2010年5月18日火曜日

天下無双!恋メガネ

 富永ゆかりはやっぱり面白いな。そう再認識せざるを得ませんでした。『天下無双!恋メガネ』。恋愛の機微にうといお嬢さん、大沢天華をヒロインとしてくりひろげられる恋愛の悲喜劇。いや、ごめん。悲はいらんかった。子供のころから恋愛に失敗し続けた彼女の悲願、彼氏ができたら眼鏡をはずす。しかし、いまだに眼鏡をかけているという事実が事態の推移を物語ります。しかし、この天華さん、もう半ば諦め気味なのか、あまり恋愛にがつがつしていなくて、けれど恋愛に夢見ているところもあってという、そのバランスがうまくとれていて、すごくチャーミングであったのでした。

この漫画の面白かったところ、なんだろうって思えば、やはり天華という人の個性をいかしたネタの数々だったと思うのですね。恋に純情、仕事に有能。よくあるといえばよくあるギャップ。けれど、それが面白い。面白くするためのくすぐり、仕掛けが仕込まれて、いうならばうまく調理されている。昔の失恋経験が今に生きているとか、恋愛に関してうといためにとんでもない発言してしまってるとか、ほら、連須くんの主食系に対する反応とかめちゃくちゃ面白かった。時にスタンダード、時に流行のネタを取り入れながら、面白み引き出し、そして面白さの向こうに結構シリアス、大切だなって思えることを描いてみせたりと、懐の深い作家だなあって思わされることしばしばであったのです。

天華さんが面白いのはこれまでにもいったとおり。そしてそこに、さらに一癖ある登場人物が出てきまして、江村くん、名前にもあるとおりMの部下なのですが、天華さんのこの人へのご褒美、笑わないではおられない。他にも天華様を狙うお嬢様白百合さんとか、幼なじみで片思いの連須くんとか、で、白百合さんの連須くんへの微妙ないやがらせとか最高なんですね。もう、どうしても笑ってしまう。で、天華さんの連須くんへの誤解も!

最後の最後に、連須くんが天華さんの愛を勝ち取るのかなあ、なんて思いながら読んでいたのですが、そうした明確な終わりは用意せず、けれどなんだか未来は開かれている、そんな印象を残すラストでした。思えば、天華さん、毎回の終わりにはちょっと前向きな気持ちが描かれてた。そのおかげで、なにか気持ちが明るくなる、嬉しくなる、そんな読後感得られて、そうしたところも好きでした。ええ、いい漫画であったと思っています。

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