西から転校してきた女の子がヒロイン。好みの男子から手紙? と思ったらたこ焼だった。たこ焼屋の息子、本場の味を教えてほしいって、なかなかに唐突な申し出で、しかし売れない原因、ああー。おじさん、商売に向いてないよ! しかしヒロインのがんばってみせるところ、いいね、看板娘っぽい。商売には貪欲で、けれど恋愛には慣れてなくって、そうしたギャップの見えるところなどよい感じです。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第12号(2010年12月号)

2010年11月13日土曜日

『まんがタイムラブリー』2010年12月号

『まんがタイムラブリー』2010年12月号、発売されました。表紙は、冬の装いがテーマでしょうか。いや、これは人形か。『Welcome! つぼみ園」ことみ先生は園の皆の、『天使な小悪魔』はまるの兄、幹ですね。他に『放課後のピアニスト』、『サクラ街さいず』、『うさぎのーと』ときて、自分の人形を持ってる持ってないなど、ちょっとした違いで見える関係性の表現など、面白い表紙でありますね。

『この街のハテ』、おじいちゃんの退院。孫娘から見た像、義理の息子から見た像、そして犬のハテから見た姿、それぞれに違いがあって、ただただ喜ぶ孫娘があれば、心配も隠せない子の立場もあって、こうした多面的な組み立ては面白い。そして、そうした心配が融ける、おじいちゃんの思いがけない喜びよう、そして対話、思い出語り、じんとさせられますね。この漫画は、ちょっとしたところに人の情の機微を伝えてくれる。そうした情に読んでいる私の心も動く。いい漫画です。

『ただいま独身中』、ついに結婚式、っていうんだけど、ヒロインはなんだかいろいろやらかしちゃってて、このどうにもこうにも駄目なところ、どうしようもなく面白い。なんといいましょう、ある程度年月を経て、夢や希望だけじゃ生きていけないってこと知ってる女性たちの、どこかシビアで、どこか開き直ってて、けれど期待もなんかあったりして、そうした気持ちのいりまじった様子がすごくいい。思わず口にしてしまった嫌味、いや、嫌味のつもりはなかったのかも知らん。仕合せに嫉妬? 単純に嫉妬? 主人公の楓もそうなんだけどさ、友人たちもたいがいで、そのたいがいなやりとり、すごくよいなって思うわけです。経験上、こうした人とは変に気があう。一緒にくだを巻いたりしてさ、そういう近しさみたいなの、あんまりきれいじゃないですけどさ、感じちゃってるみたいなんですね。

だんつま』、あいかわらずの克ちゃんだけれど、その相変らずという状況を面白く描くのが本当にうまいですね。クリスマスパーティ、張り切って料理作りまくる夫。誉められて嬉しい。けど、せっかく教えようとしてくれてるレシピを断わる英理子、その理由が最高で、やっぱりこの相変わらずのやりとり、ものすごくうまいと思うのです。しかし、今回の面白かったのは、隣の旦那の手柄を自分のものにしようとしている英理子に怒ってみたり、あるいは折角の労作を煮込まれてしまったことに驚く、そんなひなよさんが面白い。全然動じない克ちゃんもさすがですが、克ちゃんのために心砕いている、そういう様子はほのかに情やら愛やらを感じさせて、すごくよかったのでした。

『放課後のピアニスト』、こちらもクリスマス。しかし最初の冷え性の話、これは本当に切実で、ずっと自宅にいるならいいんですよ。ストーブなりなんなりであぶっておける。けれど、レッスンや試験となると話は別で、手袋は絶対、カイロも装備、ほんと切実だった。まあ、試験は待ち時間にストーブであぶれるようになってるんだけど、定期試験ならともかく受験の時にはそんな横着な真似できなかったわけで、いやほんと切実でした。さて、高校生のクリスマス前。定期試験があったりパーティに持っていくケーキ作る話があったりして、いやしかしソラくんは器用貧乏の相が出ておるな。ほんと、なんか他人事とは思えない(私は、伴奏のお礼にお菓子を焼いていた)。彼の将来が心配です。そしてレミの体力の話、いやあこれも切実。その切実な願いをサンタクロースに託す。サンタクロースを信じる理由っていうのがふるっていました。もう、最高。レミさん、最高です。

