2010年5月13日木曜日

『まんがタイムラブリー』2010年6月号

『まんがタイムラブリー』2010年6月号、発売されました。ということで読むのですが、まだ落ち着いてないっていう誌面であります。冒頭、大乃元初奈が3本連続できて、連載もの、他誌からのゲスト、そして新作と、なんだこのよくわからない状況。初登場は他に3作。口八丁ぐりぐらの『前略・ここにいます』、池尻エリクソンの『トノサマガァ〜ル』、るうのの『愛myファミリー』。ゲストは2作、七瀬充の『ポンテ!』、HEROの『ちはる日和』。ほかにニューフェース枠があって、日路の『この街のハテ』、くりきまるの『おしかけワーカー!』、カガミイチの『わた想い』。その影に終わったものもあって、藤凪かおるの『パニクリぐらし☆』、ねむようこの『ペンとチョコレート』、伊藤彩の『空に唄えば』。ああ、『空に唄えば』が終わってしまった。危ないかなって思ってたんだけど、ああ、そうか、終わっちゃったか。もう、もう今日は、なにも書く気力ない……。

といってもいられないので、駆け足で書きたく思います。できれば新しい漫画にはコメントしたいと思っているから、新しいものを中心に。というか、新しいものだけ、それから終わったものにもコメントしたいと思います。前述のリストから、『前略・ここにいます』、『トノサマガァ〜ル』、『愛myファミリー』、『おしかけワーカー!』、『わた想い』、新しいものはこれを取り上げます。一応コメントすると、『ポンテ!』好き、『ちはる日和』いい感じ、『この街のハテ』悪くない、どれも好感触です。

『前略・ここにいます』、この人たちの漫画はスロースタートという印象があるのですが、今回もちょっとそんな感じです。木の根本を掘る女性がひとり。タイムカプセルを掘り出そうとしていたのですが、空っぽだったという出だし。そこにヒロインとその友人の挫折が語られるんですね。おそらくは、挫折からの復帰、それがテーマになるんだろうなあ。と思うのですが、なにしろまだ出だしも出だしです。ちょっと謎を隠して、まずはヒロインと主人公の関係を深めていこう、そんな感じです。

『トノサマガァ〜ル』、池尻エリクソンは『かしこみっく』の人ですね。眼鏡の女子高生、天花ふぶきがヒロイン。地味でおとなしそうな彼女が、眼鏡をはずせば一転織田信長になってしまうという、なんだそのわけのわからん設定は! 絵柄はおとなしめであるけれど、そこはかとなくただよう一癖あるテイスト。これ、正直いうと苦手なんですけど、だから第一回目も苦手な感じなのですけれど、けれどこの人には実績がある。もっと苦手だった『かしこみっく』、今、めちゃくちゃ面白いですから。だから、これは期待してしまいますよ。ヒロインが眼鏡だからじゃないよ? ついでにいうと、『前略・ここにいます』のヒロインも素敵な眼鏡よ?

『愛myファミリー』、なんだか独特な絵柄。可愛い系の漫画であるのですけれど、男から見ての可愛さというよりも、マスコットっぽい可愛いさです。少女誌とかに載っててもおかしくない、そんな雰囲気です。内容はというと、大家族ものです。けれど、別に貧乏だったりはしないようで、ほのぼのですね。子供5人の3世代同居で9人家族。ヒロインのお付き合いしている翔クンは、そんな大家族に憧れている模様。ちょっと恥ずかしがるヒロインと、その彼氏の受け取り方の違い、ギャップがいいなって思っています。

『おしかけワーカー!』、フリーデザイナーの兄と、広告代理店の営業さんの関係を、はらはらと見守る妹、っていう構図。兄のこと好きな妹が、兄に接近する女性に警戒を示すというのは、よくあるパターンですけど、そのお姉さんがとんでもないやり手で、この兄妹の生活を握っているという状況示されるところなど、なかなかにすごい。ちょっと面白いじゃないか、そんな感想もちました。一途にただ好きで押すというだけではない、強烈な実力行使。けど、恋愛ごとはちと苦手。面白いかなって思っています。

『わた想い』、これはちょっと面白い。主人公はジョーザイ、錠剤のぬいぐるみですよ。ぬいぐるみが主人公というのも面白いけど、それが錠剤。これ、実際にあるならちょっと欲しいかもって思います。でもって、ぬいぐるみたちは、ヒロインの留守中、なんかコミュニケーションしてるんですね。その光景、ちょっとシュールで、楽しくて、かと思えばヒロインのジョーザイに対する扱いに関するぬいぐるみからのコメント、洗濯とかね、なんか変に情緒的で、なんか気にいってしまいました。とりあえず、これら、続けて読んでみたいなあ。そんな感じです。

パニクリぐらし☆』、最終回でした。前回、誓いの言葉を口にしなかった長瀬さん。その真意が明らかにされて、それは楠兄妹の父に対する思いからなのですが、長男一志が父に対して思っていたこと、それが語られて、そう思ってたのならあの態度はないんじゃない? 兄貴、なんて思ったりもしたのだけれど、でも、いいラストだったと思いますよ。そして、長瀬さん、もう楠さんか、いい感じに楠家の家風に順応して、これまでの関係を見てたら、確かにこんな感じになりそうだなって納得できる、そんなラストでありました。長く続いた漫画、楽しく読んできて、そしていいラスト。とてもよかったです。

『ペンとチョコレート』、最終回です。最終回はフタバトワコをではなく、書店員の視点から描かれて、ああ、フタバトワコはこのように愛されていた漫画家で、その復活をこうして喜ぶ人があるのか。なんだか嬉しくなって、じんとする、そんな話でありました。木ノ下オレンジ、フタバトワコ、ふたつの名前。彼女の選択は、ひとつの結果を出したのだなと思える描写があって、そして書店員の女の子の漫画に対する愛が広がって、そしてフタバトワコの今に繋がって終わる。こういう終わり方、嫌いじゃないです、いやむしろ好き。この漫画は、もうちょっと読んでいたかった。でも、いい終わりなのかも知れないですね。

『空に唄えば』、予想外の最終回でした。路上ライブをやろう。まだまだうまくないけれど、やるといったらとまらない。そんなひばり、好きだったんですよね、前向きで。この路上ライブを通して、合唱をするということ、一緒に歌うっていうことを皆、確認した、そんなところに、最初は次のステップのための布石なのかなって思ったのだけど、最終回としての結論、であったのですね。キーボードが欲しかった。けれど買えたのはピッチパイプ。ちょっとずつ前に、できる範囲で進んでいこうという、そういうところがよかった。だから、よかったままに終わった、そんな感じであるのですね。でも、本当いえば、もっと読みたかった、そんな気持ちが残ります。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第6号(2010年6月号)

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