2010年10月31日日曜日

アヴァンギャル堂!!! こんぷりーつ

『アヴァンギャル堂!!! こんぷりーつ』。『月刊コミックブレイド』に掲載されていた漫画です。ってまるでわかってるように書いてるけれど、教えてもらうまでよくわかっていませんでした。読者コーナーの下四分の一のスペース、右から左に、巻物みたいにして載っていたのだそうです。コマのサイズが可変であるためか、四コマ漫画読むような感触はなく、なにかフィルムロールを見ているみたいな感覚でちょっと新鮮です。で、これがですね、同人誌でまとまっているのでどうぞとおすすめされまして、なるほどそうであったのか、買わねばなるまいと買ったのでありました。

しかし、アヴァンギャル堂っていうの、なにかと思ったらちょっとマニアックなDVD店、しかも第1回時点ですでに潰れているっていうのは笑ってしまいました。もう、ないんだ! タイトルなのに! で、その店の目的がへんてこで、客の悶々エナジーを集めるために淫魔が経営していた。しかし店がなくなってしまったので、客の中で一番エナジーを放出していたという理由でもって、自宅まで押し掛けてきた。すなわち、押し掛けヒロインものであるのですね。

漫画の掲載形態もあったのでしょう。あまり込み入った話を展開することはできなかったそうで、ヒロインが学園祭にやってくる、それだけの話でなんと2ヶ月にわたってしまうのですね。だから表現の中心は、ヒロインななの過剰なアタックと、へたれゆえに防戦、退けようとする主人公栄、ふたりの応酬となって、しかしハイテンションな押しと、負けずハイテンションな押し返しは見ていてテンポよく面白かった。下四分の一スペースを抜けた最後に、ページ一枚まるまる使った漫画がくるんですが、ここが実に見せ場でありました。ウホッ! いい姉! ベタったらベタなんですけどね、けど、そのインパクトは効果的、しかもこの後に意味不明な葛藤がくる。バ… バレンタイーン! からヒィィ 栄さんが痴漢に! の流れも本当によかった。これまで散々痴女だなんだといってたのに、痴漢の凶悪さはなにか格別のものがあるなあ。なんといいますか、思い知らされたように思います、なにをかはよくわからんのですが。

全12回、さっきもいったように、ちょっと込み入った、というか文化祭にやってきたヒロインに、なかなか素直になれない主人公が少し気持ちをあきらかにする、普通なら1回分で描ききれそうな内容が2ヶ月にわたってしまう、実質月あたり2ページほどしかない漫画です。けれど、その少ないスペースで、淫魔だ、痴女だ、魔界ナマコだ、どたばたちょいエロを展開しながら、その実、魔界からきたななと、生身の女性を苦手にしていた栄、ふたりの交流もの、気持ちの近づいていこうという、そうしたことが描かれようとしていたのだなと感じさせるラストでありました。そして、そうしたラストを唐突と感じさせないのは、事前にちゃんとふたりの気持ちの動きを予測させる描写があったから、ええ、文化祭の話ですね。少ない紙数、限られたスペースで、けれどそこに表現したいものをのせてくる。こうした表現のあったおかげで、にぎやかだった漫画、そのにぎやかさに膨らみ、うるおいが加わった、しっかりと心に跡を残す、そんな漫画になったと思うのです。

  • 風華チルヲ『アヴァンギャル堂!!! こんぷりーつ』美彩'd,2010年。

引用

  • 風華チルヲ『アヴァンギャル堂!!! こんぷりーつ』(美彩'd,2010年),13頁。
  • 同前,37頁。

参考

2010年10月30日土曜日

『まんがタイムオリジナル』2010年12月号

『まんがタイムオリジナル』2010年12月号、先日の続きです。

『満開!Sister』。相変わらず姉妹に振り回される武士ですけど、振り回されながらも、だんだんに馴染んでいってる。姉のことも妹のことも、大事に思っているんだなってわかる。いい感じに展開してきています。しかしこの漫画は、お母さんも姉さんも、ずかずかと武士に歩みよる人があれば、妹さくらのように、無垢なふり(?)してうまいこと操縦したりする人もあって、素晴しいな。さくら、大好きです。でもって、カンナのスケジュールに驚きながらも怯まない武士、いい弟さんじゃないかって思うわけですよ。自分は実際に弟ですが、姉のためにこんなには動きません。ええ、武士はとてもいい人です。

『極限ラボ』も面白い。脳ミソ透けてる帽子とか、すごく馬鹿馬鹿しい。けど、その馬鹿馬鹿しさ、すっかり面白く感じるようになってしまってまして、「感動のクライマックス」から最後の大オチへの流れも最高に面白かったです。というか、大オチがもう、何度見ても笑ってしまう。ベタなんですけどさ、それでも笑ってしまわないではおられないものがあるんですね。こういう、シンプルでおかしい漫画、いいもんだなって思います。

『宇宙人ピョートロ一家』も、なかなかに面白いではないですか。主人公の男の子、小鳥の脳ミソを狙っている宇宙人たち。お姉ちゃん美鳥に遭遇して、圧倒的に負けてるっていうね。ああ、やっぱり姉とは怖ろしいものなのだ。地球人のみならず宇宙人にとっても、ユニバーサルに怖ろしいものなのだ。実に納得させられるお話でした。しかし、この姉がすべてにおいて優位、そういうわけでもなく、最後の一本、なんか残念なことになってる! っていうのとかね、こういうバランス、いいと思います。がんばれ、お姉ちゃん!

『うわさのユーレイちゃん』、基本の線を維持しつつ、ユーレイちゃんの学校での交流が描かれてる、それが実にいい感じです。今回登場のヒトダマ、その活用とかね、実に面白い。ほんと、こんなヒトダマならひとセット欲しいなって思う、そんなヒトダマ。ほほえましく、面白いです。そして、最後の話も、姿は見えない、声も届かない、けれどできる交流はある、伝わる気持ちもあるっていうのね、すごくいいなって思って、こういうの大好きです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第29巻第12号(2010年12月号)

2010年10月29日金曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年12月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年12月号、昨日の続きです。

『もうダメかもしれない』、世界征服を狙うお嬢様が、クラス委員長にいいようにあしらわれる漫画であるわけですが、今回もいい感じにやられています。あの、女王様で釣って、自分はしれっと現実的な回答になおしとく。いい性格しています。けど、この漫画の面白さは、世界征服なんて非常識なこといってる当人にも、それなりの常識があるみたいってところなんではないかと思っています。自分で経験して痛かったから、どんどん罠をソフトにしていくとか。そもそも自分で試す必要ないのに、こういう妙にお人好しで、騙される、自分で罠にかかる、そのあたりのダメなところ、それがよいのだと思うのですね。

『商店街ヘルズゲート』、ゲストです。悪魔のお姉さん、佐谷と同居する直太郎少年が主人公。明らかに佐谷さんが年上っぽい容姿していて、それで明確に直太郎の片思いという状況も提示されて、こうしたの、わりとありそうな設定なんですけど、この漫画、実際に読んでみればなにか独特な雰囲気があって悪くない感じです。どうも落ち着き気味な佐谷、直太郎ふたりに、どうも直太郎のことが好きそうな(それもあからさまに)お嬢さん、虎姫さんを加えることで、状況に動きを作っていく、そんな感じみたいです。悪魔の佐谷より、虎姫の方が非常識というのもなかなかですが、妙に常識人で小市民的な佐谷、この人が商店街会長っていうところ、妙に楽しみにさせられます。

『ねこのひたいであそぶ』、これ、面白いです。夏休みも終盤、みんなで川に遊びにいこう、という子供たちというよりも、それを阻止する先生がいいんです。なえに追求されて連れていくことになる。お酒を飲もうとする同僚教師をとめるその理由なんかも、いい感じにあかんっくて、すごくいい。花咲先生、ちゃんとしてそうで、けどそうでもない。それが完全に愛嬌になってる。子供たちもよく懐いてるし、種山先生はからかったりして、愛されてるっていう感じがびしびし伝わってくるんですね。その気安い雰囲気の中、焼き肉、川遊びするという描写が楽しい。ネタとしてはむしろ淡々と、必要以上に盛り上げようとしないところがあるのだけれど、その穏やかなノリがいい味になっていると思っています。ライターとかさ、カボチャとかさ、着替えとかさ、水切りとかさ。なんともいえず、楽しく、面白くって、気にいっています。

『ちはやとまお』、終わっちゃうのか。私、この漫画、気にいっていたんですね。力の抜けた千早と万桜のコミュニケーション。積極的に面白いっていうんじゃなくて、ふたりのかもしだす雰囲気、それがあんまりにほのぼのとしているものだから、読んでいると知らず微笑んでしまう、そうしたタッチが好きだったのでした。ふにゃっとした、やわらかいというか、ゆるいというか、そういう絵も好きで、今回はちょっと荒れてるように思うのですが、そうか、この漫画も次回で見納めなんですね。

今回は猫をあずかる話。万桜には噛み付く猫が、千早には懐いてっていう話。千早の、猫を歓迎して、どんどん情のうつっていくところ。もうすぐお別れとわかっている、だから少しの時間も可愛がろうとしている様子、そして胸の重さに猫を思う。そうした千早の心情、いいなって思うのですよ。途中の、噛み付かれて困ってる万桜の様子もすごくよくって、だからやっぱり終わってしまうこと、残念。でも、終わることをことさらに悲しんだり騒いだりするんじゃなくて、千早がそうだったように、残る時間を大切に、残る一回を大切に読みたく思います。

  • 『まんがタイムきららキャラット』2010年12月号

2010年10月28日木曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年12月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年12月号。やったね! 『Aチャンネル』がアニメ化決定!! いや、表紙に書いてある。テレビアニメになるんだそうでして、そうかあ、面白いものになるといいなあ。多分、というかかなりの高確率で見るんじゃないかなって思います。というわけで、表紙のイラストも『Aチャンネル』、トオルとるんちゃんであります。あっけらかんとした笑いが印象的なるんちゃんに、基本クールなトオル。トオルの細っこい感じ、アニメのビジュアル見ても、なかなかにそれっぽく表現されていていい感じですね。

『セカイ魔王』は魔王側の導入編でありますよ。記憶を失った少女。ひとり巨大な館に残されて、そしてそこは実に不思議な世界。思ったことが事実になる。空を飛ぼうと思えば飛べる、そんな場所(いや、実は場所は関係ないんだけど)で、かつて創っておいた記録係にレクチャーを受ける。勇者側があれなんですから、魔王側もこうであったか。自覚はあっても実力に欠ける勇者、実力は確かでも自覚が足りない魔王。足りないもの同士の話なのでしょうか。しかし、そんなことどうでもよくなるくらい、魔王が可愛い。この人になら征服されてもいいなあ。滅ぼされることに関しては、とりあえず意見保留です。

アクアリウム』、夏休みの様子、魚の夏バテを心配して学校にいくゆうさんです。学校は水槽までの道中で、ちほの、そしてかよのバックグラウンド? ちょこっとずつわかっていく。また、ゆうについての第一印象なんかも語られて、なかなかによかったです。ちょっとゆうの内向的なところや、友人の結構ドライなところにいろいろ思う様子、この人のらしさがよく表現されていてよかったです。見た目には大人しい美少女、けれど魚のこととなると一気にスイッチが入る、このギャップは、この漫画の読み始めのころ、私も感じたように思います。けど、このギャップが魅力なのだと思います。面白い回でした。

『もこもこBOX』、実にいい感じです。ラビのお母さんの作ったエビグラタン。ものすごくおいしいらしいというのですが、そのおいしさが、グラタンを直接描くのではなく、熱々のグラタンをほふはふいいながら食べるマメ、懸命にふーふーして食べるカッチ、その食べている描写から伝わってくるのが素晴しい。グラタンが食べたくなりました。けど、うちのグラタンはそんなにおいしくないからなあ。自分で作るか、食べにいくか。おいしい店はないものか、など、グラタンに対し本気にさせてしまう。そんな威力がありました。いや、ほんと、レシピを調べてしまっています。材料買ってこようかなあ。カッチがいれば絶対に作るんだけどなあ。などなど、愚かなことを考えてしまっています。

『かためで!』、連載だそうですよ。帯刀文化の残っている世界での女子高生三人組の日常が描かれる漫画。こちらの世界でいう携帯電話みたいなポジションなんでしょうか、武器としてではなくオシャレなアイテムみたいな、そういうものになってるんですね。そして今回、海にいきました、ということで水に強い刀、水刀が登場です。水着でも帯刀、すごくナンセンス。基本的に、やってることはあんまり刀関係なかったりする、そんなエピソードも多いのですけど、そんなさなかに刀ネタがぽんと放り込まれる、その唐突さ、際立つナンセンス、こうしたセンスが好きなんですね。

先月号についてもこんなこといってました。

Blogには書いてないけど、『かためで!』、実はものすごく気にいってる。今回も面白かったよ。だんだん帯刀(携刀)の設定、あの世界での法整備みたいのね、できあがっていくのが面白くて、もう大好き。いや、最初からいろいろ決まってるのかも知れませんけどね。

ええ、さりげなく日常に存在している刀。それがよいのですね。刀の身近に存在する世界、それが気負うことなく、じわじわ少しずつできあがっていく、その様子が気にいっているみたいなんですね。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第12号(2010年12月号)

2010年10月27日水曜日

『まんがタイムオリジナル』2010年12月号

『まんがタイムオリジナル』2010年12月号、発売されました。表紙は自宅でのくつろぎスタイルでしょうか。あったかい格好している山下さん、実にいい感じです。ちょっとおめかししてるような気もするのですが……。他には、秋味っぽいの飲んでる榊先生、ひざにはどこかで見たことある猫がいたりして、そしてタコのぬいぐるみ抱いてるらいか、ポッキーっぽいの食べてるカンナ、さくら姉妹、コアラの三郎を抱いてるアサヒ。秋の夜長となると、パジャマ姿、これがどうも定番である模様ですよ。

