2010年11月9日火曜日

『まんがタイムきらら』2010年12月号

『まんがタイムきらら』2010年12月号、発売されました。表紙は『ゆゆ式』、ヒロイン三人であります。くつろいでる、そんな雰囲気も感じられるイラスト。ノートに自由に手書きしましたというような背景も、なかなかに味わいありまして、こういうのすごくいいと思います。ただ、なんというか、あまりにイラストと調和してしまっていて、そう、かつての『きらら』の持っていた押し出し、D☆V語と揶揄されたりしてましたけど、そういうインパクトは弱い感じ。いや、これは洗練なのだと思います。実際、おちついていい表紙ですよ。あの、2010/12/DECEMBERのマークも手書きになってて、細かいとこまで凝ってる、面白く可愛い表紙と思います。

ゆゆ式』はドロップキックの話題から。いやね、昨日映画に出てくるドロップキックなどというのを読んでたところだったから、個人的にえらいタイムリーで笑ってしまいました。だいたいにして私にドロップキックっていうのは鉄板のネタで、それは間違いなくギタリスト打田十紀夫氏のドロップキック話のせい。だって、ライブでこういう話が必ず出るんですよ。しかも面白いんだ。もう、血尿が出る話とか最高で、だから私は今回のドロップキックネタで、縁の腎臓を第一に心配したのでした。

しかし『ゆゆ式』ってのは、私でいえばドロップキックみたいな、ほかの人にはわからないだろうけど、本人たちにはやたらと面白い、そういうはまってる状況っていうのが描かれてるんだろうなっていうのを痛感させられます。もちろん、彼女らの面白がっていることを、同じように面白がれると一番いいのでしょうけれど、常にそういうわけにもいかない。けれど、彼女らの面白がっていたりする様子、あるいは主にゆずこの調子にのってぐいぐいと押している様子、そういうのを見ていると、面白さではなく、面白がっているというそのことがじわじわ沁みてくるようでおかしくなってくるんですね。なかなかに今回もじわじわとくる、いい回でありましたよ。

『チェリーブロッサム!』、気にいっています。今回もとてもよかった。主人公日吉と幼なじみつばきがメイン? そのために、いつもとはちょっと違った雰囲気があって、しかも、これ、今後に繋っていきそうな展開ですよね。つばきが機嫌をそこねたのは、日吉が約束をまもってくれなかったから、しかもその理由に代官山とかいう先輩が出てくるっていうこともあったのかな。で、その大倉山先輩当人と知らず知り合ってというね、これは実に期待したい。そして最後に約束がはたされて、日吉、つばき、ふたりの気持ちが、互いにごめんそれはちょっと分からないのだとしても、なにか通じあっている、わからないながらも受け止められてるのかなって感じに思える、とてもいいシーンが。余韻のある本当にいいシーンでありました。

『少女公団アパートメント』、とてもいい感じ。今回は服を買いにいくのですけれど、服を選ぶ、服を買う時のハイテンション、それがひとりひとりで違ってて、とりわけ張り切ってるさくら、引っ張り回されて嫌になっちゃってるなつみ、面白いんですね。服を選ぶときにも個性が見えてくる。移り気なろか、落ち着きのある、あるいは思い切りに欠けるちさ、違う個性が違う個性にひっぱられるっていうのが見える、その様子がよかったです。そしてなつみのマフラー。欲しいと思ってそうなのに、買うのを躊躇してる。それを思い切らせるろかとちさ、でもって最後のなつみの表情、これはもう本当によかった。いい話でした。

『ねこたま。』、ゲストです。最近の『きらら』には異色と思える、そんな雰囲気の絵柄、色合い。ちょっと水彩っぽい? けれど読んでいけば、いずれおそらくはそう遠くなく馴染んでくるのだろうな、そんな風に思うところもある絵柄です。さて、通学時間を短縮するため、亡くなった祖父のうちに一人暮らしすることになった女の子田中あつ子が、おじいちゃんの家で出会ったネコマタの女の子、タマと同居することになる。最初は同居を拒んだタマを、あの手この手で説得して、そしてだんだんに仲良くなっていく、そんな様子が見える序盤、悪くないなって思いました。内容といえば、若干薄めではあるのですが、この先がどうなるかはちょっとわからない。続く掲載を楽しみにしたいと思います。

『ふたり。』、ちょっと気にいっています。ゲスト2回目ですね。変わりものカップル石井、赤坂のふたりのやりとりは面白いし、それに寺島に好意を持ってる佐々木が可愛いし。佐々木に対する先生と赤坂の攻勢、これがことさらに佐々木のよさを引き出しているなと思うわけですよ。そして、最後に素直さ見せる赤坂。これはキュート。そりゃ石井くんも照れてしまうわ、と思ってしまう。普段冗談めかしたやりとりばかりしてるせいか、素直さっていうのが強烈に作用するのでしょうね。ふたりのこうした初々しさ、見ているとなにか穏やかな気持ちになりまして、見守る、そんな思いになってしまうのですね。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第12号(2010年12月号)

引用

  • 茶菓山しん太「チェリーブロッサム!」,『まんがタイムきらら』第8巻第12号(2010年12月号),58頁。

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