2010年12月1日水曜日

お願い神サマ!

 この漫画が単行本になる日を楽しみにしていました。『お願い神サマ!』。『マリア様がみてる』的タイトルを持った漫画、『アリマさんが見つめてる』に憧れる女の子ふたり、綴原柚梨子と夏目実優の友情の物語。いや、友情じゃないかも知れない。もっと深い思いをめぐる物語じゃないか。いや、もっとおかしななにかだろう。その現れ、感じようはいろいろで、この多面であるところ、それもこの漫画のよさなのだろうな。単行本で一気に読み返してみて、そうした印象を強めたのでした。

この漫画をはじめて読んだ時の印象、いまだに覚えています。カラーページ、すごく美しい絵。淡い色合い、暖かみ感じさせるその誌面にみせられて、一気に好きになったのでした。漫画は、強烈に面白さを叩き込むようなことはなかったけれど、じわじわと面白い。互いに憧れているふたり。けれど、思いをなかなか伝えられない。憧れのシチュエーション、自分でもやってみようと思うのに、なかなかそれが叶わない。その時々の照れて、恥ずかしさでいっぱいになって、うまくいかなくて落ち込んで、その様子は可愛らしくて、いじらしくて、そしてなにより面白い。もう、おかしくって、なんだか笑ってしまって。そうした面白さは読むほどに強化されていくものですから、連載を追って1年たった今では、はじめて読んだ頃よりもずっとずっと面白さを強く感じるようになっていて、もう頭っから終わりまで、おかしさにあふれて大変でした。

しかし、だんだんに面白くなっていくっていうの、それは柚梨子、実優ふたりともの暴走といいますか、それがものすごいことになっていくからっていうのもあるんですね。あの、夢の回、いや実際には夢じゃないのですけど、思い描くD☆Vを今こそ! この時はもう強烈でした。ああ、この人たちから照れというリミッターを取っ払うとこんなことになるのか。シャルーン! 好きなだけ呼びじゃくリーンヌ。もう転げまわりそう。どうしても笑ってしまうものだから人前で読んじゃいけないものってありますけれど、『お願い神サマ!』もまちがいなくそうしたもののひとつであります。もう本当、最初は折々に笑いが漏れるといったところが、後半になると大崩壊。ああ、これはひとりで読みたい。思いっきり笑って、そして、彼女らの友情、気持ちの触れ合う様に心動かされたい — 。

ええ、面白いだけじゃないのです。時に心動く。泣き笑いにさえなる。そうした不思議と深みのある漫画。多面的で、それが魅力となっている。そんな漫画です。

余談

ふたりが文具店にいく回、一番最後に収録されている回、これは『まんがタイムきらら』2010年11月号にゲスト掲載された回で、そう、『きらら』に掲載されたことから、その前月に最終回を迎えた『けいおん!』のパロディがあるんですね。このパロディは、今のこの時期にこそ読まれて欲しい、そう思っていたものだから、こうして第1巻に収録されたこと、すごく嬉しく思っています。

  • 守姫武士『お願い神サマ!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊

引用

0 件のコメント: