2010年2月28日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年4月号

『まんがタイムきららキャラット』2010年4月号、発売されています。表紙は『ひだまりスケッチ』であります。私は気付かなかったのですが、手に間違いがあるということで、ああ指を1本多く描いちゃうとか、みぎひだりが逆になっちゃうとか、よくあるといえばよくある失敗だなって思います。でもって、絵を描く母に、この絵の間違いわかるかい? と見せてみれば、男の子がハイヒールはいてる? って、いや、母上、この人はお嬢さんです。しかし、伸ばされたゆのの右手、ちゃんと中に骨が入っていて、いいですね。こういう骨格感、大好き。私は骨格が好きなんですよ。骨が感じられる、そんな女性が好きです。

『まんがタイムきらら』系列誌がありがたいのは、目次を見たらどれがゲストでどれが新連載で、どれが最終回かわかるところだと思っています。これ、アンケートを書く人の便利を考えてくださってるのかな。実際、アンケートの項目、タイトルに新連載、ゲストと印がついていて、すごくわかりやすい。本当にありがたいのであります。

といったわけで、今月の新連載は、『inote! — アイノテ!』、『ねこのひたいであそぶ』のふたつ。ゲストは『Girls f/2.8』、『3イコール1』、『かためで!』のみっつ。そして最終回は『バラエティも〜にん』です。

『inote! — アイノテ!』はゲストからの昇格です。夏休みに入る、そんな時期の話。しかし、ヒロインちえが面白くて、マイペースというか、のんびりしすぎ。先のこと考えなさすぎです。でもって女子集まってギャルゲーやるっていう展開、この女腹立つ、女心がわかってないのよ、などなど、なんでもないこといいあっているような話なんだけれど、そのなんでもなさが面白かった。さらにお姉ちゃんどころかお婆ちゃんまで参加してるっていうの、ユーモラスで共感もてる、そんなわいわいとした状況がとてもよかったです。

『ねこのひたいであそぶ』は、『のんびりマスタリー』のなんにゃかの新作です。でも、テイストは『のんびりマスタリー』に同様で、町内全域かくれんぼ。友人ひとりひとりの趣味好みや傾向をもとに施設、スポットをまわっていくっていうの、キャラクターの個性を自然に紹介しながら、かくれんぼという遊び、エピソードをちゃんと成立させていて、とてもよかったです。

『Girls f/2.8』、いい感じに写真部の活動に戻ってきました。大量の使い切りカメラとかね、ランニングコスト考えたら、デジカメ買ったほうがずっといいんじゃないかって思ったりね。二眼のカメラで生じるパララックス、ファインダーとレンズに出る視差ですが、それが自然に出てきたりするのはいい感じ。自分の機材に興味持たれて、ハイになっちゃうお嬢さんとかも素敵。この人、ちょっと好きなタイプかも。でもって、子供を被写体としてスナップ撮影。これ、今は本当に難しいんですよね。子供に限らず人物スナップは魅力的なテーマであるのですが、そうしたものを気負わず撮れる彼女らの世界、いいなって思ったりしたのでした。

『3イコール1』は雪の日のエピソード。寒さに弱い長女、可愛すぎる。姉妹三人、それぞれで雪の日の初動が違うっていう。これはまだゲスト2回目だけど、エピソードを積み上げていくことで面白さ増していくんじゃないだろうか。そんな風に思っている漫画です。

『かためで!』、これは好き。かなり好き。帯刀女子高生の漫画。帯刀文化が残っているという世界で、しかし普通の日常もの展開するっていう、ちょっとナンセンスなところが気にいっています。しかしこれ、読むほどに面白くなってるように感じます。刀が真剣っていうところとかね。真剣ということは、刀を使った事件とか発生したら、刀規制の声が高まったりして、そうしたら全日本カタナ協会が帯刀は憲法に保証された国民の権利だ、とかいって反対活動したりとか、いろいろ馬鹿なこと考えてしまう。そうしたバックグラウンドに思いが広がる余地のある漫画、面白いです。

『バラエティも〜にん』、最終回。無根拠にこれは終わることのない漫画と思っていたので、ちょっと驚きました。最終回もいつもと同様の雰囲気でもって展開して、そこに最後に特別な印象がちょっと出て、終わり。けれど、来月載っててもおかしくない、そんな感じでもあるのですね。普通に、あたりまえに存在していて、あたりまえに読んでいた、そんな漫画でした。独特の、というか作者の持ち味ですよね、その雰囲気、気をはらず読めてよかったのでした。だからちょっと残念な気もします。

『もこもこBOX』、またひとり可愛い子が増えた! 新入生の子が学校に向かう途中で寄ったパン屋さんでの交流。コロッケもらって、もぐもぐ食べてたら、お客さんいっぱいやってきたよ! っていう、これそのまま絵本にしちゃってもいいんじゃないの? っていうほのぼのエピソード。特筆すべきは、そのコロッケを食べる様子、たしかにおいしそう! 自然にお婆さんに椅子ゆずってあげたりしてるところもよくて、そしてお店のおかみさんもいい。ただ可愛いだけじゃなくて、そこにコミュニケーションが発生しているっていう、その状況がとてもよかったです。

GA — 芸術科アートデザインクラス』。おおう、あーさんのこと好きになりそうだ。今回の話は視覚、色の見え方の話であったのですが、絵を描こうという人には不利な条件と思える、そうした特性も単純によいわるい、有利不利じゃないんだっていう、そんな話。深みのある、いい話でした。同じ世界で、私と違う景色を見ているあなた。私はそういう人にちょっと憧れるところがあるんです。自分の見えない世界、知らないものを見ている、そしてそれを表現によって知らせてくれる、そんな人が私は好きです。うん、だからあーさん、好きになりそうです。いや、もともとかなり好きだったですけどね。

うらバン!』は部活をはなれてテスト勉強。ハル君の私服、びっくりしました。なんぞその少女趣味は! と思ったらお母さんの趣味? でもえらい可愛いなあ。京浜さん、萌葱さん、もうすっかり溶け込んで、しかしできれば可愛い服着てほしかったなんて思ったりなんぞして。そしてあさみんの大逆転。これはもう典型といってもいい王道ですが、こういうトリッキーなキャラクター確立して、いいポジションだと思います。

ねこみみぴんぐす』、穂咲さん登場。私、この人大好き。しかし扉絵における穂咲さん。とってもエレガント。エレガントな人、大好き。けどこんなにエレガントでいい女なのに、本編ではそうばっかりでもないっていう、このギャップ。ギャップのある人、大好きです。なんでも好きなんかっていわれそうですね。しかし、制服、ブレザー、こうしたかっちりした格好も素敵だなあ。この人の登場は、前回のひよりと花のエピソードを受けてなんですが、ああ確かに写真撮ってたっけと思って、こうやって懐っこくからんでいくところ。情をもって交流をしているところ。すごくいいなって思うのですね。それは穂咲さんもそうだし、ひよりと花の関係においても同様で、ひとつの趣味興味、取り組みを通じて結ばれる関係、素敵です。

それはそうと、改めていうようなことでもないんだけど、猫耳、帽子にぬいぐるみ、ヘッドホン、縦ロールと、みんな見た目にすごい特徴持たされてるんだなって思って、このわかりやすさは親切かも知れないなって思いました。いやね、むしろこれまで普通に自然に当たり前にこれらを受け入れていた自分にこそびっくりであります。花の帽子、マフラー、コート、うさたんというコーディネート、すごくいいなと思ったのでした。エレガントです。

チェルシー』、こちらもテスト勉強であります。そうか、学生さんはテストの時期なんですね。しかし、ライバルの楓、なんか悪ぶってる素振り見せてるけど、実はいい子みたいっていう、それちょっと面白い。この人、なんのかんのいって面倒見いいし、付き合いいいし、なんか寂しがりやっぽいし、悪い子じゃないよなって。そしてこちらでも満点展開!? と思わせて、こいつは一本とられました。いいひねりでありました。

『アクアリウム』、扉絵がすごく魅力的。漫画の内容も悪くない。ラブレター? 貰って、それで皆で対策たてるはずが、話が違う方向に向かっちゃってるっていう。それでも大きな流れはできあがっていて、素朴なヒロインと男子の出会い、交流、なかなかによい感じです。出だしはスロースタートと感じていたのですが、最近はスローながらもうまくまとまって、複数の流れ、動きが連携しながら進んでいく。その様子が見えるようになってきたからかと思います。面白いです。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第4号(2010年4月号)

2010年2月27日土曜日

『まんがタイムオリジナル』2010年4月号

『まんがタイムオリジナル』2010年4月号、発売されました。表紙には元気はつらつの山下ナースであります。応援がテーマなんですね。季節、時期がらのことなのか、それとも暗い世相に元気を注入したいというのか。わからないけど、こうした明るく元気な姉さん見てると、こちらも元気だしていかんとなと思えてきて、ええ、いい表紙だと思います。

『アトリエZOOへようこそ!』、扉にやられました。この人、アシスタントさん、大好き。めっちゃくちゃキュート。漫画の中でもそうなんですけど、扉の、こういう表現においてもやっぱりめちゃくちゃ可愛くて、よいなあ。でもって、東京です。ああ、地方から出ると、東京ってやっぱりものすごいって思いますよ。とにかくでかい。規模が違う。お祭りやってるんじゃないかとかいってますけど、けれど実際、東京っていうのは、日常がお祭りなのかも知れないなあ、なんて思って、だからロリ服みたいなものも普通に受け入れる素地があるのかも。いや、知らんけど。でもって出版社に押し掛けて、羽目はずしてるとでもいったらいいんでしょうか、この自由な振る舞い、こういうところがすごく好きです。

『ハルコの晴れの日』、これはちょっと爽快感の得られない構造になってしまってる。晴子が出会う男性。最初はいい人に思える。けれど、ちょっといい雰囲気になったかと思ったら、めっきが剥げて、ひどい男だ、嫌な男だとなる。これ、長いスパンで見たら、ムジナの大将、先輩と結ばれたりするんだろうって思うのですが、それまで毎回、持ち上げて落とすという、ポジティブな感情からネガティブに落とすっていうのが繰り返されるのだと思うと、読者の感情としては受け入れにくいものがあるんではないかなって思ってしまうんです。同じく『オリジナル』に連載されている『ハッピーエンドではじめよう』は、毎回人死にが出るという、ある種ハードな設定を持ってるんだけど、こちらは人生に対するネガティブな感情があって、けれどエピソードを通してポジティブに向かう、まったく逆の上昇する流れを持ってるわけで、この読後感といいますか、感情の向かう方向の違いは大きいのではないかなんて思っている次第です。

『満開!Sister』、東屋めめの新作です。厳格な家庭に育った厳格な少年。男らしさに拘泥する、マチスモっていうのかね? そんな少年が主人公でありますが、そうした主張を貫徹できないっていうのが面白いです。父親の再婚にともない、姉と妹ができました。そのふたりに翻弄されてるっていうのがよくて、しっかりさっぱりの姉には見透かされ、キュート甘々でしたたかな妹からは、可愛さでもってコントロールされる。ああ、なんて素敵なシチュエーションでしょう。しかし布団に入ってこられるというのは、この年代の少年には大変きびしそうであります。なんか間違いありそうね。

『恋は地獄車』、素晴しい。万里子と千歳の名前の由来とか、最悪に酷くて、最高でした。この姉のろくでもなさ、母由来なのかと思わされるエピソードでした。そして、並の男よりも男らしい、しっかりしてる千歳が後藤さんと接近。女の子扱いされて参ってしまうところ。ちょっと可愛かった、というか、この人もチョロい口なのか。しかし、千歳、本当に可愛い。タカハシ君、ピンチですよ。

そこぬけRPG』、おお、カナさんがキュートだ。めちゃくちゃキュートだ。と思ったら、ゲボキューもキュートだ。もちろんゆかりさんもキュートです。しかし藤崎さんと寅屋のその後、カナさんがしっかり状況把握して、よいように操縦しているってところ、素晴しい。こういうところも、すごくよくできてる漫画だと思っています。

『うわさのユーレイちゃん』、再度登場して、結構好きな感じの漫画だったものですから、ちょっと嬉しいです。あくびして写ってしまった心霊写真。それが恥ずかしいってのがいいなと。幽霊なんだけれど、他の生徒と同じようにありたいって思ってる、そういう心情が健気であったりいじらしかったりしていいのです。でもって、最後の会心の笑顔。あれはいいです。この先生が、幽霊に対するよき理解者として振る舞ってるところ、それがまたいいなって思うのですね。いい漫画です。

  • 『まんがタイムオリジナル』第29巻第4号(2010年4月号)

2010年2月26日金曜日

『月刊アフタヌーン』2010年4月号

 『月刊アフタヌーン』2010年4月号、買いました。表紙は『シドニアの騎士』。なんか独特のローテンションが変に心地いいロボットもので、なんだか毎号、楽しみに読んでいたりする漫画であります。ローテンションなんていいましたけど、それは盛り上がらないってことではなくて、ストーリーは結構ハード。主人公と仲のよかった同僚パイロットが正体不明の敵にとらわれたりと、そんなスリリングな状況にやっぱりなんだか次号を楽しみにしてしまう。ええ、なかなかに面白い漫画です。

『BUTTER!!!』、社交ダンス漫画でありますが、うざいうざいといっていた少年。いつかこいつが変わるのだろうと、そんなこといってましたけど、はやい! もう変わりはじめましたよ。ヒロイン夏が引っぱる。アップテンポ、大きなステップ、溌剌とした夏の表情に引き込まれるように、端場敬弘の気持ちが開いていく。これはいいよ。もう、ざまあ見ろだよ。これはなかなかの爽快感があるな。そう思わせる今回の展開。私もちょっと引き込まれてしまったみたいです。

百舌谷さん逆上する』、ムーちゃんがいい子すぎる。ほんと、いい子すぎて泣けてきます。でもって、きっと、この子の頑張りは、ちょっと千鶴を困らせる方向に働いたりするのかなあ。というわけで、今回は主に前半後半二部構成といった感じ。その前半は千鶴が友人集めて、いかに百舌谷さんをしあわせにしようかと悪事を目論む、そんな展開なんですが、話はどんどん脱線して、ドラマ的妄想あり、昔話パロディあり。あまりの理不尽に怒る千鶴がかわいすぎる。何なのソレ!? でもって変身ヒロインですよ。このワードに反応して獣耳はやすムーちゃん、素敵すぎ。『マジカル委員長パープルローズ』。もう、本当にあほな展開。けど典型的展開をうまく用いて、これはもう笑わずにはおられない。いや、ほんと、格差社会、切実になんとかしてください。

そして後半。ツンデレを愛でる男達の飲みの様子ですよ。しびれる。なんともいえない痛ましさがたまらんです。特に、あの百舌谷さんに雇われたエージェントでしょうね、彼女が現れたときの描写、住み分けの話ね、ああ、ほんと、わかるわかる。わかるっていう、そのことがなんだか悲しい気もするが、わかってしまうのはしようがないよね。でもってこちらでは竜田兄貴が重要なポジションについているのですが、この人、ずっと大学生だと思ってましたよ。

そして勘違いする男ふたり。動揺する百舌谷さん。うまく次回次回へと、気持ちを繋いでいってくれます。

『友達100人できるかな』がまたも面白い。地球人を試すためにやってきた宇宙人。直行とともにいる道明寺ではなくて、今回は椎名さんと一緒にいるヒカルと友達になろうというチャレンジが面白くて、まったく違う個性、まったく違う文化、感覚。その壁をいかにして越えるかという、試行錯誤と失敗と、そして椎名さんの言葉。この頑なな人が折に見せる娘への愛情。その姿に気持ちが揺れる。そんな私には、ヒカルちゃんに向きあった彼女の姿は深く心に届くほどに鮮烈で、それだけに続くヒカルの答えもまた鮮烈、素晴しいなと思わせられたのでした。しかし、いつもいつもといっていいものか、まわりくどく進むんじゃなくて、真っ直ぐ気持ちを伝えなよとでもいうがごとし展開。その真っ直ぐさが魅力的な漫画であります。

