2011年7月4日月曜日

少女公団アパートメント

 素晴しいな、『少女公団アパートメント』。ほんと、他にどういいあらわしたものか。『少女公団アパートメント』、素晴しいです。都会の学校に通うことになったので、田舎から出てきた女の子ちさ。おばさんの家にお世話になるのですが、それが団地。お隣さんに同い年の女の子ろかがいて、そして上の階にはなつみ、さくらの姉妹がいる。この4人が集まって楽しそうにしている風景、それがもう本当に魅力的で、ひとりひとりの個性、それが生き生きとして、見てる、それだけで充足するのですね。

思えば、第1話の扉絵、カラーがすごくきれいで、よさそうだなあ、そう思っていたところに、第2話のバランス釜がとどめをさしたんでしたっけ。ああいう給湯器があるというのは知っていた。けど、シャワー使うなら湯を張りなさい、そうじゃないとというのがね、わあ、そうなんだ、けどそれって構造的欠陥ってやつじゃないの!? と驚いて、こうした団地についてのレクチャーや、登場人物の個性が見えていく展開が、ああ読み進めれば、きっともっと好きになるって思わせたのでした。そして、この予感は間違ってなかったのですね。

なつみが面白いですよね。お姉ちゃんの服を勝手に借りて、お姫さまみたい! って、どんなに可愛いの! で、汚しちゃって、やぶいちゃって、それをなんとかしようと奮闘する3人。ちさ、ろか、なつみの努力と失敗が光ってましたよ。なつみのすぐ泣いちゃうところとかね、しかも、ぎゃーんっとか、最高だと思う。で、いつも被害にあうお父さんのとっておきとか、こういうの、もう本当に面白くて、繰り返されるネタにもしっかり気持ちがいきとどいてるから、まだ見ぬ神代家父と娘との関係、どうなんだろうとかね、すごく想像しちゃって、ええ、描かれてることだけじゃないんです。描かれてることのはしばしに、描かれてないことへの入り口が開いている。ほとんど、4人の女の子だけで完結しているお話が、彼女らを取り巻く家族、学校、地域をこんなにも感じさせて、こんなにも豊か。彼女ら皆の暮らす世界の確かに存在しているという息衝きが、たまらないのですね。

と、世界を感じるのもいいのですが、やっぱりここはちさ、ろか、なつみ、さくら、彼女らの一緒にあって、楽しそうで、ちょっとさくらが暴走気味で、そんな様子を眺めていたいのです。華やかなお嬢さんたち。ひとりひとりにいいところがあって、ちょっと駄目なところがあって、けどちょっとの欠点も魅力ですよね。本当、すごくキュートで、読んでいて飽きるところがありません。彼女らの心の動きの描かれようも素晴しく、本当に大切な一冊です。

残念なところがあるとしたら、連載時にカラーだったページが白黒収録されてしまってるところでしょうか。これ、カラーで収録されるなら、価格があがってもかまわない、ではなく、コスト分支払うからカラーページも収録してください。そう思ってしまうくらいカラーがきれいなんですね。当然表紙もすごくきれい。本当に最高です。

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