さて、今月は最終回が沢山あって、正直なところ軽くショックを受けていたり。具体的には『開運貴婦人マダム・パープル』、『SPさん』、『アトリエZOOへようこそ!』、『花の委員長』、『時間がない!!』のいつつ。ん? いつつか、思ったより多くないな、っていうか四コマ誌ではわりとよくあるペースのような気もしてきた。雑誌後半で、ばたばたと最終回が続いたから、多いと感じられただけなのか。うん、多分そうなのだと思います。

『アサヒ! — 動物園に行こう』、ページ数少なくてびっくり。けれど相変わらず面白い。竹之介の芸達者ぶり。散髪までするのか。ということは、このハサミも竹で作ったんだろうなきっと。そして象の親子、このシリーズ、妙にシビアで、なんともいえない味があって大好きです。お母さん象のイライラ、お父さんに対して気が立ってるって描写、変なリアリティがあって、めちゃくちゃ面白いんです。このシリーズ、動物だからこそのようにも思って、だって人間だと生々しくなりすぎてしまう。いや、ほんと、いいバランスが成立していますよ。

『お茶の間クエスト』、面白かったです。『ポケモン』ならぬ『ポタモン』の話題。2種類買ってきて、ひとりで2本遊ぼうとするヒロインなんですが、これ、みんなそうやってるのか? しかしね、ヒロイン遊とゲームから出てきたアリサ、ふたりの別れがあるだろうということをほのめかしながら、そのときにきっと悲しくなるよっていうネタは、すごくよかった。ゲームがらみのネタばかりでなく、友達としてふたりが仲良くしてるっていう肉付けがされたと思った、その感触がよかったと思うんですね。そしていぶきと対戦。その経過にも、予備校などね、なかなかに面白いところあって、そして最終ページ、1本目も2本目も、とてもよかったです。

開運貴婦人マダム・パープル』。最終回はこれまでに出てきたキャラクター勢揃い、そうした雰囲気があって、ああ通訳の松下さん。ありましたね。占い師ふたりが占いで会話するから不要みたいなネタでしたっけ。懐かしいといえば懐かしい、というか忘れてました。ごめん。「ねこやなぎ」店主、銀子さん、魅力的。で、元・地縛霊、こういうネタもいい感じ。思いがけない展開もあれば、その展開において障害となりうる人、伸子も円満に排除されて、整理されていってる、そんな気持ちがしました。けど、実際最後に全員ひととおり顔見せして、それぞれの決着を描いていったというようなラストだったのに、それが面白かったのは作者の力量なのだろうなって思います。面白かった。いい漫画であったと最終回にしてなおさら実感しました。

『ひよりすと』、強烈。姉のスカートをあさる弟草介。しかし頬摺りだの匂いを嗅ぐなど、誤解を解くための例示が酷い。しかし姉のスカート、よりにもよってこの姉のスカートは草介には無理だろう。サイズ的には妹か、と思ったらどうも母のを借りる模様です。しかし、草介の姉好きには困ったものですね。あの、かっ…可愛いのは…可愛いのはお前だバカやろう — !! とか、本音丸出しだなと思いながら、あえてサイズがあいそうな妹ではなく姉のスカートをあさったのか、その真意が透けている、そんなこと思ったりしたのですよ。そしてブラ、代引きの宅配受け取りにブラ。なぜか逆ギレ。これはあかんわ、これは面白いわ。そして悲しい現実描いて、ああ夢もなければ希望もないのか、この世には。その夢を根こそぎ刈り取るような絵面、最高でありました。

  • 『まんがタイムオリジナル』第29巻第12号(2010年12月号)

引用

  • 魔神ぐり子「ひよりすと」,『まんがタイムオリジナル』第29巻第12号(2010年12月号),89頁。

2010年10月26日火曜日

『月刊アフタヌーン』2010年12月号

 『月刊アフタヌーン』2010年12月号、発売されています。正式の発売日は昨日ですね。さて、表紙は『げんしけん』。二代目とのこと、期間限定復活連載なのだそうですよ。『げんしけん』、人気あったそうですが、私はこの漫画を読んだことなくってですね、オタク、マニアのことを描いたものだっていうことは知ってる。逆にいえば、それくらいしか知らないんですね。前提となる情報をまったく知らない、雰囲気くらいはなんとかわかるかも、そんな状態での二代目。なかなかに面白いと思ったから、前作知ってる人はきっとすごく面白いんでしょうね。

『ネクログ』、先月はじまった漫画。この人の漫画『もっけ』、好きだったので、『ネクログ』にも期待しています。しかし、いい感じにオカルトであります。舞台は中国、屍体を操る道師があって、そして屍体があって、その屍体の幼なじみがいて — 、登場人物を書き出すだけでも普通じゃない。けれど、この決して優しくない設定がこの作者らしいと感じられます。だってヒロインの美少女が屍体で、ベチャベチャと他の屍体を食っちゃう。微妙にハードなんだけれど、基本は楽しく読める? コメディだと思うんですね。これから先、道師の目的とかね、そういうのがだんだん見えてくれば、より一層に面白くなりそうです。

『友達100人できるかな』、やっぱりこれ面白い。プライドが高く素直になれない女の子、山本杏が今回の友達候補なんですが、この子、友人たちの前じゃ直行なんて目じゃないわ、みたいなふりしてるのに、ちょっと人の目がなくなるとものすごく自分の気持ちに素直になってるっていうのね、ものすごくいい。しかし今回は、友達の手前素直になれない杏と、大人として対処しようとしたために本音でぶつかれなかった直行、ふたりともに素直であれなかった、それゆえの劇であったのだなって思わされる話でした。しかしさ、最後のさ、傷心で街を去ろうとする杏に自分の気持ちを伝えようと自転車を走らせる直行、この真正面からぶつかっていく、こうした描写こそがこの漫画の真骨頂であるな。思わず目頭が熱くなる、実に力のあるいい漫画であると思います。

百舌谷さん逆上する』。今回は百舌谷さんよりちーちゃんの方がメインって感じです。ちーちゃんとむーちゃん、小さな頃の思い出が語られて、なるほどこういう経緯があったのか。と思っていたら、なんか酷い状況に……。しかし、むーちゃん、思った以上に酷いな。いつもはこれを隠しているのか……。おとなしくて、ちょっとおどおどしてる、そんな娘だと思っていたのに、千鶴という人をよくよく把握して操縦してしまう。結構なやり手だったんですね。もっと好きになりました。

しかし、実に酷い話。千鶴踏んだり蹴ったり。丸めこまれてコスプレ。失恋が確定。傷ついて落ち込んだまま、パープルローズで町内疾走。つらい、ひどい、いたたまれない。さらにコスプレのりのりのむーちゃん到着で、いや本当にいたたまれない。加えてむーちゃんに当たるちーちゃん、本当にいたたまれない。けれどここからぐっと一気に持ち直す、異様なノリで盛り上げる、そこが実に素晴しかった。あの竜田の兄貴が参加したオフ会、そこで異彩を放っていた師匠、彼まで加わって(というか、それ、声かけ事案だろう)、壮大なスーパーヒロインタイム。馬鹿なんだけれど、いたたまれないんだけど、べらぼうに面白かった。むしろ感動してしまったくらい。大変にいい話でありました。はいいんだけど、むーちゃんの背景に描かれた花が気になります……。

2010年10月25日月曜日

At a street corner, taken with GR DIGITAL

Reflection on shadowGR Blog、トラックバック企画。先月はちょっと異例のフリーテーマでありましたが、今月はいつもどおりといいますか、テーマを決めての募集です。2010年10月のテーマ、それは「影」。まんま影を取り上げてもいいし、シルエット、陰り、などなど、影から連想されるもの、なんでもいいということ。まさに発想力が重要というのでしょうね。というわけで、トラックバック企画「影」に参加します。

2010年10月24日日曜日

『まんがタイムスペシャル』2010年12月号

『まんがタイムスペシャル』2010年12月号、一昨日の続きです。

『ポンチョ。』のカレシは、彼女連れてくるよといって、ポンちゃん連れていって、いやもうそろそろ彼女ってポンちゃんのことなんじゃないかと誤解されてもいい頃合いだと思うんだ。いや、以前そんなことあったっけ。冗談はさておき、職場の先輩と鍋パーティー。参加者はポンちゃんとアキラちゃん。実にいつものメンバーであります。しかし、先輩、いい暮らししてるなあ。いい男、ちょっとキザ、いいマンション、料理でもてきぱきと手際いい。カレシの株がどんどん下がっていっている、ハズレ呼ばわりされている、そのカレシの駄目っぷりが逆に魅力。きっとこういう駄目なところ、それでもがんばってるところ、そこがななみさんにはたまらなかったりするのかなあ、なんて思ったのでした。

花の湯へようこそ』、おお、次回で終わっちゃうのか。長いといえば、ずいぶん長かったものなあ。最終回直前であるのだけれど、基本的に通常営業。けれど、受験生に恋する女の子、彼女の思いが受験生に知られてしまったり、まあ伝わっちゃいないみたいですけど、そして片思いの彼がよっちゃんに告白。まあふられるんですけどさ。それで園生くんの出番がくるのでしょうか。このあたりは本当に最終回待ち。けれど、最終回でもいつもどおりの雰囲気だったりするのだろうなあ。いや、よっちゃん園生くん、ふたりの関係が進んだりして、それで常連さん勢揃いみたいなったりするのでしょうか。どういう終わり方であっても、さみしくなるなあ、そんな気持ちでいるのです。

『放課後エア部』、いつものようななんでもない話で笑いあっている、そんな話であるのかと思っていましたら、いやいや意外というべきか、恋愛のどうたらこうたらが出てきましたね。小山先生が好きなひかり、気の多いこだま。そしてこだまと幼なじみの本田くん。いや面白いですね。好きな人がいるという本田くん、その思い人から手痛い打撃を頂戴するっていうね。この、こだまのわかってないっていう様子と、周囲の皆、今まさしくふられたばかりの女の子でさえわかっちゃったっていう、その様子、ものすごく面白かった。これ、今後も展開されそうですね。いい感じ、期待してしまいます。

『セーラー服でもあいしてね』、変わらずいい雰囲気で進行していきますね。ヒロイン佐々実、姓がかしわで名がささみ、なんですね。友達つれて、焼き鳥屋にいくっていう、相変わらずの行動力です。気の若い店長、みんなと仲良くなってる。でもって、厳さん、かたくて真面目、そんな雰囲気なんだけれど、いい評価されると嬉しいし、それでサービスしちゃうっていう、そうしたところがいいなあと思います。しかし、この漫画のいいところは女の子の造形だと思います。男性向け漫画のヒロインではなく、また少女漫画でもなく、ちょっとヤング・レディース系っていうのかな、そういう雰囲気があっていいと思っています。

  • 『まんがタイムスペシャル』第19巻第12号(2010年12月号)

2010年10月23日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年12月号

 『まんがタイムきららフォワード』2010年12月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』。ヒロイン三人、揃い踏みですね。メイド、いやウェイトレスか、エプロン&ヘッドドレスつけて、メリーはオムライス、勇魚はナポリタン、そして由衣はパフェを運んでる。その三人の表情、いきいきしていて魅力的です。特にメリーの、なんかしてやったりな表情、すごくよいと思います。こういう表情、好きなんですね。

少女素数』。先月、すこし描かれたぱっクンと有美ちゃんのこと、今回に繋ってきましたね。兄の部屋にて作業しているぱっクン。すみれとふたりだけと知って、昔のこと思い出す。小学生の頃から、すみれのことが気になっていたのか。対してすみれは彼のことをどう思っているのか。なにか微妙な距離感じさせて、この子はぱっクンに兄の姿を思ったりしているのかな。いろいろ思わせる描写が続いて、そしてぽろっと秘密事項を漏らしてしまう。本当にちょっとしたエピソード。けれど、そのちょっとの中に、いろいろな人の感情が浮んでくるのですね。

この漫画は、確か物語として展開するような意図、予定はないということでしたけれど、それでもどうしても人の気持ちが関わりあえば、そこに動き出してくるものある、そんなこと思わせてくれるのですね。交錯する思い、生じる葛藤、悩みや迷い。それが劇といわずしてなにを劇というか、そうしたこと思うこと、増えてきたように思っています。

純真ミラクル100%』、最終回です。前回から半月が経過して、ええーっ、モクソンが社長とな! のっけから驚かされる展開。これはやってくれますね。しかもモクソンを社長と呼んでいるのは、オフィスTの解体に一役買った末澤女史ときた。で、吉田大村組、そして二宮さん、健在。これはやられました。なんと個人事務所ときましたか。オフィスT残党による新事務所立ち上げとかあるんじゃないかなとは思っていましたが、それを上回る展開してみせて、これはすっかりやられてしまいましたよ。

モクソンの問題、それは解決したといってもよい状況。仕事も評価されているようです。そして、末澤と高杉元所長の関係も、わだかまり残したままながら、けれどそれはそれなりの決着を見せているみたい。そして高杉工藤組。ああ、いい終わり方しましたね。壊れたものはあったけれど、残ったものの方がずっと多かった。そうしたラスト、すごくよいものだったと思います。単行本でまとめて一気に読み返したくなる、そんな終わり方でした。

わたしたちは皆おっぱい』、ジュリー編の完結です。ジュリーの屈折した言動、その理由もはっきりとして、そうか、想像以上にヘビーな展開だった……。しかしジュリーの過去、性別を偽って転校というの、これ、今の時代だと、性同一性障害を主張することで可能なのかも知れないな、などと思ったり。根深いと思われたジュリーの問題、弟道里くんは、そんな姉が救われて欲しいと思っていたみたい。そして、いつもどおりの貴子の言動、あまりにおかしな方向からの主張にあっけにとられる気持ちはよくわかる。そして和解。思えば、ジュリーは、父のことも父の写真も嫌いではなかったのだろう。ただ父の写真に対する世間の評価、そして周囲から向けられる悪意に、自分の気持ちに蓋をし丸ごと否定してしまわないではおられなかったんだろうな。そうしたところへ、貴子の言葉が、いわばかつての自分を肯定するようにして届いたってことなのだろう — 。そのような諒解をしたのでした。

大きなテーマであったものだから、ちょっと展開が駆け足と感じられたのが残念というか、もったいない、そんな気持ちにさせられたのですが、そんなジュリーもなんか明るくなって、貴子の友達になったみたいで、これ、次回からまたなんかおバカな展開になってしまったりするんだろうか。瑠海音がかつてそうだったように、貴子の主張にあきれたりつっこみいれたりするような、そんな関係になるのだとしたらよいな、面白そうだな。そう思える展開、次回がどのようになるのか、楽しみです。

2010年10月22日金曜日

『まんがタイムスペシャル』2010年12月号

『まんがタイムスペシャル』2010年12月号、発売されました。表紙は『恋愛ラボ』。ヒロインふたりが、寝転んでこちらを見上げている。そんな構図、見ているのは空でしょうね。真っ赤なマフラーして、制服にカーディガン、秋、そして冬を予感させる出で立ちですね。そして左下には『野菜畑でつかまえて』。こちら連載になったそうです。きっとなるな、そう思ってました。

まずは短く、『恋愛ラボ』。リコはどういうツンデレなんだろう。むしろ男子っぽい。『スーパーメイドちるみさん』、麗子さまが素敵すぎ!