『ぐだぐだしている女子高生の放課後 略して ぐだじょ』、つくづくはねる先輩は可愛いな。扉が可愛い、やってることが可愛い、しかしこの人、友達いないのか? いや、友達と撮るのがはじめてなだけか。ちょっと安心した。けれど、ちょっとしたことに楽しみやら面白さを見出して、そういうはねる先輩はすごくいいと思う。ちょっと子供っぽくも見える、けどそれだけじゃないと思う。なんだかね、満たされないなにかを埋めようと頑張ってるのかな? 考えすぎかな? でも、この人の日々を楽しもうとしている姿勢には素直に憧れちゃうなあ。そんなこと思います。そして最後の泣いちゃうところとか、ああ、本当に可愛いな。可愛さだけで好きだのいいだのいってるつもりはないんだけど、なのに結局はこの人の魅力に集約されてしまう、そんなところがあって、いやもう、やられっぱなしですよ。

ところでさ、近所のとんかつ屋さんのマスコットキャラ、思わずこやつを思い出してしまったんだけど、確認してみたら全然違った。自分の記憶のまずさに驚いた。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第12号(2010年12月号)

2010年11月12日金曜日

少女素数

 『少女素数』も冬の装い。3月発売の第1巻表紙におけるふたりは、真っ白なワンピースがしめやかに美しく、そして11月発売の第2巻はファーのついた真っ白なコート。あんずにすみれ、寄り添うふたりはほのかに和らぐ暖かみ。見るものの気持ちも自然とほころぶ、そんな絵柄であります。いや、ほんと、背景の白、コート、ブーツの白、そこにあんず、すみれのふたりが浮き上がってくるかのようで、静かで、遠くて、そしてやはり美しいのでありました。

『少女素数』2巻は、その前半分と後半分でちょっと印象が違ってくるな、そんな感想を持っています。前半にはあんずとすみれ、ふたりの姉妹としての姿が目立ち、そして中盤あたりから学校でのすみれの姿が際立ってくる。すみれの少し引っ込み事案で、センシティブな側面、それはこれまでにも描かれていましたけれど、ここでぐっと前面に押し出された感じ。ああ、すみれという子はこういう子なんだ、こうやって思い悩み、こうやって前へ進んでいく人なんだ。傷付きやすく、時に重荷に苦しい息をつくこともあるけれど、こうと信じたことは曲げない。そんな芯の強さを持っている娘で、あるいはそうした曲げられない気持ちがしっかりとあるから、いったん対立の生じれば疲れ果ててしまうのかも知れない — 。私は、描かれるすみれの像に、そうした人物の姿を思っています。

だからこそ、堀切さんはよかったな。すみれとはまた違った、自分のらしさを持った人。すこし大人に見える、けれど多分そうじゃなくて、自分の領域というものを意識してる人なのだと思う。この人に気にいられて、そこでまた人間関係のいろいろあったりもしたけれど、それを乗り越えていく様子、それはすみれのうちにある確かな気持ちの変化を思わせて、ああ、14歳という変わりゆく季節は、こうしたところにもその色を反映させて、ほのか、鮮やか、瑞々しくあったのでした。

さて、前半分の話、あのパジャマパーティーの話はべらぼうに面白かったな。あらためて思いましたよ。ページワンにおける凶悪双子コンボ、こうした策略の冴え、こうした味は『HR — ほーむ・るーむ』にもあったっけ。クレバーでスマートで容赦なし。こういうのが本当に好き。そして、すみれの人気発覚にぽつねんとあんず。これもすごく好き。最後の落ちのフリであるぱっクンも、少年の輝きがあって素敵だな。そう思って、そして落ち。この一晩にあったことが、ここにきれいに落ちてきている、そう思わせるものがありました。

各話の終わりに添えられたカット、それも面白く、本編の展開、その後の様子が垣間見える。ちょっとしたところに、人物が深まる。とてもいいなと思ってて、いや、それにしてもシュルツ泣きする有美ちゃん。これはすごくいい。もともとあの叫んでる表現が好きだってこともあるんですけど、いや、ほんと、すごくいい。ちょっとした必殺技だと思います。

前半に感じること、後半に思うこと、それらは少し違いながらも、けれどその両側面はひとつの状況を描くものに他ならず、それはつまりは、楽しくきらめく光もあらば、時にはメランコリーに沈む、そんな憂いもある。単純でなどありえない、そんな人の生きるということ、ある時期だけを見ても、こんなにも多面であるということなのだろうと思わされます。そして、多面であるからこそ美しい。強くもあり儚くもある、そうした相反する価値を内包する、人の魅力というものがひしひしと伝わってきます。