いもうとデイズ』はお兄さんが素敵で素敵で、もうこの人、すごくいいなと思ってます。この人にとっての、ディアナとともに暮らす意味がはっきりと自覚された、そんな回。これまでも、ディアナを通じて過去の自分と向き合うようなことは描かれていましたが、それをなお強く読むものに訴えて素晴しかった。ディアナと暮らして気持ちを伝えあうことで、お兄さんは穏やかで大きな愛情をもって、ディアナそして自分自身に向き合えるようになっていく。そのお兄さんの表情に、とても暖かで仕合わせな感情を思って、読んでいる私も心がやさしくなっていくようです。

2010年2月25日木曜日

Flower, taken with GR DIGITAL

IvyGR Blog恒例のトラックバック企画、2010年2月のテーマはハートです。ハート。さすがにこれは撮ったことなかったなあ。と思ったのですが、それでもあきらめ悪く、それっぽい写真を探してみたのでした。そして、なんとかそれっぽいのを見付けることができました。ようしこれで、トラックバック企画 ハート に参加できるぞ。と思ったのですが、ああーっ、締め切り過ぎてるじゃん! 25日が締め切りだと思い込んでいましたよ。

というわけで、後はもう簡単に。選挙かなにかあったのかなあ。投票所へ向かう途中なのか、花壇をきれいに手入れされているお家があったから、それを撮ったものと思われます。名前のわからない花です。なんせ私は花、植物には疎くって、写真を撮るようになってから、花に目を向けることも多くなって、ともない知識も増えてきてはいるのですが、けれどもまだまだ全然です。

ピンクの花。花びらがなにかハートのように見えるなと思って、それで選んでみました。

Flower

2010年2月24日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年4月号

 『まんがタイムきららフォワード』2010年4月号が発売です。表紙には『少女素数』。背景は春めいたとでもいいましょうか、華やかなピンク。そこに魅力的な双子が! あんず金髪はわかりやすいけど、すみれ碧眼は普通に見えてしまって、深い青色。普通のおとなしそうな女の子に見えてしまって、ええ、実は私、碧眼設定を自力で気付けなかったのでした。しかし、コート、マフラー。春といえどもまだ寒い、そんな季節にあたたかみ感じさせてくれるイラストであります。

そして巻頭カラーで『少女素数』。女子が集まってパジャマパーティー。しかし、チョコレート菓子やボードゲーム、もとのものを彷彿とさせながら、ちょっとずつ違ってるってところ、面白い。そして、パジャマパーティー。女の子たちのかしましい夜の様子。ゲームして、わいわいと騒いでるかと思えば、将来のこと話したり、そうしたところに彼女らの個性が見えてくるのがよいですね。しかし、すみれ人気を知ったあんずの様子、これはいい。そしてすみれの苦手としてること。この回は、後から振り返った時に、結構な意味ある回になったりするのかな、なんて思わされたりしたのでした。そして、ぱっクン。あの意味深な台詞からあの落ち、シンプルで、けれど前からの状況引き継いで、効果的、面白かった。で、どうでもいいのだけど、挨拶するぱっクン。あのニュートラルな感じ。なんか可愛くてよいなあ。素朴でいい少年だと思います。

S線上のテナ』、前回の盛り上がりが収束するのかな。しかもハッピーエンドだ。そう思って、よかった、安心していたら、わお、まさかこんな展開がくるだなんて。やられました。一瞬の落着の後に、再びクライマックスに向かう盛り上がりが用意されて、しかもかなりの急勾配。まだまだ休ませてはくれないという様子。これは本当にやられました。ひきつけられっぱなしです。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』、めちゃくちゃ面白かったです。オーディオの話なんですけれど、マニアックな店主の語る真空管アンプへの愛。昔の機器が持つ暖かみ、味をおやじが語ったところへ、すずがぴしゃっとクールな突っ込みをいれてしまう。こういう論争めいたの、戯画的にうまく表現して、しかもそれでオーディオファンを馬鹿にするようなところがないというバランス。いやむしろ、オーディオファンはあのおっさんに共感を覚えるんじゃないでしょうか。大変素晴しい。そうか、家まで建てかえたかあ。やるなあ。周囲から理解されにくい趣味に、理解を示してくれる人がいる。それも、こんなに可愛い娘さんとあれば、舞い上がってしまうのもしかたない。ほんと、気持ちはよくわかる。それだけにいっそう面白いと感じられたのかも知れませんね。

『異国少女とすみれの花束』、新連載です。主人公真崎亮が訪れた曾祖父の家。その庭にあった井戸、それは異世界? 過去のロンドン? に繋がっていた。それは曾祖父の経験した過去の世界なのでしょうか。状況もよくわからないままに、留学生のマサキとして迎えられる亮。物語はまだまだプロローグ。どうなるのかはまだわかりません。

『夢喰いメリー』、夢路が実にいいです。主人公らしいとでもいったらいいのでしょうか。敵を前にして、これまでは逃げるのが精一杯だった。なのに、圧倒的な力の差がある相手にひるまない。前へ歩を進める彼の勇気が光っていました。そして逆転の可能性が示される。これは期待しちゃうでしょう。ええ、期待しないではおられませんよ。

『わたしたちは皆おっぱい』、こちらも実によいです。これまでは序盤に過ぎなかった、状況を用意する、そんな回であったのだよと思わせてくれる回でした。役者が揃って、そしてヒロインがヒロインとして話を動かしていく。これまでは、嫌われるんじゃないかと、自分のことで精一杯だった貴子が友達のために動く。その気持ちの強さ、まっすぐに放たれる思いにはちょっとじんとさせられました。そして、ちゃんと追い込まれるっていうね。おお、ピンチだよ。そのピンチをどう克服するのかは次回に期待しろと。ええ、期待するしかないです。というか、ほっといても期待は膨らむ一方です。

純真ミラクル100%』。これまでの、結構どろどろとして陰鬱な雰囲気ただよわせた恋愛がらみの状況、仕掛けられた罠にはまるのかどうなのか、そんな剣呑さがすっと消えた回。緊張がゆるんで、ほっと安心できる。これまでの引っ張りがあったからこそといっていいものでしょうか。この弛緩はすごく効果的に働いて、かたく強張りつつあった、そんな気持ちに一気にあたたかなものが流れ込んできたと感じさせられました。いや、しかし、二宮さん、よいなあ。もう大好き。なんて可愛い人なんでしょう。

『となりの柏木さん』。ヒロイン琴子と清香の友情確認の様子、であるのだけど、素直に嫉妬してるよ、ヤキモチ焼いてるよといってしまう清香はすごくよいです。琴子にとっての清香、清香にとっての琴子、ふたりが前提としている状況が見えてきました。ところで、今回のラスト周辺の状況、これは清香におけるドラマの芽生え? ちょっと覚えておきたい、そんなやりとりでありました。

据次タカシの憂鬱』、相変わらず面白い。あの、こっそりとサプライズを用意してるっていうの、そいつは確かにあからさまであったのですけど、店長の用意したサプライズ、こちらはまったくの予想外。そして、裏目。計画の失敗が明らかになったコマの面白さ。しかし、これ、そこまでのタカシのネガティブなモーションあっての面白さだと思う。舞い上がり急降下するタカシのテンション。いいわ、この人、いいわ、素晴しいわ。で、最後の四コマ。自己嫌悪する彼、その反省のしかたはラディカルすぎる気もするけど、でもその様子に人のよさというもの感じさせて、ああいい奴じゃん! ほんと、隠し芸が無駄にならなかったのもよかったです。

『オニナギ』、終了です。惜しかったなあ。ちょっと、これ以外に言葉が見付からない。休載から明けたところ、状況の説明はあったものの、本編はまさにバトルの連続。一度冷えてしまっていた、そんな状況ではちょっとのり切れなかったと感じています。いろいろ考えていたものはあった。それがよくわかる最終回でした。惜しかった、そう思わされること、なんか多いなあ。惜しかったです。

2010年2月23日火曜日

家政婦が黙殺 — 篠房六郎短編集

 今日のこの日を待ち焦がれていました。出版者倒産により長く絶版していた『家政婦が黙殺』が復刊したのですよ。もう嬉しくて、まあ旧版も持ってるんですけど、買うんですね。しかし、この漫画、ずいぶん表紙が大人しくなりましたけど、裏表紙にはお嬢様とその執事が出ていて、その執事が問題で……。まあ、表紙の女の子見て、うわ可愛いと買ってしまう、そんな人に、ちょっと待ってと、中身はこういう漫画なんですよと、一応のお断りをしましたよ、そんな感じなのかも知れません。でもまあ、すみっこに半分隠れてるから、なんだろうこの変な怪人は? とそれくらいの認識で買ってしまった人は、大いに後悔したりするのかも知れません。

でも、後悔なんていったけれど、私はこの漫画、好きなんです。もうどうしようもない馬鹿な漫画で、以前は成人向けとして年齢制限かかってたんですが、あんまりに内容が馬鹿馬鹿しくって、ちっともエロくならなかったからなんでしょうね、今回は年齢制限がなくなりました。だから、気兼ねなく買えてしまいますよ、とはいうものの、それなりにお下劣なので、下ネタ嫌いだっていう人には絶対に向かない漫画であるのは確かです。

新装復刊にあたり、内容が少々再編されています。収録された漫画は旧版のものに今回の描き下ろしと、欠損なし、実にありがたい仕様であるのですが、収録順が違っています。以前は、同じシリーズをかためて配置していたのが、今回は適度に分散させていまして、でもこの分散させ方、結構よかったです。自然に読めて、あ、このシリーズがまた出てきたと、そんな感じの新鮮さを感じたりできるんじゃないかと思うんですね。いや、旧版を何度も読んでる人間の偏った意見かも知れません。

描き下ろしについては、なんかすごくコメントしづらいんですが……、いやね、私、そのパロディの対象となってるの、はなっから読んでなかったりするもので、けれど騒動だけは知ってるから、どうともこうともいいにくいんです。面白かったですよ。その騒動を知っていればなお面白かろう、そんな仕掛けがほどこしてあって、ある意味自虐的で、ある意味サービス精神がたっぷりで、でもってちょっと攻撃的。損な性分だなあ、なんて思いますが、けどそれがらしいと思ってしまう私は、いい鴨、おおっと、いいファンなのでしょう。

こうしたものを芸風といってくくってしまっていいものなのか、そこはちょっとわかりません。けれど、こうしたことをやってしまう、やらずにはいられない人だからこそ、『ナツノクモ』、そして『百舌谷さん逆上する』のような漫画も描けるのだろうと思います。これらに悪ノリや悪趣味を感じる人もあるかも知れない。けれど、そこには人の弱さが描かれて、同時に、打ち拉がれそうになりながらも将来をつかもうとあがく、そんな強さが確かな手応えをもって存在しているんですね。溢れんばかりの豊かさで迫る心情のほとばしりが、私の心をとらえて、もうしかたないんですね。

とは書いたけれど、それはあくまで篠房六郎の一面で、そして『家政婦が黙殺』はまた別の一面です。悪ノリや悪趣味を感じる人もあるかも知れない、その悪趣味の側がふんだんに盛り込まれていて、けど私、そういうのも嫌いじゃないんだ。『男一発六尺魂』とか最高だと思う。それから『シャーブル昆虫記』。もう、どうしようもないんですけど。でも、人間ってものがもともとどうしようもないものじゃないですか。いや、私だけかも知れませんけど……。その人間のどうしようもない部分を、どうにかこうにか取り繕って生活してるのが私たち社会的な人ってやつなのだと思うのです。その、隠してる部分がこんなにもあらわにされる。駄目な部分、どうしようもない面の肯定というか、露悪趣味かも知れませんけどさ、そういう開き直りに似た清々しさがあって、私は嫌いになれないんですよ。

いや、はっきりいいます。好きなんです。こういう篠房六郎が好きなのです。

2010年2月22日月曜日

『まんがタイムスペシャル』2010年4月号

『まんがタイムスペシャル』2010年4月号が発売されました。4月、もう春の装いであります。桜餅を手にしたちるみさんに、お花見? お重にもたれかかった別所センパイと、そしてこれは桜の精なのか? なんかピンク色の花のドレス着たマキ、リコが桜餅食べてる。そうかあ、桜餅かあ。実をいいますと、私、桜餅自体は嫌いじゃないんですが、あの葉っぱがちょっと苦手でして、どうしてもよけてしまうんですね。

さて、今回は新連載がふたつ、終わったのがふたつ? 新連載ひとつ目は、松田円の『トンネルの華子さん』。2009年10月号にゲスト掲載されたものが連載となって帰ってきたのですね。小さなトンネルに出る幽霊らしくない幽霊、華子さんがヒロインであります。永遠の24歳。どうも、かなりの昔に死んだ人みたいなんですが、もう死んでいるだなんて思わせないほどに生き生きとした姿が魅力的。自信過剰でほがらかで、大抵幽霊といったら陰気だったりしめやかだったりするものですが、真っ向から違ってる。そのギャップ、ナンセンスさはいい感じ。また、華子さんの明るさもよいんですね。

もうひとつの新連載は、カラスヤサトシ『強風記』。最初、またなにかナンセンスなエッセイもの描くのかと思ったものだから、これは意外。この人、創作ものも描くんだ。そんな感想に、自分がこの人に対して持っていた偏見突き付けられる思いがしまして、自身驚いています。しかしこの意外性のためなのか、結構この連載悪くなさそうです。売れない文士の漫画。テイストはいつものカラスヤサトシ風味、けれどそこについぞこの人に感じたことのなかったロマンのようなもの感じて、これは興味深い。面白そう。後輩に追い越されてしまった主人公の焦り、見栄、ぎりぎりで保たれるプライドが描かれて、もうまったく負けっぱなしというこの男の恋心がほのかに見えた。そのラストにおけるモノローグ、これはいい。好いた惚れたという言葉以上に、心の奥に屈折してゆらゆらと動く気持ちの模様が描き出されていて、これはいい。やけっぱちな、けれど純情な、そんな恋愛ものになるんでしょうか。これ、本当に楽しみな連載になりそうです。

『えんれんCafe』、最終回でした。結婚はいいもの、やっとこさ辿り着きました。かと思ったらそうではなくて、結婚のデメリットや不安みたいなのが表立ってくるというのは面白い。そんなものかも知れませんね。不安を乗り越えての結婚式、クライマックスで終了するというのは漫画の終わりかたとしては当然なんだと思うのですけど、この後に不安的中とかないのか? なんて思ったりするのは私の性格の悪さですね。素直に読めば、これまでの遠距離恋愛で揺らぐことのなかったふたりの気持ちあればこそ、きっと仕合わせでいらっしゃることだろう。そういう感想に落ち着くのでしょうね。

『蝴蝶酒店奇譚』、最終回です。この漫画、好きでした。なんか飄々とした味があって、けれど結構真面目なテーマがあるんですよね。飄々とした雰囲気は、ヒロインでいいのかな? プイプイによるものでしょう。見た目子供、けれど何年生きてるんだかわからない。妖怪みたいなお嬢さんですけど、達観している。なんといいますか、こういうキャラクター、好きなんですよ。だからなおさらこの漫画にひかれていたのだと思います。最終回はライが出てこなかったですけど、そのぶんオーナー、プイプイが前面に出て、ちょっと猥雑で不思議な都市、歌賦都市の魅力というものをよく伝えていたと思います。思えば、キャラクターに加え、この都市の表情も魅力的でした。香港思わせるアジアの都市。活気があって、ちょっと危険そうでもあって、そうした都会に人生を送る人たちの物語。なにか、異郷に郷愁感じさせるような、そんなよさがあったのでした。