『笑って!外村さん』、単行本出るんですね。これはいいニュース。たくさん売れてくれればいいなあ。さて、文化祭本番。外村さんは魔女の役です。扉絵に見る外村さん、とっても可愛くいらっしゃる。無理して笑わなければ、普通のお嬢さんなんですね。しかし今回は、全体が文化祭テーマでうまくまとまってるからなのか、いつも以上に読みごたえがあるといいますか、面白かったです。誤解されて怖がられる外村さん。がちで怖い外村さんのお母さん。しかし、姉きって。若いお母さんなんだなあ。そして外村さん、あいもかわらず怖がられてるんだけど、今回は報われたなあ。クラスの劇の役にたち、感謝されてという話。小さくともこうした仕合せ、たくさん彼女の身におとずれればいいなと思う、そんな回でありました。

『シュガービーチ』は九十九里浜さんの話。この漫画がギャグ漫画であるってこと、しっかり思い起こさせてくれますね。強烈なお嬢様、日射しにやられるって話なんですが、日陰で休んでいたら、周辺がどんどんグレードアップしていくとか、ついにはヘリまで飛んでくるとか、定番だけど面白い。部長のコメント、あいつ実はプリンセスかなんかなのか? っていうのがいいアクセントになっていました。真面目に部活をしている部長、部員もいい感じについてきてるってところでしょうか。けれど、その部長の判断、かわいくないからサンドソックス(そんなんあるんですね)は禁止とか、部員全員で守ってあげたいタ・イ・プ!! とか、真面目さをひっくりかえして意外なこといったりするところが面白いです。

『早乙女寮別館ものがたり』、銀座でデート! ほんとなのかどうなのか。このあたりも、あとあとなにか関係してくる、そんな伏線だったりするのかな。さて、本編はといいますと松子と勝、このふたりですね。なんだか大人びてる少年、勝の過去あるいは置かれた状況。この漫画って、結構重い要素を持っているなと再度確認する思いです。けれどそれでも深刻に深刻にするようなところがない、だからいいなと思っていて、今回なんて共感した松子が勝を抱き締めて、こうしたところコメディ色強めに描きながら、結果的に勝に大きな影響与えている。いいですね。一種、復讐のようなしつけをうけた少年だけど、子供っぽく振る舞ってもいいんだよという、そうした気持ちとりもどしたようなところ、とてもよかったです。

『もののけものの』、ゲストです。幽霊と雪女と座敷童の同居ものです。ええと、幽霊が主人公。幽霊なのに幽霊らしくない。おどろおどろしい雰囲気は皆無で、キャラクターの可愛さ面白さを押し出そうとしているみたいです。とりあえず座敷童はボク娘である模様。いや、まさか男の娘ってやつではあるまいな。人の世界の常識を持たない妖怪ふたり、彼女らに元人間が振り回されるって感じで、しかし雪女の御雪さん、肝の話はよかったなあ。で、ちょっと気になったところありまして、四コマ目を越えたその下に説明、つっこみなどが書かれてることがあって、これがちょっとくどく感じられるところもありました。手書きとかでさりげなく、ではなく、ゴシック体で主張しちゃってるように見える、そういうところがくどいのかなと思っています。

  • 『まんがタイムスペシャル』第19巻第12号(2010年12月号)

引用

  • 下村トモヒロ「シュガービーチ」,『まんがタイムスペシャル』第19巻第12号(2010年12月号),64頁。
  • 同前,63頁。

2010年10月21日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年12月号

『まんがタイムきららMAX』2010年12月号、昨日の続きです。

『ご注文はうさぎですか?』、ゲストです。ふと立ち寄った喫茶店、ラビットハウス。名前から勝手にうさぎのいる店と勘違いするヒロインがいい感じではありませんか。しかしね、可愛い女の子が可愛い小動物を愛でる、その様子を読者に愛でさせようという漫画かと思っていたら、いけない… よだれでてきたに思いっ切りやられてしまいました。これ、台詞だけだとそれほどでもないですが、漫画の中の一コマとして見たらかなりのインパクトでして、すごくよかった。ヒロインのやばさが駄目押しされる、その様子がよかったです。全体を読めば、まだしっくりしていないような感じもあるのですが、うまく馴染んで、こうしたインパクトをここぞというところで見せつけてくれるようになったらよいなと思います。

ひろなex.』、TRPGであります。しかし、正気度とかが出てきただけで笑ってしまうのは正直ちょっとまずいと思っています。ちょろすぎ。あるいは、万能ネタすぎます。今回はTRPGの説明で終わりって感じですが、このままぐだぐだになるところまで続けて欲しいなあ、そう思います。

ぽすから』、最終回です。過去を振り返ろうという、そうした雰囲気があって、それは彼らが美大受験に向けて学んでいた予備校、そこを去るに際して、ここで出会った人たち、おこった出来事、いろいろ思い出しているからなのですね。それが最終回という状況にマッチして、彼らも感傷的なのでしょう、ええ私もです。これまでがあり、そしてこれからがある。その合間にあると感じさせてくれる、ひとつの節目というやつなのでしょうね。彼らにとっては節目、これから美大にて学んで、成長していくのでしょうけれど、物語としてはこれで終わり。白樹、茜、ふたりが自分たちの関係をきっちりと受け止めて、これからに向けて歩きだそうとするかのような、そうした様子すごくよかったです。大ゴマも印象的で、しんみりとして心に残る、そんな感触がありました。

『ハッピーステッチ』、ああ、こなちゃんが可愛いなあ。めっちゃくちゃ可愛いなあ。今回はかぎあみはじめ、編み物をとりあげて、みんなうまいものだなあ。衣装、被服についての漫画、そうした要素がばっちり打ち出されていて面白かったです。うまくできる人がいれば、はじめての編み物、うまくできない人もいる。単純作業が面白くなってきて、それで失敗するなど、実にありそうなエピソード盛り込んで、面白かったです。

ぼくの生徒はヴァンパイア』、最終回です。順当な終わり方って感じでありますね。カミラと先生、ふたりをくっつけようとする。そうした意図が周囲にあって、まあ先生、それらしい話で踊らされちゃうんですね。踊らされたとはいっても、そこには先生の明確な意思があって、というかガブリエラとメイベルの作り話のせいで、ぐんとハードルあがっちゃってるし。ここまでこないと自分の気持ちはっきりさせられなかったのか、あるいはこうした状況だからこそ踏み切れたのか。どちらでもいいんですが、きっちりハッピーエンド。実に甘々な最終回となりました。

そして、『おしおきっ!』。こちらも最終回。そして甘々。紫苑と湊。紫苑が妙に意識してしまってという、そんな状況なのですが、桃花の介入をうけて、無事まとまるというのですね。実際の話、盛り上がりとかはあまりなく、なのでドラマチックといった感じもあまりありません。けど、それは今回だけを見ての感想だからかも知れません。やっぱり一ヶ月という時間が開くと、気持ちが途切れてしまう。といったことから、単行本で読んで、気持ちを持続させたままこの最終回に入るとどうだろう、そういったこと思うのですね。単行本は12月だそうです。気持ちのだんだんに変化して、戸惑いもふくらんでいく、そうした様子、きっと印象は変わるだろうなと思っています。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第12号(2010年12月号)

引用

  • Koi「ご注文はうさぎですか?」,『まんがタイムきららMAX』第7巻第12号(2010年12月号),141頁。

2010年10月20日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年12月号

『まんがタイムきららMAX』2010年12月号、昨日の続きです。

『ラッキーストライク』はマイボールの話、いよいよ本格的に動いてきています。と、その前にタキ部長のレンに抱いた疑惑。ちょっとうまくなっている。その原因、理由はわかってるわけですけれど、それをうけて、いろいろ葛藤する、その思考、いい感じです。上達の段階、途中をいい加減にして後々問題になったりしないよう、きちんと技術を身に付けさせたい。けど、やる気を削ぐのもどうかと思う。この人はまだ高校生だというのに、いい教師であるなあと思いますよ。こういう人に習いたいものだと思います。

さて、マイボール。ボールって減るんですね……。やっぱり、転がるから? 回転かけたりするから? 指をかける位置が決まっていて、つまりは常に同じ位置から着地する。それでボールが微妙に歪んでいって回転の中心が変わっていく、みたいなこともあるのかな。いずれにしても、道具というものは面白いと思います。あるいは、メンテナンスとか大変そう!

さて、いい道具を使うことでいい結果を出せる。気持ちよくプレイできる。でも、ハウスボール、汎用品を使ったとしてもちゃんと結果を出せる。こういうのもいいところです。実際道具というのはこういうものだと思う。ベストの状態で臨みたいから道具にも気を配る。けどそれは道具まかせ、道具次第ってことじゃない。それが非常によく描かれていて、好感持てる内容でした。

しまった、漫画についてなにも触れてない。重いボールに驚いて、細腕確認するところとか、それからちょっとわがままに振る舞うとか、レンの気持ちがわあわあと揺れ動く、その様とてもよかったです。そしてマイボール。おお、お姉さんに費用持ってもらうのか。なかなかにいかす展開、あの…え? っていうのがすごくよかった。で、なにか難しい用語が出てきて、これ次回とかに説明されるのでしょうか。すごく楽しみになってきますね。

『二階堂さんのマイブーム』、ゲストです。お嬢様、二階堂さんとメイドのさっちゃんの話。どうも、二階堂さんがなにかに興味を持って、それにメイドさんが付き合ってあげるみたいな話みたいですね。しかし、面白かった。なんでやねん。漫才に興味を持って、つっこみをやってみたいとおっしゃるお嬢様。それに応えようと、お笑いについて調べ、つっこみポイント満載の台本作って、けどお嬢様の素直さ、純真がその努力を無駄にする! たいへん面白かったです。先生の定番ジョークにも全力でつっこみ、それではずす。いかします。

次回は違うテーマに移っていったりするんでしょうか。だとしたら、そういうのも悪くないなって思います。

『きんいろモザイク』、カレン登場で動きが出てきて、面白さもいや増したように思います。すっかりカレンにめろめろのしの。置いていかれてるアリスの様子、ちょっと可哀そう。しかし、カレンは外国人らしくて、アリスはどうなのか。しのの思考は以前からちょっと謎でしたが、いよいよもって謎。このすっとぼけておかしなこというところ、ぼけてるんじゃなくって本気でいってるってところ、うまいこと表現されてて、毎度面白いなって思っています。今回は転校して友達つくるにはどうしたらいいかって話。綾の過去が語られるところなど、とても素晴しい。今とは全然違うんだ、ええすごくよかったです。しかしなかなかクラスで友達ができないというカレン、そのちょっと悩んでいるというところ、しのの元気づけるところ、かげで青くなっているアリス、そしてカレンの解決。その展開、実によかった。無闇に長引かせず、けれど急ぎ足とも感じさせず、すっぱりきれいにすっきりと、本当に見事でした。

『もっかい!』、遊ちゃんの面目躍如。前回語られた遊ちゃんのこと、めっちゃくちゃタフで、まともに付き合うと並の人じゃもたないって話。それがさっそく具体的に描かれて、なるほど先生がまずやられちゃうのか……。逆上がりできないっていうのもよかったですけど、そこで変にやる気を出して、先生を潰して、衛とは変な誤解を振り撒きながら、ついにはやっぱり潰してしまう。どんだけなのか、遊ちゃん。今回の見どころは、どれほど逆上がりできないかっていう一連の描写、それから練習しすぎた遊ちゃんと衛の誤解される関係。いかします。悩む先生、駄目押しされる先生。単純、シンプルなんですけど、その畳み掛けの前段後段ともに、誤解を招く言動が実にそれっぽくって、面白かったです。後者のなんか、予備知識がなければそれほどでもない、なにいってるのかなくらいのものなのに、変な前提があるものだから、妙に意味深になっていて、面白かったです。で、やっぱり最後に先生は潰れるのでしょうか。潰れるような気がしますね。この、並じゃない娘ふたり、その並でないというのがほどよく表現されている。実にうまく見せてくれていると思います。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第12号(2010年12月号)

引用

  • みそおでん「ラッキーストライク」,『まんがタイムきららMAX』第7巻第12号(2010年12月号),86頁。

2010年10月19日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年12月号

『まんがタイムきららMAX』2010年12月号、発売されました。表紙は『落花流水』。ひとつのマフラーをわけあうように互いの首に巻いた秋穂と水夏、ただならぬ雰囲気をただよわせています。いえね、寄り添うように向かいあってるだけなら、なんて仲のよいふたりだろう、って風にもとれるのだけど、なんだ周囲に浮遊する大量のハートは! といったわけで、実に甘々な表紙になってございます。

『おにさん、こちら』、連載の2回目ですね。娘に取り憑いた鬼神様の話であるわけですが、この鬼神様のもみじ、別にかなでと体を共有してるっていうわけではないみたいですね。背後霊みたいにして後ろに取り憑いている。それで、あんぱんを勝手に店から持ってきて食べてたりと、やりたい放題。良心のあるかなでと、そうしたものまったくない、というか、人間のルールにとらわれないもみじ。それに加えて外では凛々しい姉、外では元気な友人など、個性的というか癖のある人たち。かなでの見て感じていることと、もみじのそれが違って、もみじを通しいろいろ気付き理解していくかなでという構図が面白いなと思います。今後もこんな感じなのでしょうか。こうした対比、よさそうに思います。