ちょっと余談。2巻を読んで、連載時には拾えていなかったもの、気付けたこと。それもよかったと思っています。誕生日の回にて、回想に語られた虫めがねの授業のこと。これは、後に関係してくる、そうしたものであるのだろうと気付いて、こうして読み返して気付くものがある。こうしたこともまた、単行本の楽しみ、よさでありますね。

  • 長月みそか『少女素数』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2010年。
  • 長月みそか『少女素数』第2巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊

2010年11月11日木曜日

学園カラーズ

 カワハラ恋の『東京!』が単行本になると聞いた時は、特に驚きもなく、やっぱり人気あるんだろうなと素直に受け止められたのでした。しかし、それが『学園カラーズ』と同時単行本化と知った時には、そこまでなのか! とここでようやく驚きました。しかし、『学園カラーズ』ってどんな漫画なんだろう。どんな媒体に掲載されているかも知らず、だから買うかどうかは『東京!』にて判断されるカワハラ恋のバリュー次第。買う、見逃す、どちら!? ええ、買いました。ええい、買ってしまおう、思い切って購入リストにいれたのですね。

その『学園カラーズ』、単行本発売に先駆けて、『まんがホーム』2010年12月号に掲載、それで掲載媒体がlivedoorデイリー4コマであること、そしてどういう漫画であるかを知ったのでした。とはいえ、雑誌に載ったたかだか数ページでわかるかというと、それはちょっと無理。やはり単行本なら単行本でまとめて読んで知る、それが一番であろう。というわけで、単行本の発売を楽しみにしていました。

読んでみての感想は、いやもう本当に好き勝手に描いているのだなあ、といったものでした。冒頭に、漫画のはじまるまでのことが描かれていたのですが、そこに好き勝手にやっていいならという台詞があって、で、この約束は見事にはたされたみたいです。タイトルカットも自由、各回タイトルも自由、タイトルの表記さえも自由。もちろん、内容も自由。そのときのノリみたいので描いてるように見えて、それが実に面白いんですね。なんというのでしょう、ずいぶん以前に先輩に押し付けられるようにして借りることになったマイナー系アニメ誌の読者コーナー、常連の面々が描く漫画があたかも連載のように毎号掲載されていたのですが、『学園カラーズ』からはまさにそうしたノリを感じたのです。

そうしたノリってなんだろう。それは、まずは自分が楽しんでいるってところなんじゃないかと思うのです。漫画に描かれていること、あるいは描くことを、作者自身がまず楽しんでいる。その楽しんでるっていう感じ、なによりも私が面白い! って感覚が伝わってくるから、読んでいるこちらも楽しく、面白くなってくる。ええ、そのこちらも楽しいっていうのが重要なんでしょうね。ひとりよがりではない。作者だけが楽しんでるんじゃなくて、作者も楽しんでいて、それが読者にも面白いっていう、共感的といえばよいか、気の置けない友人とおしゃべりしてるかのような感覚、そういったものがあるのですね。実際、漫画の中においても、そうした状況が描かれているわけですが、それを読んでいる私からして、そうした感覚を味わっている。それがすごく楽しくて、巻き込んでくれる、引き込んでくれる。本当に魅力的な漫画であるのでした。

  • カワハラ恋『学園カラーズ』(まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • カワハラ恋『東京!』(まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2010年。

2010年11月10日水曜日

『まんがタイムきらら』2010年12月号

『まんがタイムきらら』2010年12月号、昨日の続きです。

『モテブ!』、ゲストです。もてない男ふたりの、望み薄のもてたい漫画、といった感触。その絵柄に、最近の『きらら』誌は既存のイメージから脱そうとしてるのかな、なんて思っているのですが、確かにこういった毛色が違うタッチがあるのも面白いと思います。内容は、もてない男たちの勘違い恋愛期待ものとしてのスタンダード、そんな感じで、もういっそう強烈ななにかがあってもよかったかもと思っています。駄目な男ふたりに、主人公の幼なじみの女の子がつっこみ役として機能している。こうした前提があって、最後にモテ部発足。このモテ部がメインなら、今回はいまだ導入でありましょう。次回掲載でどういった展開が見られるか、それに期待したいです。

『ヤマトナデシコ』、男なのに双子の姉として学校に通うことになったやまと。いや、オタヒッキーなのに、といった方がいいのかな。おもてが苦手、対人苦手、女の子苦手。なのに女の子に取り巻かれて、右往左往、どぎまぎ、狼狽しているやまとの様子にやられてしまっています。加えて、本当は意気地がないくせに強がってる、やまとの妹さくらをライバル視してるちづる。なんのかんのいって、やまとはちづるに好意的で、やまとにつっかかっていくちづるも、いずれはなんか仲良くなっていきそうで、こういう不器用もの同士の関係、嫌いじゃないなあ。

『たべる部』、これいいですね。あのほっぺた引っ張られてる部長がかわいくって、もう大好きです。お餅みたい。今回、新たにひとり人物加えて、国府台灯子。一人暮らしで自炊してるっていうんだけれど、なんだかあんまり期待できない感じ。てきぱきと皮だけクレープを作り、タコなしタコ焼きを作り、キャベツなしお好み焼きを作る。なんて優秀なの! って、全部小麦粉といて焼いただけじゃねえか! そうした料理っぽいけど一味も二味も足りないもの、材料がなかったからじゃないっていうのがいい感じ。また、そうした一見優秀な新入部員に焦りを見せるヒロイン、江戸川橋円もよい感じ。読んでいて楽しい漫画です。

境界線上のリンボ』、しびれました。人の社会に受け入れられなかったフゥがたどりついたリンボ。人の世界と異形の世界、どちらでもありどちらでもないリンボはフゥを暖かく受け入れて、ああこれはひとつのユートピアであるかと思ってきたというのに、そのまさにすぐそばにあったディストピア。これはひとつの私たちの暮らす世界、社会、状況のうつしではないのか。しびれました。突き付けられる決定、残酷とも思える廃棄の決定に戸惑うフゥたちの姿は、常に単純ではない選択を迫られる、そうした現実の有り様に似て、これはこの先を期待しないではおられない。きっとハッピーエンドであろう、そう思っているけれど、あっさりと好転でも、あがいてあがいて好転でも、いや、どんな努力も報われないのだとしても、その先に描かれるであろうもの、それを見届けたいと思わされるものがありました。

『田舎の子』、ゲストです。まったく都会というものを知らない純朴な女の子、芹沢瀬波、この子のカルチャーギャップを描いて、なかなかに面白いです。地図を見て駅を探すのに見付からない。うん、地下鉄だから。同じ制服を見つけて、ついていったらファーストフード店。こうして出会った、妙にのりのいいふたりに冗談いわれて騙されて、時にはからかわれたりしながらの学校生活になるのかな? 気さくなふたり、素直なヒロイン。あまりにものを知らず、疑うことを知らない、そんな風にも思うけれど、面白かったです。

My Private D☆V、『アクアリウム』の博です。「乙女と帽子」、おお、これは魅力的。実際、帽子をかぶっている女の子、ちょっとボーイッシュだったり、あるいはフェミニンであったり、そうしたイメージを際立たせたり、あるいはちょっと変化させてアクセントにしてみたり、面白いアイテムであると思います。そして添えられたイラストも、ああ、とてもいいですよ。ところでこれは作者も想定されてないことかも知れないけれど、私はこの人の描く人物の、ちょっと憂いを感じさせるところ、たとえ笑顔であって、ほのかに憂いを帯びている? そんなところにひかれます。ああ、一面的ではない表情の、とても魅力的であることよ!

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第12号(2010年12月号)

2010年11月9日火曜日

『まんがタイムきらら』2010年12月号

『まんがタイムきらら』2010年12月号、発売されました。表紙は『ゆゆ式』、ヒロイン三人であります。くつろいでる、そんな雰囲気も感じられるイラスト。ノートに自由に手書きしましたというような背景も、なかなかに味わいありまして、こういうのすごくいいと思います。ただ、なんというか、あまりにイラストと調和してしまっていて、そう、かつての『きらら』の持っていた押し出し、D☆V語と揶揄されたりしてましたけど、そういうインパクトは弱い感じ。いや、これは洗練なのだと思います。実際、おちついていい表紙ですよ。あの、2010/12/DECEMBERのマークも手書きになってて、細かいとこまで凝ってる、面白く可愛い表紙と思います。