これ、まとめて読めるのなら読んでみたい。折に読み返してみたくなる、そんな物語であります。

目次ページの四コマ、『おてんき小春ちゃん』。ちょっとNHKの春ちゃんを彷彿とさせて、けれど全然イメージは違いますよね。魔法使うの? なんともいえないインパクト、展開でしたけど、なんか四コマ目、落ちで主人公が満足してるの見て、ああこういうのもいいねと納得してしまいました。

『キミ待ち!』、なんか魅力的なキャラクター出てきた! ちょっとわがまま? ちょっと強気? けど、なんだか根は素直そうな女の子、詩。めちゃくちゃ可愛いじゃん! というわけで、蕎麦屋サイド、そして職場組、レギュラーでしょうね、出揃いまして、そしてそれぞれの気持ちの向いている先、そのいりまじる様、面白いです。たくさんの人が出てきて、ごちゃごちゃしないのは流石。これ、期待しよう。

『笑って!外村さん』、あいかわらず面白い。落ちに向かうまでのパターンはこんなにも典型的なのに、笑わないではおられない。これで目を覚ませ。「ジョーク」における何でだ!?。あおりにはふびん萌えなんて書かれてるけど、ふびん、勘違いのかげに、外村さんの素直な前向きさが垣間見える、それがいいのだろうなって思うんです。この感覚とは萌えとはちょっと違うような気がするけど、でもがんばれって思ってしまうのは本当ですね。

『ココロ君色サクラ色』、面白かった。漫画家やってる父親の資料写真に翻弄される少年少女。あの、魔法かけちゃうぞ☆っての、めちゃくちゃ可愛いな! そして、キスシーン。翻弄されっぱなし。けどさ、好きな女の子前にして、あのシチュエーシュン。そりゃその気になってもしゃあないよなあ。でもって杏ねえちゃん、彼女もまた最高で、翻弄されっぱなしの葉介可愛すぎ! でも、この父親、可愛い娘が誰かとキスするとか平気なのか、飛んでるな、なんて思ってたら、決してそういうわけでもなかったというのが明かされて、そういう気持ち、複雑なパパごころよのう。結局、この親父さんも可愛いのでありました。

『放課後エア部』、ゲストです。相変らず、自由というか、なんでもない日常を、ただ思いつくままに楽しもうとする女の子三人。残念ながら私は女子高生というのがよくわからないけど、彼女らの行動見てたら、昔、学生のころ、あんなだったなあって思い出して、ちょっと懐かしい。なんでもないこと。けれど、そのなんでもないことの中に楽しみはあふれている。忘れたくない感覚です。いつまでも瑞々しく、わいわいと他愛もなく楽しんで、日々を、その時々を送る。この気持ち、やっぱり大切だよなあって思う、そんな漫画です。

『ミニパトっ!』、親不知話です。おお、私も抜いたよ。昨年末に抜いたところですよ。けど、あんないいことなかった……。親不知は本当に人それぞれ違うっていいますけど、私の場合はいったその日に抜いて、抗生物質は出たけれど、痛み止めとかなし。だいたいそもそも最初から痛みもなければ腫れたりもしてなかったからなあ。そんなわけで、似た状況を経験したというのに、全然共感にいたらないっていうね。残念だわ!

  • 『まんがタイムスペシャル』第19巻第4号(2010年4月号)

引用

  • 水森みなも「笑って!外村さん」,『まんがタイムスペシャル』第19巻第4号(2010年4月号)100頁。
  • 桑原草太「ココロ君色サクラ色」,同前,120頁。

2010年2月21日日曜日

CASIO GZ-5

 以前、小さなキーボードが欲しいといっていましたが、やっぱりなかなか自分の望みにそぐうのが見付からなくてですね、けれどそろそろ持っておきたい。ちょっと外でジャズ和声の勉強をすることになりまして、持ち運べるキーボードが欲しかった。よって今が買い時と踏ん切りをつけて買いました。以前いっていたとおり、CASIOのGZ-5です。小型軽量、電池で動作するというところもありがたく、またMIDI鍵盤としても使えるという優れもの。まあ、MIDI鍵盤はもっとちゃんとしたの持ってるからいらなかったんですけど、もしなにかの折りにもうひとつ必要となった時には役立ってくれることでしょう。

GZ-5に決めたのは、持ち運びが便利であること、電池で使えることの2点が決め手となりました。デメリットは32鍵2オクターブ半という音域の狭さです。和声の確認をするにはさすがに足りなすぎます。よってベースをオクターブあげるとか、あるいはオミットしてしまうとか、もしくはうまく納まるよう移調しながら弾くとか、工夫が必要になりましてね、でもこういうのも練習、訓練と思えばいいや。それなりに割り切って使っています。

和声の確認以外では、ソルフェージュの練習、音を確認するのにも使っていまして、これ、膝上にちょいとのせておいて、途中、ぽんぽんと鳴らしてはずれてないか確かめる、すごく便利です。これまではギターでやってたのですが、さすがに使い勝手がよくなくて、大きすぎるんですよね、ですがGZ-5はさすがの小ささです。音域もソルフェージュなら問題なくカバーしてくれて、充分充分。そうそう、これにしようと思った理由、もうひとつあったの思い出した。NHKの『どれみふぁワンダーランド』という番組に出演されているアカペラグループ、ラグフェアの誰だったかは忘れたのですが、どうもこれを持ち歩いてらっしゃる模様。よし、ちゃんと使えるものなのだなと確信したのでした。

GZ-5以外の候補はといいますと、鈴木楽器のHAMMOND 44、鍵盤ハーモニカなのですが、44鍵、音域はGZ-5を上回っています。けど、ちょっと惜しいのですよ。3オクターブ半あるのはいいんですけど、できれば最高音をもう一音上までがんばってほしかった。いやね、和声課題のソプラノ最高音はラなんですよ。ところがこれの最高音はソでありまして、ちょっと残念。音域としては、和声課題の範囲をカバーできるだけの広さを持っているのですが、ちょっとずれていた、というので断念したのでした。まあ、価格の高さも問題になったんですけどね。吹かなきゃならないから、ソルフェージュには使いにくいですしね。でも、いつか欲しいな。

といったわけで、GZ-5、こいつで紬お嬢さんを目標に頑張る所存です。

2010年2月20日土曜日

グレン・グールドとの対話

 昨日発売の『まんがタイムきららMAX』に掲載のボウリング漫画『ラッキーストライク!』に、緊張のあまり普段どうやって投げているかわからなくなってしまったキャラクターがいましてね、まったくもってのスランプってやつですよ。ああ、あるある、そういうことってあるよ。いつもなんということもなくできていることに限って、土壇場でわけわからなくなってしまったりするんですよね。そうなったら最悪。考える程にわけわからなくなって、もう手がつけられないんだ。なんて思って、えらく気にいってしまったのか、風呂につかっていた時のこと、グレン・グールドの逸話思い出してしまいました。

グールドの逸話というのは、こういうのです。難しい箇所を練習している時、妙に焦って突っ込んでしまうような状態になってしまったことがあるとかいうのですが、それを克服するためにラジオを2台持ってきて、そいつをガンガン鳴らしながら練習することで克服したとかいうエピソードです。ノイズでピアノの音をかき消してしまう話は他にもあって、掃除機の騒音の話ですね。ピアノの音が掃除機の騒音によってかき消されてしまったことで、想像のうちに響く理想の音を発見したのだ、みたいな話。これ、うかつにやるとただ弾けた気になってるだけ、むしろ悪影響、なんてことになりそうですが、グールドは音に気持ちを移すことなく、ピアノを弾く指の感触をクリアに感じ取ろうとしていた。結果、理想的なタッチ、指使い、弾き方を追求することができた、というような話なんですね。

この話は、ジョナサン・コットの『グレン・グールドとの対話』に載ってたのだと思います。また類似の話は他にもいろいろあったはずで、なんせこの人に関してはエキセントリックな振る舞いが目立ったものだから、あることないこと? いろいろ書かれていたみたいですし、また本人もいろいろ書いたりしゃべったりするのが好きだったようですから、伝説じみた話やら、本当にたくさんあるんです。もちろんこの人はピアニストだから、ピアノやまたレコーディングに関するエピソードが多いのですけど、着眼点が独特とでもいったらいいのかな、そのため音楽にそんなに詳しくなくても面白く読めたりするんじゃないだろうか、なんて感じがあるんです。特に日本で人気の高いというこの人、その人気の理由は、これらエピソードの面白さがあったからなんじゃないかななどと思っているのです。

でもって、話をボウリングに戻すけれど、自然な投げ方、いつもどおりの投げ方がわからなくなった時はどうしたらいいんでしょうかね? どうも掃除機やラジオでは解決できなさそうです。というところでまたグールドの逸話思い出して、それはテル・アヴィヴでの話なのですが、そこで出会ったピアノのタッチが最悪だったらしく、どのように弾いたものかわからなくなってしまったんだそうです。で、彼はどうやって克服したかというと、沙漠に出掛けていって、自分の慣れ親しんだピアノのタッチを想像の中で取り戻したとかいうんですね。イメージトレーニングですよね。ええ、なにに関してもイメージトレーニングは大切だといいます。実際の動作の中ではすべてに意識を張り巡らせることは難しい。そういった時にイメージトレーニングが効果を発揮して、イメージの中で意識と身体を繋ぎあわせることで、実際の身体の動きが整えられる。ええ、私もなにかわけわからなくなった時には、こういうことやったものでしたよ。

2010年2月19日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年4月号

『まんがタイムきららMAX』2010年4月号が発売です。今月の入荷冊数は、先月に同じく3冊でした、多分。この状態で落ち着いた、ということなのでしょうね。さて、今月の表紙はといいますと、季節の風物、一年の総決算ですよ。通知表。終業式の教室の風景描いて、悪ノリの直が楽しそう。たしなめそうでたしなめきれない文もいい感じで、しかしこの直のちょいサディスティック、いいですよ。困るかな、怒るみか、表情も豊か。にぎやかで楽しげないい表紙です。

かなめも』は、ひなたさんおめでとうございます。いや、しかしエイプリルフールの捏造と見せて、それ自体が嘘というその手口やり口、見事であります。まさしく、理想的な四月馬鹿でした。そして、およめさん二連発。おお、なんという素敵さ。甲乙つけがたいものがあります。けど、この人たちも進級、進学、時が進んでいくのですね。ゆっくりと育っていく、その様子、いつまで見られるのだろうって思ってしまいました。

ひろなex.』、扉が素敵。ナイス冬服。そう、私は冬服が好きです。そしてコートが最高。ええ、私はコートが好きなのです。今回は、下級生たちのクラスの雰囲気、その仲良さがなんだかあたたかで素晴しく、そしてさわやかに古典の教養を披露するめぐみがきれい! いつもと特に変わるわけではない。けれど今回も特別な感じ、いいねと思う時間が流れていて、大変に魅力的でした。

天然女子高物語』、次号最終回ですってよ! 1年生から2年生に進級。新1年生のきらきらとした輝きを見て、嫉妬するでもないけれど、焦るわけでもないけれど、という様子はこの漫画一流の味わいであります。そして、1年前の自分たちを思い出すというラストは、時間の流れを感じさせるとともに、彼女らがこれまで積み上げ、育ててきたものを思い起こさせる、ちょっといい名シーンでありました。皮肉、シニカルな味のある漫画であるけれど、それだけではない、瑞々しい感性のきらめきもあった。そのバランスがよかったんだなってしみじみ思います。

『もっかい!』が連載に昇格です。独特のタッチ。黒をベタで表現しないことで、セピア調とでもいうべきか、やわらいだ質感、ちょっとレトロな色調を感じさせる画面が印象的です。制服のデザインといい、なんだか異世界もののように思えてしまうのですが、別にそういうわけじゃない。ちょっと不真面目っぽいといったらいいのか、マイペースな女の子ふたりのかけあいが面白い漫画です。

『ハッピーステッチ』が、針は針でも注射針を話題にして、しかしその発端となった指の皮に針を通す遊び、昔やったなあ。そして、こなつ、小さい頃は病弱だったという、わおこれはとても素敵。今は元気な彼女の過去。不憫とまではいわないけれど、こういう設定にはちょっと弱い私です。でもって献血。年齢的にいけるのか? などと思ったけれど、小さなことは気にしない。ちょっと部活を離れて展開されたエピソード、そのことで彼女らの個性、いろいろが見えてくる。だから、こういう話もいいものだなって思います。

『ラッキーストライク!』、トキメキ☆センターカラーです。誘惑に負けて、高い自販機のたこ焼をホクホク食べる、それだけのことがなんだか面白い。ええ、あれ、普通買おうと思いませんよね。そうか、ああいう状況になれば買っちゃうものなのか。

今回は見どころたくさんでした。部長のパーフェクト話。お客にあおられてパーフェクト叩き出す、その気迫も素晴しいのだけれど、なんでもいうこときくといった彼らに課したペナルティが素敵。というか、大盛り上りの末に、みんなファンになったんじゃないか? そんなこと思わせるようなエピソードでした。

かと思えば、レイレイのエピソードがまた面白い。いつも沈着冷静なレイレイ。って、そうじゃないのんか! 落ち着いてると見せて、実際は全然そうじゃないっていう、そのネタの繰り返しは素晴しい。そして、緊張が忘れさせるいつもどおり。ああ、こういうことはよくあります。いつもなんなくできていることが、あれ、これってどんな風にやってたっけ? などと思ってしまったらさあ大変。どうやってたかわからない。考えるほどにわからなくなる。だって、意識したことないんだから! スポーツでもおんなじなんですね。なんだかいろいろがわからなくなって、目をぐるぐるにしているレイレイ。その表現が好きです。

レンの初心者メニューに発する話から、他の部員の個性や抱えてる問題が見えるようにまで話がふくらんできて、これまで以上の広がりが期待される、そんな回でした。すごくいいです。

あ、そうだ。どうでもいいことだけど、折角気付いたので。キャラクターの名前はボウリングの用語からきてるみたいですね。レンはレーン、タキ部長はターキー。じゃあ、リンとレイレイはなんだろう。

『つかえて!コハル』、なつきのお母さんがなかなかに厳しくて、それからちょっと心配性で、いいキャラクターです。貸し渋りとかね、いやいやそれはちょっと違うよ、限度額いっぱいまでいっちゃったんだよ、って思ったのですが、高校生だっけ? 欲しいコートがあるからって、それを自分のおこづかいで買おうというのは偉いなって思います。こういうのって、買ってもらったりするもんじゃないのん? バイト先は書店。偶然訪れて気付いてしまったコハルが、なんとか力になろうと、あんまり役に立ちそうもないやり方で手伝おうとする、そのあまりの遠回りさがよかったです。気を使ってるのかな? ええ、コハルってなんだかんだいいながらも、結構気を使ってますよね。

『はる×どり』、トキメキ☆センターカラーです。みんなで勉強会をするという話ですけど、別に誘われてないのに勝手に自分を勘定にいれてしまう花子がいい感じです。みんなマイペース。特になにかが起こるわけでもなく、のんびりと勉強。そんな合間に息抜きをしようとする、それぞれの志向傾向が違っていて面白いです。犬大好きのはるさん。お菓子を目の前にすると知識、計算、把握力すべてがアップする花子。そしていつも真面目、世話を焼いてくれる京子。いい関係じゃないかって思っています。

超級龍虎娘』、次号最終回! いや、ちょっと覚悟してた。龍楼が帰らないければならない? そんな事態になって、一度帰れば時間の流れが違う天獣界のこと、いつ戻ってこれることか……。迷う龍楼。わかっていながら、叶わぬ望みを口にする龍楼が健気で、その表情に浮かぶ切なさには胸しめつけられるよう。龍楼、いい子だなあ。本当にそう思います。次回は最終回。別れの場面が描かれるのか、別れた後の様子、数年という時間の過ぎた、そんな場面が待っているのか。わからない。だからこそ気になる。ええ、好きな漫画です。どんな終わりを迎えるのか。すこし寂しいと思いながらも、それが幸いなものとなればよいなと願う気持ちでいます。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第4号(2010年4月号)

2010年2月18日木曜日

野に咲く薔薇のように

  なんで手にとったのだったっけ。今となっては思い出せない『野に咲く薔薇のように』という漫画の単行本。まっしろな表紙、中央には女の子ふたり、と思ったらひとりは男の子でした。帯には幼女になったのばらと、のばらに女装した一馬。ひとつ屋根の下で同居する。刺激的なことが書かれていまして、面白いのかな、どうなんだろう、わからないままにとりあえず買ってみたのですが、これが読んでから驚くことになりまして、なんと音楽ものであります。それも、作者、結構詳しそう。読むほどに、ああこれは絶対作者音楽やってた、それもしっかりやってたろうってわかって、なんだかそちらばかりが気になってしまったりしたのでした。

最初は趣味でDTMされたりしてるのかな、なんて思ったんですね。主人公一馬は音楽制作を学ぶ専門学校生。ゆえに自宅には機材がごろごろしていて、またDAWなんかもあって、どう見ても想像して描いたようなものじゃない。ものすごくしっかりと描かれている。そんなところに感心しながら読んだりしてたのですが、極めつけだと思ったのは楽譜ですよ、楽譜。コルトー版。びっくりしました。昔、図書館で楽譜の出し入れしてた時、ピアニストに人気があったのがまずパデレフスキ版、そしてコルトー版だったんですね。ああ、懐しのコルトー版。結構ちゃんとしたところで学ばないと、版とかにまで意識が及ばなかったりするでしょう。それが、しっかりとコルトー版をコルトー版として把握して評価しているっていうところね、作者の音楽来歴を知りたくなるほどでした。

と、以上は本題から少し離れた話です。漫画の本題、ストーリーはといいますと、ちょっと不思議な物語。一馬が合コンで出会った女の子、のばら、不思議な娘、不愉快な娘、そののばらがどうしたわけか小さな子供に戻ってしまった。これでは帰るに帰れない。なので一馬のうちに転がり込むことになりました。それでもって、見た目が似ている一馬はのばらのふりして大学にいかされるは、のばらの人間関係に放り込まれてしまうはと、思いっきり振り回されてしまうというのですが、それで一体こののばらとかいう女はなにがしたいんだ!

そう問われれば、その本人、のばら自身でさえわからずにいるのではないか。そうとしか思えない。そんな、自分の望み、やりたいことが見えなくなってしまった、あえて見ないように目をつむってしまった人たちをめぐる物語であるのですね。

のばら、なにを考えてるかわからない娘。どこか捨て鉢で、危うさを感じさせる。そんな姿の向こうに、音楽への愛着を隠している。そんな娘。

一馬はすごく素直でいいやつ。好きなこと、やりたいことはといわれたら、音楽だと素直にいえる。そんな少年なんだけど、実はその過去に挫折や諦めを隠していたりする。

自分の本当に望んでいること、それが叶わないとなって、自分の気持ちに蓋をしてしまう。そのうちに自分の気持ちがわからなくなってしまう。私の本当の望みってなんだろう。私はなにをしたいのだろうと、空白を抱えたようになってさまよっている。そうした人が、自分にとっての自分らしさを取り戻していく。それがこの漫画のテーマであったのだ、そのように思います。目に見えるものがすべてではない。目に見えるもの、その先にある本当ってなんだろう。一馬は、わがまま放題ともいえるのばらを通して、人のエッセンス — 目に見えない大切なものとはなんであるかを知っていく。そしてのばらは、一馬との生活を通して、自分の望み、やりたかったこと、好きなことに素直に向きあって、自分のもっとも自分らしいところを取り戻していく。その様子は人というもののいじらしさを描いて、やわらかに、けれどしっかりと、人の気持ちの変化してクリアに澄み渡っていく過程をあらわしていた。そう思います。

この漫画においては、音楽は極めて重要な小道具として活用されていたわけだけれど、それは憧れと挫折の対象として描かれ、自分らしさを回復させるためのものとして機能して。そして、音楽とは、音と音が関係することで意味をなすものであるという、その根本をもって漫画のテーマを支えて見事でした。つぶさに見れば、わかることがある。なぜそこにその響きが必要とされたのか、あるいはなぜあの時あの人はああした振舞いをしたのだろう。見えてくる。自分に、他人に向き合って、そしてわかったと思ったその先にあらわれたこと。そのひとつの解ともいえるラストは、高い空の下、日の光を浴びながら風に吹かれるような気持ちのよさにあふれるものでありました。

引用

2010年2月17日水曜日

『まんがタイムファミリー』2010年4月号

『まんがタイムファミリー』2010年4月号は不遇の子です。リニューアルされた芳文社の公式サイトは雑誌発売予定のカレンダーにおいて、すっぽりと抜け落ちてしまっていたのが『まんがタイムファミリー』2010年4月号であります。私はいつもサイトの発売カレンダーを頼りに雑誌と単行本の購入予定を立てているのですが、もしこのリニューアルが手帳に転記する前に行われていたら、買い忘れてしまうところであったかも知れない。まあ、雑誌の買い忘れくらいいいじゃん、気にすんなよ、といわれたら、まあたかが漫画雑誌だもんね、といって気にしないですませるくらい簡単なのですが、それがきっかけとなって雪崩のように四コマ誌の購読停止が起きてしまうような気がして、でもまあ、たかが一購読者だもの、気になんてしないよね! 雑誌買うのやめたら、単行本も買わなくなってしまいそうだなあ。

今月号は新連載が3つあるのだそうです。『働け!おねえさん』、『ガクブンッ!』、『はなまるドロップス』であるのですが、そのどれも結構気に入って読んでるので、よかったなあ、と思うのですが、なんでタイトル変わっちゃったんだろう。というのは、『くるっとまわって営業中』ですね。『働け!おねえさん』よりも『くるっとまわって営業中』の方がオリジナリティがあっていいと思うんですよ。『働け!おねえさん』だと、なんだか埋没してしまいそうで残念です。

けど、なんでタイトル変わったのかな。と思って読み進めたら、もしかしたらくるまわ以外にも登場人物を出すため? 営業以外のさ。というわけで、事務職の平井梨香さん登場です。26歳。充分若いよ! しかしこの漫画は、来島さんのおだやかな人当たりのよさもいいのだけど、馬渡の生意気でやる気いっぱいというところ、それもいいなって。いや、生意気なんですよ。でもそこが段々に可愛いじゃんと思えるようになってきて、ええ、だからこれからが楽しみです。

『ガクブンッ!』は、当初の綾乃の変人ぶりが少々弱められて、けれどその分あたりが柔らかくなったと感じられます。女の子たちがばたばたと楽しそうにやっている、その様子を眺めて楽しむような漫画であります。そして実際楽しくて、麻美子大好きのハナっぺがいいのかなあ。ええ、いいキャラクターであると思います。

そして『はなまるドロップス』。やまとに友人が! いや、実は男の子に見えて女の子なのですよ、っていうよくあるパターンなのかと思ったら、いやもう本当に男子だった。見た目はいかついやまとだけど、根はすごく優しい。対してその葵くんは、見た目美少年、ちょっと女性っぽくて、そしてなんだか肝っ玉の太い、そんなこと感じさせてくれるキャラクターです。実際、いいキャラクターだと思います。けど、くねっ、ぷりっは彼じゃなくて、是非やまとくんでお願いしたい。などと思ったのでありました。

新ゲストは『となりの工学ガール』と『いぶんかトリップ』だけなのかな? 『となりの工学ガール』は工科大学にはレアな女性がヒロインで、しかも大層な美少女であります。2年生。ロボット講座に入るべく研究室を訪れたそこで、下にも置かぬもてなしをうけるのでありますが、ひとり森山青年だけは女は駄目だといい張る。まあ女性に恐怖症があるとかアレルギーがあるとか、そういう話であるみたいなのですが、悪いがかなり印象悪いよ。ラブコメの典型なら、この先森山とヒロインがだんだん親しくなっていって、みたいなことになるんだろうけど、そのための前提を用意しましたってところなんだろうって思うのですけど、それにしても、ひとりの人間が自分の進路ひいては将来を考えてやってきたのに、女は駄目だとかいう理由で退けようっていうのはどうだろう。いくら苦手といってもさ、人の人生がかかってるんだよ? それこそ君が違う講座に移りたまえよ。というわけで、ちょっとこいつは駄目だ。第一印象としてはちょっと抵抗ありです。まあ、森山が女性に慣れるに従って、徐々に解消していくだろう抵抗ではありましょうけどね。

『いぶんかトリップ』は以前掲載された『つれづれいーの』の井ノ上ふきの四コマで、やっぱりなんだか不思議というか変な漫画であります。旅行会社をやっているお母さんがうちにホームステイのお客さんを送り込んでくる。しかしそれが縄文人っていうのはものすごいなあ。タイムトリップありの設定なのか、なんて思ったのだけど、言語とか通じているというの、もう考えた方が負けだなと、ただただ描かれるものを、その雰囲気を楽しんじゃおうかと、そんな気になったのでした。ものとしては異文化交流ものでいいのかも知れませんが、印象としてはちょっと気分を休めてリセットしましょうという、そんな感じの漫画です。そのゆるさが許せない人もいるかも知れないけれど、私はわりと嫌いではないです。

『ダブルパティシエール』が最終回です。先日『まんがタイムジャンボ』でも終わったところですが、今回はまさこねーさんの結婚式の風景描いて、『ジャンボ』のものよりもドラマチックさにはかけるのだけれど、その分、これまでに登場した人々の状況、よく表現されていて、しんみりと、そして楽しく読み進められました。川原先生、一目で見抜くとか、そういうの実によく、そしてウェディングケーキ飾り付けに本気を出す参列者とかね、実に楽しかったです。これまで連載されてきた、その時間を愛おしく感じられるような、いい最終回でありました。

『うのはな3姉妹』は南田君がとにかくいいですね。最初は、なんだか潤いのない男だななんて思ったものだけれど、こうして読んで、そのキャラクターが見えてくれば、なんという素直でない野郎だろうと。なのに、好きという気持ちがだだもれで、なんといういじらしさ、なんという可愛らしさであろうかと。彼もそうだし親父さんもそうなんだけれど、愛する人からの無茶な贈り物、必死で食べるという、その様子にもまたいじらしさ感じちゃって、この漫画はつくづく男どもが可愛いと思います。

Smileすいーつ』、塔子さんはまたも吐くまで飲んだというのか。しかしそれを見て、なお好きだと思い続ける中津君は健気です。しかし、こうもはっきりと意思表示して、しかし肝心なことはいわせてもらえず、それで気をもたせられたままキープされる。いや、意地悪な見方したらそうだなって。でもこれはこれで、大きな一歩だなって思えて、驚きながらもよいなと思っています。

『教師諸君!!』、以前からちょこちょこ話題になっていた前埜先生登場です。復帰のあいさつがなされて、なんだかすごくいい性格をしている、そんな彼女の活躍が見られるのだとしたら、これはすごく面白そうかもと思わされます。そして深沢先生の内示が出た? 季節は3月。卒業というか、学校においては年度の終わるひとつの区切りです。ちょっとそうした雰囲気も感じさせつつ、またきたる新しい年度が楽しみであります。

『美大道!』、なんだか頼りない、放っておけない、そんな女の子だった彩が、なんともいえない面白キャラクターになってしまっていて、今の彩、こういう娘さんは大好きです。コリアンダー! 意味不明なんだけどさ。カルダモン! 実にいいです。こういう勢いのいいのに私は弱いみたいですね。

『ちゃのま!』、友人たち三人で住んでいる話。そこに従弟の少年が加わったようですよ。少年への関わり方をもってお姉さまたちの個性を見せていく。なかなかに面白かったです。そしてヒロイン深雪の父の家を出ている理由、その馬鹿馬鹿しさ、最高に面白かったです。なんという主体性のない冒険なのだろう。見事にやられてしまいました。

『おかいあげ!』、ランドセルのお店に並ぶ季節であります。その様子を描いて、しかしモデルをやらされる大丸、同僚先輩にも子供と思われてしまう大丸、こういうどたばたしたところ、おおた綾乃という人の見せ方の面白さが発揮されていてとてもよかったです。お客様の気持ちを受けて、一生懸命になる大丸とかいいじゃありませんか。そしてその一連の騒動をもって、成長を決意させるという、その流れもとてもよかったです。

『よめ×ヨメかなたさん』は、この漫画の基本とでもいえばいいでしょうか、同姓同名ふたりの嫁の取り違えコメディをしっかりと展開してみせてくれて、実に面白かったです。ただ取り違えるだけでなく、そこにかなたさんの、おおっと昭和のかなたさんのナイーブな乙女心が表現されていて、実に楽しかったです。いや、ほんと、昭和のかなたさん、とてつもなく可愛いなあ。そう思わせるものがありました。いい話です。

  • 『まんがタイムファミリー』第28巻第4号(2010年4月号)

2010年2月16日火曜日

Morpheus CAPO

 世の中にはいろんなアイデアがあって、またそれを実現する技術というのも存在するのだなあと感心させられるものがあります。それはなにかといいますと、カポです、カポ。しかし、これがただのカポじゃない。世界最大の楽器ショー、NAMN Show 2010で発表されたMorpheus社の、その名もCAPOというエフェクターであります。なんと、エフェクターの力でカポと同様の効果を実現してしまうという代物です。いやあ、すごい。確かにオクターバーとかあるんだから、やろうと思えばできるよね。っていうか、BOSSのPS-5、スーパーシフターあたりも同じようなエフェクターなのかな? けれど、ピッチシフターをカポとして表現してしまうアイデアはなかなかであるなと思わされたのでした。

(画像はMorpheus DropTune DT1)

Morpheusはもともと、DropTune DT1というチューニングをダウンさせるエフェクターも出していたっていうのですね。これ、普通にダウンチューニングしたら弦がべろんべろんになってしまうという弱点を克服するナイスアイデアです。3音半下げられるというから、AECGDAになるのか。とにかく低音が欲しいという人には魅力的なエフェクターです。

で、CAPOはその逆であるというのですね。3音半上げる。つまり7カポまで実現できる。けど、これにはメリットとデメリットがあります。メリットは、演奏中に簡単にカポの変更ができる、移調が容易になるところがひとつ。もうひとつは、どうしてもカポをつけるとチューニングに影響するのだけれど、これだと大丈夫といったところでしょうか。で、デメリットはというと、カポをつけるということはハイポジションで弾くということ、つまりフレットの間隔が狭くなります。そのおかげで、通常なら押さえられないようなフォームも可能になったりするわけですが、これだと常にカポなしの状態をキープするわけですから、当然フォームやストレッチの優位は得られません。当然、せせこましく狭いフレットで弾くのが嫌だっていう人もいるでしょうから、一概にデメリットとはならないでしょうけど、私にはこれちょっと困ります。いやね、カポつけてはじめて弾けるようになる、そんなのがあったりするものですから。

と、ここまで書いておいてなんだけれど、Morpheus CAPOは当然エフェクターなので、ギターとアンプの間に挟んで使うものです。ということは、私がメインで弾いているギター、ピックアップなんてついていないフラットトップギターでは使えないわけで、ああ残念、こんなにも面白そうなのに! 意外やこれが一番の弱点かも知れんなあ。といったわけで、私は普通のカポ、今のところはG7thで決まりですね、を使い続けることとなるのでした。

2010年2月15日月曜日

アステロイド・マイナーズ

 あさりよしとおの新刊が発売されたというので、書店へと繰り出してみました。『アステロイド・マイナーズ』。人が地球を離れ、宇宙に住もうという時代を描いた、空想科学漫画であります。しかし、あさりよしとおは宇宙がお好きだ。宇宙に出る、宇宙に暮らすということを真面目にしっかり表現して、しかしただ科学的に正しい宇宙漫画にとどまりません。宇宙への憧れやロマンが、表現を後押ししてる。加えてコメディっぽい味付けもあるから、科学ものが苦手、けど興味はあるんだという人にも楽しく読めそうです。

この漫画には、あさりよしとおの漫画にはつきものの茶化すような表現、それはほとんどなくて、だからあさりよしとお入門にもうってつけの漫画ではないかと思われます。反面、そうした要素を楽しみにしている人には、少々物足りなく感じられるようなところもあるのではないか。そんな気もしていて、でも、私はこの漫画におとなしさ、分別のようなものを感じつつも、たっぷりのユーモアが楽しませてくれるものですから、物足りなさなんてこれっぽっちもありませんでした。

小惑星という過酷な現場で働く労働者の悲哀。それがただ苦しく辛いものとして描写されるだけなら、そんなに面白いものにはならなかったかも知れません。けれど過去にも存在した過酷な労働、そいつを主人公及び読者に思い起こさせることで、ちょっとした深みと、そしてにやりとさせられるような面白みが出て、このテイストはまさにユーモアによるものでした。それらユーモアはコメディの味付けとなって、しかしそこに留まらないのですね。きっと厳しい宇宙の現実をあらためて突き付ける、そんな役割りをも担っていました。実にうまい見せ方ですよ。ただのコメディじゃないんだ。それは面白がらせるためのものだけじゃなかったんだ。ええ、大変に達者な見せ方で、私はもうすっかりやられてしまいました。

この漫画は、いつかくる宇宙時代を描きながら、けれど同時に今の私たちの現実も射程にいれている、そう思うのは、私の考えすぎでしょうか。そうしたものを最も濃厚に感じたのは、第3話「ゆうれいシリンダー」でした。地球という巨大な環境では自然になされる循環が、小さな小惑星居住空間では無理だという話です。ゴミや排泄物、人間が生活することで排出されるそれらを、人の管理のもとで再び利用可能なものに再生する。そうでないと生存さえもままならない。そうした宇宙における現実を眺めながら、しかしそれは現在地球に暮らしている私たちにも同じなのではないかと感じたのですね。

都市から排出されるゴミや下水は、自然が処理するにはあまりに膨大すぎて、充分に処理されないままに放置されているような状況もあると聞いています。そして、あさりよしとおが、こうした問題を知らないはずがない。だって、こういう話、この人の漫画で読んだりしてたのだもの。『HAL』だっけ? あるいは『まんがサイエンス』だったかも。いずれにしても、あさりよしとおは人が生きる上で知っておかなければならないことを、宇宙を手段としてあらためて表現したんじゃないかと思ったのでした。地球という閉じた環境に暮らす私たちも当然考えるべきことなんだと、直接そうしたことはいわなかったけれど、どれだけの物が自分の生存を支えているか想像すらしない、そうした表現に、現在の人類にとってもこれは決して無関係な問題ではないのだと、そういうメッセージを感じたように思ったのです。

もちろんこれは、私の考えすぎかも知れません。だから、やっぱり宇宙の小居住空間において生命を支えるシビアなバランスを描いたものと、素直に読むべきなのかも知れません。けれど、それでもなお、想像しろと、宇宙を想像し、そして地球についてを想像しろ。暮らしを、そこに生ずる現実を想像しろ、想像力を研ぎ澄ませろと、そうした声が聴こえてきて仕方ありませんでした。ええ、それはこの漫画がとても刺激的であるということをいっています。最高に刺激的で、最高に面白い、そんな漫画であります。

引用

2010年2月14日日曜日

L16

 L16』が最終回を迎え、この2巻で完結と相成りました。最終回は『まんがタイムオリジナル』2010年1月号に掲載されて、ついこの間のことですね。さて、最終回の記憶もまだ新しいわけですが、単行本の帯ですよ、帯。感動のフィナーレ!! とか書かれていたものだから、もしからしたらものすごいエピローグが加筆されてるとかあるのか! 色めき立って読んだわけなのですよ。

色めき立ったといっても、別に雑誌で読んだ最終回に不満があるとか、そういうわけではないのですよ。雑誌の最終回、気に入っています。千本兄弟の策にはめられた春香と奈々香。千本兄は完全にお見合い、親への顔見せのつもりでいるのだけれど、姉妹は仕事だと思っている。どうなる!? と思ったら、普通に仕事になっちゃって、結婚なんてまだまだ先よと、今はお姉ちゃんと一緒がいいのという奈々香の素直さに毒気抜かれたというような、そんな最終回でした。ああ、らしいなって思えて、仲のよい姉妹が仲のよいままに終わった。それが嬉しかったのでしたっけね。でも、これは感動というような感情ではありませんでした。安心したというのもちょっと違う。それこそ私も毒気を抜かれた。なんだか幸福をほのぼのと感じている。そんな読後感であったのですね。

だから、感動という帯の言葉に反応を示したのでした。けど、結論からいいますと、最終回は雑誌のそれと同様で、エピローグもあったのだけど、それも感動よりも、面白さが強かったです。千本兄弟におけるその後。弟はお兄さん大好きと思われるのは嫌らしい。そして兄。ものすごく前向き、ポジティブな考え方する人ですね。本編では、妄想の飛躍が少々はげしい人みたいな印象もありましたけど、実際のところは、どんなものに対しても好意的に解釈する人であるってことみたいですね。そのために、周囲からは、弟含め、ちょっと変な人と思われてしまうんでしょうね。

カバーをはずした、表紙にも漫画はありまして、表には違いのわかる女、ユキのロリ服についての話があって、ああ、私はクラシカルが好きかも知れん。次が甘ロリだな。でも違いはよくわかりません。裏には違いがわかるらしい男、千本兄のネクタイについての話があって、それにしても弟の冷たいこと。このあたりのテイスト、ああネクタイのじゃなくってね、漫画の味ですね、こういうの大好きで、私が東屋めめの漫画がいいなと思うのは、こういう時なんじゃないかって思える、そんなカバー下でした。

  • 東屋めめ『L16』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 東屋めめ『L16』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2010年。

引用

  • 東屋めめ『L16』第2巻 (東京:芳文社,2010年),帯。

2010年2月13日土曜日

『まんがタイムラブリー』2010年3月号

『まんがタイムラブリー』2010年3月号、発売です。数日まえからの風邪が治らなかったら買いにいくどころではないなあと思っていたのですが、幸い熱はすっかり下がり、これは大丈夫かとも思ったのだけれど、実はまだお腹の具合がよろしくない。少々危険か? などと思いながらも、おそらくは大丈夫だろう。思い切ってコンビニへと向かったのでした。往復一時間ほどの道のり、ちょっとした冒険でありましたが、特に問題もなく無事帰宅できました。よかった!

『空に唄えば』がいよいよ部活といった雰囲気になってきて、体力づくりしたり、声出ししてみたりと、いろいろやってる取り組み、なかなかよいなと思えます。しかし、フェーストレーニングとか知りませんでした。歌う時には顔の筋肉を上に持ち上げろとかいいますけど、こうやってトレーニングするものなんですね。また、軟口蓋、このへんの理屈は知ってるし、軟口蓋上げて口腔を広げることの重要性なんかも理解してるんだけど、わざわざそのためのトレーニングをするというのも知りませんでした。こういうのはちょっと役に立つなあ。って、漫画で読む合唱入門みたいなのを期待してるわけじゃないんですけど、やっぱりちょっと得した気持ちになるのはしかたない。でもって、ちょっと嬉しくなるんですね。

漫画の展開に注目すれば、それまで一歩退いていたなつきが、なんだか前向きになってるというのがいいなって思って、こうやって頑張りが見えると、読んでいる私も感化されて気持ちが前向きになる感じがします。

『ペンとチョコレート』がいい展開です。打ち切られた漫画家。けれど、彼女の技術を見た別の雑誌の編集者が興味を持って連絡とりつけた。と、今回はここまでなんですが、ひとつの雑誌で駄目となっても、違う編集者が腕をふるえば違う魅力、持ち味も引き出されるものなのですよというような展開があるのだとしたら、それはちょっと見てみたい。この電話が次回にどんな展開を開くのか、すごく興味深いです。

『めがねスイッチ』、ゲストです。って、ちょっと驚きました。また、眼鏡か! いや、別にいいんですけどさ、最近眼鏡ってどこかでブームになってるの? 四コマ界隈だけ? あるいはラブリー誌上でだけ? まあ、それはいいや。眼鏡をかけると仕事モードがオンになる野口英美がヒロインです。頼りになる、できる女ではあるのだけれど、実はまだまだ未熟。仕事には一生懸命、手にあまるトラブルあった時は先輩にフォローしてもらうなど。単純な有能部下と駄目上司ものではないというところ、逆に新鮮というか、よかったです。このヒロインは眼鏡でオンと表現されてるけれど、仕事では気を張っているタイプ。不意のトラブルに弱点が露呈してしまう、といった感じみたいですね。こういう人はよくいます。嫌味な感じもなく、好感持てるヒロインでありました。

『放課後のピアニスト』、面白かったです。天才少年シド。冷たい人、人を寄せ付けない、そんなキャラクターと思ったら、全然違った。ライバル出現ですごく嬉しそう。なんだ、あんた、結構寂しがり屋だったりするの? 競ってくれる人が出ると素直に喜ぶ。なのに自分のピアノの技術が、ライバルを蹴落してしまう。あんた、なんだか不幸だなあ。そしてがっかりするところなど、なんてキュートな少年なのだろう。これはちょっといい。孤高でなんかありたくないっていう、人懐っこい孤高のピアノ少年。なんだかすごくいいキャラクターでした。まあまあごはんにしましょう。

『できる女には秘密がある』。二葉さん、暗くなったらオッケーだったのですか? なお私もあかり型無事故無違反ドライバーです。どっちがアクセルでブレーキか思い出せないくらいに無事故無違反なので、免許は持ってないことにしています。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第3号(2010年3月号)

2010年2月12日金曜日

D'Addario EJ16

 ここ数日、風邪をひいて寝こんでしまいました。数日を無駄にしてしまった。予定していたことがまったくできなかった。それらももちろん悔しいのでありますが、これに加えて、弦を張り替えたところだというのに、むざむざ弾けないまま劣化させていくという、それが悔しい。ええ、ギターの弦っていうのは、張ったその時点から徐々に劣化をはじめるものであるのですよ。ひとつには酸化でしょうね。けれど一番の理由は、弦にかかるテンションでしょう。ギター弦は、チューニングをした状態で10kgを超える力がかかっています。強い力で引っ張られていることで、だんだんに伸びて本来のしなやかさを失っていく。だから、弦が新鮮なうちにこそ弾きたいと思っていたのに、風邪かよ! めぐりの悪さにがっかりです。

私の使っているギターの弦は、D'Addarioというメーカーのものです。フォスファーブロンズといわれる、リンの加えられたブロンズ弦のライトゲージ。非常に一般的な弦であると思っています。

この弦に落ち着くまでに数種類試してみたのですが、結局EJ16に落ち着いたのは、この弦が安かったことと、それから入手性の高さでしょう。それこそどこの店にいっても売ってる。例えば出先で急遽、弦を買わなければならない事態になったとしても、とりあえず同じ弦を手にできる可能性が高いということです。まあ、ちょっとくらい違う弦になったとしても問題ないとは思うんですけどね。ゲージさえ一緒なら。けど、もしニュアンスが違うようなことになったら嫌じゃありませんか。といった理由で、EJ16に決めたのでした。

リンが加えられているといってましたが、これは当初は弦の持ちをよくするための工夫だったのだそうです。ですが、音がブライトになるという副作用があったとかで、今では音の違いで選ばれることが一般的。寿命を問題にして選ぶ人は少ないんじゃないかな、なんて印象を持っています。だって、寿命を問題にするなら、エリクサーなりコーティング弦を選ぶでしょうし。タイトな音が欲しいならブロンズ弦、派手な音ならフォスファーブロンズ弦、長持ちさせたいならコーティング弦、といったところであるのでしょう。

私が弦選びをしていた時は、指弾きメインであることから、ブロンズ弦をはずし、フォスファーも数メーカー試して、D'Addarioで充分と判断したのでした。けれどそれはギター弾きはじめた初期の頃の話。だから、もし今もう一度弦を選びなおしたら、違う弦にいきつくこともありそうに思います。おそらくその際には、D'Addario EJ16が規範となるのではないかと思います。よくもわるくも慣れ親しんだ弦であります。

2010年2月11日木曜日

Lの季節ダブルポケット

 先日購入した『Lの季節ダブルポケット』、なかなかプレイする時間をとれないのだけど、少しずつ進めています。と、ゲームについての感想に入る前に、これが私にとっての初PSPゲーム、PSPというハードについての印象など書いてみますと、あの小さい画面でたくさんの字を読むのはつらいのではないかと予想したのでありますが、意外と大丈夫なものですね。解像度が高いんでしょうか。ピクセルが小さいと感じられます。ともない字も読みやすく、プレイに際し問題となることはまあないなという感想です。ただ、画面のアスペクト比が違っちゃってるのがなあ、というのがありまして、いやね、PS時代の『Lの季節』は当然4:3であるわけで、当然画像はそのサイズで作られています。ところがPSPはアスペクト比16:9。上下がカットされてしまっているんですね。そいつは残念。芋羊羹が見えなくなってるし!

芋羊羹が出てくるところからもおわかりかと思いますが、『Lの季節』は幻想界からのプレイです。かつてこのゲームをはじめた時は現実界からのスタートであったのですが、これ、ちょっとした罠がありまして、初回プレイ時にはバッドエンドが確定しているのです。クリアに必要な条件を満たしていたとしても、そのルートが開放されていないっていうんですね。だから、まずは幻想界か現実界か、どちらかのバッドエンドまで辿りつく。その後、もうひとつの世界に移って、それではじめてグッドエンドを見ることができるという仕掛けがあるんです。

こうしたことを知って幻想界からはじめる私は、すなわち現実界シナリオの方が好きだというんですね。いやあ、酷い話。幻想界ファンの人は罵ってもいいと思うよ?

幻想界からの攻略、PSPの小さな画面、横長のスクリーンのためかより以上にキャラ立ち絵が小さく見えて、鈴科流水音がまるで妖精みたいです。うわあ可愛いなあと思って、流水音で妖精なら、もともと妖精の湖潤リリスならどうなるんだといったら、さながらそれは虫のごとし。「リリス、虫じゃないもん!」って、音声で聴こえてきそうなこといってますね。

風邪ひいたせいで、ちょっと時空が乱れているのですが、この記事の翌日、2月12日に幻想界のクリアを見ましてね、to be continued、流水音エンドでした。それで、ここで以前にはなかった、別キャラのルートが攻略可能になったというアナウンス、そして現実界でto be continuedより先に進むことができるようになりましたというアナウンスがあって、これは親切ですね。私、PS時代に天羽さんルートのバッドを食らって、その後どうしたのかわからないけど、やりなおしとかしたのかなあ? 最終的には流水音エンドを見て、再び天羽さんルートに戻るということになったのですが、どうしても最初のグッドエンドはこの人! みたいに思った人は、クリアできないということに気付かず、ただただ時間だけを浪費させられるということもあったのだそうです。一種のはまりですよね。それが、PSP版ではこれらアナウンスによってはまり回避できるわけで、たしかに親切であります。

といったわけで、ただいま現実界を攻略中。辿るルートは、まず間違いなく天羽碧です。

CD

書籍

2010年2月10日水曜日

VOX amPlug Cabinet

 ここ数ヶ月、和声の課題とギターの練習に時間をとられすぎて、なかなかベース弾く時間を確保できずにいるのですが、ベースの練習が優先されにくい理由のひとつには、アンプがamPlugということもあるんじゃないかな、なんて思っています。やっぱりさ、音が出ないことには楽しさが半減です。だから、音を出せるようにしたいなあ。しかし、ベースアンプって大きくて邪魔、という問題がある。だったら、Fender JapanのBassboyなんかどうだろう、などと思いながらも、なかなか買えずにいるのですね。そんな中、amPlug用のスピーカー、おっとキャビネットっていったほうがらしいのかな? が発売されたって聞きました。これどうだろう。そんなに高いものでもないし、ひとつ買ってみてもいいかな、とか考えているうちにずいぶん時間がたってしまっています。

amPlug Cabinetのいいところは、amPlugを差し替えることで、アンプの個性を変えられることでしょう。小型というところもいい。ちょっとした練習にamPlug、けどヘッドホンでやるのはつまらない。そんな状況にはベストマッチと思われます。もともとのamPlugが売れた理由には、手軽や小型というものがあったようですが、加えて大きな音を出せないという環境もあったようで、そうした場でも使えるものとしてデザインされてるんでしょうね。

などなど、いろいろ思いながら買うのを躊躇するのはなんでなのか。それはですね、私の場合、ベースアンプの代用にしようと思っている、それがネックなんですよ。amPlug Cabinetは小さい。スピーカーは3インチ。これでちゃんと低音が出るのか? まあね、期待するのが間違いのような気がしますよね。だから、まずはおもちゃのつもりで買ってしまえばいいんじゃないか。その上で、気にいるいらないを判断すればいい。ああ、ええい、買っちまうかなあ。

9ボルトのACアダプターが使えるんだそうです。電池よりもACアダプターで鳴らす方がよさそうかな、なんて思います。対応のACアダプターはKORGのKA-181である模様。センターマイナスの出力がDC9V / 600mA。うちになかったかな、同じ仕様のアダプター。あればそいつで代用すればいいか。

こんな風に、買い物の算段するのはすごく楽しいことであるのですが、私の場合、ベースの練習時間をどうやって工面するか、それがなにより重要です。ほんと、夜に練習するとなれば、やっぱり音は出せないわけで、休みの日の日中に、なんとかベースを弾けるようなパターンを作ってしまうのがよさそうです。

2010年2月9日火曜日

『まんがタイムきらら』2010年3月号

『まんがタイムきらら』2010年3月号、発売です。出荷量が調整されたのでしょうかね。以前、アニメ『けいおん!』が放送されていた頃なんかは、これでもかと供給されていた雑誌がね、今月は4冊。まあ、それだけあれば充分ですけど、けれどこれはさすがに落ち着いてきたっていうことなんでしょうか。まあ、単純にその店からの返品が多かったせいで、調整が入っただけかも知れませんけどね。さて表紙にはアニメ第2期のあおりが踊って、そしてイラストはテレビから乗り出してくる五人であります。にぎやかな感じがいいなって思える表紙であります。

さて、その『けいおん!』本編はといいますと、扉にはっと目を引く美女ですよ。律さんが誰? とかいってますが、まあこれはどう見てもさわ子先生の若いころ。いや、今も若いですけど。ともかく今回はさわ子先生回でありました。ジャージ、ぼさぼさ、どてら、眼鏡、私を狙い撃つ魂胆か!? しかし、いつもは皆を振り回している先生が、今回に限ってはまったくもって逆の立場に置かれて、そのおびえている様など、非常にキュートでした。それはそうと、冒頭のAznyanカプチーノ見て、思い出したものがあります。これ。

世の中には、本当にすごい人がいるものです。こんなの出てきたら、絶対飲めません。もったいなくて。

『うちのざしきわらしが』、第2回。てんで役に立たない座敷童。けど、うちにいるだけで幸運が! とか、家の繁栄が! といった間接的効用ではなくて、具体的に小銭を降らせるという直接的効用がすごい。座敷童としてのレベルがあがったら、小銭がお札になったりするんでしょうか。どっから調達してるんだろう、とかいったら無粋ですけど、だらしなく無力で怠惰な座敷童。でも、なんかちょっと憎めないかもというキャラクターがいい感じです。あの、あかんたれなところがいいみたいです。

『うさかめコンボ!』、娘太丸の新連載。『こどもすまいる!』は保育園が舞台だったけれど、今度は高校生徒会です。ヒロイン、因幡うさぎ。推薦で生徒会長になりました。生徒会長がなにをするものかさえ知らないままに壇上に上がった彼女が、ちゃんとした生徒会長になるまでの物語! ではなさそうですね。見た目に凛々しい副会長、桐生亀子との仲良し生徒会生活っていうのが第一印象。どうなるかは、この先を見てこそでありましょう。

『ハウリング!』、ゲストです。最初は、5分前は人間だった? とか思ったのだけど、素直に放送部ものであります。絵がちょっと残念。けど、絵なんてものは、毎月描いてるうちになんとかなるんだから、あんまり気にしません。ちょっとごちゃごちゃした感じが強いけれど、賑やかあるいは押しの強いキャラクターなんかは結構悪くないなって思って、それからあの早口言葉の練習とかね、いえてないいえてない、っていうようなの。意外とこういう単純なのに弱いのです。発展するなら、その伸びる様を見たい。頑張って!

PONG PONG PONG!』がすごいことになってる。解決したと思ってたんだけど、そうじゃなかったんだ。というか、なおさら酷くなってるし。問題のお嬢さん、江上さん。見た目には超絶キュート。祐太果報者じゃん! とか口ではいうけれど、現実にこういうお嬢さんに付け狙われたら、いや違った、思いを寄せられたら、それはそれで困るよな。いや、ほんと、冗談抜きで困ります。しかし、これまで一番の困りものだった高坂先輩がかすむくらいのインパクト。目付きが悪いのなんのというネタも、あそこまで悪く描かれちゃったら、認めざるを得ない。しかしいよいよすごいことになってきたな、って感じなんですけれど、祐太の仕合せをではなく、部の繁栄、自分の利益を考えてしまう真由が素敵です。こういう割り切った娘さん、大好きです。

『ちぇみコン!』、ゲストです。これもまた生徒会もの。姉、マッドなサイエンティスト風、この人が会長であります。そして、弟としゃべらない女の子が生徒会のメンバー。ギミックが過剰なくらいに乗せられた、そんな漫画であるので、好き嫌いはあるかも知れません。弟大好きな姉というのは、わりと苦手な構図なので、どうかなと思ったけれど、あのしゃべらない人、溝呂木さん、シャイ沢とか呼ばれてますが、この人の印象が姉弟ものとしての色をちょっと薄めてるようで、だから結構いけそうです。あの、猫のリアクションとかがよかったです。

メロ3』、メイドさん移籍。この人、中野さんとおっしゃったのか。スズメのちょっと浮世離れしたところ、それゆえにすれ違ってしまった気持ち、みたいなのが、ほどよく私の心に訴えていい感じ。いやね、だって、私もここ数年そんな状況でありまして、必要とされている、役に立てているという実感のないというのは、なかなかに心を弱らせてくれます。

それはそうと、ジャージ中野さん、とても魅力的。どこの若奥様かと思いました。でもって、栄さん、定着するのかな。

My Private D☆V、未影であります。いや、しかし、これ、危険。めちゃくちゃ危険。でも、実際好きだとおっしゃるだけあって、魅力的な絵であります。それ以上によいのが、コメント。あのノリノリの文章。そうか、そうなのか、と納得させられる、そんな力にあふれかえっています。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第3号(2010年3月号)

2010年2月8日月曜日

ちょー!えど幕末伝

 『ちょー!えど幕末伝』はおえどの漫画。幕府が400年続いた末の幕末の動乱を描いて、主人公は上さまのお庭番、琴乃。剣術が得意なお嬢さん。上さま警護が仕事のはずが、脱走癖のある上さまを追い掛けるのが本務のようになっていて、このあたりはわりとよくあるタイプのコメディといってよいんじゃないかと思います。そして、この漫画の売りですよ。ペリーをはじめとする主立った面々が女子であります。ぺるり、金髪の女の子。坂本竜馬も土方歳三も西郷隆盛も、みんな可愛い女の子にしてしまいました、ってな漫画であるのですね。

この漫画がはじまった当初は、正直どう読んだものだろうって思ったんでしたっけ。そりゃ琴乃は可愛い。ぺるりだって最高じゃないかって、けれど漫画としては結構むりやりっぽいなあ、なんて思っていたんです。緊迫感あるわけじゃない。それこそのんびりとしたテンポは読んでいて微笑ましいけれど、開国ならぬ結婚を迫るぺるりと、それを阻止しようとする琴乃の対立を描きながら、現代日本風幕末舞台で延々とコメディをやり続けるのかななんて思っていたんです。

それがどうも違うようだぞ。そう思いはじめたのは、生麦事件がきっかけでした。それ以前からも、倒幕を目論む高杉晋作、ああ、高杉は男です、高杉晋作が出てきたりして、穏健に持続する幕末ものじゃないっていうことはわかりつつあったのですけれど、ここに生麦事件という具体的な史実を持ち出してきて、関わりを持つ人物は大きく違ってるし、人死も出なかったりする、実に平和な事件ではあったのですが、これはもしかしたら今後竜馬、おおっと、リョーコ暗殺とかありうるのか? 上さまと倒幕派の衝突、薩長と新選組の死闘みたいな展開ありうるのか? 急に読んでるこちらの意識が変わったのですよ。歴史的事実をコメディタッチながらも追っていくのかも知れないなって。そう感じてからというもの、俄然面白みが増したのでした。

単行本で残念なのは、雑誌掲載時、欄外に掲載されていた歴史のおさらいコラム。取り上げられた事件についての、ちょっとした解説なんですけどね、それがなくなっちゃってましてね、おお、残念って思ったんです。記憶によれば、これも生麦事件からだったんじゃなかったかなあ。単に幕末オールスター四コマコメディじゃないと思わせた、それはこのコラムの影響もあったかも知れません。私の意識の流れとしては、生麦事件の回を読み始めて、おっ、と思って、それからコラムで、なぬっ、となった。ええ、やっぱり私にとってのターニングポイントは生麦事件であったのです。

後半、終わりに向かうにしたがって、だんだんにシリアスになるかと思えば、特にそういうわけでもなく、けれど倒幕ないしは開国の動きは無視できないくらいに大きくなって、そんな中、琴乃がひとり真面目に対応しようとする、そんなところ、面白くもあり、しかしちょっと心配でもあり。っていうのは、琴乃になにか含むところがあるっぽい、そんな風であったからなんですね。なんか深刻なことが起こったら怖いなあ、そんなこと思いながら読んでいた終盤、ついに明かされた琴乃の秘密。その意外さには素直に驚いたものだし、そして怖れていたような展開は — 、ありませんでした。穏当に、平和裡に開国のなった、そんなラストにはちょっとほっと安心して、一息ついて、やっぱりのんきな上さまに、そして健気で真面目な琴乃に、その変わらない様子にちょっと嬉しく思ったのでした。

女の子いっぱいの幕末コメディ。けれど、読んでみればのどかながらもそれらしく史実の流れ感じさせて、面白かったなって、そんな感想です。ナンセンスもいっぱいで、けれどそのおかげで人死もなければ戦争にもならず、しあわせな漫画でありました。だから、大好き。肩肘はらず、けれどきちんと読めて、楽しかった。ええ、とても楽しかったです。

2010年2月7日日曜日

お江戸とてシャン

 『お江戸とてシャン』、『まんがホーム』にて連載されていた四コマ漫画であります。四コマだからA5判だと思っていたら、B6判でちょっと驚き。手にとって、本の厚さにまた驚き。奥付を見れば丸3年の連載でありました。タイトルにあるように、お江戸を舞台とした漫画。大店のお嬢さんおヒナと、火消しの纏持ち虎吉の恋物語であります。養生のため、お江戸を離れていたおヒナ、7年ぶりに帰ってみれば、そこはメガロポリス江戸でありますよ。行き交う人々、活気喧騒、火事と喧嘩が名物だなんていわれる、そんな都市でおヒナが出会うもの、こと、人。それらがいかにも楽しげで、読めば気持ちをうきうきとわきたたせてくれる、そんな漫画であります。

しかし、連載で読んでいたときから面白い、それもべらぼうに面白いと思っていたのでありますが、読み返してみればなおさらに面白い。江戸の風物、江戸っ子の気質とかね、もう最高ですよ。ほら、江戸っ子はみな見栄っ張りっていうようなの。第10話「江戸の粋」なんてのね、何度読んでも笑ってしまって、クールな虎吉、馬鹿な意地の張り合いには目もくれないんだ、さすがあ! と思ったのも束の間、おいおい、ちょいとお待ちよ。ヤセガマンじゃねえ 本当に寒くねえんだ。そのあまりの変わり身のはやさには度肝抜かれてしまいました。しかしあの言い切りようはちょっと格好いいよ。確かに馬鹿なんだけどさ、ヤセガマンだろうとなんだろうと、だらしない真似なんてできないんだっていう、虎吉、ひいては江戸っ子の気風というのがわかろうというエピソードです。

江戸っ子は見栄を張る。名を、名誉を重んじるんだっていう話はその後もたびたび現れて、軽いものではお灸、文身のエピソードです。熱くねえよ、痛くねえよ。とにかく口ではそういうんだけど、実際熱がる素振り、痛がる様子なんて微塵も見せないんだけれども、本当は熱いし痛い。けれど、見栄を張る。それが彼らの粋だっていうんですね。虎吉の持つ纏、こいつだってそうですよ。纏持ちが火消しの花形であるのは、組の名誉を一身に負うているからに他ならないわけで、いわば虎吉がは組の顔であるともいえる。なにがあろうと、たとえ命を落とすようなことになろうとも、纏を捨てて逃げるわけにはいかないんだ。組の名誉、纏は俺の命よりも重いんだよって、虎吉のそうした言葉には、それまで冗談のように繰り返されてきたヤセガマンのエピソード、それらも手伝い、真実味もって迫ってくるのであります。

だからですよ、だからあの最後のシーン、あのクライマックスが生きてくるんです。粋でいなせな虎吉、なによりも恥を嫌ったこの男が、外聞もなにもかもかなぐり捨てて、おヒナのもとに駆け出した。思えば、すべてがこの場面のために用意されていたかのようじゃありませんか。猫又のオハギ、この時代には彼女ら物の怪も、人とともにあったんだって押さえられていたために、お雪の奇跡も唐突とはならなかった。長い時間をかけて丁寧に描かれてきたおヒナと虎吉の関係は、虎吉の決断を自然と受け入れさせた。そして、お雪とのいきさつあればこそ、好いた女のために生きようとする虎吉の気持ちも見えてくる。ええ、あの時、あの瞬間に、虎吉のおヒナ大事と思う気持ちが華となって見事咲いてみせたのですね。