『お願い神サマ!』、柚梨子さんがカラオケの練習してるの、自分ちの所有してるコンサートホールなのか。無駄に豪華。夏目さんとふたりでいったカラオケ店でも、えらい広い部屋で、こういう無闇に大げさなところ、ひとつの味になっていて実に面白いです。しかし、カラオケに不慣れという夏目さん、その不慣れさ、その仕組みをわかってないって表現の見事なこと。ペンのインク、そして電話。最高じゃないですか。そんな夏目さんを傷付けまいとする柚梨子さんもいい感じ。さらにこんなものー! カラオケなんて! 大嫌ーい! 本当に最高でした。しかし夏目さん、可愛すぎるわけですが、そんな夏目さんを前に煩悶する柚梨子さんも素晴しく可愛くて、ええ実によい回でございました。

ぐーぱん!』、今回は赤城さん回でありました。ミリィ・ザ・キャットのテーマパーク、ミリィ・ザ・ランドが大人気。手に入れられなかったそのチケットを、未理が持っていた。それで必死になる赤城さん。ミリィ・ザ・ランドにて、ハイになって人格が変わる赤城さん。もう実に素晴しいですね。しかし、未理がミリィのモデルであったと赤城さんにばれる、そんな展開がくるとは予想外でした。本人前にして、全然気付いていなかった赤城さんが、知ってしまえばもう以前には戻れない? 未理のバリューがどかんどかん上がっちゃったんだなあってわかって、しかもそれが一週間! もう、ものすごく面白かったです。ちょっと以前の未理と赤城さんの関係、思い出したりもしましたよ。

『Free!』、ゲストです。五十嵐アトリ15歳がヒロイン。テスト前にゲームで徹夜するろくでなしです。勉強も駄目、その上、ちょっと変わり者。名前の出方を見るに、この子と御手洗・キスカ・姫子、ふたりを軸に展開していくんでしょうか。キスカ・姫子はなかなかに優秀っぽいけれど、なんのかんのいっても一癖あることには違いない。クールを装って、けれど可愛いもの好きで、それからちょっと常識に欠けてるところがあるみたい。そうした娘数人のどたばたな学校生活を描いていくというのでしょうか。ちょっとまだ馴染んではいないのですが、それでもうまく回っているというのは感じて、だから読んでいるうちによくなりそうだなって予感がします。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第12号(2010年12月号)

引用

  • 守姫武士「お願い神サマ!」,『まんがタイムきららMAX』第7巻第12号(2010年12月号),61頁。
  • 同前,64頁。

2010年10月18日月曜日

Aterm WR8170N

 ずっと以前のことです。『パネルでポンDS』がネットを通じて対戦できるというので、Wi-Fi環境を整えようとしたことがあったのでした。最適解は、もちろん無線LANのアクセスポイントを導入することであったのですが、当時、Wi-Fiに対応している機器をほとんど持っていなかったということもあり、Wi-Fi USB アダプタ 2を買ったのですね。実質的にPLANEX Wi-Fi USBアダプタ GW-US54Mini2であるわけですが、当初はこれをアクセスポイントとして使用していて、しかし同年11月に購入したiMac、これがアクセスポイントにできるというものですから、わずか半年でお役御免となりました。短い命だったなあ。しかし、iMacをアクセスポイントとするのは少々わずらわしく、Wi-Fi機器がニンテンドーDS Liteだけだった時ならともかく、PlayStation 3を購入する、PSPを友人から貰うなど、機器が増えるにしたがい、常時iMacを稼動させ続けるのはどうだろうと思うようになってきたのですね。今ならまだいい。しかし将来的に電子書籍端末など導入することになったら、専用の無線LANアクセスポイントがあった方がいいな。そう思っていたところ、思わぬかたちで無線LAN機器を入手するにいたりました。

思わぬかたちというのは、なにげなく応募したITmediaの懸賞でした。いやあ、当たったんですね。一昨日のこと、朝の11時ごろでしたかね、宅配便が届きまして、これ一体なんだろう。開けてみればNECのアクセスポイント、いや無線LANブロードバンドルータといったほうがいいのだと思う、Aterm WR8170Nが出てきたのですね。

もうすっかり忘れていました。だいたいにして、ITmedia IDを取得したのはITちゃんの痛ケース欲しさからだったわけで、無線ルータは当たったらいいな、まあ外れてもいいや、それくらいの気持ちで応募した。ええ、それくらいの気持ちだったのがよかったのかも知れません。

設定は極めて簡単でした。説明書は二種類ついてきて、詳細な冊子とつなぎかたガイドという色刷りの一枚もの。最初冊子を読みかけて、ええい把握しにくいとつなぎかたガイドに持ち替えて、そうしたらこのガイドがよくできてる。うちのキャリアはNTTの光プレミアムなので、CTUの下に無線LAN機器を繋いだらいいらしい。で、後は簡単設定ボタンを押しながら電源をいれるだけ。以上、機器の設定終わり。はや! ほんまにこれで大丈夫なの? 不安になるくらいに簡単だったのですが、これで普通に使えているんですね。いやもう、信じられんほど洗練されてますね。

クライアントの設定は慣れたものです。まずはPlayStation 3から。検索して見付かったSSID一覧から暗号化にAESを使っているプライマリSSIDを選び、パスワード入力、あとは自動取得にしたらもう完了。DSだけはWEPしか使えないので、WEPを使うセカンダリSSIDで設定するのですが、SSIDをふたつ持てる。それぞれを分離できるというのは正直セキュリティ面でありがたいです。WEPはセキュリティリスクになるんですよね。だから、可能ならわけたかった。けど、それができてなくて気になってたんです。また、プライマリとセカンダリでアクセスできる範囲を制限できるので、セカンダリはインターネットには繋がるだけでLAN内の資源にはアクセスできないようにして(これがデフォルト設定)、こういうところも非常にありがたいと思いました。

現在はSSIDをステルスにしているので、検索して接続してというのがやりにくくなっています。それに加えて、将来的にMACアドレスフィルタリングもやろうかな、なんて考えていて、けれどこちらはちょっと面倒くさいので先送り。ともあれ、必要な機能はしっかり盛り込まれていて実にいい感じです。また、こうした機能を利用するのに、専用のソフトウェアを導入しなくていいというのもいい。最近ではむしろ普通ですが、Webブラウザでアクセスして設定できるのですね。可能な限りソフトウェアをインストールしないようにしている私には、こうした機器が一般的になってきたこと、とてもありがたいです。

あと、これはまだ使っていない機能なんですが、USBポートが用意されていて、ここにハードディスクやUSBメモリを接続してやるとファイルサーバになるそうで、これは便利そう。ハードディスクは大げさになるから、軽くUSBメモリでも買ってこようか、なんて思うのですが、もしこれを頻繁に使うようになれば、その時にハードディスクに移行すればいいや。ええ、すごく便利そうに思っています。

他にも、無線LAN対応のプリンタ繋げてどうのこうのとか、便利そうな機能はまだまだあって、次にプリンタ買うならそれだなと思ったり。いやほんと、これはよいものを頂いた、そう思っています。

2010年10月17日日曜日

『まんがタイムファミリー』2010年12月号

『まんがタイムファミリー』2010年12月号、昨日の続きです。

エッセー企画、魅惑のスイーツ三昧、だそうですよ。おおた綾乃、水谷ゆたか、井ノ上ふき、木村和昭のエピソードが掲載されて、ああ、おおたさん、そのくりきんとん、どこのですか? 具体的に知りたい、そう思わせる威力がありました。面白いのは、水谷ゆたかさん。お母さんが実にいい。理不尽なんだけどさ、そのわがままいっちゃうところ、可愛い人だなって思います。井ノ上ふき、モンブランの話も、こういう憧れのお菓子みたいなものってあります。私にとってはなんだったかなあ。うちでは、あまりケーキを買うようなことなくて、かわりに自宅で作ってたんですね。チーズケーキとかよく作って、好きでした。

『はなまるドロップス』、ラブレター話であります。ちょっとした勘違いから、やまと経由でなでしこに渡ったラブレター。いやあ、一見の人、なでしこ。けど私はどす黒いなでしこの方がきっと好みです。ちょっとあかんたれで、ちょっと(どころじゃないな)いじわるで、このちょっと意地悪がいいんですね。しかし今回はいじわるとあかんたれ、両方が発揮されて、大変よかった。この極端な娘、振り回されておかんむりになって、その様子、途中経過、面白かったです。

『やどかり君』、大変面白かったです。ヒロイン、でいいのか? 春ちゃん、スカートの下にジャージ着用、って素敵! もうこういうの大好き、っていうのは置いておくとして、晴子が風邪をひいてしまったという話。いつも変な子だけど、なおさら変? それで気持ちもちょっといつもとは違ってしまって、ああ、なんかどきどきの展開だ。もう普通の女の子みたい(失礼な感想だな)。晴子の友人の、日暮くんに対する態度もちょいと面白く、というか兄貴の対応が見事。いい兄貴です。しかし今回は、熱上昇中ってところ、あの表情がどえらい可愛かったです。素晴しかったです。

『天然MAMA日記』。この漫画、というか作者のこと、結構応援してるんですが、娘さん、もうこんなに大きいんですね。ついこないだ産まれて、まだまだ赤ん坊だと思ってたのに、立って歩くんだ。喃語もでてるんだ。ほんと、子供の成長って早いと実感します。面白いのは高2の長女もですね。自分の大事にしてるもの、台無しにされて、ショックでショックで、けれど妹のことは大事で大好きで、この葛藤みたいなの、もうほんといいですね。こういうの経験して、人は成長していくのかも知れませんね。ああ、私が成長せんわけです!

  • 『まんがタイムファミリー』第28巻第12号(2010年12月号)

2010年10月16日土曜日

『まんがタイムファミリー』2010年12月号

『まんがタイムファミリー』2010年12月号、発売されました。今月の表紙は朝の様子である模様です。起き抜け『ぽちゃぽちゃ水泳部』、『うのはな3姉妹』の次女もそうですね。後のふたりは、『美大道!』、『働け!おねえさん』、あわただしく、食べながら出勤、通学? 彩は、ちこくちゃんのあだ名のとおり遅刻なのかな。わりと落ち着いた感じがして、対して来島さんは完全に遅刻でしょうね。時計見ながら全力疾走。なるほど、これが来島さんらしさであるのですね。

『ぽちゃぽちゃ水泳部』、ほう、練習試合ですか。というのだけど、今回はやはりけんちゃんが見どころっぽい。けんちゃんの趣味。なんせ体形を理由に告白してきた女の子をふってしまうというひどいやつ。そのけんちゃんビジョンで見るあゆたん、素晴しかった。これほどのスレンダー、ちょっと見ないってくらいになって、いやあ、魅力的でありました。アホ毛がなかったら誰かわからない、というか、なにであるかさえわからない。しかしこの漫画、かっこいい男の子の好みに合わせて痩せよう、それで水泳部に入部みたいな導入だったわけですが、そのぽちゃぽちゃを好きという男子がいる。ええ、好みというのは人それぞれ、ひとつの価値にしばられるんじゃなくて、多様な価値が示される。ええ、ぽちゃぽちゃでもいいじゃないか。ええ、とてもいい。けんちゃんの好みを応援します。

『的中!青春100%』はスポーツテストの状況描いて、これもまた面白いですね。いつも部活で馬鹿なことばっかりしてる先輩たちが、人前だとおとなしい。そのギャップ、ああ本性隠してるんだ。いつもは気を張ってちゃんとした人を演じてるからなのか、部活になると滅茶苦茶になる。その滅茶苦茶さ、いきなりの髪型変更には思わず笑いを誘われてしまいました。ところで、毛利、真面目な部員。だったはずが、だんだんに先輩たちに染まってきたのか、いい感じに流されてますね。ほんと、この先輩たちの引き込む力、なかなかのものだと思いますよ。

『美大道!』、動物園にてスケッチ。いいですね、実に面白い。扉絵の彩も、いつもとちょっと雰囲気違って、素敵であります。先月がちょっとシリアスよりだった反動でしょうか、今回は最初から最後まで気楽に楽しく読める、そんな雰囲気。白衣ちゃん、吉野さんも肩の力抜けたようで、実に可愛く面白かったです。クールに見せてね、可愛いものが好きなんだっていう。変に素直で、変に真面目で、ウサギと仲良くなるためには手段を選ばない。いいキャラクターだなって思いました。というか、この漫画の登場人物は皆おおむね好きなものにまっしぐらであるなあ。この好きなものに打ち込んでるという様子がちゃんとわかるところ、それが魅力なんだろうって思います。しかし、あの彩のぬえっぽいクリーチャー。あれはあれでいい感じです。ちょっと気に入ってます。

『ひよっこシスターの安息』、新しいシスターの登場ですよ。シスター雛形の同期だそうです。シスター栗栖。真面目な人。ちょっとそそっかしい。気も小さいっぽい。その上、いい人みたい。失敗の連続で、自分はこの修道院での仕事に向いてないのではないか、自信をなくして心配する。いろいろと深刻なんですが、その悩みが解消されるっていうこと。相談にのってくれる仲間がいる。不安を受け止めてぬぐってくれる院長がいる。いいなあ、本当にそう思いました。シスター雛形の明るさ、こりてないっていわれてますけど、そうした彼女の落ち込んだ過去とか、それを知ることで、普段の明るさ、元気さがただの能天気なんかじゃないんだってわかる。そして最後の落ち、罰は罰としてあるのだけど、心配したようなものではなかった。けじめはちゃんとつけるのだけど、そこになにか暖かなもの感じさせて、よかった。ところで院長の花瓶に対する話、あれは本当なのか、シスター栗栖の気持ちやわらげるためにそういうことにしたのかどちらだろう。いや、いくらなんでも、別の人のせいにはしないだろう。だから、シスター栗栖の落ち込みは、ちょっと考え過ぎの結果であったのかも知れませんね。

  • 『まんがタイムファミリー』第28巻第12号(2010年12月号)

