2011年3月31日木曜日

きんいろモザイク

 『きんいろモザイク』がもう最高です。これ書くために1巻、あたまから読んでみて、もうすごいよね。ぶるぶる震えながら読みましたよ。もう面白くてさ、おかしみが笑いをじわじわと呼び起こすんですけど、なんでだろう、わっはっはっ、と大口開けて笑うんじゃなくて、込み上げてくるおかしさをぶるぶるこらえて、もうたまらんっ! そんな感じなのですよ。ああ、思い出します。第1回を読んだ時のこと。わあ、すごく綺麗、キャラクターも可愛いし! しかしそれは最初だけ。いやあ、もう面白いんですよ。いまだに忘れられない。ずっと覚えてる。あの、ハローハロー。ああ、人はその気持ちさえまっすぐでありさえすれば、言葉などを超えてわかりあえるのかも知れない! そうした希望にはっしと打たれた思いがしたのですね。

しかし、あの時の衝撃、忘れない。それくらいに面白かったんですが、まとめて読むと格別。あらためてその面白さに感じ入り、変に見栄っ張りな忍とか、どや顔アリスとか、そして自爆系少女綾さん。もうほんと面白くて、ぶるぶる、ですよ。キャラクターがすごく立ってる。すごく訴えるのです。

忍はすごいですね。金髪となると見境がなくなる。金髪というよりも、西洋に対する憧れが強すぎるといった感じなんですけど、忍にとって西洋的なるもの、それが金髪なんだっていうんでしょうね。自分もいつかは金髪に、って、全然似合ってないよ、そんな意見もちらほらあるんですが、いや、ほんと、それでも忍の西洋への憧れはやまないんです。きっととっておきに違いない、西洋を意識した服装の数々も、そうした趣味のあらわれなんでしょうが、どれも絶妙に似合ってなくて、まさにナイスミスマッチ、でもそんな忍が可愛くてしかたないんですね。お姉ちゃんの気持ちがよくわかる! 忍がときに見せる奇行もまた面白くて、おっとりと、のんびりとしながら、底の知れないお嬢さん。基本いい子で、優しい子。なのに、ゴミですか? ゴミはゴミ箱へ! 時に深淵を垣間見せてくれて、いやもうしびれます、震えますよ。

面白いのは、アリスにしてもそう、カレンだってそう。そして綾もものすごい。この人、なんでいわんでいいこと、やらんでいいこと、自分からいいだして、自爆するってんだろう。普段はもの静かなお嬢さんなのに、追い詰められてまごまごしてる。もう、そんな様が素敵。で、この人、陽子と関わるとさらに面白さが際立って、ともない魅力もものすごいことに! いや、ほんと、登場人物、みながすごく魅力的で、そのキャラクターらしいと思える行動があったかと思えば、ええっ! そんな側面も! 思いがけない表情、行動を見せてくれて、それがあまりに意外だったりするから、虚をつかれたようにすとんと懐におさまってしまって、そして笑いをくすぐるんですね。

『きんいろモザイク』、登場人物が魅力的。そんな皆の交流する場に生まれるおかしみがたまらない漫画であります。彼女らの有機的に関係しあい、そして引き起こされる感情の動き。その描かれようが大変素晴しい。読むほどにしみじみと沁みてきます。

  • 原悠衣『きんいろモザイク』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

引用

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