火事場という大舞台を捨て、燃え盛る火の中に駆け出していく虎吉、その艶やかなことったらありませんでした。そしておヒナと交わす言葉に見える、彼らの今をこそ生きんとする意思。いずれ散る命の花なら、今を盛りと見事咲ききってみせようという、その心意気のあっぱれには胸を打たれます。虎吉おヒナのいきついた先、ありきたりと今を過ごしてしまうなんてどれほどに愚かしいことであるかと思わされた。今まさにあなたとあって、お前がいるという、この瞬間瞬間の重み、今という時は当たり前なんかではないのだという気付き、意識が、言葉を超えて雪崩れ込んでくるかのように押し寄せて、涙を絞って絞ってやみませんでした。泣けて泣けてしようがない。悲しいからじゃない。命の命として生ききらんとする様が、もうたまらなく切なく、見事に輝くものだから、読んでいる私の胸の裡にも熱く火の灯るようであったというのです。

引用

2010年2月6日土曜日

『まんがタイム』2010年3月号

『まんがタイム』2010年3月号が発売です。表紙は桜餅食べるおとぼけ課長。もう雛祭りですね。っていうか、こうやって毎月表紙について書くことで、季節のイベントを意識するようになったのはいいんですけどさ、それが常にひと月先取りっていうのがですね、逆に季節感の混乱を引き起しまして、ついこのあいだまでは節分だバレンタインだっていってたもんだから、もう気分はバレンタインデー終了って感じになってしまっているわけですよ。いや、それは別に今年も例年同様に終了だろうって予測してるわけじゃない。ともあれ、表紙は雛祭り。一足はやく、三月桃の節句気分です。

『アシスタント!!』、最終回です。この漫画って、最初は姉の仕事のからみで漫画家のアシスタントとして働きはじめたヒロインの成長ものであったのが、気付けば内気な先生の成長ものの色合いも強くなってきて、この二人三脚みたいにして育つふたりの足取り、見ていてとても楽しかったです。そして最後にはともに互いを必要な人と思って、支えあいながら、けれどもたれかかったりはしないっていう、そんな関係、やっぱりいい漫画だなって思って、結構好きだったんですね。最終回では、あのあとがきのくだり、あれはよかった。先生、思い切ったことするねえと、なんだかにやりとして、そしてやるじゃん。有希、むくわれたねよかったね、そんな見せ場、読んでいるこちらも嬉しくなるような良エピソードでありました。

『たびびと』、最終回です。物語としての決着はもう既についているから、これは本当にエピローグといえるような回でありました。父親を探す旅を終え、そして故郷に戻ったふたりと一羽、けれど旅は終わらないのですね。スケールの大きな話。RPG、ゲーム風とでもいえばいいのか、そういうノリがありました。長い連載。それまで読んでいたものとは違う印象、雰囲気に、こういうものも描かれるのかと、新鮮な気持ち持ちながら読んだものでした。

すいーとるーむ?』、前回登場したバイトの新人さん。いい感じに場をかきまわして、っていうか、永井君をしいたげる人がひとり増えただけか! そう考えれば、この漫画の状況、新鮮味を加えながら、基本のかたちはなんも変わってないんだ。でもって秋さんは、永井君をしいたげる側でありながら、同時に永井君と同様の感情を持つ立場にある。だから、やっぱりちょっと新鮮ですね。きっと共闘したりはしないんだけど、それでもむくわれない同志といったところ、ちょっと面白い関係です。

『わさんぼん』、面白い。バレンタインのイベントがらみで話すすめるのだけど、尻込みする牡丹、うん、気持ちはわかる。相手プロやもんなあ。それでもって、草太大活躍。よく考えれば、製菓学校を出てる草太は当然チョコレートの扱いも心得ているわけで、それどころか、この店のスタッフの中では唯一洋菓子を作れる人間であるかも知れないわけで、ゆえに大活躍。かっこええやないか。試作している菓子を作っている姿なんぞは、実際格好いいものだと思います。普段があれやなかったら、熱心で腕も悪くない、いい男の条件かなり揃ってるのに。残念な男だと思います。

ところで、けどチョコやで 溶かして固めるだけやとかいう舐めた考えが、バレンタインデーに不味いチョコレートを蔓延させるのですね。テンパリングがされてないチョコレートはめちゃくちゃ不味いぞ! 正直なところ、可愛い女の子の作った不味いチョコレート食べるくらいなら、草太のこさえたちゃんとしたチョコレートの方が数百倍いいです。

はこいり良品』は、商店街ではやるボード、立て看板がテーマ。ああいうの、ケーキ店とか喫茶店、レストランとかで見ますね。ちょっとした雰囲気づくり、それを古書店からお茶屋さんから、豆腐屋も? あちこちのお店でやって名物にしてしまうようなところは、実にこの商店街らしいです。こういう、いろいろやってみようという心意気。読んでいて、前向きな気分になれて、いいなあって思うのですね。でもって、爺さん、どんな罠をかけようというのか。いつだって味わいの深いお爺さんです。

『トイザんス』、3と#でお願いします。

  • 『まんがタイム』第30巻第3号(2010年3月号)

引用

  • 佐藤両々「わさんぼん」,『まんがタイム』第30巻第3号(2010年3月号),107頁。

2010年2月5日金曜日

『まんがタウン』2010年3月号

『まんがタウン』2010年3月号、発売です。表紙にはありがとうとあって、ええ、臼井儀人氏の手になる『クレヨンしんちゃん』の原稿、今月号に掲載のもので最後であるというのですね。思えば突然のできごとでした。事件のあとも、こうして毎月読んできて、だからまるで全部が嘘みたいに感じてきたのですが、けれどついに最終回を迎えました。私は、特に『クレヨンしんちゃん』のファンというわけではありませんでした。けれどこうして毎月読んでいれば、情も移ろうというもの。ましてや、こんな終わりかたなど望んではいませんでした。ただただ残念です。もう、言葉もなにも届かないけれど、それでもお疲れさまと、ありがとうございましたといおう。それだけでもう精一杯です。

『くるりのこと。』、よくいえばマイペース、悪くいえばちょっと落ち着きのない、そんなくるりが可愛いです。こんな子、いますよね。素直で頑張り屋なんだけれど、ちょっと独特の世界を見て生きているような子。もしかしたら私もそんなだったのかも知れないけれど、有名どころでは黒柳徹子さんなんかがそんなだったっていいます。世界に対して、ただただ素直に向きあっている、そんな姿勢には教えられることも多いように思います。だから、くるりのこと、いろいろにくすっと笑うこともあるけれど、それだけではない、自分をがんじがらめにしている思い込みから自由になれるような感覚を思い出させてくれるなって。だから、好き。静かに、静かに、好きという気持ちがわいてきます。

『かしこみっく』、ちょっと絵が整理されてなくて、わかりにくいと感じたところがあって、そういうのはちょっともったいないと思いました。「ボロ儲け」なんかがそんな感じで、最後のコマ、落ちがですね、ぱっと見てすぐにわからなかったんです。勘が悪いっていわれたら、申し訳ないそのとおりというしかないんですが、あの今年度売り上げっての、あのおっさんの今後のこと? なんて思ってしまったんですね。変な読み方してしまって、それでちょっと立ち止まってしまった。この漫画は勢いのよさに味があると思うから、勢いをそいでしまえば自然魅力もおちてしまいます。残念な読み方をしてしまったんですね。

勢いというと、「エコカー」なんかがそうで、意味わからん、いや、わかるんだけど、そのナンセンスと感じさせるところ、なんだか妙なおかしみがあって、こういうのがこの人の持ち味なのでしょうね。有無をいわせない、そんな押しの強さがある。苦手な人もありそうだけど、好きな人にはたまらん、そんな漫画かと思います。

『蝶のように花のように!』、新連載です。なんだか見たことがある、って思ったんですが、気のせいかな。女性にもてる女性の話。百合でヅカとかアオリにはあるけれど、あんまりヅカって感じはしません。なんだか恋愛観の歪んだ人たちがたくさん出てくる。そんな中、普通一般といった感じの西野彩香が取り残されている。けれどよりによってその彩香が、ヒロイン神田一希に狙われちゃってるっぽいっていう、この関係は面白いです。一希押す、彩香引く。徹底的に引く、この漫画は、彩香の困ってしまってるってところ、それが肝であるなっていう印象。こういうの、嫌いではないです。

『よせ☆あげ』、最終回です。怖れたとおりですね。前回触れられた会議、その結果が出て、それは残念なものであったけれど、ほのかが成長するきっかけがあって、そして2年がたって、少しずつ成長してるんだって描かれて、それは中抜きの駆け足だったのだけれど、そして典型的な終わり方でもあったのだけれど、この漫画のもともとにある流れからすれば、こういう終わり方になるのも納得です。ひとつでも、少しでも、誰かに認められたことがきっかけになって、前に進む力が生まれる。そうしたことの描かれた最終回でありました。

それはいいんだけど、2年後の瑠璃華社長は? 残念、残念です。

『みねちゃんぷるー』、驚きました。前回登場した男の子。彼が峰の恋の相手になると思っていたんですよ。ところが、ところが、そうじゃなかったのかあ。田上くん。中学の2年生。しっかりしてる、それでいいやつ。で、ちょっとシャイ? なんだ、どうしたんだ、片思いなのかボーイ? と思ったら、それどころじゃない展開、おおう許婚とな! それも雅の許婚とな!

これは、以前先生の恋に片をつけたように、ひとつずつ、カップルをつくっていくってことなのでしょうか。つまり、今は雅の順番? こうやって、カップルを成立させていった先、最後の最後に峰の番がくるのかな。いや、全然わかんないんだけど、けどそういうカップルを次々成立させていく話ってのも面白そうだなって思います。

  • 『まんがタウン』第11巻第4号(2010年3月号)

2010年2月4日木曜日

『まんがタイムジャンボ』2010年3月号

『まんがタイムジャンボ』2010年3月号、本日発売です。表紙は『じょしもん』から、肉まんを食べる美々が大きく中央に、そして周囲に、コーヒー飲む朝倉さん、おでん食べるサフォーク、そして鯛焼食べる『レーカン!』ヒロイン天海響が配置されています。しかし、新作あり、最前線から退いたものあり、そして終わりゆくものあり。この表紙にさえ、悲喜こもごもの感情が兆して、ええ、今『ジャンボ』は過渡期にあります。

『中2限定!?ガールズトーク』は、乙女ゲーに興じるお嬢さんたち。いや、しかし、ゲームの台詞で大ダメージうけたりするのってね、そんな大げさな! っていいたいが、実際あれはダメージが大きい。なんでゲームの台詞で打ち拉がれなきゃならんのだ、ってくらいにやられることは普通にあって、でもそうした感情も含めてこうしたゲームの楽しみなんでしょうね。そしてにやにやでにまにま。ああ、人生にはマスクが必要です。インフルエンザの予防にもなります。ちっとも不自然じゃないよ。

『あまぞねす?』、なんともいえず好きな感じです。楓の目が点になってる表情、あのふにゃーってなってるとこが好き。あの、ユカちゃんブログ始めたの?のコマですね。しかしブログはなんの役に立たなくてもいいのです!!といいきられると、いっそすがすがしいものがあります。いや、ありますのダ♪ やったね☆

きびしいものがあるな……。

扱われるエピソードは、そんなに突飛でもないし、普通にあっておかしくない、そんなのであるのに、独特の会話ののりがそこに楽しさ面白さを加えてくれています。役に立たなくていいって自分でいったのに、役に立たないっていわれて怒る、焦るとかね、ああいうやりとりが素敵です。

あおいちゃんとヤマトくん』、こいつは驚きました。近づきそうなことがあっても、なんとなく踏み込めずにいた、そんなふたりであったのに、ついにヤマトが、ヤマトが! 一歩を! いやしかし、そこでこうした展開に入るとは思いもせず、すんなりとはいかないとは思ったけれど、こうも意外な台詞にて終わったところ、え、どうなるんだろう、どうするんだろう、ただただ驚きました。ほんと、どうなるのでしょう。

『秘書メロ♪』、森ガールってああいうお嬢さんのこというのですか。森の中で、力強く薪を割ったり木を切り倒したりしてその力を誇示する、そんなお嬢さんのことだと思ってしまってました。そうかあ、こういうスタイルが森ガールなのかあ。これは好きかも。布が多いから。しかし、明智主任、人気ものなのか。佐伯さんと北斗さんが取り合ったりする? いや、現状なら、佐伯さんがそういう風でないか。けど、今後に関係してきそうなふりであったと思います。

『ハコベエ』、3ヶ月連続ゲストの第1回? 前回は0回目とカウント? ちょっと謎を感じつつ、ヒロインかんなの働きはじめの光景。実際にお客さんを迎えたとかではないけれど、その前段階、お店の人たちとの交流までが描かれて、しかしカモメのハコベエがこの店の質を支えているってのはおかしくていいなあ。それはそうとスミレさん。油断すると、姉ではなく母親と思ってしまう。いや、ほんと、ごめんなさい。

『すいーとプロミス』、渡辺志保梨の新作です。従姉妹と同居することになった主人公光介。年上の綾芽姉からは好意を寄せられて、そして年下の椿からは結構厳しく遇される? ちょっとどきどき同居もの。ベタといえばベタなパターンだけれど、悪くはないなあ、きっと渡辺志保梨のことだから、一般のハーレムものとは一線画したものを打ち出してくれるんじゃないかなっていう予感がして、つまりは期待でいっぱいです。

『ひめとりものがたり』、かわちりえこの新作、ゲストです。家具屋まねき堂の若き店主、かぐやを主人公とした店舗もの? けれど店には猫がいっぱい。猫の可愛さを表に押し出しつつ、お店にきた人に良縁を結ぶ? そんな猫と人情描く漫画になるのかな。猫がたくさんいる、その光景だけでかなりの魅力かも知れません。以前の猫の漫画に比べ、個々の猫の個性は弱いけれど、それは人間の側に焦点をあわせようということからかな、なんて思って読みました。

ボクの社長サマ』、ドーム球場を借り切っての物産展からテレビショッピングに移行するという展開、こういう大騒ぎあるいは悪ノリを描かせれば、あろひろしは最高だと思います。そして今回は二本立て。「休日。」は、この人いったい誰? と思わせて、きっと小森くんに身近な人だろう。素晴田さん!? と思ったけど、体型が違う。じゃあ、あの人か! と思ったら、まさしくそのとおりでした。でも、わかったとしても、充分に面白く、楽しませてくれました。ところで、女ですが坊主頭にしたいんですなんて相談を今日読んだところ、ものすごくタイムリーで笑ってしまいました。ええ、すごい偶然です。

なのはなフラワーズ』、モーリーの別れを知って、なんだかしんみりとするなのはな荘。なのに、私は青ちゃんのデジカメがGR Digitalだっていって喜んでいて、最初、かたちでもしや! と思ったら、メーカーロゴまでちゃんと描かれてびっくり。なんだか嬉しいなあ。そして、モーリーの健気さがわかる展開に、やっぱりじんとして、胸が熱くなって、いい漫画だなあ。もう、クライマックスといってもいい地点に立っているのかも知れない。そんな様子に、寂しさを思いながらも、しかしやっぱり暖かみの感じられる、いい漫画だなあって思う瞬間がたくさんあって、本当、大好きです。

『パドラーズハイ』、今回は外に出てのラフティングであります。今、漫画の中での季節は何月なんだろう。真冬というのは考えにくい。夏前? 秋口? ちょっとわからないけれど、制服が長袖だから真夏ではない模様。ということは、水温が低いとドライスーツなんでしょうね。そして、川下り。ボールを拾ったり、水に浮いてみたり。交流あり、気持ちよさの表現ありで、私が好きだっていうのは、このへんなんですよ。そして、より一層に好きだというのが、川下り、ラフトを懸命に操り、格闘する、けれどそれが楽しいっていう、まさにラフティングの状況描かれるところなんですね。大変そう、けれどものすごく面白そう。溌剌として、魅力があふれかえっています。

で、先月もちょいと触れてましたけど、半裸女子高生とか描かれてもいやらしくなったりしないっていうの。いや、つまり裸の魅力で読者釘付けとかするんじゃなくって、ラフティングというスポーツの魅力、そして彼女らが最高に楽しんでいるという様子でもって充分に勝負できるのにってって思っています。けど、もしこれが必要というのなら、しかたないのかなあ、などとも思うのですが、私には裸は必要ないっていうのは確かであるようです。でも、あったらもちろん見ます。しっかり見ます。当たり前じゃないですか。

『でり研』、大仏くんがでり研に入部して、いよいよ話が動き出すのかなってところ。けれど、まだ状況や登場人物の紹介、序盤の、これからどうなるのかなというわくわく感を残しています。しかし、海原さんの姓を見て、これはあれか? と思ったら、まさにあれで、しかしおいしいものには素直な海原さん、可愛いなあ。とはいえ、私も井ノ頭さんみたいな人には弱いです。ちょっと寂しそうにしてる人とかね、もうね、ちょいと抗えない魅力みたいなものがあるので、日々気をつけています。

『しすコン!』、ゲストです。妹の結婚に触発されて婚活とやらをはじめた美紀。けど、うまくいかない。まあ、妹から、幼なじみから妨害されてるからなんですが。でもさ、こうやって状況を後に後に先送りするばかりでいいんだろうか、ケンちゃん。いや、よくない。若い時間は今だけだぞ。言えたら苦労しないよって、いおうよ。ただあかんたれなだけじゃないか。ってなわけで、この状況を維持したまま、鈍感な美紀とあかんたれなケンちゃんの、くっつきそうでくっつかないようで、きっと最後にはくっつくんだろうなっていう、ある種王道のラブコメ展開。わりと楽しんで読んでいます。

Boy’sたいむ』、ちょっと、ちょっと待って欲しい。寮長の卒論はまあいいんだ。これ、書けなかったら放校じゃないのんか? なんて思ったりしたんだけど、まあそれはいいんだ。問題は置島くんですよ。気付いた? 知っちゃった? 見ちゃった? うらやましい! じゃなくて、男のひろむが好きだったんだろ、置島。望まない現実にショックを受けて、うめくほどに困ってしまって……。置島の恋、破れる! ひろむ、お前、女だったのか!? お、俺は、男のひろむが好きだったのに!