2010年10月15日金曜日

はなたま

 『はなたま』、好きな漫画でした。御形屋はるか初遭遇となった漫画で、面白いなあ、絵もきれいでととのって可愛いなあ、そう思いながら楽しみに読んでいました。ちょっとどんくさい大学生春日乃空と結びの神さまはなたまの交流が楽しくて、それからはなたまについているふたりの男、太郎丸と次郎丸、狛犬らしいんですが、このふたりも面白くて、いい漫画でした。あんまりにいい漫画なので、はなたまさまとひそかに呼んでおりましたくらいです。

そのはなたまさまが単行本になるって聞いた時には、それはそれは嬉しかったです。掲載されている雑誌はすべて手元に残してあるとはいえ、あまりにも大量にすぎて、探し出して、一から読み直してとか、正直な話、無理です。それこそ、最初のころってどうだったのだろうと思った最終回。読み返したいなあと思っていたから、また頭から読めたこと、思った以上に幼なかったはなたまさまにちょっと驚きながらも、最終話のあの場面まできっちり繋がるもの感じられたこと、とても嬉しかったのですね。

はなたまさま、決定的に好きになったのはあのクリスマスの回でしたっけ。クリームシチューを作る話。家族との繋がり、身近だからこそなおざりにしてしまう? けれど、心配してくれている母の気持ちが伝わって、そしてうまくできたシチュー。その仕掛け、すごくよくできてた。自信のなかったはなたまさまも、うまく母と娘を結ぶことができて、そして繋がる気持ち、それがやわらかに、けれどしっかりと表現されて、ひしひしと感じとれたのでした。いい話だなあって思った。なんだか胸の奥がつんとしてあたたかくなった。この話ははなたまさまという漫画のエッセンス、あふれかえっているなあ、久しぶりに触れて実にそう感じました。

はなたまさまは、うまくいかないこともあるけれど、くじけず頑張りなさいよ、可能性は開かれているよ、そうしたメッセージを押し出すようになって、こういうところもよかったです。繋がることで見えてくること、わかることがある。得られるなにかがあるという前半。後半には、自分自身の望む未来に繋がろうという気持ち、そちらに傾きを持ったという感じなのですね。決して優秀ではない自分、自信なんてかけらもないし。けれど、そんな私は将来なにになるのだろう。なにになろうというのだろう。悩んだり迷ったりしながら、自分の未来を掴みとろうとする。そうした空の様子、それはおそらく人間みなが暮らしの中で感じている不安でもあるのでしょうね。だからこそ、あのラストはよかった。空にははなたまがいる、そしてこれまでに関わってきた人たちみんなもいる。

自分ひとりじゃない、だから大丈夫。

とても素敵なラストでした。

  • 御形屋はるか『はなたま』(まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2010年。

2010年10月14日木曜日

『まんがタイムラブリー』2010年11月号

『まんがタイムラブリー』2010年11月号、昨日の続きです。

『もも×てん日記』、ゲストです、多分。小学校からの幼なじみのふたり、天童さんと桃地さん。小中高と一緒で仕事も一緒。きっちりしてる天童さんに、気まぐれそのものといった桃地さん。いわゆるでこぼこコンビなんだと思うのですが、どちらかがよい、悪い、って風に描かれないところ、これはとてもいいですね。きっちりの天童さんはイレギュラーに弱く、度の過ぎた凝り性で心配性。桃地さんは気まぐれ、けれど状況の変化におろおろするようなところはなく、むしろおおらか。片付けられないけれど、物持ちはいい。こうしたふたりが、互いにつっこみいれながらも支えあってる、そんな感じがありまして、そういうところ悪くないなって思います。絵も可愛い、小物にも意識が向かってる、続きをもっと見てみたい漫画です。

『少女カフェ』、ロゴの位置が憎い! 単行本ではロゴは消えるから、単行本を待つしか! というわけで、『少女カフェ』、つくし、ものすごくしっかりしてますね。予約の電話をうけているのですが、その予約というの、おおプロポーズとな。お父さん緊張しちゃって、けれどその緊張をとこうという、まったりゆるゆるふわふわへろへろ踊りがいいですね。つくしのかもしだす適当感、実に素晴しい。でもって、プロポーズ。押し掛けて観察しようという葉月さんも宮嶋さんも、悪ノリが過ぎるタイプだな。でも、この店はそれが許されるような雰囲気がある。これってつまりアットホームってことなんだろうなって思います。興味本位もあるのかも知れない、けれど他人であるはずの人のことを、まるで友人のように喜べる。そんなお店で、お客さんで、この気持ちの親しく近しくあるという感覚、ああとてもいいじゃありませんか。ええ、とてもよかったです。

『トノサマガアル』、眼鏡をはずすと信長に乗っ取られる女子、ふぶきの話。だったのが、ああ信長様はいなくなってしまった。なんだか物悲しいはじまり。ちょっと喪失感感じさせる、そんなオープニングです。本編はといいますと、前回の状況をあらためて振り返って、いかにしてふぶきはあの火事から生還したのかが描かれています。これを読んで思ったこと、この漫画って、ふぶきの自立、成長して独り立ちするまでを描く、そういうものでもあったのかも知れません。信長にふりまわされっぱなしだったふぶきが、信長に頼るでなく、生きるということを自ら引き受けようという、そんな姿勢が見事でした。信長がふぶきから離れたのは、ふぶきがしっかり自分自身を持ったから? と思ったらどうもそうではないらしく、けれどいつかなんかで戻ってきそう? いやどうなんでしょうね。

最後の最後に衝撃的台詞、コンタクトにしたの。おお、なんという! けど、ええねん。眼鏡なしでも可愛いからええねん! いや、本当にそう思います。なにかふっきれたようで、明るくなった? ええ、とても魅力的だと思います。

『ポンテ!』、久しぶりですね。ガラス工房の話。ダルマと呼ばれるガラスを溶かす炉? それをいかに活用しようかという様子が描かれて、ええと、主に調理器具として。道具を工夫し、長フォークにとどまらず長フラパンなるフライパンまで作り出して、もうものすごい脱線です。けれど後半はガラス工房らしくなって、ダルマの温度で濡れた服を乾かしたり、ガラスを磨く砥石で爪も磨いたり……。やっぱり脱線だ。けれど、ただの脱線じゃなく、ガラス工房ではよくある風景? あるいはありそうな情景? そういったもの感じさせて、こうした場、工房にて作業する人たちを身近なものにしてくれるように思いました。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第11号(2010年11月号)

引用

  • 池尻エリクソン「トノサマガアル」,『まんがタイムラブリー』第17巻第11号(2010年11月号),178頁。

2010年10月13日水曜日

『まんがタイムラブリー』2010年11月号

『まんがタイムラブリー』2010年11月号、発売されました。表紙のテーマは、中央に大きく琵琶を持ったことみ先生が印象的。しかし、これは七福神? 雛祭り? と思ったら、そういうことではないみたいですね。芸術の秋? まわりには箏、能管、そして鼓と揃いまして、それぞれ『あねざかり』、『ただいま独身中』、『夏生ナウプリンティング』です。そこに『少女カフェ』のみお、つくしふたりが舞で参加するという、和もの一色、いい表紙でありますよ。

『ぐだぐだしている女子高生の放課後 略して ぐだじょ』。ふと思ったんですけど、この漫画でぐだぐだしてるのははねる先輩ただひとりで、ゆかりも志摩子もふたりとも部活やったり、しっかりしてるよな。そう思った今回の『ぐだじょ』、テーマはゆかり、志摩子の所属するテニス部の風景であります。

まだ登場人物の浸透をはかる段階にあるのでしょう。瀬名ゆかり、津野志摩子、湯の川はねるとフルネームで紹介されて、また名前だけでなくその人となりもわかる、結構丁寧な導入がなされています。すごくありがたい。しかし、扉ですよ、扉。ちっこいはねる先輩が走りまわってる、これが可愛くて、いやあ、はねる先輩大好きです。そして本編、ふたりが練習試合に参加すると聞いて応援にいくよというはねる先輩。迷惑そうにしてるテニス部先輩とつっしー、嬉しそうなゆかり、差が面白いです。でもって試合当日、やっぱり迷惑なゆかり先輩、すごくいいですね。テニス部の先輩がよくわかってるっていう、それもいい。けど一番いいのは、ゆかりの好プレーに嬉しそうな先輩(やっぱり迷惑)だったり、打ち上げに誘われてものすごく嬉しそうなゆかり先輩だったり、このなんか気持ちがふわふわしながら高揚してる風なところ、すごく楽しいんですね。

『愛myファミリー』、すごく気にいってます。翔くんが大人というか、雫をあたたかく見守り受け止めてくれている、それがすごいなって思いつつ、その包容力ゆえか雫がすごく自由にいろいろやってみせられるっていう、奔放さを発揮できるという、そういうバランスがいいなって思います。で今回は、お菓子食べてパフェ食べて、しかしそれがすごく仕合せそうというか、可愛いなって思うわけですよ。その後のお菓子作りで失敗、お弁当でも失敗、でうまくいったのだけ出すっていう乙女心も可愛ければ、それで太っちゃったっていうのもよかった。あの、ホックが壊れて驚いてるコマ、あれが妙に可愛いなと思いました。自由奔放とその結果、うまくまとまって面白かったです。

『この街のハテ』、いい展開です。お爺さん退院。それで同居、という話にはなかなかならず、親の気持ち、子供の気持ち、その擦れ違い、ええ、こういうのありますよね。よかれと思っていうことを、そんなのはいらんとはねつけられる。親子というのはこういうものなんでしょうか。向こうからしたら、こちらが気まま。こちらからしたら、あちらが勝手なんでしょうね。難しいですね。で、そうした状況を背景に、ハテさんがどちらの家にいくのだろう、そうした葛藤、ハテさんの葛藤やイズミの葛藤描かれて、いい話だなあって感じましたよ。あるいは、親と子の関係と祖父と孫の関係、その距離感の違いみたいなものもあったのかなあ。いろいろ思わさせることがあるのは、どこかここに描かれたことを、ただ他人事として見ることができなかったからかも知れません。

『放課後のピアニスト』、いいですね。増ページだそうですよ。嬉しいです。ララ先輩のおうちにピアノがやってくる。その嬉しさが、ハイになったララ先輩から感じられて、のっけからすごく楽しい。で、ピアノにサイン書いてっていうの、驚く展開だったのですが、ララ先輩はピアノ部の皆がプロになるって信じてるのか。でもってソラの心配、これはすごくよくわかる。そしてソラの気付き、ああ、これもそのとおりだと思う。私はソラにすごく共感します。まるで自分自身を見るようで、だからこそこの漫画が気になって、気にいってるんだろうって思うのですね。ええ、ほかのことを全部捨ててでも邁進できる、ええ、それはすごいことだと思います。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第11号(2010年11月号)

2010年10月12日火曜日

三日月の蜜

 仙石寛子の漫画は、なんでかいつでもなにかずるい気がしてしまって、けれどそれでも読まずにはおられない、そんな魅力があるのです。表題作『三日月の蜜』もそうでした。自分の好きな男には好いた女があって、けれど告白できずにいる。そうした様子に自分自身を重ね合わせたからなのか、なかば面当て、なかば自暴自棄に、好いた相手の好いた女をとってしまおうとする。その発想が面白いなと。あながちなくもない、そう思わせるようなニュアンスで、むしろ冗談や軽口といった方がいいかも、そんな申し出であったのに、相手が悪かったとしかいいようがない。通ってしまった。こうしてはじまる、女同士の後には引けない恋愛もの。これは目が離せない、そう思ったものでした。

この作者がずるいと思ってしまうのは、もやもやとした感情、曖昧な関係をそのまま読み手に委ねてしまう、そうしたところがあるからなのです。その傾向は読み切りの短編に色濃く、単行本後半に収録された短編群、それらからも強く感じとれることと思います。どうにもできない状況や、わりきれない感情、それらが未整理のまま、時にあいまいに、時にありていに示されて、解決されることがない。いやむしろ、解決しようという意思がないとも思える、一種宙ぶらりんのままに放置される、そこがこの作者の持ち味になっています。

解決の放棄されたかに見える漫画が魅力的と感じられるのは、もともと解決にいたる過程を描こうというのではなく、その状況に生じる気持ち、それが主眼であるからでしょう。主に対話で進行する、その言葉のひとつひとつに浮かび上がってくるもの、その真意はなんなのだろうか。疑いなのか、不安なのか、ちゃんとわかるように、けれどはっきりとはわからない程度にとどめられている。その塩梅がうまく加減されているものだから、読んでいるこちらももやもやとしながら、これはきっとこうなのだろう、いろいろと思う余地が生まれてきます。この思うということ、それが面白いのですね。

『三日月の蜜』は連載であったので、思う余地を残しながらも、ふたりの気持ちの行方にはきっちり決着がつけられて、だから随分と飲み込みやすくなっていると感じます。ああ、こういう風に落ち着いたのか、私はその可能性もあると思いながら、きっとあるまいと思っていた、そのせいでちょっと意外と驚いたのですが、最後には安心することができた。こうした感情の整理されるのはなかなかに珍しい、けれどこういうのもよいな。中長編と短編の味、両方を楽しめる一冊であります。

  • 仙石寛子『三日月の蜜』(まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • 仙石寛子『背伸びして情熱』(まんがタイムKRコミックス エールシリーズ) 東京:芳文社,2009年。

2010年10月11日月曜日

けいおん!放課後ライブ!!