ゆゆ式』はドロップキックの話題から。いやね、昨日映画に出てくるドロップキックなどというのを読んでたところだったから、個人的にえらいタイムリーで笑ってしまいました。だいたいにして私にドロップキックっていうのは鉄板のネタで、それは間違いなくギタリスト打田十紀夫氏のドロップキック話のせい。だって、ライブでこういう話が必ず出るんですよ。しかも面白いんだ。もう、血尿が出る話とか最高で、だから私は今回のドロップキックネタで、縁の腎臓を第一に心配したのでした。

しかし『ゆゆ式』ってのは、私でいえばドロップキックみたいな、ほかの人にはわからないだろうけど、本人たちにはやたらと面白い、そういうはまってる状況っていうのが描かれてるんだろうなっていうのを痛感させられます。もちろん、彼女らの面白がっていることを、同じように面白がれると一番いいのでしょうけれど、常にそういうわけにもいかない。けれど、彼女らの面白がっていたりする様子、あるいは主にゆずこの調子にのってぐいぐいと押している様子、そういうのを見ていると、面白さではなく、面白がっているというそのことがじわじわ沁みてくるようでおかしくなってくるんですね。なかなかに今回もじわじわとくる、いい回でありましたよ。

『チェリーブロッサム!』、気にいっています。今回もとてもよかった。主人公日吉と幼なじみつばきがメイン? そのために、いつもとはちょっと違った雰囲気があって、しかも、これ、今後に繋っていきそうな展開ですよね。つばきが機嫌をそこねたのは、日吉が約束をまもってくれなかったから、しかもその理由に代官山とかいう先輩が出てくるっていうこともあったのかな。で、その大倉山先輩当人と知らず知り合ってというね、これは実に期待したい。そして最後に約束がはたされて、日吉、つばき、ふたりの気持ちが、互いにごめんそれはちょっと分からないのだとしても、なにか通じあっている、わからないながらも受け止められてるのかなって感じに思える、とてもいいシーンが。余韻のある本当にいいシーンでありました。

『少女公団アパートメント』、とてもいい感じ。今回は服を買いにいくのですけれど、服を選ぶ、服を買う時のハイテンション、それがひとりひとりで違ってて、とりわけ張り切ってるさくら、引っ張り回されて嫌になっちゃってるなつみ、面白いんですね。服を選ぶときにも個性が見えてくる。移り気なろか、落ち着きのある、あるいは思い切りに欠けるちさ、違う個性が違う個性にひっぱられるっていうのが見える、その様子がよかったです。そしてなつみのマフラー。欲しいと思ってそうなのに、買うのを躊躇してる。それを思い切らせるろかとちさ、でもって最後のなつみの表情、これはもう本当によかった。いい話でした。

『ねこたま。』、ゲストです。最近の『きらら』には異色と思える、そんな雰囲気の絵柄、色合い。ちょっと水彩っぽい? けれど読んでいけば、いずれおそらくはそう遠くなく馴染んでくるのだろうな、そんな風に思うところもある絵柄です。さて、通学時間を短縮するため、亡くなった祖父のうちに一人暮らしすることになった女の子田中あつ子が、おじいちゃんの家で出会ったネコマタの女の子、タマと同居することになる。最初は同居を拒んだタマを、あの手この手で説得して、そしてだんだんに仲良くなっていく、そんな様子が見える序盤、悪くないなって思いました。内容といえば、若干薄めではあるのですが、この先がどうなるかはちょっとわからない。続く掲載を楽しみにしたいと思います。

『ふたり。』、ちょっと気にいっています。ゲスト2回目ですね。変わりものカップル石井、赤坂のふたりのやりとりは面白いし、それに寺島に好意を持ってる佐々木が可愛いし。佐々木に対する先生と赤坂の攻勢、これがことさらに佐々木のよさを引き出しているなと思うわけですよ。そして、最後に素直さ見せる赤坂。これはキュート。そりゃ石井くんも照れてしまうわ、と思ってしまう。普段冗談めかしたやりとりばかりしてるせいか、素直さっていうのが強烈に作用するのでしょうね。ふたりのこうした初々しさ、見ているとなにか穏やかな気持ちになりまして、見守る、そんな思いになってしまうのですね。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第12号(2010年12月号)

引用

  • 茶菓山しん太「チェリーブロッサム!」,『まんがタイムきらら』第8巻第12号(2010年12月号),58頁。