いや、実際どうなるんだろう。いや、ほんと、どうなるんでしょう。この状況に気付いていないひろむ。もう少し波乱は続きそうです。

『ダブルパティシエール』、最終回です。まさこ姉さんの結婚式を前にして、ちょっと成長したかほの姿もあって、これまでのもろもろ、少しずつ変わりながら前に進んでいくのですね。かほの以前の彼氏、あの人との復縁などあったりするのかなと思ったこともありましたが、そういう展開は予定されていなかったみたいですね。むしろ、あきらめの悪い男みたいな扱い、そのシビアな発想は私にはない、ゆえにちょっとよいと思えるところでした。そして、最後のコマに向けての展開、あれはいいですね。白衣で参列したというところ。ケーキづくりに没頭していたっていうところ、いいなあって思える、そんなラストでありました。うん、魅力的なヒロインになったと思います。

『子うさぎ月暦』、最終回です。さよなら、またねとのこと。またねがあるなら、本当にお願いしますよ。そして本編、ミセスコリーに接近して、けれど失言で大失敗するサフォーク。最後までいつもどおりといってもいい。そんな様子、よかった。いや、あわれかも知れない。けど、ずっとそうしてきたように、これからも暮らしていくのだろうなと思えるラスト。嫌いじゃないです。そして、好きな漫画が終わるということに関しては、やっぱり寂しさ感じずにはおられません。もっと、ミニ様と、そのまわりで成長を見守っている暖かな人たちの物語、見ていたかったなっていう気持ちが拭えないのですね。

けど、いつまでもめそめそいってるのもいけません。ええ、お疲れさまでした。またお会いできるなら、その日を楽しみにしたく思います。

  • 『まんがタイムジャンボ』第16巻第3号(2010年3月号)

引用

  • 早野りんた「あまぞねす?」,『まんがタイムジャンボ』第16巻第3号(2010年3月号),23頁。
  • きむる「しすコン!」,前掲書,138頁。

2010年2月3日水曜日

Apogee Duet

 ここ数ヶ月、真面目に音楽に取り組もうと思っているという話をしていますが、どうせならちゃんとした環境整えてやろうぜ、って考えもあって、とはいえ、そんなに高価なシステムは無理です。とりあえず、Logic Studio買ってみようかな。録音場所が固定されるのはかなわないから、移動しやすいようにノートPCも欲しいかな、などなど、悪い癖ですよ。でも、気軽に使える、そんな環境があることは重要で、ちょいと出してきてちょいと使う。そうじゃないと億劫でしょう。で、その環境構築の一環で、オーディオインターフェイスも欲しいかなと思ったのでした。

新しいオーディオインターフェイスが欲しいと思ったのは、録音時のクリップノイズを怖れたのがきっかけでした。録音する際には可能なかぎりレベルをあげるのがいい。けれど、過大な入力があると、それがノイズになってしまう。なので、下げすぎずまた上げすぎずという適正なレベルを探るのですが、ところが実際に録音してみるとクリップが出る、あれー、上げすぎたか。聴覚上は大きいとは感じないのに、特定の音がクリップするということを経験して、ああ、リミッターが欲しいなあと思った。

そう、だからリミッターのついている、Edirol FA-66がいいんじゃないかと思ったのですよ。

でも、これも結構古い機種よね。姉妹機ともいうべきEdirol UA-25UA-25EXにアップグレードしていて、だからFA-66も後継機が出たりするんじゃないかと様子をうかがいながら情報収集していたら、FA-66はファンタム電源使用時にノイズがのることがあるというネガティブな情報を得まして、こういうのを知ると、ちょっと考えてしまいますよね。もちろん、ネガティブ情報だけでこれを退けるなんてことはしないのですけど、さらにいろいろ調べていけば、Apogee Duetは入力におけるゲイン幅が広いため、リミッターなしでもクリップしにくいといったような情報も得られたのでした。

Apogee DuetはMacintoshにしか対応しないというので、人によっては使いたくても使えない機器であるのですが、もともとMacintoshを使ってる私には問題なし。さらに、Logic導入を考えてるといってたわけですが、LogicにはDuetのコントロールパネルが入ってる。問題があるとすればFA-66に較べて価格が少々高いというところなんですが、ここはちょっと頑張ってもいいかな、なんて思うところもありまして、おそらくはApogee Duetを選択することになるのではないかと思っています。

今持っているM-AUDIO Fast Track Proから乗り換えようという理由はもうひとつあります。Fast Track ProはUSB1.1で繋ぐので、転送速度の問題から24Bit/96kHzを選択すると、2入力もしくは2出力となるんですね。録音はできるが、音は出ない、音を出したら今度は録音ができない、それはちょっと困る、といったことから、FireWire製品もしくはUSB2.0以降のものが必要だったのです。けれど、もしDuetを買ったとしたら、これにはMIDIの端子がついてきませんから、Fast Track ProはMIDIの入出力に使うことになりそうな気がします。なんか無駄に豪華なMIDIインターフェイスですが、将来的に繋ぐMIDI機器が増えるまではこれかな、っていう感じで無駄にはならない予定です。

2010年2月2日火曜日

『まんがホーム』2010年3月号

『まんがホーム』2010年3月号、本日発売です。表紙は巫女やら応援団やら、そしてテスト前の追い込み? 受験シーズンだからなんでしょうね。スパルタ、応援、神頼み。受験の圧力下においては、受かるためならなんだってっ、という気になるのでしょう。その気持ちを応援しようかというような表紙であります。ああ、学生以外の人にも配慮されていて、受験、就活、婚活、みーんなまとめて必勝祈願なのだそうです。って、私、なにひとつ関係してないね……。

恋愛ラボ』、リコの嘘がばれて、師匠でもなんでもなくなった彼女の新ポジションがいい感じに対等で面白いです。これまではマキやエノの妄想につっこみを入れる、そんな立場であったのに、これからはしっかり逆襲を受けるというのですね。ポワと出るリコの妄想。はたしてそれがどんななのかはわからないけれど、逆襲されてうろたえる様が実にキュート。そして、幼少のマキがかわいいよ……。いや、しかし、最後の待ち合わせ、みな可愛いなあ。彼女は期待どおりだったけど……。次回は街に出てデートの予行練習? 期待しないではおられません。

『紫乃先生美録』。これまで、自宅でのお姉さんが素朴で可愛くてよいといっていたけれど、いや、弟がいい。姉にこき使われる弟。文句いいながらも、きっとおねーたんのこと大好きなんだね! でも、実際、こういう女性に幻想持っていない、さらには自然に手助けできる、そんなところは好感度高いでしょう。いや、でも、実際、こいつはドキドキの展開です。

『三日月の蜜』、前回の驚きのラストを受けて、そしてデートへ。もやもやとして、そのもやもやを口に出して、その気持ちを受ける側にもちょっと引っかかるものがあってという微妙な距離感。距離を縮めようとする、そんな動きを見せながらも、決して親密、密接というわけでもない、ちょっとよそよそしくもある関係が面白いです。思惑と素直な気持ちがいりまじってる。ちょっとしたきっかけで内向きになる。そんなヒロインに、この擬似的恋愛はどんな結論を与えるのか、それが楽しみです。

『おしのびっつ!』、妹と、妹大好き兄貴の対決構図が確定的になって、とても面白いです。余裕しゃくしゃくの兄だけど、相手にされないとこたえる。この弱味はよい。そして今回は父上も少し登場して、この人は普通のサラリーマン? 母方が忍者の家系? なんだかいろいろ謎ですが、このあたりも後々語られそうですね。

『東京!』、ヒロイン三人中心で話が進んでいきます。八王子、武蔵、国分寺の三人。ムサコが風邪をひいて、いつもとちょっと調子が違う。隔離されるたまこ。寂しかったり弱気になったり、そういう様子、嫌いじゃないです。

天子様が来る!』、とび出す絵本のインパクトはすごいです。シンプルでわかりやすく、しかし意外性にあふれてる。この人らしい味わい、すごくいいです。というワケで天子様。あの眼鏡のお嬢さんを紹介してください。

『こむぎみっくす』、節分の話。可愛い娘、怖いママ。いや、娘には優しいんです。そして、この娘もまたこのお母さんの子なのだということがわかるエピソードがあって、全体にお父さん受難といえる、そんな漫画です。なんですが、それで特に酷いとも思わないのは、なんのかんのいっても家族仲がいいと感じられるからなんでしょうね。ちょっと弱いお父さん、けど妻も娘も愛しているという、そんな感じがするのですね。だから、これでいい。女性が強いという状況で安定する。ええ、その安定が心地良いのです。

『じゃじゃプリ!』、ゲストです。ほへと丸新作なんですが、導入、すごくうまい。絵、これまでの雰囲気も残しつつ、すごく可愛く、魅力的に仕上がってる。新境地といっていいものでしょうか。けど、女性が強いという点においてはこれまでと同様で、しかしそうであってこそ安定して心地良いというのは、常に世の真理でありましょう。しかし、ヒロインふみか。ちんまりとして見た目可愛く、しかし横暴? 粗暴? 暴君的ヒロイン。そして、亮くん。背の高い、ちょっといい男。けど、完全に飼い馴らされているっていうね。このふたりの関係は、ちょっといい。なんだか憧れてしまいますが、後頭部は人の急所です。きわどいつっこみ、私だったらきっと昏倒ですね。

『3×ROOM』、終わり? この漫画、決して悪い感じではなかったと思うのですが、第1話にてほのめかされた不穏な雰囲気。あれが犯罪的というかなんというか、そんな裏があるんじゃないかと思わせるものだから、女性三人の生活描かれていても、素直に楽しめなかったです。惜しいなと思います。もともと私は、集英社のレディーズコミック『You』なんかを購読したりする嗜好があるから、こういう漫画も嫌いじゃないんです。だからこそ、描こうと思っていたことが描けなかったのだとしたら、残念だなって。そんな風に思うんですね。特にあのほのめかし、あれがどういう風に決着するのか、それは知りたかったです。知った上で評価したかった、という気持ちなのですね。

『おきらくママ』。スキーにいく話なんですが、二階堂さんの旦那。8割増しだなんていってるけど、自分の妻見て、おおー好み♥とかいっちゃうの。なんだ、この、のろけやがって、そんな気分ですよ。しかし、二階堂さんの奥さんは可愛いと思います。まさしく、おおー好み♥であります。

  • 『まんがホーム』第24巻第3号(2010年3月号)

引用

  • 新田朋子「おきらくママ」,『まんがホーム』第24巻第3号(2010年3月号),169頁。

2010年2月1日月曜日

ザ・ジャズ・セオリー

 昨年11月に復習しはじめた和声、その1巻がもうじき終わるので、第2巻を買いにいったのでした。そしてついでに、今度こそちゃんと学ぼうと思っていたジャズ和声のテキストも買いまして、それはマーク・レヴィンの『ザ・ジャズ・セオリー』。ちょっと高い本なのですけど、平易でわかりやすく、内容も充実しているという話です。中途半端にいろいろ試して回り道するくらいなら、がつんと定評のある本を買って、しっかり学んだ方がいいよね、との判断から、買いました、がつんと。そしてその内容に、さすがよいといわれるだけはあると感心している次第です。

かなり大きな本です。30cm。大型本って感じがします。ページ数も496ページとかなりのもので、寝転んでぱらぱら見ようなんてのはちょっと無理なサイズですね。だから、きちんと座学したい。できればピアノの前に座って、実際に音を出しながら読み進めたい。そう思わせる本であります。

本を開いての印象は、思った以上にすっきりとして、余白が多い、ぎゅうぎゅうに詰め込まれたような窮屈さとは無縁です。そして譜例が豊富。有名曲から引用されたフレーズがあれば、コード進行の例があり、さらにはスタンダード曲のスコアがあり、しかもリハーモナイズ例まで載っている。丁寧な仕事に感謝します。なんせ、よくわからないうちは実際にどうやるのか真似するのが一番で、それも曲の一部やコード進行例に対して試すのではなく、実際の曲においてはこうやるという、まさに実例ともいうべきものがそこにある。ありがたいです。

この本の扱う範囲は、和声に留まらず、楽式に相当するのかな? ソング・フォームの説明、さらにはリード・シート、楽譜の読み方や曲の覚え方といった章まで用意されていて、いたれりつくせりともいうべき親切さです。さらにはハーモニー、和声、コード進行についての解説中にも演奏の際のヒントがあらわれてくるので、これが作曲やコードづけに役立つだけのテキストではないということが理解されます。実際の話、解説はほぼ演奏の歴史であるともいえます。何年代にはこの音はこう扱われていたが、後にはこのような扱いに変化したなどなど、説明がされたと思えば、譜例が提示されてその響きを確認することが可能です。徹底した実例主義は、この本が実践されることを前提にしている証拠ともいえて、実際眺めているだけではおさまらない。鳴らしたい、試したいという気持ちがむくむく持ち上がってくるような、そんな本であります。

私はまだこの本の序盤を読んでいるところですが、これまでずっと抱えてきた疑問、なんでジャズではモード(旋法)という概念を使うんだろう。むしろややこしく、わかりにくくなるだけなんじゃないのか、といった印象がクリアになりました。ええ、やっとこさ、モードを用いる発想というものがわかったのです。なるほどね、そういうことかと理解して、このように、過去に触れた理論の解説ではいまいちわからなかったことが、こうして解決していくのは、ためになるならない関係なしに、ただただ面白いことであるといえます。ええ、楽しみながら読んでいける、そうした体験、すごくありがたいです。