 正直最初は、ゲームまで付き合ってられないという気持ちがあって、買わないでおこうかと思っていたのです。いや、予約しようと思えばいつでも予約できる、そんな状況下で、買うか買わないか決めあぐねて、だらだらと時間ばかり過ごしてしまったといった方が正しい。あちこちから聞こえる予約締め切りの情報を眺めながら、いきつけの店が予約を打ち切り、ついにAmazonでも注文できなくなり、ああ特典が全部はけてしまったか — 。こうして買う買わないの逡巡が終わった、そう思っていたら、Amazonの特典付きが復活したんですね。それで試しに注文してみたら、なんと発売日翌日に届いて、いや、なんとってことはないか。ともあれ、届いたのでした。

パラッパラッパー』以来の音ゲー、リズムゲームです。一昨日の夜、ちょいとプレイしてみようかという気持ちになりまして、プレイしてみましたらですよ、ああ、これは面白い。最初はなにをどうしたものかわからず、途中リタイアの憂き目を見たのですが、2度目からは完走ペース。とりあえずノーマルでクリアしていこうと思い、1曲ずつ全員分を攻略しているところです。

初日は『私の恋はホッチキス』、『Humming Bird』、『Sunday Siesta』までクリアして、基本は全A。『ホッチキス』律はS、『Siesta』で唯パーフェクト。将来的には全パーフェクトを狙いたいとか思ってますが、スコア狙いになるとあんまり楽しくない。ほどほどに頑張るというくらいがよさそうですね。翌日に『Hello Little Girl』にとりかかって、澪までクリア。これ、テンポが遅いのでS狙いパーフェクト狙いがたやすそう。実際初見Sが可能な曲で、本日紬で初見Badひとつを達成しました。惜しいよね。この詰めの甘さが私っぽい。唯A、律S、あとはパーフェクトです。

『ふわふわ時間』、唯パーフェクトをとって、一段落したところでこれを書いています。ゲームとしての感想は、ノーマルということもあるんでしょうけど、それほど難しくないですね。もしかしたらハードのその先にナイトメアとかデスデビルとかがあるのかも知れませんけど、それならそれで必死で頑張ろうかな、そんな感じ。とりあえず今の目標は、ノーマルで全曲クリアです。

ただ、難しくないというのはゲームとしての話でありまして、ボタンを押すタイミング、これ、小節線こそは表示されますが、小節中に浮かんでる音符の位置は厳密に示されないので、きちんきちんとタイミングをとれない。これが変な難しさの要因になっていて、ぱっと見て均等に配置されてるから、三連かと思って叩いたら微妙にシャッフルしてたりして死ぬなど、叩いて鳴らしてみないことには正解がわからんのですよ。なので記憶頼り。記憶といえば表示についてもそうで、2小節ずつ表示される楽譜の、偶数小節後半が込み入ってたりすると、奇数小節頭まで確認が追い付かないんです。頭に微妙なタイミングで音符が入ってると、やっぱり死ぬ。なので、ばらっと全体を眺めておぼろげに把握して、勘で叩く。そんな感じで遊んでます。

初日の感想では、簡単なのはドラムかと思って、というのは4分打ちが多かったからなのですが、いやいやドラムも難しいよ。『Hello Little Girl』なんですが、ドラムの譜割が凝っていて、ああ、もう、これちゃんと音価を示して欲しい。特に休符を示して欲しい。打つべきリズムがわからないから、目押し気味に甘い入力で妥協してると楽しくないんです。なので、とにかく繰り返し試して、覚えて、リズムを頭にいれるしかないんですね。リズムがわかって、ぴったりはまると、すごく楽しくなってくる、それがこのゲームの面白さなのですが、そこにいたるまでがちょっとかかるかなって感じなんですね。

で、もうひとつ難しいところ。それは出だし、曲の頭ですよ。律ちゃん、あのワンツースリフォーってカウントとるのやってくださいよ。『ふわふわ時間』のアウフタクト、じゃかじゃかじゃんじゃんの直前にちょこっと入る、あれのタイミングがとれないんですよ。目押しで、あわわわと入る。気持ちよくない! こればっかりは覚えてどうこうじゃないからなあ。このあたりは、ジャストのタイミングを諦めて、適当に様子を見ながら叩くしかなさそう。ああ、これじゃ『もやもや時間』だよ! ちょっと残念に思っているところです。

2010年10月10日日曜日

『まんがタイムきらら』2010年11月号

『まんがタイムきらら』2010年11月号、昨日の続きです。

『モコモコニンニン』、方向性が見えてきましたよ。忍者の娘モコが引き起こす騒動と、それを始末する同じく忍者のツバメさん、そして頭領。普通の生活に憧れて、けれど普通というものに慣れていない、そんなモコを過保護に過保護にお守りするっていう、甘やかしっぷりがなかなかによかったです。第1話で、頭領からは甘やかしてるっぽいなっていう雰囲気感じられたんですけど、ツバメさんも同類というわけですか。で、甘やかしてる場面だけ見れば、いかにも嘘っぽい、忍術とか使えるの? といいたくなるような人たちなのに、やる時はやるというか、むしろ普通にしててよさそうな場面でこそやってみせる。この、人食った感じもよかったです。

境界線上のリンボ』、なかなかにシリアスな展開を見せています。街を支えている機関に異常が発生した? 突然の地震に不安が一気に掻き立てられて、ちょっと大きな盛り上がりの山が作られそうですね。都市構造の隙間を通って、リンボの下部に広がる街にいくフゥ。決死行思わせる展開です。しかし、このいった先にあったものがなかなかに意外。ああ、こういう街があったのか。無理解や不寛容、対立が端的に描かれて、これまでの様子とは大違い。なにか心がざわざわとする、そんな展開になっています。こうした展開を用意して、そしてどのように取り込み、まとめられるのだろう。これは実に興味深い、次回を心待ちにする思いです。

『かいちょー☆』、ゲストです。見た目こそはきちんとしていて、いかにもなんでもできそうなお嬢さんだけど、勉強が駄目、運動も駄目。そんな里乃が生徒会長に据えられてしまった、という話です。可愛いからという理由で、一教師の一存で、決められてしまった。けれど、駄目な子ほど可愛いのパターンで、皆で支え、時に甘やかし、愛でる、そんな展開になるのでしょうか。いずれにしても、第1話は人物や状況の説明って感じですね。だから、実際の展開もろもろはこれからですね。

『アイオーンコード』。これ、最初は自分の好みからはずれている、そんな風に感じていたのですが、とんでもない、めちゃくちゃ面白いですね。『そこは』『テストに』『出ません』予言定理オラクルのお嬢さん、自分は自分でした予言がわからないんですよね、いきなり先生の定番台詞を潰してしまう、その断言っぷりが最高です。この漫画のいいところは、登場人物それぞれが持っている超常能力、それがうまく機能して、展開に関わってくるところだと思っています。私は中でも予言定理オラクルが気にいってまして、事件や波乱の幕開けを告げる、そのインパクトが素晴しい。こうなるといわれたことは、必ずそうなる。いわば、予言が成就するまでの状況が描かれる漫画であるわけです。

今回は予言定理オラクルが2回発動して、後の方の予言、それが面白かったです。いや、最初の予言の時点で最高だっていっちゃってましたけど。一度は軽くスルーされたかに思われた予言、しかしそれがちゃんと成就する。その過程、実にうまいこと繋って、先生が座布団を差し出してしまいたくなる状況が発生する、そしてその発生の理由も能力がらみっぽくて、いやあ設定が設定にとどまらず、本当にうまいこと機能していますよ。でもって、ちょっとあれなうららちゃん。悪気はない、だから気にすんな。理解してるかむろなんだけど、いざとなったらざまあ! ですか。そのいきなりの変わりよう、これはよかったなあ。ええ、すごく面白かったです。

My Private D☆V、『きんいろモザイク』の原悠衣です。好きなものつめこまれたイラストとのこと。フリル! リボン、金髪、花、日傘、足、清楚系、素晴しい! あ、素晴しいは私の感想です。ちょっと昔風といったら語弊があるかも知れませんけど、懐かしい感じもある、少女漫画風。少しレトロで、けれどその懐かし感も魅力に一色添えている、そんな風に思うのですね。いや、ほんと、大好きです。イラストも、漫画も、どちらもとてもよい。大好きです。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第11号(2010年11月号)

引用

  • 柳原満月「アイオーンコード」,『まんがタイムきらら』第8巻第11号(2010年11月号),177頁。

2010年10月9日土曜日

『まんがタイムきらら』2010年11月号

『まんがタイムきらら』2010年11月号、発売されました。いやね、買えなかったらどうしよう、はらはらしての探索行でしたよ。今月はもう『けいおん!』が掲載されていない、けれど梓のかけかえカバーが付く。先月はなにか入手困難な状況もあったというではありませんか。買い占めるような人間が出たら嫌だなと、かなり心配したのでした。けれど、案ずるより産むがやすしですね。普通に1店舗目で購入できました。そう、四コマ誌の扱いを縮小したのじゃないかといっていたコンビニで買えたんですね。

さて、表紙は『あっちこっち』であります。もみじに赤とんぼ、真っ赤な表紙、中央にはつきみさんがほうきを手に立っていて、なんだかちょっと大人っぽく見えますね。鮮やかな表紙、髪のグラデーションも綺麗。いい表紙であります。

三者三葉』は西山さんが病欠です。といったわけで、簡単にあぶれてしまう近藤さん。この人もいろいろ問題がある人だな。西山しか友達いないのか。さて、扉絵の近藤さん、めちゃくちゃ魅力的。かわいいなあ。もともと双葉が好みだといっていた私には、近藤さんにも強力に反応する模様です。さて、近藤さん、柱の煽りによれば、善意の人らしい。人物紹介を見れば、親切心からひとこと多いらしい。えー、そうだったんか。わざとやってるんだと思ってた。そうか、あれ悪気がなかったのか。ものすごく誤解していたことに気付かされました。しかし、今回、メインの三人と一緒にお昼を食べて、そこでも言いたい放題になっちゃってる。照に、葉子様に、普通ならいいにくいことを何気なくいっちゃって、そうか、これ考えてないだけなのか。誉め殺しのテクニックとかじゃなかったのか。こうした近藤さんの性格、かなり面白かった。そして、葉子様の名言。これは素晴しかった。人生は思い通りにいかない、ええ、それを諒解して、これから残りの人生を生きていきたいと思いました。

『ふたり。』、ゲストです。シンプルな絵柄。ちょっと線がかくかくしてて独特、けど結構好みっぽい感じでありますよ。主人公は石井、赤坂のふたり? めずらしいというか、カップルが成立したところからというのはなかなかによいですね。いい感じにじゃれあっている、悪くないですよ。そして、付き合うまでにいってないふたり、寺島、佐々木、こちらはこちらでやっぱりいいなって。寺島くんは、佐々木の好意に気付いてる? あきらかに気落ちした佐々木やら、一緒にばつを受けようという佐々木とか、好かれようと一生懸命なところ、すごく可愛い。赤坂にしても、かまってほしくてしかたない風で、いやほんといいですね。ちょっと長く見てみたい、そんな感想持ちました。

『少女公団アパートメント』、いや、実によいですよ。今回はみなでカラオケにいきました。田舎から出てきたちさ、カラオケに全然慣れてなくって、はじめて見るリモコンにおろおろしたり、そのうぶな感じが素晴しいですね。そして皆のカラオケのスタイルに見る性格の違い。いきなり好き放題MAXまで登録しちゃうろかとか、ド演歌でも思いっ切り歌えちゃうさくらとか、でも歌詞に照れてしまうんですね。そして踊り出すなつみの変わりよう、いいね、いいですよ。いや、ほんと楽しそう、魅力ある回でした。

『お願い神サマ!』、単行本が出るんですね。知り合いの『マリみて』ファンにも教えてあげましょう。今回はゲストということで、かるくふたりを紹介するようなエピソードからはじまって、柚梨子さんって「ゆずりこ」っていうのか。「ゆりこ」さんだと思ってたよ。そりゃいくら探しても、既成のネームキーホルダーに名前が見付かるわけないですよね。柚梨子さん、夏目さんにかわいいといってもらいたい一心で、どんどん変な方向に向かってしまう。いつもながら面白いです。そして今回は『きらら』本誌にゲスト掲載ということからか、『けいおん!』パロディがちょこっとあって、ホッチキス、素敵……。ホッチキスがくるまで気付きませんでしたよ。テンポよくて面白かったなあ。

『放課後ペンタグラム』、ゲスト掲載3回目、いい感じに動いてきていますね。実が北海道出身で梅雨を知らないとか、って、劇中、まだ5月か。今日雨が降ってたから、自然に梅雨を受け入れちゃってたよ。まずいまずい、季節感がめちゃくちゃだ。さて、おばさんとふたりで暮らしてる実。生徒会の皆で押し掛けようという、その様子面白かったです。とりわけ、おばの雅さんが。寝ぼけたとかいってるけど、ほんとなのか? 少なくとも、もうどうつくろっても手遅れって感じになっちゃったところが面白くて、そして昆布だしで駄目押し。しかも昆布だし、最後にまで効いてきたからなあ(だしが効いているというネタじゃありません)。これという方向性は感じられないけど、なかなかに悪くない雰囲気、これは期待したいです。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第11号(2010年11月号)

2010年10月8日金曜日

ヒツジの執事[残業]

 ヒツジの執事』、『子うさぎ月暦』をまとめた巻が出たと思ったら、今度は『ミニっきえにっき』のまとめが出た。『ヒツジの執事[残業]』。ああ、これはすごく嬉しい。『ミニっきえにっき』を単行本で読める、それもあるけれど、続刊が出るっていうのだからつまりは『ヒツジの執事』、売れたのでしょう。それがなにより嬉しいです。ナントカは、これまでに何度もいってきましたけれど、すごくいい作家。シニカルで、気の利いて、そして人情の深いいい話を描くんです。そうした氏の持ち味は、『ヒツジの執事[残業]』にも存分に発揮さていて、笑って笑って、そして泣いて、ええすごく素敵な一冊に仕上がっています。

『ミニっきえにっき』は、『子うさぎ月暦』と同じくミニ様とお屋敷の皆の生活を描いた漫画であります。違うのは、『月暦』は四コマ、『ミニっき』はショートストーリーというところ。そして、ミニ様の年齢でしょうか。『月暦』でのミニ様はまだ赤ん坊でしたけど、『ミニっき』では幼稚園児くらいかな? 大きくおなりです。まだまだお小さいとはいえ、天才児ですよ、しっかりして、こましゃくれたこといって、けどまだまだ子供で、その表情の多彩に描かれるところ、すごく魅力的です。聞き分けのいい子供だけれど、時にはいじけてダンボール箱にこもってしまう。その箱にこもる描写がもう、大好きなんですよ。

前回、『ヒツジの執事』はサフォークたち、お屋敷で働く大人を中心に描かれた四コマをまとめたという印象がありましたが、今回『[残業]』は、だんぜんミニ様たち子供がメインです。もともと『ミニっき』がそうした傾向だったこともありましょうけれど、おかげでミニ様をめぐる『月暦』も読めました。いや、やっぱり面白いですよ。『ミニっき』から『月暦』に移行し戻ってくるところに添えられたカット、それがいい味出してます。リオン、マイクのふたりが昔語りしてくれてる、そんな流れが作られていて、すごくほほえましい。とても自然で、なにか嬉しくなる、彼らの間に積み上げられている時間、歴史というものがそっと語られた、そんな気持ちになったのですね。

まとめて読む『ミニっきえにっき』、これはやっぱりすごいです。漫画としての振り幅が大きいとでも申しましょうか、面白いところはもうべらぼうに面白くて、笑わないなんて無理、こらえられない、これは人目のあるところで読んじゃいけない漫画だって実感させられまブヒョ。そしてもうひとつの側面。心に沁みる、胸を打つ、その力強さ。お涙頂戴だなんていい方がありますが、この人の人情話はその対極にあると思う。登場人物の心情、大げさにわあわあと大声あげるように描かれることがありません。静かに、普通に私達も感じているような温度で速度で口調で、しみじみとせまってきて、これはもうたまらない、涙を絞るという表現がこんなにもぴったりとあう、知らず声もたてず涙は自然あふれて、ああやっぱり人前で読んじゃいけない漫画です。ひとり静かに読みたい。心を、気持ちを、いっぱいに広げて、感情の、喜怒哀楽のあふれるにまかせて読みたい。ミニ様のサフォークが一番で、サフォークもミニ様が大事で大事で、ふたりの、そして皆の気持ちのあたたかでやさしいところ、その心地よさが心をほぐしてくれるようなのです。

さて、『ミニっきえにっき』、まだ全部吐き出してませんよね。なので、『[残業]』も売れてくれたらいい。それで、残っている原稿、全部単行本にして吐き出してもらいたい、そう願います。いつぞやの、かぐやの父母のなれそめ、あれもいい話だった。ああしたものも一緒にして出てくれたらどんなにか嬉しいだろうと思います。

2010年10月7日木曜日

『まんがタイム』2010年11月号

『まんがタイム』2010年11月号、発売されました。表紙のテーマは、食欲の秋なのでしょう、ごちそうなのだそうですよ。中央に『おとぼけ課長』、お寿司食べてますね。周辺には、カレーの『すいーとるーむ?』、中華の『だって愛してる』、そして、ええとこれはタコス? 『マチルダ!』であります。ああ、カレー食べたいなあ。インドのカレー、うちの近所になんか店ができたみたいで、ちょいといってみましょうか、そんな気分になっています。

みそララ』は、大島さんのセクハラスイッチがオンになっているという、実に刺激的な展開です。麦田逃げきれず、カジ罠にはまる。理由もなく荒れている? そんな大島さんのクール、いや冷徹な表情が素敵です。けれど面白いのは、大島さんに彼氏のいると知り、一気に攻勢に転じる麦田でしょう。目が座っている。言葉にて畳み掛け、目にて訴える。いや、ほんとに面白かったです。麦田だけでなく、カジさんも加えて攻める攻める、その様子、弱味見せたら負けのオフィス。けれど、仲はよさそうで、実にいい感じですね。ええ、最後の麦田の悪い笑み、ええ、とてもいい感じでした。

『はるなちゃん30』、久しぶりのはるなちゃんですよ。参上から30、ええ、30歳になったんだそうですよ。結婚して子供も持って、おお意外に真っ当な年のとりかたしてる。はるひは保育士、はるなの息子の担任してるっていうんですね。実をいうと、吉本くんとくっついたりしてるんじゃないか、そんな予感があったのですが、ええただの予感でした。こういう漫画の後日談って、本編の登場人物同士、狭い世間でカップル作ったりすること多いという印象を持ってるのですが、はるなは見合いで結婚して、ええ、こういう展開は正直驚きでした。いや、そういえば吉本くんのことを好きだった女の子がいたように思う。だとしたら、はるなのその後がこうなのは、意外でもなんでもなかったのかも知れません。

ひとこまだけでしたが、さえこ先生が出てきたのが嬉しかったです。ちょっと老けちゃってたけど、変わらず可愛くいらっしゃる。ええ、先生が好きだったんですね。

『ねじゆるゆる』の展開の奇妙さ、面白かったです。ジョアンナさんにかかってきた、船乗りの父からの電話。もうすぐ帰る。遭難したとの連絡があった、そうした状況があくまでも過去のこととして語られているんですが、遭難の危機を救うのが、今さっきまで一緒にいて話もしていた現在のねじこというナンセンス。思い立って海に出掛けるといって、そのままジョアンナさんの回想に入り込んでいって、冒頭のジョアンナさんへの連絡は、ねじこの持ち込んだみさきの携帯電話からかけられたものだったという、こういう奇妙にねじくれた時間や常識など意に介さない自由勝手な展開、漫画らしくて実によいと思います。

PEACH!!』、広能と武田の東京旅行。武田が築地で有名人というのは、さすが武田といったところでしょうか。なんかゆったり笑っているところ、この子もなかなかに大物っぽいですね。最初のころは、なんかとぼけた顔してることの方が多かったのに。岩井につれられてどじょう鍋、煮込みを食べる広能、このあたりはいつもっぽい流れです。そして武田は相原と同道して、相原宅にお邪魔する。ものすごく普通の家、マンションかな、こじんまりとして、本当にこれが楽しいのかって相原は聞くんだけど、武田、本当に嬉しそう。お姉さんみたいに思ってるのかなあ、そんな雰囲気があって、すごくよいんですね。あの温泉の話もね、相原の一番でいたいんだろうなあ、すごくよかったです。それで、お別れ、さびしそうなふたり。いつもと逆ですね。いつもは送られるふたりが今回は見送って、こうした気持ちの逆転、交換されるっていうのもよいものだなって思いました。

  • 『まんがタイム』第30巻第11号(2010年11月号)

2010年10月6日水曜日

『まんがタイムジャンボ』2010年11月号

『まんがタイムジャンボ』2010年11月号、一昨日の続きです。

あおいちゃんとヤマトくん』、最終回。バイトをやめ、ひとり暮らしをはじめるヤマト。引っ越し業者のちょっとした言葉に、となりの部屋の引っ越しに心揺らしてしまう彼の様子。なにを期待しているのだろう。ここまでこないことには自分にとってのあおいの大きさに気付けなかったというのか。なかなかに複雑ですよね。つまりは、以前あおいの申し出を断わったの、ちょっとした面当てみたいに見えちゃうわけです。

こうした展開になったのって、ただずっと一緒にいた幼なじみが、なんとなく恋愛感情持つにいたって、なんとなくくっついて、やあよかったね、そうしたなんとなくカップルにはしたくなかったのだろうと思われて、一度離れて、けれど離れるべきではなかった、彼、彼女は自分にとって大切な人だったんだって、お互いに実感させる、そうしたプロセスを持たせたかったんでしょうね。そして、行動に移したのがあおい。先に後悔したのが彼女だったというのもあるのかも知れないけれど、あのタイミングで現れて、素直に気持ちを投げてくれるってところに、この人の魅力が凝縮されていて、実に素敵でありました。こうなるしかない、そうした最終回ではありましたが、けれどそれがとてもよかったです。

『輝け☆星の川高校自由形』、単発ゲストから連続ゲストに移行したみたいです。シスコンの男の子藤田翼、彼のお詫びの気持ちからした親切が呼び込んだ変わり者。菊地乙女さん、登場です。しかし、これはなにデレなんでしょう。ものすごく変わり者。双子の姉双葉もはっきりいう、ヘンなんだもの。直情的で、その感情を素直に表出できない女の子。居丈高に見えてしまうという、けれど気持ちは素直に言葉にしてるんですよね。可愛いお嬢さんじゃないですか。身近にいないからそういうこといえるのでしょうけど、ええ、可愛いお嬢さんじゃないですか。でも、翼は部長のコメントを素直に受け止めておいた方がよかったかも知れない、嘘でもいいから — 、そんな気もするんですね。

『アイスボーイズ』は先生の過去に少し触れられて、酒の席の話題に流されるようにして先生になったの? そして、カーリングに打ち込んでいた時のこと、不和が描かれて、なんだかシリアスですよ。そして本編にてハードな練習、ものすごい実力差を埋めましょうというんですが、そのハードな練習を楽しいという生徒たちに先生の不安が払拭されたという展開、なかなかによかったです。この漫画は、あんまりカーリングをやってるという印象なかったのですが、この頃はカーリングをやっている状況描かれていて、面白いなって思って読んでいます。

『うざいのらねこ』、ゲストなのかな? 人の姿をした猫がガサツな不良(自称?)星野龍のもとに押し掛けるかたちで同居するという、そんな漫画です。ガサツだ不良だというわりに、押しに弱く、なんだかんだいって親切な龍が面白いですね。かわいいといわれて喜んでるっていうのも、なかなかじゃないですか。押し掛けてきた野良猫ノラ子も、うざいといわれるわりにはあかんたれで、このちょっと駄目っぽいふたりのコンビは悪くないなって感じがします。

  • 『まんがタイムジャンボ』第16巻第11号(2010年11月号)

2010年10月5日火曜日

『まんがタウン』2010年11月号

『まんがタウン』2010年11月号、発売されました。よし、『まんがタウン』はこれまでどおりに買える。でも、タウンはしんちゃんの力なのか、入手難度は低いんですよね。さて、『まんがタウン』、創刊10周年だそうですよ。私が読みはじめたのはいつ頃だったんだろう。特別企画に紹介される漫画群、創刊期のもの、ちゃんと全部知ってるんですよね。だから、割と早い時期に読みはじめていたのかも知れません。

『ちはるさんの娘』、単行本が10月に発売だそうですよ。これは嬉しいです。でもって、ずっと誤解されていた武者小路さん。梅本くんのことが好きなのだろう、そう思ってきたちなつさんに、ついに彼女の気持ちが届きましたよ。やあ嬉しいな、やあよかった。で、今回の話読んでて思ったのですが、私、どうも梅本くんよりも武者小路さんのこと応援してるみたいです。実際、武者小路さんの方がちなつさんにはいいような気がするんですね。

『かしこみっく』、10月といえば神無月。イナリ様が出雲に出立するという話を描いて、電車でいこうというのもシュールなんだけれど、ロボットに変化するは、そこから飛行機に変形するはと、このあたりのナンセンス。さらに加えて、石畳の真ん中、神様の通り道を実にわかりやすく表現していて、って、そういうことじゃないですよね……。ド守り、ド守らないも面白く、そしてオチの幸いさ、それがとてもよかったです。

『ほほかベーカリー』、ふわのために制服が用意されました、って扉絵が素晴しいですな。自分には似合わないといっているふわ。店長の対応はまずかったけれど、いってること、それはまさにそのとおりであろうと思うわけです。さて、本編はダイエット。私は食べても太らないから、実はよく気持ちがわからないのだけど、必要以上に食べない、食べたら消費する、それが難しいんでしょうね。で、欲求が満足されることがないからイライラする。ふわは不機嫌になったりはしなかったけれど、微妙な反応見せて、周囲に心配されたり不安動揺を与えたり、定番ではあるけれど面白かったです。でもって、最後のくるっ、素晴しかったです。

『みねちゃんぷるー』、いい感じにこじれてきてますね。自分の立場に、状況に疑問を持つ雅。自分はダシにされてるんじゃないかって思ってしまっている、そうしたところにこの子のらしさが出ていて、自分が好かれて当然と思ってるわけじゃないんですね。なにか切なく、だからこそ雅のためっていってくれたみねに心動かすも、けれどやっぱり自分の気持ちからずれたところで動いている事態、それに心痛めてる。そこに助け船を出すのが壊れたわかばってところ、これが面白かったです。なるほど、選ばないっていう選択肢があるのか。こうした保留、先のばし、みんなふっちゃえ、なにもかもを真面目に受け止める必要なんてないよっていってもらえるのは、ああした局面ではすごくありがたいことだと思うのですね。でも、まわりがよってたかって台無しにしちゃってる。ああ、雅苦労人。で、まさかの救急搬送。ここまでいくとは思ってなかったので、いやあ驚きました。

  • 『まんがタウン』第11巻第12号(2010年11月号)

2010年10月4日月曜日

『まんがタイムジャンボ』2010年11月号

『まんがタイムジャンボ』2010年11月号、発売されました。いつものコンビニで買えないかも知れない、かなり心配して早く家を出て、踏切向こうのコンビニにいったらない! 絶望的な気分でいつものコンビニに戻ったら、ああよかった、買えました。もしかしたら『ホーム』、売り切れてただけなのかも知れません。

さて、『ジャンボ』11月号表紙のテーマは天体観測みたいですよ。『天文むすめ』のためなのか? 中央には『じょしもん』、他に『レーカン!』、『おねがい朝倉さん』。みな星図や本、双眼鏡などを手にして、空を見上げている。この見上げる表紙というの、なにか憧れ感じさせるものがあって、よいものですね。

『でり研』、ゼリィフライってどこの料理? と思って検索したら、結果はわずか3件。なんだそりゃあ、と思いゼリーフライにしてみたら、おお埼玉は行田の名物なのですね。フライも同様で、これは確かに名前で想像するものとはかけはなれています。しかし、B級グルメ探して調べて作りましたっていうんじゃなくて、大仏くんの地元の料理であるのか。ゼリィというからには、ゼリーが入ってるのか、そう思うよな、思います。で、全然違ってみんななんだかがっかりすると。で、会の連中、わざと誤解するような仕込みするっていうね、これは面白い。どんどん追い詰められていく大仏くんが面白い。フライのくだりなんて、最高でした。けど、こうしてあまり知られてない料理を紹介して、調べてまとめたちらしも用意して、会の活動趣旨からしたら実にまっとう。それで、ちゃんと美味しいってんですから、素晴しいじゃないですか。ええ、私もちょっと食べてみたいな、そんな感想もちましたよ。

『コミカプ』、漫画家のしあわせってなんだろう、面白かったです。しかし久しぶりの室木さん、相変らずだなあ。いっそ清々しいくらい。自分の描きたいことを表現できる、それがしあわせと思う人があらば、評価される、読んで喜ばれるのがしあわせっていう意見もある。恋愛に比較して、相手のことを考えない、ひとりよがり、そうした批判もあって、けれどこれは難しいことですよね。結局はバランスなんだろう。受けを狙うばかりだとなにかあざといと感じるものだし、だからといって自分の趣味全開だとついていけないと思うこともある。表現にたずさわっている人は、多かれ少なかれ、こうした問題に直面してるんだろうなって思ったのでした。そして、チーちゃんの新しい仕事を前に不安いっぱいになってる姿。はげますういちゃん。そして、驚きの展開。いいねえ、こういうちょっとサプライズみたいなの、大好きですよ。チーちゃん、なかなかにやってくれる。いい展開でありました。

『パドラーズハイ』、単行本が出るらしい。やったー! これは嬉しいです。といったわけで、本編。大会、2回目のチャレンジを前に作戦を立てる様子、思い切った提案をするゆーゆに、予定外のことにいっぱいいっぱいになるしおっち。個性の違い面白い。ひとりずっとドキドキしてるのね。それに、漕ぎ出してからのルートチェンジにもあわてふためいて、けれど実際に通ったルート、その感覚に気持ちが変わる。その、現場でこそ得られるもの、その表現がよかったです。そして、前からジャンプしてくるゆーゆを全身で受け止める、その一連のコマは、台詞も説明もなくっても、ぐっと気持ちに伝わるものがあって、そして問題のゲートを通る。躍動感ある、素晴しいシーン、展開、見せ方にすっかり魅せられました。5位、上出来。頑張って、工夫して、チャレンジした結果。これもまた感動的、素敵な展開でした。

『天文むすめ』、連載になりました。嬉しいです。前回は、ちょっとSF的要素が押し出されていましたが、今回は完全に通常営業ですね。最近星が見られていない、そうしたすばるを元気づけようと、ミニプラネタリウム(学研のよね、欲しい!)やリラックスランプを持ち込んでくれる友達。なかなかにいい雰囲気じゃありませんか。この漫画は、天文とタイトルにあるけれど、そんなに天文色は強くないなあと思っていたのです。でもそれでもちゃんと天文についての気持ちみたいのがあるって描かれて、今回なんかはうまい流れでしたね。途中の織姫の調理実習風景、完全に天文無関係の展開かと思っていたら、ちゃんと天文に戻ってくる。その折々にキャラクターの個性押し出して、そしてお月見。こういうのはよいなって思いましたよ。

  • 『まんがタイムジャンボ』第16巻第11号(2010年11月号)

2010年10月3日日曜日

『まんがホーム』2010年11月号

『まんがホーム』2010年11月号、昨日の続きです。

『紫乃先生丸美録』、前回知り合った小説家、三儀貴子さん、今回も登場です。料理をしている姉さん。この人は、できないじゃなくてやらない人なのか。けど、そうした姉さんについてより、お母さんの反応が面白い。ああ、娘というのはこうしたものなのか。なんだかわかるぞ、なんとなくわかります。しかし、家族に対してはいいたい放題わがまま放題なのに、外に出ると地蔵なんだ。そして三儀貴子、なかなかのやり手。和泉はじめ、姉も父も手懐けて、この人、実に面白いな。締め切りをいかにのばすか。過去のチャレンジの結果でしょうか、隠された本当のデッドラインが明らかになっている。いやあ、以前中島らもだったかが、かつて編集側の仕事やってたために締め切りのデッドラインがわかる、とかいってたの思い出しました。余裕を持ちたいと思っているのに、本当のぎりぎりをついてこられるっていうのは嫌なことだろう。なかなかに剣呑なやりとり、じつによい感じです。

『恋愛ラボ』特別編。兄様に嫉妬! のっけからへろへろになってる結子、めっちゃくちゃ可愛いな。なんというんだろう、車酔いとかで弱ってる、それこそ吐きそうになってますっていう女の子って可愛いですよね。けど、実をいうと私自身がこういう子供だったんです。自家用車で酔う、バスで酔う。酔い止め飲んでも効かない。一番いいのは寝るなんだけれど、翌日車で寝られるようにと前日の睡眠時間を短くしたら、それで体調悪くして酔う。もうどうしようもない。結子の気持ちはよくわかります。

そうした結子がすこしでも車が大丈夫になるように、一芝居うつ兄様。いい兄様じゃん。ずっと悪い兄様、駄目な兄様だと聞いてたから、ものすごく意外。妹にものすごく懐かれている、だからなんとか妹が車を怖れないですむように、車で出掛けることが苦にならないようにしようっていう、ほんと兄の妹に対する愛情、妹が向けてくれる気持ちに応えようという、そうした姿が本当に素敵な話でした。

それで思い出すんですが、自分ちの車だと酔わないっていってましたね。そうか、この話が用意されていたのか。おどろきの構成力です。

『まりかちゃん乙』、扉が可愛い。断然ブルマよりハーフパンツだなあ。さて、体育祭が嫌なまりかちゃん。そうか、運動苦手なのか、と思ったら違うのか。期待に潰されてしまうタイプなのか。読めば、いろいろ考えすぎて、悪い方、悪い方へと流れていってしまう模様。ああ、難儀な人だなあ……。その、考えんでいいこと考えて、自滅していく、そういうところが面白さなんでしょう。しかも、そうした性格だっていわれてるのに、わざわざ大げさに期待してるって告げる友人。鬼のようじゃありませんか。もう、全然うまくいかない。それで、またおかしな行動に出る。面白いキャラクターだと思います。

『三日月の蜜』特別編です。この特別編、今度出る単行本に収録されるのかなあ。ここでしか読めないとかいってるから、収録されないのかな。されなかったら嫌だな、そう思うくらいに気にいった話です。本編最後に付き合うことにきまった桃子さんと佐倉さん。その後、というよりも、結果的に蚊帳の外に追いやられてしまうことになった杉さんとふたりの関係がどうなったか、みたいな話。面白かったです。杉さんのこと嫌ってるわけじゃないから、きっと告白されてたら付き合ったろうっていう桃子さん。けど、その杉さんの佐倉さんに向けた気持ち、恋愛とは違うのだろうけど、ものすごく可愛がってる、可愛く思ってる、大事にしているということがわかる、そんな様子ありあり描かれて、それでがつんと思いが嫉妬に向かうっていうの、いや、素晴しいですよ。大人に見える桃子さん、けど実際はそうでもないのよっていうのは本編でも描かれたことですが、そうした面が効果的に強烈に描かれて、もうものすごく可愛い。ほんと、可愛い人だと思います。

  • 『まんがホーム』第24巻第11号(2010年11月号)

2010年10月2日土曜日

『まんがホーム』2010年11月号

『まんがホーム』2010年11月号、発売されました。ところが、いつものコンビニにいきましたところ、ない! ああ、雑誌の棚の面積、ぐっと減らしてるなあと思ったら、取り扱い点数もやっぱり減らすのか。かくして、踏切を越えたコンビニにいかないといけなくなりました。こりゃ、ちょっと考えないと入手困難なものも出てきそうだなあ。心配しています。

さて、表紙は読書の秋ですね。『らいかデイズ』、『夫婦な生活』がきて、そして新連載『椿さん』、『あなたなんか大嫌い』。おお、しんやそうきち、これは嬉しい。ええ、この漫画、気になってたんですね。

『ミライカナイ』、ひとつの山でありましたね。海外にいっていた両親が帰ってきて、一緒に海外で暮らさないかと主人公を誘ってという展開。親子仲はよい。また同居する未来人、フェイと両親もすごく打ち解けている。その状況で、ヒロシが海外にいくか、日本に残ってフェイとの暮らしを継続するか、迷って悩んで、結論出して、ええわりとシリアス。この漫画がはじまったころには、こんな展開がくるなんて予想だにしてなかったなあ、と最初のころを思い出しました。ええ、継続、大歓迎です。今回の面白かったのは、徹頭徹尾マイペースでしかも誤解してしまってる両親と、なにやらいろいろアンニュイな息子とのギャップでした。

『センセイあのね?』、面白いですね。ちょっとしたことがきっかけで先生に恋してしまったっぽい加藤つぐみさん。普段は王子さま系の女の子。女生徒から大人気。でもその実態を知る女の子、真理さんが登場して、王子さまつぐみの意外に抜けてるところ、ギャップに萌えてるっていうの、紹介していってくださいます。友人視点からのつぐみ観察、とても面白かったです。登場人物小出しにして、キャラクター主要人物の多面であるところ、徐々に明らかにしていく。わかりやすく、いろいろと見えてくるというところ、すごくいい。つぐみの魅力、ああ確かにわかるなって思いますよ。実際、すごく面白い。ものすごく期待しているタイトルです。

『あなたなんか大嫌い』、連載になりました。男の子が女子校に通っている。その理由が語られて、おお、物語が巻き戻されましたよ。ももとちきり、再会のころ。これまでと違い状況ができあがってるわけではない。けれど、人違いするもも。秘密がばれて恥ずかしがるもも。そして、その再会した相手がかつて約束をかわした相手、ちきりと知って戸惑うもも。なかなかにいい表情。こうした表情を引き出す装置、といったらあんまりだけど、ちきりはそうした役割りを担っているのでしょうね。けど、ちょっと悪い表情してるちきり、ああいうのも好きなんですね。いい感じに育って、深まっていってくれるといいなと思っています。

『おしのびっつ!』、お母さんがいかす! お父さんの出張についていく。こっそり。鬼気迫ってるなあ。もう、どんだけ好きなんだ。いや、もうほんとに常軌を逸してる。あの言い寄る女について語るお母さん、素晴しいですよ。でもって昔語りなんですが、OL時代のお母さん、よっぽどまともじゃないな。頼まれもせんのに産業スパイ。それが趣味っていうのか。趣味だからこそ、仕事にはしなかったというのでしょうか。いずれにしてもまともじゃなくっていかします。お母さんとお父さんの出会いの状況も、出会いから結婚までの道のり、バックドロップが美しい。で、お母さんが可愛い。この、普通じゃないよ! っていうのを畳み掛けて、ものすごく面白かった。見事でありました。

  • 『まんがホーム』第24巻第11号(2010年11月号)

2010年10月1日金曜日

アクアリウム

 実をいうと、私はこの漫画にあまり乗れていなくって、その理由は辛気臭さと人間関係の把握しにくさだったのだろうと思います。ヒロインがふたり、内気でけれど好きな魚、水槽のこととなると俄然積極的になる三嶋ゆうと、幼なじみの男の子とずっと一緒にいたために、女子の友達がいない、どうやって作ったらいいかわからない、とても不器用な吉岡さおり。このふたりが知り合っていこうという、そんな様子がすごくもどかしくて、けれどそのもどかしさが心をくすぐる。どこか切なく、そして微笑ましい、不器用ものふたりの交流が、淡々と、けれどしみじみと胸に降り積もって暖かです。

きっとこの漫画は単行本で化ける。そんな印象を持っていました。ゆうには、ちほとかよという友人があって、さおりにはよしあきとゆきという友人があって、ゆうは家業の熱帯魚店の関係でよしあきと知り合っている。けれど、よしあきとさおりが幼なじみであるということはまだ明らかでない。そんな状況で、ゆうはさおりに近付こうとしている。ゆうサイドではちほ、かよとの関係が描かれる、さおりサイドではよしあき、ゆきとの関係が描かれて、これが毎月数ページずつ、ゆっくりゆっくり進行していく。次の回へと繋げながら、すこしずつ状況を積み上げながらです。

この進行、描写において、私は人間関係を把握できずにいて、また前回から続く状況、それを捉えきれずにいて、ゆえに乗れなかったのでした。ゆうのさおりに対する気持ちが伝えきれない、さおりのゆうに対する気持ちが空回りしている。そうしたところばかり、断片的に受け取って、その向こうに息づいているもの、彼女らの思いや気持ちにまで意識が届いていなかったのですね。だから、繊細さをともない描かれているもどかしさ、これがただただわかりにくいものとしてしか感じとれず — 、けれど一気に読めばきっと変わる、そう予感していました。

ええ、単行本で通して読むと、すごくよかったのですね。あらためて彼女らの人間関係、ひとりひとりとの結び付き確認することができて、ゆうという人のこと、以前よりもよく理解できるようになった。それはさおりについても同じ、他の皆に対してもそう。意外に焼き餅焼きのちほ、すごくいいよね。よしあきにしても、ただ馴々しいばかりの無神経男という印象だったのが、幼なじみであるさおり、彼女のことをすごく心配して、応援していることがわかる。ゆうとさおり、ふたりだけでは、互いに近付きたいと思いながらも、その距離を縮めることは難しかったかも知れない。けれど、まわりにいる友人たちが、時に支え、後押しし、励ましてくれた。そのおかげで、ぎこちないながらも友人と思える、そんな位置にまで距離を詰めることができたのだろうなあ。しみじみと感じるのですね。

ゆうにもさおりにも思惑がある。いや、さおりにこそその色は強いのかな? ただ楽しくほのぼのと知り合って仲良くなって、そういう漫画ではないのですね。素直になれない、自信もない。けれどそれを気付いてもらえていない。そのギャップに戸惑って、こうありたいという自分に近付けない、諦めよう、くじけそうになる。そうした気持ちの揺れが、すごく美しいと思う。すごく辛気くさい、そういった感じもあるのだけど、こういった感覚、ものすごく胸をくすぐるのですよ。もうたまりません。決意した、その思いがほんのちょっとのすれ違いでくじかれてしまう。それどころか、きついこといってしまう。後悔、落ち込み — 。もう、なんて不器用で、なんて可愛いのでしょう。

アクアリウム — 、水槽に導かれるガール・ミーツ・ガールの物語。もどかしさがいつか融けて、ふたりは心からの友達同士になれる。それまでの過程、これからもきっと紆余曲折があるだろう。それがもうわくわくとさせて、けれど読む間だけはしみじみと、心に降る彼女たちの思いにひたろうというのですね。

  • 博『アクアリウム』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